(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165188
(43)【公開日】2022-10-31
(54)【発明の名称】包装材
(51)【国際特許分類】
A61J 1/03 20060101AFI20221024BHJP
B65D 77/20 20060101ALI20221024BHJP
【FI】
A61J1/03 370
B65D77/20 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021070433
(22)【出願日】2021-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】000107538
【氏名又は名称】株式会社UACJ
(71)【出願人】
【識別番号】000231626
【氏名又は名称】株式会社UACJ製箔
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】武田 友樹
(72)【発明者】
【氏名】前田 大洋
(72)【発明者】
【氏名】加藤 久弥
【テーマコード(参考)】
3E067
4C047
【Fターム(参考)】
3E067AA11
3E067AB82
3E067AC05
3E067AC12
3E067BA12A
3E067BB01A
3E067BB14A
3E067EA04
3E067EB10
3E067FB04
4C047AA17
4C047AA22
4C047EE10
4C047FF06
4C047GG22
4C047NN07
(57)【要約】
【課題】開封検出が可能な分包袋を作製するための包装材の提供
【解決手段】収容部42を構成するための収容予定部21が設けられるシート20と、シート20上に設けられた配線パターン30と、を備える。配線パターン30は、一の方向に沿う一方に配線パターン30の末端が配置されるとともに、収容部42を構成したときに一方を除く他の三方において収容部42の周縁に沿って配されるように、収容予定部21の周縁に沿って備えられている。シート20は、透明ないしは半透明であって、収容予定部21の周囲には接着予定部24が設けられており、配線パターン30は、収容予定部21の三方の周縁であって、接着予定部24上に配されているとよい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容物を収容する収容部を備える分包袋を製袋するのに用いられる包装材であって、
前記収容部を構成するための収容予定部が設けられるシートと、
前記シート上に設けられた配線パターンと、
を備え、
前記配線パターンは、
一の方向に沿う一方に前記配線パターンの末端が配置されるとともに、前記収容予定部について、前記収容部を構成したときに前記一方を除く他の三方において前記収容部の周縁に沿って配されている、包装材。
【請求項2】
前記シートは、透明ないしは半透明であって、前記収容予定部の周囲には接着予定部が設けられており、
前記配線パターンは、前記収容予定部の前記三方の周縁であって、前記接着予定部上に配されている、請求項1に記載の包装材。
【請求項3】
前記分包袋は帯状をなし、前記収容部を前記一の方向に沿って複数備えるとともに、
前記シートは帯状をなし、前記収容予定部を前記一の方向に沿って複数備えており、
前記配線パターンは、
前記一の方向に沿う前記一方に前記配線パターンの前記末端が配置されるとともに、複数の前記収容予定部のそれぞれについて、前記収容部を構成したときに前記三方において前記収容部の周縁に沿って配されており、かつ、
前記収容部を構成したときに、前記収容部に対して前記一の方向に交わる幅方向の一方において前記一の方向に沿って配される第1配線と、前記幅方向の他方において前記一の方向に沿って配される第2配線と、を含み、
前記第1配線と前記第2配線との少なくとも一方は、複数の前記収容部の周縁に沿うように共通して設けられた共通配線とされている、請求項1または2に記載の包装材。
【請求項4】
複数の前記収容部を構成したときに隣り合う前記収容部の間には、切断線を破線状に形成してなる切取線が前記幅方向に沿って付与されるものとされ、
前記配線パターンにおける最も細い部分の線幅は、前記切取線における破線状の前記切断線の長さよりも大きい、請求項3に記載の包装材。
【請求項5】
複数の前記収容予定部の周囲には接着予定部が設けられており、
前記シートは、前記一の方向に交わる幅方向の中央において前記一の方向に沿って折線が設けられるとともに、前記折線によって前記幅方向の一方の側の第1領域と他方の側の第2領域とに区画されており、
前記シートは、前記折線に沿って二つ折りにされた状態で、前記第1領域における前記接着予定部と、前記第2領域における前記接着予定部とが互いに接着されることで、前記収容部が形成される構成を備えている、請求項1~4のいずれか1項に記載の包装材。
【請求項6】
複数の前記収容予定部の周囲には接着予定部が設けられており、
一の前記シートと他のシートとが重ねられた状態で、前記シートにおける前記接着予定部において互いに接着されることで、前記収容部が形成される構成を備えている、請求項1~5のいずれか1項に記載の包装材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、包装材に関する。
【背景技術】
【0002】
薬物療法においては、患者が処方された薬を確実に服用することが重要となる。そこで、患者への服薬指導を補助するものとして、薬の包装材の開封を検出する開封検出技術が知られている。例えば特許文献1には、錠剤を1錠ずつ収容するPTP(Press Through Pack)包装材の封止シートに回路配線を設けた開封検出包装材が開示されている。回路配線は、薬の収容部のそれぞれに対し、収容部を横切るように設けられており、収容部を押し潰して薬を取り出すことで、封止シートとともに破断される。そして、この回路パターンの破断によりもたらされる電気的信号の変化に基づいて、包装材の開封を検出することができる。
【0003】
PTP包装材は、凹状の収容部を備える容器部と、収容部を封止する封止シートとを備え、容器部は、一般的には、薄板状の合成樹脂シートに対し、錠剤に合わせた形状の収容部が形成されている。そのため、開封に伴う封止シートの破断位置を特定しやすく、開封を高精度に検出することができる。また、封止シートとしては、一般的に、防湿性,ガスバリヤ性,および遮光性が高く不透明なアルミニウム箔が採用され、その表面には収容している錠剤についての情報が記録できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、薬の包装材としては、PTP包装材の他に、分包紙を折り畳んで周囲を結着することで、散剤を一度の使用量をまとめて収容できるようにした分包袋(内袋の一種)が知られている。近年では、複数種類の薬が処方されている場合に、飲み忘れや飲み間違い、開封負担等を減らす目的で、服用時期が同じ散剤や錠剤等をまとめて1つの分包袋に包装する一包化の需要が高まっている。しかしながら、分包袋は、比較的シンプルな創りで様々な種類、形状、数の薬を収容できるように設計されており、収容部の面積が広いことから開封位置を特定したり開封を検出したりすることが困難となっていた。
【0006】
本発明は、上記のような事情に基づいて完成されたものであって、その目的は、開封を検出することができる分包袋を作製するための分包紙として有用な包装材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、特許文献1に開示された技術を分包袋に適用してみた。すると、例えば
図11に示すように、ユーザは服薬時に必ずしも切取線に沿って分包袋を切り取るわけではないため(切取線X1,X2参照)、特許文献1に開示された技術によって分包袋の開封を適切に検知することは困難であることが判明した。
【0008】
(1)そこで、鋭意検討の結果、本技術は、収容物を収容する収容部を備える分包袋を製袋するのに用いられる包装材を提供する。この包装材は、前記収容部を構成するための収容予定部が設けられるシートと、前記シート上に設けられた配線パターンと、を備える。前記配線パターンは、一の方向に沿う一方に前記配線パターンの末端が配置されるとともに、前記収容部を構成したときに前記一方を除く他の三方において前記収容部の周縁に沿って配されている。
【0009】
(2)本技術の一実施形態では、上記(1)の構成に加え、前記シートは、透明ないしは半透明であって、複数の前記収容予定部の周囲には接着予定部が設けられており、前記配線パターンは、前記収容予定部の前記三方の周縁であって、前記接着予定部上に配されていてもよい。
【0010】
(3)本技術の一実施形態では、上記(1)または(2)の構成に加え、前記分包袋は帯状をなし、前記収容部が前記一の方向に沿って複数備えられるとともに、前記シートは帯状をなし、前記収容予定部が前記一の方向に沿って複数備えられており、前記配線パターンは、前記一の方向に沿う前記一方に前記配線パターンの前記末端が配置されるとともに、複数の前記収容予定部のそれぞれについて、前記三方において前記収容部の周縁に沿って配されており、前記収容部を構成したときに、前記収容部に対して前記一の方向に交わる幅方向の一方において前記一の方向に沿って配される第1配線と、前記幅方向の他方において前記一の方向に沿って配される第2配線と、を含み、前記第1配線と前記第2配線との少なくとも一方は、複数の前記収容部の周縁に沿うように共通して設けられた共通配線とされていてもよい。
【0011】
(4)本技術の一実施形態では、上記(1)~(3)のいずれかの構成に加え、複数の前記収容部を構成したときに隣り合う前記収容部の間には、切断線を破線状に形成してなる切取線が前記幅方向に沿って付与されるものとされ、前記配線パターンにおける最も細い部分の線幅は、前記切取線における破線状の前記切断線の長さよりも大きい構成とされていてもよい。
【0012】
(5)本技術の一実施形態では、上記(1)~(4)のいずれかの構成に加え、複数の前記収容予定部の周囲には接着予定部が設けられており、前記シートは、前記一の方向に交わる幅方向の中央において前記一の方向に沿って折線が設けられるとともに、前記折線によって前記幅方向の一方の側の第1領域と他方の側の第2領域とに区画されており、前記シートは、前記折線に沿って二つ折りにされた状態で、前記第1領域における前記接着予定部と、前記第2領域における前記接着予定部とが互いに接着されることで、前記収容部が形成される構成を備えていてもよい。
【0013】
(6)本技術の一実施形態では、上記(1)~(5)のいずれかの構成に加え、複数の前記収容予定部の周囲には接着予定部が設けられており、一の前記シートと他のシートとが重ねられた状態で、前記シートにおける前記接着予定部において互いに接着されることで、前記収容部が形成される構成を備えていてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本技術によれば、開封を検出することができる分包袋等を作製するための分包紙として有用な包装材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】一実施形態に係る包装材を用いた分包袋の開封を検知している様子
【
図4】
図1の分包袋の切取線の周辺を示す要部拡大図
【
図11】参考例の包装材を用いた分包袋の開封を検知している様子
【発明を実施するための形態】
【0016】
≪実施形態1≫
まず、
図1ないし
図6を参照しつつ、一実施形態に係る包装材の概要について説明する。
図1には、本例の包装材10を用いて作製した分包袋40の開封を検知している様子が示されている。本例の分包袋40は複数の収容部42a,42b,…42nを備えており、収容部42には、服用するタイミングが同じ複数の薬Medが収容されている。複数の収容部42の間には、分包袋40を一つの収容部42ごとに切り分けるための切取線C1が設けられている。
図2には、本例の包装材10であって、
図1の分包袋40が展開された様子が示されている。包装材10は、シート20と配線パターン30とを含んでいる。以下、包装材10の各要素について詳細に説明する。なお、図中の符号D1,D2,D3,D4はそれぞれ、包装材10の長手方向(一の方向の一例)に沿う第1方向およびその反対側の第2方向と、長手方向に直交する幅方向に沿う第3方向およびその反対側の第4方向と、を示す。
【0017】
シート20は、分包袋40を作製するための材料である。シート20は、略矩形の帯状をなしている。本例のシート20は、幅方向の中央で二つ折りにすることで、分包袋40を作製するようになっている。ここで、シート20の幅方向の中央には、シート20を折り畳むときの折り位置(折り目)を示す折線L1が設定されている。以下、便宜上、この折線L1によって区画された、シート20の幅方向の第3方向の側を第1領域A1といい、第4方向の側を第2領域A2という場合がある。
【0018】
第1領域A1には、長手方向に沿って、n個の収容予定部21a,21b,…21nが設定されている。第2領域A2には、長手方向に沿って、n個の収容予定部22a,22b,…22nが設定されている。nは1以上の自然数であり、
図1の例ではn=6である。幅方向で隣り合う収容予定部21a,21b,…21nと、収容予定部22a,22b,…22nとは、折線L1について線対称とされており、収容部42a,42b,…42nと同じ形状である。長手方向に配列される収容予定部21a,21b,…21n,および22a,22b,…22nは、収容部42a,42b,…42nと同じ形状であり、通常はそれぞれが同じ形状である。しかしながら、長手方向における収容予定部21a,21b,…21n(および収容部42a,42b,…42n)の形状は互いに異なっていてもよい。本例の収容予定部21a,21b,…21nは、
図2および
図3等に示すように、四隅が丸められた略矩形をなしており、その四方を接着予定部24によって取り囲まれている。シート20の第一方向の端部は、この包装材10を後述する開封検出器50に取付けるための装着用領域28となっており、この部分は接着予定部24とはなっていない。
【0019】
なお、本明細書において、収容予定部21a,21b,…21n、収容予定部22a,22b,…22n、および収容部42a,42b,…42nを互いに区別する必要が無い場合には、符号の末尾のアルファベットを省略することにより、収容予定部21、収容予定部22、および収容部42のように総称する。後述する第2配線32a,32b,…32n(第2配線32)、第3配線32a,32b,…32n(第2配線32)、および第2端子T2a,T2b,…T2n(第2端子T2)についても同様である。
【0020】
長手方向において隣り合う収容予定部21,22の間に配される接着予定部24は、長手方向に沿う寸法が相対的に小さく、幅狭である。本例におけるシート20の幅方向の中央に配される接着予定部24は、幅方向に沿う寸法が相対的に小さく、幅狭である。これに対し、シート20の幅方向の両端に配される接着予定部24は、幅方向に沿う寸法が相対的に大きく、幅広である。また、切取線C1が設けられる予定の位置を示す切取予定線L2は、長手方向において隣り合う収容予定部21,22に重なる位置(換言すれば、長手方向において隣り合う収容予定部21,22の間の接着予定部24上)に設定されている。折線L1は、シート20の幅方向の中央に配される接着予定部24の、幅方向における中央に配されている。シート20は、折線L1で二つ折りにされたときに、収容予定部21a,21b,…21nと収容予定部22a,22b,…22nとが重なり合うようになっている。そしてシート20は、折り畳まれた状態で接着予定部24において接着されることで、収容予定部21a、21b、…21n,および22a、22b、…22nの四方が閉じられる。これにより、シート20には、密閉されたn個の収容部42a,42b,…42nが構成されるようになっている。これらの収容部42a,42b,…42nの形状は、収容物である薬Medの形状に依存せず、また、収容物である薬Medの大きさ(平面形状)に比して十分に大きくなるように設計されている。
【0021】
シート20としては、柔軟な素材からなる各種のシート状体を用いることができ、好ましくは、加熱押圧することで熱圧着することができる各種のシートを用いることができる。好適な一例として、シート20としては、グラシンやセロファン等の透気性を有さない半透明ないしは透明の薄膜体(紙であり得る。)を基材とし、この基材の裏面に熱可塑性樹脂からなる接着層が積層一体化された積層フィルムが挙げられる。熱可塑性樹脂としては、製袋時のシール処理における加熱温度(例えば、約100~150℃)において軟化または溶融するように、この加熱温度よりも軟化点または融点の低い熱可塑性樹脂であるとよい。より具体的には、熱可塑性樹脂としては、これに限定されるものではないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、およびポリエチレンテレフタレート等が挙げられ、これらはいずれか1種が単独で含まれていてもよいし、2種以上が複合化されて含まれていてもよい。シート20が全体として半透明ないしは透明であることで、分包袋40への収容物を外部から視認することができるために好ましい。シート20は、例えば厚みが100μm以下(一例として60μm以下、典型的には40μm以下)程度であって、人の手によって破断できる程度の強度を有しているとよい。シート20は、好ましくは、いわゆる医療用分包紙と呼ばれている帯状の樹脂加工紙であってよい。
【0022】
なお、本技術において「透気性を有さない」とは、JIS P8117:2009に規定される透気度試験方法で空気の透過が認められないことをいう。
【0023】
配線パターン30は、この包装材10で分包袋40を製袋したときに、分包袋40の開封を検知するための要素である。配線パターン30は、収容部42を開封するためにシート20を破断したときに、シート20とともに破断される要素である。配線パターン30は導電性を有しており、破断されることで導電性が失われる(遮断される)。本例の配線パターン30は、シート20の表面に配されている。配線パターン30は、1本の第1配線31と、n本の第2配線32a,32b,…32n(第2配線32)と、n本の第3配線33a,33b,…33n(第3配線33)と、を含む。
【0024】
第1配線31は、第2領域の幅方向の一方において、長手方向に沿って配される。第1配線31は、シート20の折線L1よりもやや第4方向の側において、接着予定部24上に配されている。第1配線31は、第1方向の端部からn個目の収容予定部22nの第2方向の側の周縁に至るように、略直線状に配されている。第1配線31の第1方向の端部(すなわち、装着用領域28)には、第1端子T1が設けられている。第1端子T1は、第1配線31の末端の一例である。第1配線31は、折線L1になるべく近い位置(例えば、折線L1からの距離が5mm以下の位置)に設けられている。また、第1配線31が接着予定部24上に配されていることで、収容部42に収容した収容物を外部の視線から遮ることがないため、収容部42における収容物の視認性を高い状態に維持することができる。
【0025】
第2配線32は、第2領域の幅方向の他方において、長手方向に沿って配される。第2配線32は、シート20の第4方向の側の端部に設けられた接着予定部24上に配されている。第2配線32a,32b,…32nはそれぞれ、第1方向の端部からn個目の収容予定部22nの第2方向の側の周縁に至るように、略直線状に配されている。第2配線32a,32b,…32nの第1方向の端部(すなわち、装着用領域28)にはそれぞれ、第2端子T2a、T2b、…T2n(第2端子T2)が設けられている。第2端子T2は、第2配線32の末端の一例である。本例の第2配線32は、いずれも接着予定部24上に設けられているが、第2配線32はその一部が収容予定部22に設けられていてもよい。ただし、第2配線32が接着予定部24上に設けられていることで、収容部42に収容した収容物を外部の視線から遮ることがないため、収容部42における収容物の視認性を高い状態に維持することができる。
【0026】
第2配線32a,32b,…32nは、互いに接触したり重なったりしないように、互いに離間して配されている。例えば、第2配線32a、32b、…32nは、最も第1方向の側に配される収容部42aを取り囲むための第2配線32aが、幅方向の中央側に(換言すると、折線L1側に)配され、末端からの寸法が相対的に短くなるようになっている。そして第2配線32は、最も第2方向の側に配される収容部42nを取り囲むための第2配線32nに近づくにつれ、相対的に外側に(換言すると、第4方向の側に)配され、末端からの寸法が相対的に長くなるようになっている。
【0027】
第3配線33a,33b,…33nはそれぞれ、第1配線31と、第2配線32a,32b,…32nとを接続する。第3配線33は、隣り合う収容予定部22の間に設けられた接着予定部24上に配されている。第3配線33は、第1方向の端部からn個目の収容予定部22nの第2方向の側の周縁において、第2領域A2を幅方向に横切るように配されている。第2配線32a,32b,…32nと第3配線33a,33b,…33nは、それぞれ接続されることで、略L字状をなしている。本例の第1配線31、第2配線32a,32b,…32n、および第3配線33a,33b,…33nはそれぞれが協働して、第1方向を除く他の三方(第2,第3,第4方向)において収容部42a、42b、…42nを取り囲むように配されている。また、第1配線31は、配線パターン30において、複数の第2配線32および第3配線33が収容部42を取り囲むために共通して接続する共通配線となっている。
【0028】
第1配線31、第2配線32、および第3配線33の線幅は特に制限されず、第1端子T1と第2端子T2との間の導通を安定して確認できるものであればよい。ここで、収容物の視認性を向上させるという観点からは、第1配線31、第2配線32、および第3配線33の線幅は細い方がよい。また、シート20の総面積に占める収容予定部21,22(収容部42)の面積を高め、接着予定部24の占める割合を少なくするとの観点からも、これらの配線の線幅は細い方がよく、とりわけ接着予定部24に複数の配線が並列に配される第2配線32については線幅は細い方がよい。例えば、第1配線31の線幅は、5mm以下であるとよく、典型的には3mm以下であるとよく、例えば1.5mm以下であるとよい。また、第2配線32の線幅は、2mm以下であるとよく、典型的には1.5mm以下であるとよく、例えば1mm以下であるとよい。そして第3配線33の線幅は、5mm以下であるとよく、典型的には3mm以下であるとよく、例えば1.5mm以下であるとよい。なお、第1配線31、第2配線32、および第3配線33の線幅の下限は、凡そ、0.5mm以上(例えば0.625mm以上)であるとよい。
【0029】
切取予定線L2は、この包装材10で分包袋40を製袋したときに切取線C1が設けられる位置を示す。上記のとおり、切取予定線L2は、シート20を幅方向に沿って横切るように設けられる。したがって分包袋40においては、切取線C1が、第1配線31と、第2配線32と、に交わることが考えられる。例えば、
図1に示すように、切取線C1は、第1配線31と、第2配線32b、…32nと、を横切るように設けられる。切取線C1は、例えば
図4に示すように、所定の長さL3の複数の切込みC2(切断線の一例)が、所定の長さL4の連続部分C3を介して、線状に設けられている。ここで、切込みC2が第1配線31や第1部分32Xを切断しないようにシート20に切取線C1を設けることは難しい。そこで、第1配線31や第2配線32の最も狭い部分の線幅Wは、切込みC2の長さL3よりも大きい(W>L3)とよい。また、線幅Wと長さL3とは、例えば以下の関係:W≧1.25×L3;を満たすとよく、さらには、以下の関係:W≧1.5×L3;を満たすとよい。線幅Wをこのようにすることで、切取線C1を設けたときに切込みC2が切り取り予定線上のいずれの位置に形成されても、第1配線31および第2配線32の最も狭い部分が切断されることを回避できる。一例として、第1配線31および第2配線32の最も細い部分の線幅Wは、独立して、典型的には0.5mmよりも大きいとよく、0.75mm以上であるとよく、例えば1mm以上であるとよい。なお、切込みC2の長さL3は、0.5mm以上であるとよく、また、上記関係を満たす範囲で、例えば2mm以下とするとよい。
【0030】
このような配線パターン30は、例えば、シート20の表面に導電性組成物を所定の導電性パターン形状に供給し、硬化させることで形成することができる。導電性組成物としては、導電性を示す導電性粒子がバインダを含むビヒクルに分散された、いわゆる導電性インクと呼ばれるものを用いることができる。導電性粒子としては、金,銀,銅,白金,アルミニウム,およびこれらの合金,ならびにカーボンブラック等の良導電性を示す材料によって構成される各種の粒子(粉末の形態であり得る。)を用いることができる。導電性粒子の形状は、略球形,平板状,多面体形状,およびロッド状等の各種の形状であってよい。ビヒクルは、典型的には、バインダと分散媒とを含み、採用する供給手法に応じて組成および各種の物性が調整される。
【0031】
導電性組成物の供給手法は特に制限されず、例えば、ディスペンサによる供給や、凸版印刷法,カレンダ印刷法,オフセット印刷法,インクジェット印刷法,およびスクリーン印刷法等の各種の印刷法等が挙げられる。導電性組成物の硬化手法は、使用する導電性組成物の物性に応じて、乾燥硬化法、加熱硬化法、焼結法等の手法を適宜採用することができる。
【0032】
ここで、配線パターン30は、少なくとも一部が接着予定部24上に配されており、包装材10を製袋するに際して加熱押圧する際の所定の加熱温度(シート20の厚さや接着層の材質等に応じた温度であって、例えば、約100~150℃)に晒される。そこで、配線パターン30は、この製袋時の加熱押圧処理に対して、形状や導電性等の物性を維持することができる耐熱性を備えているとよい。したがって、配線パターン30は、耐熱性を有する導電性組成物によって形成されるとよい。このような耐熱性を有する導電性組成物としては、これに限定されるものではないが、例えば、東洋インキ株式会社製のスクリーンインキ、RAFS059,RAFS007,RAFS076,RAFS090,RAFS110S等が挙げられる。
【0033】
本例の包装材10には、配線パターン30の他に、シート20の表面に開封順マーク25と、マーキング26と、が設けられている。これに限定されるものではないが、開封順マーク25およびマーキング26は、例えば、配線パターン30を形成するための導電性組成物と同一または同様の組成物によって、配線パターン30と同時に形成されるものであってよい。
【0034】
開封順マーク25は、複数の収容予定部22a,22b,…22nのそれぞれについて、製袋後の収容部42の開封の順番を示すものであり、数や順列を表す記号であってよい。開封順マーク25としては、例えば、アラビア数字,ローマ数字,漢数字,ひらがな,アルファベット,漢字等が好適例として挙げられる。本例の包装材10には、開封順マーク25として、アラビア数字が付されている。この開封順マーク25は、例えば、最も第2方向の側にある収容予定部22nから最も第1方向の側にある収容予定部22aに向けて昇順に付番される。これにより、ユーザに対し、分包袋40の複数の収容部42を正しい順番に開封するよう促すことができる。
【0035】
マーキング26は、包装材10や分包袋40に対して他の機器等により何らかの処理を施すときの基準となる位置を示す目印である。マーキング26の形態および形状等は、シート状の所定の位置を規定できるものであれば特に制限されず、分包機や開封検出器50等の、使用する機器等によって読み取り可能な各種の目印とすることができる。マーキング26は、例えば、赤外線レーザ等により読み取り可能な十字マーク等であってよい。マーキング26は、例えば、配線パターン30の一部または全部を利用して構成されていてもよい。包装材10にこのようなマーキング26が備えられていることで、例えば、包装材10を製袋する際に、接着予定部24からのズレを抑制してシート20を接着することができる。シート20に対してマーキング26を配線パターン30と同時に付与することは、マーキング26と配線パターン30との相対位置を厳密に管理することを可能とし、マーキング26を基準として配線パターン30が接着予定部24上に配されるようにシート20を接着する際に極めて有用である。また、包装材10にこのようなマーキング26が備えられていることで、分包袋40を10を開封検出器50に取り付ける際に、後述する接続端子部51と、第1端子T1および複数の第2端子T2のそれぞれと、をより確実に接触させることができる。
【0036】
このような構成の包装材10は、例えば、折線L1において表面を外側(中裏)にした二つ折り状態で公知の分包機(図示せず)に供される。分包機は、長手方向が進行方向に沿うように包装材10を搬送しながら製袋する。具体的には、分包機は、まず、二つ折りにされた包装材10を開き、次いで、対向するシート20を閉じるのと合わせて、シート20の接着予定部24を加熱押圧して収容部42を溶着する。ここで分包機は、開いたシート20を閉じるのに合わせて、対向するシート20の間に所定の薬Medを供給する。これにより、各収容部42に、一度の服用時に服用する複数の薬Medが収容されて密封される。その後、分包機は、各収容部42の間の接着部分において、ミシン刃によって幅方向に沿って切り込みを入れることで切取線C1を設ける。これにより、複数の薬Medが一包化された分包袋40が用意される。
【0037】
開封検出器50は、包装材10を用いて製袋した分包袋40の開封を検出するための装置である。開封検出器50は、例えば
図5に示すように、接続端子部51と、制御部52と、操作部53と、報知部54と、電池収容部55と、を備えている。
【0038】
接続端子部51は、分包袋40における第1端子T1および複数の第2端子T2との接続端子である。接続端子部51は、開封検出器50の所定の取り付け部に分包袋40の第1方向の端部を取付けたとき、分包袋40の配線パターン30に対し、第1端子T1と、複数の第2端子T2のそれぞれと、に対して電気的に接続可能な構成を有している。
【0039】
制御部52は、分包袋40の各収容部42についての開封検出を行う。より具体的には、制御部52は、各種情報等を送受信するインターフェイス(I/F)と、制御プログラムの命令を実行する中央演算処理装置(central processing unit:CPU)と、CPUが実行するプログラムを格納したROM(read only memory)と、プログラムを展開するワーキングエリアとして使用されるRAM(random access memory)と、各種の情報を記憶する記憶部Mと、計時機能を有するタイマT等とを有するマイクロコンピュータによって構成されている。これに限定されるものではないが、ROMには、例えば、開封検出器50による各種処理に用いられるコンピュータプログラム、データベース、テーブル等が格納される。また記憶部Mには、例えば、ユーザまたは開封検出器50のID情報、服薬時間に関する情報、開封検出器50による各種処理に用いられる情報、開封検知の結果に関する情報等が格納される。
【0040】
操作部53は、ユーザが開封検出器50に対して駆動に関する指示を送るための要素である。本例の操作部53は、複数のプッシュボタンにより構成されており、いずれかのプッシュボタンを押すことによって、当該プッシュボタンに対してあらかじめ定められた指示を制御部52に送ることができるようになっている。例えば、この操作部53のいずれか1つのプッシュボタンを操作することで、制御部52に対し、分包袋40の開封検知の実行指示を送る構成となっている。
【0041】
報知部54は、ユーザに対して開封検出器50の駆動に関する何らかの情報を報知する要素である。本例の報知部54は、ブザーにより構成されており、1つ以上の報知パターンによって注意音を発信できる構成を備えている。報知部54は、例えばユーザが予め設定した薬の服用時間となったときに、所定の報知パターンによって服用時間を知らせる注意音を発信できるようになっている。また、報知部54は、例えばユーザが開封検出器50に分包袋40を取り付けたとき、取付位置が適切でない場合に、所定の報知パターンによって取付エラーを知らせる注意音を発信できるようになっている。また、報知部54は、例えば開封検出器50が分包袋40の開封検知を終えたとき、所定の報知パターンによって検知終了を知らせる注意音を発信できるようになっている。
【0042】
電池収容部55は、開封検出器50を駆動させるための駆動用電源である電池を収容する要素であり、制御部52や報知部54等に電気的に接続されて、電力を供給できるようになっている。
【0043】
この包装材10を用いて作製した分包袋40は、例えば
図6に示すような服薬指導システムに利用することができる。具体的には、開封検出器50に分包袋40が取り付けられたとき、例えば制御部52は、接続端子部51に接続された一方の端子(例えば、第1端子T1)に信号を出力し、当該信号を他方の端子(例えば、第2端子T2)に接続された接続端子部51において検知することで、第1端子T1と各第2端子T2との間の導通状態を検知できる構成となっている。
図6において、ユーザP1が所有する分包袋40は、n個の収容部42のいずれも開封されておらず、第1端子T1と第2端子T2nとの間は導通されている。すると、ユーザP1が所有する開封検出器50の制御部52は、第1端子T1と各第2端子T2との間の導通状態を検知し、時刻情報とともに記憶部Mに記憶することができる。これに対し、ユーザP2が所有する分包袋40については、2回の服薬後であって、収容部42が2つ切取られている。第1方向の端部からn個目の収容部42nが開封されると、収容部42nの周縁において、収容部42nを取り囲む第1配線31と第2配線32nの少なくとも一部がシート20とともに破断される。その結果、第1端子T1と第2端子T2nとの間の導通が遮断される。より具体的には、第1端子T1と第2端子T21~T24との間は導通しているが、第1端子T1と第2端子T25,T26との間は導通が遮断される。ユーザP2が所有する開封検出器50の制御部52は、第1端子T1と各第2端子T2との間のこの遮断状態を検知し、時刻情報とともに記憶部Mに記憶することができる。
【0044】
開封検出器50によって取得された開封検知結果に関する情報は、例えば、有線および無線の少なくとも一方を通じて、服薬指導システムの管理サーバ60に送ることができるようになっている。これにより、ユーザP1,P2は、自身の服薬記録を基に、適切な服薬指導を受けることができる。
【0045】
以上の包装材10は、薬Med(収容物)を収容する収容部42を構成するための収容予定部21,22が設けられるシート20と、シート20上に設けられた配線パターン30と、を備えている。配線パターン30は、長手方向(一の方向)に沿う第1方向(一方)に配線パターン30の末端が配置されるとともに、収容予定部22について、収容部42を構成したときに、第1方向を除く他の三方において収容部42の周縁に沿って配されるように備えられている。
【0046】
上記構成によると、配線パターン30は、すべての収容部42について、その収容部42を三方において取り囲むように配されている。各々の収容部を取り囲む配線の両末端は、いずれもシート20の第1方向の端部に配されており、開封検出器50によって容易に接続できるようになっており、その物理変化を検出することができる。この場合、この包装材10を用いて製袋した分包袋40について、いずれかの収容部42から薬Medを取り出すためにシート20を破断すると、例えば、破断部が収容部42を幅方向に横切る場合(
図1の線C2参照)はもちろんのこと、破断部が、収容部42の幅方向の一方から他方に向かう途中で止まる場合や、収容部42を幅方向の一方から第2方向の端部に向けて斜めに横切る場合(
図1の線C3参照)等においても、シート20とともに配線パターン30が破断される。これにより、配線パターン30の破断に伴う物理的変化(例えば、収容部42を取り囲む配線パターン30の導電性の変化)に基づいて、収容部42におけるシート20の破断(換言すれば、分包袋40の開封)を検知することができる。
【0047】
以上の包装材10において、シート20は、透明ないしは半透明であって、収容予定部21,22の周囲に接着予定部24が設けられている。また、配線パターン30は、収容予定部22の上記三方(第2,第3,第4方向)の周縁であって、接着予定部24に配されている。このような構成によると、収容予定部21,22および収容部42も透明ないしは半透明であって、配線パターン30は収容予定部21,22および収容部42に重ならない位置に配される。これにより、この包装材10を用いて製袋した分包袋40について、収容部42に収容された薬Medが配線パターン30によって遮られる事態を抑制し、外部から薬Medを視認しやすい構成が実現される。このことは、複数の薬Medを一つの収容部42に収容する一包化がされた分包袋40において、特に有用な構成となり得る。
【0048】
以上の包装材10において、分包袋40は帯状をなし、収容部42が長手方向(一の方向)に沿って複数備えられているとともに、シート20は帯状をなし、収容予定部21,22が長手方向に沿って複数備えられている。また、配線パターン30は、長手方向に沿う第1方向(一方)に配線パターン30の末端が配置されるとともに、複数の収容予定部21,22のそれぞれについて、三方(第2,第3,第4方向)において収容部42の周縁に沿うように配されており、かつ、収容部42を構成したときに、収容部42に対して第3方向(長手方向に交わる幅方向の一方)において長手方向に沿って配される第1配線31と、第4方向(幅方向の他方)において長手方向に沿って配される第2配線32と、を含む。そして、第1配線31(第1配線31と第2配線32との少なくとも一方)は、複数の収容部42の周縁に沿うように共通して設けられた共通配線とされている。このような構成によると、第1配線31は、複数が並列に配された第2配線32a,32b,…32nと異なり、その設置に要する面積が小さくて済む。したがって、配線パターン30を接着予定部24上に設ける場合に、シート20に占める接着予定部24の割合を少なく抑えることができる。その結果、シート20に占める収容予定部21,22(すなわち、分包袋40に占める収容部42)の割合を大きくすることができ、収容性および内容物の視認性に優れたものとすることができる。
【0049】
以上の包装材10を用いて製袋した分包袋40について、隣り合う収容部42の間には、切断線を破線状に形成してなる切取線C1が幅方向に沿って付与されるようになっている。このとき、包装材10については、配線パターン30における最も細い部分の線幅は、切取線C1における破線状の切断線の長さよりも大きい。このような構成によると、この包装材10を用いて製袋した分包袋40に切取線C1を設けるとき、配線パターン30が切取線C1によって破断されることを防止することができる。これにより、例えば、分包袋40から一つの収容部42nを切り離すときに、切取線C1に沿って隣り合う収容部42の間において両者を容易に切り離すことができ、誤って他の収容部42(n-1)を開封することが抑制される。
【0050】
以上の包装材10において、複数の収容予定部21,22の周囲には接着予定部24が設けられている。またシート20は、幅方向の中央において長手方向に沿って折線L1が設けられるとともに、この折線L1によって幅方向の一方の側の第1領域A1と他方の側の第2領域A2とに区画されている。そしてシート20は、この折線L1に沿って二つ折りにされた状態で、第1領域A1における接着予定部24と、第2領域A2における接着予定部24とを互いに接着することで、収容部42が形成される構成を備えている。このような構成によると、一枚のシート20から分包袋40を構成することができるために簡便である。
【0051】
≪実施形態2≫
実施形態2に係る包装材110について、
図7を参照して説明する。実施形態2では、包装材110に設けられる収容予定部122の形状が、実施形態1における収容予定部21と収容予定部22とを幅方向で連続させた形となっている。また、包装材110の装着用領域28には、折線L1について線対称となるように、丸孔126が2つ設けられている。それ以外の構成については、実施形態1と同様であってよく、同様の構成、作用および効果についての説明は省略する。
【0052】
具体的には、包装材110において、収容予定部122は幅方向に長い略方形状をなしている。したがって、幅方向の中央に、長手方向に沿って延びる接着予定部は設けられていない。そして、折線L1と第1配線131とは、収容予定部122を横切るように設けられている。収容予定部122は、折線L1について線対称となるように形成されている。収容予定部122は、収容部の約2倍の大きさとなっている。
【0053】
以上の包装材110において、複数の収容予定部122の周囲には接着予定部124が設けられている。またシート120は、幅方向の中央において長手方向に沿って折線L1が設けられるとともに、この折線L1によって幅方向の一方の側の第1領域A1と他方の側の第2領域A2とに区画されている。そしてシート120は、この折線L1に沿って二つ折りにされた状態で、第1領域A1における接着予定部124と、第2領域A2における接着予定部124とを互いに接着することで、収容部42が形成される構成を備えている。このとき、2つの丸孔126は重なって一つの丸孔となり、例えば開封検出器50に設けられた円柱状の突起が嵌入できるようになっている。
【0054】
このような構成によると、シート120は二つ折りにされた状態で、収容予定部1222の周縁のうち、折線L1とは異なる側の三方において接着されることで、収容部42を密閉することができる。これにより、シート120の接着工程を簡素化できるとともに、接着予定部124の面積を減らすことができる。延いては、分包袋40を製袋するための包装材10のコストを低減することができる。さらに、装着用領域28に丸孔126が設けられていることで、開封検出器50に取付ける際の位置合わせが容易となり、開封検出器50の接続端子部51と、包装材110の第1端子T1および第2端子T2と、を確実に接続することができる。
【0055】
≪実施形態3≫
実施形態3に係る包装材210について、
図8を参照して説明する。実施形態3では、包装材210に設けられる配線パターン230の配線形状が、実施形態1および2と異なっている。それ以外の構成については、実施形態1や実施形態2と同様であってよく、同様の構成、作用および効果についての説明は省略する。
【0056】
具体的には、包装材210においては、第1配線231が設けられた位置と、第2配線232が設けられた位置と、が実施形態2の場合と幅方向において逆になるように、配線パターン230が構成されている。このような構成によると、複数の第2配線232が接着予定部224上に設けられる頻度を減らすことができる。これにより、この包装材210によって分包袋40を製袋する際に、配線パターン230の熱影響を抑制することができる。
【0057】
≪実施形態4≫
実施形態4に係る包装材310について、
図9を参照して説明する。実施形態4では、包装材310に設けられる配線パターン330の配線形状が、実施形態1~3と異なっている。それ以外の構成については、実施形態1~3と同様であってよく、同様の構成、作用および効果についての説明は省略する。
【0058】
具体的には、実施形態1~3では、第1配線31,131,231および第2配線32,132,232が、折線L1に対してシート20,120,220の同じ側に配されていた。これに対し、実施形態4の包装材310では、複数の第2配線332および第3配線333を、折線L1に対してシート20の幅方向の一方(第3方向)の側(つまりA1領域)と他方(第4方向)の側(つまりA2領域)とに分けて配している。例えば、隣り合う収容予定部322について設けられる第2配線332および第3配線333は、折線L1に対して配される位置が互いに逆になっている。このような構成とすることにより、複数の第2配線332を接着予定部324上に設ける場合に、シート320の幅方向の両端における接着予定部324の幅方向の寸法を小さく抑えることができる。または、各第2配線332の線幅を広くしたり、隣り合う第2配線332の間隙を拡大したりできる。
【0059】
≪実施形態5≫
実施形態5に係る包装材410について、
図10を参照して説明する。実施形態5では、包装材410の寸法と、分包袋40を形成するために他の包装材510を要する点において、実施形態1~4と異なっている。それ以外の構成については、実施形態1~4のいずれかと同様であってよく、同様の構成、作用および効果についての説明は省略する。
【0060】
具体的には、例えば実施形態1では、シート20を二つ折りにして分包袋40を構成するために、シート20の幅方向の寸法が、収容予定部21(すなわち、分包袋40および収容部42)の幅方向の寸法の凡そ2倍とされていた。これに対し、実施形態5の包装材410では、実施形態1のシート20をその折線L1で切断した形態となっている。そして分包袋40の製袋に際しては、この包装材410と、配線パターン430が設けられていないシート520(シート420と同一であってよい)とが、収容予定部421,521の四方に配される接着予定部424,524において接着されることで、収容部42が形成される。このような構成によると、別の包装材510については、配線パターン430を設ける必要がないため、例えば従来の帯状の分包紙をそのまま用いることができる。これにより、分包袋40を製袋するための包装材10のコストを低減することができる。
【0061】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0062】
(1)上記実施形態では、シートには複数の収容予定部が備えられており、シートは帯状をなしていた。しかしながら、シートには収容予定部が一つだけ設けられていてもよく、帯状でなくてもよい。またこの場合、シートは一の方向よりも、一の方向に直交する幅方向の方が大きい幅広の形状などであってもよい。
(2)上記実施形態では、基材として、グラシンやセロファン等の繊維を含む薄膜体(紙であり得る。)を用いていた。しかしながら、基材は繊維を含むものに限定されず、例えば、合成樹脂シート等であってもよい。このとき、基材としての合成樹脂シートは、製袋およびシーリング(密閉)の際の加熱温度に対する耐熱性を有するものであるとよい。
(3)上記実施形態では、配線パターン30をシート20の表面(基材の表面)に配していたが、配線パターン30は、製袋したときに一の収容部の周縁に配される配線パターンによって開封が検出できる構成である限り、シート20の裏面(積層された熱可塑性樹脂の表面)に配されていてもよい。
(4)上記実施形態1および5では、配線パターン30,430が全て接着予定部24,424の上に設けられていたが、実際の製袋において、配線パターン30,430の一部が接着部から外れることは許容される。また、本技術の目的を損なわない範囲において、配線パターン30,430は、その一部が接着予定部24,424から外れた位置に設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0063】
10,110,210,310,410…包装材、20,120,220,320,420…シート、21,21a,21b…21n,22,22a,22b…22n,122,222…収容予定部、24、124,224,324,424…接着予定部、30,130,230,330,430…配線パターン、31,131,231,331,431…第1配線、32,132,232,332,432…第2配線、33,133,233,333,433…第3配線、40…分包袋、42,42a,42b…42n…収容部、50…開封検出器、C1…切取線、C2…切込み(切断線)、L1…折線、L2…切取予定線、L3…長さ(切込み長さ)、L4…長さ、Med…薬(収容物)