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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165244
(43)【公開日】2022-10-31
(54)【発明の名称】固定具
(51)【国際特許分類】
   F16B 7/04 20060101AFI20221024BHJP
   F16B 2/12 20060101ALI20221024BHJP
   E04B 1/58 20060101ALI20221024BHJP
【FI】
F16B7/04 301H
F16B2/12 B
E04B1/58 507Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021070520
(22)【出願日】2021-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】521168106
【氏名又は名称】株式会社ウチダ製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100165663
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 光宏
(72)【発明者】
【氏名】森 光賢
【テーマコード(参考)】
2E125
3J022
3J039
【Fターム(参考)】
2E125AA04
2E125AA14
2E125AB01
2E125AB05
2E125AB12
2E125AC15
2E125AG20
2E125BB13
2E125BB22
2E125BB24
2E125BB25
2E125BB32
2E125BD01
2E125BD02
2E125BE04
2E125BE05
2E125BE08
2E125BF01
2E125CA53
2E125CA72
2E125CA91
3J022DA11
3J022DA15
3J022EA38
3J022EB13
3J022EB14
3J022EC12
3J022EC23
3J022ED22
3J022FB07
3J022FB12
3J022GA06
3J022GA13
3J022GB32
3J039AA06
3J039BB02
3J039CA01
3J039CA15
(57)【要約】
【課題】 フランジ部を有する部材に対して、棒状部材を容易に固定する方法を提供する。
【解決手段】 固定具1は底面の両側端に側壁10、30が上に行くほど間隔が狭くなるように若干、傾けた状態で形成された形状をなしている。側壁10、30は、凹部を備えたコの字形状となっている。固定具1の連結ボルト50を取り外した上で、矢印Cのように棒状部材に取付けた後、凹部を梁のフランジにはめこみ、締結用ボルト40を締め付ける。また、側壁の張出部11、31が矢印S方向に広がらないよう連結用ボルト50を取り付ける。
こうすることによって、締結用ボルト40の押圧力により、張出部11、31との間で棒状部材およびフランジを挟み込む状態となり、棒状部材を梁に対して任意の位置に固定することができる。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フランジ部を有する部材に対して、棒状部材を固定するための固定具であって、
底面と、該底面から上方に延び、前記棒状部材を側壁から挟むための2つの側壁とを有する本体部と、
締め付け方向に回転させたとき、前記側壁の間を上方に進むように前記底面に取り付けられた締結用ボルトとを備え、
前記それぞれ側壁は、
前記フランジ部にはまる凹部を有する概略コの字形状またはU字形状をなしており、
前記凹部の下側には、前記棒状部材を側壁から支持する支持面を有しており、
前記2つの側壁の上部は、前記棒状部材の幅以上の間隔があいている固定具。
【請求項2】
請求項1記載の固定具であって、
2つの前記側壁は、前記底面と連結する部分における間隔よりも、該側壁の上端の間隔の方が狭くなる状態で備えられている固定具。
【請求項3】
請求項1または2記載の固定具であって、
前記側壁は、前記凹部よりも上方のいずれかの箇所に、2つの前記側壁の間隔が広がらないよう該側壁同士を連結するための連結機構を有する固定具。
【請求項4】
請求項3記載の固定具であって、
前記連結機構は、前記側壁同士をボルトで締結するためのボルト孔であり、
該ボルト孔は、前記凹部の上方を回避した箇所に設けられている固定具。
【請求項5】
請求項3記載の固定具であって、
前記連結機構は、前記側壁同士をボルトで締結するためのボルト孔であり、
一方の側壁に設けられたボルト孔は円形をなし、他方の側壁に設けられたボルト孔は上下方向の長楕円形状をなしている固定具。
【請求項6】
請求項1~5いずれか記載の固定具であって、
前記凹部の上辺は、鋸の歯状の形状をなしている固定具。
【請求項7】
請求項1~6いずれか記載の固定具であって、
前記底面には、前記締結用ボルトの取付孔とは異なるボルト孔を備えている固定具。
【請求項8】
請求項1~7いずれか記載の固定具であって、
前記本体部は、金属の板材の曲げ加工によって形成されている固定具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フランジ部を有する部材に対して、棒状部材を固定するための固定具に関する。
【背景技術】
【0002】
建築用の梁部材としては、断面H字形状のH型鋼や断面C字形状のC型鋼などが用いられる。いずれも水平に梁として用いた場合、そのフランジは、下面側には平らな面をなすことになる。従来、梁に照明器具その他の種々の部材を吊り下げる場合、このフランジにクランプを取り付け、このクランプにボルトを用いてこれらの部材を吊り下げることが行われてきた。こうすることにより、クランプの取り付け位置に応じて、任意の箇所に、任意の数の部材を吊り下げることが可能であった。
また、梁同士を直交して接合する場合には、特許文献1に開示されているように、両者を接合用の部材を介して接合する方法が用いられていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-105825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のように接合用の部材を用いる方法は、予め設計に基づき梁に必要なボルト孔を設けて接合する場合には適しているかも知れないが、建築後に、任意の場所に改めて梁のような細長い部材を取付ける場合には適用することができなかった。
一方、クランプを用いた従来の吊り具は、証明器具などの部材を吊り下げるには適しているが、梁のような細長い部材を固定するための用途に用いることはできなかった。
かかる課題は、梁同士の接合に限らず、梁への細長い棒状部材の固定、柱への棒状部材の固定など細長い部材同士の固定において共通の課題であった。本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、細長い部材同士を任意の位置で固定可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、
フランジ部を有する部材に対して、棒状部材を固定するための固定具であって、
底面と、該底面から上方に延び、前記棒状部材を側壁から挟むための2つの側壁とを有する本体部と、
締め付け方向に回転させたとき、前記側壁の間を上方に進むように前記底面に取り付けられた締結用ボルトとを備え、
前記それぞれ側壁は、
前記フランジ部にはまる凹部を有する概略コの字形状またはU字形状をなしており、
前記凹部の下側には、前記棒状部材を側壁から支持する支持面を有しており、
前記2つの側壁の上部は、前記棒状部材の幅以上の間隔があいている固定具とすることができる。
【0006】
本発明の固定具によれば、側壁の間に棒状部材を挟んだ状態で、その凹部をフランジ部にはめるようにして取付け、締結用ボルトを締め付けることにより、棒状部材をフランジ部と締結用ボルトとで挟み込むようにして固定することができる。固定具は、フランジ部のいずれの箇所に取り付けることが可能であるから、棒状部材は任意の箇所に固定可能となる。
本発明の固定具を、水平方向に固定された梁のフランジに取り付ければ、棒状部材を梁に直交させて保持することができる。フランジが水平面をなしている場合は、棒状部材も水平に保持されることになるし、フランジが垂直面をなしている場合は、棒状部材も垂直面内で保持されることになる。このように水平方向に固定された梁に取り付ける場合、梁の軸に直交する種々の面内でフランジの面に応じた方向に、棒状部材を保持することが可能である。
また、固定具は、水平の梁に取り付けるだけでなく、垂直に固定された柱など種々の部材に取り付け可能である。梁に取り付ける場合と同様、柱に取り付ける場合も、柱に直交する種々の面内でフランジの面に応じた方向に棒状部材を保持することが可能である。
【0007】
本発明の固定具において、2つの側壁の上部で、棒状部材の幅以上の間隔があいていることの意義は次の通りである。仮に、上端が閉じた状態になっている場合には、固定具を棒状部材に装着するためには、棒状部材のいずれかの端から貫通させる必要がある。これに対し、本発明のように上部の間隔があいていると、棒状部材の側方から固定具を容易に取り付けることが可能となる利点がある。
【0008】
本発明において、凹部の形状は任意に決めることができる。概略コの字形状またはU字形状であるから、厳密に3辺を直線で構成する必要はなく、フランジにはめこみ可能な形状であればよい。
また、凹部の下側には、棒状部材を側壁から支持する支持面を有しているが、この支持面の形状、大きさも任意に決めることができる。支持面が小さい場合には、固定具を小型化できる反面、棒状部材の偏りが生じやすくなる。支持面の大きさは、これらの要素を考慮して決めればよい。
本発明が固定する棒状部材の形状も任意に決めることができる。断面矩形、円形、H字形状、C字形状など種々の形状の棒状部材を用いることができる。
【0009】
本発明の固定具において、
2つの前記側壁は、前記底面と連結する部分における間隔よりも、該側壁の上端の間隔の方が狭くなる状態で備えられているものとしてもよい。
【0010】
このように側壁の間隔を上下方向で変化させることにより、種々の幅の棒状部材に対して側壁で保持しやすくなる利点がある。
【0011】
本発明の固定具において、
前記側壁は、前記凹部よりも上方のいずれかの箇所に、2つの前記側壁の間隔が広がらないよう該側壁同士を連結するための連結機構を有するものとしてもよい。
【0012】
梁のフランジなどに固定具を取り付けた場合、大きな荷重がかかったとき、側壁の間隔が広がるように変形し、棒状部材を固定する力が弱くなってしまうおそれがある。上記態様では、連結機構を有するため、側壁の間隔が広がることを抑制でき、棒状部材を安定して固定することが可能となる。
連結機構は、例えば、側壁同士をボルトで締結するためのボルト孔としてもよい。また、両側壁をまたぐように取り付けるコの字状の金具、フックなどとしてもよい。
また連結機構によって、側壁の間隔を締め付けることができれば、棒状部材と側壁との間隔を狭めることが可能となり、棒状部材を安定して固定することが可能となる。
【0013】
連結機構を有する場合、
前記連結機構は、前記側壁同士をボルトで締結するためのボルト孔であり、
該ボルト孔は、前記凹部の上方を回避した箇所に設けられているものとしてもよい。
【0014】
側壁には凹部が形成されているため、この上方は比較的強度が弱いことがある。上記態様では、かかる部位を回避し、凹部の付け根付近にボルト孔を形成するため、側壁の強度の低下を抑制することができる。もっとも、連結機構は、上記態様における部位に限られるものではなく、本来、任意の場所に設けることができる。また、連結機構は、一つに限られるものではなく、複数設けてもよい。
【0015】
連結機構を有する場合、
前記連結機構は、前記側壁同士をボルトで締結するためのボルト孔であり、
一方の側壁に設けられたボルト孔は円形をなし、他方の側壁に設けられたボルト孔は上下方向の長楕円形状をなしているものとしてもよい。
【0016】
こうすることにより、双方の側壁の形状やボルト孔の位置に若干の相違がある場合でも支障なくボルトを取り付けることが可能となる。
【0017】
連結機構の有無にかかわらず本発明の固定具においては、
前記凹部の上辺は、鋸の歯状の形状をなしているものとしてもよい。
【0018】
こうすることにより、固定具を取り付けるフランジに対する上辺の滑りを抑制することができ、固定具を強固に取り付けることが可能となる。
上記態様においては、さらに、凹部の下辺を鋸の歯状としてもよい。こうすることによって、下辺がフランジに接触する態様での取付時には、滑りを抑制し、強固な取り付けが可能となる。
【0019】
また本発明の固定具においては、
前記底面には、前記締結用ボルトの取付孔とは異なるボルト孔を備えているものとしてもよい。
【0020】
こうすることにより、底面のボルト孔を利用して、種々の部材を直接または間接に吊り下げることができる。即ち、本発明の固定具を、棒状部材の固定とともに、部材の吊り下げに兼用することが可能となる。
【0021】
本発明の固定具においては、
前記本体部は、金属の板材の曲げ加工によって形成されているものとしてもよい。
【0022】
本体部は、底面と側壁とを溶接などによって形成してもよいが、上述のように曲げ加工によって形成することにより、容易に形成することが可能となる。底面および側壁は、鋼、ステンレス、アルミニウムなど種々の材料を用いることができる。
この他、本体部は、樹脂の射出成形などによって形成してもよい。棒状部材を固定するための荷重が比較的小さい場合には、樹脂でも十分に固定可能である。
【0023】
本発明は、上述した種々の特徴を必ずしも全て備えている必要はなく、その一部を適宜、省略したり、組み合わせたりして構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】実施例としての固定具の斜視図である。
図2】実施例としての固定具の三面図である。
図3】実施例としての固定具を取り付けた状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、実施例としての細長い棒状部材を固定するための固定具の斜視図である。固定具1は、側壁10、30および底面20を備える本体、締結用ボルト40、および連結ボルト50を有している。
本体は、金属の板材の曲げ加工によって形成されている。本実施例では、鋼を用いたが、ステンレス、アルミニウムなどを用いてもよい。また、比較的小さい荷重範囲で使用する場合には、樹脂を利用してもよい。
さらに、本実施例では、本体は一体成形されているが、底面、側壁をそれぞれ別の部材で形成し、それらを溶接、接着などの方法で連結して構成してもよい。
【0026】
側壁10、30は、図示する通り凹部を有する概略コの字形状をなしている。凹部の下側の支持面13、33は、後述する通り、棒状部材が偏らないよう側壁から支持する機能を奏する。凹部の上側の張出部11、31は、固定具を梁などに取り付ける際に、そのフランジに押しつけられ、その摩擦力で固定具を保持する機能を奏する。張出部11、31と支持面13、33の間は、連結面12、32となる。
【0027】
締結用ボルト40は、底面20に設けられたボルト孔に取り付けられている。締結用ボルト40は、締め付ける方向に回転させると、その先端が図中の上方向に進むように取り付けられている。
連結ボルト50は、張出部11、31に設けられたボルト孔に取り付けられている。図1の例では、張出部11、31の先端付近に取り付けられているが、連結面12、32の上方、張出部11、31の付け根部分に取り付けても良い。
【0028】
側壁10、30の上方は、矢印Aに示すように、間隔があいている。こうすることにより、棒状部材に固定具1を取り付けるときに、棒状部材の端から固定具1を通す必要なくその側方から容易にはめ込むことが可能となる。
【0029】
図2は、実施例としての固定具の三面図である。図2(a)は平面図、図2(b)は正面図、図2(c)は側壁図を示している。
図2(a)の平面図に示す通り、底面20には、ボルト孔21、22が設けられている。ボルト孔21は、締結用ボルト40を取り付けるための孔である。締結用ボルト40を締結方向に回転させると、締結用ボルト40の上面41(図2(b)参照)が図中の上方に進み、固定対象となる棒状部材に押圧力をかけ、張出部11、31との間で、固定具1を取り付ける梁などのフランジ及び棒状部材を挟み込むことができる。従って、締結用ボルト40のボルト孔21は、張出部11、31に対向する位置に設けることが好ましい。
【0030】
ボルト孔22は、締結用ボルト40以外に、任意のボルトまたはフックをはめ込むためのねじ溝を形成した孔である。ボルト孔22に、ボルトまたはフックを取り付けることにより、固定具1に対して棒状部材以外に任意の部材を取り付けることが可能となる。例えば、水平に設置された梁に固定具1を取り付けたとき、ボルト孔22を利用して、任意の部材を吊り下げることが可能となる。このように、本実施例の固定具1は、棒状部材の固定と任意の部材の吊り下げとを兼用することができる。
【0031】
なお、ボルト孔22は、一つに限る必要はなく、複数設けてもよい。この場合、寸法の異なるボルト孔としてもよい。また、ボルト孔を設けない構造としてもよい。
【0032】
図2(b)の正面図に示すように、側壁10、底面20、側壁30は、U字形状をなしている。ただし、側壁10、30は平行に形成されているのではなく、上方に向かうほど間隔が狭くなるようテーパして設定されている。即ち、底面に近い側の間隔dbよりも上方の間隔dtが狭くなるように形成されている。即ち、領域Bに示すように、側壁10は、底面20の垂直上方Lから角度aだけ傾いた方向を向いているのである。側壁30も同様である。
【0033】
本実施例では、側壁10、30および底面20は金属の曲げ加工により一体成形されているから、角度aよりも大きい角度まで側壁10、30を曲げることにより、スプリングバックで角度が戻ったときに角度aとなるように加工することができる。
【0034】
上述のように、側壁10、30をテーパさせて形成することにより、種々の幅の棒状部材を支持することが可能となる。側壁10、30の傾き角度aの大きさ、または間隔db、dtの寸法は任意に決めることができる。
側壁10、30をテーパさせる構成に代えて、側壁10、30の間隔を調整可能な機構を設けても良い。
【0035】
図2(c)の側面図に示すように、側壁30は、張出部31、連結面32、支持面33を備え、概略コの字形状をなしている。張出部31、連結面32、支持面33に囲まれた凹部が、固定具1を取り付ける梁などのフランジにはまり込むことになる。
張出部31の下面34は図示する通り鋸の歯状に形成されている。こうすることにより、張出部31がフランジに押しつけられた時、その摩擦力を向上させることができ、固定具1を強固に固定することができる。張出部11、31の下面34は、フランジに接触しやすい形とすることが好ましい。上述のように鋸の歯状となっている場合には、その先端が直線状に配置していることが好ましい。また、鋸の歯状に代えて直線状としてもよい。
【0036】
支持面33の上面35も図示する通り鋸の歯状に形成してもよい。こうすることにより、支持面33も上面35がフランジに押しつけられる状態で固定具1が使用されるときに、その摩擦力を向上させ、固定具1を強固に固定することができる。鋸の歯状に代えて直線状としてもよい。
【0037】
実施例では、下面34、上面35とをつなぐ側辺37は直線状としており、こうすることにより側壁30は概略コの字形状をなしている。こうすることにより、固定具1を取り付ける際、凹部を奥まではめ込むと、側辺37とフランジとが当たることで固定具1の姿勢を安定させることができる。ただし、側辺37を曲線状とし、側壁30を概略U字形状としても良い。側辺37は、そのほか、種々の形状とすることができる。
【0038】
張出部31には、連結ボルト50を取り付けるためのボルト孔が設けられている。ボルト孔は、張出部31の付け根と先端の双方に形成されているが、いずれか一方でも
良い。付け根部分のボルト孔36は上下方向に長い長楕円形状となっている。対向する側壁10に形成されたボルト孔16は円形である。こうすることにより、側壁10、30の形状やボルト孔の位置のずれなどがあっても、連結ボルトを取り付けることが可能となる。張出部31の先端に形成されたボルト孔も同様である。
【0039】
図3は、実施例としての固定具を取り付けた状態を示す説明図である。水平に設置されたH型鋼のフランジに固定する場合を例示した。
まず、固定具1の連結ボルト50を一旦、取り外す。こうすることで、側壁10、30の上方が開いた状態となるため、棒状部材に対して固定具1を矢印Cのように、棒状部材の端から貫通させるのではなく側方からはめ込むことができ、容易に取付可能となる。
【0040】
その後、連結ボルト50を取り付ける。こうすることで、荷重がかかった場合でも、張出部11、31が、矢印Sのように両側に開くことを回避でき、固定具1を安定してフランジに固定することが可能となる。連結ボルト50を、張出部11、31の付け根側のボルト孔に取り付けても良い。
また、連結ボルト50を締め付けることにより、側壁10、30を棒状部材に押しつけること、または側壁10、30と棒状部材との間隔を狭めることができ、矢印yのように棒状部材の偏りが生じることを抑制することができる。
【0041】
そして、H型鋼のフランジに、側壁10、30の凹部をはめ込み、締結用ボルト40を締め付ける。こうすると、締結用ボルト40の上面が棒状部材の下面に押しつけられ、棒状部材の上面と張出部11、31とでフランジを挟み込む状態となって、固定具1および棒状部材を固定することができる。
【0042】
このように本実施例の固定具1を用いることにより、棒状部材を、梁などのフランジに直交した状態で容易に固定することができる。固定具1は、フランジの任意の場所に取付可能であるから、予め梁などに取り付け用のボルト孔などを設ける必要なく、棒状部材を任意の位置に固定することが可能となる。
【0043】
図3では、棒状部材に対して固定具1を一つだけ用いた例を示しているが、例えば、図3中のH型鋼のもう片方のフランジを利用して固定具を取り付けることにより棒状部材を2つの固定具で固定することができ、一層、偏りなく、強固に固定することが可能となる。棒状部材が十分に長い場合には、他のH型鋼に固定具を取り付けるようにしてもよい。
【0044】
実施例では、水平に設置された梁に取り付ける例を示したが、図3のH型鋼を立てた状態から容易に想像できる通り、実施例の固定具1は柱などに取り付けることも可能である。
また、H型鋼に限らず、C字鋼その他フランジを有する種々の部材に取付可能である。
【0045】
また、図2で説明した通り、固定具1の底面には締結用ボルト40を取り付ける孔以外のボルト孔22が形成されている。従って、このボルト孔22を利用して、取り付けた固定具1の下面に任意のボルト、フックを装着して、任意の部材を吊り下げるようにしてもよい。
【0046】
以上、本発明の実施例を説明した。実施例で説明した種々の特徴は、必ずしも全てを備えている必要はなく、適宜、その一部を省略したり組み合わせたりしてもよい。
また、本発明は実施例に限らず、種々の変形例を構成可能である。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、フランジ部を有する部材に対して、棒状部材を固定するために利用することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 固定具
10、30 側壁
11、31 張出部
12、32 連結面
13、33 支持面
16 ボルト孔
20 底面
21、22 ボルト孔
30 側壁
31 張出部
32 連結面
33 支持面
34 下面
35 上面
36 ボルト孔
37 側辺
40 締結用ボルト
41 上面
50 連結ボルト


図1
図2
図3