(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165247
(43)【公開日】2022-10-31
(54)【発明の名称】プレススルーパッケージ
(51)【国際特許分類】
B65D 75/36 20060101AFI20221024BHJP
B65D 83/04 20060101ALI20221024BHJP
【FI】
B65D75/36
B65D83/04 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021070525
(22)【出願日】2021-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】000231626
【氏名又は名称】株式会社UACJ製箔
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村中 勇樹
(72)【発明者】
【氏名】芳賀 洋平
(72)【発明者】
【氏名】西尾 宏
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067AA13
3E067AA22
3E067AB82
3E067AC04
3E067BA34A
3E067BB11A
3E067BB12A
3E067BB12C
3E067BB14A
3E067BB25A
3E067BC04A
3E067BC05A
3E067EA36
3E067EB01
3E067EB29
3E067EB40
3E067EC08
3E067FA01
3E067FB04
3E067FC01
(57)【要約】
【課題】開封時に補強層を剥離し易い構造を備えた蓋材を有するプレススルーパッケージの提供。
【解決手段】本発明のプレススルーパッケージ1は、表面22a及び裏面22bを含むシート状の本体部22、及び表面22aよりも外側へ膨出しつつ裏面22b側に開口し被収容物Tを収容する容器状の収容部21を有する樹脂容器2と、収容部21を裏面22b側から覆いつつ本体部22と重なるように樹脂容器2に接着されるシート状の蓋材3とを備える。蓋材3は、被収容物Tがプレススルー可能な金属箔からなる基材層6、及び基材層6と樹脂容器2との間に配され本体部22に接着される熱封緘性接着層7を含む残存蓋部と4、残存蓋部4を補強する補強層10、及び補強層10と基材層6との間に配され基材層6に剥離可能な状態で接着される離型層8を含む剥離蓋部5とを有する。樹脂容器2は、本体部22の表面22a側に形成されるスリット部23を有し、補強層10は、樹脂フィルムからなる樹脂補強層10A1を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面及び裏面を含むシート状の本体部、及び前記表面よりも外側へ膨出しつつ前記裏面側に開口し被収容物を収容する容器状の収容部を有する樹脂容器と、前記収容部を前記裏面側から覆いつつ前記本体部と重なるように前記樹脂容器に接着されるシート状の蓋材とを備え、
前記蓋材は、前記被収容物がプレススルー可能な金属箔からなる基材層、及び前記基材層と前記樹脂容器との間に配され前記本体部に接着される熱封緘性接着層を含む残存蓋部と、前記残存蓋部を補強する補強層、及び前記補強層と前記基材層との間に配され前記基材層に剥離可能な状態で接着される離型層を含む剥離蓋部とを有するプレススルーパッケージであって、
前記樹脂容器は、前記本体部の前記表面側に形成されるスリット部を有し、
前記補強層は、樹脂からなる樹脂補強層を含むプレススルーパッケージ。
【請求項2】
前記補強層は、金属箔からなり、前記樹脂補強層よりも前記残存蓋部から遠ざかる位置に配される金属補強層を含む請求項1に記載のプレススルーパッケージ。
【請求項3】
前記スリット部は、前記本体部の前記表面側において、前記収容部と前記本体部の端部との間に配置され、
前記スリット部から前記本体部の前記端部までの部分からなり、前記スリット部から切り離し可能な切り離し部と、前記蓋材のうち、前記切り離し部と厚み方向で重なる部分からなる重なり部とからなる掴み代を備える請求項1又は請求項2に記載のプレススルーパッケージ。
【請求項4】
前記蓋材のうち、少なくとも剥離蓋部を厚み方向に切断する切り込み部からなる停止部を有し、
前記停止部は、平面視した際に、前記本体部と重なり、かつ前記スリット部との間に前記収容部が配されるように設けられる請求項1~請求項3の何れか一項に記載のプレススルーパッケージ。
【請求項5】
前記蓋材は、前記離型層と前記基材層との間又は前記離型層と前記樹脂補強層との間の少なくとも一方に配され、前記剥離蓋部を前記残存蓋部から剥離した場合に視認可能な剥離後露出印刷層を備える請求項1~請求項4の何れか一項に記載のプレススルーパッケージ。
【請求項6】
前記残存蓋部は、前記基材層と前記樹脂容器との間に配され、前記樹脂容器側から視認可能な第1印刷層を有し、
前記剥離蓋部は、前記補強層における前記離型層とは反対側の面側に配され、前記樹脂容器側とは反対側から視認可能な第2印刷層を有する請求項1~請求項5の何れか一項に記載のプレススルーパッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレススルーパッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
錠剤、カプセル剤等の医薬品等の包装容器として、プレススルーパッケージ(以下、PTPと称する場合がある)が使用されている。PTPは、医薬品等の被収容物が収容される収容部を有するシート状の樹脂容器と、収容部に設けられた開口部を覆う形で樹脂容器に貼り付けられた蓋材とを備えている。このようなPTPは、収容部に収容された被収容物が、収容部越しに力が加えられて蓋材側へ押し込まれ、収容部の開口部を覆う部分の蓋材を押し破ること(プレススルー)により開封される。また、近年、子供が容易に開封できないチャイルドレジスタンス(CR)機能を備えたPTPが提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、容器用シートと、その容器用シートに積層されたシート状の蓋材(蓋材シート)とを備えるPTP(PTP包装体)が開示されている。このPTPでは、蓋材として、プレススルー可能な基材(アルミ箔)と、その基材に剥離可能な状態で積層される補強層(カバーフィルム、保護層)とを備えるものが利用されている。基材に補強層が積層された状態では、補強層による補強効果により、蓋材が押し破られることが抑制される。なお、開封時に、容器用シートに収容された被収容物を取り出す場合は、補強層を基材側から剥離し、容器用シート側に残った基材が押し破られる。
【0004】
なお、上記PTPでは、補強層を剥離し易くするために、蓋材の端部に「つかみしろ」が設けられている。具体的には、蓋材の端部にある基材(アルミ箔)と、それと重なる部分の補強層(カバーフィルム)との間に、接着処理がなされていない非接着処理領域が形成されており、その部分の補強層が、剥離する際に「つかみしろ」として掴み易くなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
PTPの蓋材として、基材と補強層とが全体的に接着されているものが要求される場合がある。このような蓋材は、子供が誤って補強層を基材側から剥離するのを防止する効果は高いものの、蓋材の端部に非接着処理領域がないため、使用者が開封時に補強層を基材側から剥離し難い場合があった。
【0007】
本発明は、開封時に、補強層を含む剥離蓋部を、残存蓋部側から剥離し易い構造を備えた蓋材を有するプレススルーパッケージを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。即ち、
<1> 表面及び裏面を含むシート状の本体部、及び前記表面よりも外側へ膨出しつつ前記裏面側に開口し被収容物を収容する容器状の収容部を有する樹脂容器と、前記収容部を前記裏面側から覆いつつ前記本体部と重なるように前記樹脂容器に接着されるシート状の蓋材とを備え、前記蓋材は、前記被収容物がプレススルー可能な金属箔からなる基材層、及び前記基材層と前記樹脂容器との間に配され前記本体部に接着される熱封緘性接着層を含む残存蓋部と、前記残存蓋部を補強する補強層、及び前記補強層と前記基材層との間に配され前記基材層に剥離可能な状態で接着される離型層を含む剥離蓋部とを有するプレススルーパッケージであって、前記樹脂容器は、前記本体部の前記表面側に形成されるスリット部を有し、前記補強層は、樹脂フィルムからなる樹脂補強層を含むプレススルーパッケージ。
【0009】
<2> 前記補強層は、金属箔からなり、前記樹脂補強層よりも前記残存蓋部から遠ざかる位置に配される金属補強層を含む前記<1>に記載のプレススルーパッケージ。
【0010】
<3> 前記スリット部は、前記本体部の前記表面側において、前記収容部と前記本体部の端部との間に配置され、前記スリット部から前記本体部の前記端部までの部分からなり、前記スリット部から切り離し可能な切り離し部と、前記蓋材のうち、前記切り離し部と厚み方向で重なる部分からなる重なり部とからなる掴み代を備える前記<1>又は<2>に記載のプレススルーパッケージ。
【0011】
<4> 前記蓋材のうち、少なくとも剥離蓋部を厚み方向に切断する切り込み部からなる停止部を有し、前記停止部は、平面視した際に、前記本体部と重なり、かつ前記スリット部との間に前記収容部が配されるように設けられる前記<1>~<3>の何れか1つに記載のプレススルーパッケージ。
【0012】
<5> 前記蓋材は、前記離型層と前記基材層との間又は前記離型層と前記樹脂補強層との間の少なくとも一方に配され、前記剥離蓋部を前記残存蓋部から剥離した場合に視認可能な剥離後露出印刷層を備える前記<1>~<4>の何れか1つに記載のプレススルーパッケージ。
【0013】
<6> 前記残存蓋部は、前記基材層と前記樹脂容器との間に配され、前記樹脂容器側から視認可能な第1印刷層を有し、前記剥離蓋部は、前記補強層における前記離型層とは反対側の面側に配され、前記樹脂容器側とは反対側から視認可能な第2印刷層を有する前記<1>~<5>の何れか1つに記載のプレススルーパッケージ。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、開封時に、補強層を含む剥離蓋部を、残存蓋部側から剥離し易い構造を備えた蓋材を有するプレススルーパッケージを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施形態1のプレススルーパッケージの構成を模式的に表した断面図
【
図2】実施形態1のプレススルーパッケージの開封動作を模式的に表した断面図
【
図3】比較例1のプレススルーパッケージの構成を模式的に表した断面図
【
図4】比較例2のプレススルーパッケージの構成を模式的に表した断面図
【
図5】他の実施形態に係るプレススルーパッケージの構成を模式的に表した断面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
<実施形態1>
本発明の実施形態1のプレススルーパッケージ(PTP)1を、
図1及び
図2を参照しつつ説明する。なお、
図1及び
図2に示されるPTP1において、上側(樹脂容器2側)を表面側とし、下側(蓋材3側)を裏面側とする。
図1は、実施形態1に係るPTP1の構成を模式的に表した断面図である。PTP1は、被収容物T(錠剤、カプセル剤等の医薬品)を収容するチャイルドレジスタンス機能を備えた包装容器である。PTP1は、樹脂容器2と、蓋材3とを備えている。
【0017】
樹脂容器2は、PTP用の公知の樹脂容器であり、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリプロピレン、非晶性ポリエチレンテレフタレート等の透明な熱可塑性樹脂からなる。樹脂容器2は、具体的には、表面22a及び裏面22bを含むシート状の本体部22と、表面22aよりも外側(上側)へ膨出しつつ裏面22b側に開口し、被収容物Tを収容する容器状の収容部21と、スリット部23と備えている。収容部21は、通常、樹脂容器2に複数個設けられている。
図1には、説明の便宜上、1つの収容部21が示されている。
【0018】
収容部21は、内側に被収容部Tを収容するための空間Sを有する下側(裏面22b側)に開口した容器状(凹部状)をなしている収容部21は、本体部22との境界部分に開口部21Aを備えている。また、収容部21は、平面視した際に、被収容部Tの形状に倣った形をなしている。樹脂容器2は、例えば、厚みが60μm以上400μm以下程度の熱可塑性樹脂製のシート材が所定形状に加工されたものからなる。
【0019】
蓋材3は、収容部21を裏面22b側から覆いつつ本体部22と重なるように樹脂容器2に接着されるシート状の部材である。
図1に示されるように、収容部21に設けられた開口部21Aは、樹脂容器2に接着された蓋材3によって覆われた形となっている。このような蓋材3は、樹脂容器2に接着される残存蓋部4と、残存蓋部4に対して剥離可能な状態で接着される剥離蓋部5とを備えている。本実施形態の場合、蓋材3は、樹脂容器2における本体部22の裏面22bに対して、全面的に接着されている。
【0020】
残存蓋部4は、被収容物Tがプレススルー可能な金属箔からなる基材層6と、その基材層6と樹脂容器2との間に配され本体部22の裏面22bに接着される熱封緘性接着層7とを備えている。なお、本実施形態の場合、基材層6と、熱封緘性接着層7との間には、樹脂容器2側(表面側)から視認可能な第1印刷層11が形成されている。
【0021】
基材層6は、プレススルー可能な薄手の金属箔からなる。PTP1の開封時に、剥離蓋部5が剥離された状態で、収容部21越しに被収容物Tに力が加えられて、被収容物Tが残存蓋部4側へ押し込まれること、残存蓋部4の基材層6が被収容物Tによって押し破られる。
【0022】
なお、後述するように、PTP1の開封時に、樹脂容器2の本体部22を、スリット部23で折り曲げて分断した際に、スリット部23と厚み方向で重なった部分の残存蓋部6(基材層6)も分断される。
【0023】
基材層6に使用される金属箔としては、PTP1の開封時に、スリット部23と共に分断可能であり、かつ剥離蓋部5が剥離された後、押し破ることが可能である等の観点より、アルミニウム箔が好ましい。
【0024】
基材層6の厚みは、本発明の目的を損なわない限り特に制限はないが、好ましくは、9μm以上24μm以下であり、より好ましくは、12μm以上21μm以下であり、さらに好ましくは、15μm以上19μm以下である。
【0025】
熱封緘性接着層7は、蓋材3を樹脂容器2の本体部22に接着して、樹脂容器2の収容部21に収容された被収容物Tを封緘するためのものであり、PTP用の公知の熱接着剤からなる。熱封緘性接着層7としては、例えば、ポリエステル系接着剤、ポリプロピレン系接着剤、塩化ビニル系接着剤、塩化ビニル-酢酸ビニル系共重合体系接着剤(塩酢ビ系接着剤)等の熱接着剤が層状に形成されたものからなる。
【0026】
本実施形態の場合、熱封緘性接着層7は、第1印刷層11の視認性を妨げない程度の厚みに設定されている。そのため、使用者が基材層6の表面に配された第1印刷層11を、樹脂容器2越しに視認することができる。
【0027】
第1印刷層11は、被収容物Tの情報やその他情報を表示する文字等が印刷されたものからなり、公知の有色の印刷インキを用いて公知の印刷方法により設けられる。このような第1印刷層11は、金属箔からなる基材層6の表面上に形成される。第1印刷層11は、例えば、カーボンブラック、フタロシニアンブルー、フタロシニアングリーン、キナクリドン系、アゾ系、チタニア等の着色剤(顔料)をバインダー樹脂に含有させた印刷インキをグラビア印刷法等により形成される。
【0028】
なお、他の実施形態においては、蓋材に第1印刷層を形成しなくてもよく、その場合、熱封緘性接着層7を、基材層6の表面側に直接、積層してもよい。
【0029】
剥離蓋部5は、残存蓋部4の裏面側に積層されており、基材層6が容易に破れないように基材層6を補強する機能(CR機能)を備えている。剥離蓋部5において最も表面側に配された離型層8は、残存蓋部4の基材層6に対し、幼児等の子供が容易に剥がせない程度の力で互いに全面的に密着している。そのため、子供(幼児)が誤って、残存蓋部4の基材層6等を押し破り、収容部21内の被収容物Tを取り出してしまうことが抑制される。
【0030】
本実施形態の剥離蓋部5は、基材層6等の残存蓋部5を補強する補強層10と、補強層10と基材層6との間に配され基材層6に剥離可能な状態で接着される離型層8とを備えている。更に、本実施形態の剥離蓋部5は、第2印刷層12と、保護層(オーバープリント層)13とを備えている。
【0031】
本実施形態の補強層10は、樹脂フィルムからなる樹脂補強層10A1と、金属箔からなる金属補強層10A2とを含む複合補強層である。樹脂補強層10A1は、樹脂容器2側に配され、その樹脂補強層10A1の外側(つまり、樹脂補強層10A1よりも残存蓋部5から遠ざかる位置)に、金属補強層10A2が配されている。なお、樹脂補強層10A1は、接着剤層19を介して、金属補強層10A2の表面側に積層されている。接着剤層19は、例えば、ドライラミネート法やウェットラミネート法等の公知の接着方法により形成される。
【0032】
樹脂補強層10A1は、適度な強度や柔軟性等を備えており、PTP1の未開封時に、残存蓋部4の基材層6等を補強する機能を備えると共に、PTP1の開封時に、樹脂容器2の本体部22を、スリット部23で折り曲げて分断した際に、その分断に伴って残存蓋部6側から生じた蓋材5の厚み方向における割れ目の成長を抑止する機能等を備えている。
【0033】
樹脂補強層10A1に使用される樹脂フィルムの素材としては、本発明の目的を損なわない限り、特に制限はないが、例えば、適度な強度や柔軟性を確保し易い等の観点より、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステルフィルムが好ましい。
【0034】
樹脂補強層10A1の厚みは、本発明の目的を損なわない限り特に制限はないが、例えば、10μm以上が好ましく、12μm以上がより好ましく、14μm以上が更に好ましく、40μm以下が好ましく、30μm以下がより好ましく、20μm以下が更に好ましい。
【0035】
金属補強層10A2は、樹脂補強層10A1と共に、残存蓋部4の基材層6等を補強する機能を備えている。また、金属補強層10A2は、PTP1の開封時に、スリット部23の分断に伴って残存蓋部6側から生じた蓋材5の厚み方向における割れ目の成長を樹脂補強層10A1が抑止するのを補強する機能等を備えている。
【0036】
金属補強層10A2に使用される金属箔としては、本発明の目的を損なわない限り特に制限はないが、例えば、アルミニウム箔等が用いられる。
【0037】
金属補強層10A2の厚みは、本発明の目的を損なわない限り特に制限はないが、例えば、10μm以上が好ましく、12μm以上がより好ましく、14μm以上が更に好ましく、40μm以下が好ましく、30μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましい。また、金属補強層10A2の厚みは、必要に応じて、樹脂補強層10A1の厚み以上に設定されてもよい。
【0038】
離型層8は、上述したように、補強層10と基材層6との間に配され、基材層6に剥離可能な状態で接着される。剥離層8の表面側は、基材層6の裏面側に対して剥離可能な状態で全面的に接着される。なお、剥離層8の裏面側は、補強層10(樹脂補強層10A1)の表面側に形成された接着剤層9の表面側に接着される。
【0039】
離型層8としては、例えば、アクリル樹脂、硝化綿、塩酢ビ系樹脂、ポリオレフィン樹脂等からなる群より選ばれる少なくとも1つが利用される。
【0040】
離型層8は、本発明の目的を損なわない限り特に制限はないが、例えば、乾燥後の質量が、0.01g/m2以上3g/m2以下の範囲で形成される。また、離型層8の剥離強度(剥離蓋部5の剥離強度)は、8N/15mm未満であることが好ましく、6N/15mm以下であることがより好ましい。離型層8の剥離強度の値がこのような範囲であると、剥離蓋部5のピール性が確保されつつ、CR性が確保される。なお、離型層8の剥離強度の下限値は、本発明の目的を損なわない限り特に制限はないが、例えば、0.8N/15mm以上であることが好ましい。離型層8の剥離強度(剥離蓋部5の剥離強度)の測定方法は、後述する。
【0041】
接着剤層9は、例えば、ドライラミネート法やウェットラミネート法等の公知の接着方法により形成される。接着剤層9は、例えば、乾燥後の質量が、1g/m2以上6g/m2以下の範囲で形成される。
【0042】
第2印刷層12は、補強層10(金属補強層10A2)の裏面側(外側)に形成されており、その第2印刷層12を外側から覆うように公知の透明な保護層(オーバープリント層)13が形成されている。
【0043】
第2印刷層12は、基本的には、第1印刷層11と同様、被収容物Tの情報やその他情報を表示する文字等が印刷されてなるものであり、公知の有色の印刷インキを用いて公知の印刷方法により設けられる。
【0044】
保護層13に使用される樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ニトロセルロース樹脂、ブチラール樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、アミノ樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリビニルアルコール、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、ポリアミド等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用されてもよい。保護層13は、透明な樹脂からなるため、PTP1の裏面側(樹脂容器2とは反対側)から、保護層13越しに第2印刷層12を視認できる。
【0045】
また、本実施形態のPTP1は、開封時に剥離蓋部5を残存蓋部4側から剥離し易くするための掴み代1Aを備えている。
【0046】
掴み代1Aは、
図1等に示されるように、PTP1の端部に設けられている。具体的には、掴み代1Aは、スリット部23から本体部22の端部22cまでの樹脂容器2の部分からなり、スリット部23から切り離し可能な切り離し部2Aと、蓋材3のうち、切り離し部2Aと厚み方向で重なる部分からなる重なり部3Aとからなる。
【0047】
スリット部23は、PTP1の端部に掴み代1Aを形成するために、樹脂容器2の本体部22の表面22aに形成される溝状の切れ込みである。スリット部23の位置は、使用者が摘まみ易い掴み代1Aの大きさ等を考慮して、適宜設定される。このようなスリット部23は、樹脂容器2における本体部22の表面22a側において、収容部21と本体部22の端部22cとの間に配置されている。
【0048】
スリット部23を、本体部22の所定箇所に形成する方法としては、例えば、トムソン刃、レーザー等を使用した公知の形成方法が挙げられる。
【0049】
スリット部23が設けられた部分の本体部22は、開封前の状態では分断されていない。なお、スリット部23の深さ(溝の深さ)は、スリット部23における本体部22の分断のし易さ等を考慮して、適宜、設定される。
【0050】
なお、本実施形態のPTP1は、その裏面側に、複数の収容部21を、所定の個数毎(例えば、1個ずつ)に区分けるための分割部30を備えている。分割部30は、樹脂容器2の本体部22と重なる位置に設けられる。分割部30は、蓋材3の裏面側(樹脂容器2とは反対側の面側)から樹脂容器2側に向かって切り込まれる形で設けられている。分割部30では、PTP1の蓋材3(剥離蓋部5及び残存蓋部4)が切断され、かつ樹脂容器2を分断できるように本体部22の裏面22b側に小さなスリット状の溝が形成されている。
【0051】
図1に示されるように、被収容物Tを収容する収容部21は、PTP1の面方向(左右方向)において、スリット部23と、分割部30との間に設けられた状態となる。なお、他の実施形態においては、分割部30として、PTT1を貫通する複数の貫通孔が互いに間隔を保ちつつ一列に並ぶように形成されたもの(所謂、ミシン目状の切断線)を利用してもよい。
【0052】
次いで、
図2を参照しつつ、PTP1の開封方法を説明する。
図2は、実施形態1のプレススルーパッケージの開封動作を模式的に表した断面図である。使用者がPTP1を開封する際、先ず、一方の手(例えば、左手)でPTP1の収容部21側を掴みつつ、他方の手(例えば、右手)で掴み代1Aを親指と人差し指等との間で掴む。その後、掴み代1Aを掴んだ状態で、スリット部23を起点としつつPTP1の端部を下方側に折り曲げると、スリット部23が分断されると共に、その分断の勢いで、残存蓋部4の基材層6等も分断されるように、厚み方向に割れ目が発生する。
【0053】
なお、スリット部23が分断されると、樹脂容器2の本体部22から、掴み代1Aの一部を構成する切り離し部2Aが切り離される。また、スリット部23の分断に伴って残存蓋部4が分断されると、その分断された一部は、切り離し部2の裏面側に積層されつつ掴み代1Aの一部を構成した状態となる。
【0054】
本実施形態の場合、上記のようにスリット部23の分断により、蓋材3の表側から裏側に向かって厚み方向に割れ目が発生すると、その割れ目は、離型層8及び接着剤層9までは成長するものの、その下側にある補強層10(樹脂補強層10A1等)までは成長しない。つまり、補強層10(樹脂補強層10A1等)は、厚み方向における上記割れ目の成長を抑止することができ、スリット部23の分断後も、破れずにそのまま残ることになる。
【0055】
そして、上記のように蓋材3の厚み方向に割れ目が形成された後、掴み代1AがPTP1の裏面側に回り込むように、掴み代1Aを引っ張ることで、蓋材3の剥離蓋部5が、残存蓋部4側から剥離される。剥離蓋部5の端部は、掴み代1Aに残った残存蓋部4の一部と共に重なり部3Aを構成する形となる。そのため、掴み代1Aは、剥離蓋部5に繋がった状態となっている。
【0056】
なお、残存蓋部4の基材層6と、剥離蓋部5の離型層8との間の界面における接着力は、その界面の近くに存在する他の界面(例えば、離型層8と接着剤層9との間の界面、接着剤層9と補強層10(樹脂補強層10A1)との界面等)の接着力と比べて小さくなるように設定されている。そのため、スリット部23の分断により蓋材3の割れ目が基材層6と離型層8との界面を超えても、基材層6と離型層8との間の界面における剥離が優先的に生じる。このようにして、剥離蓋部5を、基材層6と離型層8との間の界面で確実に剥離することができる。
【0057】
本実施形態の場合、剥離蓋部5の剥離(基材層6と離型層8との間の剥離)は、分割部30(停止部の一例)に到達すると停止する。このように、本実施形態では、目的とする収容部21を覆う部分の剥離蓋部5のみを、選択的に剥がすことができる。
【0058】
剥離蓋部5が、残存蓋部4から剥離された後は、収容部21内の被収容物Tに対して、表面側から収容部21越しに力が加えられて、被収容物Tが残存蓋部4側へ押し込まれる。そして、その押し込まれた被収容物Tは、収容部21の開口部21Aを覆う部分の残存蓋部4を押し破り、PTP1の収容部21から取り出される。
【0059】
以上のように、本実施形態のPTP1は、開封時に、補強層10を含む剥離蓋部5を、残存蓋部4側から剥離し易い構造を備えた蓋材3を有している。このようなPTP1は、チャイルドレジスタンス(CR)機能を備えつつ、使用者が必要時に、開封し易い構成となっている。
【0060】
また、本実施形態のPTP1は、蓋材3の裏面側の所定箇所に分割部30を備えており、その分割部30によって、剥離蓋部5の剥離される範囲が定められている。そのため、掴み代1Aを利用して剥離蓋部5を剥離すると、その剥離界面(基材層6と離型層8との間の界面)が、収容部21の開口部21Aを超えて、分割部30に到達すると、そこで剥離界面が途切れた形となる。このようにして、スリット部23と分割部30との間の範囲内にある剥離蓋部5を残存蓋部4から選択的に剥離することができる。したがって、本実施形態のPTP1は、目的の被収容物Tのみを安全かつ容易にPTP1から取り出すことができる。しかも、分割部30の外側に他の収容部21がある場合、その収容部21の開口部21Aを覆う剥離蓋部5を不要に剥離することがなくなる。
【0061】
このように本実施形態では、掴み代1Aを利用して剥離される剥離蓋部5の終端を、PTP1を個片毎に分割するための分割部30を利用して決定していたが、他の実施形態においては、例えば、蓋材に専用に設けられた切り込み部(停止部の一例)を利用して、剥離蓋部の終端を決定してもよい。この場合の切り込み部は、蓋材(少なくとも剥離蓋部)を厚み方向に切断するものであり、樹脂容器にスリット状の切れ込み等が形成される必要はない。なお、実施形態1で例示した分割部30も、停止部の一例である。
【0062】
また、本実施形態のPTP1では、第1印刷層11をPTP1の表面側から視認することができると共に、第2印刷層12をPTP1の裏面側か視認することができる。したがって、PTP1の両面側から、第1印刷層11,第2印刷層12を視認することができ、PTP1を安全に使用することができる。
【0063】
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0064】
〔実施例1〕
図1に示されるPTP1と基本的な構造が同じである実施例1のPTPを作製した。実施例1の樹脂容器及び蓋材の各構成は、以下の通りである。
【0065】
<樹脂容器>
ポリ塩化ビニル(PVC)を用いて、樹脂容器2を作製した。
【0066】
<蓋材>
基材層6として、その表面側に第1印刷層11が形成されたアルミニウム箔(株式会社UACJ製箔製、厚み:17μm、1N30-H18)を用意した。その基材層6の表面側に、塩酢ビ系接着剤(商品名「1E」、桜宮化学株式会社製)を、バーコーターを用いて塗工(塗布量:3.7g/m2)し、その塗工物を120℃で10秒間乾燥させて、熱封緘性接着層7を形成した。樹脂補強層10A1として、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)(東洋紡株式会社製、厚み:16μm)を用意した。また、金属補強層10A2として、その裏面に第2印刷層12及び保護層(OPコート)13が形成されたアルミニウム箔(株式会社UACJ製箔製、厚み:17μm、1N30-H18)を用意した。そして、金属補強層10A2の表面に、2液硬化型ドライラミネート用接着剤を使用して、接着剤層19を形成した。具体的には、主剤として、製品名「ディックドライ LX500」(DICグラフィックス株式会社製)10質量部、硬化剤として、製品名「KW75」(DICグラフィックス株式会社製)1質量部を使用し、それらの混合物を、バーコーターを用いて、5.0±0.5g/m2の塗布量で、金属補強層10A2に積層する形で接着剤層19を形成した。そしてその接着剤層19に、樹脂補強層10A1を貼り合わせて、補強層10を得た。
【0067】
上記基材層6の裏面に、製品名「S-01クリアー」(タナカケミカル株式会社製)を、バーコーターを用いて1.3±0.5g/m2の塗布量で塗工し、その塗工物を、180℃で10秒間乾燥させて、離型層8を得た。一方、上記補強層10の樹脂補強層10A1に積層する形で、2液硬化型ドライラミネート用接着剤を使用して、接着剤層9を形成した。接着剤層9は、接着剤層19と同様の方法で形成した。そして、その接着剤層9に、上記離型層8の裏面を貼り合わせた。このようにして、実施例1の蓋材3を作製した。
【0068】
<PTP>
上述した樹脂容器2と蓋材3とを、シール温度が150℃、シール圧が0.2MPa、及びシール時間が1秒の条件で、ヒートシール(熱封緘)することで貼り合わせて、錠剤(被収容物T)を収容した実施例1のPTP1を作製した。なお、トムソン刃を用いてPTP1(樹脂容器2)の表面にスリット部23を形成し、PTP1の裏面に分割部30を形成した。
【0069】
〔比較例1〕
実施例1とは蓋材の構成が異なる比較例1のPTP100(
図3参照)を下記の手順で作製した。なお、樹脂容器2は実施例1の構成と同じものとする。
【0070】
基材層106として、その表面側に第1印刷層111が形成されたポリエステルフィルム(透明樹脂フィルム)(商品名「ティアファイン」、東洋紡株式会社製、厚み14μm)を用意した。その基材層106の表面側に、ポリエステル系接着剤(商品名「B-9」、タナカケミカル株式会社製)を、バーコーターを用いて塗工(塗布量:3.6g/m2)し、その塗工物を120℃で10秒間乾燥させて、熱封緘性接着層107を形成した。補強層110として、その裏面に第2印刷層112及び保護層(OPコート)113が形成されたアルミニウム箔(株式会社UACJ製箔製、厚み:25μm、1N30-H18)を用意した。
【0071】
補強層110の表面に、製品名「MF790PTPOPワニス」(東洋インキ株式会社製)を、バーコーターを用いて1.3±0.5g/m2の塗布量で塗工し、その塗工物を、180℃で10秒間乾燥させて、離型層108を得た。そして、その離型層108に積層する形で、2液硬化型ドライラミネート用接着剤を使用して、接着剤層109を形成した。接着剤層109は、上記実施例1の接着剤層19と同様の方法で形成した。そして、その接着剤層109に、上記基材層106の裏面を貼り合わせた。このようにして、比較例1の蓋材103を作製した。また、実施例1と同様、樹脂容器2と蓋材103とを熱封緘することで貼り合わせて、錠剤(被収容物T)を収容した比較例1のPTP100を作製した。なお、実施例1と同様、PTP100に、スリット部23と分割部30とを形成した。
【0072】
〔比較例2〕
実施例1とは蓋部の構成が異なる比較例2のPTP200(
図4参照)を下記の手順で作製した。なお、樹脂容器2は実施例1の構成と同じものとする。
【0073】
基材層206として、その表面側に第1印刷層211が形成されたアルミニウム箔(株式会社UACJ製箔製、厚み:17μm、1N30-H18)を用意した。その基材層206の表面側に、塩酢ビ系接着剤(商品名「1E」、櫻宮化学株式会社製)を、バーコーターを用いて塗工(塗布量:3.7g/m2)し、その塗工物を120℃で10秒間乾燥させて、熱封緘性接着層207を形成した。補強層210として、その裏面に第2印刷層212及び保護層(OPコート)213が形成されたアルミニウム箔(株式会社UACJ製箔製、厚み:17μm、1N30-H18)を用意した。
【0074】
補強層210の表面に、上記比較例1と同様の方法で離型層208を形成した。そして、その離型層208に積層する形で、2液硬化型ドライラミネート用接着剤を使用して、接着剤層209を形成した。接着剤層209は、上記実施例1の接着剤層19と同様の方法で形成した。そして、その接着剤層209に、上記基材層206の裏面を貼り合わせた。このようにして、比較例2の蓋材203を作製した。また、実施例1等と同様、樹脂容器2と蓋材203とを熱封緘することで貼り合わせて、錠剤(被収容物T)を収容した比較例2のPTP200を作製した。なお、PTP200に、実施例1と同様、スリット部23と分割部30を形成した。
【0075】
実施例1及び各比較例のPTPについて、以下に示される評価を行った。
【0076】
〔ピール性〕
実施例1及び各比較例のPTPについて、スリット部の外側の端部(掴み代)を指先で掴み、剥離蓋部を剥離する剥離性(ピール性)を、以下の基準に従って評価した。結果は、表1に示した。
<基準>
・剥離蓋部を剥離できる ・・・・・ 「〇」
・剥離蓋部を剥離できない ・・・・・ 「×」
【0077】
なお、実施例1では、基材層と離型層との間の界面を境として、剥離蓋部を残存蓋部から剥離することができた。比較例1では、基材層が分断することなく、樹脂容器と基材層との間の界面を境として、蓋材が基材層ごと樹脂容器から剥離した。比較例2では、スリット部から補強層を含む各層が厚み方向に全て分断してしまい、PTPがスリット部を境に2つに分割した。また、比較例2では、収容部の開口部には、残存蓋部と剥離蓋部とが残存した。
【0078】
〔剥離強度〕
実施例1及び各比較例のうち、離型層で剥離することができたPTP(即ち、実施例1におけるPTP)の蓋材から、幅15mmの短冊状の試験片を作製した。そして、試験片について、150mm/minの条件で、180度剥離試験を行い、剥離蓋部の剥離強度(N/15mm)を測定した。結果は、表1に示した。なお、比較例1及び比較例2では、剥離強度の測定は行っていない(「―」として示す)。
【0079】
〔プッシュ性〕
上記ピール性の評価時に使用した各PTPを使用して、被収容物を取り出す際に、蓋材の押し破り易さ(プッシュ性)を、以下の基準に従って評価した。結果は、表1に示した。尚、比較例1では、ピール性の評価時に基材層ごと樹脂容器から剥離してしまい、その段階で被収容物が取り出すことができてしまったため、プッシュ性の評価は行っていない(「―」として示す)。また、比較例2では、ピール性の評価時に剥離蓋部を剥離することができなかったため、剥離蓋部が貼り付けられた状態(収容部の開口部に残存部と剥離蓋部とが残存した状態)で、プッシュ性の評価を行った。
<基準>
・蓋材を押し破って、容易に錠剤を押し出すことができる ・・・・・ 「〇」
・蓋材を押し破る際に固さを感じるが錠剤の押し出しは可能 ・・・・・ 「△」
【0080】
【0081】
表1に示されるように、実施例1のPTPは、ピール性、及びプッシュ性に優れる。このPTPは、CR機能のみならず、所謂、シニアフレンドリー(SF)機能をも備えていることが確かめられた。なお、剥離強度が6N/15mmを超えると、残存蓋部からの剥離蓋部の剥離が固くなり(剥離するための力を比較的要することになり)、ピール性に問題が生じる。
【0082】
比較例1は、基材層として、ポリエステルフィルムを使用した場合である。比較例1では、第1スリット部からの開裂に伴うポリエステルフィルムの引き裂きが難しいことが確かめられた。
【0083】
比較例2は、補強層として、厚み17μmのアルミニウム箔を使用する一方で、実施例1で使用した16μmのPETフィルムを使用しなかった場合である。この場合、第1スリット部からの開裂に伴って補強層まで引き裂かれてしまい、PTPが第1スリット部で分割してしまうことが確かめられた。
【0084】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0085】
(1)上記実施形態のPTPは、本発明の目的を損なわない限り、蓋材に他の公知の層が積層されてもよい。
【0086】
(2)他の実施形態として、
図5に示す構成のPTP300としてもよい。具体的には、蓋材303は、離型層8と基材層6との間に配され、剥離蓋部5を残存蓋部304から剥離した場合に視認可能な印刷層(剥離後露出印刷層)311を備えることとしてもよい。このようなPTP300によると、離型層8に沿って剥離蓋部5を残存蓋部304から剥離することにより、印刷層311に印刷された文字等が現れることとなるので、使用者が当該文字等に注目することができ情報を得やすくなる。なお、上記印刷層311は、基材層6の裏面側において点在するように部分的に形成されているため、印刷層311が形成されていない箇所の基材層6の裏面が、熱封緘性接着層7に対して直に接触した状態となっている。また、このような印刷層は、離型層8と樹脂補強層10A1との間に配されていてもよい。
【符号の説明】
【0087】
1…PTP、1A…掴み代、2…樹脂容器、21…収容部、22…本体部、3…蓋材、4…残存蓋部、5…剥離蓋部、7…熱封緘性接着層、8…離型層、9…接着剤層、10…補強層、10A1…樹脂補強層、10A2…金属補強層、11…第1印刷層、12…第2印刷層、13…保護層