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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165249
(43)【公開日】2022-10-31
(54)【発明の名称】便器装置
(51)【国際特許分類】
   E03D 9/00 20060101AFI20221024BHJP
   E03D 5/10 20060101ALI20221024BHJP
   A47K 13/10 20060101ALI20221024BHJP
【FI】
E03D9/00 Z
E03D5/10
A47K13/10
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021070529
(22)【出願日】2021-04-19
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】501070285
【氏名又は名称】株式会社アクアライン
(74)【代理人】
【識別番号】100185270
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 貴史
(72)【発明者】
【氏名】大垣内 剛
【テーマコード(参考)】
2D037
2D038
2D039
【Fターム(参考)】
2D037AA02
2D037AA13
2D037AB07
2D037AD13
2D038BB01
2D038KA02
2D038KA03
2D038KA08
2D038KA22
2D039AA01
2D039BA07
2D039BA12
2D039BB06
2D039CB01
2D039CB02
2D039EA03
2D039FA04
2D039FA08
2D039FC01
2D039FD02
(57)【要約】
【課題】便器本体に洗浄水を確実に供給可能な便器装置を提供する。
【解決手段】トイレ室に設けられる便器本体と、便器本体に対して作動可能に設けられ、かつ、便器本体に対して開閉可能に設けられる便座カバーと、便器本体に供給する洗浄水を保持する洗浄水保持部と、を有する便器装置であって、利用者がトイレ室に居るか否かを判断する人検出部31と、便座カバーの少なくとも一部に設けられ、かつ、便器本体の外部から便器本体の内部を監視可能とする光透過部と、便座カバーが閉状態である場合に洗浄水が便器本体の内部に供給されているか否かを、便器本体の外部から光透過部を介して検出する状態検出部32と、トイレ室に用者が居ないことが検出され、かつ、便座カバーが閉じられた状態で洗浄水が便器本体の内部に供給されていないことが検出されると、洗浄水保持部の洗浄水を便器本体の内部へ供給させる制御回路36と、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トイレ室に設けられる便器本体と、前記便器本体に対して開閉可能に設けられる便座カバーと、を有する便器装置であって、
前記利用者が前記トイレ室に居るか否かを判断する人検出部と、
前記便座カバーの少なくとも一部に設けられ、かつ、前記便器本体の外部から前記便器本体の内部を監視可能とする光透過部と、
前記便座カバーが閉状態である場合に、前記便器本体の内部へ洗浄水が供給されているか否かを、前記便器本体の外部から前記光透過部を介して検出する状態検出部と、
前記トイレ室に前記利用者が居ないことが検出され、かつ、前記便座カバーが閉状態である場合に、前記便器本体の内部へ前記洗浄水が供給されていないことが検出されると、前記便器本体の内部へ前記洗浄水を供給させる制御回路と、
を有する、便器装置。
【請求項2】
請求項1記載の便器装置において、
前記便座カバーが前記開状態か前記閉状態かを検出する開閉検出部と、
前記トイレ室に前記利用者が居ないことが検出され、かつ、前記前記便座カバーが前記開状態であることが検出されると、前記便座カバーを前記開状態から前記閉状態に切り替える駆動装置と、
を有する、便器装置。
【請求項3】
請求項2記載の便器装置において、
前記便器本体の内部へ前記洗浄水を供給する通路と、
前記制御回路により作動されて前記通路を開閉するバルブと、
前記制御回路は、前記バルブを作動させて前記通路を開くことにより、前記便器本体の内部へ前記洗浄水を供給させる、便器装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項記載の便器装置において、
前記便座カバーの内面に抗菌部が設けられている、便器装置。
【請求項5】
請求項4記載の便器装置において、
前記抗菌部は、前記便座カバーの内面に設けた光触媒のコーティング層である、便器装置。
【請求項6】
請求項3記載の便器装置において、
前記利用者により操作される操作部材と、
前記操作部材が操作に応じて前記通路を開閉する排水弁と、
が更に設けられている、便器装置。
【請求項7】
請求項6記載の便器装置において、
前記バルブと前記排水弁とが、別々に設けられている、便器装置。
【請求項8】
請求項6記載の便器装置において、
前記バルブと前記排水弁とが、共通の統合弁によって構成されており、
前記統合弁は、前記操作部材の操作力及び前記制御回路の制御の何れにおいても前記通路を開くことが可能である、便器装置。
【請求項9】
請求項4または5記載の便器装置において、
前記便座カバーが前記開状態であると前記利用者が着座し、かつ、前記便座カバーが前記閉状態であると前記便器本体と前記便座カバーとの間で停止される便座が設けられ、
前記便座カバーの表面に抗菌部が設けられている、便器装置。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか1項記載の便器装置において、
前記状態検出部は、前記便器本体の真上に設けられている、便器装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、便器本体及び便座カバーを有する便器装置に関する。
【背景技術】
【0002】
便器本体及び便座カバーを有する便器装置の一例が、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載された便器装置は、便器本体と、便器本体の上面に開閉可能に設けられる便座及び便座カバーと、を有する。また、便座及び便座カバーの全部もしくは一部が透明または半透明である。さらに、特許文献1には、便座カバーを閉じた状態においても、上面側から便器本体内を見ることができて、流し忘れとか便器本体の排水路の詰まりを早期に発見して良好に対応することができるものとなる、と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-212027号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明者は、便座カバーの少なくとも一部が半透明または透明であったとしても、利用者が便器の内部を確認することを忘れると、結局は、洗浄水の流し忘れが起きる、という課題を認識した。
【0005】
本開示は、便器本体の内部へ洗浄水を確実に供給可能な便器装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態の便器装置は、トイレ室に設けられる便器本体と、前記便器本体に対して開閉可能に設けられる便座カバーと、を有する便器装置であって、前記利用者が前記トイレ室に居るか否かを判断する人検出部と、前記便座カバーの少なくとも一部に設けられ、かつ、前記便器本体の外部から前記便器本体の内部を監視可能とする光透過部と、前記便座カバーが閉状態である場合に、前記便器本体の内部へ洗浄水が供給されているか否かを、前記便器本体の外部から前記光透過部を介して検出する状態検出部と、前記トイレ室に前記利用者が居ないことが検出され、かつ、前記便座カバーが閉状態である場合に、前記便器本体の内部へ前記洗浄水が供給されていないことが検出されると、前記便器本体の内部へ前記洗浄水を供給させる制御回路と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
一実施形態の便器装置は、便器本体の内部へ洗浄水を確実に供給可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】(A)は、便器装置の便座カバーが開いている状態の側面図、(B)は、便器装置の便座カバーが閉じている状態の側面図である。
図2】(A)は、便座カバー及び便座の平面図、(B)は、図2のII-II線における縦断面図である。
図3】便器装置を制御する自動排水装置の構成を示すブロック図である。
図4】自動排水装置が行う制御例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、便器装置のいくつかの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施形態を説明するための図面において、同一部には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0010】
便器装置10は、トイレ室(トイレ空間)11に設けられる。図1(A)及び図1(B)に示す便器装置10は、便器本体12、便座13、便座カバー14及び洗浄水供給装置15を有する。便器本体12は、琺瑯(ホーロー)製、または合成樹脂製であり、かつ、床16に設置されている。
【0011】
洗浄水供給装置15は、洗浄水保持部(ロータンク)17、蓋18、レバー19、手洗い管20、排水弁21等を有する。洗浄水保持部17は、水道管から供給される水、つまり、洗浄水を貯留するために設けられている。洗浄水保持部17内には、排水弁21の他、ボールタップ、フロート等が設けられている。蓋18は、洗浄水保持部17の開口部を覆っており、ボウルを有する。ボウルは、排水孔を有し、排水孔は洗浄水保持部17の内部につながっている。
【0012】
レバー19は、便器装置10の利用者P1の操作力で作動可能である。排水弁21は、洗浄水保持部17の内部と便器本体12とをつなぐ通路22に設けられている。レバー19が操作されていないと、排水弁21は通路22を閉じている。レバー19が操作されると排水弁21は通路22を開く。レバー19を操作後にレバーに対する操作力を解除すると、排水弁21が通路22を閉じる。ボールタップは、水道水を洗浄水保持部17の内部及び手洗い管20へ分配するために設けられている。フロートは、洗浄水保持部17の内部に設けられ、水位に応じて上昇及び下降可能である。
【0013】
便器本体12は、通路22、排泄物収容部23、排水路24を有する。通路22は排泄物収容部23につながっている。排水弁21が通路22を開くと、洗浄水保持部17の洗浄水が排泄物収容部23へ供給される。排泄物収容部23は、通路22につながっており、排泄物が落下される空間である。排泄物収容部23に洗浄水がたまって水たまりが形成される。排水路24は、排泄物収容部23へつながっており、排泄物、排尿及び洗浄水を、下水管へ導く通路である。排泄物収容部23は、排泄物を一時的、具体的には、排泄物が落下された時点から、排水路24へ排出される時点まで収容する。
【0014】
便座13は、合成樹脂製である。便座13は、支持軸25を中心として支持され、かつ、便器本体12に対して所定角度の範囲内で作動可能、つまり、開閉可能である。便座13は、平面形状が環状であるO形、平面形状がU形の何れでもよい。図2(A)には、便座13がO形であり、便座13が開口部26を有する例が示されている。便座カバー14は、支持軸27を中心として支持され、かつ、便器本体12に対して所定角度の範囲内で作動可能、つまり、開閉可能である。
【0015】
図1(A)のように、便座カバー14が便器本体12から離間し、かつ、便座カバー14が洗浄水保持部17に最も接近した位置で停止した状態が、便座カバー14の開状態である。便座カバー14が開状態であり、かつ、便座13が開かれていると、便座13が便器本体12から離間し、かつ、便座13が便座カバー14に接触した位置で停止可能である。利用者P1は、図1(A)のように、便座13が閉じられ、かつ、便座カバー14が開いている状態で便座13に座り、排便及び排尿の少なくとも一方を行うことが可能である。
【0016】
図1(B)のように、便座13が便器本体12へ接触して停止した位置は、便座13が閉じた状態である。便座13が閉じた状態で、便座カバー14が便座13に接触した状態は、便座カバー14の閉状態である。
【0017】
利用者P1が便器装置10を利用する例は、次の通りである。レバー19に対する操作力が解除されていると、排水弁21が閉じられている。また、洗浄水保持部17内に洗浄水が貯留されている。利用者P1が図1(A)のように便座13に座り、排便及び排尿の少なくとも一方を行うと、排泄物が排泄物収容部23へ落下する。その後、利用者P1がレバー19に操作力を付加すると、排水弁21が開かれる。すると、洗浄水保持部17内の洗浄水は、洗浄水供給経路22を通って排泄物収容部23へ流れ込む。さらに、排泄物収容部23に流れ込んだ水は、排泄物と共に排水路24へ排出される。
【0018】
洗浄水保持部17の洗浄水の水位が低下すると、フロートが下降し、水道水がボールタップを経由して洗浄水保持部17へ供給される。水道水の一部は、ボールタップから手洗い管20へ供給され、手洗い管20から蓋18のボウルへ落下する。利用者P1は水で手を洗い、水は、ボウルの排水孔から洗浄水保持部17の内部へ落下する。
【0019】
洗浄水保持部17内の洗浄水の水位が低下すると、排水弁21が閉じられ、洗浄水保持部17内の水位が上昇する。洗浄水保持部17内の水位の上昇に伴ってフロートが上昇し、洗浄水保持部17の水位が所定位置まで上昇すると、ボールタップは、洗浄水保持部17の内部に対する水道水の供給を停止し、かつ、手洗い管20に対する水道水の供給を停止する。なお、利用者P1が、レバー19を操作する作業は、便座カバー14が開いた状態で行ってもよいし、利用者P1が便座カバー14を手動で閉じた状態で行ってもよい。
【0020】
本実施形態の便器装置10は、図3に示す自動排水装置30を有する。自動排水装置30は、利用者P1が排便及び排泄を行った後に、レバー19の操作を忘れてトイレ室11から退出した場合に、洗浄水保持部17の洗浄水を自動的に排泄物収容部23へ供給する機構である。自動排水装置30は、人検出センサ31、状態検出部32、駆動装置33、制御弁34、開閉検出部37及び制御回路36を有する。
【0021】
人検出センサ31は、トイレ室11に利用者P1が居るか居ないかを検出して信号を出力する。人検出センサ31としては、例えば、赤外線カメラ、熱センサを用いることが可能である。人検出センサ31は、トイレ室11を囲む天井、壁等に設けられる。状態検出部32は、排泄物収容部23における洗浄水の流れの有無、排泄物の有無等を検出して信号を出力する。状態検出部32としては、例えば、光センサ及び赤外線カメラ等を用いることが可能である。光センサは、光を射出する投光部と、反射光を受ける受光部と、信号出力部と、を有する。赤外線カメラは、便器本体12の内部の状況を画像で認識可能である。
【0022】
状態検出部32は、トイレ室11を形成する天井において、便器本体12の真上に設けられる。駆動装置33は、便座カバー14を支持軸27を中心として作動させるアクチュエータである。駆動装置33としては、例えば、電力の供給によって作動する電動モータ、ソレノイド等を用いることが可能である。駆動装置33は、例えば、便器本体12の上部において、洗浄水保持部17と便座13との間に設けられている。図1(A)及び図1(B)のように、便器本体12にカバー43が設けられており、カバー43は、駆動装置33を覆っている。また、カバー43内に、図3に示すファン44が設けられている。ファン44が駆動されると、トイレ室11の空気がカバー43内に吸入され、かつ、カバー43の外部に排出される。カバー43の内部にフィルタ45が設けられている。ファン44によってカバー43内に吸入された空気は、フィルタ45を通過してカバー43の外部に排出される。フィルタ45には、抗菌層が設けられている。抗菌層は、コーティング層(薄膜)である。コーティング層は、抗菌、抗ウィルス、消臭、防汚等を発揮し、環境浄化作用を繰り返す機能を有する。コーティング物質としては、例えば、酸化チタン(二酸化チタン)、酸化タングステンを用いることが可能である。このため、フィルタ45を通過する空気を浄化可能である。
【0023】
制御弁34は、通路22を開閉するために設けられている。制御弁34は、洗浄水保持部17の内部、または便器本体12の何れに設けられていてもよい。制御弁34としては、例えば、ソレノイドバルブを用いることが可能である。ソレノイドバルブは、電力が供給されると通路22を開き、電力が遮断されると通路22を閉じる。
【0024】
洗浄水保持部17の内部と排泄物収容部23とをつなぐ第1通路及び第2通路が並列に設けられていると、第1通路に排水弁21が設けられ、第2通路に制御弁34が設けられる。これに対して、単数の通路22が設けられている場合、排水弁21と制御弁34とを共用化した統合弁40を設ける。この場合、統合弁40は、レバー19を操作した場合の操作力で通路22を開く機能と、電力が供給されると通路22を開く機能とを兼備する。さらに、統合弁40は、フロートが上昇して通路22を閉じる機能と、電力が停止されて通路22を閉じる機能とを兼備する。
【0025】
開閉検出部37は、便座カバー14が開いているか閉じられているかを検出して信号を出力する。開閉検出部37は、便座カバー14に接触する接触形センサ、便座カバー14に接触しない非接触形センサの何れでもよい。非接触形センサとしては、静電容量形センサ、磁気センサ等を用いることが可能である。静電容量形センサを用いる場合、便座カバー14に磁性材を取り付ける。磁気センサを用いる場合、便座カバー14に永久磁石を取り付ける。接触形センサとしては、例えば、変位センサ、圧力センサを用いることが可能である。
【0026】
制御回路36は、入力ポート、出力ポート、記憶部、タイマー、中央演算処理部等を有するマイクロコンピュータである。制御回路36は、人検出センサ31の信号、状態検出部32、開閉検出部37の信号を処理し、駆動装置33に対する電力の供給及び停止を制御し、かつ、制御弁34(統合弁40)に対する電力の供給及び停止を制御する。制御回路36は、便器本体12に設けられている。制御回路36は、例えば、便器本体12の上部に設けられ、かつ、カバー43より覆われている。さらに、制御回路36は、トイレ室11に利用者P1が居るとファン44を駆動させ、トイレ室11に利用者P1が居なければファン44を停止させる。なお、制御回路36は、便器本体12の側方に設けられ、操作カバー、操作ハウジング、操作ケース等によって覆われていてもよい。
【0027】
さらに、本実施形態の便座カバー14の少なくとも一部が、透明または半透明な合成樹脂、具体的には、光透過性樹脂で構成されている。光透過性樹脂としては、例えば、PMMA(アクリル)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PC(ポリカーボネート)等を用いることが可能である。このため、便座カバー14の少なくとも一部は、外面から内面41に向けて光が透過可能であり、内面41から外面に向けて光が透過可能である。したがって、状態検出部32は、便座カバー14の閉状態で、便器本体12の外部から排泄物収容部23の状況を検出可能である。例えば、状態検出部32は、洗浄水が流れているか否か、排泄物が残留しているか否か等を画像により認識することも可能である。
【0028】
<制御例>
次に、制御回路36が行う制御例を、図4のフローチャートを参照して説明する。制御回路36は、ステップS11において、トイレ室11に居た利用者P1が、トイレ室11から居なくなったかを判断する。制御回路36は、ステップS11でYesと判断すると、ステップS12において、便座カバー14が閉状態であるかを判断する。制御回路36は、ステップS12でNoと判断すると、ステップS13に進んで駆動装置33に電力を供給して便座カバー14を閉じさせた後、駆動装置33に対する電力の供給を停止する処理を行う。
【0029】
制御回路36は、便座カバー14が閉じられている状態で、ステップS14において、排泄物収容部23を監視する。便座カバー14は、光透過性樹脂であるため、状態検出部32は、便座カバー14の閉状態で、便器本体12の外部から排泄物収容部23の状況を検出可能である。制御回路36は、ステップS15において、排泄物収容部23へ供給されているかを判断する。制御回路36は、ステップS15でNoと判断すると、ステップS16で制御弁34(統合弁40)を開く処理を行う。すると、洗浄水保持部17の洗浄水は、排泄物収容部23に供給される。
【0030】
このため、洗浄水保持部17の水位が低下し、水道水がボールタップを経由して洗浄水保持部17の内部へ供給される。制御回路36は、ステップS16を行ってから所定時間が経過すると、ステップS17で制御弁34(統合弁40)を閉じる処理を行い、図4の制御例を終了する。制御回路36がステップS17の処理を行うと、排泄物収容部23に対する洗浄水の供給が終了する。また、洗浄水保持部17内の水位が上昇し、水位が所定位置に到達すると、ホールタップは洗浄水保持部17に対する水道水の供給を停止させる。
【0031】
なお、利用者P1がレバー19を操作してからトイレ室11を退出した場合、制御回路36はステップS15でYesと判断し、図4の制御例を終了する。また、制御回路36は、ステップS12でYesと判断すると、ステップS13の処理をスキップしてステップS14に進む。さらに、制御回路36は、ステップS11でNoと判断すると、図4の制御例を終了する。
【0032】
以上のように、制御回路36は、レバー19が操作されずに利用者P1がトイレ室11から退出したことを検出すると、便座カバー14の閉状態で、洗浄水保持部17内の洗浄水を便器本体12の排泄物収容部23へ供給する。したがって、利用者P1がレバー19の操作を忘れてトイレ室11から退出した場合でも、排泄物収容部23の排泄物を確実に排水路24へ排出することができ、便器本体12を衛生的に保持できる。また、制御回路36は、ステップS12でNoと判断するとステップS13で便座カバー14を閉じてからステップS16の制御を行う。このため、洗浄水保持部17内の洗浄水を排泄物収容部23に供給した場合に、飛沫が便器本体12の外部に放散されることを防止でき、トイレ室11を衛生的に保持可能である。
【0033】
<他の具体例>
便座カバー14の具体例を、図2(A)及び図2(B)を参照して説明する。便座カバー14の内面41に抗菌処理が施されて抗菌部42が設けられている。内面41は、便座カバー14が閉じられた場合に、便座13及び便器本体12に近い側の表面である。抗菌部42は、一例として抗菌層である。抗菌層は、便座カバー14の内面41に設けた光触媒のコーティング層(薄膜)である。光触媒は、光を受けることで触媒作用を起こす物質であり、抗菌、抗ウィルス、消臭、防汚等を発揮し、環境浄化作用を繰り返す機能を有する。光触媒活性物質としては、例えば、酸化チタン(二酸化チタン)、酸化タングステンを用いることが可能である。
【0034】
なお、抗菌部42は、状態検出部32が、便座カバー14の光透過部を介して排泄物収容部23の状態を検出することを妨げない領域、範囲、位置に設けられている。例えば、図2(A)に示す便座カバー14の平面視で、状態検出部32は、開口部26の真上に設けられている。これに対して、抗菌部42は、便座13に対応する位置に設けられている。
【0035】
便座カバー14の少なくとも一部は、光透過性樹脂で構成されている。このため、便座カバー14が、図2(A),(B)のように閉じられている状態で、トイレ室11の天井に取り付けられているライトの光が、便座カバー14を透過して抗菌部42を照射する。このため、抗菌部42を構成する光触媒は触媒作用を示し、便座13の表面、排泄物収容部23等を衛生的に保持することが可能である。なお、抗菌部42は、便座カバー14に加え、便座13の表面に設けられていてもよい。
【0036】
<補足説明>
本実施形態で説明された事項の技術的意味の一例は、次の通りである。便器装置10は、便器装置の一例である。排泄物収容部23は、便器本体の内部の一例である。便器本体12は、便器本体の一例である。トイレ室11は、便器本体の外部の一例である。便座カバー14は、便座カバーの一例である。人検出部31は、人検出部の一例である。便座カバー14の少なくとも一部に設けられた光透過部が、光透過部の一例である。
【0037】
状態検出部32は、状態検出部の一例である。制御回路36は、制御回路の一例である。開閉検出部37は、開閉検出部の一例である。駆動装置33は、駆動装置の一例である。通路22は、通路の一例である。制御弁34は、バルブの一例である。抗菌部42は、抗菌部の一例である。内面41は、便座カバーの内面の一例である。レバー19は、操作部材の一例である。排水弁21は、排水弁の一例である。統合弁40は、統合弁の一例である。便座13は、便座の一例である。
【0038】
さらに、洗浄水保持部は、便器本体の外部に設けられているものに限らず、洗浄水保持部と便器本体とが一体化されているものでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本開示の便器装置は、戸建て、マンション、公園、学校、雑居ビル等、あらゆる環境の水洗トイレにおいて利用可能である。
【符号の説明】
【0040】
10…便器装置、12…便器本体、13…便座、14…便座カバー、19…レバー、21…排水弁、22…通路、23…排泄物収容部、31…人検出部、32…状態検出部、33…駆動装置、34…制御弁、36…制御回路、37…開閉検出部、40…統合弁、41…内面、42…抗菌部
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2021-08-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トイレ室に設けられる便器本体と、前記便器本体に対して開閉可能に設けられる便座カバーと、を有する便器装置であって
用者が前記トイレ室に居るか否かを判断する人検出部と、
前記便座カバーの少なくとも一部に設けられ、かつ、前記便器本体の外部から前記便器本体の内部を監視可能とする光透過部と、
前記便座カバーが閉状態である場合に、前記便器本体の内部へ洗浄水が供給されているか否かを、前記便器本体の外部から前記光透過部を介して検出する状態検出部と、
前記トイレ室に前記利用者が居ないことが検出され、かつ、前記便座カバーが閉状態である場合に、前記便器本体の内部へ前記洗浄水が供給されていないことが検出されると、前記便器本体の内部へ前記洗浄水を供給させる制御回路と、
を有する、便器装置。
【請求項2】
請求項1記載の便器装置において、
前記便座カバーが開状態か前記閉状態かを検出する開閉検出部と、
前記トイレ室に前記利用者が居ないことが検出され、かつ、前記便座カバーが前記開状態であることが検出されると、前記便座カバーを前記開状態から前記閉状態に切り替える駆動装置と、
を有する、便器装置。
【請求項3】
請求項2記載の便器装置において、
前記便器本体の内部へ前記洗浄水を供給する通路と、
前記制御回路により作動されて前記通路を開閉するバルブと、
前記制御回路は、前記バルブを作動させて前記通路を開くことにより、前記便器本体の内部へ前記洗浄水を供給させる、便器装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項記載の便器装置において、
前記便座カバーの内面に抗菌部が設けられている、便器装置。
【請求項5】
請求項4記載の便器装置において、
前記抗菌部は、前記便座カバーの内面に設けた光触媒のコーティング層である、便器装置。
【請求項6】
請求項3記載の便器装置において、
前記利用者により操作される操作部材と、
前記操作部材が操作に応じて前記通路を開閉する排水弁と、
が更に設けられている、便器装置。
【請求項7】
請求項6記載の便器装置において、
前記バルブと前記排水弁とが、別々に設けられている、便器装置。
【請求項8】
請求項6記載の便器装置において、
前記バルブと前記排水弁とが、共通の統合弁によって構成されており、
前記統合弁は、前記操作部材の操作力及び前記制御回路の制御の何れにおいても前記通路を開くことが可能である、便器装置。
【請求項9】
請求項4または5記載の便器装置において、
前記便座カバーが前記開状態であると前記利用者が着座し、かつ、前記便座カバーが前記閉状態であると前記便器本体と前記便座カバーとの間で停止される便座が設けられ、
前記便座カバーの表面に抗菌部が設けられている、便器装置。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか1項記載の便器装置において、
前記状態検出部は、前記便器本体の真上に設けられている、便器装置。
【手続補正書】
【提出日】2021-11-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トイレ室に設けられる便器本体と、前記便器本体に対して開閉可能に設けられる便座カバーと、を有する便器装置であって、
利用者が前記トイレ室に居るか否かを判断する人検出部と、
前記便座カバーの少なくとも一部に設けられ、かつ、前記便器本体の外部から前記便器本体の内部を監視可能とする光透過部と、
前記便座カバーが閉状態である場合に、前記便器本体の内部へ洗浄水が供給されているか否かを、前記便器本体の外部から前記光透過部を介して検出する状態検出部と、
前記トイレ室に前記利用者が居ないことが検出され、かつ、前記便座カバーが閉状態である場合に、前記便器本体の内部へ前記洗浄水が供給されていないことが検出されると、前記便器本体の内部へ前記洗浄水を供給させる制御回路と、
を有する、便器装置。
【請求項2】
請求項1記載の便器装置において、
前記便座カバーが開状態か前記閉状態かを検出する開閉検出部と、
前記トイレ室に前記利用者が居ないことが検出され、かつ、前記便座カバーが前記開状態であることが検出されると、前記便座カバーを前記開状態から前記閉状態に切り替える駆動装置と、
を有する、便器装置。
【請求項3】
請求項2記載の便器装置において、
前記便器本体の内部へ前記洗浄水を供給する通路と、
前記制御回路により作動されて前記通路を開閉するバルブと、
前記制御回路は、前記バルブを作動させて前記通路を開くことにより、前記便器本体の内部へ前記洗浄水を供給させる、便器装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項記載の便器装置において、
前記便座カバーの内面に抗菌部が設けられている、便器装置。
【請求項5】
請求項4記載の便器装置において、
前記抗菌部は、前記便座カバーの内面に設けた光触媒のコーティング層である、便器装置。
【請求項6】
請求項3記載の便器装置において、
前記利用者により操作される操作部材と、
前記操作部材が操作に応じて前記通路を開閉する排水弁と、
が更に設けられている、便器装置。
【請求項7】
請求項6記載の便器装置において、
前記バルブと前記排水弁とが、別々に設けられている、便器装置。
【請求項8】
請求項6記載の便器装置において、
前記バルブと前記排水弁とが、共通の統合弁によって構成されており、
前記統合弁は、前記操作部材の操作力及び前記制御回路の制御の何れにおいても前記通路を開くことが可能である、便器装置。
【請求項9】
請求項4または5記載の便器装置において、
前記便座カバーが開状態であると前記利用者が着座し、かつ、前記便座カバーが前記閉状態であると前記便器本体と前記便座カバーとの間で停止される便座が設けられ、
前記便座カバーの表面に抗菌部が設けられている、便器装置。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか1項記載の便器装置において、
前記状態検出部は、前記便器本体の真上に設けられている、便器装置。