(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165280
(43)【公開日】2022-10-31
(54)【発明の名称】多層配線基板
(51)【国際特許分類】
H01L 21/60 20060101AFI20221024BHJP
H05K 3/34 20060101ALI20221024BHJP
【FI】
H01L21/92 602M
H05K3/34 501F
H05K3/34 501D
H05K3/34 502D
H01L21/92 602D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021070579
(22)【出願日】2021-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】林 明宏
【テーマコード(参考)】
5E319
【Fターム(参考)】
5E319AA08
5E319AC02
5E319AC16
5E319AC18
5E319BB04
5E319CC33
5E319GG20
(57)【要約】
【課題】高い接続信頼性を有する多層配線基板を提供する。
【解決手段】第1絶縁樹脂層001の上に形成された導体層と、上記第1絶縁樹脂層及び上記導体層の上に形成され、上記導体層の一部が導体パッド002として露出させる開口部004を有する第2絶縁樹脂層003と、上記導体パッド002上に形成されて上記第2絶縁樹脂層003から突出する導体ポスト006と、上記導体ポスト006上に形成されたはんだ層と、を備える、多層配線基板010であって、上記導体ポスト006のうちの上記開口部004内に位置する根元部分6Aは、根元部分6Aの横断面の面積を円の面積に換算した場合に、当該根元部分6Aの軸方向途中位置から上記導体パッド002に向けて、上記導体パッド002に近づくほど直径が大きくなる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1絶縁樹脂層の上に形成された導体層と、上記第1絶縁樹脂層及び上記導体層の上に形成され、上記導体層の一部が導体パッドとして露出させる開口部を有する第2絶縁樹脂層と、上記導体パッド上に形成されて上記第2絶縁樹脂層から突出する導体ポストと、上記導体ポスト上に形成されたはんだ層と、を備える、多層配線基板であって、
上記導体ポストのうちの上記開口部内に位置する根元部分は、根元部分の横断面の面積を円の面積に換算した場合に、当該根元部分の軸方向途中位置から上記導体パッドに向けて、上記導体パッドに近づくほど直径が大きくなる、外広がりの形状である、
ことを特徴とする多層配線基板。
【請求項2】
上記根元部分は、根元部分の横断面の面積を円の面積に換算した場合に、当該根元部分の軸方向途中位置から上記開口部の上記導体パッドから離れた側の開口端に向けて、上記導体パッドから離れた側の開口端に近づくほど直径が大きくなる、外広がりの形状である、
ことを特徴とする請求項1に記載した多層配線基板。
【請求項3】
上記根元部分外面の軸方向に沿った輪郭形状は、軸方向に向けて連続した曲面形状になっている、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載した多層配線基板。
【請求項4】
上記根元部分は、根元部分の横断面の面積を円の面積に換算した場合に、軸方向における直径が最小位置での当該直径は、軸方向における直径が最大位置の直径の50%以上90%以下であることを特徴とする、
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の多層配線基板。
【請求項5】
上記導体ポストと上記はんだ層の間に表面処理層を有する、
ことを特徴とする請求項1~請求項4のいずれか1項に記載した多層配線基板。
【請求項6】
上記導体ポストと上記第2絶縁樹脂層及び上記導体パッドの間にシード層を含むことを特徴とする請求項1~請求項5のいずれか1項に記載した多層配線基板。
【請求項7】
上記導体パッドは、上記開口部の上記導体パット側の開口端よりも大きい、凹部を有することを特徴とする請求項1~請求項6のいずれか1項に記載した多層配線基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い接続信頼性を有する多層配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子デバイスの高集積化・高機能化に伴い、多層配線基板において配線や接続端子のファインピッチ化対応が求められている。
ファインピッチ化が進むと、多層配線基板への半導体素子の実装において、上記多層配線基板と上記半導体素子間のスタンドオフを確保するために、特許文献1のような導体ポスト(柱状接続端子)を形成した多層配線基板が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載のように、従来にあっては、導体ポストは、接続パッド上の絶縁樹脂(ソルダーレジスト)開口底部にて最も細くなった形状のため、接続パッドと、導体ポストの下端部(導体パッド)との接合部が、上記半導体素子実装後に、最も応力が集中する応力集中部位となる。
そして、この応力集中部分が、接続パッド(導体パッド)と導体ポストの電解銅めっきの境界であり、かつ、その間にはめっきシード層となる無電解銅めっきも存在すことから、不連続となっている。そして、比較的接続信頼性が弱い部分に応力集中することとなることから、接合部でクラック及び破断が発生しやすくなる(
図12の符号X部分参照)。
本発明は、上記のような点に着目してなされたもので、高い接続信頼性を有する多層配線基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
課題解決のために、本発明の一態様は、第1絶縁樹脂層の上に形成された導体層と、上記第1絶縁樹脂層及び上記導体層の上に形成され、上記導体層の一部が導体パッドとして露出させる開口部を有する第2絶縁樹脂層と、上記導体パッド上に形成されて上記第2絶縁樹脂層から突出する導体ポストと、上記導体ポスト上に形成されたはんだ層と、を備える、多層配線基板であって、上記導体ポストのうちの上記開口部内に位置する根元部分は、根元部分の横断面の面積を円の面積に換算した場合に、当該根元部分の軸方向途中位置から上記導体パッドに向けて、上記導体パッドに近づくほど直径が大きくなる、外広がりの形状である、ことを要旨とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の態様によれば、導体ポストにおいて最も応力の大きくなる下部が、導体パッドに向けて外広がりの形状となることで、上記導体パッドと導体ポストとの境界での局所的な応力集中が緩和する。この結果、本発明の態様によれば、導体ポストでのクラックや破断の発生が抑制されて、高い接続信頼性を有する多層配線基板の提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明に基づく実施形態に係る多層配線基板を示す拡大した断面図である。
【
図7】本発明の多層配線基板の製造工程を示す図である。
【
図8】本発明の多層配線基板の製造工程を示す図である。
【
図9】本発明の多層配線基板の製造工程を示す図である。
【
図10】本発明の第2絶縁樹脂露光時の露光光を示す断面拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、本発明に基づく実施形態について図面を参照して説明する。
ここで、図面は模式的なものであり、各部品の厚さと平面寸法との関係、各部品の比率等は現実のものとは異なる。また、以下に示す実施形態は、本開示の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本開示の技術的思想は、構成部品の形状、構造等が下記のものに特定するものでない。本開示の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。また、同一の構成については、同一の符号を付する。
【0009】
(構成)
図1は、実施形態の多層配線基板010の一部が拡大した図であり、導体ポスト006周りの構造を示す断面図である。
本実施形態の多層配線基板010は、コア基板(図示せず)の片面又は両面に対し、予め設定した所定の回路パターンを有する導体層と樹脂絶縁層とを交互に一層以上積層してなるコア付き基板である。又は、本実施形態の多層配線基板010は、コア基板を有さないコアレス基板である。
【0010】
本実施形態の多層配線基板010は、
図1に示すように、一層以上からなる樹脂絶縁層のうち、最外に配置された第1絶縁樹脂層001の上に、所定の回路パターンで導体層002が形成されている。更に、第1絶縁樹脂層001及び導体層002上に、第2絶縁樹脂層003が形成されている。第2絶縁樹脂層003には、導体層の一部を露出させる開口部004を有する。その開口部004によって露出した導体層の一部が導体パッド002を構成する。
【0011】
その導体パッド002に対し、導体ポスト006の下端部が電気的に接続している。導体ポスト006は、導体パッド002から離れる方向に軸を向けて立設する。
ここで、第1絶縁樹脂層001の下層には、他の複数の導体層及び樹脂絶縁層が交互に設けられている場合が多いが、各図では、それが省略されている。また、導体層002には配線及びシールド、グランド、ダミーなど様々なパターンが含まれる場合が多いが、図では省略されている。
【0012】
導体ポスト006の先端面には、はんだ層008が形成されている。
本実施形態では、
図1に示すように、導体ポスト006とはんだ層008の間に、表面処理層007が形成されているが、表面処理層007は形成しなくても良い、表面処理層007を構成する材料は、例えば、スズ、ニッケル、パラジウム、金などの金属であり、有機被膜でも良い。
第1絶縁樹脂層001を構成する材料は、例えば、熱硬化性樹脂又は感光性絶縁樹脂、例えば、エポキシ系樹脂やフェノール系樹脂やポリイミド系の樹脂組成物等である。また、これらにシリカやアルミナ等の無機フィラーを含有させても良い。
【0013】
第2絶縁樹脂層003を構成する材料は、例えばソルダーレジストなどのネガ型の感光性絶縁樹脂、例えば、エポキシ系樹脂やフェノール系樹脂やポリイミド系樹脂とシリカやアルミナ等の無機フィラーを含む樹脂組成物等である。なお、無機フィラーを含まなくても良い。
導体層002及び導体ポスト006を構成する材料は導電性金属、例えば銅又は銅を主成分とする金属である。
導体ポスト006及び開口部004について、更に説明する。
【0014】
<導体ポスト006及び開口部004>
本実施形態では、導体ポスト006及び開口部004の横断面が円形形状の場合を想定して説明する。開口部004の開口は、一般に、円形形状であるが、円形形状でなくても構わない。また、横断面とは、層の厚さ方向(導体ポスト006の軸方向)に直交する方向の断面である。
導体ポスト006は、開口部004内に形成された根元部分6Aと、その根元部分6Aに連続して開口部004から突出した露出部分6Bとを有する。なお、根元部分6Aと露出部とは一体になっている。また、一般に、根元部分6Aの横断面の最小面積に比べて、露出部分6Bの横断面の面積の方が大きい。
根元部分6Aは、その外面の形状が、開口部004の壁面に倣った形状となっている。すなわち、根元部分6Aの外面形状は、開口部004の壁面形状と同じ形状となっている。
図1中、符号005は、シード層である。シード層005は、開口部004の壁面、及びそれに続く、第2絶縁層と導体ポスト006の間に形成されている。
【0015】
<開口部004>
本実施形態の開口部004は、
図2に示すように、開口の横断面の面積を円の面積に換算した場合に、軸方向途中位置(最小径の位置)から導体パッド002(ボトム側)に向けて、導体パッド002に近づくほど直径が大きくなる外広がりの開口形状(壁面形状)となっている。軸方向途中位置は、第2絶縁樹脂層003の厚さの20%以上、導体パッド002側(ボトム側)の開口端から離れた位置が好ましい。
【0016】
また、実施形態の開口部004は、開口の横断面の面積を円の面積に換算した場合に、軸方向途中位置(最小径の位置)から、開口部004の導体パッド002から離れた側(トップ側)の開口端(露出側の開口端)に向けて、導体パッド002から離れた側の開口端に近づくほど直径が大きくなる形状であることが好ましい。軸方向途中位置は、第2絶縁樹脂層003の厚さの20%以上、導体パッド002から離れた側の開口端(トップ側の開口端)から離れた位置が好ましい。
【0017】
特に、
図2に示すように、開口部004の壁面形状は、軸方向に沿った輪郭形状が、軸方向に向けて連続した曲面形状になっていることが好ましい。連続した曲面形状とは、軸方向に沿って、曲率が急峻する箇所(角となる箇所)がない形状であることを指す。ただし、開口部004の壁面形状は、第2絶縁樹脂に含有するフィラー等によって所定の凹凸(粗さ)を有していても良い。
連続的な曲線形状とすることで、応力集中し易い箇所が局所的に形成されることが回避されるため、導体ポスト006が、よりクラック及び破断が発生しにくい形状となる。
【0018】
また、開口部004は、開口の横断面の面積を円の面積に換算した場合に、軸方向における直径が最小位置での当該直径(最小開口径R2)が、軸方向における直径が最大位置の直径(最大開口径R1又はR3)の50%以上90%以下であることが好ましい。径差は、好ましくは60%以上70%以下である。
ここで、50%以上としたのは、最大径と最小径の径差が大きすぎると、最小径部分の直径が小さくなりすぎて、その部分での強度が弱くなるおそれがあるためである。90%以下としたのは、根元部分6Aのボトム側を外広がりとして強度を強くして、座屈を抑える効果が弱くなるためである。
【0019】
ここで、導体ポスト006の根元部分6Aの外面形状は、開口部004の壁面形状に規定され、開口部004と同じ形状となっている。すなわち、開口部004の形状を規定することで、導体ポスト006の根元部分6Aの外面形状が規定される。
本発明者は、後述のように、第2絶縁樹脂層003を構成する樹脂に含有する無機フィラーなどを調整することで、上記開口部形状とすることが可能であるとの知見を得ている。
【0020】
また、
図1及び
図2に示す開口部004の開口形状では、軸方向中央部が最小径となる場合を例示している。この最小径となる位置は、軸方向中央部である必要はない、
図3や
図4に示すように、厚さ方向中央部(軸方向中央部)からボトム側やトップ側にずれた位置であってもよい。
また、
図5のように、開口部004のボトム側だけが開口端側に向けて外広がりとなる形状になっていても良い。すなわち、トップ側が、開口端に向けて外広がりになっていなくても良い。
【0021】
更に、
図6に示すように、導体パッド002に対し、開口部004の導体パット側の開口端よりも大きい凹部011を形成してもよい。平面視で凹部011内に開口部004のボトム側の開口端が完全に入る形状とする。この場合、開口部004の径を大きくすることなく、根元部分6Aのボトム側を、更に導体パッド002に向けて外広がりとなる形状とすることが可能となる。
【0022】
(動作その他)
以上の構成によって、本実施形態の多層配線基板010では、従来応力集中し易かった、導体パッド002と導体ポスト006との境界(
図12の符号X部分に対応する接合部分)の強度が大幅に高くなる。この結果、導体ポスト006が、クラック及び破断が発生しにくくなることで、高い接続信頼性を有する多層配線基板010の提供が可能となる。
また、導体ポスト006の根元部分6Aの軸方向に沿った形状を連続した曲面形状とすることで、根元部分6Aの軸方向途中位置が最小径となっていても、その最小径位置に局所的に応力が集中することが回避される。この結果、さらに、クラック及び破断が発生しにくい高い接続信頼性を有する多層配線基板010の提供が可能となる。
【0023】
(製造方法)
本実施形態の多層配線基板010の製造方法は、例えば、次のa~iの工程を有する。
a:第1絶縁樹脂層001及び導体層002上に第2絶縁樹脂層003を形成する工程
b:開口部004を形成する工程
c:第2絶縁樹脂層003上にめっきシード層005を形成する工程
d:シード層005上にめっき銅による導体ポスト006形成のためのレジストを形成する工程
e:めっき銅により導体ポスト006を形成する工程
f:導体ポスト006上に表面処理層を形成する工程
g:表面処理層上にはんだ層を形成する工程
h:上記レジストを除去する工程
i:導体ポスト006に覆われていないシード層005を除去する工程
【0024】
以下、本実施形態における多層配線基板010の製造方法の例について、
図7~
図9を参照して具体的に説明する。
第1絶縁樹脂層001の上に、所定のパターンで導体層を形成する(
図7(a)参照)。
次に、第1絶縁樹脂層001及び導体層002上に第2絶縁樹脂層003を形成する樹脂を塗布又はラミネートして第2絶縁樹脂層003を形成する。その後に、第2絶縁樹脂層003の一部を露光現像することで、導体層002の一部を導体パッド002として露出させて、第2絶縁樹脂層003に開口部004を形成する(
図7(b)参照)。
【0025】
ここで、発明者は、開口部004を形成する際に、第2絶縁樹脂層003は、無機フィラーを従来よりも多く含有させることや、光開始剤の調整、樹脂の透過率を下げたり散乱強度を上げたりすることで、
図10に示すように、露光光012が、第2絶縁樹脂層003の厚さ方向に、トップ(表面)から内部に向かうほど散乱して広がり、ボトム(底部)に近付くほど届きにくくなるため、トップやボトムの間で厚さに垂直方向の硬化範囲が向上し、現像後にトップやボトム以外の径が最も細くなる(
図2の形状)、との知見を得た。
【0026】
また、露光量の調整やg線、h線、i線、などを複合波長にて露光する場合の波長の比率を変更することで、最も細くなる位置を厚さ方向に調整可能であるとの知見を得た。これは、波長によって第2絶縁樹脂ボトムまでの透過率又は吸収率が異なることによると考えられる。
これらの知見に基づき、上記のように開口部004を形成することで、開口部004は、軸方向途中位置からボトム側に向かうにつれて、開口の直径が広くなる開口部004を形成し、更に、その開口部004に導体ポスト006下端部を形成することで、導体ポスト006の根元部分6Aを外広がりの形状に形成できる。
【0027】
次に、製造工程には図示していないが、第2絶縁樹脂層の開口部004から露出している導体パッド002を、エッチングして第2絶縁樹脂層の開口部004のボトム開口径R1よりも大きい凹部011を形成しても良い(
図6参照)。この場合、導体パッド002と導体ポスト006の境界が開口部004のボトム開口径R1よりも外側になるため、信頼性の低い上記境界部分に応力集中するリスクが更に低減される。また、導体ポスト006の底部が第2絶縁樹脂層の開口部004の下に潜り込む形状となるため、アンカー効果により信頼性が向上する。
【0028】
次に、導体パッド002の表面及び第2絶縁樹脂層の開口部004の側面及び第2絶縁樹脂層003の表面にめっきシード層005を形成する(
図7(c)参照)。めっきシード層005の形成は、無電解めっきやスパッタリングにより形成する。スパッタリングにて形成する場合は、開口部004のボトム付近壁面にも形成されるように、基板を傾斜させ回転させながら処理することが好ましい。
次に、シード層005上にめっきレジスト009を塗布又はラミネートし、露光現像することで、導体ポスト006に対応するレジストパターンを形成する(
図7(d)参照)。
【0029】
次に、電解めっきによりレジスト009より露出したシード層005上に導体ポスト006を形成する(
図8(e)参照)。
電解銅めっきに、例えばフィルドめっきを用いることで第2絶縁樹脂層の開口部004による凹みなく導体ポスト006上部を平坦又は凸形状にすることができる。また、電解銅めっきに、例えばコンフォーマルめっきを用いることで、あえて導体ポスト006上部を凹ませることで、その後の、はんだのリフロー時の導体ポスト006側面への濡れ広がりを抑制しても良い。
【0030】
次に、導体ポスト006上に表面処理層007を形成する(
図8(f)参照)。表面処理層007は、例えば、無電解めっきにより、スズ、ニッケル、パラジウム、金などの金属で形成しても良く、スプレー処理などにより有機被膜で形成しても良い。表面処理層007は形成しなくても良い。
次に、表面処理層007上にはんだ層008を形成する(
図8(g)参照)。はんだ層008は、例えば、スクリーン印刷によりはんだペーストで形成しても良く、無電解めっきによりスズで形成しても良い。また、表面処理層007を形成していない場合は、導体ポスト006上に直接形成することができる。
【0031】
次に、はんだ層008をリフローにより略半球状に整形する(
図9(h)参照)。なお、この工程はレジスト009除去後に実施しても良い(図示せず)。
次に、レジスト009を除去する(
図9(i)参照)。
次に、導体ポスト006に覆われていないシード層005をエッチングにより除去する(
図9(j)参照)。
【0032】
(その他)
本開示は、次の構成も取り得る。
(1)第1絶縁樹脂層の上に形成された導体層と、上記第1絶縁樹脂層及び上記導体層の上に形成され、上記導体層の一部が導体パッドとして露出させる開口部を有する第2絶縁樹脂層と、上記導体パッド上に形成されて上記第2絶縁樹脂層から突出する導体ポストと、上記導体ポスト上に形成されたはんだ層と、を備える、多層配線基板であって、上記導体ポストのうちの上記開口部内に位置する根元部分は、根元部分の横断面の面積を円の面積に換算した場合に、当該根元部分の軸方向途中位置から上記導体パッドに向けて、上記導体パッドに近づくほど直径が大きくなる、外広がりの形状である。
【0033】
(2)上記根元部分は、根元部分の横断面の面積を円の面積に換算した場合に、当該根元部分の軸方向途中位置から上記開口部の上記導体パッドから離れた側の開口端に向けて、上記導体パッドから離れた側の開口端に近づくほど直径が大きくなる、外広がりの形状である。
(3)上記根元部分外面の軸方向に沿った輪郭形状は、軸方向に向けて連続した曲面形状になっている。
(4)上記根元部分は、根元部分の横断面の面積を円の面積に換算した場合に、軸方向における直径が最小位置での当該直径は、軸方向における直径が最大位置の直径の50%以上90%以下である。
(5)上記導体ポストと上記はんだ層の間に表面処理層を有する。
(6)上記導体ポストと上記第2絶縁樹脂層及び上記導体パッドの間にシード層を含む。
(7)上記導体パッドは、上記開口部の上記導体パット側の開口端よりも大きい、凹部を有する。
【実施例0034】
<実施例1>
実施形態で説明した製造方法で開口部004を形成した実施例について説明する。
まず、銅張積層板(昭和電工マテリアル社製)の防錆膜を除去後、銅表面を粗化液(メック社製)に粗化処理し、その上にドライフィルムソルダーレジスト(太陽インキ製造社製)を真空ラミネートし、h線、i線を主光源とし照度比率をおおよそh:i=70%:100%として約130mJ/cm
2にて露光し、スプレー現像することにより、ソルダーレジストの開口部004を形成した。
前述の方法にて形成したソルダーレジストの開口部004の断面SEM画像を
図11に示す。
図11のように、上記ソルダーレジストの開口部004は、本発明の、導体側のボトム開口とソルダーレジスト表面側のトップ開口以外の位置に、径が最も小さくなるくびれ部を有していることが分かった。