(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165296
(43)【公開日】2022-10-31
(54)【発明の名称】マシンキー
(51)【国際特許分類】
F16D 1/04 20060101AFI20221024BHJP
【FI】
F16D1/04 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021070611
(22)【出願日】2021-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】594131670
【氏名又は名称】株式会社セイキ製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100176256
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 隆敬
(72)【発明者】
【氏名】稲山 正人
(57)【要約】
【課題】 キー溝から容易に取り外すことが可能かつ衛生的に使用することが可能なマシンキーを提供する。
【解決手段】 マシンキー1は、シャフト3に形成されたキー溝31に嵌め込まれた状態で使用されるものであり、本体4と、ボルト5と、を備えている。本体4には、キー溝31から突出する部分Xからキー溝31の底面32に向けて延び内周面に第1のネジ44が切られた貫通孔43が形成されている。ボルト5は、外周面に第2のネジ51が切られており、第1のネジ44と第2のネジ51が螺合した状態で、貫通孔43から突出しない位置に配置されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトに形成されたキー溝に嵌め込まれた状態で使用されるマシンキーであって、
前記キー溝から突出する部分から前記キー溝の底面に向けて延び内周面に第1のネジが切られた貫通孔が形成された本体と、
外周面に第2のネジが切られており、前記第1のネジと前記第2のネジが螺合した状態で、前記貫通孔から突出しない位置に配置されたボルトと、
を備えたことを特徴とするマシンキー。
【請求項2】
前記ボルトの長さは、前記貫通孔の長さと略同一であることを特徴とする請求項1に記載のマシンキー。
【請求項3】
前記ボルトは、前記本体に対して固定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のマシンキー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キー溝から容易に取り外すことが可能かつ衛生的に使用することが可能なマシンキーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、シャフトに形成されたキー溝に嵌め込まれ、キー溝から突出した部分でシャフトの回転力をギア等に伝えるマシンキーが知られている。
【0003】
このマシンキーは、キー溝に嵌め込まれて使用されるものであるため、簡単には抜けないように、キー溝のサイズに合わせて高精度に加工されている。
【0004】
その一方で、マシンキーは使用に応じて摩耗していくため、定期的な交換が必要となるが、上記したように、マシンキーは、キー溝から簡単には取り外すことができない。
【0005】
そこで、予め、マシンキーに貫通孔を形成しておき、交換の際に、貫通孔に対応するボルトを螺合させながら挿入していき、ボルトの先端でキー溝の底面を押すことでマシンキーをキー溝から取り外す方法が知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】株式会社セイキ製作所,“平行キーが簡単に抜ける抜きタップ付キー”,[online],株式会社セイキ製作所,[令和3年4月19日検索],インターネット<URL:http://www.seiki-ss.co.jp/pullout/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記方法の場合、貫通孔内に粉塵等が蓄積してしまうため、食品の製造等の衛生面が重視される分野で用いるには好ましくない。
【0008】
そこで、本発明は、キー溝から容易に取り外すことが可能かつ衛生的に使用することが可能なマシンキーを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、シャフトに形成されたキー溝に嵌め込まれた状態で使用されるマシンキーであって、前記キー溝から突出する部分から前記キー溝の底面に向けて延び内周面に第1のネジが切られた貫通孔が形成された本体と、外周面に第2のネジが切られており、前記第1のネジと前記第2のネジが螺合した状態で、前記貫通孔から突出しない位置に配置されたボルトと、を備えたことを特徴とするマシンキーを提供している。
【0010】
このような構成によれば、貫通孔内に粉塵等が入り込むスペースが少ないため、貫通孔内に粉塵等が蓄積してしまうことが抑制され、マシンキーを衛生的に使用することが可能となる。また、ボルトが予め貫通孔内に配置されているので、マシンキーをキー溝から取り外す際にユーザ側で適切なサイズのボルトを準備する手間も省かれる。
【0011】
また、前記ボルトの長さは、前記貫通孔の長さと略同一であることが好ましい。
【0012】
このような構成によれば、貫通孔に粉塵等が入り込むスペースがほとんど存在しないので、貫通孔内に粉塵等が蓄積されることが更に抑制される。また、ボルトの先端がキー溝の底面に近接した位置に配置されることとなるので、ボルトの回転開始とほぼ同時に、ボルトの先端がキー溝の底面を押していくこととなり、マシンキーをキー溝から短時間で取り外すことが可能となる。
【0013】
また、前記ボルトは、前記本体に対して固定されていることが好ましい。
【0014】
このような構成によれば、貫通孔内に配置されたボルトの螺合が緩んでボルトが貫通孔から飛び出してしまう等の不具合が防止される。
【発明の効果】
【0015】
本発明のマシンキーによれば、キー溝から容易に取り外すことが可能かつ衛生的に使用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施の形態によるマシンキーの使用方法の説明図
【
図3】本発明の実施の形態によるマシンキーの側断面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態によるマシンキー1について、
図1-
図5を参照して説明する。
【0018】
マシンキー1は、ギア等の被回転体2にシャフト3の回転力を伝達するためのものであり、
図1に示すように、シャフト3に形成された略直方体形状のキー溝31に嵌め込まれた状態で使用される。
【0019】
詳細には、
図2に示すように、被回転体2の回転中心となる位置には、シャフト挿通孔21及びキー嵌合部22が形成されており、キー溝31に嵌め込まれたマシンキー1がキー嵌合部22に嵌合するような位置でシャフト挿通孔21内にシャフト3を挿入することで、被回転体2にシャフト3の回転力を伝達することが可能となる。
【0020】
図3に示すように、マシンキー1は、本体4と、ボルト5と、を備えている。
【0021】
本体4は、略直方体形状を有しており、略直方体形状のキー溝31に嵌め込まれることが可能なように、キー溝31の開口と略同一サイズの第1面41及び対向する第2面42を有している。但し、本体4は、
図1に示すように、第1面41側がキー溝31に嵌め込まれた状態で、第2面42側がキー溝31から突出するようなサイズを有している。
【0022】
また、
図4に示すように、本体4には、キー溝31から突出する部分(
図4のX部分)からキー溝31の底面32に向けて貫通孔43が形成されている。本実施の形態では、貫通孔43は、第2面42から第1面41に向けて、すなわち、キー溝31の底面32に対して略垂直方向に延びている。貫通孔43の内周面には、第1のネジ44が切られている。
【0023】
図5に示すように、ボルト5の外周面には、貫通孔43の第1のネジ44に対応する第2のネジ51が切られており、
図3に示すように、ボルト5は、第1のネジ44と第2のネジ51が螺合した状態で、貫通孔43から突出しない位置に配置されている。
【0024】
本実施の形態では、ボルト5の長さは、貫通孔43の長さと略同一のものとする。従って、ボルト5の先端52と後端53(ヘッド)は、本体4の第1面41と第2面42に対してそれぞれ略面位置にあることとなる。これは、ボルト5の先端52がキー溝31の底面32に近接した位置に配置されることを意味する。
【0025】
更に、ボルト5は、貫通孔43から脱落することを防止するために、本体4に対して固定されている。本実施の形態では、第1のネジ44と第2のネジ51が接着剤により互いに固定されているものとする。
【0026】
また、ボルト5の後端53には、六角レンチ等の回転工具に対応した嵌合穴が形成されている(図示せず)。回転工具を嵌合穴に嵌合させて回転させていくことで、ボルト5の先端52が本体4の第1面41から突出していき(ボルト5の先端52がキー溝31の底面32を押していき)、これにより、マシンキー1をキー溝31から取り外すことが可能となる。
【0027】
以上、説明したように、本実施の形態によるマシンキー1では、ボルト5は、第1のネジ44と第2のネジ51が螺合した状態で、貫通孔43から突出しない位置に配置されている。
【0028】
このような構成によれば、貫通孔43内に粉塵等が入り込むスペースが少ないため、貫通孔43内に粉塵等が蓄積してしまうことが抑制され、マシンキー1を衛生的に使用することが可能となる。また、ボルト5が予め貫通孔43内に配置されているので、マシンキー1をキー溝31から取り外す際にユーザ側で適切なサイズのボルトを準備する手間も省かれる。
【0029】
また、本実施の形態によるマシンキー1では、ボルト5の長さは、貫通孔43の長さと略同一である。
【0030】
このような構成によれば、貫通孔43に粉塵等が入り込むスペースがほとんど存在しないので、貫通孔43内に粉塵等が蓄積されることが更に抑制される。また、ボルト5の先端52がキー溝31の底面32に近接した位置に配置されることとなるので、ボルト5の回転開始とほぼ同時に、ボルト5の先端がキー溝31の底面32を押していくこととなり、マシンキー1をキー溝31から短時間で取り外すことが可能となる。
【0031】
また、本実施の形態によるマシンキー1では、ボルト5は、本体4に対して固定されている。
【0032】
このような構成によれば、貫通孔43内に配置されたボルト5の螺合が緩んでボルト5が貫通孔43から飛び出してしまう等の不具合が防止される。
【0033】
尚、本発明のマシンキーは、上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。
【0034】
例えば、上記実施の形態では、ボルト5の長さは、貫通孔43の長さと略同一であったが、ボルト5が貫通孔43から突出しない位置に配置されていれば、必ずしも略同一でなくても良い。
【0035】
但し、その場合であっても、ボルト5の先端52が本体4の第1面41と略面位置、又は、ボルト5の後端53が本体4の第2面42に対して略面位置にあることが好ましい。
【0036】
ボルト5の先端52が本体4の第1面41と略面位置であれば、マシンキー1をキー溝31から短時間で取り外すことが可能という効果が得られ、ボルト5の後端53が本体4の第2面42に対して略面位置であれば、貫通孔43のうち外部に晒されている部分に粉塵等が入り込むスペースがほとんどなくなるという効果が得られる。
【0037】
また、上記実施の形態では、ボルト5は、接着剤により本体4に対して固定されていたが、例えば、貫通孔43の第2面42側端部を狭くしておき、ボルト5が第2面42からは突出できないようにしても良い。
【0038】
また、上記実施の形態では、キー溝31及び本体4は略直方体形状を有していたが、被回転体2にシャフト3の回転力を伝達することができれば、他の形状であっても良い。
【0039】
また、上記実施の形態では、貫通孔43は、キー溝31の底面32に対して略垂直方向に延びていたが、キー溝31から突出した部分からキー溝31の底面32に向けて延びていれば、必ずしも略垂直方向に延びていなくても良い。
【0040】
また、上記実施の形態では、ボルト5の後端53はヘッド形状を有していたが、ネジのままの形状であっても良い。
【0041】
また、上記実施の形態では、ボルト5の後端53には、六角レンチ等の回転工具に対応した嵌合穴が形成されていたが、六角レンチに限らず、プラス(マイナス)ドライバー等に対応した嵌合穴であっても良い。また、ボルト5の後端53には、必ずしも嵌合穴が形成されている必要はなく、スパナ等でボルト5の後端53を回転させても良い。
【符号の説明】
【0042】
1 マシンキー
2 被回転体
3 シャフト
4 本体
5 ボルト
21 シャフト挿通孔
22 キー嵌合部
31 キー溝
32 底面
41 第1面
42 第2面
43 貫通孔
44 第1のネジ
51 第2のネジ
52 先端
53 後端