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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165298
(43)【公開日】2022-10-31
(54)【発明の名称】ユーザ装置及び通信制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 68/12 20090101AFI20221024BHJP
   H04W 4/00 20180101ALI20221024BHJP
   H04W 88/06 20090101ALI20221024BHJP
【FI】
H04W68/12
H04W4/00 110
H04W88/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021070613
(22)【出願日】2021-04-19
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.3GPP
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110003247
【氏名又は名称】弁理士法人小澤知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 智之
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 秀明
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA26
5K067BB04
5K067BB21
5K067DD11
5K067DD24
5K067EE04
5K067EE10
5K067EE24
5K067EE56
5K067FF02
5K067HH21
5K067JJ15
(57)【要約】      (修正有)
【課題】第2ネットワークとRRCインアクティブ状態であるユーザ装置が第2ネットワークからのページングを適切に受信する方法を提供する。
【解決手段】移動通信システムにおいて、第1ネットワーク200Aと通信し、第2ネットワーク200Bと通信するUE100は、無線リソース制御(RRC)レイヤでの処理を行うRRC処理部131と、非アクセス層(NAS)レイヤでの処理を行うNAS処理部132と、を備える。UEは、第1ネットワークと通信中であり、第2ネットワークとRRCインアクティブ状態にある時、RRC処理部は、UE宛てのページングを第2ネットワークから受信S105し、NAS処理部から第1ネットワークを第2ネットワークよりも優先することを示す送信可能通知が提供されているかを判断しS106、NAS処理部から送信可能通知が提供されている場合S104は、ページングを受信したことをNAS処理部に通知するS107。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1加入者識別モジュール(111)を用いて第1ネットワーク(200A)と通信し、第2加入者識別モジュール(112)を用いて第2ネットワーク(200B)と通信するユーザ装置(100)であって、
無線リソース制御(RRC)レイヤでの処理を行うRRC処理部(131)と、
前記RRCレイヤよりも上位のレイヤである非アクセス層(NAS)レイヤでの処理を行うNAS処理部(132)と、を備え、
前記ユーザ装置(100)が、前記第1ネットワーク(200A)と通信中に、前記第2ネットワーク(200B)についてRRCインアクティブ状態にある場合、前記RRC処理部(131)は、
前記ユーザ装置(100)宛てのページングを前記第2ネットワーク(200B)から受信する処理と、
前記第1ネットワーク(200A)との通信を前記第2ネットワーク(200B)との通信よりも優先することを示す情報を送信可能であることを示す送信可能通知が前記NAS処理部(132)から提供されている場合、前記ページングを受信したことを前記NAS処理部(132)に通知する処理と、を実行する
ユーザ装置。
【請求項2】
前記NAS処理部(132)は、前記RRCインアクティブ状態にある前記ユーザ装置(100)が前記情報の送信能力を有する場合、前記送信可能通知を前記RRC処理部(131)へ提供する
請求項1に記載のユーザ装置。
【請求項3】
前記NAS処理部(132)は、前記第2ネットワーク(200B)から前記情報の送信を許可されている場合、前記送信可能通知を前記RRC処理部(131)に提供する
請求項1又は2に記載のユーザ装置。
【請求項4】
前記NAS処理部(132)は、
前記RRCインアクティブ状態にある前記ユーザ装置(100)が前記情報の送信能力を有することを示す能力情報を、前記第2ネットワーク(200B)へ送信し、
前記能力情報を送信した後、前記第2ネットワーク(200B)から前記情報の送信が許可されたことを示す情報を、前記第2ネットワーク(200B)から受信する
請求項3に記載のユーザ装置。
【請求項5】
前記RRCインアクティブ状態は、前記RRCレイヤにおける状態であり、
前記NAS処理部(132)は、前記ユーザ装置(100)が前記第1ネットワーク(200A)について前記RRCインアクティブ状態にあるとき、前記NASレイヤにおけるモードをアイドルモードからコネクティッドモードに遷移するためのサービスリクエストメッセージを用いて前記情報を送信する
請求項1から4のいずれか1項に記載のユーザ装置。
【請求項6】
第1加入者識別モジュールを用いて第1ネットワーク(200A)と通信し、第2加入者識別モジュールを用いて第2ネットワーク(200B)と通信するユーザ装置(100)が実行する通信制御方法であって、
前記ユーザ装置(100)のRRC処理部(131)が、無線リソース制御(RRC)レイヤでの処理を行うステップと、
前記ユーザ装置(100)のNAS処理部(132)が、前記RRCレイヤよりも上位のレイヤである非アクセス層(NAS)レイヤでの処理を行うステップと、を有し、
前記ユーザ装置(100)が前記第1ネットワーク(200A)と通信中において、前記第2ネットワーク(200B)について前記ユーザ装置(100)がRRCインアクティブ状態にある場合、RRCレイヤでの処理を行うステップは、
前記ユーザ装置(100)宛てのページングを前記第2ネットワーク(200B)から受信するステップと、
前記第1ネットワーク(200A)との通信を前記第2ネットワーク(200B)との通信よりも優先することを示す情報を送信可能であることを示す送信可能通知が前記NAS処理部(132)から提供されている場合、前記ページングを受信したことを前記NAS処理部(132)に通知するステップと、を含む
通信制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信システムで用いるユーザ装置及び通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
移動通信システムの標準化プロジェクトである3GPP(3rd Generation Partnership Project)のリリース17では、複数の加入者識別モジュールを搭載したユーザ装置が、複数の通信事業者のネットワークに在圏しつつデータ通信を行う機能を策定するためのワークアイテムが立ち上がっている。現状、複数のネットワークに在圏するユーザ装置がページングを受ける仕組みは標準仕様上に規定がなく、ユーザ装置の実装依存となっている。そのため、それぞれのネットワークと協調して複数のネットワークからページングを受ける方法が3GPP標準化の場で検討されている。
【0003】
ここで、一方のネットワーク(以下、「第1ネットワーク」)についてRRCコネクティッド状態であって、他方のネットワーク(以下、「第2ネットワーク」)についてRRCアイドル状態であるユーザ装置が、第1ネットワークとの通信中断期間(「ギャップ」と呼ばれる)において第2ネットワークからのページングを受信したケースにおいて、第1ネットワークとの通信を第2ネットワークとの通信よりも優先する場合に、ユーザ装置のNAS処理部が、第1ネットワークとの通信を第2ネットワークとの通信よりも優先することを示す情報(いわゆる、ビジー指示子)を第2ネットワークへ送信することが検討されている(例えば、非特許文献1参照)。これにより、第2ネットワークは、ビジー指示子の受信に応じて、当該ユーザ装置宛の以降のページングの停止することで、ページングリソースを節約することができる。
【0004】
なお、現在の3GPP規格に従うと、RRCアイドル状態にあるユーザ装置のRRC処理部が、自身宛のページングをネットワークから受信すると、その旨をNAS処理部に通知する。一方、RRCインアクティブ状態にあるユーザ装置のRRC処理部が、自身宛のページングをネットワークから受信すると、その旨をNAS処理部に通知せずに、RRCレジュームプロシージャを開始してRRCコネクティッド状態に遷移する(例えば、非特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】3GPP技術報告書:TR23.761、「Study on system enablers for devices having multiple Universal Subscriber Identity Modules (USIM)」
【非特許文献2】3GPP技術仕様書:TR38.331、「NR; Radio Resource Control (RRC); Protocol specification」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述のようなビジー指示子の送信する動作がRRCインアクティブ状態にあるユーザ装置においても適用される場合、ビジー指示子の送信は、ユーザ装置のNAS処理部により行われるため、ユーザ装置宛のページングを第2ネットワークから受信した旨を示すRRC処理部からNAS処理部への通知が必要になると考えられる。しかしながら、必ずしもNAS処理部はビジー指示子の送信が可能であるとは限らない。このため、NAS処理部がビジー指示子の送信が不可である場合にも、RRC処理部からNAS処理部への通知が行われると、ユーザ装置の内部において不必要な処理が行われることになり、予期せぬエラーが発生する懸念がある。
【0007】
そこで、本発明は、第1ネットワークで通信中であって第2ネットワークでRRCインアクティブ状態にある場合における第2ネットワークからのページング受信時に不必要な処理が行われることを抑制できるユーザ装置及び通信制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様に係るユーザ装置は、第1加入者識別モジュールを用いて第1ネットワークと通信し、第2加入者識別モジュールを用いて第2ネットワークと通信するユーザ装置であって、無線リソース制御(RRC)レイヤでの処理を行うRRC処理部と、前記RRCレイヤよりも上位のレイヤである非アクセス層(NAS)レイヤでの処理を行うNAS処理部と、を備える。前記ユーザ装置が、前記第1ネットワークと通信中に、前記第2ネットワークについてRRCインアクティブ状態にある場合、前記RRC処理部は、前記ユーザ装置宛てのページングを前記第2ネットワークから受信する処理と、前記第1ネットワークとの通信を前記第2ネットワークとの通信よりも優先することを示す情報を送信可能であることを示す送信可能通知が前記NAS処理部から提供されている場合、前記ページングを受信したことを前記NAS処理部に通知する処理と、を実行する。
【0009】
第2の態様に係る通信制御方法は、第1加入者識別モジュールを用いて第1ネットワークと通信し、第2加入者識別モジュールを用いて第2ネットワークと通信するユーザ装置が実行する通信制御方法であって、前記ユーザ装置のRRC処理部が、無線リソース制御(RRC)レイヤでの処理を行うステップと、前記ユーザ装置のNAS処理部が、前記RRCレイヤよりも上位のレイヤである非アクセス層(NAS)レイヤでの処理を行うステップと、を有する。前記ユーザ装置が前記第1ネットワークと通信中において、前記第2ネットワークについて前記ユーザ装置がRRCインアクティブ状態にある場合、RRCレイヤでの処理を行うステップは、前記ユーザ装置宛てのページングを前記第2ネットワークから受信するステップと、前記第1ネットワークとの通信を前記第2ネットワークとの通信よりも優先することを示す情報を送信可能であることを示す送信可能通知が前記NAS処理部から提供されている場合、前記ページングを受信したことを前記NAS処理部に通知するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、第1ネットワークで通信中であって第2ネットワークでRRCインアクティブ状態にある場合における第2ネットワークからのページング受信時に不必要な処理が行われることを抑制できるユーザ装置及び通信制御方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る移動通信システムの構成例を示す図である。
図2】実施形態に係る移動通信システムのプロトコルスタックの構成例を示す図である。
図3】実施形態に係るUE(ユーザ装置)の構成例を示す図である。
図4】実施形態に係る第1ネットワークの基地局の構成例を示す図である。
図5】実施形態の第1動作例を示す図である。
図6】実施形態の第1動作例に係るUEの動作の一例を示す図である。
図7】実施形態の第2動作例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面を参照しながら、実施形態に係る移動通信システムについて説明する。図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
【0013】
[実施形態]
図1から図12を参照して、実施形態について説明する。
【0014】
(システム構成)
図1を参照して、実施形態に係る移動通信システム1の構成について説明する。以下において、移動通信システム1が3GPP規格の第5世代システム(5G/NR:New Radio)である一例を主として説明するが、移動通信システム1には、第4世代システム(4G/LTE:Long Term Evolution)システム及び/又は第6世代システムが少なくとも部分的に適用されてもよい。
【0015】
図1に示すように、実施形態に係る移動通信システム1は、ユーザ装置(UE:User Equipment)100と、第1ネットワーク200Aと、第2ネットワーク200Bとを有する。
【0016】
UE100は、移動可能な無線通信装置である。UE100は、ユーザにより利用される装置であればよいが、例えば、UE100は、携帯電話端末(スマートフォンを含む)やタブレット端末、ノートPC、通信モジュール(通信カード又はチップセットを含む)、センサ若しくはセンサに設けられる装置、車両若しくは車両に設けられる装置(Vehicle UE)、飛行体若しくは飛行体に設けられる装置(Aerial UE)である。
【0017】
UE100は、複数の加入者識別モジュール(SIM:Subscriber Identity Module)に対応するマルチSIMデバイスである。UE100は、複数のSIMを用いて複数のネットワークと通信する。以下において、UE100が対応するSIMが2つである一例について主として説明するが、UE100は、3つ以上のSIMに対応していてもよい。「複数のSIMに対応する」とは、UE100が複数のSIMを取り扱う能力を有していることをいい、必ずしもUE100に複数のSIMが搭載されていなくてもよい。このようなUE100は、「複数のSIMをサポートするUE」と呼ばれることがある。なお、SIMは、カード型のSIM(いわゆる、SIMカード)に限らず、予めUE100に組み込まれた組み込み型のSIM(いわゆる、eSIM)であってもよい。SIMは、USIM(Universal Subscriber Identity Module)と呼ばれることがある。
【0018】
第1ネットワーク200Aは、UE100の一方のSIMと対応付けられたネットワークである。第2ネットワーク200Bは、UE100の他方のSIMと対応付けられたネットワークである。UE100は、一方のSIMを用いて第1ネットワーク200Aへの位置登録を行っており、他方のSIMを用いて第2ネットワーク200Bへの位置登録を行っているものとする。すなわち、UE100は、第1ネットワーク200A及び第2ネットワーク200Bのそれぞれに在圏している。第1ネットワーク200A及び第2ネットワーク200Bは、互いに異なる通信事業者のネットワークであってもよい。但し、第1ネットワーク200A及び第2ネットワーク200Bは、同一の通信事業者のネットワークであってもよい。第1ネットワーク200A及び第2ネットワーク200Bには、互いに異なるPLMN(Public Land Mobile Network) IDが割当てられていてもよい。
【0019】
第1ネットワーク200Aは、無線アクセスネットワークを構成する基地局210Aと、コアネットワーク220Aとを有する。コアネットワーク220Aは、モビリティ管理装置221Aと、ゲートウェイ装置222Aとを有する。同様に、第2ネットワーク200Bは、無線アクセスネットワークを構成する基地局210Bと、コアネットワーク220Bとを有する。コアネットワーク220Bは、モビリティ管理装置221Bと、ゲートウェイ装置222Bとを有する。以下において、基地局210A及び200Bを区別しないときは単に基地局210と呼び、モビリティ管理装置221A及び221Bを区別しないときは単にモビリティ管理装置221と呼び、ゲートウェイ装置222A及び222Bを区別しないときは単にゲートウェイ装置222と呼ぶ。
【0020】
基地局210は、UE100との無線通信を行う無線通信装置である。基地局210は、1又は複数のセルを管理する。基地局210は、自セルとの無線リソース制御(RRC)レイヤにおける接続を確立したUE100との無線通信を行う。基地局210は、無線リソース管理(RRM)機能、ユーザデータ(以下、単に「データ」という)のルーティング機能、モビリティ制御・スケジューリングのための測定制御機能等を有する。「セル」は、無線通信エリアの最小単位を示す用語として用いられる。「セル」は、UE100との無線通信を行う機能又はリソースを示す用語としても用いられる。1つのセルは1つのキャリア周波数に属する。図1において、基地局210AがセルC1を管理し、基地局210BがセルC2を管理する一例を示している。UE100は、セルC1及びセルC2の重複領域に位置している。
【0021】
基地局210は、5G/NRの基地局であるgNB、又は4G/LTEの基地局であるeNBであってもよい。以下において、基地局210がgNBである一例について主として説明する。基地局210は、CU(Central Unit)とDU(Distributed Unit)とに機能分割されていてもよい。基地局210は、IAB(Integrated Access and Backhaul)ノード等の中継ノードであってもよい。
【0022】
モビリティ管理装置221は、制御プレーンに対応した装置であって、UE100に対する各種モビリティ管理を行う装置である。モビリティ管理装置221は、NAS(Non-Access Stratum)シグナリングを用いてUE100と通信し、UE100が在圏するトラッキングエリアの情報を管理する。モビリティ管理装置221は、UE100に対して着信を通知するために、基地局210を通じてページングを行う。モビリティ管理装置221は、5G/NRのAMF(Access and Mobility Management Function)、又は4G/LTEのMME(Mobility Management Entity)であってもよい。
【0023】
ゲートウェイ装置222は、ユーザプレーンに対応した装置であって、UE100のデータの転送制御を行う装置である。ゲートウェイ装置222は、5G/NRのUPF(User Plane Function)、又は4G/LTEのS-GW(Serving Gateway)であってもよい。
【0024】
(プロトコルスタックの構成例)
図2を参照して、移動通信システム1のプロトコルスタックの構成例について説明する。図2に示すように、UE100と基地局210との間の無線区間のプロトコルは、物理(PHY)レイヤと、MAC(Medium Access Control)レイヤと、RLC(Radio Link Control)レイヤと、PDCP(Packet Data Convergence Protocol)レイヤと、RRC(Radio Resource Control)レイヤとを有する。
【0025】
PHYレイヤは、符号化・復号、変調・復調、アンテナマッピング・デマッピング、及びリソースマッピング・デマッピングを行う。UE100のPHYレイヤと基地局210のPHYレイヤとの間では、物理チャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。
【0026】
MACレイヤは、データの優先制御、ハイブリッドARQ(HARQ)による再送処理、及びランダムアクセスプロシージャ等を行う。UE100のMACレイヤと基地局210のMACレイヤとの間では、トランスポートチャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。基地局210のMACレイヤはスケジューラを含む。スケジューラは、上下リンクのトランスポートフォーマット(トランスポートブロックサイズ、変調・符号化方式(MCS))及びUE100への割当リソースを決定する。
【0027】
RLCレイヤは、MACレイヤ及びPHYレイヤの機能を利用してデータを受信側のRLCレイヤに伝送する。UE100のRLCレイヤと基地局210のRLCレイヤとの間では、論理チャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。
【0028】
PDCPレイヤは、ヘッダ圧縮・伸張、及び暗号化・復号化を行う。
【0029】
PDCPレイヤの上位レイヤとしてSDAP(Service Data Adaptation Protocol)レイヤが設けられていてもよい。SDAP(Service Data Adaptation Protocol)レイヤは、コアネットワークがQoS制御を行う単位であるIPフローとAS(Access Stratum)がQoS制御を行う単位である無線ベアラとのマッピングを行う。
【0030】
RRCレイヤは、無線ベアラの確立、再確立及び解放に応じて、論理チャネル、トランスポートチャネル、及び物理チャネルを制御する。UE100のRRCレイヤと基地局210のRRCレイヤとの間では、各種設定のためのRRCシグナリングが伝送される。UE100のRRCと基地局210のRRCとの間にRRC接続がある場合、UE100はRRCコネクティッド状態にある。UE100のRRCと基地局210のRRCとの間にRRC接続がない場合、UE100はRRCアイドル状態にある。UE100のRRCと基地局210のRRCとの間のRRC接続がサスペンドされている場合、UE100はRRCインアクティブ状態にある。
【0031】
RRCレイヤの上位に位置するNASレイヤは、UE100のセッション管理及びモビリティ管理を行う。UE100のNASレイヤとモビリティ管理装置221のNASレイヤとの間では、NASシグナリングが伝送される。
【0032】
なお、UE100は、無線インターフェイスのプロトコル以外にアプリケーションレイヤ等を有する。
【0033】
(UEの構成例)
図3を参照して、UE100の構成例について説明する。図3に示すように、UE100は、アンテナ101と、SIM111と、SIM112と、通信部120と、制御部130とを有する。アンテナ101は、UE100の外部に設けられてもよい。SIM111及びSIM112は、SIMカード又はeSIMである。
【0034】
SIM111は、UE100が第1ネットワーク200Aと通信するために必要な加入者情報及び設定情報を記憶する。SIM111は、第1ネットワーク200AにおけるUE100の識別情報、例えば、電話番号及びIMSI(International Mobile Subscriber Identity)等を記憶する。
【0035】
SIM112は、UE100が第2ネットワーク200Bと通信するために必要な加入者情報及び設定情報を記憶する。SIM112は、第2ネットワーク200BにおけるUE100の識別情報、例えば、電話番号及びIMSI等を記憶する。
【0036】
通信部120は、制御部130の制御下で、アンテナ101を介して第1ネットワーク200Aとの無線通信及び第2ネットワーク200Bとの無線通信を行う。通信部120は、受信部(RX:Receiver)121を1つのみ有していてもよい。この場合、通信部120は、第1ネットワーク200Aからの受信及び第2ネットワーク200Bからの受信を同時に行うことができない。通信部120は、送信部(TX:Transmitter)122を1つのみ有していてもよい。但し、通信部120は、複数の送信部122を有していてもよい。受信部121は、アンテナ101が受信する無線信号をベースバンド信号である受信信号に変換し、受信信号に対する信号処理を行ったうえで制御部130に出力する。送信部122は、制御部130が出力するベースバンド信号である送信信号に対する信号処理を行ったうえで無線信号に変換し、無線信号をアンテナ101から送信する。
【0037】
制御部130は、通信部120を制御するとともに、UE100における各種の制御を行う。制御部130は、SIM111を用いて第1ネットワーク200Aとの通信を制御するとともに、SIM112を用いて第2ネットワーク200Bとの通信を制御する。制御部130は、少なくとも1つのプロセッサ及び少なくとも1つのメモリを含む。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、及びプロセッサによる処理に用いられる情報を記憶する。メモリは、ROM、EPROM、EEPROM、RAM及びフラッシュメモリの少なくとも1つを含んでもよい。プロセッサは、デジタル信号のデジタル処理を行うデジタル信号プロセッサ(DSP)と、プログラムを実行する中央演算処理装置(CPU)とを含んでもよい。なお、メモリの一部は通信部120に設けられていてもよい。また、DSPは、通信部120に設けられていてもよい。
【0038】
制御部130は、RRC処理部131と、NAS処理部132とを含む。RRC処理部131は、RRCレイヤの処理での処理を行う。NAS処理部132は、RRCレイヤよりも上位のレイヤであるNASレイヤの処理での処理を行う。なお、RRC処理部131及びNAS処理部132は、1つのプロセッサにより構成されてもよいし、複数のプロセッサにより構成されてもよい。
【0039】
このように構成されたUE100は、SIM111を用いて第1ネットワーク200Aと通信し、SIM112を用いて第2ネットワーク200Bと通信する。UE100は、RRC処理部131とNAS処理部132とを備える。UE100が第1ネットワーク200Aと通信中に、第2ネットワーク200BについてRRCインアクティブ状態にある場合、RRC処理部131は、UE100宛のページングを第2ネットワーク200Bから受信する処理と、第1ネットワーク200Aとの通信を第2ネットワーク200Bとの通信よりも優先することを示す情報(具体的には、後述のビジー指示子)を送信可能であることを示す送信可能通知がNAS処理部132から提供されている場合、ページングを受信したことをNAS処理部132に通知する処理と、を実行する。
【0040】
これにより、NAS処理部132は、送信可能通知をRRC処理部131に提供した場合、ページングを受信したことを把握できる。これにより、NAS処理部132は、ビジー指示子を第2ネットワーク200Bへ送信することができるため、不必要なページングによる第2ネットワーク200Bのリソース節約が可能となる。一方で、NAS処理部132は、送信可能通知をRRC処理部131に提供していない場合、不必要にページングを受信したことが通知されなくなるため、第1ネットワーク200Aで通信中であって第2ネットワーク200BでRRCインアクティブ状態にある場合における第2ネットワーク200Bからのページング受信時にUE100の内部において不必要な処理が行われることを抑制できる。その結果、予期せぬエラーが発生を抑制できる。加えて、不必要な処理に起因したUE100の消費電力の発生を抑制できる。
【0041】
また、NAS処理部132は、RRCインアクティブ状態にあるUE100がビジー指示子の送信能力を有する場合、送信可能通知をRRC処理部131へ提供してよい。これにより、UE100がビジー指示子の送信能力を有さない場合、RRC処理部131は、ページングを受信しても、ビジー指示子が送信できない場合には、ページングを受信したことをNAS処理部132に通知しない。従って、予期せぬエラーが発生を抑制、及び不必要な処理に起因したUE100の消費電力の発生を抑制できる。
【0042】
また、NAS処理部132は、第2ネットワーク200Bからビジー指示子の送信を許可されている場合、送信可能通知をRRC処理部131に提供してよい。これにより、NAS処理部132は、第2ネットワーク200Bと協調した上で、ビジー指示子を送信することができる。
【0043】
また、NAS処理部132は、RRCインアクティブ状態にあるUE100がビジー指示子の送信能力を有することを示す能力情報を前記第2ネットワークへ送信してよい。NAS処理部132は、能力情報を送信した後、第2ネットワーク200Bからビジー指示子の送信が許可されたことを示す情報を、第2ネットワーク200Bから受信してよい。第2ネットワーク200Bは、UE100の能力情報を考慮した上で、ビジー指示子の送信を許可することができる。
【0044】
また、RRCインアクティブ状態は、RRCレイヤにおける状態であってよい。NAS処理部132は、UE100が第1ネットワーク200AについてRRCインアクティブ状態にあるとき、NASレイヤにおけるモードをアイドルモードからコネクティッドモードに遷移するためのサービスリクエストメッセージを用いてビジー指示子を送信してよい。これにより、例えば、既存のメッセージに新たな情報要素を加えることなく、ビジー指示子を送信することができる。従って、既存の仕組みへの影響を非常に小さくすることができる。
【0045】
なお、UE100が備える機能部(具体的には、アンテナ101と、SIM111と、SIM112と、通信部120と、制御部130(RRC処理部131及びNAS処理部132)との少なくともいずれか)の動作を、UE100の動作として説明することがある。
【0046】
(基地局の構成例)
図4を参照して、第1ネットワーク200Aの基地局210Aの構成例について説明する。なお、第2ネットワーク200Bの基地局210Bも基地局210Aと同様の構成であるため、説明を省略する。図4に示すように、基地局210Aは、アンテナ211と、通信部212と、ネットワークインターフェイス213と、制御部214とを有する。
【0047】
通信部212は、制御部214の制御下で、アンテナ211を介してUE100との通信を行う。通信部212は、受信部212aと、送信部212bとを有する。受信部212aは、アンテナ211が受信する無線信号をベースバンド信号である受信信号に変換し、受信信号に対する信号処理を行ったうえで制御部214に出力する。送信部212bは、制御部214が出力するベースバンド信号である送信信号に対する信号処理を行ったうえで無線信号に変換し、無線信号をアンテナ211から送信する。
【0048】
ネットワークインターフェイス213は、コアネットワーク220Aと接続される。ネットワークインターフェイス213は、制御部214の制御下で、モビリティ管理装置221A及びゲートウェイ装置222Aとのネットワーク通信を行う。
【0049】
制御部214は、通信部212を制御するとともに、基地局210Aにおける各種の制御を行う。制御部214は、少なくとも1つのプロセッサ及び少なくとも1つのメモリを含む。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、及びプロセッサによる処理に用いられる情報を記憶する。メモリは、ROM、EPROM、EEPROM、RAM及びフラッシュメモリの少なくとも1つを含んでもよい。プロセッサは、デジタル信号のデジタル処理を行うデジタル信号プロセッサ(DSP)と、プログラムを実行する中央演算処理装置(CPU)とを含んでもよい。なお、メモリの一部は通信部212に設けられていてもよい。また、DSPは、通信部212に設けられていてもよい。
【0050】
このように構成された第1ネットワーク200Aの基地局210Aにおいて、通信部212は、第1ネットワーク200Aに対する第1測定動作と第2ネットワーク200Bに対する第2測定動作とで基地局210Aとの通信を中断する中断タイミングを時分割で共有する設定を要求する共有設定要求を、UE100から受信する。制御部214は、共有設定要求を取得する。これにより、制御部214は、第1測定動作と第2測定動作とで中断タイミングを時分割で共有する設定をUE100が要求していることを把握できる。制御部214は、UE100が当該設定を要求していることを考慮して適切な中断タイミングを決定することができる。
【0051】
なお、基地局210Aが備える機能部(具体的には、アンテナ211と、通信部212と、ネットワークインターフェイス213と、制御部214との少なくともいずれか)の動作を、基地局210Aの動作として説明することがある。
【0052】
(移動通信システムの動作)
移動通信システム1の動作について説明する。
【0053】
(1)第1動作例
図5及び図6を参照して、移動通信システム1の第1動作例について説明する。図5に示す動作例おいて、UE100は、第1ネットワーク200Aの基地局210Bが管理するセルC1に在圏しており、第2ネットワーク200Bの基地局210Bが管理するセルC2に在圏している。なお、第2ネットワーク200Bのモビリティ管理装置221BがAMFであるものとして説明を進める。
【0054】
以下において、RRC処理部131及びNAS処理部132は、通信部120を介して、第2ネットワーク200Bと通信(具体的には、メッセージ等の送受信/通知)を行うが、説明を簡便にするため、通信部120を介した通信であるとの説明を適宜省略する。また、AMF221Bは、基地局210Bを介して、UE100(具体的には、NAS処理部132)と通信(メッセージ等の送受信/通知)を行うが、説明を簡便にするため、基地局210Bを介した通信であるとの説明を適宜省略する。
【0055】
ステップS101:
UE100及び第2ネットワーク200Bは、登録手順を開始する。UE100(NAS処理部132)は、登録要求(Registration Request)メッセージをAMF221Bへ送信する。AMF221Bは、登録要求メッセージをUE100から受信する。登録要求メッセージは、第2ネットワーク200BへUE100を初期登録又は登録更新するためのメッセージである。
【0056】
NAS処理部132は、RRCインアクティブ状態にあるUE100がビジー指示子の送信能力を有することを示す能力情報を登録要求メッセージに含めてよい。これにより、NAS処理部132は、UE100がビジー指示子の送信能力を有することを示す能力情報を第2ネットワーク200Bに送信してよい。
【0057】
ビジー指示子は、第2ネットワーク200B以外のネットワーク(以下、第1ネットワーク200A)との通信の優先度が第2ネットワーク200Bとの通信の優先度よりも高い場合に、第1ネットワーク200Aの通信よりも第2ネットワーク200Bの通信よりも優先することを示す情報である。ビジー指示子は、UE100がビジーであることを示してよい。
【0058】
ステップS102:
AMF221Bは、登録承認(Registration Accept)メッセージをUE100へ送信する。UE100のNAS処理部132は、登録承認メッセージをAMF221Bから受信する。登録承認メッセージは、第2ネットワーク200Bへの登録又は登録更新が承認されたことを示すメッセージである。
【0059】
登録承認メッセージは、第2ネットワーク200Bからビジー指示子の送信が許可されたことを示す送信許可情報を含んでいてよい。
【0060】
AMF221Bは、ビジー指示子の送信を許可するか否かをUE100の能力情報を考慮して判定してよい。AMF221Bは、例えば、登録要求メッセージがRRCインアクティブ状態にあるUE100がビジー指示子の送信能力を有することを示す能力情報を含む場合、ビジー指示子の送信を許可すると判定してよい。AMF221Bは、登録要求メッセージが当該能力情報を含まない場合、ビジー指示子の送信を許可しないと判定してよい。AMF221Bは、ビジー指示子の送信を許可すると判定した場合、登録承認メッセージに送信許可情報を含めてよい。
【0061】
NAS処理部132は、送信許可情報の受信に応じて、第2ネットワーク200Bからビジー指示子の送信を許可されていると判定してよい。
【0062】
ステップS103:
NAS処理部132は、登録完了(Registration Complete)メッセージをAMF221Bへ送信する。AMF221Bは、登録完了メッセージをUE100から受信する。登録完了メッセージは、例えば、UE100において第2ネットワーク200Bへの登録又は登録更新の処理が正常に完了したことを示すメッセージである。
【0063】
ステップS104:
NAS処理部132は、送信可能通知をRRC処理部131へ提供する。RRC処理部131は、送信可能通知をNAS処理部132から受け取る。送信可能通知は、第1ネットワーク200Aとの通信を第2ネットワーク200Bとの通信よりも優先することを示す情報(すなわち、ビジー指示子)を送信可能であることを示す。送信可能通知は、図6に示すように、UE100がビジー指示子の送信能力があることを示してもよい。
【0064】
NAS処理部132は、第2ネットワーク200Bからビジー指示子の送信を許可されている場合、送信可能通知をRRC処理部131に提供してよい。
【0065】
図5に示すように、その後、UE100は、第1ネットワーク200AについてRRCコネクティッド状態にあり、第2ネットワーク200BについてRRCインアクティブ状態にあるものとする。UE100は、第1ネットワーク200Aと通信中である。UE100は、例えば、第1ネットワーク200Aから、音声通話等のサービスの提供を受けている。従って、UE100は、第1ネットワーク200Aと通信中に、第2ネットワーク200BについてRRCインアクティブ状態にある。
【0066】
なお、RRCコネクティッド状態及びRRCインアクティブ状態(及びRRCアイドル状態)は、RRCレイヤにおける状態である。UE100のNASレイヤにおけるモードは、第1ネットワーク200Aについてコネクティッドモードであり、第2ネットワーク200Bについてコネクティッドモードである。NASレイヤにおけるモードは、5GMM(5G Mobility Management)モードであってよい。当該モードでは、コネクティッドモードは5GMM-コネクティッドモードであり、アイドルモードは5GMM-アイドルモードであってよい。
【0067】
ステップS105:
基地局210は、UE100宛のページングメッセージをUE100へ送信する。UE100のRRC処理部131は、UE100宛のページングメッセージを基地局210Bから受信する。
【0068】
ページングメッセージは、1以上のUE100への通知に用いられる。ページングメッセージは、RRCレイヤのメッセージである。ページングメッセージは、例えば、UE100のIDを含む。より具体的には、例えば、ページングメッセージは、ページングレコードのリストを含み、当該リスト内の1つのページングレコードは、UE100のIDを含む。例えば、当該IDは、UE100の5G-S-TMSI又はフルI-RNTI(Inactive Radio Network Temporary Identifier)である。
【0069】
RRC処理部131は、UE100が、第1ネットワーク200Aと通信中に、第2ネットワーク200BについてRRCインアクティブ状態にある場合に、ステップS106の処理を実行できる。
【0070】
RRC処理部131は、UE100が、第1ネットワーク200Aと通信中でない場合、例えば、UE100が、(a)第1ネットワーク200AについてRRCアイドル状態又はRRCインアクティブ状態にある場合、又は、(b)第2ネットワーク200BについてRRCアイドル状態又はRRCコネクティッド状態にある場合、ステップS106の処理を行わず、ページングメッセージを受信した際の規定の処理を実行してよい。
【0071】
ステップS106:
RRC処理部131は、送信可能通知がNAS処理部132から提供されているか否かを判定する。RRC処理部131は、送信可能通知がNAS処理部132から提供されている場合、ステップS107の処理を実行する。一方で、RRC処理部131は、送信可能通知がNAS処理部132から提供されていない場合、ステップS106の処理を実行しない。この場合、RRC処理部131は、ページングメッセージを受信した際の規定の処理を実行してよい。
【0072】
ステップS107:
RRC処理部131は、ページング受信通知をNAS処理部132へ提供する。NAS処理部132は、ページング受信通知から受け取る。ページング受信通知は、UE100がページングを受信したことを通知するためのものである。
【0073】
図6に示すように、RRC処理部131は、ページング受信通知により、UE100がRRCインアクティブ状態であるときにページングメッセージを受信したことをNAS処理部132へ示してよい。
【0074】
ステップS108:
NAS処理部132は、優先度を判定する。具体的には、NAS処理部132は、第1ネットワーク200との通信と、ページングに対応する第2ネットワーク200Bとの通信とのいずれを優先するか(又はいずれを好むか)を判定する。
【0075】
NAS処理部132は、第1ネットワーク200Aとの通信を第2ネットワーク200Bとの通信よりも優先すると判定した場合(YES)、ステップS107の処理を実行する。一方で、NAS処理部132は、第2ネットワーク200Bとの通信を第1ネットワーク200Aとの通信よりも優先すると判定した場合(NO)、ステップS109の処理を行わずに、例えば、第2ネットワーク200BとのRRC接続の確立を開始する。従って、UE100は、NAS処理部132にページングを受信したことを通知せずに、RRCレジュームプロシージャを開始してRRCコネクティッド状態に遷移する。
【0076】
ステップS109:
NAS処理部132は、NASメッセージをAMF221Bへ送信する。AMF221Bは、登録要求メッセージをUE100から受信する。NASメッセージは、ビジー指示子を含む。
【0077】
NAS処理部132は、NASメッセージとしてサービスリクエストメッセージを用いてビジー指示子をAMF221Bへ送信してよい。
【0078】
サービスリクエストメッセージは、5GMM-アイドルモードから5GMM-コネクティッドモードへ5GMMモードを変更するために用いられる。サービスリクエストメッセージは、サービスタイプを含んでよい。サービスタイプは、サービスリクエスト手順の目的を特定するための情報要素である。サービスタイプは、UE100がビジーであることを示してよい。
【0079】
NAS処理部132は、UE100が3GPPアクセス上で5GMM-コネクティッドモードにあるにも関わらず、RRCインアクティブ状態であるときに、ページング受信通知をRRC処理部131から受け取った場合に、サービスリクエストメッセージを用いてビジー指示子をAMF221Bへ送信してよい。
【0080】
AMF221Bは、ビジー指示子の受信に応じて、UE100への以降のページングを停止する。より具体的には、AMF221Bは、ページングエスカレーション及びページングの繰り返しを停止する。
【0081】
(2)第2動作例
図7を参照して、第2動作例について、上述の動作例との相違点を主として説明する。第2動作例では、UE100が自律的に送信許可情報を提供する。
【0082】
ステップS201:
UE100及び第2ネットワーク200Bは、登録手順を行う。UE100及びAMF221Bは、ステップS101からS103と同様の処理を行ってよい。ただし、登録要求メッセージは、UE100がビジー指示子の送信能力を有することを示す能力情報を含まなくてよい。また、登録承認メッセージは、送信許可情報を含まなくてよい。
【0083】
ステップS202:
UE100のNAS処理部132は、RCインアクティブ状態にあるUE100がビジー指示子の送信能力を有するか否かを判定する。NAS処理部132は、例えば、UE100の能力情報に基づいて、当該送信能力を有するか否かを判定できる。NAS処理部132は、UE100が当該送信能力を有することを示す能力情報を保持(記憶)している場合、送信能力を有すると判定する。一方で、NAS処理部132は、当該送信能力を有することを示す能力情報を保持(記憶)していない場合、送信能力を有さないと判定する。
【0084】
NAS処理部132は、当該送信能力を有すると判定した場合(YES)、ステップS203の処理を行う。従って、NAS処理部132は、RRCインアクティブ状態にあるUE100がビジー指示子の送信能力を有する場合、ステップS203の処理を行う。一方で、NAS処理部132は、当該送信能力を有さないと判定した場合(NO)、ステップS203の処理を省略する。
【0085】
ステップS203からS208:
ステップS104からS109と同様である。
【0086】
[その他の実施形態]
上述の実施形態において、NAS処理部132は、能力情報を登録要求メッセージ以外のメッセージにより第2ネットワーク200Bに送信してもよい。
【0087】
上述の実施形態において、NAS処理部132は、ビジー指示子をサービスリクエストメッセージ以外のNASメッセージにより第2ネットワーク200Bに送信してもよい。
【0088】
上述の実施形態の動作におけるステップは、必ずしもフロー図又はシーケンス図に記載された順序に沿って時系列に実行されなくてよい。例えば、動作におけるステップは、フロー図又はシーケンス図として記載した順序と異なる順序で実行されても、並列的に実行されてもよい。また、動作におけるステップの一部が削除されてもよく、さらなるステップが処理に追加されてもよい。さらに、上述の各動作フローは、別個独立に実施する場合に限らず、2以上の動作フローを組み合わせて実施可能である。例えば、1つの動作フローの一部のステップを他の動作フローに追加してもよいし、1つの動作フローの一部のステップを他の動作フローの一部のステップと置換してもよい。
【0089】
UE100又は基地局210が行う各処理をコンピュータに実行させるプログラムが提供されてもよい。プログラムは、コンピュータ読取り可能媒体に記録されていてもよい。コンピュータ読取り可能媒体を用いれば、コンピュータにプログラムをインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD-ROMやDVD-ROM等の記録媒体であってもよい。また、UE100又は基地局210が行う各処理を実行する回路を集積化し、UE100又は基地局210の少なくとも一部を半導体集積回路(チップセット、SoC)として構成してもよい。
【0090】
なお、上述の実施形態において、「送信する(transmit)」は、送信に使用されるプロトコルスタック内の少なくとも1つのレイヤの処理を行うことを意味してもよく、又は、無線又は有線で信号を物理的に送信することを意味してもよい。或いは、「送信する」は、上記少なくとも1つのレイヤの処理を行うことと、無線又は有線で信号を物理的に送信することとの組合せを意味してもよい。同様に、「受信する(receive)」は、受信に使用されるプロトコルスタック内の少なくとも1つのレイヤの処理を行うことを意味してもよく、又は、無線又は有線で信号を物理的に受信することを意味してもよい。或いは、「受信する」は、上記少なくとも1つのレイヤの処理を行うことと、無線又は有線で信号を物理的に受信することとの組合せを意味してもよい。
【0091】
以上、図面を参照して実施形態について詳しく説明したが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【符号の説明】
【0092】
1 :移動通信システム
100 :UE
101 :アンテナ
120 :通信部
121 :受信部
122 :送信部
130 :制御部
131 :RRC処理部
132 :NAS処理部
200 :基地局
200A :第1ネットワーク
200B :第2ネットワーク
210A :基地局
210B :基地局
211 :アンテナ
212 :通信部
212a :受信部
212b :送信部
213 :ネットワークインターフェイス
214 :制御部
220A :コアネットワーク
220B :コアネットワーク
221A :モビリティ管理装置
221B :モビリティ管理装置
222A :ゲートウェイ装置
222B :ゲートウェイ装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7