(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165347
(43)【公開日】2022-10-31
(54)【発明の名称】熱処理容器の連結具
(51)【国際特許分類】
F27D 3/12 20060101AFI20221024BHJP
B65D 21/02 20060101ALI20221024BHJP
【FI】
F27D3/12 E
B65D21/02 520
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021070708
(22)【出願日】2021-04-19
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】000004293
【氏名又は名称】株式会社ノリタケカンパニーリミテド
(74)【代理人】
【識別番号】100085361
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 治幸
(74)【代理人】
【識別番号】100147669
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 光治郎
(72)【発明者】
【氏名】松田 健児
(72)【発明者】
【氏名】松永 健嗣
(72)【発明者】
【氏名】関川 義博
(72)【発明者】
【氏名】小野田 和洋
【テーマコード(参考)】
3E006
4K055
【Fターム(参考)】
3E006AA10
3E006BA03
3E006DA02
3E006GA06
4K055AA05
4K055HA02
4K055HA13
4K055HA27
4K055HA29
(57)【要約】
【課題】熱処理容器同士の進行のばらつきを抑制しつつ熱処理炉内の雰囲気の循環が悪化することを抑制できる熱処理容器の連結具を提供する。
【解決手段】熱処理容器14A、14B同士の進行がばらつこうとすると、熱処理容器14Aの右壁14d或いは熱処理容器14Bの左壁14eが一対の係合突起18b、18cに係合して直交方向F2に隣接する熱処理容器14A、14Bの相互の移動が規制される。また、熱処理容器14Aの右壁14dと熱処理容器14Bの左壁14eとの間にスペーサ突起18dが挟まれることによって、熱処理容器14Aと熱処理容器14Bとの接近が規制されて、直交方向F2に隣接する熱処理容器14Aと熱処理容器14Bとの間に隙間Sが形成された状態で熱処理容器14A、14Bが熱処理炉12内で搬送される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱処理炉内に並列に配置され且つ回転駆動される複数本の搬送ローラ上において、被処理材料を載置した状態で搬送される矩形箱状の熱処理容器のうち前記熱処理容器の搬送方向に直交する直交方向に隣接する熱処理容器を相互に連結するための熱処理容器の連結具であって、
前記熱処理容器よりも小さい板状本体と、
前記板状本体から一体的に突設され、前記直交方向に隣接する熱処理容器のうちの一方の熱処理容器に形成された側壁のうちの他方の熱処理容器側に位置する一方の側壁と、前記他方の熱処理容器に形成された側壁のうち前記一方の側壁に対向する他方の側壁と、にそれぞれ係合する一対の係合突起と、
前記一方の側壁と前記他方の側壁との間に挟まれるように、前記板状本体の前記一対の係合突起の間から突設されたスペーサ突起と、を含む
ことを特徴とする熱処理容器の連結具。
【請求項2】
前記一対の係合突起および前記スペーサ突起は、前記搬送方向に長手状であって互いに平行である
ことを特徴とする請求項1の熱処理容器の連結具。
【請求項3】
前記一対の係合突起は、前記一方の側壁の端部と前記他方の側壁の端部とに係合する
ことを特徴とする請求項1または2の熱処理容器の連結具。
【請求項4】
前記連結具の連結状態において、
前記板状本体は、前記一方の側壁および前記他方の側壁に沿って伸びる長板であり、
前記一対の係合突起のうちの一方は、前記長板の前記一方の熱処理容器側に位置する側縁部から前記一方の側壁に対向するように突設された長手状の突起であり、
前記一対の係合突起のうちの他方は、前記長板の前記他方の熱処理容器側に位置する側縁部から前記他方の側壁に対向するように突設された長手状の突起である
ことを特徴とする請求項1または2の熱処理容器の連結具。
【請求項5】
前記板状本体の両側縁部のうち前記一対の係合突起が突設されていない側縁部から前記一対の係合突起の突設方向と同じ方向に突設され、前記一対の係合突起との間に前記熱処理容器の側壁の厚みより大きい間隔を隔てて位置するずれ止め突起を、含む
ことを特徴とする請求項3の熱処理容器の連結具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱処理炉内に配置された複数本の搬送ローラ上において搬送方向に搬送される矩形箱状の熱処理容器のうち前記搬送方向に直交する方向に隣接する熱処理容器を相互に連結するための熱処理容器の連結具に関し、前記熱処理容器同士の進行のばらつきを抑制しつつ前記熱処理炉内の雰囲気の循環が悪化することを抑制する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
熱処理炉内に並列に配置され且つ回転駆動される複数本の搬送ローラ上で搬送方向に搬送される被焼成品おいて、前記被焼成品が前記搬送方向に直交する方向に複数配置されたものが知られている。例えば、特許文献1に記載されたものがそれである。ところで、特許文献1では、例えば、前記搬送ローラの自重および前記被焼成品の荷重によって前記搬送ローラの中央部が下方に撓むことにより、前記搬送方向に搬送される前記被焼成品のうち中央部の被焼成品が両側の被焼成品よりも進行が遅れ、炉出口における自動搬出に支障が出るという問題があった。また、特許文献1において、前記被焼成品にかえて被処理材料が載置された矩形箱状の熱処理容器を使用することが考えられるが、前記搬送方向に直交する方向に複数配置された前記熱処理容器が搬送されると、上記と同様に、中央部の熱処理容器が両側の熱処理容器に対して進行が遅れるという問題、すなわち熱処理容器同士の進行がばらつくという問題が発生すると考えられる。前記熱処理容器同士の進行がばらつくと、例えば、前記熱処理炉の出口に設けられたシャッタを開いている状態が長くなるので、前記熱処理炉内に外気の流入が多くなるという問題等が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭61-43198号公報
【特許文献2】実公昭43-7173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これに対して、特許文献2に示すような熱処理容器の連結具が知られている。特許文献2の熱処理容器の連結具は、隣接する矩形箱状の熱処理容器をそれぞれ連結するとともに隣接する熱処理容器の開口をそれぞれ塞ぐ蓋状の連結具である。このため、前記搬送方向に直交する方向に隣接する前記熱処理容器に前記蓋状の連結具を使用すると、前記蓋状の連結具によって隣接する熱処理容器の相対移動が拘束されるので、熱処理容器同士の進行のばらつきを抑制することができる。しかしながら、上記のような前記蓋状の連結具は、隣接する熱処理容器の開口をそれぞれ塞ぐだけでなく隣接する熱処理容器との間の空間も塞いでしまうので、熱処理中の熱処理炉内において熱処理容器の上下の雰囲気の循環が悪くなって、例えば被処理材料を熱処理する処理効率が悪くなってしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、熱処理容器同士の進行のばらつきを抑制しつつ熱処理炉内の雰囲気の循環が悪化することを抑制できる熱処理容器の連結具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1発明の要旨とするところは、(a)熱処理炉内に並列に配置され且つ回転駆動される複数本の搬送ローラ上において、被処理材料を載置した状態で搬送される矩形箱状の熱処理容器のうち前記熱処理容器の搬送方向に直交する直交方向に隣接する熱処理容器を相互に連結するための熱処理容器の連結具であって、(b)前記熱処理容器よりも小さい板状本体と、(c)前記板状本体から一体的に突設され、前記直交方向に隣接する熱処理容器のうちの一方の熱処理容器に形成された側壁のうちの他方の熱処理容器側に位置する一方の側壁と、前記他方の熱処理容器に形成された側壁のうち前記一方の側壁に対向する他方の側壁と、にそれぞれ係合する一対の係合突起と、(d)前記一方の側壁と前記他方の側壁との間に挟まれるように、前記板状本体の前記一対の係合突起の間から突設されたスペーサ突起と、を含むことにある。
【0007】
また、第2発明の要旨とするところは、前記第1発明において、前記一対の係合突起および前記スペーサ突起は、前記搬送方向に長手状であって互いに平行であることにある。
【0008】
また、第3発明の要旨とするところは、前記第1発明又は前記第2発明において、前記一対の係合突起は、前記一方の側壁の端部と前記他方の側壁の端部とに係合することにある。
【0009】
また、第4発明の要旨とするところは、前記第1発明又は前記第2発明において、(a)前記連結具の連結状態において、(b)前記板状本体は、前記一方の側壁および前記他方の側壁に沿って伸びる長板であり、(c)前記一対の係合突起のうちの一方は、前記長板の前記一方の熱処理容器側に位置する側縁部から前記一方の側壁に対向するように突設された長手状の突起であり、(d)前記一対の係合突起のうちの他方は、前記長板の前記他方の熱処理容器側に位置する側縁部から前記他方の側壁に対向するように突設された長手状の突起であることにある。
【0010】
また、第5発明の要旨とするところは、前記第3発明において、前記板状本体の両側縁部のうち前記一対の係合突起が突設されていない側縁部から前記一対の係合突起の突設方向と同じ方向に突設され、前記一対の係合突起との間に前記熱処理容器の側壁の厚みより大きい間隔を隔てて位置するずれ止め突起を、含むことにある。
【発明の効果】
【0011】
第1発明の熱処理容器の連結具によれば、(b)前記熱処理容器よりも小さい板状本体と、(c)前記板状本体から一体的に突設され、前記直交方向に隣接する熱処理容器のうちの一方の熱処理容器に形成された側壁のうちの他方の熱処理容器側に位置する一方の側壁と、前記他方の熱処理容器に形成された側壁のうち前記一方の側壁に対向する他方の側壁と、にそれぞれ係合する一対の係合突起と、(d)前記一方の側壁と前記他方の側壁との間に挟まれるように、前記板状本体の前記一対の係合突起の間から突設されたスペーサ突起と、を含む。このため、前記熱処理容器同士の進行がばらつこうとすると、前記一方の熱処理容器に形成された前記一方の側壁或いは前記他方の熱処理容器に形成された前記他方の側壁が前記一対の係合突起に係合して前記直交方向に隣接する熱処理容器の相互の移動が規制されるので、前記熱処理容器同士の進行のばらつきを抑制することができる。また、前記一方の熱処理容器に形成された前記一方の側壁と前記他方の熱処理容器に形成された前記他方の側壁との間に前記スペーサ突起が挟まれることによって、前記一方の熱処理容器と前記他方の熱処理容器との接近が規制されて、隣接する前記一方の熱処理容器と前記他方の熱処理容器との間に隙間が形成された状態で前記熱処理容器が前記熱処理炉内で搬送されるので、前記熱処理炉内の雰囲気の循環が悪化することを抑制できる。
【0012】
第2発明の熱処理容器の連結具によれば、前記一対の係合突起および前記スペーサ突起は、前記搬送方向に長手状であって互いに平行である。このため、長手状の前記スペーサ突起によって前記一方の熱処理容器と前記他方の熱処理容器との接近を好適に規制することができる。
【0013】
第3発明の熱処理容器の連結具によれば、前記一対の係合突起は、前記一方の側壁の端部と前記他方の側壁の端部とに係合する。このため、前記熱処理容器同士の進行がばらつこうとすると、前記一方の熱処理容器に形成された角部或いは前記他方の熱処理容器に形成された角部が前記一対の係合突起に当接して、前記直交方向に隣接する熱処理容器の相互の移動を好適に規制することができる。
【0014】
第4発明の熱処理容器の連結具によれば、(a)前記連結具の連結状態において、(b)前記板状本体は、前記一方の側壁および前記他方の側壁に沿って伸びる長板であり、(c)前記一対の係合突起のうちの一方は、前記長板の前記一方の熱処理容器側に位置する側縁部から前記一方の側壁に対向するように突設された長手状の突起であり、(d)前記一対の係合突起のうちの他方は、前記長板の前記他方の熱処理容器側に位置する側縁部から前記他方の側壁に対向するように突設された長手状の突起である。このため、前記直交方向に隣接する熱処理容器が相互に移動すると、前記一方の熱処理容器に形成された角部或いは前記他方の熱処理容器に形成された角部が前記一対の係合突起に当接して、前記直交方向に隣接する熱処理容器の相互の移動を好適に規制することができる。
【0015】
第5発明の熱処理容器の連結具によれば、前記板状本体の両側縁部のうち前記一対の係合突起が突設されていない側縁部から前記一対の係合突起の突設方向と同じ方向に突設され、前記一対の係合突起との間に前記熱処理容器の側壁の厚みより大きい間隔を隔てて位置するずれ止め突起を、含む。このため、前記ずれ止め突起は、前記熱処理容器の側壁を前記一対の係合突起との間に挟むことにより、前記連結具のずれを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一例の連結具が好適に適用された連続搬送式の熱処理炉の概略構成を説明する斜視図である。
【
図2】
図1において直交方向に隣接する熱処理容器と熱処理容器とを連結する連結具を拡大した拡大図である。
【
図3】
図2に示された連結具を矢印A方向から見た図である。
【
図4】本発明の他の実施例(実施例2)の連結具の概略構成を説明する斜視図である。
【
図5】本発明の他の実施例(実施例3)の連結具の概略構成を説明する斜視図である。
【
図6】本発明の他の実施例(実施例4)の連結具の概略構成を説明する斜視図である。
【
図7】
図6において直交方向に隣接する熱処理容器と熱処理容器とを連結する連結具を拡大した拡大図である。
【
図8】
図7に示された連結具を矢印B方向から見た図である。
【
図9】本発明の他の実施例(実施例5)の連結具の概略構成を説明する斜視図である。
【
図10】
図9において直交方向に隣接する熱処理容器と熱処理容器とを連結する連結具を拡大した拡大図である。
【
図11】
図10に示された連結具を矢印C方向から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比及び形状等は必ずしも正確に描かれていない。
【実施例0018】
図1は、本発明の一例の連結具18が好適に適用された連続搬送式の熱処理炉12の概略構成を説明する斜視図である。熱処理炉12は、粉体状或いはペレット状の被処理材料10を収容すなわち載置した熱処理容器14を、Al
2O
3、SiCなどの耐熱性無機材料の焼結体である複数本の搬送ローラ16によって連続的に且つ直線的にそれぞれ搬送して、所定の炉内雰囲気下例えば不活性ガス雰囲気下で熱処理容器14内の被処理材料10を所定温度で熱処理するローラハースキルンである。なお、熱処理炉12は、
図1に示すように、熱処理炉12内に並列に且つ同間隔で配置された相互に同径の円柱状の搬送ローラ16と、搬送ローラ16をそれぞれ同期して回転駆動させる駆動装置(図示しない)と、を備えており、熱処理炉12では、搬送ローラ16上に配置された熱処理容器14が一方向すなわち搬送方向F1に搬送されるようになっている。また、被処理材料10は、例えば、電池材料であり、好ましくは、全固体電池の電極材料、リチウムイオン電池の電極材料である。
【0019】
例えば、熱処理炉12内では、
図1に示すように、連結具18によってそれぞれ搬送方向F1に直交する直交方向F2に隣接するように連結された熱処理容器14が例えば4つ搬送方向F1に搬送されるようになっている。なお、
図1に示す4つの熱処理容器14は、それぞれ同じ形状すなわちそれぞれ矩形箱状であり、4つの熱処理容器14は、それぞれ、ムライト・コーディエライト、ムライト、コーディエライト、アルミナ、スピネル、SiC、チタン酸アルミニウムなどの耐熱性無機材料の焼結体から構成されている。連結具18も例えば上記のような耐熱性無機材料の焼結体から構成されているので、連結具18と熱処理容器14との間の摩擦抵抗は大きい。また、直交方向F2は、搬送ローラ16の長手方向であって搬送ローラ16の軸線に対して平行であり、搬送方向F1は、搬送ローラ16の軸線に対して直交している。
【0020】
4つの熱処理容器14は、
図1に示すように、それぞれ、正方形状の底壁14aと、底壁14aの搬送方向F1側に立設された前壁(側壁)14bと、底壁14aの搬送方向F1とは反対側に立設された後壁(側壁)14cと、底壁14aの搬送方向F1に向かって右側に立設された右壁(側壁)14dと、底壁14aの搬送方向F1に向かって左側に立設された左壁(側壁)14eと、を一体に備えている。なお、前壁14b、後壁14c、右壁14d、左壁14eの上面は、それぞれ、同じ平面内に形成されており、前壁14b、後壁14c、右壁14d、左壁14eの上面は、それぞれ、底壁14aに対して平行である。また、熱処理容器14には、前壁14b、後壁14c、右壁14d、および左壁14eによって4つの角部14fが形成されている。
【0021】
ここで、
図1に示された4つの熱処理容器14を、熱処理容器14Aと、熱処理容器14Bと、熱処理容器14Cと、熱処理容器14Dと、にそれぞれ区別して、連結具18の構成を説明する。なお、熱処理容器14Aは、4つの熱処理容器14のうち搬送方向F1に向かって最も左側に配置された熱処理容器14である。また、熱処理容器14Bは、熱処理容器14Aに対して直交方向F2に隣接する熱処理容器14、すなわち熱処理容器14Aに対して搬送方向F1に向かって右側に配置された熱処理容器14である。また、熱処理容器14Cは、熱処理容器14Bに対して搬送方向F1に向かって右側に配置された熱処理容器14である。また、熱処理容器14Dは、熱処理容器14Cに対して搬送方向F1に向かって右側に配置された熱処理容器14、すなわち4つの熱処理容器14のうち搬送方向F1に向かって最も右側に配置された熱処理容器14である。なお、4つの熱処理容器14には、
図1に示すように、熱処理容器14Aと熱処理容器14Bとを連結する連結具18と、熱処理容器14Bと熱処理容器14Cとを連結する連結具18と、熱処理容器14Cと熱処理容器14Dとを連結する連結具18と、が備えられており、それら3つの連結具18はそれぞれ同じ形状である。以下において、直交方向F2に隣接する熱処理容器(一方の熱処理容器)14Aと熱処理容器(他方の熱処理容器)14Bとを相互に連結する連結具18を用いて、連結具18の構成を説明する。
【0022】
連結具18は、
図1乃至
図3に示すように、板状本体18aと、一対の係合突起18b、18cと、スペーサ突起18dと、を一体に含んでいる。
図2は、
図1において直交方向F2に隣接する熱処理容器14Aと熱処理容器14Bとを連結する連結具18を拡大した拡大図であり、
図3は、
図2の連結具18を矢印A方向から見た図である。板状本体18aは、
図1に示すように、熱処理容器14A、14Bの底壁14aよりも大きさが充分に小さい例えは熱処理容器14A、14Bの一辺の長さよりも1/3以下の辺を有する正方形状の板状部材である。一対の係合突起18b、18cのうちの一方の係合突起18bは、
図1乃至
図3に示すように、板状本体18aから一体的に突設されており、係合突起18bは、熱処理容器14Aに形成された前壁14b、後壁14c、右壁14d、左壁14eのうち熱処理容器14B側に位置する一方の側壁である右壁14dに係合する。一対の係合突起18b、18cのうちの他方の係合突起18cは、
図1乃至
図3に示すように、板状本体18aから一体的に突設されており、係合突起18cは、熱処理容器14Bに形成された前壁14b、後壁14c、右壁14d、左壁14eのうち熱処理容器14Aの右壁14dに対向する他方の側壁である左壁14eに係合する。スペーサ突起18dは、
図1乃至
図3に示すように、熱処理容器14Aの右壁14dと熱処理容器14Bの左壁14eとの間に挟まれるように、板状本体18aの一対の係合突起18b、18cの間から突設されている。
【0023】
一対の係合突起18b、18cのうちの一方の係合突起18bは、
図1乃至
図3に示すように、板状本体18aの熱処理容器14A側に位置する側縁部18eから熱処理容器14Aの右壁14dに対向するように突設された搬送方向F1に長手状の突起である。一対の係合突起18b、18cのうちの他方の係合突起18cは、
図1乃至
図3に示すように、板状本体18aの熱処理容器14B側に位置する側縁部18fから熱処理容器14Bの左壁14eに対向するように突設された搬送方向F1に長手状の突起である。スペーサ突起18dは、
図1乃至
図3に示すように、板状本体18aの一対の係合突起18b、18cの間から熱処理容器14Aの右壁14dと熱処理容器14Bの左壁14eとの間に突設された搬送方向F1に長手状の突起である。
【0024】
以上のように構成された熱処理炉12では、直交方向F2に隣接する熱処理容器14A、14B同士の進行がばらつこうとすると、熱処理容器14Aに形成された右壁14d或いは熱処理容器14Bに形成された左壁14eが一対の係合突起18b、18cに係合して、直交方向F2に隣接する熱処理容器14A、14Bの相互の移動が規制される。例えば、熱処理容器14Bに対して熱処理容器14Aの進行が遅れようとすると、熱処理容器14Aの右壁14dが連結具18の係合突起18bに係合して、熱処理容器14Aの右壁14dと係合突起18bとの間で生じる摩擦力によって熱処理容器14Bに対する熱処理容器14Aの搬送方向F1の相対移動が規制される。なお、本実施例で用いられた熱処理容器14や連結具18は、多孔質の無機材料であり且つその表面はザラザラしているので、熱処理容器14と連結具18との間で発生する摩擦力が比較的大きい。また、熱処理容器14Aに形成された右壁14dと熱処理容器14Bに形成された左壁14eとの間にスペーサ突起18dが挟まれることによって、熱処理容器14Aと熱処理容器14Bとの接近が規制されて、直交方向F2に隣接する熱処理容器14Aと熱処理容器14Bとの間に隙間Sが形成された状態で熱処理容器14A、14Bが熱処理炉12内で搬送される。隙間Sによって熱処理容器14A、14Bの上下の雰囲気の循環が行われる。
【0025】
上述のように、本実施例の熱処理容器14A、14B、14C、14Dの連結具18によれば、熱処理容器14A、14Bよりも小さい板状本体18aと、板状本体18aから一体的に突設され、直交方向F2に隣接する熱処理容器14A、14Bのうちの一方の熱処理容器14Aに形成された側壁14b、14c、14d、14eのうちの他方の熱処理容器14B側に位置する右壁14dと、他方の熱処理容器14Bに形成された側壁14b、14c、14d、14eのうち熱処理容器14Aの右壁14dに対向する左壁14eと、にそれぞれ係合する一対の係合突起18b、18cと、一方の熱処理容器14Aの右壁14dと他方の熱処理容器14Bの左壁14eとの間に挟まれるように、板状本体18aの一対の係合突起18b、18cの間から突設されたスペーサ突起18dと、を含む。このため、熱処理容器14A、14B同士の進行がばらつこうとすると、熱処理容器14Aに形成された右壁14d或いは熱処理容器14Bに形成された左壁14eが一対の係合突起18b、18cに係合して直交方向F2に隣接する熱処理容器14A、14Bの相互の移動が規制されるので、熱処理容器14A、14B同士の進行のばらつきを抑制することができる。また、熱処理容器14Aに形成された右壁14dと熱処理容器14Bに形成された左壁14eとの間にスペーサ突起18dが挟まれることによって、熱処理容器14Aと熱処理容器14Bとの接近が規制されて、直交方向F2に隣接する熱処理容器14Aと熱処理容器14Bとの間に隙間Sが形成された状態で熱処理容器14A、14Bが熱処理炉12内で搬送されるので、熱処理炉12内の雰囲気の循環が悪化することを抑制できる。
【0026】
また、本実施例の熱処理容器14A、14B、14C、14Dの連結具18によれば、一対の係合突起18b、18cおよびスペーサ突起18dは、搬送方向F1に長手状であって互いに平行である。このため、長手状のスペーサ突起18dによって熱処理容器14Aと熱処理容器14Bとの接近を好適に規制することができる。
【0027】
また、本実施例の熱処理容器14A、14B、14C、14Dの連結具18によれば、連結具18は、直交方向F2に隣接する少なくとも3つ以上の熱処理容器14すなわち4つの熱処理容器14A、14B、14C、14Dを連結するものである。このため、熱処理容器14A、14B、14C、14D同士の進行がばらつき易い3つ以上の熱処理容器14の進行のばらつきを好適に抑制することができる。
【0028】
次に、本発明の他の実施例を説明する。尚、以下の説明において実施例相互に共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。