(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165374
(43)【公開日】2022-10-31
(54)【発明の名称】ダンパ
(51)【国際特許分類】
F16F 9/50 20060101AFI20221024BHJP
【FI】
F16F9/50
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021200523
(22)【出願日】2021-12-10
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-07-21
(31)【優先権主張番号】P 2021070067
(32)【優先日】2021-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】KYB株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122323
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 憲
(72)【発明者】
【氏名】作田 敦
(72)【発明者】
【氏名】小川 貴之
【テーマコード(参考)】
3J069
【Fターム(参考)】
3J069AA50
3J069EE11
3J069EE62
(57)【要約】
【課題】制振対象への搭載性と組立性とを損なうことなくアンロード時の収縮側の減衰力を低減可能なダンパの提供を目的とする。
【解決手段】本発明のダンパD1は、シリンダ1と、ピストンロッド2と、ピストン3と、タンクTと、伸側通路4に設けた伸側減衰弁5と、圧側通路6に設けた圧側弁7と、排出通路8に設けた圧側減衰弁9と、伸側吸込通路10に設けた伸側吸込弁11と、第1アンロード通路14を開閉する第1アンロード弁15と、第2アンロード通路16に設けられて第2アンロード通路16を開閉する第2アンロード弁17と、第1アンロード通路14と第2アンロード弁17とを接続する接続通路18とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダと、
前記シリンダ内に移動可能に挿入されるピストンロッドと、
前記シリンダ内に摺動自在に挿入されて前記ピストンロッドに連結されるとともに、前記シリンダ内を前記ピストンロッドが挿通されるロッド側室とピストン側室とに区画するピストンと、
タンクと、
前記ロッド側室と前記ピストン側室とを連通する伸側通路に設けられて前記ロッド側室から前記ピストン側室へ向かう液体の流れのみを許容しつつ当該流れに抵抗を与える伸側減衰弁と、
前記ロッド側室と前記ピストン側室とを連通する圧側通路に設けられて前記ピストン側室から前記ロッド側室へ向かう液体の流れのみを許容する圧側弁と、
前記ピストン側室と前記タンクとを連通する排出通路に設けられて前記ピストン側室から前記タンクへ向かう液体の流れのみを許容しつつ当該流れに抵抗を与える圧側減衰弁と、
前記ピストン側室と前記タンクとを連通する伸側吸込通路に設けられて前記タンクから前記ピストン側室へ向かう液体の流れのみを許容する伸側吸込弁と、
前記ロッド側室と前記タンクとを連通する第1アンロード通路に設けられて前記第1アンロード通路を開閉する第1アンロード弁と、
前記ピストン側室と前記タンクとを連通する第2アンロード通路に設けられて前記第2アンロード通路を開閉する第2アンロード弁と、
前記第1アンロード通路の前記ロッド側室と前記第1アンロード弁との間と前記第2アンロード通路の前記ピストン側室と前記第2アンロード弁との間とを接続する接続通路とを備えた
ことを特徴とするダンパ。
【請求項2】
前記第1アンロード通路に設けられて前記ロッド側室から前記第1アンロード弁へ向かう液体の流れのみを許容する第1逆止弁と、
前記接続通路の途中に設けられて前記第2アンロード通路から前記第1アンロード通路へ向かう液体の流れのみを許容する第2逆止弁とを備えた
ことを特徴とする請求項1に記載のダンパ。
【請求項3】
前記第1アンロード通路に設けられて前記ロッド側室から前記第1アンロード弁および前記第2アンロード弁へ向かう液体の流れのみを許容する第1逆止弁と、
前記第2アンロード通路に設けられて前記ピストン側室から前記第1アンロード弁および前記第2アンロード弁へ向かう液体の流れのみを許容する第3逆止弁とを備えた
ことを特徴とする請求項1に記載のダンパ。
【請求項4】
前記第1アンロード通路上であって、前記第1アンロード通路と前記接続通路とを接続する接続点よりもロッド側室側に設けられた第1調整オリフィスと、
前記接続通路の途中に設けられた第2調整オリフィスとを備えた
ことを特徴とする請求項2に記載のダンパ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ダンパに関する。
【背景技術】
【0002】
ダンパは、伸縮時に発揮する減衰力で制振対象の振動を抑制する。ダンパとしては、たとえば、制振対象を鉄道車両として、車体と台車との間に介装されて使用され、鉄道車両の車体の水平方向の振動を抑制する。このような用途で使用されるダンパが同じピストン速度で伸縮する場合において伸長作動時と収縮作動時とで減衰力の大きさに偏りがあると、減衰力が小さい方の作動方向への変位量が大きくなるために、伸縮を何度も繰り返すと次第に車体が台車に対して左右いずれかに偏ってしまう。そのため、車体の水平方向の振動を抑制するダンパにあっては、伸長作動時と収縮作動時とで等しい減衰特性を備える必要がある。
【0003】
伸長作動時と収縮作動時とで等しい減衰特性を発揮させるダンパとしてはピストンの両側に同じ断面積を持つピストンロッドを設けた所謂両ロッド型のダンパがある。しかしながら、両ロッド型のダンパは、ピストンロッドがピストンの両側に延びているので基本長が長くなり搭載スペースを大きく確保しなければならない問題がある。
【0004】
よって、ピストンの一方側にしかピストンロッドを設けない片ロッド型のダンパであっても伸縮両側で等しい減衰特性を実現するダンパとしてユニフロー型のダンパが広く用いられている。
【0005】
このユニフロー型のダンパは、ピストンロッドの断面積をピストンの断面積の二分の一に設定してあり、伸長作動しても収縮作動してもシリンダ内でのストローク量が同じであれば等しい量の作動油をタンクへ排出でき、シリンダからタンクへ排出される作動油の流れに共通の減衰バルブで抵抗を与えて伸縮両方の減衰力を発揮させるようになっている(たとえば、特許文献1参照)。
【0006】
ところで、ダンパは、車体の振動を抑制するため、高い減衰力の発揮が要求される。他方、制振対象の振動を能動的に抑制する場合、制振対象である車体と台車との間にダンパと並列にアクチュエータを設置する場合がある。アクチュエータが車体を変位させる推力を発揮するとダンパの減衰力はこの推力に抵抗する力として作用する。よって、アクチュエータによって車体を制振する状況ではダンパが発揮する減衰力が高すぎると、アクチュエータの制振効果を減殺してしまうとともに、アクチュエータのエネルギ消費が激しくなる。このように、アクチュエータと併設されるダンパでは、アクチュエータによる制振時には低減衰力の発揮が要求される一方で、ダンパによって車体を制振させる状況では高減衰力の発揮が要求される。
【0007】
ここで、ダンパは、シリンダ内の圧力をピストンに作用させることにより減衰力を発揮するので、高減衰力の発揮を担保するにはピストンの受圧面積を大きくする必要がある。しかしながら、ユニフロー型のダンパでは、ピストンロッドの断面積をピストンの断面積の二分の一に設定しなければならず、ピストンの受圧面積を大きく確保しようとするとシリンダ径が大きくなりダンパの大型化を招いてしまう。
【0008】
そこで、ダンパをユニフロー型ではなくバイフロー型にして、ピストンの受圧面積を大きくして高減衰力を発生可能としたダンパが提案されている(たとえば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平08-074914号公報
【特許文献2】特開2004-108507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
バイフロー型に設定されたダンパでは、ロッド側室とタンクとを連通する伸側アンロード通路に設けられた伸側アンロード弁と、ピストン側室とタンクとを連通する圧側アンロード通路に設けられた圧側アンロード弁とを備えている。そして、ダンパは、伸長作動時に伸側アンロード弁を開弁させると、伸側アンロード通路を通じて圧縮されるロッド側室からタンクへ作動油を抵抗少なく排出させて低減衰力を発生する。また、ダンパは、収縮作動時に圧側アンロード弁を開弁させると、圧側アンロード通路を通じて圧縮されるピストン側室からタンクへ作動油を抵抗少なく排出させて低減衰力を発生する。
【0011】
このように、従来のダンパは、伸側アンロード弁と圧側アンロード弁の開弁によって低減衰力を発揮できるのであるが、収縮作動時ではピストンの断面積にピストンの変位量を乗じた値の量の作動油がピストン側室から圧側アンロード弁を通じてタンクへ排出される一方、伸長作動時ではピストンの断面積からピストンロッドの断面積を引いた値にピストンの変位量を乗じた値の量の作動油がロッド側室から伸側アンロード弁を通じてタンクへ排出される。つまり、バイフロー型のダンパでは、収縮作動時にシリンダからタンクへ排出される作動油量の方が伸長作動時にシリンダからタンクへ排出される作動油量よりも多いので、伸側アンロード弁と圧側アンロード弁とに同じアンロード弁を使用すると、どうしてもアンロード時では収縮作動時の方が伸長作動時よりも減衰力が大きくなってしまいアクチュエータの制振効果を損ねてしまう問題がある。
【0012】
この問題に対して、圧側アンロード弁を大型化すると、ダンパが大型化して鉄道車両への搭載性が悪化してしまうとともに、異なるアンロード弁を管理しつつ組立する必要が生じて組立性も悪化してしまう。このような問題は、鉄道車両に限った話ではなく、鉄道車両以外の車両、構造物や機械等を制振対象とする場合も同様であって、圧側アンロード弁の大型化によって、ダンパの制振対象への搭載性および組立性が悪化する。
【0013】
そこで、本発明は、制振対象への搭載性と組立性とを損なうことなくアンロード時の収縮側の減衰力を低減可能なダンパの提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のダンパは、シリンダと、シリンダ内に移動可能に挿入されるピストンロッドと、シリンダ内に摺動自在に挿入されてピストンロッドに連結されるとともにシリンダ内をピストンロッドが挿通されるロッド側室とピストン側室とに区画するピストンと、タンクと、ロッド側室とピストン側室とを連通する伸側通路に設けられてロッド側室からピストン側室へ向かう液体の流れのみを許容しつつ当該流れに抵抗を与える伸側減衰弁と、ロッド側室とピストン側室とを連通する圧側通路に設けられてピストン側室からロッド側室へ向かう液体の流れのみを許容する圧側弁と、ピストン側室とタンクとを連通する排出通路に設けられてピストン側室からタンクへ向かう液体の流れのみを許容しつつ当該流れに抵抗を与える圧側減衰弁と、ピストン側室とタンクとを連通する伸側吸込通路に設けられてタンクからピストン側室へ向かう液体の流れのみを許容する伸側吸込弁と、ロッド側室とタンクとを連通する第1アンロード通路に設けられて第1アンロード通路を開閉する第1アンロード弁と、ピストン側室とタンクとを連通する第2アンロード通路に設けられて第2アンロード通路を開閉する第2アンロード弁と、第1アンロード通路のロッド側室と第1アンロード弁との間と第2アンロード通路のピストン側室と第2アンロード弁との間とを接続する接続通路とを備えている。
【0015】
このように構成されたダンパでは、シリンダ内からタンクへ排出される液体量が伸長作動時よりも多い収縮作動時において、低減衰力を発揮させる場合、第2アンロード弁のみならず第1アンロード弁を開弁させて、シリンダ内から押し出される液体を第2アンロード弁だけでなく接続通路を介して第1アンロード弁をも通過させてタンクへ排出できるため、同じ製品の第1アンロード弁と第2アンロード弁とを利用しても収縮作動時の減衰力を極低くできる。
【0016】
また、ダンパは、第1アンロード通路に設けられてロッド側室から第1アンロード弁へ向かう液体の流れのみを許容する第1逆止弁と、接続通路の途中に設けられて第2アンロード通路から第1アンロード通路へ向かう液体の流れのみを許容する第2逆止弁とを備えてもよい。このように構成されたダンパによれば、従来のダンパの構造に対して大幅な設計変更を行う必要がなく、制振対象への搭載性と組立性とを損なうことなくアンロード時の収縮側の減衰力を低減するという所期の効果を達成できる。
【0017】
さらに、ダンパは、第1アンロード通路に設けられてロッド側室から第1アンロード弁および前記第2アンロード弁へ向かう液体の流れのみを許容する第1逆止弁と、第2アンロード通路に設けられてピストン側室から第1アンロード弁および第2アンロード弁へ向かう液体の流れのみを許容する第3逆止弁とを備えてもよい。このように構成されたダンパによれば、伸長作動時に作動油を第1アンロード弁だけでなく第2アンロード弁をも介してタンクへ排出できるので第1アンロード弁と第2アンロード弁との両方を小型化できるとともに、従来のダンパの構造に対して大幅な設計変更を行う必要がなく、制振対象への搭載性と組立性とを損なうことなくアンロード時の収縮側の減衰力を低減するという所期の効果を達成できる。
【0018】
さらに、ダンパは、第1アンロード通路上であって第1アンロード通路と接続通路とを接続する接続点よりもロッド側室側に設けられた第1調整オリフィスと、接続通路の途中に設けられた第2調整オリフィスとを備えてもよい。このように構成されたダンパによれば、伸側と圧側との双方をアンロード状態とした場合の伸側減衰力と圧側減衰力とを個別にチューニングできるので、伸側と圧側との双方をアンロード状態とした場合の伸側減衰力と圧側減衰力とを等しくするチューニング作業が容易となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明のダンパによれば、制振対象への搭載性と組立性とを損なうことなくアンロード時の収縮側の減衰力を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】第1の実施の形態におけるダンパの回路構成を示した図である。
【
図2】本発明におけるダンパの減衰力特性の一例を示した図である。
【
図3】第2の実施の形態におけるダンパの回路構成を示した図である。
【
図4】第3の実施の形態におけるダンパの回路構成を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、図示した実施の形態に基づいて、この発明を説明する。第1の実施の形態におけるダンパD1は、
図1に示すように、シリンダ1と、シリンダ1内に摺動自在に挿入されるピストンロッド2と、シリンダ1内に移動可能に挿入されてシリンダ1内をロッド側室R1とピストン側室R2とに区画するピストン3と、タンクTと、ロッド側室R1とピストン側室R2とを連通する伸側通路4に設けられた伸側減衰弁5と、ロッド側室R1とピストン側室R2とを連通する圧側通路6に設けられた圧側弁7と、ピストン側室R2とタンクTとを連通する排出通路8に設けられた圧側減衰弁9と、ピストン側室R2とタンクTとを連通する伸側吸込通路10に設けられた伸側吸込弁11と、ロッド側室R1とタンクTとを連通する圧側吸込通路12に設けられた圧側吸込弁13と、減衰力を低くするアンロード回路UD1とを備えている。このダンパD1は、たとえば、図示しないアクチュエータと並列に制振対象としての鉄道車両の車体と台車との間に介装されて、車体の水平方向の振動を抑制する。なお、ダンパは、鉄道車両に設けられる場合、車体の揺動を抑制するヨーダンパとして使用されてもよいし、編成列車の車体間に架け渡される車端ダンパとして使用されてもよい。また、本実施の形態では、制振対象を鉄道車両として、鉄道車両に適用されたダンパを例にして本発明のダンパを説明しているが、本発明のダンパは、鉄道車両以外の車両、構造物や建築物、さらには機械等を制振対象として、当該制振対象の振動の抑制に利用可能である。
【0022】
また、ロッド側室R1とピストン側室R2には液体として作動油が充填されるとともに、タンクTには、作動油のほかに気体が充填されている。液体は、作動油以外にも、水や水溶液を使用することも可能である。なお、タンクT内は、特に、気体を圧縮して充填することによって加圧状態とする必要は無いが、加圧状態としてもよい。
【0023】
以下、ダンパD1の各部について説明する。シリンダ1は筒状であって、その
図1中右端は蓋19によって閉塞され、
図1中左端には環状のロッドガイド20が取り付けられている。また、上記ロッドガイド20の内周には、シリンダ1内に移動自在に挿入されるピストンロッド2が摺動自在に挿入されている。このピストンロッド2は、一端をシリンダ1内に摺動自在に挿入されているピストン3に連結してあり、他端をシリンダ1外へ突出させており、シリンダ1に対して移動可能とされている。
【0024】
また、このダンパD1は、シリンダ1の外周を覆う外筒21を備えている。外筒21の
図1中左端と右端は、シリンダ1と同様に、蓋19とロッドガイド20とで閉塞されており、外筒21とシリンダ1との間の環状隙間でタンクTが形成されている。
【0025】
また、ピストンロッド2の
図1中左端である他端と、シリンダ1の右端を閉塞する蓋19には、図示はしないが、このダンパD1を車体と台車との間の設置箇所へ取り付けることができるようにブラケットが設けられる。
【0026】
ピストン3は、シリンダ1内に摺動自在に挿入されており、シリンダ1内をピストンロッド2が挿通されるロッド側室R1とピストンロッド2が挿通されていないピストン側室R2とに区画している。ピストン3には、ロッド側室R1とピストン側室R2とを連通する伸側通路4および圧側通路6と、伸側通路4に設置される伸側減衰弁5と、圧側通路6に設置される圧側弁7とが設けられている。
【0027】
伸側通路4は、ロッド側室R1とピストン側室R2とを連通しており、途中には、ロッド側室R1からピストン側室R2へ向かう作動油の流れのみを許容し、かつ、作動油の流れに抵抗を与える伸側減衰弁5が設けられている。この伸側減衰弁5によって伸側通路4は、ロッド側室R1からピストン側室R2へ向かう作動油の流れのみを許容する一方通行の通路に設定されている。なお、伸側減衰弁5は、本実施の形態では、上流側となるロッド側室R1と下流側となるピストン側室R2との差圧が開弁圧に達すると開弁して伸側通路4を開放してロッド側室R1からピストン側室R2へ向かう作動油の流れを許容する調圧弁とされているが、調圧弁に代えてオリフィスやチョークといった絞りとされてもよい。
【0028】
圧側通路6は、ピストン側室R2とロッド側室R1とを連通しており、途中には、ピストン側室R2からロッド側室R1へ向かう作動油の流れのみを許容し、かつ、作動油の流れに抵抗を与える圧側弁7が設けられている。この圧側弁7によって圧側通路6は、ピストン側室R2からロッド側室R1へ向かう作動油の流れのみを許容する一方通行の通路に設定されている。圧側弁7は、本実施の形態では、上流側となるピストン側室R2と下流側となるロッド側室R1との差圧が開弁圧に達すると開弁して圧側通路6を開放してピストン側室R2からロッド側室R1へ向かう作動油の流れを許容する調圧弁とされているが、調圧弁に代えてオリフィスやチョークといった絞りとされてもよい。また、圧側弁7は、ピストン側室R2からロッド側室R1へ向かう作動油の流れに対しては抵抗を然程与えずに許容するが、逆向きの流れを阻止する逆止弁であってもよい。
【0029】
排出通路8は、ピストン側室R2とタンクTとを連通しており、途中には、ピストン側室R2からタンクTへ向かう作動油の流れのみを許容し、かつ、作動油の流れに抵抗を与える圧側減衰弁9が設けられている。この圧側減衰弁9によって排出通路8は、ピストン側室R2からタンクTへ向かう作動油の流れのみを許容する一方通行の通路に設定されている。圧側減衰弁9は、本実施の形態では、上流側となるピストン側室R2と下流側となるタンクTとの差圧が開弁圧に達すると開弁して排出通路8を開放してピストン側室R2からタンクTへ向かう作動油の流れを許容する調圧弁とされているが、調圧弁に代えてオリフィスやチョークといった絞りとされてもよい。
【0030】
伸側吸込通路10は、タンクTとピストン側室R2とを連通しており、途中には、タンクTからピストン側室R2へ向かう作動油の流れのみを許容する伸側吸込弁11が設けられている。この伸側吸込弁11によって伸側吸込通路10は、タンクTからピストン側室R2へ向かう作動油の流れのみを許容する一方通行の通路に設定されている。伸側吸込弁11は、本実施の形態では、タンクTからピストン側室R2へ向かう作動油の流れに対しては抵抗を然程与えずに許容するが、逆向きの流れを阻止する逆止弁である。
【0031】
このように、このダンパD1の場合、ダンパD1が伸長作動する際に、伸側吸込通路10を介して拡大するピストン側室R2へタンクTから作動油の供給が可能となっている。よって、ダンパD1の伸長作動時において、伸側減衰弁5の開き遅れがあっても伸側吸込通路10を介して作動油がピストン側室R2へ供給される。よって、本実施の形態のダンパD1では、ダンパD1の伸長作動時のピストン3のシリンダ1に対する移動速度であるピストン速度が予期せぬ高速となっても、ピストン側室R2内が負圧となるのを防止できる。ピストン側室R2が負圧になると作動油内に溶け込んだ気体が気泡となって出現して発生減衰力が不安定となる現象を生むが、伸側吸込通路10と伸側吸込弁11の設置によってこの現象の発生を回避できる。
【0032】
そして、ダンパD1が伸長作動する際には、ピストンロッド2がシリンダ1内から退出する体積に相当する作動油が伸側吸込通路10を介してタンクTからシリンダ1内に供給され、ダンパD1の伸長作動時におけるピストンロッド2がシリンダ1内から退出する体積の補償が行われる。
【0033】
圧側吸込通路12は、タンクTとロッド側室R1とを連通しており、途中には、タンクTからロッド側室R1へ向かう作動油の流れのみを許容する圧側吸込弁13が設けられている。この圧側吸込弁13によって圧側吸込通路12は、タンクTからロッド側室R1へ向かう作動油の流れのみを許容する一方通行の通路に設定されている。圧側吸込弁13は、本実施の形態では、タンクTからロッド側室R1へ向かう作動油の流れに対しては抵抗を然程与えずに許容するが、逆向きの流れを阻止する逆止弁である。
【0034】
このように、このダンパD1の場合、ダンパD1が収縮作動する際に、圧側吸込通路12を介して拡大するロッド側室R1へタンクTから作動油の供給が可能となっている。よって、ダンパD1の収縮作動時において、圧側弁7の開き遅れがあっても圧側吸込通路12を介して作動油がロッド側室R1へ供給される。よって、本実施の形態のダンパD1では、ダンパD1の収縮作動時のピストン3のシリンダ1に対する移動速度であるピストン速度が予期せぬ高速となっても、ロッド側室R1内が負圧となるのを防止できる。ロッド側室R1が負圧になると作動油内に溶け込んだ気体が気泡となって出現して発生減衰力が不安定となる現象を生むが、圧側吸込通路12と圧側吸込弁13の設置によってこの現象の発生を回避できる。
【0035】
つづいて、アンロード回路UD1は、ロッド側室R1とタンクTとを連通する第1アンロード通路14に設けられた第1アンロード弁15と、ピストン側室R2とタンクTとを連通する第2アンロード通路16に設けられた第2アンロード弁17と、第1アンロード通路14と第2アンロード通路16とを接続する接続通路18とを備えている。
【0036】
第1アンロード通路14は、ロッド側室R1とタンクTとを連通しており、途中には、第1アンロード通路14を開閉する第1アンロード弁15が設けられている。第1アンロード弁15は、第1アンロード通路14を開閉する電磁開閉弁とされており、通電時に連通ポジションを採って第1アンロード通路14を開放し、非通電時に遮断ポジションを採って第1アンロード通路14を遮断する。よって、第1アンロード弁15が連通ポジションを採ると、作動油は、第1アンロード通路14を通過してロッド側室R1からタンクTへ移動できるようになり、第1アンロード通路14が有効となる。また、第1アンロード弁15は、遮断ポジションを採る場合、ロッド側室R1からタンクTへ向かう作動油の流れを阻止する。第1アンロード弁15は、タンクTからロッド側室R1へ向かう作動油の流れを許容するようになっているが、タンクTからロッド側室R1へ向かう作動油の流れも遮断するように設定されてもよい。
【0037】
第2アンロード通路16は、ピストン側室R2とタンクTとを連通しており、途中には、第2アンロード通路16を開閉する第2アンロード弁17が設けられている。第2アンロード弁17は、第2アンロード通路16を開閉する電磁開閉弁とされており、通電時に連通ポジションを採って第2アンロード通路16を開放して、非通電時に遮断ポジションを採って第2アンロード通路16を遮断する。よって、第2アンロード弁17が連通ポジションを採ると、作動油は、第2アンロード通路16を通過してピストン側室R2からタンクTへ移動できるようになり、第2アンロード通路16が有効となる。また、第2アンロード弁17は、遮断ポジションを採る場合、ピストン側室R2からタンクTへ向かう作動油の流れを阻止する。第2アンロード通路16は、タンクTからピストン側室R2へ向かう作動油の流れを許容するようになっているが、タンクTからピストン側室R2へ向かう作動油の流れも遮断するように設定されてもよい。
【0038】
接続通路18は、第1アンロード通路14のロッド側室R1と第1アンロード弁15との間と第2アンロード通路16のピストン側室R2と第2アンロード弁17との間とを接続している。
【0039】
さらに、第1アンロード通路14上であって第1アンロード通路14と接続通路18とを接続する接続点P1よりもロッド側室側には、ロッド側室R1から第1アンロード弁15へ向かう作動油の流れのみを許容する第1逆止弁22と第1調整オリフィス23とが設けられている。よって、第1アンロード通路14の接続通路18の接続点P1よりもロッド側室側の区間は、第1逆止弁22によって、ロッド側室R1から第1アンロード弁15へ向かう作動油の流れのみを許容する一方通行の通路に設定されている。なお、第1調整オリフィス23の流路抵抗は、連通ポジションを採る第1アンロード弁15における流路抵抗よりも大きくなるように設定されている。
【0040】
また、接続通路18には、第2アンロード通路16から第1アンロード通路14へ向かう作動油の流れのみを許容する第2逆止弁24と第2調整オリフィス25とが設けられている。よって、接続通路18は、第2アンロード通路16から第1アンロード通路14へ向かう作動油の流れのみを許容する一方通行の通路に設定されている。
【0041】
つづいて、以上のように構成されたダンパD1の作動について説明する。まず、第1アンロード弁15と第2アンロード弁17とへ電流の供給を行わず、第1アンロード弁15と第2アンロード弁17とを遮断ポジションとして、ダンパD1に積極的に減衰力を発揮させる際のダンパD1の作動を説明する。
【0042】
第1アンロード弁15と第2アンロード弁17とが遮断ポジションを採る場合、第1アンロード通路14と第2アンロード通路16とが遮断されて無効とされるため、作動油は、第1アンロード通路14、第2アンロード通路16および接続通路18を通過し得ない。よって、この場合、ダンパD1における構成は、
図1に示した構成中からアンロード回路UD1を取り除いた構成と等価となる。
【0043】
まず、ダンパD1が伸長作動すると、圧縮されるロッド側室R1内の圧力が上昇する。そして、ロッド側室R1とピストン側室R2との差圧が伸側減衰弁5の開弁圧に達すると、伸側減衰弁5が開弁して伸側通路4を開放し、ロッド側室R1からピストン側室R2への作動油の移動を許容する。つまり、この場合、作動油は、伸側減衰弁5を介してロッド側室R1からピストン側室R2へ移動する。よって、ダンパD1の減衰力特性は、
図2の実線に示すように、ピストン速度の上昇に応じて速やかに立ち上がった後、伸側減衰弁5の開弁に伴って減衰係数が低下する特性となる。なお、ダンパD1の伸長作動時には、シリンダ1内からピストンロッド2が退出するため、ロッド側室R1からピストン側室R2へ移動する作動油量は拡大されるピストン側室R2の容積拡大量に対して不足する。この不足分の作動油は、伸側吸込弁11が開弁して伸側吸込通路10を通じてタンクTからピストン側室R2に供給される。
【0044】
このように、第1アンロード弁15と第2アンロード弁17とを閉弁させた状態でダンパD1が伸長作動する場合、ピストン側室R2内の圧力はタンク圧となる。それゆえ、ダンパD1の伸長作動時において、伸側減衰力に寄与するピストン3の受圧面積は、ロッド側室R1の圧力が作用するピストン3の断面積からピストンロッド2の断面積を差し引いた面積となる。
【0045】
今度は、第1アンロード弁15と第2アンロード弁17とを遮断ポジションとする場合において収縮作動するダンパD1の作動を説明する。第1アンロード弁15と第2アンロード弁17とが遮断ポジションを採りつつダンパD1が収縮作動すると、圧縮されるピストン側室R2内の圧力が上昇する。そして、ピストン側室R2とロッド側室R1との差圧が圧側弁7の開弁圧に達すると、圧側弁7が開弁して圧側通路6を開放し、作動油はピストン側室R2からロッド側室R1へ圧側弁7を通じて移動する。さらに、ピストン側室R2とタンクTとの差圧が圧側減衰弁9の開弁圧に達すると、圧側減衰弁9が開弁して排出通路8を開放し、作動油は、ピストン側室R2からタンクTへ圧側減衰弁9を通じて移動する。よって、ダンパD1の減衰力特性は、
図2の実線に示すように、ピストン速度の上昇に応じて速やかに立ち上がった後、圧側弁7および圧側減衰弁9の開弁に伴って減衰係数が低下する特性となる。
【0046】
なお、ダンパD1の収縮作動時には、シリンダ1内にピストンロッド2が侵入するため、シリンダ1内でピストンロッド2がシリンダ1内に侵入する体積分の作動油が過剰となるが、シリンダ1内で過剰となる作動油は、圧側減衰弁9を通じてタンクTへ排出される。また、ダンパD1の収縮作動時に圧側弁7の開き遅れがあったり、収縮作動時におけるピストン速度が非常に高速となって圧側弁7の作動油の通過流量が単位時間当たりのロッド側室R1の拡大容積に追い付かなくなったりしても、圧側吸込通路12における圧側吸込弁13が開弁してタンクTからロッド側室R1へ作動油が供給されるためロッド側室R1内が負圧とならずに済む。
【0047】
ダンパD1の収縮作動時において、ピストン3の収縮方向への移動を妨げる力は、ピストン側室R2の圧力にピストン3の断面積を乗じた値となるが、ピストン3の収縮方向への移動を助長する力は、ロッド側室R1に臨む受圧面積にロッド側室R1の圧力を乗じた値となる。ここで、圧側弁7が調圧弁とされており、作動油の流れに十分な抵抗を与えるため収縮作動時におけるロッド側室R1の圧力を低くできる。したがって、第1アンロード弁15と第2アンロード弁17とを遮断ポジションとする状態で収縮作動する際のダンパD1が発揮する圧側減衰力を高くできる。
【0048】
次に、第1アンロード弁15を連通ポジションとし、第2アンロード弁17を遮断ポジションとして、ダンパD1を伸側アンロード状態とする場合のダンパD1の作動について説明する。第1アンロード弁15が連通ポジションを採り、第2アンロード弁17とが遮断ポジションを採る場合、第1アンロード通路14は有効とされるが、第2アンロード通路16は遮断されて無効とされる。
【0049】
まず、ダンパD1が伸長作動すると、ピストン3の移動によってロッド側室R1内から押し出された作動油は、第1アンロード通路14の第1調整オリフィス23を通過して第1逆止弁22を押し開き、第1アンロード弁15を通過してタンクTへ移動する。接続通路18には第2逆止弁24が設けられており、ロッド側室R1からの作動油の流れを阻止するので、作動油は、接続通路18も通過し得ない。また、ピストン3の移動によって拡大するピストン側室R2には、伸側吸込通路10における伸側吸込弁11が開弁してタンクTから作動油が供給される。第1調整オリフィス23の流路抵抗は、連通ポジションを採る第1アンロード弁15の流路抵抗よりも大きくしてあり、ロッド側室R1の圧力はタンクTの圧力であるタンク圧よりも第1調整オリフィス23を作動油が通過する際に生じる圧力損失分だけ大きくなる。よって、第1アンロード弁15を連通ポジションとし、第2アンロード弁17を遮断ポジションとする場合のダンパD1の伸長作動時には、タンク圧となるピストン側室R2の圧力よりもロッド側室R1の圧力の方が第1調整オリフィス23による圧力損失分だけ大きくなる。ここで、第1調整オリフィス23の流路面積は、作動油の流れに大きな抵抗を与えないように配慮されており、第1アンロード弁15を連通ポジションとし、第2アンロード弁17を遮断ポジションとする場合のダンパD1の伸側減衰力は、
図2の破線で示すように、極低いものとなる。
【0050】
今度は、第1アンロード弁15を連通ポジションとし、第2アンロード弁17を遮断ポジションとする場合において収縮作動するダンパD1の作動を説明する。第1アンロード弁15が連通ポジションを採り、第2アンロード弁17が遮断ポジションを採りつつダンパD1が収縮作動すると、圧縮されるピストン側室R2内の圧力が上昇する。そして、ピストン側室R2とロッド側室R1との差圧が圧側弁7の開弁圧に達すると、圧側弁7が開弁して圧側通路6を開放し、作動油はピストン側室R2からロッド側室R1へ圧側弁7を通じて移動する。さらに、ピストン側室R2とタンクTとの差圧が圧側減衰弁9の開弁圧に達すると、圧側減衰弁9が開弁して排出通路8を開放し、作動油は、ピストン側室R2からタンクTへ圧側減衰弁9を通じて移動する。よって、ダンパD1の減衰力特性は、
図2中の実線で示すように、ピストン速度の上昇に応じて速やかに立ち上がった後、圧側弁7および圧側減衰弁9の開弁に伴って減衰係数が低下する特性となる。なお、ダンパD1の収縮作動時には、シリンダ1内にピストンロッド2が侵入するため、シリンダ1内でピストンロッド2がシリンダ1内に侵入する体積分の作動油が過剰となるが、シリンダ1内で過剰となる作動油は、圧側減衰弁9を通じてタンクTへ排出される。
【0051】
よって、第1アンロード弁15を連通ポジションとし、第2アンロード弁17を遮断ポジションとする場合、ダンパD1は、伸長作動時には極低い減衰力しか発揮せず、収縮作動時には高い減衰力を発揮する。つまり、第1アンロード弁15を連通ポジションとし、第2アンロード弁17を遮断ポジションとする場合、ダンパD1は、伸側アンロードの状態となって、収縮作動時にのみ高い減衰力を発揮するようになる。
【0052】
さらに、第1アンロード弁15と第2アンロード弁17とを連通ポジションとしてダンパD1を伸側と圧側との双方でアンロード状態とする場合のダンパD1の作動について説明する。第1アンロード弁15と第2アンロード弁17とがともに連通ポジションを採る場合、第1アンロード通路14、第2アンロード通路16および接続通路18の全てが有効とされる。
【0053】
まず、ダンパD1が伸長作動すると、ピストン3の移動によってロッド側室R1内から押し出された作動油は、第1アンロード通路14の第1調整オリフィス23を通過して第1逆止弁22を押し開き、第1アンロード弁15を通過してタンクTへ移動する。接続通路18には第2逆止弁24が設けられているため、作動油は、接続通路18を通過し得ないので、ロッド側室R1から押し出された作動油の全量は、第1アンロード通路14を通過してタンクTへ移動する。ピストン3の移動によって拡大するピストン側室R2には、伸側吸込通路10における伸側吸込弁11が開弁してタンクTから作動油が供給される。よって、第1アンロード弁15を連通ポジションとし、第2アンロード弁17を遮断ポジションとした場合と同様に、ダンパD1は、
図2の破線で示すように、極低い伸側減衰力を発揮する。
【0054】
つづいて、第1アンロード弁15と第2アンロード弁17とを連通ポジションとする場合において収縮作動するダンパD1の作動を説明する。第1アンロード弁15と第2アンロード弁17とが連通ポジションを採りつつダンパD1が収縮作動すると、ピストン3の移動によってピストン側室R2内から押し出された作動油は、第2アンロード通路16の第2アンロード弁17を通じてタンクTへ移動するだけでなく、第2アンロード通路16から分岐する接続通路18の第2調整オリフィス25および第2逆止弁24を経て、第1アンロード弁15を通過してタンクTへ移動する。ピストン3の移動によって拡大するロッド側室R1には、圧側吸込通路12における圧側吸込弁13が開弁してタンクTから作動油が供給される。
【0055】
なお、第2調整オリフィス25の流路抵抗は、連通ポジションを採る第1アンロード弁15の流路抵抗よりも大きくしている。よって、ピストン側室R2の圧力は、タンク圧よりも連通ポジションにおける第2アンロード弁17で生じる圧力損失分だけ大きくなる。なお、管路抵抗を無視すれば、第2アンロード弁17で生じる圧力損失と第2調整オリフィス25で生じる圧力損失は等しくなる。ここで、第2アンロード弁17で生じる圧力損失と第2調整オリフィス25で生じる圧力損失は、圧側減衰弁9で生じる圧力損失よりも至極小さいので、第1アンロード弁15と第2アンロード弁17とを連通ポジションとする場合のダンパD1の圧側減衰力は、
図2の破線で示すように、極低いものとなる。
【0056】
よって、第1アンロード弁15と第2アンロード弁17とを連通ポジションとする場合、ダンパD1は、伸長しても収縮しても極低い減衰力しか発揮しない。つまり、第1アンロード弁15と第2アンロード弁17とを連通ポジションとする場合、ダンパD1は、伸側と圧側との双方でアンロードの状態となって、伸縮作動時には極低い減衰力しか発揮しないようになる。なお、ダンパD1を伸側アンロードの状態とする場合に、第1アンロード弁15だけでなく、第2アンロード弁17も連通ポジションとしてもよい。このようにすると、ダンパD1をアンロードする際に、伸側アンロードと圧側アンロードとで第1アンロード弁15の開閉を切り換える制御が不要となる利点がある。
【0057】
ここで、ダンパD1の収縮作動時には、ピストン3の断面積にピストン3の変位量を乗じた値の作動油がピストン側室R2から押し出されてタンクTへ移動する。反対に、ダンパD1の収縮作動時には、ピストン3の断面積からピストンロッド2の断面積を引いた値にピストン3の変位量を乗じた値の作動油がロッド側室R1から押し出されてタンクTへ移動する。よって、ダンパD1の収縮作動時の方がシリンダ1内からタンクTへ移動する作動油量が多くなる。仮に、ダンパD1の収縮作動時に第2アンロード弁17のみを通過させて作動油をタンクTへ移動させると、第2アンロード弁17を通過する作動油量が多く、第2アンロード弁17で生じる圧力損失が大きくなってダンパD1が発生する圧側減衰力が
図2中一点鎖線で示すように高くなってしまう。ところが、本実施の形態のダンパD1では、収縮作動時に、シリンダ1内からタンクTへ排出される作動油は、第2アンロード通路16における第2アンロード弁17のみならず接続通路18を介して第1アンロード通路14における第1アンロード弁15をも通過できる。したがって、本実施の形態のダンパD1は、収縮作動時に第2アンロード弁17の通過流量を少なくできるので、ピストン側室R2の圧力を低くでき、極低い減衰力の発揮が可能となるのである。
【0058】
なお、第1調整オリフィス23と第2調整オリフィス25とは、ダンパD1を伸側と圧側との双方をアンロード状態とした場合の伸側減衰力と圧側減衰力とを等しくするために設けられており、第1調整オリフィス23は、伸側アンロード時の伸側減衰力のチューニングに利用され、第2調整オリフィス25は、圧側アンロード時の圧側減衰力のチューニングに利用される。なお、ダンパD1を伸側と圧側との双方をアンロード状態とした場合の伸側減衰力と圧側減衰力とのチューニングが不要であれば、第1調整オリフィス23と第2調整オリフィス25とは、廃止されてもよい。また、ダンパD1を伸側アンロード状態とした場合の伸側減衰力を第1アンロード弁15の特性によって決定し、ダンパD1を伸側と圧側との双方をアンロード状態とした場合の伸側減衰力と圧側減衰力とを等しくしたい場合、圧側減衰力のチューニングを行う第2調整オリフィス25のみを設けるようにしてもよい。逆に、ダンパD1を圧側アンロード状態とした場合の圧側減衰力を第1アンロード弁15および第2アンロード弁17の特性によって決定し、ダンパD1を伸側と圧側との双方をアンロード状態とした場合の伸側減衰力と圧側減衰力とを等しくしたい場合、伸側減衰力のチューニングを行う第1調整オリフィス23のみを設けるようにしてもよい。ただし、第1調整オリフィス23と第2調整オリフィス25とをアンロード回路UD1中に前述した通りに設けると、ダンパD1を伸側と圧側との双方をアンロード状態とした場合の伸側減衰力と圧側減衰力とを個別にチューニングできるので、ダンパD1を伸側と圧側との双方をアンロード状態とした場合の伸側減衰力と圧側減衰力とを等しくするチューニング作業が容易となる。なお、第1調整オリフィス23は、第1アンロード通路14の第1逆止弁22に対してロッド側室側に設けられてもよいし、反ロッド側室側に設けられてもよい。また、第2調整オリフィス25は、接続通路18の第2逆止弁24に対して接続点P1側に設けられてもよいし、接続点P2側に設けられてもよい。
【0059】
以上のように、第1の実施の形態のダンパD1は、シリンダ1と、シリンダ1内に移動可能に挿入されるピストンロッド2と、シリンダ1内に摺動自在に挿入されてピストンロッド2に連結されるとともにシリンダ1内をピストンロッド2が挿通されるロッド側室R1とピストン側室R2とに区画するピストン3と、タンクTと、ロッド側室R1とピストン側室R2とを連通する伸側通路4に設けられてロッド側室R1からピストン側室R2へ向かう作動油(液体)の流れのみを許容しつつ当該流れに抵抗を与える伸側減衰弁5と、ロッド側室R1とピストン側室R2とを連通する圧側通路6に設けられてピストン側室R2からロッド側室R1へ向かう作動油(液体)の流れのみを許容する圧側弁7と、ピストン側室R2とタンクTとを連通する排出通路8に設けられてピストン側室R2からタンクTへ向かう作動油(液体)の流れのみを許容しつつ当該流れに抵抗を与える圧側減衰弁9と、ピストン側室R2とタンクTとを連通する伸側吸込通路10に設けられてタンクTからピストン側室R2へ向かう作動油(液体)の流れのみを許容する伸側吸込弁11と、ロッド側室R1とタンクTとを連通する第1アンロード通路14に設けられて第1アンロード通路14を開閉する第1アンロード弁15と、ピストン側室R2とタンクTとを連通する第2アンロード通路16に設けられて第2アンロード通路16を開閉する第2アンロード弁17と、第1アンロード通路14のロッド側室R1と第1アンロード弁15との間と第2アンロード通路16のピストン側室R2と第2アンロード弁17との間とを接続する接続通路18とを備えている。
【0060】
このように構成されたダンパD1では、収縮作動時において低減衰力を発揮させる場合、第2アンロード弁17のみならず第1アンロード弁15を開弁させて、シリンダ1内から押し出される作動油(液体)を第2アンロード弁15だけでなく接続通路18を介して第2アンロード弁17をも通過させてタンクTへ排出できる。
【0061】
よって、ダンパD1では、シリンダ1内からタンクTへ排出される作動油(液体)量が伸長作動時よりも多い収縮作動時において、圧側アンロード時には作動油(液体)を第1アンロード弁15および第2アンロード弁17の双方を通過させてタンクTへ移動させるため、同じ製品の第1アンロード弁15と第2アンロード弁17とを利用しても収縮作動時の減衰力を極低くできる。
【0062】
本実施の形態のダンパD1では、圧側をアンロード時に発生する圧側減衰力を極低くできるので、並列に配置されるアクチュエータによる車体の制振効果を損わず、また、第1アンロード弁15と第2アンロード弁17とに同じ製品を利用できるので、ダンパD1の大型化を招かず、異なるアンロード弁を管理しつつ組立する必要もない。
【0063】
以上より、ダンパD1によれば、鉄道車両(制振対象)への搭載性と組立性とを損なうことなくアンロード時の収縮側の減衰力を低減できる。
【0064】
また、第1の実施の形態のダンパD1は、第1アンロード通路14に設けられてロッド側室R1から第1アンロード弁15へ向かう作動油(液体)の流れのみを許容する第1逆止弁22と、接続通路18の途中に設けられて第2アンロード通路16から第1アンロード通路14へ向かう作動油(液体)の流れにのみを許容する第2逆止弁24とを備えている。このように構成されたダンパD1によれば、従来の緩衝器のアンロード回路に接続通路18、第1逆止弁22および第2逆止弁24を付け加えるだけで、鉄道車両への搭載性と組立性とを損なうことなくアンロード時の収縮側の減衰力を低減するという所期の効果を達成できる。よって、ダンパD1によれば、従来のダンパの構造に対して大幅な設計変更を行う必要がなく、鉄道車両(制振対象)への搭載性と組立性とを損なうことなくアンロード時の収縮側の減衰力を低減するという所期の効果を達成できる。
【0065】
さらに、本実施の形態のダンパD1は、第1アンロード通路14上であって第1アンロード通路14と接続通路18とを接続する接続点P1よりもロッド側室側に設けられた第1調整オリフィス23と、接続通路18の途中に設けられた第2調整オリフィス25とを備えている。このように構成されたダンパD1によれば、伸側と圧側との双方をアンロード状態とした場合の伸側減衰力と圧側減衰力とを個別にチューニングできるので、伸側と圧側との双方をアンロード状態とした場合の伸側減衰力と圧側減衰力とを等しくするチューニング作業が容易となる。
【0066】
つづいて、第2の実施の形態のダンパD2について説明する。第2の実施の形態のダンパD2は、
図3に示すように、第1の実施の形態のダンパD1のアンロード回路UD1とは異なるアンロード回路UD2を備える点で異なっており、その他については第1の実施の形態のダンパD1の構成と同じ構成を備えている。
【0067】
具体的には、第2の実施の形態のダンパD2におけるアンロード回路UD2は、第1の実施の形態のダンパD1のアンロード回路UD1から第2逆止弁24および第2調整オリフィス25を取り除き、代わりに、第3逆止弁26および第3調整オリフィス27を新たに設置した構成を備えている。
【0068】
よって、第2の実施の形態のダンパD2の説明では、説明の重複を避けるため、第1の実施の形態のダンパD1と同じ構成については同一の符号を付して詳細な説明を省略し、第1の実施の形態のダンパD1と異なる構成についてのみ詳細に説明する。
【0069】
第2の実施の形態のダンパD2におけるアンロード回路UD2は、第1の実施の形態のダンパD1と同様に、ロッド側室R1とタンクTとを連通する第1アンロード通路14に設けられた第1アンロード弁15と、ピストン側室R2とタンクTとを連通する第2アンロード通路16に設けられた第2アンロード弁17と、第1アンロード通路14と第2アンロード通路16とを接続する接続通路18とを備えている。
【0070】
そして、第1アンロード通路14上であって第1アンロード通路14と接続通路18とを接続する接続点P1よりもロッド側室側には、ロッド側室R1から第1アンロード弁15へ向かう作動油の流れのみを許容する第1逆止弁22と第1調整オリフィス23とが設けられている。よって、第1アンロード通路14の接続点P1よりもロッド側室側の区間は、第1逆止弁22によって、ロッド側室R1から第1アンロード弁15および第2アンロード弁17へ向かう作動油の流れのみを許容する一方通行の通路に設定されている。なお、第1調整オリフィス23の流路抵抗は、連通ポジションを採る第1アンロード弁15および第2アンロード弁17のトータルの流路抵抗よりも大きくなるように設定されている。
【0071】
さらに、第2アンロード通路16上であって第2アンロード通路16と接続通路18とを接続する接続点P2よりもピストン側室側には、ピストン側室R2から第2アンロード弁17へ向かう作動油の流れのみを許容する第3逆止弁26と第3調整オリフィス27とが設けられている。よって、第2アンロード通路16の接続点P2よりもピストン側室側の区間は、第3逆止弁26によって、ピストン側室R2から第1アンロード弁15および第2アンロード弁17へ向かう作動油の流れのみを許容する一方通行の通路に設定されている。なお、第3調整オリフィス27の流路抵抗は、連通ポジションを採る第1アンロード弁15および第2アンロード弁17のトータルの流路抵抗よりも大きくなるように設定されている。
【0072】
つづいて、以上のように構成されたダンパD2の作動について説明する。まず、第1アンロード弁15と第2アンロード弁17とへ電流の供給を行わず、第1アンロード弁15と第2アンロード弁17とを遮断ポジションとして、ダンパD2に積極的に減衰力を発揮させる際のダンパD2の作動を説明する。第1アンロード弁15と第2アンロード弁17とが遮断ポジションを採る場合、第1アンロード通路14と第2アンロード通路16とが遮断されて無効とされるため、作動油は、第1アンロード通路14、第2アンロード通路16および接続通路18を通過し得ない。したがって、ダンパD2における構成は、
図3に示した構成中からアンロード回路UD2を取り除いた構成と等価となる。以上より、第1アンロード弁15と第2アンロード弁17とを遮断ポジションとする場合、ダンパD2は、第1の実施の形態のダンパD1と同様に、伸長作動時と収縮作動時の双方で
図2に示したように高い減衰力を発揮する。
【0073】
次に、ダンパD2をアンロード状態とする場合のダンパD2の作動について説明する。第2の実施の形態のダンパD2をアンロード状態とするには、第1アンロード弁15と第2アンロード弁17とをともに連通ポジションする。
【0074】
まず、ダンパD2をアンロード状態として、ダンパD2が伸長作動すると、ピストン3の移動によってロッド側室R1内から押し出された作動油は、第1アンロード通路14の第1調整オリフィス23を通過して第1逆止弁22を押し開いて第1アンロード弁15を通過するルートの他に、接続通路18および第2アンロード通路16の第2アンロード弁17を通過してタンクTへ移動するルートを通ってタンクTへ移動する。
【0075】
このように、アンロード状態の第2の実施の形態のダンパD2では、第1の実施の形態のダンパD1と異なり、伸長作動時もシリンダ1内から押し出された作動油は、第1アンロード弁15と第2アンロード弁17を通ってタンクTへ移動する。第1調整オリフィス23の流路抵抗は、連通ポジションを採る第1アンロード弁15および第2アンロード弁17のトータルの流路抵抗よりも大きく、ロッド側室R1の圧力はタンク圧よりも第1調整オリフィス23を作動油が通過する際に生じる圧力損失分だけ大きくなる。よって、アンロード状態のダンパD2の伸長作動時には、タンク圧となるピストン側室R2の圧力よりもロッド側室R1の圧力の方が第1調整オリフィス23による圧力損失分だけ大きくなる。ここで、第1調整オリフィス23の流路面積は、作動油の流れに大きな抵抗を与えないように配慮されており、第1アンロード弁15と第2アンロード弁17を連通ポジションとする場合のダンパD2の伸側減衰力は、
図2の破線で示すように、極低いものとなる。
【0076】
つづいて、ダンパD2をアンロード状態として、ダンパD2が収縮作動すると、ピストン3の移動によってピストン側室R2内から押し出された作動油は、第2アンロード通路16の第3調整オリフィス27を通過して第3逆止弁26を押し開いて第2アンロード弁17を通過するルートの他に、接続通路18および第1アンロード通路14の第1アンロード弁15を通過するルートを通ってタンクTへ移動する。
【0077】
このように、アンロード状態の第2の実施の形態のダンパD2では、収縮作動時も伸長作動時と同様に、シリンダ1内から押し出された作動油は、第1アンロード弁15と第2アンロード弁17を通ってタンクTへ移動する。第3調整オリフィス27の流路抵抗は、連通ポジションを採る第1アンロード弁15および第2アンロード弁17のトータルの流路抵抗よりも大きく、ピストン側室R2の圧力はタンク圧よりも第3調整オリフィス27を作動油が通過する際に生じる圧力損失分だけ大きくなる。よって、アンロード状態のダンパD2の収縮作動時には、タンク圧となるロッド側室R1の圧力よりもピストン側室R2の圧力の方が第3調整オリフィス27による圧力損失分だけ大きくなる。ここで、第3調整オリフィス27の流路面積は、作動油の流れに大きな抵抗を与えないように配慮されており、第1アンロード弁15と第2アンロード弁17を連通ポジションとする場合のダンパD2の圧側減衰力は、
図2の破線で示すように、極低いものとなる。
【0078】
よって、第1アンロード弁15と第2アンロード弁17とを連通ポジションとしてアンロード状態となったダンパD2は、伸長しても収縮しても極低い減衰力しか発揮しない。なお、ダンパD2を伸側アンロードの状態とする場合には、第1アンロード弁15と第2アンロード弁17との一方のみを連通ポジションとしてもよい。
【0079】
このように、第2の実施の形態のダンパD2にあっても、収縮作動時に、シリンダ1内からタンクTへ排出される作動油は、第2アンロード通路16における第2アンロード弁17のみならず接続通路18を介して第1アンロード通路14における第1アンロード弁15をも通過できる。したがって、本実施の形態のダンパD2は、収縮作動時に第2アンロード弁17の通過流量を少なくできるので、ピストン側室R2の圧力を低くでき、極低い減衰力の発揮が可能となるのである。
【0080】
なお、第1調整オリフィス23と第3調整オリフィス27とは、ダンパD2をアンロード状態とした場合の伸側減衰力と圧側減衰力とを等しくするために設けられており、第1調整オリフィス23は、アンロード時の伸側減衰力のチューニングに利用され、第3調整オリフィス27は、圧側アンロード時の圧側減衰力のチューニングに利用される。なお、ダンパD2をアンロード状態とした場合の伸側減衰力と圧側減衰力とのチューニングが不要であれば、第1調整オリフィス23と第3調整オリフィス27とは、廃止されてもよい。また、ダンパD2をアンロード状態とした場合の圧側減衰力を第1アンロード弁15および第2アンロード弁17のトータルの特性によって決定し、ダンパD2をアンロード状態とした場合の伸側減衰力と圧側減衰力とを等しくしたい場合、伸側減衰力のチューニングを行う第1調整オリフィス23のみを設けるようにしてもよい。ただし、第1調整オリフィス23と第3調整オリフィス27とをアンロード回路UD2中に前述した通りに設けると、ダンパD2を伸側と圧側との双方をアンロード状態とした場合の伸側減衰力と圧側減衰力とを個別にチューニングできるので、ダンパD2を伸側と圧側との双方をアンロード状態とした場合の伸側減衰力と圧側減衰力とを等しくするチューニング作業が容易となる。
【0081】
このように第2の実施の形態のダンパD2は、シリンダ1と、シリンダ1内に移動可能に挿入されるピストンロッド2と、シリンダ1内に摺動自在に挿入されてピストンロッド2に連結されるとともにシリンダ1内をピストンロッド2が挿通されるロッド側室R1とピストン側室R2とに区画するピストン3と、タンクTと、ロッド側室R1とピストン側室R2とを連通する伸側通路4に設けられてロッド側室R1からピストン側室R2へ向かう作動油(液体)の流れのみを許容しつつ当該流れに抵抗を与える伸側減衰弁5と、ロッド側室R1とピストン側室R2とを連通する圧側通路6に設けられてピストン側室R2からロッド側室R1へ向かう作動油(液体)の流れのみを許容する圧側弁7と、ピストン側室R2とタンクTとを連通する排出通路8に設けられてピストン側室R2からタンクTへ向かう作動油(液体)の流れのみを許容しつつ当該流れに抵抗を与える圧側減衰弁9と、ピストン側室R2とタンクTとを連通する伸側吸込通路10に設けられてタンクTからピストン側室R2へ向かう作動油(液体)の流れのみを許容する伸側吸込弁11と、ロッド側室R1とタンクTとを連通する第1アンロード通路14に設けられて第1アンロード通路14を開閉する第1アンロード弁15と、ピストン側室R2とタンクTとを連通する第2アンロード通路16に設けられて第2アンロード通路16を開閉する第2アンロード弁17と、第1アンロード通路14のロッド側室R1と第1アンロード弁15との間と第2アンロード通路16のピストン側室R2と第2アンロード弁17との間とを接続する接続通路18と、第1アンロード通路14に設けられてロッド側室R1から第1アンロード弁15および第2アンロード弁17へ向かう作動油(液体)の流れのみを許容する第1逆止弁22と、第2アンロード通路16に設けられてピストン側室R2から第1アンロード弁15および第2アンロード弁17へ向かう作動油(液体)の流れのみを許容する第3逆止弁26とを備えている。
【0082】
このように構成されたダンパD2にあっても、シリンダ1内からタンクTへ排出される作動油(液体)量が伸長作動時よりも多い収縮作動時において、アンロード時には作動油(液体)を第1アンロード弁15および第2アンロード弁17の双方を通過させてタンクTへ移動させるため、同じ製品の第1アンロード弁15と第2アンロード弁17とを利用しても収縮作動時の減衰力を極低くできる。
【0083】
本実施の形態のダンパD2では、圧側をアンロード時に発生する圧側減衰力を極低くできるので、並列に配置されるアクチュエータによる車体の制振効果を損わず、また、第1アンロード弁15と第2アンロード弁17とに同じ製品を利用できるので、ダンパD2の大型化を招かず、異なるアンロード弁を管理しつつ組立する必要もない。以上より、ダンパD2によれば、鉄道車両(制振対象)への搭載性と組立性とを損なうことなくアンロード時の収縮側の減衰力を低減できる。
【0084】
そして、このように構成されたダンパD2によれば、伸長作動時に作動油を第1アンロード弁15だけでなく第2アンロード弁17をも介してタンクTへ排出できるので第1アンロード弁15と第2アンロード弁17との両方を小型化できる。また、このように構成されたダンパD2によれば、従来の緩衝器のアンロード回路に接続通路18、第1逆止弁22および第3逆止弁26を付け加えるだけで、鉄道車両(制振対象)への搭載性と組立性とを損なうことなくアンロード時の収縮側の減衰力を低減するという所期の効果を達成できる。よって、ダンパD2によれば、従来のダンパの構造に対して大幅な設計変更を行う必要がなく、鉄道車両(制振対象)への搭載性と組立性とを損なうことなくアンロード時の収縮側の減衰力を低減するという所期の効果を達成できる。
【0085】
最後に、第3の実施の形態のダンパD3について説明する。第3の実施の形態のダンパD3は、
図4に示すように、第1の実施の形態のダンパD1のアンロード回路UD1とは異なるアンロード回路UD3を備える点で異なっており、その他については第1の実施の形態のダンパD1の構成と同じ構成を備えている。
【0086】
よって、第3の実施の形態のダンパD3の説明でも、説明の重複を避けるため、第1の実施の形態のダンパD1と同じ構成については同一の符号を付して詳細な説明を省略し、第1の実施の形態のダンパD1と異なる構成についてのみ詳細に説明する。
【0087】
第3の実施の形態のダンパD3におけるアンロード回路UD3は、第1の実施の形態のダンパD1のアンロード回路UD1とは異なり、第1アンロード通路14と第2アンロード通路16とを接続する接続通路30が第1アンロード通路14と第2アンロード通路16とを接続する第1通路30aと、第1アンロード通路14上であって第1アンロード通路14と第1通路30aとを接続する接続点P3よりロッド側室側と第2アンロード通路16上であって第2アンロード通路16と第1通路30aとを接続する接続点P4と第2アンロード弁17との間とを接続する第2通路30bとを備えている他、第1アンロード通路14上であって接続点P3と第1アンロード通路14と第2通路30bとを接続する接続点P5との間に設けられてロッド側室R1から第1アンロード弁15へ向かう作動油の流れのみを許容する第4逆止弁31と、第1通路30aの途中に設けられて第2アンロード通路16から第1アンロード通路14へ向かう作動油の流れのみを許容する第5逆止弁32と、第2アンロード通路16上であって接続点P4と第2アンロード通路16と第2通路30bとを接続する接続点P6との間に設けられてピストン側室R2から第2アンロード弁17へ向かう作動油の流れのみを許容する第6逆止弁33および第4調整オリフィス34と、第2通路30bの途中に設けられて第1アンロード通路14から第2アンロード通路16へ向かう作動油の流れのみを許容する第7逆止弁35および第5調整オリフィス36とを備えて構成されている。
【0088】
よって、第1アンロード通路14の接続点P5よりも第1アンロード弁側の区間は、第4逆止弁31によって、ロッド側室R1から第1アンロード弁15へ向かう作動油の流れのみを許容する一方通行の通路に設定されている。
【0089】
また、第1通路30aは、第5逆止弁32によって、ピストン側室R2から第1アンロード弁15へ向かう作動油の流れのみを許容する一方通行の通路に設定されている。
【0090】
さらに、第2アンロード通路16の接続点P4よりも第2アンロード弁側の区間は、第6逆止弁33によって、ピストン側室R2から第2アンロード弁17へ向かう作動油の流れのみを許容する一方通行の通路に設定されている。なお、第4調整オリフィス34の流路抵抗は、連通ポジションを採る第2アンロード弁17の流路抵抗よりも大きくなるように設定されている。
【0091】
また、第2通路30bは、第7逆止弁35によって、ロッド側室R1から第2アンロード弁17へ向かう作動油の流れのみを許容する一方通行の通路に設定されている。なお、第5調整オリフィス36の流路抵抗は、連通ポジションを採る第2アンロード弁17の流路抵抗よりも大きくなるように設定されている。
【0092】
つづいて、以上のように構成されたダンパD3の作動について説明する。まず、第1アンロード弁15と第2アンロード弁17とへ電流の供給を行わず、第1アンロード弁15と第2アンロード弁17とを遮断ポジションとして、ダンパD3に積極的に減衰力を発揮させる際のダンパD3の作動を説明する。
【0093】
第1アンロード弁15と第2アンロード弁17とが遮断ポジションを採る場合、第1アンロード通路14と第2アンロード通路16とが遮断されて無効とされるため、作動油は、第1アンロード通路14、第2アンロード通路16および接続通路30を通過し得ない。したがって、ダンパD3における構成は、
図4に示した構成中からアンロード回路UD3を取り除いた構成と等価となる。以上より、第1アンロード弁15と第2アンロード弁17とを遮断ポジションとする場合、ダンパD3は、第1の実施の形態のダンパD1と同様に、伸長作動時と収縮作動時の双方で
図2に示したように高い減衰力を発揮する。
【0094】
次に、ダンパD3をアンロード状態とする場合のダンパD3の作動について説明する。第3の実施の形態のダンパD3をアンロード状態とするには、第1アンロード弁15と第2アンロード弁17との双方を連通ポジションとする。
【0095】
この状態で、ダンパD3が伸長作動すると、ピストン3の移動によってロッド側室R1内から押し出された作動油は、第1アンロード通路14の第4逆止弁31を押し開いて第1アンロード弁15を通過してタンクTへ移動するルートの他にも、接続通路30の第2通路30bの第7逆止弁35を押し開いて第2アンロード弁17を通過するルートを介してタンクTへ移動する。
【0096】
このように、アンロード状態の第3の実施の形態のダンパD3では、第1の実施の形態のダンパD1と異なり、伸長作動時もシリンダ1内から押し出された作動油は、第1アンロード弁15と第2アンロード弁17を通ってタンクTへ移動する。ピストン3の移動によって拡大するピストン側室R2には、伸側吸込通路10における伸側吸込弁11が開弁してタンクTから作動油が供給される。よって、アンロード状態のダンパD3の伸長作動時には、タンク圧となるピストン側室R2の圧力よりもロッド側室R1の圧力の方が第1アンロード弁15による圧力損失分だけ大きくなる。なお、第5調整オリフィス36の流路抵抗は、連通ポジションを採る第2アンロード弁17の流路抵抗よりも大きいが、管路抵抗を無視すれば、第1アンロード弁15で生じる圧力損失と第5調整オリフィス36で生じる圧力損失は等しくなる。ここで、第1アンロード弁15の流路面積および第5調整オリフィス36は、作動油の流れに大きな抵抗を与えないように配慮されており、ダンパD3の伸側減衰力は、
図2の破線で示すように、極低いものとなる。
【0097】
さらに、ダンパD3をアンロード状態でダンパD3が収縮作動すると、ピストン3の移動によってピストン側室R2内から押し出された作動油は、第2アンロード通路16の第6逆止弁33を押し開いて第2アンロード弁17を通過するルートの他にも、接続通路30の第1通路30aの第5逆止弁32を押し開いて第1アンロード弁15を通過するルートを介してタンクTへ移動する。ピストン3の移動によって拡大するロッド側室R1には、圧側吸込通路12における圧側吸込弁13が開弁してタンクTから作動油が供給される。よって、アンロード状態のダンパD3の収縮作動時には、タンク圧となるピストン側室R2の圧力よりもロッド側室R1の圧力の方が第2アンロード弁17による圧力損失分だけ大きくなる。なお、第4調整オリフィス34の流路抵抗は、連通ポジションを採る第1アンロード弁15の流路抵抗よりも大きいが、管路抵抗を無視すれば、第1アンロード弁15で生じる圧力損失と第4調整オリフィス34で生じる圧力損失は等しくなる。ここで、第2アンロード弁17の流路面積および第4調整オリフィス34は、作動油の流れに大きな抵抗を与えないように配慮されており、ダンパD3の圧側減衰力は、
図2の破線で示すように、極低いものとなる。
【0098】
よって、第1アンロード弁15と第2アンロード弁17とを連通ポジションとしてアンロード状態となったダンパD2は、伸長しても収縮しても極低い減衰力しか発揮しない。なお、ダンパD3を伸側アンロードの状態とする場合には、第1アンロード弁15と第2アンロード弁17との一方のみを連通ポジションとしてもよい。
【0099】
このように、第3の実施の形態のダンパD3にあっても、収縮作動時に、シリンダ1内からタンクTへ排出される作動油は、第2アンロード通路16における第2アンロード弁17のみならず接続通路30における第2通路30bを介して第1アンロード通路14における第1アンロード弁15をも通過できる。したがって、本実施の形態のダンパD3は、収縮作動時に第2アンロード弁17の通過流量を少なくできるので、ピストン側室R2の圧力を低くでき、極低い減衰力の発揮が可能となるのである。
【0100】
なお、第4調整オリフィス34と第5調整オリフィス36とは、ダンパD3をアンロード状態とした場合の伸長作動時と収縮作動時における第2アンロード弁17の通過流量を調整して、伸側減衰力と圧側減衰力とを等しくするために設けられている。第4調整オリフィス34は、圧側アンロード時の圧側減衰力のチューニングに利用され、第5調整オリフィス36は、伸側アンロード時の伸側減衰力のチューニングに利用される。なお、ダンパD3をアンロード状態とした場合の伸側減衰力と圧側減衰力とのチューニングが不要であれば、第4調整オリフィス34と第5調整オリフィス36とは、廃止されてもよい。また、第4調整オリフィス34と第5調整オリフィス36の代わりに、第1アンロード通路14の接続点P3,P5間に調整オリフィスを設けるとともに、第1通路30aに調整オリフィスを設けて伸側減衰力と圧側減衰力とをチューニングしてもよい。さらには、第4調整オリフィス34と第5調整オリフィス36の代わりに、第1通路30aと第2通路30bとのそれぞれに調整オリフィスを設けて伸側減衰力と圧側減衰力とをチューニングしてもよい。また、冗長設計になるが、第4調整オリフィス34と第5調整オリフィス36とに加えて、第1アンロード通路14の接続点P3,P5間に調整オリフィスを設けるとともに、第1通路30aに調整オリフィスを設けて伸側減衰力と圧側減衰力とをチューニングしてもよい。
【0101】
このように、アンロード回路UD3中に調整オリフィスを設けると、ダンパD3を伸側と圧側との双方をアンロード状態とした場合の伸側減衰力と圧側減衰力とを個別にチューニングできるので、ダンパD3を伸側と圧側との双方をアンロード状態とした場合の伸側減衰力と圧側減衰力とを等しくするチューニング作業が容易となる。
【0102】
そして、第3の実施の形態のダンパD3は、シリンダ1と、シリンダ1内に移動可能に挿入されるピストンロッド2と、シリンダ1内に摺動自在に挿入されてピストンロッド2に連結されるとともにシリンダ1内をピストンロッド2が挿通されるロッド側室R1とピストン側室R2とに区画するピストン3と、タンクTと、ロッド側室R1とピストン側室R2とを連通する伸側通路4に設けられてロッド側室R1からピストン側室R2へ向かう作動油(液体)の流れのみを許容しつつ当該流れに抵抗を与える伸側減衰弁5と、ロッド側室R1とピストン側室R2とを連通する圧側通路6に設けられてピストン側室R2からロッド側室R1へ向かう作動油(液体)の流れのみを許容する圧側弁7と、ピストン側室R2とタンクTとを連通する排出通路8に設けられてピストン側室R2からタンクTへ向かう作動油(液体)の流れのみを供しつつ当該流れに抵抗を与える圧側減衰弁9と、ピストン側室R2とタンクTとを連通する伸側吸込通路10に設けられてタンクTからピストン側室R2へ向かう作動油(液体)の流れのみを許容する伸側吸込弁11と、アンロード回路UD3とを備えている。さらに、アンロード回路UD3は、ロッド側室R1とタンクTとを連通する第1アンロード通路14に設けられて第1アンロード通路14を開閉する第1アンロード弁15と、ピストン側室R2とタンクTとを連通する第2アンロード通路16に設けられて第2アンロード通路16を開閉する第2アンロード弁17と、第1アンロード通路14のロッド側室R1と第1アンロード弁15との間と第2アンロード通路16のピストン側室R2と第2アンロード弁17との間とを接続する接続通路30とを備え、接続通路30が第1アンロード通路14と第2アンロード通路16とを接続する第1通路30aと、第1アンロード通路14上であって第1アンロード通路14と第1通路30aとを接続する接続点P3よりロッド側室側と第2アンロード通路16上であって第2アンロード通路16と第1通路30aとを接続する接続点P4と第2アンロード弁17との間とを接続する第2通路30bとを備え、アンロード回路UD3は、さらに、第1アンロード通路14の接続点P3と第1アンロード通路14と第2通路30bとを接続する接続点P5との間に設けられてロッド側室R1から第1アンロード弁15へ向かう作動油の流れのみを許容する第4逆止弁31と、第1通路30aの途中に設けられて第2アンロード通路16から第1アンロード通路14へ向かう作動油の流れのみを許容する第5逆止弁32と、第2アンロード通路16の接続点P4と第2アンロード通路16と第2通路30bとを接続する接続点P6との間に設けられてピストン側室R2から第2アンロード弁17へ向かう作動油の流れのみを許容する第6逆止弁33と、第2通路30bの途中に設けられて第1アンロード通路14から第2アンロード通路16へ向かう作動油の流れのみを許容する第7逆止弁35とを備えている。
【0103】
このように構成されたダンパD3にあっても、シリンダ1内からタンクTへ排出される作動油(液体)量が伸長作動時よりも多い収縮作動時において、アンロード時には作動油(液体)を第1アンロード弁15および第2アンロード弁17の双方を通過させてタンクTへ移動させるため、同じ製品の第1アンロード弁15と第2アンロード弁17とを利用しても収縮作動時の減衰力を極低くできる。
【0104】
本実施の形態のダンパD3では、圧側をアンロード時に発生する圧側減衰力を極低くできるので、並列に配置されるアクチュエータによる車体の制振効果を損わず、また、第1アンロード弁15と第2アンロード弁17とに同じ製品を利用できるので、ダンパD3の大型化を招かず、異なるアンロード弁を管理しつつ組立する必要もない。以上より、ダンパD3によれば、鉄道車両(制振対象)への搭載性と組立性とを損なうことなくアンロード時の収縮側の減衰力を低減できる。
【0105】
そして、このように構成されたダンパD3によれば、従来の緩衝器のアンロード回路に接続通路30、第4逆止弁31、第5逆止弁32、第6逆止弁33および第7逆止弁35を付け加えるだけで、鉄道車両(制振対象)への搭載性と組立性とを損なうことなくアンロード時の収縮側の減衰力を低減するという所期の効果を達成できる。よって、ダンパD3によれば、従来のダンパの構造に対して大幅な設計変更を行う必要がなく、鉄道車両(制振対象)への搭載性と組立性とを損なうことなくアンロード時の収縮側の減衰力を低減するという所期の効果を達成できる。
【0106】
以上、本発明の好ましい実施の形態を詳細に説明したが、特許請求の範囲から逸脱しない限り、改造、変形、および変更が可能である。
【符号の説明】
【0107】
1・・・シリンダ、2・・・ピストンロッド、3・・・ピストン、4・・・伸側通路、5・・・伸側減衰弁、6・・・圧側通路、7・・・圧側弁、8・・・排出通路、9・・・圧側減衰弁、10・・・伸側吸込通路、11・・・伸側吸込弁、12・・・圧側吸込通路、13・・・圧側吸込弁、14・・・第1アンロード通路、15・・・第1アンロード弁、16・・・第2アンロード通路、17・・・第2アンロード弁、18,30・・・接続通路、22・・・第1逆止弁、23・・・第1調整オリフィス、24・・・第2逆止弁、25・・・第2調整オリフィス、26・・・第3逆止弁、D1,D2,D3・・・ダンパ、R1・・・ロッド側室、R2・・・ピストン側室、T・・・タンク
【手続補正書】
【提出日】2022-05-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダと、
前記シリンダ内に移動可能に挿入されるピストンロッドと、
前記シリンダ内に摺動自在に挿入されて前記ピストンロッドに一端側のみが連結されるとともに、前記シリンダ内を前記ピストンロッドが挿通されるロッド側室とピストン側室とに区画するピストンと、
タンクと、
前記ロッド側室と前記ピストン側室とを連通する伸側通路に設けられて前記ロッド側室から前記ピストン側室へ向かう液体の流れのみを許容しつつ当該流れに抵抗を与える伸側減衰弁と、
前記ロッド側室と前記ピストン側室とを連通する圧側通路に設けられて前記ピストン側室から前記ロッド側室へ向かう液体の流れのみを許容する圧側弁と、
前記ピストン側室と前記タンクとを連通する排出通路に設けられて前記ピストン側室から前記タンクへ向かう液体の流れのみを許容しつつ当該流れに抵抗を与える圧側減衰弁と、
前記ピストン側室と前記タンクとを連通する伸側吸込通路に設けられて前記タンクから前記ピストン側室へ向かう液体の流れのみを許容する伸側吸込弁と、
前記ロッド側室と前記タンクとを連通する第1アンロード通路に設けられて前記第1アンロード通路を開閉する第1アンロード弁と、
前記ピストン側室と前記タンクとを連通する第2アンロード通路に設けられて前記第2アンロード通路を開閉する第2アンロード弁と、
前記第1アンロード通路の前記ロッド側室と前記第1アンロード弁との間と前記第2アンロード通路の前記ピストン側室と前記第2アンロード弁との間とを接続する接続通路とを備えた
ことを特徴とするダンパ。
【請求項2】
前記第1アンロード通路に設けられて前記ロッド側室から前記第1アンロード弁へ向かう液体の流れのみを許容する第1逆止弁と、
前記接続通路の途中に設けられて前記第2アンロード通路から前記第1アンロード通路へ向かう液体の流れのみを許容する第2逆止弁とを備えた
ことを特徴とする請求項1に記載のダンパ。
【請求項3】
前記第1アンロード通路に設けられて前記ロッド側室から前記第1アンロード弁および前記第2アンロード弁へ向かう液体の流れのみを許容する第1逆止弁と、
前記第2アンロード通路に設けられて前記ピストン側室から前記第1アンロード弁および前記第2アンロード弁へ向かう液体の流れのみを許容する第3逆止弁とを備えた
ことを特徴とする請求項1に記載のダンパ。
【請求項4】
前記第1アンロード通路上であって、前記第1アンロード通路と前記接続通路とを接続する接続点よりもロッド側室側に設けられた第1調整オリフィスと、
前記接続通路の途中に設けられた第2調整オリフィスとを備えた
ことを特徴とする請求項2に記載のダンパ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
本発明のダンパは、シリンダと、シリンダ内に移動可能に挿入されるピストンロッドと、シリンダ内に摺動自在に挿入されてピストンロッドに一端側のみが連結されるとともにシリンダ内をピストンロッドが挿通されるロッド側室とピストン側室とに区画するピストンと、タンクと、ロッド側室とピストン側室とを連通する伸側通路に設けられてロッド側室からピストン側室へ向かう液体の流れのみを許容しつつ当該流れに抵抗を与える伸側減衰弁と、ロッド側室とピストン側室とを連通する圧側通路に設けられてピストン側室からロッド側室へ向かう液体の流れのみを許容する圧側弁と、ピストン側室とタンクとを連通する排出通路に設けられてピストン側室からタンクへ向かう液体の流れのみを許容しつつ当該流れに抵抗を与える圧側減衰弁と、ピストン側室とタンクとを連通する伸側吸込通路に設けられてタンクからピストン側室へ向かう液体の流れのみを許容する伸側吸込弁と、ロッド側室とタンクとを連通する第1アンロード通路に設けられて第1アンロード通路を開閉する第1アンロード弁と、ピストン側室とタンクとを連通する第2アンロード通路に設けられて第2アンロード通路を開閉する第2アンロード弁と、第1アンロード通路のロッド側室と第1アンロード弁との間と第2アンロード通路のピストン側室と第2アンロード弁との間とを接続する接続通路とを備えている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0057
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0057】
ここで、ダンパD1の収縮作動時には、ピストン3の断面積にピストン3の変位量を乗じた値の作動油がピストン側室R2から押し出されてタンクTへ移動する。反対に、ダンパD1の
伸長作動時には、ピストン3の断面積からピストンロッド2の断面積を引いた値にピストン3の変位量を乗じた値の作動油がロッド側室R1から押し出されてタンクTへ移動する。よって、ダンパD1の収縮作動時の方がシリンダ1内からタンクTへ移動する作動油量が多くなる。仮に、ダンパD1の収縮作動時に第2アンロード弁17のみを通過させて作動油をタンクTへ移動させると、第2アンロード弁17を通過する作動油量が多く、第2アンロード弁17で生じる圧力損失が大きくなってダンパD1が発生する圧側減衰力が
図2中一点鎖線で示すように高くなってしまう。ところが、本実施の形態のダンパD1では、収縮作動時に、シリンダ1内からタンクTへ排出される作動油は、第2アンロード通路16における第2アンロード弁17のみならず接続通路18を介して第1アンロード通路14における第1アンロード弁15をも通過できる。したがって、本実施の形態のダンパD1は、収縮作動時に第2アンロード弁17の通過流量を少なくできるので、ピストン側室R2の圧力を低くでき、極低い減衰力の発揮が可能となるのである。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0060
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0060】
このように構成されたダンパD1では、収縮作動時において低減衰力を発揮させる場合、第2アンロード弁17のみならず第1アンロード弁15を開弁させて、シリンダ1内から押し出される作動油(液体)を第2アンロード弁17だけでなく接続通路18を介して第1アンロード弁15をも通過させてタンクTへ排出できる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0064
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0064】
また、第1の実施の形態のダンパD1は、第1アンロード通路14に設けられてロッド側室R1から第1アンロード弁15へ向かう作動油(液体)の流れのみを許容する第1逆止弁22と、接続通路18の途中に設けられて第2アンロード通路16から第1アンロード通路14へ向かう作動油(液体)の流れのみを許容する第2逆止弁24とを備えている。このように構成されたダンパD1によれば、従来の緩衝器のアンロード回路に接続通路18、第1逆止弁22および第2逆止弁24を付け加えるだけで、鉄道車両への搭載性と組立性とを損なうことなくアンロード時の収縮側の減衰力を低減するという所期の効果を達成できる。よって、ダンパD1によれば、従来のダンパの構造に対して大幅な設計変更を行う必要がなく、鉄道車両(制振対象)への搭載性と組立性とを損なうことなくアンロード時の収縮側の減衰力を低減するという所期の効果を達成できる。