(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165375
(43)【公開日】2022-10-31
(54)【発明の名称】癌化学療法剤の増感方法、その増感剤組成物及びその用途
(51)【国際特許分類】
A61K 31/713 20060101AFI20221024BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20221024BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20221024BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20221024BHJP
A61K 31/7068 20060101ALI20221024BHJP
C12N 15/113 20100101ALN20221024BHJP
【FI】
A61K31/713
A61P35/00
A61P43/00 121
A61K45/00 101
A61K31/7068
C12N15/113 Z ZNA
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021212222
(22)【出願日】2021-12-27
(31)【優先権主張番号】110113917
(32)【優先日】2021-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】508040603
【氏名又は名称】輔仁大學學校財團法人輔仁大學
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】李紹禎
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084NA05
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZC751
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086EA17
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086ZB26
4C086ZC75
(57)【要約】 (修正有)
【課題】癌化学療法剤の増感方法を提供する。
【解決手段】癌細胞にアンチセンスオリゴヌクレオチド(例えば、干渉核酸-1976又はアンタゴミル-1976)を導入して、核酸導入癌細胞を形成し、miR-1976のその後の作用を阻害する。さらに癌組成物を該核酸導入癌細胞に付加し、このとき該核酸導入癌細胞はすでにmiR-1976のその後の作用が阻害されている。該核酸導入癌細胞はすでにmiR-1976のその後の作用が阻害されているため、該核酸導入癌細胞は該癌組成物に対して感受性を生成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
癌細胞にアンチセンスオリゴヌクレオチドを導入して、核酸導入癌細胞を形成し、miR-1976のその後の作用を阻害することと、
癌組成物を前記核酸導入癌細胞に付加し、このとき前記核酸導入癌細胞はすでにmiR-1976のその後の作用が阻害されていることと、
前記核酸導入癌細胞はすでにmiR-1976のその後の作用が阻害され、miR-1976の作用が阻害された癌細胞が形成されているため、前記核酸導入癌細胞は前記癌組成物に対して感受性を生成することと、
を含む、癌化学療法剤の増感方法。
【請求項2】
前記癌細胞内で少なくとも1つの分子ターゲットを見つけることと、
所定細胞内で少なくとも1つのターゲットに結合したマイクロRNAをスクリーニングすることと、
結合した標的核酸断片を利用して、前記ターゲットに結合したマイクロRNAを複製することと、
前記結合した標的核酸断片を利用して配列分析を行い、さらにターゲット遺伝子及びその対応する位置を決定して、複数のターゲットに結合したmiR-1976を得ることと、
前記複数の標的に結合したmiR-1976を利用して遺伝子XAF1を見つけ、さらに癌細胞にアンチセンスオリゴヌクレオチドを導入する工程を利用して、前記癌細胞で細胞導入を行い、前記癌細胞でmiR-1976を抑制することと、を含む、請求項1に記載の癌化学療法剤の増感方法。
【請求項3】
膵臓癌細胞にアンチセンスオリゴヌクレオチドを導入して、核酸導入膵臓癌細胞を形成し、miR-1976のその後の作用を阻害することと、
膵臓癌組成物を前記核酸導入膵臓癌細胞に付加し、このとき前記核酸導入膵臓癌細胞はすでにmiR-1976のその後の作用が阻害されていることと、
前記核酸導入膵臓癌細胞はすでにmiR-1976のその後の作用が阻害され、miR-1976の作用が阻害された膵臓癌細胞が形成されているため、前記核酸導入膵臓癌細胞は前記膵臓癌組成物に対して感受性を生成することと、を含む、癌化学療法剤の増感方法。
【請求項4】
前記膵臓癌細胞内で少なくとも1つの分子ターゲットを見つけることと、
所定細胞内で少なくとも1つのターゲットに結合したマイクロRNAをスクリーニングすることと、
結合した標的核酸断片を利用して、前記ターゲットに結合したマイクロRNAを複製することと、
前記結合した標的核酸断片を利用して配列分析を行い、さらにターゲット遺伝子及びその対応する位置を決定して、複数のターゲットに結合したmiR-1976を得ることと、
前記複数のターゲットに結合したmiR-1976を利用して遺伝子XAF1を見つけ、さらに膵臓癌細胞にアンチセンスオリゴヌクレオチドを導入する工程を利用して、前記膵臓癌細胞で細胞導入を行い、前記膵臓癌細胞でmiR-1976を抑制することと、を含む、請求項3に記載の癌化学療法剤の増感方法。
【請求項5】
前記ターゲットに結合したマイクロRNAが、特定の遺伝子クローニング方式によりスクリーニングされる、請求項2又は4に記載の癌化学療法剤の増感方法。
【請求項6】
前記ターゲット遺伝子及びその対応する位置はブラスト分析により決定する、請求項2又は4に記載の癌化学療法剤の増感方法。
【請求項7】
前記miR-1976の発現量が、マイクロアレイ分析又はqPCR分析により得られる、請求項2又は4に記載の癌化学療法剤の増感方法。
【請求項8】
アンタゴミル-1976を導入した癌細胞及び癌組成物を含み、
前記アンタゴミル-1976を導入した癌細胞が、癌細胞にアンタゴミル-1976を導入する工程を癌細胞で利用して、核酸導入癌細胞を形成し、前記癌細胞でmiR-1976を抑制し、
前記癌組成物が前記核酸導入癌細胞と組み合わさって、感受性を増加させた組成物を形成し、
前記癌組成物が前記核酸導入癌細胞に付加され、このとき前記核酸導入癌細胞はすでにmiR-1976のその後の作用が阻害されており、前記核酸導入癌細胞はすでにmiR-1976のその後の作用が阻害され、miR-1976の作用が阻害された癌細胞が形成されているため、前記核酸導入癌細胞は前記癌組成物に対して感受性を生成する、癌化学療法剤の増感組成物。
【請求項9】
アンタゴミル-1976を導入した膵臓癌細胞及び膵臓癌組成物を含み、
前記アンタゴミル-1976を導入した膵臓癌細胞が、膵臓癌細胞にアンタゴミル-1976を導入する工程を膵臓癌細胞で利用して、核酸導入膵臓癌細胞を形成し、前記膵臓癌細胞でmiR-1976を抑制し、
前記膵臓癌組成物が、前記核酸導入膵臓癌細胞と組み合わさって、感受性を増加させた組成物を形成し、
前記膵臓癌組成物が前記核酸導入膵臓癌細胞に付加され、このとき前記核酸導入膵臓癌細胞はすでにmiR-1976のその後の作用が阻害されており、前記核酸導入膵臓癌細胞はすでにmiR-1976のその後の作用が阻害され、miR-1976の作用が阻害された膵臓癌細胞が形成されているため、前記核酸導入膵臓癌細胞は前記膵臓癌組成物に対して感受性を生成する、癌化学療法剤の増感組成物。
【請求項10】
前記感受性を増加させた組成物により、細胞外小胞中でmiR-1976が減少する、請求項8又は9に記載の癌化学療法剤の増感剤組成物。
【請求項11】
前記感受性を増加させた組成物により、癌細胞のアポトーシスマーカが増加する、請求項8又は9に記載の癌化学療法剤の増感剤組成物。
【請求項12】
前記癌細胞のアポトーシスマーカがcleaved PARPである、請求項11に記載の癌化学療法剤の増感剤組成物。
【請求項13】
前記癌細胞のアポトーシスマーカが遺伝子XAF1に対応する、請求項11に記載の癌化学療法剤の増感剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、癌化学療法剤の増感方法、その増感剤組成物(又は検査試薬)及びその用途に関し、特に癌又は膵臓癌化学療法剤に対する癌細胞の感受性を増加させる方法、その増感剤組成物(又は検査試薬)及びその用途に関し、特にmiR-1976を採用し、核酸を抑制した癌(例えば脳癌、鼻咽頭癌、口腔癌、喉頭癌、食道癌、胃癌、肝臓癌、大腸直腸癌、肺癌、乳癌、前立腺癌、膀胱癌、子宮頸癌、生殖細胞癌、皮膚癌、骨肉腫又は血液癌)或いは膵臓癌の化学療法剤の増感方法、その増感剤組成物(又は検査試薬)及びその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、癌は脳癌、鼻咽頭癌、口腔癌、喉頭癌、食道癌、胃癌、肝臓癌、大腸直腸癌、膵臓癌、肺癌、乳癌、前立腺癌、膀胱癌、子宮頸癌、生殖細胞癌、皮膚癌、骨肉腫、血液癌(悪性リンパ腫、白血病、多発性骨髄腫を含む)を含む。例を挙げると、膵臓癌は世界でよく見られる癌の1つである。台湾衛生福利部は106(2017)年に国民の十大死因で、悪性腫瘍は首位であり続けており、膵臓癌は癌の死因の第6位であることを発表した。膵臓癌は先進国で比較的よく見られるが、膵臓腺癌の予後は通常悪く、1年生存率及び5年生存率はそれぞれわずか25%及び5%である。早期診断の場合、5年生存率は約20%まで上昇するが、依然として効果的に制御することはできない。
【0003】
慣用されるマイクロRNAmiR-1976の関連技術に関して、米国特許第8969315号明細書「ENHANCEMENT OF PLACENTAL STEM CELL POTENCY USING MODULATORY RNA MOLECULES」の発明特許はmiR-1976のみを開示しており、これはmiR-1976を採用し、核酸及び癌細胞の抗アポトーシス能力を抑制する技術と完全に関係しない。
【0004】
別の慣用されるマイクロRNAmiR-1976の関連技術に関して、米国特許出願公開第2014/0080894号明細書「ENHANCED BIODISTRIBUTION OF OLIGOMERS」の発明特許出願案はmiR-1976のみを開示しており、これもmiR-1976を採用し、核酸及び癌細胞の抗アポトーシス能力を抑制する技術と完全に関係しない。
【0005】
別の慣用されるマイクロRNAmiR-1976の関連技術に関して、米国特許出願公開第2018/0237772号明細書「HYBRID tRNA/pre-miRNA MOLECULES AND METHODS OF USE」の発明特許出願案はmiR-1976のみ開示しており、これもmiR-1976を採用し、核酸を抑制する技術と完全に関係しない。
【0006】
別の慣用される遺伝子XAF1の関連技術に関して、米国特許第8021840号明細書「DIAGNOSTIC MARKER FOR INTERFERON RESPONSIVENESS IN MULTIPLE SCLEROSIS」の発明特許は遺伝子XAF1のみ開示しており、これはmiR-1976を採用し、核酸及び対応する癌細胞の抗アポトーシス能力を抑制する技術と完全に関係しない。
【0007】
別の慣用される遺伝子XAF1の関連技術に関して、米国特許出願公開第2007/0218493号明細書「DIAGNOSTIC MARKER FOR INTERFERON RESPONSIVENESS IN MULTIPLE SCLEROSIS」の発明特許出願案は遺伝子XAF1のみを開示しており、これもmiR-1976を採用し、核酸及び対応する癌細胞の抗アポトーシス能力を抑制する技術と完全に関係しない。
【0008】
別の慣用される遺伝子XAF1の関連技術に関して、米国特許出願公開第2009/0215895号明細書「THERAPEUTIC AND CARRIER MOLECULES」の発明特許出願案は遺伝子XAF1のみを開示しており、これもmiR-1976を採用し、核酸及び対応する癌細胞の抗アポトーシス能力を抑制する技術と完全に関係しない。
【0009】
別の慣用される遺伝子XAF1の関連技術に関して、米国特許出願公開第2017/0003277号明細書「BIOLOGICAL CHARACTERIZATION OF A GLATIRAMER ACETATE RELATED DRUG PRODUCT USING MAMMALIAN AND HUMAN CELLS」の発明特許出願案は遺伝子XAF1のみを開示しており、これもmiR-1976を採用し、核酸及び対応する癌細胞の抗アポトーシス能力を抑制する技術と完全に関係しない。
【0010】
別の慣用される遺伝子XAF1の関連技術に関して、米国特許出願公開第2018/0369303号明細書「ONCOLYTIC RHABDOVIRUS」の発明特許出願案は遺伝子XAF1のみを開示しており、これもmiR-1976を採用し、核酸及び対応する癌細胞の抗アポトーシス能力を抑制する技術と完全に関係しない。
【0011】
しかしながら、前記米国特許第8969315号明細書、米国特許出願公開第2014/0080894号明細書、米国特許出願公開第2018/0237772号明細書、米国特許第8021840号明細書、米国特許出願公開第2007/0218493号明細書、米国特許出願公開第2009/0215895号明細書、米国特許出願公開第2017/0003277号明細書及び米国特許出願公開第2018/0369303号明細書の発明特許出願案におけるマイクロRNAmiR-1976に関する応用技術又は遺伝子XAF1に関する応用技術には、依然としてさらなる改良の必要性が存在する。
【0012】
前記米国特許第8969315号明細書、米国特許出願公開第2014/0080894号明細書、米国特許出願公開第2018/0237772号明細書、米国特許第8021840号明細書、米国特許出願公開第2007/0218493号明細書、米国特許出願公開第2009/0215895号明細書、米国特許出願公開第2017/0003277号明細書及び米国特許出願公開第2018/0369303号明細書の特許及び特許出願案は、本発明の技術的背景の参考とし、現在の技術の発展状態を説明したに過ぎず、本発明の範囲を制限するのではないことは明らかである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第8969315号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2014/0080894号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2018/0237772号明細書
【特許文献4】米国特許第8021840号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2007/0218493号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2009/0215895号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2017/0003277号明細書
【特許文献8】米国特許出願公開第2018/0369303号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の主な目的は、癌化学療法剤の増感方法、その増感剤組成物(又は検査試薬)及びその用途を提供することである。癌細胞にアンチセンスオリゴヌクレオチド(例えば干渉核酸-1976又はアンタゴミル-1976)を導入して、核酸導入癌細胞を形成し、miR-1976のその後の作用を阻害する。さらに癌組成物を該核酸導入癌細胞に付加し、このとき該核酸導入癌細胞はすでにmiR-1976のその後の作用が阻害されている。該核酸導入癌細胞はすでにmiR-1976のその後の作用が阻害され、miR-1976の作用が阻害された癌細胞が形成されているため、該核酸導入癌細胞は該癌組成物に対して感受性を生成し、癌化学療法剤又は癌検査試薬の増感作用を提供する効果を達成する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するため、本発明の好ましい実施例における癌化学療法剤の増感方法は以下を含む。
癌細胞にアンチセンスオリゴヌクレオチド(例えば干渉核酸-1976又はアンタゴミル-1976)を導入して、核酸導入癌細胞を形成し、miR-1976のその後の作用を阻害する。
癌組成物を該核酸導入癌細胞に付加し、このとき該核酸導入癌細胞はすでにmiR-1976のその後の作用が阻害されている。
該核酸導入癌細胞はすでにmiR-1976のその後の作用が阻害され、miR-1976の作用が阻害された癌細胞が形成されているため、該核酸導入癌細胞は該癌組成物に対して感受性を生成する。
【0016】
本発明の好ましい実施例における癌化学療法剤の増感方法は、他に以下を含む。
該癌細胞内で少なくとも1つの分子ターゲットを見つける。
所定細胞内で少なくとも1つのターゲットに結合したマイクロRNAをスクリーニングする。
結合した標的核酸断片を利用して、該ターゲットに結合したマイクロRNAを複製する。
該結合した標的核酸断片を利用して配列分析を行い、さらにターゲット遺伝子及びその対応する位置を決定し、複数のターゲットに結合したmiR-1976を得る。
該複数のターゲットに結合したmiR-1976を利用して遺伝子XAF1を見つける。さらに癌細胞にアンチセンスオリゴヌクレオチドを導入する工程(例えば、癌細胞に干渉核酸-1976を導入する工程又は癌細胞にアンタゴミル-1976を導入する工程)を利用して、該癌細胞で細胞導入を行い、該癌細胞でmiR-1976を抑制する。
【0017】
本発明の好ましい実施例における該ターゲットに結合したマイクロRNAは、特定の遺伝子クローニング方式によりスクリーニングされる。
【0018】
本発明の好ましい実施例における該ターゲット遺伝子及びその対応する位置は、ブラスト分析により決定する。
【0019】
本発明の好ましい実施例における該miR-1976の発現量は、マイクロアレイ分析又はqPCR分析により得られる。
【0020】
上記目的を達成するため、本発明の好ましい実施例における癌化学療法剤の増感組成物は、アンチセンスオリゴヌクレオチドを導入した癌細胞及び癌組成物を含む。
アンチセンスオリゴヌクレオチド(例えば、干渉核酸-1976又はアンタゴミル-1976)を導入した癌細胞は、癌細胞にアンチセンスオリゴヌクレオチドを導入する工程(例えば、癌細胞に干渉核酸-1976を導入する工程又は癌細胞にアンタゴミル-1976を導入する工程)を癌細胞で利用して、核酸導入癌細胞を形成し、該癌細胞でmiR-1976を抑制する。
癌組成物(例えば抗癌組成物)は、該核酸導入癌細胞と組み合わさって、感受性を増加させた組成物を形成する。
該癌組成物は該核酸導入癌細胞に付加され、このとき該核酸導入癌細胞はすでにmiR-1976のその後の作用が阻害されている。該核酸導入癌細胞はすでにmiR-1976のその後の作用が阻害され、miR-1976の作用が阻害された癌細胞が形成されているため、該核酸導入癌細胞は該癌組成物に対して感受性を生成する。
【0021】
本発明の好ましい実施例における該感受性を増加させた組成物により、細胞外小胞中でmiR-1976が減少する。
【0022】
本発明の好ましい実施例における該感受性を増加させた組成物により、癌細胞のアポトーシスマーカが増加する。
【0023】
本発明の好ましい実施例における該癌細胞のアポトーシスマーカは、cleaved PARPである。
【0024】
本発明の好ましい実施例における該癌細胞のアポトーシスマーカは、遺伝子XAF1に対応する。
【0025】
上記目的を達成するため、本発明の好ましい実施例における膵臓癌化学療法剤の増感方法は以下を含む。
膵臓癌細胞にアンチセンスオリゴヌクレオチド(例えば、干渉核酸-1976又はアンタゴミル-1976)を導入して、核酸導入膵臓癌細胞を形成し、miR-1976のその後の作用を阻害する。
膵臓癌組成物を該核酸導入膵臓癌細胞に付加し、このとき該核酸導入膵臓癌細胞はすでにmiR-1976のその後の作用が阻害されている。
該核酸導入膵臓癌細胞はすでにmiR-1976のその後の作用が阻害され、miR-1976の作用が阻害された膵臓癌細胞が形成されているため、該核酸導入膵臓癌細胞は該膵臓癌組成物に対して感受性を生成する。
【0026】
本発明の好ましい実施例における膵臓癌化学療法剤の増感方法は、他に以下を含む。
該膵臓癌細胞内で少なくとも1つの分子ターゲットを見つける。
所定細胞内で少なくとも1つのターゲットに結合したマイクロRNAをスクリーニングする。
結合した標的核酸断片を利用して、該ターゲットに結合したマイクロRNAを複製する。
該結合した標的核酸断片を利用して配列分析を行い、さらにターゲット遺伝子及びその対応する位置を決定して、複数のターゲットに結合したmiR-1976を得る。
該複数のターゲットに結合したmiR-1976を利用して遺伝子XAF1を見つける。さらに膵臓癌細胞にアンチセンスオリゴヌクレオチドを導入する工程(例えば、膵臓癌細胞に干渉核酸-1976を導入する工程又は膵臓癌細胞にアンタゴミル-1976を導入する工程)を利用して、該膵臓癌細胞で細胞導入を行い、該膵臓癌細胞でmiR-1976を抑制する。
【0027】
本発明の好ましい実施例における該ターゲットに結合したマイクロRNAは、特定の遺伝子クローニング方式によりスクリーニングされる。
【0028】
本発明の好ましい実施例における該ターゲット遺伝子及びその対応する位置は、ブラスト分析により決定する。
【0029】
本発明の好ましい実施例における該miR-1976の発現量は、マイクロアレイ分析又はqPCR分析により得られる。
【0030】
上記目的を達成するため、本発明の好ましい実施例における膵臓癌化学療法剤の増感剤組成物は、アンチセンスオリゴヌクレオチドを導入した膵臓癌細胞及び膵臓癌組成物を含む。
アンチセンスオリゴヌクレオチド(例えば、干渉核酸-1976又はアンタゴミル-1976)を導入した膵臓癌細胞は、アンチセンスオリゴヌクレオチドを膵臓癌細胞に導入する工程2(例えば、膵臓癌細胞に干渉核酸-1976を導入する工程又は膵臓癌細胞にアンタゴミル-1976を導入する工程)を膵臓癌細胞で利用して、核酸導入膵臓癌細胞を形成し、該膵臓癌細胞でmiR-1976を抑制する。
膵臓癌組成物(例えば、抗膵臓癌組成物)は、該核酸導入膵臓癌細胞と組み合わさって、感受性を増加させた組成物を形成する。
該膵臓癌組成物は該核酸導入膵臓癌細胞に付加され、このとき該核酸導入膵臓癌細胞はすでにmiR-1976のその後の作用が阻害されている。該核酸導入膵臓癌細胞はすでにmiR-1976のその後の作用が阻害され、miR-1976の作用が阻害された膵臓癌細胞が形成されているため、該核酸導入膵臓癌細胞は該膵臓癌組成物に対して感受性を生成する。
【0031】
本発明の好ましい実施例における該感受性を増加させた組成物により、細胞外小胞中でmiR-1976が減少する。
【0032】
本発明の好ましい実施例における該感受性を増加させた組成物により、膵臓癌細胞のアポトーシスマーカが増加する。
【0033】
本発明の好ましい実施例における該膵臓癌細胞のアポトーシスマーカは、cleaced PARPである。
【0034】
本発明の好ましい実施例における該膵臓癌細胞のアポトーシスマーカは、遺伝子XAF1に対応する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】
図1は、本発明の好ましい実施例における癌化学療法剤の増感方法のフローチャートである。
【
図1A】
図1Aは、本発明の好ましい実施例における膵臓癌化学療法剤の増感方法で、マイクロアレイ分析を用いて、ダメージを受けた癌細胞が放出した細胞外小胞中のマイクロRNAの発現量を示す概要図である。
【
図1B】
図1Bは、本発明の好ましい実施例における膵臓癌化学療法剤の増感方法で、qPCR分析を用いて、ダメージを受けた癌細胞内のマイクロRNAの発現量を示す概要図である。
【
図2A】
図2Aは、本発明の好ましい実施例における膵臓癌化学療法剤の増感方法で、特定の遺伝子クローニング技術を用いて、細胞内のターゲットに結合したmiR-1976をスクリーニングすることを示す概要図である。
【
図2B】
図2Bは、本発明の好ましい実施例における膵臓癌化学療法剤の増感方法で、バイオインフォマティクスデータとの相互比較により、XAF1が細胞のアポトーシスと関係するmiR-1976の潜在標的遺伝子であることを示す概要図である。
【
図3A】
図3Aは、本発明の好ましい実施例における膵臓癌化学療法剤の増感方法で、qPCR分析を用いて、癌細胞内にmiR-1976が大量に発現したことを示す概要図である。
【
図3B】
図3Bは、本発明の好ましい実施例における膵臓癌化学療法剤の増感方法で、ウェスタンブロット法を用いて、癌細胞内に大量に発現したmiR-1976がXAF1タンパク発現に及ぼす影響を示す概要図である。
【
図3C】
図3Cは、本発明の好ましい実施例における膵臓癌化学療法剤の増感方法で、ウェスタンブロット法を用いて、癌細胞内に大量に発現したmiR-1976が細胞のアポトーシスに及ぼす影響を示す概要図である。
【
図4A】
図4Aは、本発明の好ましい実施例における膵臓癌化学療法剤の増感方法で、癌細胞内にアンタゴミル-1976を導入した後、細胞のアポトーシスに及ぼす影響について、ウェスタンブロット法を用いて膵臓癌BxPC-3細胞で行った結果を示す概要図である。
【
図4B】
図4Bは、本発明の好ましい実施例における膵臓癌化学療法剤の増感方法で、癌細胞内にアンタゴミル-1976を導入した後、細胞のアポトーシスに及ぼす影響について、ウェスタンブロット法を用いて膵臓癌AsPC-1細胞で行った結果を示す概要図である。
【
図5A】
図5Aは、本発明の好ましい実施例における膵臓癌化学療法剤の増感方法で、癌細胞内にsiRNA-1976を導入した後、細胞生存に及ぼす影響について、細胞生存分析を用いて膵臓癌細胞MIA Capa-2に生じた結果を示す概要図である。
【
図5B】
図5Bは、本発明の好ましい実施例における膵臓癌化学療法剤の増感方法で、癌細胞内にsiRNA-1976を導入した後、細胞生存に及ぼす影響について、細胞生存分析を用いて膵臓癌細胞BxPC-3に生じた結果を示す概要図である。
【
図5C】
図5Cは、本発明の好ましい実施例における膵臓癌化学療法剤の増感方法で、癌細胞内にsiRNA-1976を導入した後、細胞生存に及ぼす影響について、細胞生存分析を用いて膵臓癌細胞AsPC-1に生じた結果を示す概要図である。
【
図5D】
図5Dは、本発明の好ましい実施例における膵臓癌化学療法剤の増感方法で、癌細胞内にsiRNA-1976を導入した後、細胞生存に及ぼす影響について、細胞生存分析を用いて膵臓癌細胞MIA Capa-2、BxPC-3及びAsPC-1に生じた結果を示す概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明を十分に理解できるようにするため、以下に好ましい実施例を挙げ、図を組み合わせて詳細に説明する。これは本発明を限定するものではない。
【0037】
本発明の好ましい実施例における癌化学療法剤の増感方法、その増感剤組成物及びその用途は各種癌に適用され、癌は脳癌、鼻咽頭癌、口腔癌、喉頭癌、食道癌、胃癌、肝臓癌、大腸直腸癌、膵臓癌、肺癌、乳癌、前立腺癌、膀胱癌、子宮頸癌、生殖細胞癌、皮膚癌、骨肉腫、血液癌(悪性リンパ腫、白血病、多発性骨髄腫を含む)を含む。本発明の別の好ましい実施例における膵臓癌化学療法剤の増感方法、その増感剤組成物(又は検査試薬)及びその用途は、化学療法剤の増感剤を提供して、膵臓癌細胞の薬物に対する感受性を増加させる。比較的低い薬物濃度下で治療効果に達し、薬物使用の治療効果を増加させることができる。
【0038】
本発明の好ましい実施例における膵臓癌化学療法剤の増感方法、その増感剤組成物(又は検査試薬)及びその用途は、miR-1976の生理作用を阻害するのに利用され、これにより癌細胞の薬物治療に対する感受性を促進すること、及び癌細胞の成長を抑制することを達成する。このほか、マイクロRNA分子は分子標的のスクリーニングに応用される。
【0039】
本発明の好ましい実施例における膵臓癌化学療法剤の増感方法、その増感剤組成物(又は検査試薬)及びその用途は、特定の遺伝子クローニング技術を採用する。このほか、本発明の好ましい実施例における膵臓癌化学療法剤の増感方法、その増感剤組成物及びその用途は、化学療法剤の注射後、血液サンプル中のmiR-1976の発現量が増加するかどうかで検査試薬とする。
【0040】
図1は、本発明の好ましい実施例における癌化学療法剤の増感方法のフローチャートを示す。
図1を参照されたい。例を挙げると、癌化学療法剤の増感方法は以下を含む。
癌細胞1(又は膵臓癌細胞又はその他の種類の癌細胞)を選択し、癌細胞にアンチセンスオリゴヌクレオチドを導入する工程2(例えば、膵臓癌細胞に干渉核酸-1976を導入する工程又は膵臓癌細胞にアンタゴミル-1976を導入する工程)を利用し、アンチセンスオリゴヌクレオチド(例えば、干渉核酸-1976又はアンタゴミル-1976)を適切に導入して、核酸導入癌細胞10を形成し、miR-1976のその後の作用を阻害する。
癌組成物3(例えば、抗癌組成物又はその他の癌化学療法組成物)を該核酸導入癌細胞10に適切に付加し、このとき該核酸導入癌細胞10はすでにmiR-1976のその後の作用が阻害されている。
該核酸導入癌細胞10はすでにmiR-1976のその後の作用が阻害され、miR-1976の作用が阻害された癌細胞11が形成されているため、該核酸導入癌細胞10は明らかに該癌組成物3に対して感受性を生成する。
【0041】
再び
図1を参照されたい。例を挙げると、本発明の好ましい実施例における癌化学療法剤の増感方法は他に以下を含む。
該癌細胞1内で少なくとも1の分子ターゲットを適切に見つける。
所定細胞内で少なくとも1つのターゲットに結合したマイクロRNAを適切にスクリーニングする。
結合した標的核酸断片を利用して、該ターゲットに結合したマイクロRNAを適切に複製する。
該結合した標的核酸断片を利用して配列分析を適切に行い、さらにターゲット遺伝子及びその対応する位置を適切に決定して、複数のターゲットに結合したmiR-1976を得る。
該複数のターゲットに結合したmiR-1976を利用し、遺伝子XAF1を適切に見つける。さらに該膵臓癌細胞にアンチセンスオリゴヌクレオチドを導入する工程2(例えば、膵臓癌細胞に干渉核酸-1976を導入する工程又は膵臓癌細胞にアンタゴミル-1976を導入する工程)を利用して、該癌細胞で適切に細胞導入を行い、該癌細胞1でmiR-1976を適切に抑制する。
【0042】
再び
図1を参照されたい。例を挙げると、本発明の好ましい実施例における該膵臓癌細胞にアンチセンスオリゴヌクレオチドを導入する工程2は、膵臓癌細胞に干渉核酸-1976を導入する工程又は膵臓癌細胞にアンタゴミル-1976を導入する工程を含む。
【0043】
再び
図1を参照されたい。例を挙げると、本発明の好ましい実施例における該癌組成物3は、代謝拮抗剤(例えば、メトトレキサート、ペメトレキセド、シタラビン、5-フルオロウラシル、カペシタビン、ゲムシタビン、6-メルカプトプリン、アザチオプリン、フルダラビン、クラドリビン又はヒドロキシウレア)から選択することができる。
【0044】
再び
図1を参照されたい。例を挙げると、本発明の別の好ましい実施例における該癌組成物3は、アルキル化剤(例えば、シクロホスファミド、イホスファミド、クロラムブシル、メルファラン、テモゾロミド、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、ブスルファン、プロカルバジン、シスプラチン、カルボプラチン又はオキサリプラチン)から選択することもできる。
【0045】
再び
図1を参照されたい。例を挙げると、本発明の別の好ましい実施例における該癌組成物3は、トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、イリノテカン、トポテカン、エトポシド又はドキソルビシン)から選択することもできる。
【0046】
再び
図1を参照されたい。例を挙げると、本発明の別の好ましい実施例における該癌組成物3は、有糸分裂阻害剤(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、ドセタキセル、パクリタキセル、エリブリン、イキサベピロン又はエポチロン)から選択することもできる。
【0047】
再び
図1を参照されたい。例を挙げると、本発明の別の好ましい実施例における該癌組成物3は、抗腫瘍抗生物質(例えば、ブレオマイシン、アクチノマイシンD、ドキソルビシン、ダウノルビシン、イダルビシン又はマイトマイシン)から選択することもできる。
【0048】
再び
図1を参照されたい。例を挙げると、本発明の別の好ましい実施例における該癌組成物3は、チロシンキナーゼ阻害剤(例えば、イマチニブ、ダサチニブ、ニロチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、アファチニブ、オシメルチニブ、アレクチニブ、クリゾチニブ、ダブラフェニブ、エンコラフェニブ、ベムラフェニブ、トラメチニブ、イブルチニブ、ルキソリチニブ又はパルボシクリブ)から選択することもできる。
【0049】
再び
図1を参照されたい。例を挙げると、本発明の別の好ましい実施例における該癌組成物3は、抗腫瘍受容体の抗体薬又はその他の組成物(例えば、L-アスパラギナーゼ、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、イキサゾミブ又はオラパリブ)から選択することもできる。
【0050】
図1A及び1Bは、本発明の好ましい実施例における膵臓癌化学療法剤の増感方法で、マイクロアレイ分析及びqPCR分析を用いて、ダメージを受けた癌細胞が放出した細胞外小胞中及び細胞内のマイクロRNAの発現量を示す概要図である。
図1A及び
図1Bを参照されたい。例を挙げると、miR-1976、miR-877-3p、miR-4728-3pの含量の増加が最も多く、これはqPCRにより確認することができ、miR-1976の増加が最も顕著である。
【0051】
図1Bを参照されたい。例を挙げると、膵臓癌細胞内のmiR-1976含量もゲムシタビンで細胞がダメージを受けることにより、増加を誘導することができる。
【0052】
図2A及び2Bは、本発明の好ましい実施例における膵臓癌化学療法剤の増感方法で、特定の遺伝子クローニング技術を用いて、細胞内のターゲットに結合したmiR-1976をスクリーニングすること、及びバイオインフォマティクスデータとの相互比較により、XAF1が細胞のアポトーシスと関係するmiR-1976の潜在標的遺伝子であることを示す概要図である。
図2A及び
図2Bを参照されたい。例を挙げると、本発明の好ましい実施例は、特定の遺伝子クローニング技術を利用して特定細胞内のターゲットに結合したマイクロRNAをスクリーニングし、その結合した標的核酸断片を複製後、配列分析を行う。さらにブラスト分析を利用して、ターゲット遺伝子及び対応する位置を決定することができる。本発明の好ましい実施例は、複数のターゲットに結合したmiR-1976を得、さらに細胞死関連遺伝子と相互比較し、ターゲットスキャンツールで予測したmiR-1976ターゲット群を利用して、細胞のアポトーシスと関係する遺伝子XAF1、すなわちmiR-1976が調節するターゲットを得る。
【0053】
図3Aから
図3Cは、本発明の好ましい実施例における膵臓癌化学療法剤の増感方法で、ウェスタンブロット法を用いて、癌細胞内に大量に発現したmiR-1976の細胞のアポトーシスに及ぼす影響を示す概要図である。
図3Aから3Cを参照されたい。例を挙げると、本発明の好ましい実施例は、癌細胞内でmiR-1976が大量に発現し、細胞がダメージを受けた時のmiR-1976の増加、又は細胞がmiR-1976を含む細胞外小胞の作用を受けた後の効果を再現する。細胞にmiR-1976が大量に発現したとき、XAF1の含量が相対的に減少する以外に、膵臓癌細胞のアポトーシスマーカであるcleaved PARPも明らかに減少する。
【0054】
図4A及び4Bは、本発明の好ましい実施例における膵臓癌化学療法剤の増感方法で、癌細胞内にアンタゴミルR-1976を導入した後、細胞のアポトーシスに及ぼす影響について、ウェスタンブロット法を用いて示す概要図である。
図4Aを参照されたい。例を挙げると、本発明の好ましい実施例を膵臓癌BxPC-3細胞で行った結果である。
図4Bを参照されたい。例を挙げると、本発明の好ましい実施例を膵臓癌AsPC-1細胞で行った結果である。
【0055】
図4A及び4Bを参照されたい。例を挙げると、本発明の好ましい実施例は、膵臓癌細胞にまずアンタゴミル-1976を導入して、miR-1976のその後の作用を阻害する。従って、細胞のアポトーシスマーカcleaved PARPも明らかに増加する。
【0056】
例を挙げると、本発明の好ましい実施例における癌化学療法剤の増感方法、その増感剤組成物及びその用途は、主に「アンタゴミル-1976」の代わりに「抑制核酸-1976」を用いることができる。
【0057】
例を挙げると、本発明の好ましい実施例における癌化学療法剤の増感方法、その増感剤組成物及びその用途は、特殊構造を有するアンタゴミルを採用することができ、該特殊構造を組み合わせてアンタゴミルの干渉型核酸分子を形成する。アンタゴミルは特定のRNA配列、すなわち「ACAGCAA」の特定配列を有する。
【0058】
例を挙げると、本発明の好ましい実施例は、アンタゴミル-1976の20個の核酸配列が5’-ACAGCAAGGAGGGCAGGAGG-3’であることを採用することができる。
【0059】
例を挙げると、本発明の別の好ましい実施例は、重要部位を有するアンタゴミル-1976を採用することができる。該重要部位は抑制核酸-1976に用いられ、該重要部位は「ACAGCAA」の特定配列を含み、その核酸の長さは17から42個の塩基長である。
【0060】
例を挙げると、本発明の別の好ましい実施例は、アンタゴミル-1976が抑制核酸-1976の配列5’-(N)xACAGCAA(N)yを有することを採用することができ、塩基NはA又はU又はG又はCであり、x=0~5、y=10~30である。
【0061】
図5Aから5Dは、本発明の好ましい実施例における膵臓癌化学療法剤の増感方法で、癌細胞内にsiRNA-1976を導入した後、細胞生存に及ぼす影響について、細胞生存分析を用いてそれぞれ膵臓癌細胞MIA Capa-2、BxPC-3及びAsPC-1に生じた結果を示す概要図である。
図5Aから5Dを参照されたい。例を挙げると、本発明の好ましい実施例における膵臓癌化学療法剤の増感方法は、増感剤siRNA-1976(又は類似した増感機能を有する組成物)及び化学療法剤を用いなければならず、そうすればその癌細胞の生存率に影響を及ぼすことができる。
【0062】
再び
図5Aから5Dを参照されたい。例を挙げると、増感剤siRNA-1976(又は類似した増感機能を有する組成物)を単独で採用し、化学療法剤を使用しない場合、増感剤siRNA-1976(又は類似した増感機能を有する組成物)の使用はその癌細胞の生存率に影響を及ぼさない。
【0063】
上記実験データは、特定条件下で得られた初歩的な実験結果であり、本発明の技術内容を容易に理解する、又は参考にするために用いたに過ぎず、さらにその他の関連実験を行う必要がある。該実験データ及びその結果は、本発明の特許範囲を制限するものではない。
【0064】
前記好ましい実施例は、例を挙げて本発明及びその技術的特徴を説明したに過ぎず、該実施例の技術は各種実質的に同等な修飾及び/又は置換方式により適切に実施することができる。従って、本発明の特許範囲は添付する特許請求の範囲が画定する範囲を基準とみなさなければならない。本案の著作権は、中華民国の特許出願の用途に制限される。
【符号の説明】
【0065】
1 癌細胞
10 核酸導入癌細胞
11 miR-1976の作用が阻害された癌細胞
2 アンチセンスオリゴヌクレオチドを癌細胞に導入する工程
3 癌組成物
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2022-02-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】変更
【補正の内容】
【配列表】
【外国語明細書】