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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165394
(43)【公開日】2022-10-31
(54)【発明の名称】外科器具用ブレードカートリッジ
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/3215 20060101AFI20221024BHJP
   A61B 17/3213 20060101ALI20221024BHJP
【FI】
A61B17/3215
A61B17/3213
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022053259
(22)【出願日】2022-03-29
(31)【優先権主張番号】21169197
(32)【優先日】2021-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】592245823
【氏名又は名称】エルベ エレクトロメディジン ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Erbe Elektromedizin GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】フェリックス・ボブ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160FF14
4C160FF60
4C160MM32
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本発明の目的は、それぞれの器具の使用中に患者及び/又は従事者の安全性を向上させ得る方法を提供することである。
【解決手段】ブレードは、第1操作要素34によって第1ロック位置(静止位置)から第2ロック位置(作動位置)へ切り替えることができるブレード筐体内に保持される。静止位置において、ブレード筐体は、カートリッジ筐体24内部に完全に位置し、ブレードは、ブレード筐体内にロックされる。作動位置において、ブレード筐体は、カートリッジ筐体24から突出する。作動位置においてのみ、ブレード筐体とブレードとのロックを解除することができ、第2操作要素45とブレードとの間に駆動連結が確立される。ブレードが組織から引っ込む間に保持される組織残部は、ブレード筐体内に収容され、その中に封入される。したがって、器具12の洗浄及び再使用は、より簡単で、より安全である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
器具(12)に連結可能なカートリッジ筐体(24)と、
前記カートリッジ筐体(24)内部に可動的に支持されるブレード筐体(31)と、
前記ブレード筐体(31)内部に可動的に支持されるブレード(22)と、
前記ブレード筐体(31)を動かす第1操作要素(34)と、
前記ブレード筐体(31)内部の前記ブレード(22)を動かす第2操作要素(45)とを備える
外科器具(12)用ナイフカートリッジ(23)。
【請求項2】
前記カートリッジ筐体(24)は、前記カートリッジ筐体(24)を前記器具(12)に解除可能に連結する係止手段(27)を含む
請求項1に記載のナイフカートリッジ。
【請求項3】
前記係止手段(27)は、前記第1操作要素(34)によって操作可能である
請求項2に記載のナイフカートリッジ。
【請求項4】
前記ブレード筐体(31)は、前記ブレード筐体(31)が前記カートリッジ筐体(24)内部に完全に位置する第1ロック位置を有する
請求項1~3のいずれか1項に記載のナイフカートリッジ。
【請求項5】
前記ブレード筐体(31)は、前記ブレード筐体が前記カートリッジ筐体(24)から部分的に突出して保持される第2ロック位置を有する
請求項1~4のいずれか1項に記載のナイフカートリッジ。
【請求項6】
前記ブレード(22)は、前記ブレード(22)が前記ブレード筐体(31)内部に完全に位置し、かつ前記ブレード筐体(31)内部にロックされる、引込位置を有する
請求項1~5のいずれか1項に記載のナイフカートリッジ。
【請求項7】
前記ブレード(22)は、前記ブレード筐体(31)から延出し得る延出部(22a)を含む
請求項1~6のいずれか1項に記載のナイフカートリッジ。
【請求項8】
前記第1操作要素(34)は、前記カートリッジ筐体(24)に可動的に支持される
請求項1~7のいずれか1項に記載のナイフカートリッジ。
【請求項9】
前記第1操作要素(34)は、所定の移動経路に沿って前記カートリッジ筐体(24)に支持される
請求項1~8のいずれか1項に記載のナイフカートリッジ。
【請求項10】
前記第1操作要素(34)と前記カートリッジ筐体(24)との間において、前記移動経路の端位置においてのみ前記第1操作要素(34)のピボット運動を可能にするピボットロック(41)が有効である
請求項8に記載のナイフカートリッジ。
【請求項11】
前記第1操作要素(34)は、前記ブレード筐体(31)に連結する結合部(39)を含む
請求項1~10のいずれか1項に記載のナイフカートリッジ。
【請求項12】
前記第1操作要素(34)及び前記第2操作要素(45)は、切替機構(50)によって前記ブレード(22)に交互に結合され得る
請求項1~11のいずれか1項に記載のナイフカートリッジ。
【請求項13】
前記第2操作要素(45)は、前記第1操作要素(34)のピボット運動によって前記ブレード(22)に動作可能に結合され得る
請求項1~12のいずれか1項に記載のナイフカートリッジ。
【請求項14】
前記第1操作要素(34)と前記第2操作要素(45)との間において、操作ロック(54、55)が有効である
請求項1~13のいずれか1項に記載のナイフカートリッジ。
【請求項15】
前記器具(12)外部での前記第1操作要素(34)の操作をロックする挿入フィーラ(58)が前記第1操作要素(34)に割り当てられる
請求項1~14のいずれか1項に記載のナイフカートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外科器具用ナイフカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
外科器具、特に開腹外科用途の外科器具は、鉗子又ははさみのタイプで構成されることが多い。例えば、特許文献1には、血管を融合及び切断するそのような器具が開示されている。互いに対して可動である、この鉗子状器具の2つのあご部には、凝固電極が設けられている。さらに、器具には、融合された血管を切断するブレードを含むナイフカートリッジ用ホルダが設けられている。ナイフカートリッジは、ブレードの切れ味が悪くなった場合、鋭利なブレードを器具に再び設けるために交換することができる。さらに、滅菌可能な器具又は複数回再使用可能な器具に、使い捨てナイフを使用することもできる。
【0003】
滅菌可能な器具には、交換可能なカートリッジのナイフブレードを案内するためにナイフチャネルが設けられており、このナイフチャネルは、器具の使用中に汚れる場合があり、また、洗浄しづらい。しかしながら、器具に残る感染性物質による患者への危険性を排除しなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2011/0004208号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、それぞれの器具の使用中に患者及び/又は従事者の安全性を向上させ得る方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、請求項1に記載のナイフカートリッジによって解決されるが、外科器具に関連し得る。
【0007】
ナイフカートリッジは、2つのあご部間に保持された組織をブレードによって切断する鉗子状器具に使用することができる。ブレードは、ブレード筐体内に可動的に支持され、ブレード筐体は、カートリッジ筐体内に可動的に支持される。この概念により、まず、ブレード筐体を、そのブレード筐体内に保護された状態で支持されるブレードと共に、あご部間に保持された組織まで伸長させ、そのとき初めて、ブレードをブレード筐体外に動かし、組織を切断することができる。ブレードは、切断終了後、ブレード筐体内に引っ込む場合、組織粘着物を保持し得るため、ブレード筐体内部を汚染することがある。しかしながら、ブレード筐体がカートリッジ筐体から、組織を保持するあご部まで動く、器具に設けられたチャネルは、清潔なままである。組織と接触している各部分は、ブレード筐体内に引っ込み、該当する場合はブレード筐体と共にカートリッジ筐体内に引っ込み、使用後にカートリッジ筐体と共に廃棄される。器具のナイフチャネルと接触する各部分、すなわちブレード筐体は、組織と接触しない。その際、本発明によるナイフカートリッジにより、外科器具の洗浄及び殺菌が簡単になる。さらに、鋭利なブレードは、器具のナイフ溝内ではなく、ブレード筐体内において案内され、動くため、起こり得る器具の摩耗が抑制される。この概念により、患者の安全性が高まる。
【0008】
ブレード筐体は、金属若しくはさらにプラスチック、又はそれらの組合せから作ることができる。ブレード筐体は、ブレードを取り囲む矩形チューブ、又はレールとして構成することができ、フレキシブルに変形可能にすることができる。したがって、ブレード筐体は、また、フレキシブルに変形しながら器具の円弧溝を通って動くこともできる。
【0009】
本発明によるナイフカートリッジは、ブレード筐体内部のブレードをその使用位置、すなわち、あご部間に保持された組織まで案内する。それによって、ブレード筐体は、器具に設けられた溝内を、例えば器具のヒンジ領域を通って動くことができる。ブレード、特にその刃先は、保護される。刃先が器具の一部に沿って触れることによって切れ味が悪くなったり、当該器具部分に、コンタミが残り得るであろう傷などが生じたりすることはない。これにより、患者の安全性が高まる。
【0010】
ナイフカートリッジには、カートリッジ筐体を器具に解除可能に取り付けることができる係止手段が設けられることが好ましい。係止手段は、別個の操作要素によって係止位置から解除位置に切り替えることができる。あるいは、係止手段は、また、ブレード筐体を動かすことができる第1操作要素によって動作させることができる。したがって、操作は、単純かつ直観的である。
【0011】
ブレード筐体は、ブレード筐体がカートリッジ筐体内部に完全に位置する第1ロック位置を有することが好ましい。カートリッジ筐体に設けられた挿入フィーラは、第1操作要素の操作及び/又は第1ロック位置外へのブレード筐体の動きを阻止することができる。挿入フィーラは、ナイフカートリッジが器具の外部に位置する場合、ブレード筐体の動きを阻止する働きをする。さらに、挿入フィーラは、ナイフカートリッジが器具に挿入されている場合、ブレード筐体の動きを解放する働きをする。
【0012】
挿入フィーラは、阻止位置と解放位置との間で可動の弾性支持されたばねである、可動的に支持された阻止部材であることが好ましい。阻止位置において、挿入フィーラは、ブレード筐体の第1ロック位置(休止位置)外への動きを阻止する。そのため、挿入フィーラは、ナイフカートリッジが器具に結合されている場合に、器具の当接面によって、ばねの力に抗して阻止位置から解放位置に押し出されるように構成されることが好ましい。そのとき初めて、ブレード筐体の動きが解放される。その際、ブレード及びそのブレード筐体は、ナイフカートリッジが器具に挿入されていない限り、カートリッジ内に移動不能に保持される。ブレード及びそのブレード筐体は、また、ぎこちない取扱いではカートリッジ筐体外に動かすことはできない。したがって、取扱者の負傷、感染症の伝染などは、ほとんど排除される。
【0013】
カートリッジ筐体が器具に結合されている場合、及びその結果、挿入フィーラによってブレード筐体の動きが解放されている場合、ブレード筐体は、第1操作要素の操作によって、ブレード筐体がカートリッジ筐体から突出する第2ロック位置(作動位置)に切り替えることができる。
【0014】
通常、器具は、器具のはさみ接合部の近位に配置されたカートリッジ台座から、器具のあご部に構成されたナイフスリットまで延在するチャネルを備える。第2ロック位置において、ナイフ筐体は、ナイフスリットまで前進する。ブレード筐体が第1ロック位置から第2ロック位置へ、及びその反対に動いている間、ブレードは、ブレード筐体に固定されて(移動不能に)結合されている。この結合は、第1操作要素のそれぞれの解放動作によって第2ロック位置で解除することができ、それによって、ブレード筐体に対するブレードの軸方向の動きも解放される。その解放は、切替装置によって行われ、切替装置は、第1操作要素をブレードから分離している間、ブレードを第2操作要素に同時に駆動連結する。ここでは、第2操作要素を使用して、例えば、ブレードをブレード筐体外に動かし、それによって生体組織を切断することができる。切替装置は、第1操作要素又は第2操作要素をブレードに選択的に駆動連結する「スイッチ」と称することもできる。それによって、スイッチは、第1操作要素をブレード筐体及びブレードに同時に連結する。スイッチが変更される場合、スイッチは、第2操作要素のみをブレードに連結する。
【0015】
第1操作要素と第2操作要素との間において、操作ロックを有効にすることができ、その操作ロックは、切替装置(スイッチ)が第1操作要素のそれぞれの動きによって作動し、それによってブレードがブレード筐体から切り離されると同時に、第2操作要素がブレードに結合される場合、ブレードのみが動くように第2操作要素の操作を解除する。この概念は、また、ブレード筐体のないナイフカートリッジ、又は、ナイフカートリッジ内に完全に残る短いブレード筐体であって、そのブレード筐体からブレードが既に突出している若しくはブレードが依然として遠位側で動いている間、ブレードが出ている短いブレード筐体を備えたナイフカートリッジブレードの実施形態にも用いることができる。
【0016】
切替装置が第2操作要素とブレードとの駆動連結を可能にし、第1操作要素とブレードとの間には駆動連結が存在しない限り、カートリッジ筐体内部のブレード筐体の動き、ひいては変位を阻止する移動ロックを第1操作要素に割り当てることができる。
【0017】
さらに、ナイフカートリッジと器具との係止連結を解除するのに第1操作要素を使用することも可能である。この目的のために、カートリッジ筐体に設けられた係止手段は、係止部材をばねの力に抗して解放方向に動かすことができるカムを含むことができる。また、第1操作要素には、第1操作要素のそれぞれの力付与によって係止部材のカムに対して動き得るカムを設けることができる。
【0018】
このように説明した機構を用いることで、ナイフカートリッジが器具に正しく連結され、ブレード筐体が作動位置へ切り替えられる場合にのみ、ブレードがカートリッジ筐体外及びブレード筐体外に動き得ることが保証される。作動位置において、ブレード筐体は、その面がブレードの使用位置にあるように位置する。カートリッジ筐体と、ブレードの使用位置との距離は、ブレード筐体によって橋渡しされる。ブレードの使用位置は、器具のヒンジ接合部に対して遠位側に位置し、一方、ナイフカートリッジは、この接合部に対して近位側に配置される。ブレード筐体を配置する、器具に設けられたチャネルは、提案された構成により、汚染されないか、又は僅かにしか汚染されない。
【0019】
ブレードがブレード筐体内に引っ込み、ブレード筐体がカートリッジ筐体内に引っ込んでいる場合にのみ、カートリッジ筐体を器具から取り外すことができる。ブレード筐体がカートリッジ筐体内に完全に引っ込んでいる場合にのみ、カートリッジ筐体を器具からロック解除すること、すなわち、器具から外すことが可能である。カートリッジ筐体を器具から外した後、ブレード筐体もブレードも、カートリッジ筐体外に動くことはできない。ブレード筐体及びブレードは、カートリッジ筐体内部に捕捉される。ブレードの刃先は、各場合、アクセスできない状態でナイフカートリッジ内部に配置されたままである。
【0020】
さらに有利な詳細については、特許請求の範囲、並びに複数の図を有する図面及びそれぞれの説明から導かれる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明によるナイフカートリッジを有する器具の基本図の側面図である。
図2図2は、図1によるナイフカートリッジのハンダブル状態の破線図の側面図である。
図3図3は、ブレード筐体が作動位置にあり、ブレードが伸長可能な(破線図が伸長状態)、図2によるナイフカートリッジの図である。
図4図4は、図3によるナイフカートリッジの、線IV-IVにおける断面図である。
図5図5は、ナイフカートリッジのない、図1による器具の一部の非常に拡大した概略斜視図である。
図6図6は、図3によるナイフカートリッジの非常に短くした断面斜視図である。
図7図7は、異なる位置及び状態の図2及び図3によるナイフカートリッジの運動学的原理の図である。
図8図8は、異なる位置及び状態の図2及び図3によるナイフカートリッジの運動学的原理の図である。
図9図9は、異なる位置及び状態の図2及び図3によるナイフカートリッジの運動学的原理の図である。
図10図10は、異なる位置及び状態の図2及び図3によるナイフカートリッジの運動学的原理の図である。
図11図11は、異なる位置及び状態の図2及び図3によるナイフカートリッジの運動学的原理の図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
接合部15によって鉗子又ははさみのタイプで互いに枢動可能に連結されている2つの脚部13、14を有する外科器具12を図1に示す。脚部13、14は、近位端に把持部16、17を含む。脚部13、14の遠位端は、それらの間に生体組織を保持し、かつ圧縮することができるあご部18、19である。例えば、組織は、血管、他の中空管又はさらに腱、皮膚、筋肉などであり得る。あご部18、19は、滑らかな又はわずかにプロファイルされた方法で構成することができる。さらに、あご部18、19は、導電性又は非導電性材料から作ることができる。あご部18、19の対向する面20、21は、それらが導電的に構成される場合、例えば、あご部18、19間に保持された組織に電流を印加し、また、組織を凝固及び/又は融合するために、電極として構成することができる。したがって、対向する面20、21は、さらには図示していないケーブル又はさらに器具に設けられた電圧源を介して電流を供給することができる電極を形成する。さらに、電流を制御する、特に電流のオン・オフを切り替えるために、スイッチなどのさらなる要素を設けることもできる。
【0023】
器具12は、組織を切断するブレード(図3図4図6)を使用する凝固・切断器具であることが好ましい。ブレード22は、器具12に解除可能に保持されるナイフカートリッジ23の一部である。例えば、脚部14は、この目的のための、例えば、ナイフカートリッジ23を挿入することができるコンパートメントとして構成された台座を含む。ナイフカートリッジ23は、使い捨て用に構成されることが好ましく、一方、器具12は、複数回再使用することができる滅菌可能な器具12として構成される。ナイフカートリッジ23は、使用後に器具から分離され、廃棄されるが、器具12は、洗浄及び殺菌される。
【0024】
ナイフカートリッジ23は、例えば、プラスチック射出成形部として構成することができるカートリッジ筐体24を含む。カートリッジ筐体24には、使用時に遠位端に、脚部14のそれぞれの相補的構造体内に収まる結合構造体25が設けられる。例えば、結合構造体は、器具12のそれぞれの成形された横溝26に収まるビーズ状の突出部にすることができる。その反対の近位端において、カートリッジ筐体24は、係止手段27を含むことができ、係止部材28は、例えば、カートリッジ筐体24内部に配置され、かつ枢動可能に支持されている係止手段27の一部にすることができる。カートリッジ筐体24が、横溝26により規定される横軸を中心とするピボット運動によって脚部14の方へ動くとすぐに、係止部材28は、係止部材28に係止している、器具12の係止突出部29と協働することができる。それによって、結合構造体25と横溝26は、ピボットヒンジを形成する。例えば、圧力ばね、曲げ可能な可撓性ばね、板ばねなどの形態のばね29は、係止手段27の一部にすることができる。ばね手段29は、係止部材28の一体構造部分にすることができるか、又は内部のカートリッジ筐体24上に構成された可撓性舌部、又はさらに別個のばね要素にすることができる。カートリッジ筐体24内部において、係止部材28は、ピボット軸受30によって可動であり、例えば、摺動可能に又はさらに枢動可能に保持される。
【0025】
さらに、カートリッジ筐体24内部には、好ましくは金属又はさらにプラスチックからなる平坦な矩形チューブ又はさらに平坦な案内レールとして構成することができるブレード筐体31が配置される。特に図4及び図6が参照され、それらの図は、カートリッジ筐体外に動かすことができるブレード筐体31の少なくとも前部が、上下の狭い側面と共に2つの平坦な側面において平坦なブレード22を取り囲むことを示している。しかしながら、ブレード筐体31は、少なくともその長さの一部、特にカートリッジ筐体24内部に常に残る近位部分に沿って、上部の狭い側面を解放することができる。その側面において、ブレード22の延出部22aがブレード筐体31から突出することができる。
【0026】
ブレード筐体31は、平坦な側面の一方においても部分的に開放することができる。ブレード筐体31は、例えば、ブレード22の刃先32の反対側に面する側面を解放することができる。図6に示すように、刃先32は、ブレード22に対して中心からずれて配置することができ、ブレード22の一方の平坦な側面に直接隣接することができる。そして、他方の側面33は、刃先32まで延在する斜面34に移行する。ブレード筐体31は、ブレード22が、引込位置においてブレード筐体31内に完全に位置するくらい長く構成されることが好ましい。それによって、刃先32は、ブレード筐体31内部に位置する。しかしながら、ブレード筐体は、ブレード22が常にブレード筐体からわずかに突出し、刃先32がブレード筐体31の遠位端の前方に位置するように、短く構成することも可能である。さらに、ブレード筐体のない実施形態が存在する。
【0027】
ブレード筐体31は、基本的には、カートリッジ筐体24内部に可動的に配置され、移動方向Vに案内される(図7図8)。それによって、ブレード筐体31は、図7による第1ロック位置から、図9による第2ロック位置に切り替えることができる。第1ロック位置において、ブレード筐体31は、カートリッジ筐体24内部に完全に位置する。図8及び図9による第2ロック位置(作動位置)において、ブレード筐体31は、カートリッジ筐体24の遠位端から突出する。
【0028】
第1操作要素34は、ブレード筐体31を第1ロック位置から、図8及び図9による第2ロック位置へ動かすのに役立ち、そのため、ピボット・ロックロッカー35が第1操作要素34の一部となる。このピボット・ロックロッカー35は、2本アームレバーを形成し、その第1アーム38は、移動方向Vの動きをブレード筐体31に伝えるために、ブレード筐体31に連結される。このために、アーム38には、ブレード筐体31のキャビティ内へ延在する突出部39を設けることができる。
【0029】
ピボット・ロックロッカー35は、第1操作要素34が保持され得る第2アーム40を含む。操作要素34は、ピボット・ロックロッカー35に強固に連結されることが好ましい。さらに、アーム38、40の一方、好ましくはアーム40には、例えば、カム又は突出部として構成することができるピボット・移動ロック41が設けられる。ピボット・移動ロック41は、ピボット・ロックロッカー35が移動方向Vに動いている間、ピボット・ロックロッカー35のピボット運動が阻止されるように配置されているロック面42に沿って摺動する。しかしながら、ロック面42は、図8及び図9に示すように、ピボット・ロックロッカー35が第2ロック位置、すなわち遠位側の最大伸長位置(作動位置)に位置する場合にピボット・移動ロック41に対向して配置されるキャビティ43を含む。
【0030】
さらに、第1アーム38は、ブレード筐体31の開口部を介して第1アーム38とブレード22との間に移動方向Vに移動不能の連結を確立する結合部44を支持する。この目的のために、ブレード22は、結合部44に面する位置にキャビティを有し、結合部44を形成するアーム38の突出部がキャビティ内へ延在する。したがって、ピボット・ロックロッカー35が非枢動位置にある限り、すなわち、ピボット・移動ロック41がキャビティ43内へ延在していない限り、ブレード22は、突出部39及び結合部44によって移動方向Vに移動不能にブレード筐体31に結合される(図7図8及び図11)。
【0031】
ブレード22を操作するために、すなわち、ブレード筐体31外に伸長するために、第2操作要素45が設けられ、その第2操作要素45は、カートリッジ筐体24に枢動可能に支持される2本アームレバーであることが好ましい。第2操作要素45のピボット軸は、移動方向Vに対して横方向に方向付けられることが好ましい。それによって、第2操作要素45は、特に図1図3に示すように、カートリッジ筐体24から突出する。しかしながら、ナイフカートリッジ23が器具12の脚部14に連結されている場合、操作要素45は、他方の脚部13の方向に突出し、器具12が閉じられると、横ずれにより脚部13を通過する。
【0032】
カートリッジ筐体24内に配置された、第2操作要素45のレバーアーム46は、連結ロッド47によってブレード22に結合することができる。この目的のために、ブレード22は、遠位端が傾斜部として構成される、ブレード筐体31から突出する延出部22aを含む。この延出部22aにバー48が支持され、バー48は、カートリッジ筐体24に保持される、フォーク状端部を有するばね弾性アームにすることができる。バー48のフォーク状端部に、連結ロッド47の端部に配置された結合ピン49を位置決めすることができる。
【0033】
ピボット・ロックロッカー35は、アーム38の遠位端で切替機構50を支持する。これは、アーム38の延長部51によって実現され、延長部51は、アーム38を起点とし、延出部22aに形成された結合キャビティ52に隣接して延在することによって、ブレード筐体31を通過する。延長部は、ピボット・ロックロッカー35が非枢動位置にある、すなわち、ピボット・移動ロック41がキャビティ43に係合していない限り、結合ピン50が結合キャビティ52に入らないようにする。ピボット・ロックロッカー35のレバーアーム38が上方へ枢動する場合(図8)、結合部44は、ブレード筐体に係合し、延長部51は、キャビティ52から結合ピン49を押し出す。レバーアーム38が下方へ枢動する場合(図9)、結合ピン49は、キャビティ52内に係止する。したがって、切替機構50によって、ブレード22は、確実に、第1操作要素34及びブレード筐体31、又は第2操作要素45に結合される。
【0034】
さらに、第2操作要素45の操作を一時的に阻止する操作ロック53は、ピボット・ロックロッカー35と第2操作要素45(図8)との間で有効である。このロックは、ブレード筐体31が伸長位置、すなわち作動位置にある場合に有効である。このように、ロックは、ピボット・ロックロッカー35が依然としてブレード22に結合されている限り有効である。ピボット・ロックロッカー35のそれぞれの突出部54は、ロッカー35が傾いている場合にのみ、第2操作要素45の突出部55の経路を解放し、その結果、ピボット・移動ロック41はキャビティ43に係合し、結合部44は切り離され、ブレード22は解放される。この状態を図9に示す。ここで、連結ロッド47は、第2操作要素45とブレード22との間に駆動連結を確立し、その後、ブレード22は、第2操作要素45の操作によってブレード筐体31外に動くことができる。
【0035】
第2アーム40は、さらに、係止部材28のくさび又はカム57に連結されているくさび又はカム56に連結される。カム56及び57は、ピボット・ロックロッカー35が近位極限位置にある場合、互いに係合するように位置する。
【0036】
カートリッジ筐体24は、さらに、カートリッジ筐体24上に構成されたばね弾性舌部として実現することができ、かつカートリッジ筐体24の外輪郭を越えてわずかに突出することができる挿入フィーラ58を含むことができる。このばね弾性舌部は、移動方向Vに対して横方向に可動の下端部を含む。この下端部は、レバーアーム40上に構成される停止面が割り当てられる停止ブロック59として構成することができる。下端部は、挿入フィーラ58が休止位置から押し出されない限り、ピボット・ロックロッカー35が近位位置から実質的に動かないように配置される。
【0037】
これまで説明したナイフカートリッジ23は、以下のように動作する。
【0038】
図7は、ナイフカートリッジ23を安全に扱うことができる解放状態のナイフカートリッジ23を示す。ブレード22は、ブレード筐体31内に完全に引っ込み、そこに固定されている。ブレード筐体31は、カートリッジ筐体24内部に完全に位置し、そこにロックされている。第1操作要素34は、近位位置にある。第2操作要素45を操作しても、この状況は変わらない。ブレード22は、ブレード筐体31外に動くことができず、ブレード筐体31も、カートリッジ筐体24外に動くことができない。
【0039】
ナイフカートリッジ23は、器具12に連結することができ、そのために、係止部材28は、器具12上に構成することができるそれぞれの係止突出部28aと係合する。同時に、器具12の要素、例えば脚部14に設けられた面は、カートリッジ筐体24の内部の方向にばね効果に抗して挿入フィーラ58をわずかに押圧する。挿入フィーラ58は、カートリッジ筐体24の輪郭を越えて突出している場合、例えば、カートリッジ筐体24の輪郭内部に押圧される。その際、停止ブロック59は、第1操作要素34の遠位方向の(図7の右側への)動きを開放する。ここで、オペレータは、第1操作要素34を遠位方向に動かすことができる。それによって、ブレード筐体31と、その中にロックされたブレード22とは、図8に示すように、カートリッジ筐体24から遠位側に移動方向Vに動く。これにより、ブレード筐体31は、この目的のために設けられたチャネル61(図5)内部のあご部18まで前進する。
【0040】
チャネル61は、接合部15の領域を通って延在することができる。チャネル61は、あご部18のナイフスリット62で終端し、好ましくは、その面がナイフスリット62の入口に当接する。ブレード筐体31がチャネル61内部を前進している間、ブレード22の刃先32は、ブレード筐体31内に位置し、保護される。
【0041】
ピボット・ロックロッカー35は、操作要素34が遠位方向に動いている間、依然としてブレード22をブレード筐体31内にロックしている。この工程中、ピボット・移動ロック41は、ロック面42に沿って動き、ピボット・ロックロッカー35のピボット運動を防ぐため、ブレード筐体31とブレード22とを切り離すことは不可能である。ブレード筐体31の最大遠位位置、すなわち第2ロック位置においてのみ、ピボット・移動ロック41は、図8に示すように、キャビティ43の正面に位置する。ここで、ピボット・ロックロッカー35のピボット運動が解放される。オペレータは、このとき、カートリッジ筐体24に向かって第1操作要素34を押し、それによって、ピボット・ロックロッカー35をわずかに枢動させることができる。図9から明らかなように、これにより結合部44は、ブレード筐体31から離れ、それによって、ブレード22からも切り離される。同時に、切替機構50は、結合ピン49がブレード22の結合キャビティ52内に入ることができるように、結合キャビティ52を解放する。また、突出部54は、図10に示すように、ここで第2操作要素45が操作され得る、すなわち枢動し得るように、突出部55を解放する。
【0042】
第2操作要素45が操作される(図において時計回りに枢動する)場合、第2操作要素45は、連結ロッド47によって、ブレード22を移動方向V、すなわちブレード筐体31から遠位側に動かす。ブレード22は、ナイフスリット62内に入り、刃先32は、ナイフスリット62内部に沿って動く(図5)。例えば、ブレード22は、あご部18、19間に保持された組織を切断することができる。それによって、ブレード22が十分に可撓性を有する場合、ナイフスリットは、直線にする又はさらに湾曲させることができる。これにより、ブレード22は、刃先32がナイフスリット62の凸側面側に配置されるように構成されることが好ましい。
【0043】
第2操作要素45が解放される場合、それぞれの戻しばね63が操作要素45を休止位置に引き戻す。その際、ブレード22は、連結ロッド47によって同時にブレード筐体31内に引っ込んで戻る。図10による状態から始まり、このように再び図9の状態になる。しかしながら、器具12及びナイフカートリッジ23は、動作可能なままである。操作要素45は繰り返し操作することができ、それによって、ブレード22は何度も伸長し、引っ込む。
【0044】
ナイフカートリッジ23が器具12から取り外される場合、まず、図9による状態が確立されるように第2操作要素45が解放される。続いて、第1操作要素34がカートリッジ筐体24から遠ざかるように下方へ枢動し、その結果、結合部44がブレード筐体31に係合する。したがって、ブレード22は、依然として伸長しているブレード筐体31の内部に移動不能にロックされる。ここで、ピボット・ロックロッカー35に設けられた突出部54は、第2操作要素45に設けられた突出部55の経路を遮断するため、第2操作要素を操作することはもうできない。それによって、切替機構50は、連結ロッド47のピン49を結合キャビティ52外に持ち上げる。その際、第2操作要素45は、ここでブレード22から切り離される。
【0045】
続いて、第1操作要素34は、近位方向、すなわち図8の右側に動き、その結果、図7による位置に達する。連結ロッド47のピン49は、ブレード22の延出部22aから出る。ピボット・移動ロック41がロック面42に沿って動くため、ピボット・ロックロッカー35を枢動させることはできず、その結果、ブレード22とブレード筐体31との強固な結合を解除することはできない。
【0046】
ここで、ナイフカートリッジ23が最終的に器具12から外される場合、第1操作要素34は、図11に示すように、図7に示す近位端位置を越えて近位方向に押圧される。それによって、カム56は、係止部材28がばね29の力に抗して枢動するように、カム57に当接する。係止手段27は、このように解放され、ナイフカートリッジ23は、器具12から取り外すことができる。
【0047】
しかしながら、ブレード筐体31のないナイフカートリッジ23のすべての実施形態においては、ブレード筐体31と、選択肢としてさらに突出部39とが省略される条件下で上記内容が準用される。
【0048】
本発明によるナイフカートリッジ23は、外科器具12に使用するために提供される。ナイフカートリッジ23は、第2操作要素45によって操作することができるブレードを含む。ブレード22は、第1操作要素34によって第1ロック位置(静止位置)から第2ロック位置(作動位置)へ切り替えることができるブレード筐体31内に保持される。静止位置において、ブレード筐体31は、カートリッジ筐体24内部に完全に位置し、ブレード22は、ブレード筐体31内にロックされる。作動位置において、ブレード筐体31は、カートリッジ筐体から突出する。作動位置においてのみ、ブレード筐体31とブレード22とのロックを解除することができ、それによってまた、そのとき初めて、第2操作要素とブレード22との間に駆動連結が確立される。
【0049】
ブレード22はブレード筐体31内部に保持されるため、ブレードを組織から引っ込む間に保持される組織残部は、ブレード筐体31内に収容され、その中に封入される。したがって、器具12の洗浄及び再使用は、より簡単で、より安全である。
【符号の説明】
【0050】
12 器具
13、14 脚部
15 接合部
16、17 把持部
18、19 あご部
20、21 あご部18、19の対向面
22 ブレード
22a 延出部
23 ナイフカートリッジ
24 カートリッジ筐体
25 結合構造体
26 横溝
27 係止手段
28 係止部材
29 ばね手段
30 軸受け
31 ブレード筐体
32 刃先
33 側面
V 移動方向
34 第1操作要素
35 ピボット・ロックロッカー
36 回転ピン
37 溝
38 ピボット・ロックロッカー35の第1アーム
39 突出部
40 ピボット・ロックロッカー35の第2アーム
41 ピボット・移動ロック
42 ロック面
43 キャビティ
44 結合部
45 第2操作要素
46 レバーアーム
47 連結ロッド
48 バー
49 結合ピン
50 切替機構
51 レバーアーム38の延長部
52 結合キャビティ
53 操作ロック
54 ピボット・ロックロッカー35の突出部
55 第2操作要素45の突出部
56 ピボット・ロックロッカーのカム
57 係止部材28のカム
58 挿入フィーラ
59 停止ブロック
60 停止面
61 チャネル
62 ナイフスリット
63 戻しばね
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
図11
【外国語明細書】
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図9
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図11