(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165409
(43)【公開日】2022-10-31
(54)【発明の名称】モーターとモーターのヒートシンクとして機能するブロワボリュートとを統合して備えた遠心ブロワ
(51)【国際特許分類】
F04D 29/44 20060101AFI20221024BHJP
H01M 8/04 20160101ALI20221024BHJP
F04D 29/58 20060101ALI20221024BHJP
F04D 29/30 20060101ALI20221024BHJP
F04D 29/62 20060101ALI20221024BHJP
H01M 8/12 20160101ALN20221024BHJP
【FI】
F04D29/44 J
H01M8/04 N
F04D29/58 S
F04D29/58 P
F04D29/30 C
F04D29/62 B
H01M8/12 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022067360
(22)【出願日】2022-04-15
(31)【優先権主張番号】63/176,792
(32)【優先日】2021-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/192,243
(32)【優先日】2021-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514116578
【氏名又は名称】ブルーム エネルギー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シゥオ,リ
【テーマコード(参考)】
3H130
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB26
3H130AB47
3H130AC03
3H130BA33A
3H130BA33G
3H130BA33Z
3H130CA09
3H130CB14
3H130DA02Z
3H130DD01Z
3H130DJ01Z
3H130EA01A
3H130EA01G
3H130EA07A
3H130EA07G
3H130EA08A
3H130EA08G
3H130EB05A
3H130EB05C
3H130EB05G
5H126BB06
5H127AA07
5H127AC04
5H127BA13
5H127BA28
5H127BA57
5H127BA58
5H127BB02
5H127BB12
5H127BB33
5H127BB36
5H127BB37
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ボリュート内部の低温、高速の空気流を利用して、モーターからボリュート壁を通って伝導される熱を除去し、モーターのアクティブヒートシンクとして機能することができる遠心ブロワを提供する。
【解決手段】遠心ブロワは、モーターハウジング410内に位置するモーター、インペラ、及びボリュート402を含み、ボリュートは、作動中にボリュートがモーターを能動的に冷却するよう構成されるように、モーターハウジングに直接接触する。
【選択図】
図4D
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モーターハウジング内に位置するモーターと、
インペラと、
ボリュートと、を含み、
前記ボリュートは、作動中に前記ボリュートが前記モーターを能動的に冷却するよう構成されるように、前記モーターハウジングに直接接触する、遠心ブロワ。
【請求項2】
モーターハウジングは、その外面にフィン付きラジエータを含み、前記ボリュートは、前記ボリュートの壁が前記モーターハウジングの一部を形成するように、前記フィン付きラジエータに接触する、請求項1に記載の遠心ブロワ。
【請求項3】
前記インペラは、前記モーターのシャフトに直接取り付けられ、
前記ボリュートは、前記モーターシャフトの前記シャフトに平行な方向に、前記シャフトに垂直な方向の前記ボリュートの高さよりも少なくとも2倍幅広の楕円形状を有し、
前記ボリュートの前記フィン付きラジエータに接触する部分は、径方向外側に位置して、前記フィン付きラジエータの少なくとも一部を取り囲む、請求項2に記載の遠心ブロワ。
【請求項4】
前記モーターは冷却ファンがない、請求項2に記載の遠心ブロワ。
【請求項5】
前記ボリュートは、前記モーターハウジングの少なくとも20%に重なって、接触する、請求項1に記載の遠心ブロワ。
【請求項6】
前記ボリュートは、前記インペラの反対側に、前記モーターハウジングを実質的に覆って配置される、請求項5に記載の遠心ブロワ。
【請求項7】
前記ボリュートは、前記インペラを取り囲むボリュート入口チャネルと重なる第1の部分と、前記モーターハウジングと重なって直接接触する第2の部分とを備える、請求項6に記載の遠心ブロワ。
【請求項8】
前記インペラは、
前記インペラの表面上の複数のフルブレードと、前記インペラの表面上の複数のスプリッタブレードと、を含み、
複数の前記フルブレードのそれぞれが第1の長さを有し、
複数の前記スプリッタブレードのそれぞれが、前記第1の長さよりも短い第2の長さを有する、請求項1に記載の遠心ブロワ。
【請求項9】
複数の前記フルブレードのそれぞれは、前記インペラの周縁に配置された後縁を含み、前記後縁は、前記インペラの回転方向に向かって35°~45°の傾斜角を含み、
複数の前記スプリッタブレードのそれぞれは、前記インペラの前記周縁に配置された後縁を含み、前記後縁は、前記インペラの前記回転方向に向かって35°~45°の傾斜角を含む、請求項8に記載の遠心ブロワ。
【請求項10】
複数の前記フルブレードのそれぞれの前記後縁は、45°~65°の後退角を含み、
複数の前記スプリッタブレードのそれぞれの前記後縁は、45°~65°の後退角を含み、
前記スプリッタブレードの長さの大部分の前記後退角の絶対値は、前記フルブレードの長さの大部分の前記後退角の絶対値よりも大きい、請求項9に記載の遠心ブロワ。
【請求項11】
燃料電池スタックと、
請求項1に記載の遠心ブロワと、を含む燃料電池システム。
【請求項12】
請求項1に記載の遠心ブロワを作動させる方法であって、
前記遠心ブロワを作動させて空気を吹き込むステップ;及び
前記ボリュートを通って流れる空気を利用して、前記ブロワの作動中に前記モーターを能動的に冷却するステップ、を含む方法。
【請求項13】
モーターシャフトを含むモーターと、
前記モーターシャフトに直接取り付けられたインペラと、
ボリュートと、を含む遠心ブロワ。
【請求項14】
前記モーターはモーターハウジング内に位置し、前記ボリュートは前記モーターハウジング及び前記モーターシャフトを少なくとも部分的に取り囲む、請求項13に記載の遠心ブロワ。
【請求項15】
前記ボリュートは、作動中に前記ボリュートが前記モーターを能動的に冷却するよう構成されるように、前記モーターハウジングに直接接触する、請求項14に記載の遠心ブロワ。
【請求項16】
前記ボリュートは、前記モーターシャフトの前記シャフトに平行な方向に、前記シャフトに垂直な方向の前記ボリュートの高さよりも少なくとも2倍幅広の楕円形状を有し、
前記ボリュートの前記モーターハウジングに接触する部分は、径方向外側に位置して、前記モーターハウジングの少なくとも一部を取り囲む、請求項15に記載の遠心ブロワ。
【請求項17】
前記インペラの表面上の複数のフルブレードと、前記インペラの前記表面上の複数のスプリッタブレードと、を含み、
複数の前記フルブレードのそれぞれが第1の長さを有し、
複数の前記スプリッタブレードのそれぞれが、前記第1の長さよりも短い第2の長さを有する、インペラ。
【請求項18】
複数の前記フルブレードのそれぞれは、前記インペラの周縁に配置された後縁を含み、前記後縁は前記インペラの回転方向に向かって35°~45°の傾斜角を含み、
複数の前記スプリッタブレードのそれぞれは、前記インペラの前記周縁に配置された後縁を含み、前記後縁は前記インペラの前記回転方向に向かって35°~45°の傾斜角を含む、請求項17に記載のインペラ。
【請求項19】
複数の前記フルブレードのそれぞれの前記後縁は、45°~65°の後退角を含み、
複数の前記スプリッタブレードのそれぞれの前記後縁は、45°~65°の後退角を含む、請求項18に記載のインペラ。
【請求項20】
前記スプリッタブレードの長さの大部分の前記後退角の絶対値は、前記フルブレードの前記長さの大部分の前記後退角の絶対値よりも大きい、請求項19に記載のインペラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の態様は、ブロワ、例えば燃料電池システム用ブロワに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、燃料に蓄えられたエネルギーを高効率で電気エネルギーに変換できる電気化学装置である。高温型の燃料電池には、固体酸化物形燃料電池と溶融炭酸塩形燃料電池が含まれる。これらの燃料電池は、水素及び/又は炭化水素燃料を使用して動作することができる。燃料電池には、固体酸化物形再生燃料電池など、逆の動作も可能な部類があり、電気エネルギーを入力として使用して、酸化された燃料を還元して未酸化燃料に戻すことができる。
【発明の概要】
【0003】
本開示の一実施形態に係る遠心ブロワは、モーターハウジング内に位置するモーター、インペラ、及びボリュートを含む。ボリュートは、作動中にボリュートがモーターを能動的に冷却するよう構成されるように、モーターハウジングに直接接触する。
【0004】
一実施形態では、モーターハウジングはその外面にフィン付きラジエータを含み、ボリュートは、ボリュートの壁がモーターハウジングの一部を形成するように、フィン付きラジエータに接触する。一実施形態では、ボリュートは、モーターシャフトのシャフトに平行な方向に、シャフトに垂直な方向のボリュートの高さよりも少なくとも2倍幅広の楕円形状を有し、ボリュートのフィン付きラジエータに接触する部分が、径方向外側に位置して、フィン付きラジエータの少なくとも一部を取り囲む。
【0005】
本開示の一実施形態に係る遠心ブロワは、モーターシャフトを含むモーター、モーターシャフトに直接取り付けられたインペラ、及びボリュートを含む。
【0006】
本開示の一実施形態に係るインペラは、インペラの表面上の複数のフルブレード、及びインペラの表面上の複数のスプリッタブレードを含み、複数のフルブレードのそれぞれが第1の長さを有し、複数のスプリッタブレードのそれぞれが当該第1の長さよりも短い第2の長さを有する。
【0007】
一実施形態では、複数のフルブレードのそれぞれは、インペラの周縁に配置された後縁(trailing edge)を含み、当該後縁は、インペラの回転方向に向かって35°~45°の傾斜角(lean angle)を含み、上記複数のスプリッタブレードのそれぞれは、インペラの周縁に配置された後縁を含み、当該後縁は、インペラの回転方向に向かって35°~45°の傾斜角を含む。
【0008】
一実施形態では、複数のフルブレードのそれぞれの後縁は、45°~65°の後退角(back sweep angle)を含み、複数のスプリッタブレードのそれぞれの後縁は、45°~65°の後退角を含む。スプリッタブレードの長さの大部分の後退角の絶対値は、フルブレードの長さの大部分の後退角の絶対値よりも大きい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、本発明の例示の実施形態を示し、上記の全体的な説明及び以下に述べる詳細な説明とともに、本発明の特徴を説明するのに役立つ。
【0010】
【
図1】
図1は、様々な実施形態を実施するのに適した様々な実施形態に係る燃料電池システムの斜視図である。
【
図2】
図2は、様々な実施形態を実施するのに適した様々な実施形態に係るホットボックスの概略側面断面図(schematic side cross-sectional view)である。
【
図3】
図3は、本開示の様々な実施形態に係るSOFC燃料電池システムの概略図である。
【
図4A】
図4Aは、本開示の様々な実施形態に係るブロワハウジングの側面断面図である。
【
図4B】
図4Bは、本開示の様々な実施形態に係るブロワハウジングの正面図である。
【
図4C】
図4Cは、本開示の様々な実施形態に係るブロワハウジングの側面図である。
【
図4D】
図4Dは、本開示の様々な実施形態に係るブロワハウジングの斜視図である。
【
図5A】
図5Aは、本開示の様々な実施形態に係るインペラの正面図である。
【
図5B】
図5Bは、本開示の様々な実施形態に係るインペラの斜視図である
【
図5C】
図5Cは、本開示の様々な実施形態に係るインペラの側面図である。
【
図6】
図6は、本開示の様々な実施形態に係る
図5A-5Cのインペラのブレードの傾斜角をグラフにプロットした図である。
【
図7】
図7は、本開示の様々な実施形態に係る
図5A-5Cのインペラのブレードの後退角をグラフにプロットした図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
様々な実施形態を添付の図を参照して詳細に説明する。同じ又は類似の部品への言及には、可能な限り、図面を通して同じ参照番号を用いる。特定の実施例及び実施形態への言及は、例示を目的とするものであり、本発明の範囲又は特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。
【0012】
空気及び他のガス用ブロワは、燃料電池システムの不可欠な構成要素であり、冷却、発電用空気もしくは燃料の供給、又は排気の再循環及び/又は通気のために、システム全体で空気又は別のガス(例えば、燃料)を移動させる。本明細書に記載される様々な実施形態は、ブロワの構成要素のための装置構造及び機能を提供する。いくつかの実施形態では、ブロワは、様々な長さのブレードを有するインペラを含み得る。インペラブレードは、第1の長さのフルブレードと、第1の長さよりも短い第2の長さのスプリッタブレードとを含み得る。インペラブレードは、インペラの回転方向に向かって後退角を有し得る。インペラブレードは、後縁で大きい後退角を有し得る。いくつかの実施形態では、ブロワはボリュートを有するブロワハウジングを含み得、ボリュートは、少なくとも部分的に、ブロワハウジングのモーターハウジング部分の少なくとも一部を形成する。ボリュートは、高さよりも広い幅を有する楕円形であってよい。
【0013】
本明細書に記載される様々な実施形態は、空気用ブロワに関して説明され得る。当業者は、空気用ブロワのこのような説明が、大気用のブロワ、又は加熱空気(heat air)、冷気、加湿空気、除湿空気などの調整された空気用ブロワに同様に適用できることを認識するであろう。当業者は、空気用ブロワのこのような説明が、燃料ガス用ブロワ又は燃料電池システム内のアノード排気リサイクルガスなどの排気ガス用ブロワに同様に適用可能であり得ることを認識するであろう。
【0014】
本明細書に記載の実施形態は、ブロワハウジング及びインペラ設計を改善することにより、既存のブロワ構成要素の設計を越える利点を提供する。ブロワハウジングのアーキテクチャは、ブロワボリュートを利用してブロワモーターを能動的に冷却する統合された設計であってよい。高アスペクト比(例えば、2より大きい、例えば、2.2、2.3、2.4など~3までを含む2.1~10)の楕円断面形状のブロワボリュートを、従来のブロワ構成と比較して、インペラの反対側(例えば、モーター側)に配置することができる。ボリュート壁は、ブロワハウジングのモーターハウジング部分の少なくとも一部を形成することができる。ボリュート内部の低温、高速の空気流を利用して、モーターからボリュート壁を通って伝導される熱を除去し、モーターのアクティブヒートシンクとして機能することができる。いくつかの実施形態では、楕円形のボリュートは、モーターハウジングのフィン付きラジエータ部分と組み合わせて使用することができ、モーター用の典型的な冷却ファンを省略することができる。いくつかの実施形態では、ブロワインペラは、ブロワモーターのモーターシャフトに直接取り付けることができる。ブロワハウジングのアーキテクチャの実施形態のいずれも、例えば、楕円形のボリュートを使用するというより小さい形状ファクタを用いることによって、又はモーターの冷却ファンや、ブロワインペラとモーターシャフトを結合するための追加の結合要素などの部品の省略を介して、既存のブロワに比べて、寸法、費用、及び/又は騒音を減らし、信頼性を高めることによって、既存のブロワ設計を越える利点を提供することができる。
【0015】
遠心ブロワインペラは、複数のブレードの長さの組み合わせを含むことができる。フルブレードの間にスプリッタブレードを配置することができ、スプリッタブレードの長さは、フルブレードの長さよりも短くすることができる。スプリッタブレード及び/又はフルブレードを含むブレードは、後縁で大きい後退角を有することができる。例えば、大きい後退角は、約45°以上、例えば、約45°~約65°であってよい。スプリッタブレード及び/又はフルブレードを含むブレードは、インペラの回転方向に向かって大きい傾斜角を有することができる。例えば、大きい傾斜角は、約35°~約45°、例えば約40°であってよい。インペラの実施形態のいずれも、インペラの効率及び騒音低減を改善することにより、既存のブロワ設計を越える利点を提供し得る。いくつかの実施形態では、改善された効率は、速度、出力、容量、流量、圧力などの範囲を含み得る作動範囲にわたって実現され得る。可変のブレード長、及び/又は、インペラの回転方向に向かってのブレードの傾斜角等の、インペラの実施形態のいくつかは、ブロワを通るガス流によって引き起こされる騒音を低減又は打ち消すことにより、既存のブロワ設計を越える利点を提供することができる。
【0016】
図1は、モジュール式燃料電池システムの説明のために参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,440,362号に、より完全に記載されているモジュール式燃料電池システムを含む1つの発電機の一例を示す。このモジュール式システムは、上述の特許、並びに、モジュール式燃料電池システムの説明のために参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9,190,693号に記載のモジュール及び構成要素を含むことができる。燃料電池システム格納筐体10のモジュール設計は、柔軟なシステムの設置及び運転を提供する。
【0017】
モジュール式燃料電池システム格納筐体10は、複数のパワーモジュールハウジング12(燃料電池パワーモジュール構成要素を含む)、1つ又は複数の燃料入力(すなわち、燃料処理)モジュールハウジング16、及び1つ又は複数の電力調整(すなわち、電気出力)モジュールハウジング18を含む。例えば、システム格納筐体は、2~30個のパワーモジュール等、例えば6~12個のパワーモジュールのような、任意の所望の数のモジュールを含むことができる。
図1は、共通のベース20上に、6個のパワーモジュール(6個のモジュールを横1列に重ねたもの)、1つの燃料処理モジュール、及び1つの電力調整モジュールを含むシステム格納筐体10を示す。各モジュールは、それ自体のキャビネット又はハウジングを備えることができる。あるいは、電力調整及び燃料処理モジュールを組み合わせて、1つのキャビネット又はハウジング14に配置された単一の入力/出力モジュールにすることができる。簡潔にするために、各ハウジング12,14,16,18は、以下では「モジュール」と呼ぶこととする。
【0018】
1列のパワーモジュール12が示されているが、システムは、パワーモジュール12を2列以上備えてもよい。例えば、システムは2列のパワーモジュールを背中合わせに重ねてもよい。
【0019】
各パワーモジュール12は、1つ又は複数のホットボックス13を収容するように構成される。各ホットボックスは、導電性インターコネクトプレートによって分離されたセラミック酸化物電解質を有する固体酸化物形燃料電池の1つ又は複数のスタック又はカラムなど、1つ又は複数の燃料電池のスタック又はカラム(明確性のために示さず)を含む。PEM、溶融炭酸塩、リン酸などの他のタイプの燃料電池を使用することもできる。
【0020】
モジュール式燃料電池システム格納筐体10はまた、1つ又は複数の入力又は燃料処理モジュール16を含む。このモジュール16は、脱硫床等の、燃料の前処理に使用される構成要素を含有するキャビネットを含む。燃料処理モジュール16は、異なるタイプの燃料を処理するように設計することができる。例えば、ディーゼル燃料処理モジュール、天然ガス燃料処理モジュール、及びエタノール燃料処理モジュールを、同じ又は別個のキャビネットに設けることができる。特定の燃料に合わせて調整された異なる床組成が各モジュールに設けられ得る。処理モジュール16は、パイプラインから供給される天然ガス、圧縮天然ガス、メタン、プロパン、液体石油ガス、ガソリン、ディーゼル、家庭用暖房油、灯油、JP-5、JP-8、航空燃料、水素、アンモニア、エタノール、メタノール、合成ガス、バイオガス、バイオディーゼル及びその他の適切な炭化水素又は水素含有燃料から選択される燃料のうちの少なくとも1つを処理することができる。必要に応じて、燃料処理モジュール16に改質器17を配置してもよい。あるいは、改質器17を燃料電池スタックと熱的に統合することが望ましい場合には、別個の改質器17をそれぞれのパワーモジュール12内の各ホットボックス13に配置することができる。さらに、内部改質型燃料電池が使用される場合、外部改質器17を完全に省略することができる。
【0021】
モジュール式燃料電池システム格納筐体10は、また、1つ又は複数の電力調整モジュール18を含む。電力調整モジュール18は、燃料電池スタックで発生したDC電力をAC電力に変換するための構成要素を含むキャビネット、グリッドに出力されるAC電力用の電気コネクタ、電気的過渡現象を管理するための回路、システムコントローラ(例えば、コンピュータ又は専用の制御ロジックデバイス又は回路)を包含するキャビネットを含む。電力調整モジュール18は、燃料電池モジュールからのDC電力を様々なAC電圧及び周波数に変換するように設計することができる。208V,60Hz;480V,60Hz;415V,50Hz及びその他の一般的な電圧及び周波数に設計することができる。
【0022】
燃料処理モジュール16及び電力調整モジュール18は、1つの入力/出力キャビネット14に収容することができる。単一の入力/出力キャビネット14が設けられる場合は、モジュール16及び18を、キャビネット14内で、上下方向に(例えば、燃料処理モジュール16脱硫キャニスター/床の上方に電力調整モジュール18構成要素)又は横に並べて配置してもよい。
【0023】
図1の例示の実施形態に示されるように、6つのパワーモジュール12の1列に対して、入力/出力キャビネット14が1つ提供され、6つのパワーモジュール12は、入力/出力モジュール14の片側に直線状に横並びで配置される。モジュールの列は、例えば、システムが電力を供給する建造物に隣接して配置され得る(例えば、モジュールのキャビネットの背面が建造物の壁に面している)。1列のパワーモジュール12が示されているが、システムは、2列以上のモジュール12を含んでもよい。例えば、上記のように、システムは背中合わせに重ねられた2列のパワーモジュールを含むことができる。
【0024】
パワーモジュール12と入力/出力モジュール14のそれぞれはドア30(例えばハッチ、アクセスパネル等)を含み、モジュールの内部構成要素にアクセスできる(例えば、メンテナンス、修理、交換等のために)。一実施形態によると、モジュール12及び14は、各キャビネットの片面にのみドア30を有する直線配列で配置され、システムの連続する列を端どうし互いに隣接させて設置することができる。このようにして、燃料電池格納筐体10のサイズ及び容量は、既存のモジュール12及び14及びベース20の必要最小限の再配置で、追加のモジュール12又は14及びベース20で調整することができる。必要に応じて、モジュール14へのドア30は、キャビネットの前面ではなく側面に配置することができる。
【0025】
図2は、燃料電池スタック又はカラム40を含む燃料電池システムホットボックス13の平面図を示す。ホットボックス13は、燃料電池スタック又はカラム40を含むことが分かる。ただし、ホットボックス13は、2つ以上のスタック又はカラム40を含み得る。スタック又はカラム40は、インターコネクト50を燃料電池45の間に配置して、互いに積み重ねられ電気的に接続された燃料電池45を含むことができる。スタック又はカラムの最初と最後の燃料電池45は、それぞれのエンドプレート60とインターコネクト50との間に配置される。エンドプレート60は、燃料電池スタック又はカラム40の電気出力に電気的に接続される。ホットボックス13は、例えば燃料導管、空気導管、シール、電気接点などの他の構成要素を含むことができ、バランス・オブ・プラント構成要素を含む燃料電池システムに組み込むことができる。燃料電池45は、例えばイットリア安定化ジルコニア(YSZ)又はスカンジア安定化ジルコニア(SSZ)等のセラミック電解質、例えばニッケル-YSZ、Ni-SSZ又はニッケルサマリアドープセリア(SDC)サーメット等のアノード電極、及び、例えばランタンストロンチウムマンガナイト(LSM)等のカソード電極を含む固体酸化物形燃料電池であってよい。インターコネクト50及び/又はエンドプレート60は、例えばクロム-鉄合金、例えば4~6wt%が鉄で残りがクロムである合金など、任意の適切なガス不透過性の導電性材料を含むことができる。インターコネクト50は、隣接する燃料電池45を電気的に接続し、燃料及び空気が燃料電池45に到達するためのチャネルを提供する。
【0026】
モジュール式燃料電池システム格納筐体10等の燃料電池システムは、各種支援設備を含む及び/又はそれにより拡張される。支援設備は、燃料電池システムの運転を支援するための様々な補助設備及びシステムを含むことができる。支援設備は、燃料電池システムが設置される現場での制約及び/又は特徴に基づいて異なっていてよい。非限定的な例として、支援設備は、燃料支援設備、空気支援設備、及び/又は換気支援設備を含むことができる。1つのタイプの燃料支援設備は、燃料電池システム内の供給及び/又は排気燃料圧力を制御するように構成された設備を含んでよく、例えば、燃料電池システムに燃料を供給する、燃料電池システムで燃料/排気を循環させる、及び/又は燃料電池システムから燃料を排出するための燃料ブロア又はポンプであってよい。別のタイプの燃料支援設備は、燃料電池システム用の燃料を処理するように構成することができ、例えば、燃料予熱器、排気スクラバであってよい。他のタイプの燃料支援装置を使用することもできる。1つのタイプの空気支援設備は、燃料電池システムに空気を提供する及び/又は燃料電池システムから空気を排出するように構成された空気供給設備であってよく、例えば、燃料電池カソード、アノードテールガス酸化器(ATO)、空気熱交換器、CPOx反応器などへ空気を提供する、及び/又はこれらから空気を排出するためのブロワ又はファンであってよい。他のタイプの空気支援設備も使用することができる。1つのタイプの換気支援設備は、ホットボックスの外部のハウジングの一部(例えば、モジュール式燃料電池システム格納筐体10の内部であるがホットボックス13自身の外部の部分)から換気し及び/又はそこで空気を循環させるように構成された設備を含むことができ、例えば、許容される格納筐体10圧力を維持するために、格納筐体10の内部から格納筐体10の外へと空気を吹き出すための換気ファンを含むことができる。他のタイプの換気支援設備も使用できる。
【0027】
図3は、本開示の様々な実施形態に係る固体酸化物形燃料電池(SOFC)システム10の概略図である。
図1を参照すると、システム100は、ホットボックス13と、その中に又はそれに隣接して配置された様々な構成要素を含む。例えば、任意の数の及び組み合わせの様々な構成要素が格納筐体(例えば、燃料電池システム格納筐体10、パワーモジュールハウジング12、ハウジング14、燃料入力モジュールハウジング16、電力調整モジュールハウジング18)内部に配置され得る。
【0028】
ホットボックス13は、固体酸化物形燃料電池スタック(ここでは、スタックの1つの固体酸化物形燃料電池は、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)又はスカンジア安定化ジルコニア(SSZ)などのセラミック電解質と、ニッケル-YSZ又はニッケル-SSZサーメットなどのアノード電極と、ランタンストロンチウムマンガナイト(LSM)などのカソード電極とを含む)などの燃料電池スタック102を含むことができる。スタック102は、互いの上に重ねて複数のカラムに配置することができる。
【0029】
ホットボックス13はまた、アノード復熱器110、カソード復熱器200、アノードテールガス酸化器(ATO)130、アノード排気冷却器140、スプリッタ122とボルテックスジェネレータ124とを含むATO混合器/インジェクタ(簡潔のため本明細書ではATOインジェクタと呼ぶ)120、及び、蒸気発生器160を含むことができる。システム10はまた、接触部分酸化(CPOx)反応器170、混合器150、CPOxブロワ180(例えば、空気ブロワ)、システムブロワ182(例えば空気ブロワ)、及び、アノードリサイクルブロワ184を含むことができ、これらは、ホットボックス13の外側に配置することができる。しかしながら、本開示は、ホットボックス13に対する各構成要素の位置を何らかの特定の位置に限定するものではない。
【0030】
CPOx反応器170は、燃料導管300Aを介して、燃料入口300から燃料吸入流を受け入れる。燃料入口300は、CPOx反応器170に供給される燃料の量を制御するための弁を含むユーティリティガスラインであってよい。CPOxブロワ180は、システム10の起動時にCPOx反応器170に空気を供給し、その後、燃料電池スタック102が700℃を超える定常状態動作温度、例えば750~900℃、に達すると、定常状態動作モード中は、スイッチを切ることができる。定常状態での燃料及び/又は起動時の燃料と空気の混合物は、燃料導管300Bによって混合器150に供給することができる。燃料は、混合器150から燃料導管300Cを通ってアノード復熱器110に流れる。燃料は、アノード復熱器110から燃料導管300Dを通ってスタック102に流れる。システム10はまた、アノード復熱器110内の1つ又は複数の燃料改質触媒112、114、及び116を含み得る。
【0031】
メイン空気ブロワ182は、空気流(例えば、空気吸入流)を、空気導管302Aを介してアノード排気冷却器140に供給するように構成され得る。空気は、アノード排気冷却器140から空気導管302Bを通ってカソード復熱器200へと流れる。空気は、カソード復熱器200から空気導管302Cを通ってスタック102へと流れる。
【0032】
スタック102で発生したアノード排気(すなわち、燃料排気)は、アノード排気出口導管308Aを通ってアノード復熱器110に供給される。アノード排気には未反応の燃料が含まれ得る。アノード排気は、本明細書では燃料排気と呼ぶこともある。アノード排気は、アノード復熱器110からアノード排気導管308Bによってスプリッタ122に供給することができる。アノード排気の第1の部分は、スプリッタ122からアノード排気出口導管308Dを介してATO130に供給され得る。アノード排気の第2の部分は、スプリッタ122から第1のアノード排気リサイクル導管308Cによってアノード排気冷却器140に供給され得る。アノード排気は、第2のアノード排気リサイクル導管308Eによって、アノード排気冷却器140から混合器150に供給され得る。アノードリサイクルブロワ184は、以下で論じられるように、アノード排気を、第2のアノード排気リサイクル導管308Eを通って移動させるように構成することができる。
【0033】
スタック102で発生したカソード排気(例えば、空気排気)は、カソード排気導管304Aを通ってATO130へと流れる。カソード排気は、本明細書において空気排気と呼ばれることもある。ボルテックスジェネレータ124は、カソード排気導管304A内に配置することができ、カソード排気を旋回させるように構成することができる。導管308Dは、カソード排気導管304Aに、ボルテックスジェネレータ124の下流側で流体接続され得る。ボルテックスジェネレータ124を出る旋回カソード排気は、ATO130に供給される前に、スプリッタ122によって供給されるアノード排気と混合することができる。この混合物は、ATO130内で酸化されてATO排気を生成し得る。ATO排気は、ATO130から排気導管304Bを通ってカソード復熱器200へと流れる。排気は、カソード復熱器200から排気導管304Cを通って蒸気発生器160へと流れる。排気は、蒸気発生器160から排気導管304Dを通ってホットボックス100の外へと流れ出る。
【0034】
水は、水タンク又は水道管などの水源190から、水導管306Aを通って蒸気発生器160に流れる。蒸気発生器160は、この水を、排気導管304Cによって供給されるATO排気からの熱を使用して蒸気に変換する。蒸気は、蒸気発生器160から水導管306Bを通って混合器150に供給される。あるいは、必要に応じて、蒸気を燃料吸入流に直接供給することができ、及び/又は、アノード排気流を燃料吸入流に直接供給し、続いて、混合された燃料流を加湿することができる。混合器150は、蒸気をアノード排気及び燃料と混合するように構成されている。次に、この燃料混合物は、スタック102に供給される前に、アノード復熱器110内で加熱され得る。
【0035】
システム10はさらに、システム10の各種要素(例えば、ブロワ182及び184、及び燃料制御弁)を制御するように構成されたシステムコントローラ225を備えることができる。コントローラ225は、記憶された命令を実行するように構成された中央処理装置を含み得る。例えば、コントローラ225は、燃料組成データに従って、システム10を通る燃料及び/又は空気の流れを制御するように構成することができる。
【0036】
ブロワ
【0037】
いくつかの実施形態において、ブロワは、
図1に関して上で述べた燃料電池システムのブロワのいずれかを含み得る高性能遠心ブロワであり得る。したがって、ブロワは、CPOxブロワ180(例えば、システム始動用のCPOx用空気ブロワ)、システムブロワ182(例えば、燃料電池スタックに空気を供給するためのメイン空気ブロワ)、及び/又は、スタックからのアノード排気流を燃料吸入流に再循環させるアノードリサイクルブロワ184であり得る。いくつかの実施形態では、ブロワは、上述の燃料電池システムとは異なるシステムで使用することができる。ブロワは、広範囲の流体(例えば、空気及び/又はガス)流量及び/又は圧力で作動することができる。ブロワは、格納筐体内の利用可能な限られたスペースに適合するようにコンパクトな寸法であり得る。
例えば、格納筐体は、燃料電池システム格納筐体10、パワーモジュールハウジング12、ハウジング14、燃料入力モジュールハウジング16、及び/又は電力調整モジュールハウジング18などの燃料電池システムの格納筐体であり得る。例えば、ブロワは、ブロワに加えてホットボックス13も封入することができるパワーモジュールハウジング12内に適合するような寸法にすることができる。いくつかの実施形態では、コンパクトな寸法と、広範囲の流体流量及び/又は圧力での高性能な動作は、実施形態が
図4A-4Dを参照して本明細書に記載されるブロワハウジング設計、及び/又は、実施形態が
図5A-5C、6及び7を参照して本明細書に記載されるインペラ設計の、1つ又は複数によって達成され得る。
【0038】
図4A-4Dは、本開示の様々な実施形態に係るブロワハウジング400の実施例を示す。
図4Aは、ブロワハウジング400の側面断面図であり、
図4Bは、ブロワハウジング400の正面図であり、
図4Cは、ブロワハウジング400の側面図であり、
図4Dは、ブロワハウジングの斜視図である。いくつかの実施形態では、ブロワハウジング400は、ブロワの構成要素であり得る。様々な実施形態では、ブロワハウジング400は、任意の数及び組み合わせの、金属、合金、及び/又はポリマーで形成することができる。例えば、ブロワハウジングの任意の構成要素は、アルミニウム及び/又はアルミニウム合金で形成することができる。
【0039】
ブロワハウジング400は、本明細書ではボリュート402と呼ばれる流体輸送構造と、
図4A、4B及び4Dに示されるような、モーターハウジング410とを含むことができる。いくつかの実施形態では、ボリュート402は、空気、排気ガス、及び/又は燃料ガスを運ぶように構成され得る。ボリュート402は、曲線形状に形成することができる。
図4A及び4Cに示されるいくつかの実施形態において、ボリュート402は、インペラ500の周囲(例えば、
図5A-5Cを参照して以下に説明されるインペラ500の周縁502)の少なくとも一部を取り巻いて径方向に配置され得、ブロワハウジング400内に配置され得る。例えば、ボリュート402は、インペラ500の周囲の約360°を取り巻いて径方向に配置され得る。いくつかの実施形態では、ボリュート402は、モーターハウジング410の体積の少なくとも一部を取り巻いて径方向に配置され得る。例えば、ボリュート402は、モーターハウジング430の体積の少なくとも一部の約360°を取り巻いて径方向に配置され得る。
【0040】
ボリュート402は、外面404及び内面406を含み得る。内面406は、流体(例えば、空気などのガス)をボリュート入口チャネル424から出口440に運ぶことのできる流体輸送チャネル408を形成し得る。ボリュート入口チャネル424及び出口440は、流体輸送チャネル408に流体的に接続され得る。内面406によって形成される流体輸送チャネル408は、2より大きいアスペクト比を有する楕円形断面を有し得る。例えば、内面406によって形成される流体輸送チャネル408は、2.2、2.3、2.4等~3までを含む2.1~10等の、2より大きい高アスペクト比を有することができる。したがって、ボリュート402は、流体輸送チャネル408の楕円形断面に等しい内側楕円形断面を有することができる。例えば、ボリュート402は、2.2、2.3、2.4等~3までを含む2.1~10等の、2より大きい高アスペクト比を有することができる。ボリュート402は、任意の形状の外面404によって形成される外側断面を有することができる。いくつかの実施形態では、ボリュート402の外側断面は、ボリュート402の内側楕円形断面と同様の、外面404によって形成される外側楕円形断面であってよい。ボリュート402の流体輸送チャネル408は、容積が出口440により近くで増加し得るように容積を変えることができる。内面406は、出口440により近くで流体輸送チャネル408の容積を増加させるように寸法を変えることができる。内面406は、流体輸送チャネル408の容積を増加させながら、ボリュート402の内側楕円形断面を維持するような寸法であってよい。いくつかの実施形態では、内面406は、内側楕円形断面のアスペクト比を維持しながら、ボリュート402の内側楕円形断面を維持するような寸法であってよい。いくつかの実施形態では、内面406は、アスペクト比を変化させながら、ボリュート402の内側楕円形断面を維持するような寸法であってよい。
【0041】
モーターハウジング410は、外面412、内面414、及び、内面414によって形成されるモーターキャビティ418を含み得る。モーターハウジング410は、
図4Aに示すように、モーターキャビティ418内にモーター470を収容するように構成され得る。モーター470は、モーターシャフト430を介してインペラ500を駆動するように構成され得る。インペラ500は、モーターシャフト430に直接取り付けられて、ブロワの寸法及び複雑さを低減することができる。モーター470の作動は熱を発生し得、モーターハウジング410はヒートシンクとして機能し、モーター470によって生成された熱を放散することができる。いくつかの実施形態では、モーターハウジング410は、複数のヒートシンクフィンを有するフィン付きラジエータ等のラジエータ450を含むことができ、ラジエータ450は、外面412に一体であるか又は取り付けることができる。ラジエータ450はヒートシンクとしてモーターハウジング410と協同して機能し、モーター470によって生成された熱を放散することができる。いくつかの実施形態では、外面412は円形の周囲を有し得る。
【0042】
いくつかの実施形態では、ボリュート402は、ボリュート402の少なくとも一部がモーターハウジング410と重なるように配置することができる。例えば、ボリュート402は、モーターハウジング410の20%以上、例えば、モーターハウジング410の約40%~約50%を含む、モーターハウジング410の20%~100%に重なることができる。したがって、ボリュート402は、実質的に、既存のブロワ設計と比べて、インペラ500の反対側(例えば、インペラ500のモーター470側)に配置することができる。例えば、ボリュート402は、ボリュート入口チャネル424と重なる部分と、モーターハウジング410と重なる部分とを有し得る。モーターハウジング410と重なっているボリュート402の部分は、ボリュート402の外面404の少なくとも一部、及び/又はモーターハウジング410と直接接触しているボリュート402の内面406の少なくとも一部を含むことができる。例えば、モーターハウジング410と重なっているボリュート402の部分は、外面412及び/又はラジエータ450等のモーターハウジング410に当接して配置されるボリュート402の外面404の少なくとも一部を含むことができる。別の実施例では、モーターハウジング410と重なっているボリュート402の部分は、外面412及び/又はラジエータ450等のモーターハウジング410の外面412の一部を形成するボリュート402の外面404の少なくとも一部を含むことができる。別の実施例では、モーターハウジング410と重なっているボリュート402の部分は、モーターハウジング410の外面412の一部を形成するボリュート402の内面406の少なくとも一部を含むことができる。高アスペクト比の楕円形断面を有するボリュート402は、モーターシャフト430に平行な方向の長軸に沿って、モーターシャフト430に垂直な方向の短軸に沿ったボリュート402の高さよりも、幅広であってよい。例えば、2より大きい高アスペクト比を有する場合、ボリュート402は、ボリュート402の高さよりも、例えば、2.2、2.3、2.4等~3倍を含む、2.1~10倍の、2倍を超えて幅広であってよい。アスペクト比が高いほど、ボリュートのより多くがモーターハウジング410に重なり得る。モーターハウジング410に重なり得るボリュート402の部分は、ラジエータ450の少なくとも一部を取り巻いて径方向に配置され得る。
【0043】
外側楕円形断面を有するボリュート402は、外側円形断面を有する(例えば、アスペクト比が1である)既存のブロワ設計と比較して、ブロワハウジング400の全体的な外寸を減少させることができる。ボリュート402の外側楕円断面のアスペクト比が高ければ高いほど、ブロワハウジング400の全体的な外寸がより小さくなり得る。例えば、ブロワハウジング400の全体的な外寸は、モーターシャフト430に垂直な寸法がより小さくなり得る。モーターハウジング410の一部と重なっているボリュート402の一部は、ボリュートがモーターハウジングと重ならない既存のブロワ設計と比較して、ブロワハウジング400の全体的な外寸を減少させることができる。モーターハウジング410のより大きな部分と重なっているボリュート402のより大きな部分は、ブロワハウジング400の全体的な外寸をより小さくし得る。例えば、ブロワハウジング400の全体的な外寸は、モーターシャフト430に平行な寸法がより小さくなり得る。
【0044】
モーターハウジング410の一部をボリュート402の一部と重ねることにより、ボリュートは、モーター470を冷却するためのアクティブヒートシンクとして機能することができる。ボリュート402、流体輸送チャネル408を通って運ばれる空気及び/又はガスは、モーターハウジング410によって吸収される、モーター470からの熱よりも低い温度を有し、ボリュート402が重なったモーターハウジング410の部分に存在し得る。いくつかの実施形態では、モーターハウジング410の重ねられた部分に存在する吸収されたモーター熱は、ボリュート402の外面404の当接部分を介してボリュート402によって吸収され、ボリュート402の内面406によって、ボリュート402を介して搬送空気及び/又はガスに伝導される。例えば、モーターハウジング410の外面412の重ねられた部分に存在する吸収されたモーター熱は、ボリュート402の外面404の当接部分によって吸収され得る。別の実施例では、モーターハウジング410のラジエータ450の重ねられた部分に存在する吸収されたモーター熱は、ボリュート402の外面404の当接部分によって吸収され得る。いくつかの実施形態では、モーターハウジング410の重ねられた部分に存在する吸収されたモーター熱はまた、ボリュート402の重なっている部分に存在し、ボリュート402の内面406によって搬送空気及び/又はガスに伝導され得る。例えば、モーターハウジング410の外面412の重ねられた部分に存在する吸収されたモーター熱はまた、モーターハウジング410の外面412の重ねられた部分を形成するボリュート402の内面406の部分に存在し得る。搬送空気及び/又はガスに伝導された熱は、ボリュート402及び出口440を介してブロワハウジング400から運び出される空気及び/又はガスによって、ブロワハウジング400から取り除かれ得る。ボリュート402のヒートシンクの利点は、モーター470用の典型的な冷却ファンの省略を可能にし得る。例えば、ラジエータ450の機能と組み合わされたボリュート402のヒートシンクの利点は、モーター470用の典型的な冷却ファンを省くのに十分なモーターの冷却を可能とする。
【0045】
ボリュート402がモーターハウジング410の一部に当接又は一部を形成する実施形態では、ブロワハウジング400は、モーター冷却用のハイブリッドヒートシンクとして機能する。ボリュート402の内側断面の高アスペクト比の楕円形状により、ボリュート402を、低アスペクト比の設計よりも大幅にモーターハウジング410と接触又は統合することができ、最適化された空力性能をなおも可能にし得る。ボリュート402内の比較的高速の空気及び/又はガス流による強制対流熱伝達は、モーターハウジング410を介して伝導される熱の大部分を運び去る。モーターハウジング410の外面412上に配置されたラジエータ450によって等、モーターハウジング410を介した対流熱伝達は、モーター470によって生成された熱の残りを取り除くことができる。このハイブリッドヒートシンクは、既存のブロワ設計と比較して、ブロワの冷却ファンの省略により、寸法、コスト、及びノイズを低減することができる。
【0046】
ボリュート402及びモーターハウジング410を利用するモーター470のハイブリッド冷却は、モーター470にとって良好な熱管理を提供し、燃料電池システムの下流にモーター470の熱を運び去る。ハイブリッド冷却は、冷却ファンを使用する従来の方法(モーターハウジング410内及びその周辺にモーター470から放散される熱をすべて残し、冷却ファンを用いてブロワ周囲から熱を取り除かなければならない)と比較して、より効率的にモーターハウジング410内の熱負荷を低減する。従来の冷却ファンがないと、ブロワの全体的な効率が改善され、ブロワに含まれる部品が少なくなるため、信頼性が向上し、コストが削減され、寸法をより小さくすることができる。
【0047】
いくつかの代替の実施形態では、ボリュート402は、ボリュート402がモーターハウジング410と重ならないように配置され得る。したがって、ボリュート402は、実質的にインペラ406の一方の側(例えば、インペラ406の吸気側)に配置することができる。例えば、ボリュート402は、ボリュート入口チャネル424と重なる部分と、ブロワハウジング400から、モーターシャフト430と平行な方向にモーターハウジング410と反対側に(away from)延びる部分とを有することができる。外側楕円形断面を有するボリュート402は、外側円形断面を有する(例えば、アスペクト比が1である)既存のブロワ設計と比較して、ブロワハウジング400の全体的な外寸を減少させることができる。ボリュート402の外側楕円形断面のアスペクト比が大きいと、ブロワハウジング400の全体的な外寸をより小さくすることができる。例えば、ブロワハウジング400の全体的な外寸は、モーターシャフト430に垂直な寸法がより小さくなり得る。
【0048】
出口440は、外面442及び内面444を含み得る。いくつかの実施形態では、出口440は、ボリュート402に連続するブロワハウジング400の一部であってよい。例えば、出口440の外面442は、ボリュート402の外面404に連続してよく、出口440の内面444は、ボリュート402の内面406に連続してよい。いくつかの実施形態では、出口440は、ボリュート402と一体であってよい。いくつかの代替の実施形態では、出口440は、固定部品(図示せず)によってブロワハウジング400に固定された構成要素であってよい。例えば、固定部品は、ねじ状締結具、クリップ、ピン、溶接、接着剤などであり得る。出口440は、様々な形状及び/又はサイズの断面を有し得る。出口440の内側断面及びボリュート402の楕円形断面は、出口440とボリュート402が流体的に結合される出口440の端部とボリュート402の端部で、実質的に同様であってよい。出口440の内側断面は、出口440がボリュート402に流体的に結合されている出口440の端部から遠位の出口440の端部に向かって次第に円形になってよい。いくつかの実施形態では、出口440の内側断面及び/又は外側断面は、ダクト、パイプ、又はホースなどの出口導管(図示せず)と結合するような寸法及び/又は形状であってよい。
【0049】
いくつかの実施形態では、インペラシュラウド420は、インペラ500が取り付けられ得るブロワハウジング400のインペラ端部に固定可能に結合され得る。例えば、インペラシュラウド420は、ボリュート402の外面404に固定可能に結合され得る。例えば、インペラシュラウド420は、ねじ状締結具(例えば、ボルト)、ピン、クリップ、溶接、接着剤などの少なくとも1つの固定部品426によってブロワハウジング400に固定可能に結合され得る。シュラウド420は、シュラウド420を通り抜けるブロワ入口チャネル428を部分的に形成し得る内面422を含むことができ、これは、ブロワハウジング400への空気及び/又はガスの入口として機能し得る。ブロワ入口チャネル428は、インペラ500と同軸であってよい。シュラウド420及びブロワハウジング400は、モーターハウジング410とシュラウド420の内面422との間にボリュート入口チャネル424を形成し得る。ボリュート入口チャネル424は、シュラウド420の内面422によって形成されるブロワ入口チャネル428に流体的に結合され得る。空気及び/又はガスは、シュラウド420の内面422によって形成されるブロワ入口チャネル428及びボリュート入口チャネル424を通って、ボリュート402の流体輸送チャネル408へと運ばれ得る。
【0050】
いくつかの実施形態では、インペラ500は、モーターシャフト430に同軸に直接取り付けることができ、モーターシャフト430は、モーター470内へと延在し、モーター470によって回転され得る。
図4Aに示されるように、モーターシャフト430は、インペラ500の取り付けチャネル462(すなわち、軸方向開口部)内に配置され得る。インペラ500は、ねじ状締結具(例えば、ボルト)、ピン、クリップなどの固定部品432によってモーターシャフト430に固定することができる。インペラ500をモーターシャフト430に直接取り付けることは、モーター470とインペラ500との間の他の取り付け手段の、中間ギア又は他の回転運動伝達構成要素を省くことができる。インペラ500をモーターシャフト430に直接取り付けることは、ブロワの空気力学及び機械的性能を犠牲にすることなく、モーターシャフトの長さを短縮することができる。モーター470は、永久磁石モーターであってよい。空気及び/又はガスは、シュラウド420の内面422によって形成されるブロワ入口チャネル428、ボリュート入口チャネル424、ボリュート402の流体輸送チャネル408及び出口を通って運ばれ得、少なくとも部分的に、インペラ500によって推進され得る。
【0051】
いくつかの実施形態では、モーターカバー416(
図4A及び4B)が、モーター470が取り付けられ得るブロワハウジング400のモーター端部に固定可能に結合され得る。例えば、モーターカバー416は、モーターハウジング410の外面412に固定可能に結合され得る。例えば、モーターカバー416は、少なくとも1つの固定部品、例えば、ねじ状締結具、ピン、クリップ、溶接、接着剤などによって、ブロワハウジング400に固定可能に結合され得る。
【0052】
図5A-5Cは、本開示の様々な実施形態に係るフルブレード510及びスプリッタブレード520の組み合わせを有するインペラ500の実施例の様々な図を示す。
図5Aはインペラ500の正面図であり、
図5Bはインペラ500の斜視図であり、
図5Cはインペラ500の側面図である。インペラ500は、任意の数及び組み合わせのフルブレード510及びスプリッタブレード520を有することができる。フルブレード510及びスプリッタブレード520の数及び組み合わせは、インペラ500の用途ごとに異なり得る。例えば、インペラ500は、CPOxブロワ180(例えば、システム始動のためのCPOx用空気ブロワ)、システムブロワ182(例えば、燃料電池スタックに空気を供給するためのメイン空気ブロワ)、及び/又は、スタックからのアノード排気流を燃料吸入流に再循環させるアノードリサイクルブロワ184などのブロワに実装される。あるいは、ブロワは、上記の燃料電池システムとは異なるシステムで使用することができる。
図5A-5Cに示される実施例は、7枚のフルブレード510と7枚のスプリッタブレード520を1:1の比で有するインペラ500を示す。これらの実施例は、特許請求の範囲又は説明を、このフルブレード510とスプリッタブレード520の比及び数に限定せず、任意の数及び組み合わせで実装することができる。例えば、インペラ500は、フルブレード510とスプリッタブレード520を1:2又は2:1の比で有することができる。別の実施例では、インペラ500は、フルブレード510とスプリッタブレード520をそれぞれわずか2枚含むことができ、フルブレード510及びスプリッタブレード520をインペラ500が作動可能である枚数まで含むことができる。
【0053】
インペラ500は、
図5A及び5Bに示される周縁502、ハブ面504、締結面506、取り付け面508、及び、
図5Cに示されるベース面530を有することができる。周縁502は、インペラ500の外周を形成することができる。取り付け面508は、インペラ500を貫いて延在し、インペラ500を貫く同軸の取り付けチャネル(例えば、
図4Aに示される取り付けチャネル462)を形成することができる。例えば、取り付け面508は、ハブ面504とベース面530との間に延在し、ハブ面504とベース面530の両方に取り付けチャネルを形成することができる。別の実施例では、取り付け面508は、締結面506とベース面530との間に延在し、締結面506、ハブ面504、及びベース面530に取り付けチャネルを形成することができる。
図5Aに示されるインペラ500は、そのハブ面504に面して、反時計回りに回転するように構成される。
【0054】
ハブ面504は、周縁502と締結面506との間に配置され得る。ハブ面504の表面積は、締結面506から周縁502へと増加し得る。いくつかの実施形態では、ハブ面504は、締結面506と周縁502との間で直線状であってよい。例えば、ハブ面504は、締結面506と周縁502との間で直線状である円錐形を有し得る。いくつかの代替の実施形態では、ハブ面504は締結面506と周縁502との間で曲線状であってよい。例えば、ハブ面504は、締結面506と周縁502との間で取り付け面508に向かって湾曲する円錐形を有することができる。ベース面530は、周縁502と取り付け面508との間の、ハブ面504の反対側に配置することができる。いくつかの実施形態では、ベース面530は、周縁502と取り付け面508との間で実質的に平面であり得る。いくつかの実施形態では、ベース面530は、周縁502と取り付け面508との間で直線状である円錐形を有し得る。いくつかの実施形態では、ベース面530は、周縁502と取り付け面508との間で取り付け面508に向かって湾曲する円錐形を有し得る。
【0055】
フルブレード510は、フィレット512、上縁514、前縁(例えば、ルート部)516、及び後縁518を有することができる。スプリッタブレード520は、フィレット522、上縁524、前縁526、及び後縁528を有することができる。いくつかの実施形態では、ブレード510,520は、フィレット512,522でハブ面504に連続するインペラ500の一部であってよい。例えば、ブレード510,520のフィレット512,522は、インペラ500のハブ面504に連続し得る。例えば、インペラ500及びブレード510,520は、鋳造、機械加工、成形、3Dプリンティングなどによって、一体の連続した物体として形成され得る。
【0056】
フルブレード510の前縁516は、締結面506に又はその近くに配置することができる。フルブレード510の後縁518は、周縁502に又はその近くに配置することができる。フルブレード510の上縁514は、前縁516と後縁518との間に配置することができる。
フルブレード510の傾斜角は、インペラ500上の周方向(例えば、インペラ500の回転方向)における、フルブレード510とハブ面504との間の角度であってよく、その例は、
図6を参照して本明細書でさらに説明される。いくつかの実施形態では、後縁518でのフルブレード510の傾斜角は、約35°~約45°、例えば約40°であり得る大きい傾斜角であってよい。いくつかの実施形態では、フルブレード510に沿った傾斜角は、例えば、前縁516と後縁518との間で、線形的に変化し得る。いくつかの実施形態では、フルブレード510に沿った傾斜角は、例えば、前縁516と後縁518との間で、非線形的に変化し得る。フルブレード510の後退角は、インペラ500上の径方向(例えば、周縁502又は締結面506の方向)における、フルブレード510とハブ面504との間の角度であってよく、その例は、
図7を参照して以下でさらに説明する。いくつかの実施形態では、後縁518でのフルブレード510の後退角は、約45°以上、例えば、約50°~60°を含む約45°~約65°の大きい後退角であってよい。いくつかの実施形態では、フルブレード510に沿った後退角は、例えば、前縁516と後縁518との間で、線形的に変化し得る。いくつかの実施形態では、フルブレード510に沿った後退角は、例えば、前縁516と後縁518との間で、非線形的に変化し得る。
【0057】
スプリッタブレード520は、フルブレード510の前縁516と後縁518との間の長さよりも短い、前縁526と後縁528との間の長さを有することができる。例えば、スプリッタブレード520の長さは、フルブレード510の長さの約25%~約75%、例えば50%であってよい。スプリッタブレード520の前縁526は、締結面506と周縁502との間に配置され得る。スプリッタブレード520の後縁528は、周縁502に又はその近くに配置され得る。スプリッタブレード520の上縁524は、前縁526と後縁528との間に配置され得る。スプリッタブレード520の傾斜角は、インペラ500上の周方向(例えば、インペラ500の回転方向)における、スプリッタブレード520とハブ面504との間の角度であってよく、その例は、
図6を参照して以下でさらに説明される。いくつかの実施形態では、後縁528でのスプリッタブレード520の傾斜角は、約35°~約45°、例えば約40°であり得る大きい傾斜角であってよい。いくつかの実施形態では、スプリッタブレード520に沿った傾斜角は、例えば、前縁526と後縁528との間で、線形的に変化し得る。いくつかの実施形態では、スプリッタブレード520に沿った傾斜角は、例えば、前縁526と後縁528との間で、非線形的に変化し得る。スプリッタブレード520の後退角は、インペラ500上の径方向(例えば、周縁502又は締結面506の方向)における、スプリッタブレード520とハブ面504との間の角度であってよく、その例は、
図7を参照して以下でさらに説明する。いくつかの実施形態では、後縁528でのスプリッタブレード520の後退角は、約45°以上、例えば、約50°~60°を含む約45°~約65°の大きい後退角であってよい。いくつかの実施形態ではスプリッタブレード520に沿った後退角は、、例えば、前縁526と後縁528との間で、線形的に変化し得る。いくつかの実施形態では、スプリッタブレード520に沿った後退角は、例えば、前縁526と後縁528との間で、非線形的に変化し得る。
【0058】
インペラ500は、遠心ブロワインペラであってよい。遠心ブロワインペラ500は、フルブレード510とスプリッタブレード520の組み合わせを有し得る。ブレード510,520は、後縁518,528において大きい後退角を有することができ、ブレード510,520は、後縁518,528において大きな傾斜角を有することができ、ブレード510,520を遠心ブロワインペラ500の回転方向に向かって傾ける。これらの3つの幾何学的特徴は、従来のインペラ設計と比較して、遠心ブロワインペラ500の効率を改善することができる。さらに、遠心ブロワインペラ500の回転方向に向かって大きい傾斜角を有するブレード510,520、及び、フルブレード510とスプリッタブレード520の組み合わせは、従来のインペラ設計と比較して、インペラ500を通るガス流による騒音を低減することができる。
【0059】
後縁518,528での大きな後退角及び後縁518,528で回転方向に向かって傾いた傾斜角を有するフルブレード510とスプリッタブレード520との組み合わせは、従来のインペラ設計と比較して、全作動範囲にわたる改善された効率と改善された騒音低減を提供し得る。フルブレード510とスプリッタブレード520との組み合わせは、遠心ブロワインペラ500によって駆動される空気及び/又はガス流のダイポール指向特性に影響を及ぼし、従来のインペラ設計と比較して騒音低減を改善することができる。例えば、フルブレード510とスプリッタブレード520との組み合わせは、空気及び/又はガス流のダイポール指向特性に影響を及ぼし、等しい長さのブレードを備えた従来のインペラ設計よりも大きな相殺的干渉領域を作り出すことができる。
【0060】
さらに、フルブレード510とスプリッタブレード520との組み合わせは、スプリッタブレード520の前縁526が、ハブ面504上のフルブレード510の前縁516と同じ位置まで延在しない結果、従来のインペラ設計と比較して、
図4A及び4Cに示されるブロワ入口(例えば、ブロワ入口チャネル)428での遠心ブロワインペラ500によるブロッケージを低減することができる。フルブレード510とスプリッタブレード520との組み合わせから生じるブロワインペラ前縁(例えば、ハブ面504上のフルブレード510の前縁516の位置)でのより少ないブロッケージは、必要な流量に対してより小さなシュラウド420半径を可能にし得る。したがって、インペラの前縁速度を下げることができ、これにより、従来のインペラ設計と比較して損失とノイズを低減する。従来のインペラ設計は、ブロワ入口でより多くのブレードを使用することにより、インペラ500よりも大きなブロッケージを有する可能性がある。したがって、従来のインペラ設計の前縁/ブロワ入口には、より大きいブレード表面積が存在する。インペラ500は、空気及び/又は異なる燃料(例えば、バイオガス)及び/又は排気を含む異なるガスに対して、異なる一定の及び/又は可変の流量及びインペラ速度を含む様々な流量及び/又はインペラ速度(例えば、インペラ前縁速度)に対して構成することができる。例えば、
図3に示される燃料電池システムが、天然ガス又はメタンを燃料として作動する場合には、インペラ500は、比較的速い速度で作動することができる。対照的に、
図3に示される燃料電池システムが、バイオガスを燃料として作動する場合には、インペラ500は、上記速い速度よりも遅い、比較的遅い速度で作動することができる。
図3に示される燃料電池システムが、バイオガスと天然ガス(又はメタン)の混合物を燃料として作動する場合には、インペラ500は、上記比較的遅い速度よりも速いが上記速い速度よりも遅い中間の速度で作動することができる。
【0061】
大きい傾斜角を有する後縁518,528を有するブレード510,520は、遠心ブロワインペラ500からの伴流に、ブロワハウジング400のボリュート舌部などの下流の構成要素をより弱い強度で通過させ、後縁に大きい傾斜角がない従来のインペラ設計と比較して騒音を改善することができる。例えば、下流の構成要素を通過する、大きい傾斜角を有するブレード510,520からの伴流のタイミングは、伴流の建設的干渉を少なくし、下流の構成要素を通過する伴流の強度を低減することができる。大きい後退角を有する後縁518,528を有するブレード510,520は、伴流などの騒音源の変動強度を弱めることができ、これはまた、後縁に大きい後退角を持たない従来のインペラ設計と比較して騒音を低減することができる。
【0062】
締結面506は、固定部品(例えば、
図4A及び4Cの固定部品432)と共同して使用して、インペラ500をモーターシャフト(例えば、
図4Aのモーターシャフト430)に固定可能に取り付けるように構成することができる。モーターシャフト430は、取り付け面508によって形成される取り付けチャネル462を介してベース面530及びハブ面504を通って延びることができる。いくつかの実施形態では、モーターシャフトは、取り付け面508によって形成される取り付けチャネル462を介して、締結面506の中へ又はそれを通って延びることができる。
【0063】
図6は、本開示の様々な実施形態に係るインペラ500の
図5A-5Cのフルブレード510又はスプリッタブレード520などのブレード(例えば、ベーン)の傾斜角のプロットダイヤグラム600を示す。プロットダイヤグラム600は、インペラの回転方向の傾斜角と、子午面距離の分率との比較をプロットしたものである。子午面距離の分率は、距離0と距離1との間の、インペラ(例えば、
図5A-5Cのハブ面504)上の点とすることができる。いくつかの実施形態では、距離0は、インペラの締結面(例えば、
図5A-5Cの締結面506)とすることができる。いくつかの実施形態では、距離0は、ブレードの前縁(例えば、
図5A-5Cで、フルブレード510の場合はルート部又は前縁516、又はスプリッタブレード520の場合はルート部又は前縁526)とすることができる。いくつかの実施形態では、距離1は、インペラの周縁(例えば、
図5A-5Cの周縁502)とすることができる。いくつかの実施形態では、距離1は、ブレードの後縁(例えば、
図5A-5Cで、フルブレード510の場合は後縁518、スプリッタブレード520の場合は後縁528)とすることができる。
【0064】
プロットダイヤグラム600は、ブレードのプレッシャ側(例えば、ブレードの、インペラの回転方向に向く側)の傾斜角のプロット602、ブレードのサクション側(例えば、ブレードの、インペラの回転方向と反対に向く側)の傾斜角のプロット606、及びプロット602,606の平均のプロット604を含む。
図6に示される実施例では、プロット602,604,606は、子午面距離の分率が増加するにつれて、ブレードの傾斜角が概ね増加し得ることを示す。プロット602,604,606は、ブレードの傾斜角が非線形的に増加し得ることを示す。距離0では、ブレードの平均傾斜角は約0°であってよい。例えば、ブレードの平均傾斜角は約0°であってよく、プレッシャ側のブレードの傾斜角は約4°であってよく、サクション側のブレードの傾斜角は約-2°であってよい。距離1では、ブレードの平均傾斜角は約40°であってよい。例えば、ブレードの平均傾斜角は約40°、プレッシャ側のブレードの傾斜角は約41°、サクション側のブレードの傾斜角は約38°であってよい。
【0065】
図7は、本開示の様々な実施形態に係るインペラ(例えば、
図5A-5Cのインペラ500)のブレード(例えば、フルブレード510)のブレード角(blade angle)のプロットダイヤグラム700を示す。プロットダイヤグラム700は、ブレード角と、子午面距離の分率との比較をプロットしたものである。子午面距離の分率は、距離0と距離1との間の、インペラ(例えば、
図5A-5Cのハブ面504)上の点とすることができる。いくつかの実施形態では、距離0は、インペラの締結面(例えば、
図5A-5Cの締結面506)とすることができる。いくつかの実施形態では、距離0は、ブレードの前縁(例えば、
図5A-5Cのフルブレード510の前縁516)とすることができる。いくつかの実施形態では、距離1は、インペラの周縁(例えば、
図5A-5Cの
図1の周縁502)とすることができる。いくつかの実施形態では、距離1は、ブレードの後縁(例えば、
図5A-5Cのフルブレード510の後縁518)とすることができる。
【0066】
プロットダイヤグラム700は、ハブ面(例えば、
図5A-5Cのハブ面504)でのフルブレード510のブレード角のプロット702と、上縁(
図5A-5Cの上縁514)でのフルブレード510のブレード角のプロット704とを含む。一実施形態では、上縁でのフルブレード510のブレード角の絶対値は、ブレード510の後縁518を除いて、ハブ面でのフルブレード510のブレード角の絶対値よりも大きくすることができる。ブレード510の後縁518では、ブレード角の絶対値を等しくすることができる。
【0067】
図7に示される実施例では、プロット702,704は、フルブレード510の後縁518における、ハブ面及び上縁でのブレード角が、後退角であり得ることを示す。プロット702,704は、ブレードの後退角の絶対値が、距離1及びその近傍(すなわち、インペラの周囲面502)で、一般に、大きくなり得ることを示している。例えば、距離1での後退角は約-50°であり得る。プロット702,704は、ブレードの角度が、概ね、距離0.8と距離1との間で、一般に、最も急増し得ることを示す。言い換えれば、ブレードの角度は、後縁及びその近傍で大きくなり得る。
【0068】
プロット702,704は、ブレードのブレード角が非線形的に変化し得ることを示す。プロット702は、ハブ面でのフルブレード510のブレード角が、距離0及びその近傍で、0.2~0.7の距離域(すなわち、距離0及びその近傍と、距離1及びその近傍との間の距離域)のブレード角よりも大きくなり得るが、距離1及びその近傍でのフルブレード510の大きい角度ほどにはなり得ないことを示す。プロット704は、上縁でのフルブレード510のブレード角が、概ね、距離0.5及びその近傍で、距離0.5及びその近傍と、距離1及びその近傍との間の距離域のブレード角よりも大きく、距離1及びその近傍のフルブレード510の後退角とほぼ同じくらいの大きさになり得ることを示す。
【0069】
いくつかの実施形態では、ダイヤグラム700及びプロット702,704の説明は、プロットが0ではなく、0.5などの0より大きい値で開始することを除いて、スプリッタブレード520のブレード角について同様に説明することができる。
【0070】
ブロワハウジング(例えば、
図4A-4Dに示されるブロワハウジング400)とスプリッタブレードインペラ(例えば、
図5A-5Cに示されるインペラ500)との組み合わせを使用したブロワの性能は、同様の寸法の従来のブロワと比較して、著しく高い効率、モーターから外への熱伝達の改善、より広い作動範囲、より大きな容量、及び、より低速度での運転を提供する。スプリッタブレードインペラの特徴はまた、ブロワの騒音レベルを下げることができる。したがって、ブロワは、全作動範囲にわたって著しく高い効率を提供することができ、従来技術のブロワよりもはるかに低い運転速度で同じ流量及び圧力上昇を達成することができる。
【0071】
開示した態様の前述の説明は、当業者が本発明を成すか又は使用できるようにするために提供される。これらの態様に対する様々な変更は当業者には容易に明らかであり、本明細書に明記される包括的な原理は、本開示の範囲から逸脱することなく他の態様に適用することができる。したがって、本発明は、本明細書に示した態様に限定されることを意図するものではなく、本明細書に開示される原理及び新規の特徴と矛盾しない最も広い範囲を与えられるべきである。
【外国語明細書】