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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165426
(43)【公開日】2022-10-31
(54)【発明の名称】エラスチン産生促進のための剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/9789 20170101AFI20221024BHJP
   A61K 36/48 20060101ALI20221024BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20221024BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20221024BHJP
【FI】
A61K8/9789
A61K36/48
A61P17/00
A61Q19/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022124499
(22)【出願日】2022-08-04
(62)【分割の表示】P 2021116602の分割
【原出願日】2021-07-14
(31)【優先権主張番号】P 2021070169
(32)【優先日】2021-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000119472
【氏名又は名称】一丸ファルコス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】河合 有香
(72)【発明者】
【氏名】橋本 雅和
(72)【発明者】
【氏名】田中 清隆
【テーマコード(参考)】
4C083
4C088
【Fターム(参考)】
4C083AA111
4C083AA112
4C083AC122
4C083AC182
4C083AC352
4C083AC432
4C083AC482
4C083AC642
4C083CC04
4C083DD23
4C083DD27
4C083EE12
4C083FF01
4C088AB59
4C088AC05
4C088BA10
4C088CA08
4C088NA14
4C088ZA89
(57)【要約】
【課題】天然由来の物(天然物)からエラスチン産生促進作用を有するものを見出し、エラスチン産生促進のための剤などを提供することである。
【解決手段】四つ葉のクローバーの抽出物を含む、エラスチン産生促進のための剤。当該剤を含有する、皮膚外用組成物。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
四つ葉のクローバーから溶媒により有効成分を抽出する工程を含み、
当該溶媒は、1,3-ブチレングリコール溶液である、
エラスチン産生促進のための剤の生産方法。
【請求項2】
当該剤は、DANCE産生の促進、β-エンドルフィン産生の促進及び/又はMu-opioid受容体発現の促進のための剤である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
四つ葉のクローバーの抽出物を含む、エラスチン産生促進のための剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主にヒトなどの皮膚におけるエラスチン産生促進するための組成物(化粧品等)、及び/又はこれらに配合する素材などに関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚は、外部環境から直接影響を受ける最前線として、生体の内部環境を維持する重要な機能を担う。そのため、皮膚の機能が全面的な停止に至ることはないが、加齢、紫外線被曝、化学物質への皮膚露出などに伴いその機能は徐々に低下し、シワ、シミ、くすみ、タルミ等の老化徴候が顕在化してくる。例えば、皮膚の「はり」感の有無が健康状態や老化度の評価指標の一つと考えられている。「はり」は、角層・表皮由来のはりと真皮由来のはりの二つに分けられることもある。特に真皮由来のはりは、指で皮膚を押すと押し返すような弾力があり、指を離すと速やかに元に戻る状態をいい、物理的には粘弾性ともいう(特許文献1)。皮膚の粘弾性の低下を引き起こす詳細なメカニズムは明らかになっていないこともあるが、この低下の要因の1つとして、例えば、皮膚の菲薄化も考えられている。
【0003】
エラスチンは、皮膚組織に弾力性を与える線維である。エラスチンは、ヒトの加齢等に伴って産生量が低下するとともに、紫外線によって分解・変性が促進される。正常なエラスチンが減少すると、肌の弾力性が低下し、しわ、たるみの原因となりうる。そのため、エラスチンの産生を促進することができれば、しわ、たるみが起こりにくくなり、張りの消失、弾力性の低下等の皮膚の老化症状を予防及び/又は改善できると考えられる(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-216436
【特許文献2】特開2012-56933
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、天然由来の物(天然物)からエラスチン産生促進作用を有するものを見出し、エラスチン産生促進のための剤などを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明の発明者は、エラスチン産生促進の活性を持つ物質の探索について鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成した。
【0007】
本発明は、以下を含む。
(1)四つ葉のクローバーの抽出物を含む、エラスチン産生促進のための剤。
(2)(1)に記載の剤を含有する、皮膚外用組成物。
(3)(1)に記載の剤を含有する、経口組成物。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、ヒトなどの皮膚におけるエラスチン産生促進するための組成物(化粧品等)、及び/又はこれらに配合する素材などを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】Vectra画像による口角UPの効果を示す写真である。被験者12人のうちの1名の写真である。0日は塗布前、4週は塗布後4週間後の顔の写真を示す。表2ローション塗布群は表2に記載のローションを塗布した群、表3ローション塗布群は表3に記載のローションを塗布した群を示す。矢印は口角の位置が上ったことを示す。
図2】Vectra画像によるリフトアップの効果を示す写真である。被験者12人のうちの1名の写真である。表2ローション塗布群は表2に記載のローションを塗布した群、表3ローション塗布群は表3に記載のローションを塗布した群を示す。矢印は皮膚の特定の位置がどの方向にどれだけ動いたかを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
【0011】
(四つ葉のクローバー)
四つ葉のクローバーは、小葉を4枚持つ白詰草(シロツメクサ、学名:Trifolium repens)で、普段見られる三つ葉のそれの変異体に相当する。四つ葉のクローバーの発生は稀であり、それを見付けられた者には幸運が訪れるという言い伝えがある。その伝説によれば、四つ葉のクローバーの小葉は、それぞれ、希望、誠実、愛情、幸運を象徴しているとされる。
クローバーは、4枚以上の小葉を有することがある。四つ葉のクローバーの発生頻度は三つ葉のそれに対して1万分の1程度になると推定されている。その他にも、発見数は少ないながらも、五つ葉、六つ葉、七つ葉、八つ葉なども確認されている。
当該四つ葉のクローバーは、遺伝的に四つ葉以上になりやすい株であり、その他の要因として、例えば、通常三枚のクローバーの葉が小さい時に何らかの外的要因(踏みつけ等)でできた傷が原因で、その箇所が分裂して別の葉が出てくることによって四つ葉になると考えられている。
【0012】
本発明で用いる「四つ葉のクローバー」の抽出物を製造する際には、材料として例えば全草(葉、花、茎、根など含む)を用いる。
【0013】
四つ葉のクローバーの抽出物は、例えば、材料を生のまま又は乾燥したものを粉砕作製、材料を生のまま又は乾燥したものを粉砕後溶媒で抽出して作製する。例えば、以下製造例により、四つ葉のクローバーの抽出物を製造する。なお、以下実施例で用いる四つ葉のクローバーの抽出物は、以下製造例に従い、製造された。
【0014】
(四つ葉のクローバーの抽出物の製造例)
三つ葉のクローバー、四つ葉のクローバー、五つ葉のクローバーなどの多葉性のクローバーの全草の混合物を所定の条件で乾燥させ、乾燥物を作製する。この乾燥物100gを50%1,3-ブチレングリコール溶液10kgに浸漬する。室温(約10℃~約30℃)の環境で、時々攪拌しながら、5~10日間、この浸漬を行う。この浸漬を経て得られる溶液を、合成吸着樹脂、例えばダイヤイオンHP-20にて精製して、当該抽出物を作製した。この粗抽出物に含まれる固形分は、0.2%である。
【0015】
当該混合物には、本発明の所望の効果が発揮するために、四つ葉以上の葉数の多葉性のクローバーの含有割合の下限が、好ましくは20%以上、より好ましくは25%以上、更に好ましくは30%以上であり、当該割合の上限が、好ましくは90%以下、より好ましくは85%以下、更に好ましくは80%以下、である。
【0016】
当該混合物には、本発明の所望の効果が発揮されるために、四つ葉のクローバーの含有割合の下限が、好ましくは20%以上、より好ましくは25%以上、更に好ましくは30%以上であり、当該割合の上限が、好ましくは80%以下、より好ましくは77.5%以下、より好ましくは75%以下、更に好ましくは72.5%以下、である。
【0017】
(四つ葉のクローバーの抽出物の製造の際に用いる抽出溶媒)
抽出溶媒としては、例えば、水、メタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブタノール等の低級アルコール或いは含水低級アルコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、1,3,5-ペンタントリオール、グリセリン、ポリエチレングリコール(分子量100~10万)等の多価アルコール或いは含水多価アルコール、アセトン、酢酸エチル、ジエチルエーテル、ジメチルエーテル、エチルメチルエーテル、ジオキサン、アセトニトリル、キシレン、ベンゼン、クロロホルム、四塩化炭素、フェノール、トルエン等の各種有機溶媒や、適宜規定度を調製した酸(塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ギ酸、酢酸等)やアルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アンモニア等)の中から選ばれる1種もしくは2種以上の混液が挙げられる。
【0018】
(その他)
本発明で用いる四つ葉のクローバーの抽出物は、溶媒抽出後、必要に応じて、更に適宜精製操作を施すことも可能である。精製操作は、例えば、酸(塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、有機酸等)又はアルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、アンモニア等)添加による分解、微生物による発酵又は代謝変換、イオン交換樹脂や活性炭、ケイ藻土等による成分吸着、種々の分離モード(イオン交換、親水性吸着、疎水性吸着、サイズ排除、配位子交換、アフィニティー等)を有するクロマトグラフィーを用いた分画、濾紙やメンブランフィルター、限外濾過膜等を用いた濾過、加圧又は減圧、加温又は冷却、乾燥、pH調整、脱臭、脱色、長時間の静置保管等であり、これらを任意に選択し、組合わせた処理を行うことも可能である。
【0019】
(エラスチン産生促進)
生体におけるエラスチン量が高まること(エラスチン産生促進)により、真皮、靭帯、腱、血管壁、骨、軟骨などの強度や弾力性を高められる。エラスチン産生のための剤は、エラスチン減少に伴う各種障害の予防および/または改善のために(例えば、正常エラスチンの欠乏により引き起こされる動脈硬化等の血管系疾患の治療又は予防等のために)、美容上の問題を予防および/または改善のするために(例えば、加齢や紫外線、活性酸素、ストレス等によるエラスチン減少により引き起こされる、皮膚のシワもしくはタルミの予防および/または改善のため、或いは皮膚の弾力性もしくはハリの低下に対する予防および/または改善のために)、用いられることが考えられる。
【0020】
(経口組成物の形態)
本発明による経口組成物は、例えば、飲料、食品、医薬品、医薬部外品が挙げられる。
【0021】
(皮膚外用剤の形態)
本発明による皮膚外用剤は、アンプル、カプセル、粉末、顆粒、液体、ゲル、気泡、エマルジョン、シート、ミスト、スプレー剤等利用上の適当な形態の1)医薬品類、2)医薬部外品類、3)局所用又は全身用の皮膚外用剤類(例えば、化粧水、乳液、クリーム、軟膏、ローション、オイル、パック等の基礎化粧料、固形石鹸、液体ソープ、ハンドウォッシュ等の洗顔料や皮膚洗浄料、マッサージ用剤、クレンジング用剤、除毛剤、脱毛剤、髭剃り処理料、アフターシェーブローション、プレショーブローション、シェービングクリーム、ファンデーション、口紅、頬紅、アイシャドウ、アイライナー、マスカラ等のメークアップ化粧料、香水類、美爪剤、美爪エナメル、美爪エナメル除去剤、パップ剤、プラスター剤、テープ剤、シート剤、貼付剤、エアゾール剤等)、4)頭皮・頭髪に適用する薬用又は/及び化粧用の製剤類(例えば、シャンプー剤、リンス剤、ヘアートリートメント剤、プレヘアートリートメント剤、パーマネント液、染毛料、整髪料、ヘアートニック剤、育毛・養毛料、パップ剤、プラスター剤、テープ剤、シート剤、エアゾール剤等)、5)浴湯に投じて使用する浴用剤、6)その他、腋臭防止剤や消臭剤、制汗剤、衛生用品、衛生綿類、ウエットティシュ等が挙げられる。
【0022】
(皮膚外用剤の構成成分)
また、このような剤には、必要に応じて、本発明の効果を損ねない範囲で以下に例示する成分や添加剤を任意に選択・併用して製造することができる。
【0023】
(1)各種油脂類
アボカド油、アーモンド油、ウイキョウ油、エゴマ油、オリーブ油、オレンジ油、オレンジラファー油、ゴマ油、カカオ脂、カミツレ油、カロット油、キューカンバー油、牛脂脂肪酸、ククイナッツ油、サフラワー油、シア脂、液状シア脂、大豆油、ツバキ油、トウモロコシ油、ナタネ油、パーシック油、ヒマシ油、綿実油、落花生油、タートル油、ミンク油、卵黄油、パーム油、パーム核油、モクロウ、ヤシ油、牛脂、豚脂、スクワレン、スクワラン、プリスタン又はこれら油脂類の水素添加物(硬化油等)等。
【0024】
(2)ロウ類
ミツロウ、カルナバロウ、鯨ロウ、ラノリン、液状ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、カンデリラロウ、モンタンロウ、セラックロウ、ライスワックス等。
【0025】
(3)鉱物油
流動パラフィン、ワセリン、パラフィン、オゾケライド、セレシン、マイクロクリスタンワックス等。
【0026】
(4)脂肪酸類
ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、ウンデシレン酸、トール油、ラノリン脂肪酸等の天然脂肪酸、イソノナン酸、カプロン酸、2-エチルブタン酸、イソペンタン酸、2-メチルペンタン酸、2-エチルヘキサン酸、イソペンタン酸等の合成脂肪酸。
【0027】
(5)アルコール類
イソプロパノール、ラウリルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、フェノキシエタノール等の天然アルコール、2-ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、2-オクチルドデカノール等の合成アルコール。
【0028】
(6)多価アルコール類
酸化エチレン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコール、酸化プロピレン、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリトリトール、トレイトール、アラビトール、キシリトール、リビトール、ガラクチトール、ソルビトール、マンニトール、ラクチトール、マルチトール等。
【0029】
(7)エステル類
ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸オレイル、オレイン酸デシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、酢酸ラノリン、モノステアリン酸エチレングリコール、モノステアリン酸プロピレングリコール、ジオレイン酸プロピレングリコール等。
【0030】
(8)金属セッケン類
ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、パルミチン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、ラウリン酸亜鉛、ウンデシレン酸亜鉛等。
【0031】
(9)ガム質、糖類又は水溶性高分子化合物
アラビアゴム、ベンゾインゴム、ダンマルゴム、グアヤク脂、アイルランド苔、カラヤゴム、トラガントゴム、キャロブゴム、クインシード、寒天、カゼイン、乳糖、果糖、ショ糖又はそのエステル、トレハロース又はその誘導体、デキストリン、ゼラチン、ペクチン、デンプン、カラギーナン、カルボキシメチルキチン又はキトサン、エチレンオキサイド等のアルキレン(C~C)オキサイドが付加されたヒドロキシアルキル(C~C)キチン又はキトサン、低分子キチン又はキトサン、キトサン塩、硫酸化キチン又はキトサン、リン酸化キチン又はキトサン、アルギン酸又はその塩、ヒアルロン酸又はその塩、コンドロイチン硫酸又はその塩、ヘパリン、エチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシエチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ニトロセルロース、結晶セルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメタアクリレート、ポリアクリル酸塩、ポリエチレンオキサイドやポリプロピレンオキサイド等のポリアルキレンオキサイド又はその架橋重合物、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレンイミン等。
【0032】
(10)界面活性剤
アニオン界面活性剤(アルキルカルボン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩)、カチオン界面活性剤(アルキルアミン塩、アルキル四級アンモニウム塩)、両性界面活性剤:カルボン酸型両性界面活性剤(アミノ型、ベタイン型)、硫酸エステル型両性界面活性剤、スルホン酸型両性界面活性剤、リン酸エステル型両性界面活性剤、非イオン界面活性剤(エーテル型非イオン界面活性剤、エーテルエステル型非イオン界面活性剤、エステル型非イオン界面活性剤、ブロックポリマー型非イオン界面活性剤、含窒素型非イオン界面活性剤)、その他の界面活性剤(天然界面活性剤、タンパク質加水分解物の誘導体、高分子界面活性剤、チタン・ケイ素を含む界面活性剤、フッ化炭素系界面活性剤)等。
【0033】
(11)各種ビタミン類
ビタミンA群:レチノール、レチナール(ビタミンA1)、デヒドロレチナール(ビタミンA2)、カロチン、リコピン(プロビタミンA)、ビタミンB群:チアミン塩酸塩、チアミン硫酸塩(ビタミンB1)、リボフラビン(ビタミンB2)、ピリドキシン(ビタミンB6)、シアノコバラミン(ビタミンB12)、葉酸類、ニコチン酸類、パントテン酸類、ビオチン類、コリン、イノシトール類、ビタミンC群:ビタミンC酸又はその誘導体、ビタミンD群:エルゴカルシフェロール(ビタミンD2)、コレカルシフェロール(ビタミンD3)、ジヒドロタキステロール、ビタミンE群:ビタミンE又はその誘導体、ユビキノン類、ビタミンK群:フィトナジオン(ビタミンK1)、メナキノン(ビタミンK2)、メナジオン(ビタミンK3)、メナジオール(ビタミンK4)、その他、必須脂肪酸(ビタミンF)、カルニチン、フェルラ酸、γ-オリザノール、オロット酸、ビタミンP類(ルチン、エリオシトリン、ヘスペリジン)、ビタミンU等。
【0034】
(12)各種アミノ酸類
バリン、ロイシン、イソロイシン、トレオニン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、リジン、グリシン、アラニン、アスパラギン、グルタミン、セリン、システイン、シスチン、チロシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ヒドロキシリジン、アルギニン、オルニチン、ヒスチジン等や、それらの硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、クエン酸塩、或いはピロリドンカルボン酸のごときアミノ酸誘導体等。
【0035】
(13)添加物
添加しようとする製品種別、形態に応じて常法的に行われる加工(例えば、粉砕、製粉、洗浄、加水分解、醗酵、精製、圧搾、抽出、分画、ろ過、乾燥、粉末化、造粒、溶解、滅菌、pH調整、脱臭、脱色等を任意に選択、組み合わせた処理)を行い、各種の素材から任意に選択して供すれば良い。
【0036】
尚、抽出に用いる溶媒については、供する製品の使用目的、種類、或いは後に行う加工処理等を考慮した上で選択すれば良いが、通常では、水、メタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブタノール等の低級アルコール或いは含水低級アルコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール或いは含水多価アルコール、アセトン、酢酸エチル等の各種有機溶媒の中から選ばれる1種若しくは2種以上の混液を用いるのが望ましい。
【0037】
尚、植物又は動物系原料由来の添加物を、全身用又は局所用の外用剤、化粧品類に供する場合、皮膚や頭髪の保護をはじめ、保湿、感触・風合いの改善、柔軟性の付与、刺激の緩和、芳香によるストレスの緩和、細胞賦活(細胞老化防止)、炎症の抑制、肌質・髪質の改善、肌荒れ防止及びその改善、発毛、育毛、脱毛防止、光沢の付与、清浄効果、疲労の緩和、血流促進、温浴効果等の美容的効果のほか、香付け、消臭、増粘、防腐、緩衝等の効果も期待できる。
【0038】
さらにこの他にも、これまでに知られている各原料素材の様々な美容的、薬剤的効果を期待し、これらを組み合わせることによって、本発明の目的とする効果の増進を図り、多機能的な効果を期待した製品とすることも可能である。なお、以下の実施例において、有効成分等の添加量を示すパーセンテージは、特に異なる記載がない限り重量%を意味する。
【実施例0039】
以下、本発明の実施例について、説明する。以下、実施例で挙げる実験(実験1~5)で用いた実験材料は次の通りである。
・正常ヒト成人表皮角化細胞(Lifeline Cell Technology)
・正常ヒト成人皮膚線維芽細胞:(Cell applications)
・塩化カルシウム0.06mM含有のKGM-Gold培地(Lonza)
【0040】
・四つ葉のクローバー抽出物(四つ葉のクローバーの抽出物):三つ葉のクローバー、四つ葉のクローバー、五つ葉のクローバーなどの多葉性のクローバーの全草の混合物を所定の条件で乾燥させ、乾燥物を作製した。この乾燥物100gを50%1,3-ブチレングリコール溶液10kgに浸漬した。室温(約10℃~約30℃)の環境で、時々攪拌しながら、5~10日間、この浸漬を行った。この浸漬を経て得られる溶液を、合成吸着樹脂ダイヤイオンHP-20にて精製して、当該抽出物(抽出液)を作製した。当該抽出物に含まれる固形分は、0.2%であった。当該混合物には、四つ葉のクローバーが70%含有された。
【0041】
・三つ葉のクローバーのみの抽出物:三つ葉のクローバーの全草を所定の条件で乾燥させ、乾燥物を作製した。この乾燥物100gを50%1,3-ブチレングリコール溶液10kgに浸漬した。室温(約10℃~約30℃)の環境で、時々攪拌しながら、5~10日間、この浸漬を行った。この浸漬を経て得られる溶液を、合成吸着樹脂ダイヤイオンHP-20にて精製して、当該抽出物(抽出液)を作製した。当該抽出物に含まれる固形分は、0.2%であった。
【0042】
・四つ葉のクローバーのみの抽出物:四つ葉のクローバーの全草を所定の条件で乾燥させ、乾燥物を作製した。この乾燥物100gを50%1,3-ブチレングリコール溶液10kgに浸漬した。室温(約10℃~約30℃)の環境で、時々攪拌しながら、5~10日間、この浸漬を行った。この浸漬を経て得られる溶液を、合成吸着樹脂ダイヤイオンHP-20にて精製して、当該抽出物(抽出液)を作製した。当該抽出物に含まれる固形分は、0.2%であった。
【0043】
[実験1]:三つ葉のクローバーのみの抽出物と、四つ葉のクローバーのみの抽出物との成分比較
液体クロマトグラフィー(LC)を用いて、三つ葉のクローバーのみの抽出物と、四つ葉のクローバーのみの抽出物との成分比較を行った。
【0044】
このLCの条件は以下の通りである。
装置:SHIMADZU LC-10A
カラム:Mightysil RP-18 GP 250X4.6mm(5μm)
移動相:CHCN:0.1%HPO=(10:90)→(100:0)/30min
流速:1.0mL/min
温度:40℃
検出器:UV 280nm
【0045】
当該成分比較を以下表1に示すが、表1に示すように、含有成分が異なること(例えば、糖などのように、必ずしも葉が増えて量が増えるわけでないこと)が明らかになった。
【0046】
【表1】
【0047】
[実験2]:エラスチン産生促進能の評価
正常ヒト成人皮膚線維芽細胞において、四つ葉のクローバー抽出物の添加によりエラスチン産生が促進されるかを確認することで、当該評価を行った。
【0048】
(実験方法)
正常ヒト成人皮膚線維芽細胞の準備のおいては、前培養は10%FBSを含むDMEM培地(以下、DMEM培地を「DMEM」と標記することもある)を使用し、本実験では1%FBSを含むDMEMを使用した。5%CO、37℃の条件で培養した。
【0049】
10%FBSを含むDMEM培地を用いて、正常ヒト成人皮膚線維芽細胞(第5継代細胞)を、8×10個/ウェルの細胞数で、12ウェルプレートに播種し、5%CO、37℃の条件で24時間培養した。その後、1%FBSを含むDMEM培地に置換した。当該置換後、当該細胞を5%CO、37℃の条件で24時間培養した。この培養後、新たな1%FBSを含むDMEM培地に置換した。この置換後、当該DMEM培地へ四つ葉のクローバー抽出物の未添加又は所定量の四つ葉のクローバー抽出物の添加を行った。この添加後、当該細胞を5%CO、37℃の条件で72時間培養した。この培養後、当該培養の培養液の上清を回収した。当該上清の中のエラスチンの量を、Human Elastin ELISA kit(CUSABIO、CSB-E09338h)を用いて評価した。エラスチン産生量は、培養後にプロテアーゼおよびホスファターゼ阻害剤を添加した Passive Lysis Buffer(Promega)で均質化処理した細胞懸濁液を用い、bradford法により求めたタンパク質量で補正した。
【0050】
ここで、コントロール群は、当該四つ葉のクローバー抽出物の未添加群(0.00%)である。この実験では、当該コントロール群、四つ葉のクローバー抽出物を0.25%添加した群(0.25%添加群)、四つ葉のクローバー抽出物を0.50%添加した群(0.50%添加群)、四つ葉のクローバー抽出物を1.00%添加した群(1.00%添加群)と4つの実験群で行った。当該4つの実験群のサンプルをそれぞれ3つ(n=3)作製して、この実験2を行った。
【0051】
(実験結果)
この実験2の結果を以下記載する。当該記載では、各実験群それぞれの平均値(n=3の平均値)を記載する。
【0052】
コントロール群では4.781418、0.25%添加群では5.614861、0.50%添加群では6.685674、1.00%添加群では8.410332であった。この実験2では、当該四つ葉のクローバー抽出物の添加により、エラスチンの産生が促進されたことが確認できた。
【0053】
[実験3]DANCE産生の促進能の評価
正常ヒト成人皮膚繊維芽細胞において、四つ葉のクローバー抽出物の添加によりDANCE産生が促進されるかを確認することで、当該評価を行った。
【0054】
DANCE(developmental arteries and neural crest EGF-like)は発生期動脈に強く発現するインテグリンリガンドとして発見された。DANCEは、Fibulin-5とも呼ばれ、フィブリンファミリーの因子である。Fibulin-5/DANCEは448アミノ酸から成る分子量66kDaの分泌性タンパク質で、N末領域にRGD(arginine-glycine-asparticacid)配列を有し、α5β1、αvβ3及びαvβ5インテグリンと結合する。血管病変部の血管平滑筋細胞、線維芽細胞、内皮細胞などで遺伝子の発現が亢進される。DANCE遺伝子欠損マウスでは皮膚のたるみ、肺の気腫化、動脈の蛇行などヒトの老化に似た表現型が観察される。弾性線維の分解及び/又は劣化はこれら多くの老化関連疾患の直接原因となることが知られている。このマウスでは全身の弾性線維の形成不全がみられ、DANCEが本形成に必須のタンパク質であることが示唆されている(株式会社免疫生物研究所、#27121 Human Fibulin-5/DANCE Assay Kit-IBLの説明より引用)。
【0055】
(実験方法)
正常ヒト成人皮膚繊維芽細胞の準備のおいては、前培養は5%FBSを含むDMEM培地(以下、DMEM培地を「DMEM」と標記することもある)を使用し、本実験では0.25%FBSを含むDMEMを使用した。5%CO、37℃の条件で培養した。
【0056】
10%FBSを含むDMEM培地を用いて、正常ヒト成人皮膚線維芽細胞(第5継代細胞)を、8×10個/ウェルの細胞数で、12ウェルプレートに播種した。当該播種した細胞を、5%CO、37℃の条件で24時間培養した。この培養後、当該ウェルプレート中の培地を、1%FBSを含むDMEM培地に、置換した。当該置換後、更に、5%CO、37℃の条件で当該細胞を24時間培養した。この培養後、当該ウェルプレート中の培地を新たな1%FBSを含むDMEM培地に置換した。当該置換後、当該DMEM培地へ四つ葉のクローバー抽出物の未添加又は所定量の四つ葉のクローバー抽出物の添加を行った。この添加後、当該細胞を5%CO、37℃の条件で72時間培養した。この培養後、当該細胞が含有された懸濁液中のDANCEの量をHuman Fibulin-5 ELISA kit(CUSABIO、CSB-EL008454HU)を用いて評価した。DANCE産生量は、bradford法により求めた細胞懸濁液中のタンパク質量で補正した。
【0057】
ここで、コントロール群は、当該四つ葉のクローバー抽出物の未添加群(0.00%)である。この実験では、当該コントロール群、四つ葉のクローバー抽出物を0.25%添加した群(0.25%添加群)、四つ葉のクローバー抽出物を0.50%添加した群(0.50%添加群)、四つ葉のクローバー抽出物を1.00%添加した群(1.00%添加群)と4つの実験群で行った。当該4つの実験群のサンプルをそれぞれ3つ(n=3)作製して、この実験2を行った。
【0058】
(実験結果)
この実験3の結果を以下記載する。当該記載では、各実験群それぞれの平均値(n=3の平均値)を記載する。
【0059】
コントロール群では0.296298、0.25%添加群では0.314085、0.50%添加群では0.341107、1.00%添加群では0.378908であった。この実験3では、当該四つ葉のクローバー抽出物の添加により、DANCEの産生が促進されたことが確認できた。
【0060】
[実験4]β-エンドルフィン産生量及びMu-opioid受容体発現量の評価
正常ヒト成人表皮角化細胞において、四つ葉のクローバー抽出物の添加により、β-エンドルフィン産生量及びMu-opioid受容体発現量の挙動を確認することで、当該評価を行った。
【0061】
β-エンドルフィンは、脳内で働く神経伝達物質「エンドルフィン」の一種である。β-エンドルフィンは、鎮痛効果や気分の高揚、幸福感などが得られるため、脳内麻薬とも呼ばれる。エンドルフィンには、アルファ(α)・ベータ(β)・ガンマ(γ)の3つがあり、β-エンドルフィンはその中でも苦痛を取り除くときに最も多く分泌される。β-エンドルフィンは、皮膚のバリア機能を改善するとも考えられている。
【0062】
オピオイド(opioid)受容体は、オピオイド系薬物と特異的に結合し,作用を発現するレセプターであり、7回膜貫通型受容体(GPCR)に分類される。Mu-Opioid受容体には、アヘンアルカロイドに含まれるmorphineに加え、麻薬性鎮痛薬fentanyl、 methadoneと内在性opioidのenkephalin、beta-endorphin(β-エンドルフィン)が結合する。
【0063】
(実験方法)
所定量のサプリメント(BPE、hEGF、insulin、hydrocortisone、epinephrine、transerrin、gentamicin/amphotericin-B)を含むKGM-gold(0.06mM塩化カルシウム含有)を用い、1.6×10個の正常ヒト表皮角化細胞を12ウェルプレートに播種し、5%CO、37℃の条件で24時間培養した。この培養後、上記の各サプリメントを10分の1量含むKGM-gold培地(0.06mM塩化カルシウム含有)に置換した。当該置換後、5%CO、37℃の条件で24時間培養した。この培養後、培地をたなKGM-gold(0.06mM塩化カルシウム含有)培地に置換した。当該置換後、当該培地に四つ葉のクローバー抽出物の未添加又は所定量の四つ葉のクローバー抽出物を添加した。当該添加後、5%CO、37℃の条件で、当該細胞を48時間培養した。当該培養後、プロテアーゼおよびホスファターゼ阻害剤を添加した Passive Lysis Buffer(Promega)で均質化処理した細胞懸濁液を回収した。回収した細胞培養液の上清中に含まれるエンドルフィン量をHuman Beta-Endorphin ELISA kit(CUSABIO、CSB-E06821h)を用いて、また、当該細胞懸濁液中に含まれるMu-opioid受容体量をHuman Mu-type opioid receptor ELISA kit(CUSABIO、CSB-EL016361HU)を用いて評価した。それぞれの値は、細胞懸濁液を用いてbradford法により求めたタンパク質量で補正した。
【0064】
ここで、コントロール群は、当該四つ葉のクローバー抽出物の未添加群(0.00%)である。この実験では、当該コントロール群、四つ葉のクローバー抽出物を0.50%添加した群(0.50%添加群)と2つの実験群で行った。当該2つの実験群のサンプルをそれぞれ3つ(n=3)作製して、この実験4を行った。
【0065】
(実験結果)
この実験4の結果を以下記載する。当該記載では、各実験群それぞれの平均値(n=3の平均値)を記載する。
【0066】
(β-エンドルフィン産生量の評価結果)
コントロール群では6.395646、0.50%添加群では9.408771093であった。この実験4では、当該四つ葉のクローバー抽出物の添加により、β-エンドルフィン産生量が促進されたことが確認できた。
【0067】
(Mu-opioid受容体発現量の評価結果)
コントロール群では4.585922、0.50%添加群では5.290651912であった。この実験4では、当該四つ葉のクローバー抽出物の添加により、Mu-opioid受容体発現が促進されたことが確認できた。
【0068】
[実験5]ヒトモニター試験による肌状態改善作用の評価
2021年2月1日から2021年3月5日の期間で、30歳以上の健康な女性12名(平均年齢43.3歳)を被験者として、このモニター試験を行った。
【0069】
(試験方法)
表2で示す組成のローション(表2ローション)を被験者の顔の左半分に所定間隔にて塗布し、表3に示すローション(表3ローション)を被験者の顔の右半分に所定間隔にて塗布した。この所定間隔は、1日2回ずつ(朝晩)4週間である。4週間後には、被験者1人あたり、表2ローションが24g及び表3ローションが24gの量が塗布された。である。そして、これらのローションの塗布前の0日と、ローションを塗布してから4週間目に、測定(粘弾性の測定など)を行った。
【0070】
【表2】
【0071】
【表3】
【0072】
(皮膚の粘弾性の測定)
粘弾性測定装置(Cutometer、Courage+Khazaka社)を用いて、被験者12名の皮膚の粘弾性を測定し、R6(たるみ)を求めた。以下当該12名の平均値(R6の平均値)を記載する。
【0073】
表2ローション塗布群及び表3ローション塗布群の0日(当該塗布前)の値を100とした場合、当該4週間後において、表3ローション塗布群は99.3であったが、表2ローション塗布群は93.7(皮膚のたるみをより抑制すること)であった。
【0074】
(皮膚の水分分布の測定)
Corneometer(CM825、C+K社)を用いて、被験者12名の皮膚の水分分布を測定した。以下当該12名の平均値(当該水分分布の測定の平均値)を記載する。
【0075】
表2ローション塗布群及び表3ローション塗布群の0日(当該塗布前)の値を100とした場合、当該4週間後において、表3ローション塗布群は92.01であったが、表2ローション塗布群は96.99(所定の皮膚水分量を保ちやすいことなど)であった。
【0076】
(シワの有無の測定)
ANTERA 3DTM(ミラベックス)を用いて、被験者12名の目尻のシワの有無の測定及びほうれい線の有無の測定を行った。以下当該12名の平均値(当該水分分布の測定の平均値)を記載する。
【0077】
(目尻のシワの測定)
表2ローション塗布群及び表3ローション塗布群の0日(当該塗布前)の値を100とした場合、当該4週間後において、表3ローション塗布群は100.3であったが、表2ローション塗布群は95.59(この表3ローション塗布群の値と比べ有意差あり、p=0.0491(Studentのt検定)であった。
【0078】
(ほうれい線のシワの測定)
表2ローション塗布群及び表3ローション塗布群の0日(当該塗布前)の値を100とした場合、当該4週間後において、表3ローション塗布群は98.0であったが、表2ローション塗布群は89.1であった。
【0079】
(Vectra画像による口角UP効果確認)
図1に示すように、表3ローション塗布群に比べ、表2ローション塗布群では、矢印で示すように、口角の位置が上がったことが確認された。
【0080】
(Vectra画像によるリフトアップの効果確認)
図2に示すように、リフトアップ効果を確認した。表3ローション塗布群に比べ、表2ローション塗布群では、矢印で示すように、リフトアップ効果が確認された。
【0081】
[実験6]:溶媒(エタノール溶液)を用いて作製された四つ葉のクローバーの抽出物の正常ヒト成人皮膚線維芽細胞の増殖能の確認
正常ヒト成人皮膚線維芽細胞において、溶媒(エタノール溶液)を用いて作製された四つ葉のクローバー抽出物の添加による当該増殖能の確認を行った。
【0082】
この実験6で用いた実験材料は次の通りである。
・正常ヒト成人皮膚線維芽細胞:(Cell applications)
・四つ葉のクローバー抽出物(四つ葉のクローバーの抽出物):三つ葉のクローバー、四つ葉のクローバー、五つ葉のクローバーなどの多葉性のクローバーの全草の混合物を所定の条件で乾燥させ、乾燥物を作製した。この乾燥物100gを50%エタノール溶液10kgに浸漬した。室温(約10℃~約30℃)の環境で、時々攪拌しながら、5~10日間、この浸漬を行った。この浸漬を経て得られる溶液を、当該抽出物として用いた。当該抽出物に含まれる固形分は、0.2%であった。当該混合物には、四つ葉のクローバーが70%以上含有された。
【0083】
(実験方法)
正常ヒト成人皮膚線維芽細胞の準備のおいては、前培養は10%FBSを含むDMEMを使用し、本実験では1%FBSを含むDMEMを使用した。5%CO、37℃の条件で培養した。
【0084】
10%FBSを含むDMEMを用いて、正常ヒト成人皮膚線維芽細胞(第5継代細胞)を、2500個/ウェルの細胞数で、96ウェルプレートに播種し、5%CO、37℃の条件で5日間培養した。その後、1%FBSを含むDMEM培地に置換した。当該置換後、当該細胞を5%CO、37℃の条件で5日間培養した。この培養後、新たな1%FBSを含むDMEM培地に置換した。この置換後、当該DMEM培地へ四つ葉のクローバー抽出物の未添加又は所定量の四つ葉のクローバー抽出物の添加を行った。この添加後、当該細胞を5%CO、37℃の条件で5日間培養した。当該培養後の当該細胞数を確認した。生存細胞数は、Cell Counting Kit-8(CCK-8、Dojindo)を用いて行った。
【0085】
この実験6を以下の2つの群で行った。
・コントロール群:当該四つ葉のクローバー抽出物を添加せず溶媒(50%エタノール溶液)を添加した群(0.00%)
・0.25%添加群:四つ葉のクローバー抽出物を0.25%添加した群
【0086】
(実験結果)
この実験6の結果を以下記載する。当該記載では、各実験群それぞれの平均値(n=6の平均値)を記載するが、コントロール群の値を1として記載する。
【0087】
コントロール群を1として、0.25%添加群では0.656、であった。
【0088】
以上、本発明の実施の形態(実施例も含め)について、図面を参照して説明してきたが、本発明の具体的構成は、これに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、設計変更等があっても、本発明に含まれるものである。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明は、例えば、ヒトなどの皮膚におけるエラスチン産生促進するための組成物(化粧品等)などに利用される。
図1
図2