(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165465
(43)【公開日】2022-11-01
(54)【発明の名称】間仕切りパネル及びパネル組立方法
(51)【国際特許分類】
E04B 2/74 20060101AFI20221025BHJP
【FI】
E04B2/74 561H
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021070794
(22)【出願日】2021-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博
(72)【発明者】
【氏名】大川 航平
(57)【要約】
【課題】全体の剛性を大きく低下させるようなことなく、軽量化を図ることができる間仕切りパネルを提供する。
【解決手段】パネル本体1の下フレーム7にスペーサ2を介して安定脚3をボルトBBにより止着してなる間仕切りパネルPにおいて、安定脚3が、上壁33の内面側に空洞3sを有する中空体状のものであり、ボルトBBが、安定脚33の上壁33内面に添設された当て板9と、上壁33と、スペーサ2とを貫通させて下フレーム7に設けたナット76に螺着される構成を採用する。
【選択図】
図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネル本体の下フレームにスペーサを介して安定脚をボルトにより止着してなる間仕切りパネルであって、
前記安定脚は、上壁の内面側に空洞を有する中空体状のものであり、
前記ボルトは、前記安定脚の上壁内面に添設された当て板と、前記上壁と、前記スペーサとを貫通させて前記下フレームに設けたナットに螺着されたものである間仕切りパネル。
【請求項2】
前記スペーサは、前記下フレーム及び前記安定脚にそれぞれ係合してそれら下フレームと安定脚の相対的な水平旋回を規制する上、下の係合部を備えたものであり、
前記安定脚に係合する下の係合部により前記当て板の前記安定脚に対する位置決めをも行っている請求項1記載の間仕切りパネル。
【請求項3】
前記当て板は、前記安定脚の上壁内面に沿ってスライド可能に保持されたものであり、
前記下の係合部は、前記安定脚の上壁を貫通して前記当て板のスライド方向一端側に当接する第1の突起と、前記安定脚の上壁を貫通して前記当て板のスライド方向他端側に当接する第2の突起とを備えたものである請求項2記載の間仕切りパネル。
【請求項4】
前記第1の突起が、前記第2の突起よりも長い突出寸法を有するものであり、
前記スペーサが、前記安定脚に対して、第1の突起のみが当て板に当接可能な中間装着位置と、第1の突起と第2の突起の両方が前記当て板に当接可能な最終装着位置とをとり得るように構成されている請求項3記載の間仕切りパネル。
【請求項5】
前記スペーサが、一定厚みを有する板状のスペーサ本体と、このスペーサ本体の外側に相対回転不能に外嵌され前記係合部を一体に備えたカバー部とを備えたものである請求項1、2、3又は4記載の間仕切りパネル。
【請求項6】
請求項4記載の間仕切りパネルを組み立てるためのパネル組立方法であって、
前記スペーサを前記安定脚に中間装着位置まで組み付ける工程と、前記安定脚内に挿入した前記当て板を前記上壁に沿ってスライド移動させてその一端側を前記第1の突起に当接させる工程と、前記当て板を第1の突起に当接させたままで前記スペーサを最終装着位置まで組付けて前記当て板の他端側をも第2の突起に当接させる工程と、その当て板と前記スペーサに前記ボルトを貫通させて前記下フレームのナットに螺着する工程とを備えてなるパネル組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動可能な間仕切りパネル及びその組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の間仕切りパネルとして、パネル本体の下フレームに、転倒防止用の安定脚を交叉状態で取着したものが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
ところで、近時、公共施設のロビー等で使用される家具に対しては、平常時と災害発生時との状況変化に家具の機能や配設位置などを臨機応変に変更できるようにしたいという要望が出されている。
【0004】
しかして、かかるフェーズフリー発想の下においては、間仕切りパネル等に対しても、迅速かつ容易に配置替えを行える性能が要求されることがあり、強さを損ねることなく軽量化を図ることが必要とされる。
【0005】
ところが、前述した従来のものは、剛性の高いダイキャスト製の安定脚を下フレームにねじ止めしているため、軽量化が難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上説明したような課題を解決するためになされたもので、全体の剛性を大きく低下させるようなことなく、軽量化を図ることができる間仕切りパネルを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明に係る間仕切りパネルは、パネル本体の下フレームにスペーサを介して安定脚をボルトにより止着してなる間仕切りパネルであって、前記安定脚は、上壁の内面側に空洞を有する中空体状のものであり、前記ボルトは、前記安定脚の上壁内面に添設された当て板と、前記上壁と、前記スペーサとを貫通させて前記下フレームに設けたナットに螺着されたものである。
【0009】
請求項2記載の発明に係る間仕切りパネルは、請求項1記載のものであって、前記スペーサは、前記下フレーム及び前記安定脚にそれぞれ係合してそれら下フレームと安定脚の相対的な水平旋回を規制する上、下の係合部を備えたものであり、前記安定脚に係合する下の係合部により前記当て板の前記安定脚に対する位置決めをも行っているものである。
【0010】
請求項3記載の発明に係る間仕切りパネルは、請求項2記載のものであって、前記当て板は、前記安定脚の上壁内面に沿ってスライド可能に保持されたものであり、前記下の係合部は、前記安定脚の上壁を貫通して前記当て板のスライド方向一端側に当接する第1の突起と、前記安定脚の上壁を貫通して前記当て板のスライド方向他端側に当接する第2の突起とを備えたものである。
【0011】
請求項4記載の発明に係る間仕切りパネルは、請求項3記載のものであって、前記第1の突起が、前記第2の突起よりも長い突出寸法を有するものであり、前記スペーサが、前記安定脚に対して、第1の突起のみが当て板に当接可能な中間装着位置と、第1の突起と第2の突起の両方が前記当て板に当接可能な最終装着位置とをとり得るように構成されているものである。
【0012】
請求項5記載の発明に係る間仕切りパネルは、請求項1、2、3又は4記載のものであって、前記スペーサが、一定厚みを有する板状のスペーサ本体と、このスペーサ本体の外側に相対回転不能に外嵌され前記係合部を一体に備えたカバー部とを備えたものである。
【0013】
請求項6記載の発明に係るパネル組立方法は、請求項4記載の間仕切りパネルを組み立てるための方法であって、前記スペーサを前記安定脚に中間装着位置まで組み付ける工程と、前記安定脚内に挿入した前記当て板を前記上壁に沿ってスライド移動させてその一端側を前記第1の突起に当接させる工程と、前記当て板を第1の突起に当接させたままで前記スペーサを最終装着位置まで組付けて前記当て板の他端側をも第2の突起に当接させる工程と、その当て板と前記スペーサに前記ボルトを貫通させて前記下フレームのナットに螺着する工程とを備えてなるものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、全体の剛性を大きく低下させるようなことなく、軽量化を図ることができる間仕切りパネルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係る間仕切りパネルを示す全体斜視図。
【
図2】同実施形態に係る間仕切りパネルを示す正面図。
【
図3】同実施形態に係る間仕切りパネルを示す左側面図。
【
図4】同実施形態に係る間仕切りパネルを示す平面図。
【
図5】同実施形態に係る間仕切りパネルを示す底面図。
【
図10】同実施形態に係る間仕切りパネルの底部を示す分解斜視図。
【
図11】同実施形態に係る下フレーム及び側フレームの接続部位を示す分解斜視図。
【
図12】同実施形態に係る面板の取付態様を示す分解斜視図。
【
図13】同実施形態に係る面板の側フレームへの接続態様を示す分解斜視図。
【
図14】同実施形態に係る側フレーム上端部を示す分解斜視図。
【
図15】同実施形態に係る下フレームへの安定脚の取付態様を示す分解斜視図。
【
図17】同実施形態に係るスペーサの安定脚への取付態様を示す分解斜視図。
【
図18】同実施形態に係る間仕切りパネルの組立手順を示す説明図。
【
図19】同実施形態に係る間仕切りパネルの組立手順を示す説明図。
【
図20】同実施形態に係る間仕切りパネルの組立手順を示す説明図。
【
図21】同実施形態に係る間仕切りパネルの組立手順を示す説明図。
【
図25】同実施形態に係る間仕切パネルのスタッキングの態様を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。
【0017】
この実施形態の間仕切りパネルPは、
図1~
図3、
図5~
図6、
図8~
図10、
図12及び
図15~
図16に示すように、パネル本体1の下フレーム7にスペーサ2を介して安定脚3をボルトBBにより止着してなるものである。安定脚3は、上壁33の内面側に空洞3sを有する中空体状のものであり、ボルトBBは、安定脚3の上壁33内面に添設された当て板9と、その上壁33と、スペーサ2とを貫通させて下フレーム7に設けたナット(板ナット76)に螺着されている。以下。詳述する。
【0018】
パネル本体1は、主に
図6~
図8及び
図12に示すように、両端に接地体を有する下フレーム7と、この下フレーム7の左右両端部から起立させた左、右の側フレーム8とを備えた外枠部4を具備してなり、外枠部4の内側に表、裏対をなす面板5、6が配されている。
【0019】
下フレーム7は、
図8及び
図9に示すように、天壁71と、前壁72と、背壁73と、底壁74とを備えた角柱パイプ状のもので、天壁71内面側に、中央雌ねじ712と、その中央雌ねじ712の両側に位置する両側雌ねじ713がそれぞれ形成された3つ部分筒状部711を有するとともに、底壁74内面側に中央雌ねじ742が形成された1つの部分筒状部741を有している。また、前壁72及び背壁73の内面には、ナット保持用のレール部75が形成されており、これらレール部75に板ナット76がスライド可能に嵌合させてある。この板ナット76は、当該下フレーム7に安定脚3をねじ止めするためのもので、下フレーム7の長手方向中央位置において、樹脂リベット78により位置決めした状態で係止させてある。下フレーム7は、
図10~
図11に示すように、例えば、アルミ製の押出成形品を所定長さに切断した上で、必要箇所に雌ねじ形成加工等を施すことにより作られたもので、左、右両端部がブラケットBを介して側フレーム8の下端部に接続されている。
【0020】
側フレーム8は、
図10~
図11及び
図13~
図14に示すように、平坦な内側壁81と、外側方に膨出する外側壁82とを備えた中空柱状のもので、外側壁82の下端部に下方及び外側方に開放された工具挿通用の切欠部82aが形成されている。側フレーム8と下フレーム7とを接続するためのブラケットBは、下フレーム7の底壁74の下面にねじ止めされる水平部B1と、この水平部B1の外方端から上方に延出させた鉛直部B2とを一体に備えたものであり、その鉛直部B2と下フレーム7の端面とにより側フレーム8の内側壁81を挟持するようになっている。すなわち、ブラケットBの鉛直部B2、及び側フレーム8の内側壁81には、下フレーム7の端面に開口させた上、下の中央雌ねじ712、742に対応するねじ挿通孔B2a、81aがそれぞれ形成されており、ブラケットBの鉛直部B2、及び側フレーム8の内側壁81を貫通させた止着ねじSNを下フレーム7の中央雌ねじ712、742に螺合させて緊締することにより、側フレーム8が下フレーム7の端部に剛結されるようになっている。なお、下フレーム7の両側雌ねじ713には、予め補強ねじHNを螺着してあり、これら補強ねじHNの頭部によって、側フレーム8の下フレーム7に対する位置決め及び前後方向への傾動規制を行っている。すなわち、ブラケットBの鉛直部B2と、側フレーム8の内側壁81には、前記補強ねじHNの頭部が嵌合する嵌合孔B2b、81bが形成されており、これら嵌合孔B2b、81bに補強ねじHNの頭部を嵌合させることによって、側フレーム8の下フレーム7に対するパネル厚み方向への傾動を規制している。ブラケットBの水平部B1には、下面側からねじ止めした第1のカバー77が装着されており、側フレーム8の下端部には、第2のカバー83が下側から嵌合させてある。ブラケットBの水平部B1にはナットB3が剛結されており、このナットB3に第1のカバー77を貫通させて接地体であるアジャスタAJのねじ部AJ1が螺着されている。84は、この側フレーム8の上端部に嵌着された合成樹脂製の上端キャップである。
【0021】
以上のような下フレーム7と左、右の側フレーム8とを備えた外枠部4の内側には、前述したように、表、裏対をなす面板5、6が配されており、少なくとも一方の面板5の縁部に、左、右の側フレーム8間に横架される横フレーム51、52が一体に設けられている。ここで、一方の面板5の外面5aと、この外面5aに切れ目なく連続する横フレーム51、52の外面51a、52aとが筆記面をなしている。すなわち、この面板5は、ホワイトボードとして使用することができる。
【0022】
この実施形態では、一方の面板5が、横フレーム51、52を一体に備えた板金製のものであり、他方の面板6が、軽量芯材61にクロス62を張設してなるものである。すなわち、一方の面板5と横フレーム51、52とは、共通の板金素材により一体に作られたものである。そして、両面板5、6の内面同士が、ペーパーコアCCを介して相互に接着されている。
【0023】
詳述すれば、一方の面板5は、
図7、
図12及び
図13に示すように、正面視四角形状をなす平板状の面板本体50を備えたもので、その上縁部及び下縁部に上、下の横フレーム51、52が一体に形成されているとともに、左、右の縁部に側フレーム8の内側壁に添接する取付板53が一体に形成されている。
【0024】
上の横フレーム51は、
図7、
図12及び
図13に示すように、面板本体50の上縁から裏面方向に延出する天板部511と、この天板部511の延出端から下方に垂下する上裏板部512と、この上裏板部512の垂下端から前方に延びる上折返部513とを備えてなる。上の横フレーム51は、
図4に示すように、一方の面板5の上縁部に一体に設けられた笠木として機能するもので、この笠木(上の横フレーム51)の左、右両端部が、左、右の側フレーム8の上端に装着された上端キャップ84に嵌合させてある。
【0025】
上端キャップ84は、
図13及び
図14に示すように、側フレーム8の上端に蓋着される平面視略半円形状のキャップ本体841と、このキャップ本体841の下面から下方に突設され側フレーム8の上端部内周に嵌合する垂下筒部842と、キャップ本体841の内側面から内方に延出された内方延出部843と、この内方延出部843の下面と垂下筒部842の内向面とを一体に接続する補強リブ844と、これら補強リブ844の先端間を接続するリブ連結壁845とを一体に備えたもので、内方延出部843と、補強リブ844と、リブ連結壁845とが面板5の上の横フレーム51の端部内周に挿入してある。なお、側フレーム8の上端部には、補強リブ844が嵌入する切欠部8xが形成されている。
【0026】
下の横フレーム52は、
図7及び
図12に示すように、面板本体50の下縁から裏面方向に延出する下板部521と、この下板部521の延出端から上方に起立する下裏板部522と、この下裏板部522の先端から前方に延びる下折返部523とを備えてなる。
【0027】
左、右の取付板53は、
図12に示すように、面板本体50の両側縁からそれぞれ裏面方向に延出しており、リベットrを用いて側フレーム8の内側壁81に止着されている。
【0028】
他方の面板6は、
図7及び
図12に示すように、前述したようにラワン材等の軽量芯材61の一面側にクロス62を張設したものであり、一方の面板5における上の横フレーム51の上折返部513と下の横フレーム52の下折返部523との間にはめ込まれている。なお、他方の面板6の内面6bには、ペーパーコアCCが接着剤を用いて接着されており、外枠部4に一方の面板5をリベットrにより取り付けた後に、前記ペーパーコアCCを接着剤を用いて一方の面板5の内面5bに接着することにより、当該他方の面板6が一方の面板5にペーパーコアCCを介して接着されるようになっている。
【0029】
以上説明したパネル本体1の下フレーム7に、
図8~
図10及び
図15~
図17に示すように、スペーサ2を介して安定脚3の脚本体31が、例えば2本のボルトBBを用いて止着されている。安定脚3は、上壁33の内面側に空洞3sを有する中空体状のものであり、ボルトBBは、安定脚3の上壁33内面に添設された当て板9と、その上壁33と、スペーサ2とを貫通させて下フレーム7に設けたナット(板ナット76)に螺着されている。
【0030】
具体的に説明すれば、安定脚3は、
図8~
図10に示すように、押出材製の脚本体31と、この脚本体31の両端に装着した脚先キャップ32とを備えたものである。脚本体31は、例えば、平面状の上壁33と、底壁34と、両側壁35と一体に備えてなる押出成形材製のものである。この脚本体31は、前述したように上壁33の内面側に空洞3sを有する中空体状をなしており、底壁34の下面の長手方向両端部には床面F上を滑らせることができる接地体36が設けられている。また、両側壁35の内面側には、当て板9を上壁33の内面に添接した状態でスライドし得るように支持するためのレール37が突設されている。上壁33の長手方向中央部には、スペーサ2の後述する下の係合部2Bを通過させるための孔33aが設けられており、この孔33aを通過させたスペーサ2の下の係合部2Bにより、当て板9の安定脚3に対する位置決めを行うようにしている。一方、脚先キャップ32は、例えば合成樹脂製のもので、
図8に示すように、下面先端部32aにRを設けている。
【0031】
当て板9は、安定脚3の上壁33内面に沿ってスライド可能に保持されたものであり、例えば、金属板により作られている。当て板9は、平面視略四角形状のもので、スライド方向一端には、後述するスペーサの第1の突起23に係接する第1の係止部9aが形成されているとともに、スライド方向他端には、後述するスペーサの第2の突起24に係接する第2の係止部9bが形成されている。また、この当て板9には、ボルトBBを挿通させるためのねじ挿通孔9xが穿設されている。
【0032】
スペーサ2は、
図8、
図9及び
図15~
図24に示すように、下フレーム7及び安定脚3にそれぞれ係合してそれら下フレーム7と安定脚3の相対的な水平旋回を規制する上、下の係合部2A、2Bを備えたものであり、前述したように、安定脚3に係合する下の係合部2Bにより当て板9の安定脚3に対する位置決めをも行っている。
【0033】
このスペーサ2は、
図8、
図9及び
図15~
図17に示すように、一定厚みを有する板状のスペーサ本体21と、このスペーサ本体21の外側に相対回転不能に外嵌され上、下の係合部2A、2Bを一体に有するカバー部22とを備えたものである。スペーサ本体21は金属板により作られ、カバー部22は合成樹脂により作られている。スペーサ本体21には、前記当て板9のねじ挿通孔9xに対応するねじ挿通孔21xが穿設されている。21a、21bは、下の係合部2Bの第1、第2の突起23、24をそれぞれ通過させるための切欠部である。
【0034】
上の係合部2Aは、
図8及び
図16~
図17に示すように、カバー部22の上面に一対の起立壁25を平行に突設したものであり、これら起立壁25間に下フレーム7の下部を嵌合させるようにしてある。一方、下の係合部2Bは、
図8及び
図15~
図24に示すように、カバー部22の下面から、第1の突起23と、第2の突起24とを垂下させたものであり、これら第1、第2の突起23、24の下端側を安定脚3の上壁33を貫通させて当該安定脚3内に侵入させてある。
【0035】
詳述すれば、下の係合部2Bは、
図8及び
図15~
図24に示すように、安定脚3の上壁33に設けられた孔33aを貫通して当て板9のスライド方向一端側の第1の係止部9aに当接する第1の突起23と、安定脚3の上壁33に設けられた孔33aを貫通して当て板9のスライド方向他端側の第2の係止部9bに当接する第2の突起24とを備えたものである。第1の突起23は、第2の突起24よりも長い突出寸法を有する。
【0036】
このスペーサ2は、
図19~
図21に示すように、安定脚3に対して、第1の突起23のみが当て板9に当接可能な中間装着位置(P)と、第1の突起23と第2の突起24の両方が当て板9に当接可能な最終装着位置(Q)とをとり得るように構成されている。
【0037】
かかる間仕切りパネルPの組立方法は、スペーサ2を安定脚3に中間装着位置(P)まで組み付ける工程Iと、安定脚3内に挿入した当て板9を上壁33に沿ってスライド移動させてその一端側の第1の係止部9aを第1の突起23に当接させる工程IIと、当て板9を第1の突起23に当接させたままでスペーサ2を最終装着位置(Q)まで組付けて当て板9の他端側の第2の係止部9bをも第2の突起24に当接させる工程IIIと、その当て板9とスペーサ2にボルトBBを貫通させて下フレーム7の板ナット76に螺着する工程IVとからなっている。
【0038】
工程Iでは、
図18に示す初期状態から、少なくとも一端を開放した安定脚3の脚本体31に穿設された孔33aにスペーサ2の第1の突起23の先端部を挿入して
図19及び
図22に示すように中間装着位置(P)を採らせる。工程IIでは、スペーサ2を中間装着位置(P)に停止させたままで、脚本体3の一端から当て板9を挿入する。その際、脚本体31の一端側を他端側より高く保持しておけば、その当て板9は、重力により脚本体31の内方にスライド移動し、
図20及び
図23に示すようにその一端側(スライド移動先端側)の第1の係止部9aが第1の突起23に当接して係止される。工程IIIでは、当て板9が第1の突起23に係止されたことを確認した上で、スペーサ2をさらに脚本体31方向に押圧し、
図21及び
図24に示すような最終装着位置(Q)まで移行させる。この最終装着位置(Q)においては、第1、第2の突起23、24の両先端部が安定脚3の内部空間に侵入することになり、当て板9は、その位置に位置決めされる。なお、この位置決めは、ねじ装着作業に支障がでない範囲の誤差を許容する状態で行われるものである。すなわち、当て板9は、安定脚3の長手方向中央付近において、若干の遊動を許容された状態で位置決めされるものである。スペーサ2を最終装着位置(Q)にまで挿入した状態では、第1、第2の突起23、24に設けられた弾性爪23a、24aが、
図8及び
図24に示すように、安定脚3の上壁33に穿設された孔33aの内面側開口端に弾性係合することになる。そのため、スペーサ2は、安定脚3の上壁33に安定支持されることになる。工程IVは、かかるスペーサ2を介して脚本体31をパネル本体1の下フレーム7にねじ止めするための工程である。まず、ねじBBを、脚本体31の底壁34に開設されたねじ通過口34xを通して当該脚本体31の空洞3s内に侵入させる。そして、そのねじBBを、
図15及び
図16に示すように、当て板9のねじ挿通孔9xと、脚本体31の上壁33のねじ挿通孔33xと、下フレーム7のねじ挿通孔7xを通して当該下フレーム7内に保持された板ナット76に螺合させて緊締することによって、安定脚3が、スペーサ2を介してパネル本体1の下フレーム7に固定されるようになっている。
【0039】
この間仕切りパネルPは、以上説明したように、下フレーム7の両端部に接地体であるアジャスタAJを有するパネル本体1と、下フレーム7の中間部に交叉状態で設けられた安定脚3とを具備してなる。そして、安定脚3の上壁33は略水平をなし、その上壁33とパネル本体1の下フレーム7との間には、スペーサ2のスペーサ本体21の厚みに対応する高低差が存在する。そのため、パネル本体1の下フレーム7と床面Fとの間には、同一構造をなす他の間仕切りパネルPの安定脚3を挿入可能な隙間Sが形成されるものである。すなわち、かかる構造の間仕切りパネルPによれば、
図25に示すように、奥に配置した間仕切りパネルPの下フレーム7と床面Fとの間に形成される隙間Sに、手前の間仕切りパネルPの安定脚3を侵入させて順次複数台スタッキングさせることができるようになっている。そして、かかる間仕切りパネルPには、そのスタッキング操作を容易に行うための透視窓Wが設けられている。すなわち、この間仕切りパネルPには、
図1、
図2及び
図25に示すように、パネル本体1の下部領域に、パネル本体1の一面側から他面側の床面Fを視認可能にするための透視窓Wが設けられている。透視窓Wは、透光性を有しておればよく、ガラス板等を装着したものでもよいが、本実施形態の間仕切りパネルPにおいては、軽量化を図る見地から、その透視窓Wを、遮蔽機能を有する部材が存在しない開口にしてある。
【0040】
ここで、
図1は、本実施形態の間仕切りパネルPの全体斜視図である。
図2は、同正面図である。
図3は、同左側面図である。
図4は、同平面図である。
図5は、同底面図である。
図6は、
図5におけるA-A線に沿った断面図であるが、間仕切りパネルPと上下方向を合わせて示している。
図7は、
図6におけるC部拡大図であり、中間部は省略して示している。
図8は、
図6におけるD部拡大図であり、一部省略して示している。
図9は、
図8におけるE-E線に沿った断面図である。
図10は、アジャスタAJ及び第1のカバー77の取付態様を示す底面側分解斜視図である。
図11は、下フレーム7と側フレーム8との接続態様を示す底面側分解斜視図である。
図12は、外枠部4への面板5、6の取付態様を示す分解斜視図である。
図13は、面板5の上フレーム51、側フレーム8及び上端キャップ84の接続態様を示す分解斜視図である。
図14は、側フレーム8への端キャップ84の接続態様を示す分解斜視図である。
図15は、スペーサ2を介した下フレーム7への安定脚3の取付態様を示す底面側分解斜視図である。
図16は、
図15における要部拡大図である。
図17は、スペーサ2の安定脚3への取付態様を示す分解斜視図である。
図18は、初期状態を示す概略図である。
図19は、スペーサ2を中間装着位置(P)とした状態の概略図である。
図20は、当て板9を下の係合部2Bの第1の突起23に当接させた状態の概略図である。
図21は、スペーサ2を最終装着位置(Q)とした状態の概略図である。なお、
図18~
図21では、スペーサ2は
図17のF-F線に沿った断面を示しており、当て板9は、
図17のG-G線に沿った断面を示している。
図22は、
図19におけるX-X線に沿った断面図である。
図23は、
図20におけるY-Y線に沿った断面図である。
図24は、
図21におけるZ-Z線に沿った断面図である。
図25は、間仕切パネルPのスタッキングの態様を示す斜視図である。
【0041】
このような構成のものであれば、安定脚3を上壁33の内面側に空洞3sを有するものにしているため、安定脚3を中実のダイキャスト等により作る場合に比べて大幅な軽量化を図ることができる。しかも、空洞3sを有する安定脚3の上壁33をパネル本体1の下フレーム7にねじ止めするにあたり、ねじBBの頭部と安定脚3の上壁33との間に当て板9を介在させているので、安定脚3自体を薄肉化しても、その上壁33が変形するのを効果的に抑制することができる。そのため、構成材料を薄肉化して軽量化を図っても、パネル本体1の下フレーム7と安定脚3との接続部分を高い剛性を有する強固な構造に仕立て上げることが可能となる。
【0042】
また、スペーサ2に、上、下の係合部2A、2Bを設けているので、後述する本来のスペース形成機能のみならず、パネル本体1に対する安定脚3の水平旋回防止機能をも担わせることができ、部品点数の増加を抑制して軽量化を促進することが可能となる。しかも、そのスペーサ2の下の係合部2Bを工夫することにより、当て板9の安定脚3に対する位置決めをも行っているので、特に、部品点数の削減を図ることができる。なお、この間仕切りパネルPのように、パネル本体1の下フレーム7と安定脚3の上面との間にスペーサ2を介在させておけば、下フレーム7と安定脚3の上面との間に高低差を無理なく形成することができる。そのため、下フレーム7の下面と床面Fとの間に比較的大きな隙間Sを確保することが容易になり、安定脚3の脚本体31を押出成形品等の単純な形状の部材により構成しても、
図25に示すような、スタッキング可能な間仕切りパネルを実現することが可能になる。
【0043】
さらに、スペーサ2の下の係合部2Bを、長さの異なる第1、第2の突起23、24により構成しておき、これら突起23、24を順次安定脚3内に挿入して当て板9を係止するようにしているので、格別な係止部品を用いることなく、当て板9を簡単かつ確実に所定の位置に位置決めすることができ、この点からも、部品点数や組立構造の削減を図ることができる。
【0044】
そして、スペーサ2を、一定厚みを有する板状のスペーサ本体21と、このスペーサ本体21の外側に相対回転不能に外嵌され前記係合部2A、2Bを一体に備えたカバー部22とを備えたものにしているので、各部を最適な材料により作ることができ、一体に作る場合に比べて材料の選別や加工方法の選定を容易に行うことができる。
【0045】
なお、本発明は以上に述べた実施形態に限らない。
【0046】
例えば、スタッキングが可能でない間仕切パネルや、スタッキング操作を容易に行うための透視窓を有しない間仕切パネルに本発明を適用してももちろんよく、上フレーム及び下フレームを有する外枠部を備えたパネル本体の下フレームに安定脚を取り付ける態様の間仕切パネルに本発明を適用してももちろんよい。
【0047】
また、上述した実施形態では、スペーサが、下フレーム及び安定脚にそれぞれ係合してそれら下フレームと安定脚の相対的な水平旋回を規制する上、下の係合部を備え、安定脚に係合する下の係合部により当て板の安定脚に対する位置決めをも行っているが、スペーサの構成は任意のものを採用してもよい。但し、上述した実施形態のようなものであれば、前述したように、スペーサに安定脚の水平旋回防止機能をも担わせるとともに、部品点数の削減を図ることもできる。
【0048】
さらに、上述した実施形態では、当て板が安定脚の上壁内面に沿ってスライド可能に保持され、スペーサの下の係合部が、安定脚の上壁を貫通して当て板のスライド方向一端側に当接する第1の突起と、安定脚の上壁を貫通して当て板のスライド方向他端側に当接する第2の突起とを備えているが、当て板の安定脚に対する位置決めは任意の態様のものを採用してもよい。但し、上述した実施形態のようなものであれば、部品点数の削減を有効に図ることができる。
【0049】
加えて、上述した実施形態では、第1の突起が第2の突起よりも長い突出寸法を有し、スペーサが、安定脚に対して、第1の突起のみが当て板に当接可能な中間装着位置と、第1の突起と第2の突起の両方が当て板に当接可能な最終装着位置とをとり得るように構成されているが、スペーサの安定脚への取付態様も任意の態様のものを採用してもよい。但し、上述した実施形態のようなものであれば、前述したように、格別な係止部品を用いることなく、当て板を簡単かつ確実に所定の位置に位置決めすることができ、この点からも、部品点数や組立構造の削減を図ることができる。
【0050】
その上、上述した実施形態では、スペーサが、一定厚みを有する板状のスペーサ本体と、このスペーサ本体の外側に相対回転不能に外嵌され前記係合部を一体に備えたカバー部とを備えたものであるが、全体を一体に形成してももちろんよい。但し、上述した実施形態のようなものであれば、前述したように、各部を最適な材料により作ることができ、一体に作る場合に比べて材料の選別や加工方法の選定を容易に行うことができる。
【0051】
そして、本発明の間仕切パネルの組立の手順は、任意のものを採用してよい。
【0052】
その他、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々に変形してよい。
【符号の説明】
【0053】
P…間仕切パネル
1…パネル本体
2…スペーサ
2A…上の係合部
2B…下の係合部
21…スペーサ本体
22…カバー部
23…第1の突起
24…第2の突起
3…安定脚
33…上壁
3s…空洞
7…下フレーム
76…ナット(板ナット)
9…当て板
BB…ボルト
(P)…中間装着位置
(Q)…最終装着位置