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  • 特開-包装用容器 図1
  • 特開-包装用容器 図2
  • 特開-包装用容器 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165469
(43)【公開日】2022-11-01
(54)【発明の名称】包装用容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 1/34 20060101AFI20221025BHJP
   B65D 1/40 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
B65D1/34
B65D1/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021070801
(22)【出願日】2021-04-20
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 販売日: 2021年3月14日~ 販売した場所: 株式会社マルエツ(関東地方の各店舗)
(71)【出願人】
【識別番号】396000422
【氏名又は名称】リスパック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 洋平
(72)【発明者】
【氏名】高木 直紀
【テーマコード(参考)】
3E033
【Fターム(参考)】
3E033AA10
3E033BA16
3E033BA18
3E033BA22
3E033CA20
3E033DD20
(57)【要約】
【課題】
本願発明は、二つ折りにして減容化された状態を維持しやすい包装用容器を提供する。
【解決手段】
底面110と、当該底面110から上方へ延びる側壁120を備えた包装用容器100であって、底面110には、底面110を谷折りできるように構成された折部160が設けられ、底面110には、折部160を中心とする線対称の位置に、合わせ部152が設けられ、合わせ部152は、底面110を谷折りにした際に、互いに当接可能に構成されていることを特徴とする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面と、当該底面から上方へ延びる側壁を備えた包装用容器であって、
前記底面には、前記底面を谷折りできるように構成された折部が設けられ、
前記底面には、前記折部を中心とする線対称の位置に、合わせ部が設けられ、
前記合わせ部は、前記底面を谷折りにした際に、互いに当接可能に構成されていることを特徴とする包装用容器。
【請求項2】
前記合わせ部は、前記折部の中心から延びる延長線上に沿って傾斜した傾斜面を備えることを特徴とする請求項1に記載の包装用容器。
【請求項3】
発泡合成樹脂から構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の包装用容器。
【請求項4】
前記折部は、溝、又はミシン目であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の包装用容器。
【請求項5】
前記溝の先端は、前記溝の他の部分よりも肉厚を薄くして、鋭角に形成されたことを特徴とする請求項4に記載の包装用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、包装用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、肉や魚等の食品を収容する包装用容器が、スーパーやコンビニエンスストア等で使用されている。
【0003】
そして、消費者等が食品を購入した後、食品を収容していた包装用容器を廃棄する際に、この使用済みの包装用容器の減容化することを目的とした、特許文献1や特許文献2のような包装用容器が知られている。特許文献1の包装用容器は、容器を折り線部にて二つ折りにした際に、隅部が破れるようにすると共に、各隅部を互いに係合できるように構成したことで、包装用容器を折り畳んで減容化を図ったものである。また、特許文献2の包装用容器は、底面に平行な2本の折り線部を形成して、容器を二つ折りにした際に、各隅部が互いに重なり合うように構成したことで、包装用容器を折り畳んで減容化を図ったものである。
【0004】
しかしながら、特許文献1や特許文献2の包装用容器では、折り線部で単に容器を折り曲げているだけなので、折り線部を含めた周辺の構造が元の状態に復帰しようとするため、二つ折りにした包装用容器が元の形状に戻りやすく、減容化された状態を維持することが難しいという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001―2046
【特許文献2】特開2001―2047
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本願発明は、上記問題に鑑み、二つ折りにして減容化された状態を維持しやすい包装用容器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本願発明の請求項1に係る包装用容器は、底面と、当該底面から上方へ延びる側壁を備えた包装用容器であって、前記底面には、前記底面を谷折りできるように構成された折部が設けられ、前記底面には、前記折部を中心とする線対称の位置に、合わせ部が設けられ、前記合わせ部は、前記底面を谷折りにした際に、互いに当接可能に構成されていることを特徴とする。
【0008】
上記特徴によれば、底面が谷折りになる方向へ力を加えると、合わせ部が支点となって、折部を両側へ引き裂くように応力が加わるため、折部が元の形状に復帰できない程度に塑性変形し易く、又は、折部が引き裂かれて割れ易くなるので、包装用容器が、二つ折りにされて減容化された状態を維持しやすいのである。
【0009】
さらに、本願発明の請求項2に係る包装用容器は、前記合わせ部は、前記折部の中心から延びる延長線上に沿って傾斜した傾斜面を備えることを特徴とする。
【0010】
上記特徴によれば、底面が谷折りになった際に、合わせ部の傾斜面が互いに面接触するので、指からの力をしっかりと受け止めて伝達することができ、合わせ部が、安定した状態で、外側への応力を作用させる支点としてしっかりと機能する。
【0011】
さらに、本願発明の請求項3に係る包装用容器は、発泡合成樹脂から構成されることを特徴とする。
【0012】
上記特徴によれば、発泡合成樹脂を用いることで、包装用容器が柔軟性を備え、包装用容器を谷折りにし易くなる。さらに、発泡合成樹脂を用いることで、包装用容器を谷折りにして折部を折り曲げた際に、折部を元の形状に復帰できない程度に塑性変形させる、又は、引き裂かれて割れた状態とし易いのである。
【0013】
さらに、本願発明の請求項4に係る包装用容器は、前記折部は、溝、又はミシン目であることを特徴とする。
【0014】
上記特徴によれば、折部を効果的に折り曲げることができる。
【0015】
さらに、本願発明の請求項5に係る包装用容器は、前記溝の先端は、前記溝の他の部分よりも肉厚を薄くして、鋭角に形成されたことを特徴とする。
【0016】
上記特徴によれば、包装用容器を2つ折りにした際に、折部に応力が集中し易く、折部を効果的に変形させることが出来る。
【発明の効果】
【0017】
本願発明の包装用容器は、二つ折りにして減容化された状態を維持しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】(a)は、本願発明の包装用容器の平面図、(b)は、包装用容器の側面図である。
図2】(a)は、図1(a)のA-A端面図、(b)は、図2(a)の折部周辺を拡大した端面図である。
図3】(a)は、図1(a)のA-A端面図であって、指をくぼみ部にかけている状態の端面図、(b)は、図3(a)の状態から、包装用容器を二つ折りにしている状態の端面図である。
【符号の説明】
【0019】
100 包装用容器
110 底面
120 側壁
152 合わせ部
160 折部
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本願発明の各実施形態について、図面を用いて説明する。なお、本明細書において、「上方」とは、包装用容器の開口部を上にして、包装用容器を水平面上に載置した際に、鉛直方向における上方に向かう方向のことであり、「下方」とは鉛直方向における下方に向かう方向のことであり、「横」とは水平方向に向かう方向のことである。
【0021】
まず、図1及び図2には、本願発明の包装用容器100を示す。なお、図1(a)は、包装用容器100の平面図、図1(b)は、包装用容器100の側面図、図2(a)は、図1(a)のA-A端面図、図2(b)は、図2(a)の折部周辺を拡大した端面図である。
【0022】
図1及び図2に示すように、包装用容器100は上方に開口した浅皿型形状であり、平面視略長方形の平坦な底面110と、底面110の外周111から斜め上方へ向けて延出する側壁120と、側壁120の上端側に側壁120で囲まれた開口部130と、側壁120の上端から横方向へ延びるフランジ部140を備える。
【0023】
また、底面110の中央には、直線状に延出する折部160が設けられている。この折部160は、後述するように、底面110を谷折りにした際の折り目となる部分である。また、折部160は、折部160の一端161が一方の側壁120に位置し、折部160の他端162が相対する他方の側壁120に位置するように、底面110及び相対する側壁120を横断して直線状に延出している。さらに、折部160は、下側に開口するように凹んだ溝163となっており、溝163の先端164は鋭角に形成されている。そして、鋭角に形成された先端164の厚さW1は、折部160の他の部分の厚さW2よりも厚さが薄くなっている(つまり、厚さW1<厚さW2)。そのため、後述するように、包装用容器100を2つ折りにした際に、折部160に応力が集中し易く、折部160を効果的に変形させることが出来る。
【0024】
また、底面110には、上方へ凸状に膨出した上方膨出部150が設けられており、上方膨出部150の裏面側は、くぼみ部151となっている。この上方膨出部150は、直線状に延出した折部160を中心として線対称の位置に設けられている。そして、上方膨出部150の上端側には、合わせ部152が形成されており、合わせ部152は、折部160より上方に配置されると共に、直線状に延出した折部160を中心線P1として線対称の位置に設けられている。この合わせ部152は、後述するように、底面110を谷折りにした際に、互いに当接可能に構成されている。また、底面110を二つ折りにした際に、合わせ部152は互いに圧接することになるが、合わせ部152が互いに面接触するように構成することで、圧接時の応力で合わせ部152が潰れてしまうことを効果的に防止できる。
【0025】
また、折部160の両側の合わせ部152は、図1(a)に示すように平面視で、折部160に沿って直線状に延出しており、互いに平行となっている。さらに、図2(b)に示すように、折部160の延出方向に対して直角に交わる断面において、合わせ部152は、折部160の中心から延びる延長線P2上に沿って傾斜した傾斜面154を備えている。この傾斜面154は、底面110を二つ折りにした際に、互いに面接触するように構成されている。なお、傾斜面154は、表面が湾曲した傾斜面となっているが、表面が凹凸のない平坦な傾斜面であってもよく、傾斜面154は互いに面接触できるのであれば、任意の形状であってもよい。
【0026】
また、折部160は、底面110の中央に1本設けられているが、これに限定されず、底面110の任意の位置に2本設けるなど、任意の本数を設けてもよい。また、折部160は直線状に延出しているが、これに限定されず、湾曲した形状など、任意の形状であってもよい。さらに、折部160は、側壁120まで連続して延出しているが、これに限定されず、底面110に設けられていれば、側壁120まで延出していなくてもよい。さらに、折部160は、応力が集中しやすく折り曲げやすいように、下側に開口するように凹んだ溝163の態様であるが、これに限定されず、上側に開口するように窪んだ溝の形状であってもよい。また、折部160は、溝163の態様であるが、折部160をミシン目の態様にしてもよい。底面110にミシン目を設けることで、ミシン目の部分が応力に対して弱くなり効果的に折り曲げることができる。なお、ミシン目とは、底面110の肉厚が薄くなる部分を所定間隔で連続的に形成したものを意味する。このように、折部160は、底面110を谷折りする際の折り目となる部分であり、効果的に折り曲げることができるのであれば、溝の態様や、ミシン目の態様の他にも、局所的に厚さを薄くするなど、任意の態様であってもよい。
【0027】
また、合わせ部152は、折部160の中心から延びる延長線P2上に沿って傾斜した傾斜面154を備えているが、これに限定されず、底面110を谷折りにした際に、互いに当接可能に構成されていれば、任意の構成としてもよい。例えば、合わせ部152は、上方膨出部150の上面から折部160へ向けて垂下する角部を備えてもよく、その角部は、底面110を谷折りにした際に、互いに、点接触または線接触するように構成されてもよい。
【0028】
なお、包装用容器100は平面視略長方形となっているが、これに限定されず、平面視正方形、平面視円形、平面視多角形など、包装用容器100は、任意の形状とすることが出来る。また、包装用容器100は、約0.1mmから約4.0mm程度の厚さの合成樹脂シートを用いて、シート成形(例えば、真空成形、圧空成形、熱板圧空成形、真空圧空成形、両面真空成形など)されたものであり、例えば、合成樹脂シートとしては、発泡ポリスチレン、発泡ポリプロピレン、発泡ポリエチレンテレフタレート等を用いることができる。なお、本実施例では、包装用容器100は発泡合成樹脂から構成されており、発泡合成樹脂を用いることで、包装用容器100が柔軟性を備え、包装用容器100を谷折りにし易くなる。さらに、発泡合成樹脂を用いることで、包装用容器100を谷折りにして折部160を折り曲げた際に、折部160が元の形状に復帰できない程度に塑性変形させる、又は、引き裂かれて割れた状態とし易いのである。
【0029】
次に、包装用容器100を2つ折りにする態様について図3に示す。なお、図3(a)は、図1(a)のA-A端面図であって、指をくぼみ部151にかけている状態の端面図、図3(b)は、図3(a)の状態から、包装用容器100を二つ折りにしている状態の端面図である。
【0030】
図3(a)に示すように、消費者等が食品を購入した後、食品を収容していた包装用容器100を廃棄する際には、この使用済みの包装用容器100の減容化をするために、包装用容器100を二つ折りにする。包装用容器100を二つ折りにする際の力の入れ方は任意であるが、例えば、図3(a)に示すように、包装用容器100の両側にそれぞれ手を添え、一方の指F1を上方膨出部150の裏面のくぼみ部151にかけて、他方の指F2をフランジ部140付近にかけて、図3(b)に示すように、包装用容器100の底面110が谷折りになるように、力を加える。なお、くぼみ部151の一部には、指F1を掛けることができるように、くぼみ部151から下方へ突出した指掛け部153が設けられている。そして、合わせ部152から指掛け部153までの長さL1は、合わせ部152から折部160までの長さL2よりも大きくなっている。
【0031】
図3(b)に示すように、包装用容器100の底面110が谷折りになると、折部160の両側の合わせ部152が互いに当接して圧接された状態となる。そして、この状態で、包装用容器100の底面110が谷折りになる方向へ更に力を加えると、合わせ部152が支点となって、折部160を両側へ引き裂くように、折部160の末端165側に応力Nが加わる。すると、両側の末端165には、互いに離れる方向への応力Nがかかることになり、折部160は開口方向と逆方向に強く折り曲げて展開された状態となる。その結果、折部160が元の形状に復帰できない程度に、塑性変形(不可逆変形)するのである。また、包装用容器100の材質や力の入れ具合によっては、両側の末端165に互いに離れる方向への応力Nがかかった際に、折部160が引き裂かれて割れた状態となる。
【0032】
このように、本願発明の包装用容器100は、折部160が元の形状に復帰できない程度に塑性変形し易く、又は、折部160が引き裂かれて割れ易くなるので、包装用容器100が、二つ折りにされて減容化された状態を維持しやすいのである。また、合わせ部152は、折部160を中心線P1として線対称の位置に設けられているので、折部160の両側に均等に応力がかかり、折部160を効果的に変形させることができる。
【0033】
また、図3(b)に示すように、合わせ部152の傾斜面154が互いに面接触しているので、指からの力をしっかりと受け止めて伝達することができ、合わせ部152が、安定した状態で、外側への応力Nを作用させる支点としてしっかりと機能する。
【0034】
また、折部160の溝163は、下側に開口するように凹んだ形状をしているので、包装用容器100の底面110上に収容された食品等から出た水分が、溝163内に溜まることはない。そのため、図3(b)に示すように、底面110を谷折りにした際に、折部160が引き裂かれた場合でも、折部160の溝163に溜まった水分等が周囲に飛び散ることを防止できる。
【0035】
さらに、合わせ部152から指掛け部153までの長さL1は、合わせ部152から折部160までの長さL2よりも大きくなっているので、指から力が加わる力点となる指掛け部153、支点となる合わせ部152、及び作用点となる折部160から構成される、てこの原理(第1種てこの原理)によって、指から加えられる小さい力で、折部160を折り曲げるための、大きな応力Nを働かせることが出来る。なお、合わせ部152から指掛け部153までの長さL1は、合わせ部152から折部160までの長さL2よりも大きくなっているが、これに限定されず、合わせ部152から指掛け部153までの長さL1と、合わせ部152から折部160までの長さL2は、任意の長さとすることが出来る。そして、これらの長さがどのような大きさであっても、本願発明の包装用容器100の構造は、てこの原理(第1種てこの原理)を利用できるので、合わせ部152を支点として、効果的に折部160に応力を加えて、折部160を折り曲げることができる。
【0036】
なお、本願発明の包装用容器は、上記の実施例に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲、実施形態の範囲で、種々の変形例、組み合わせが可能であり、これらの変形例、組み合わせもその権利範囲に含むものである。
図1
図2
図3