(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165529
(43)【公開日】2022-11-01
(54)【発明の名称】高濃度難分解性有機物の排水最終処理装置及び該装置を使用したシステム並びに高濃度難分解性有機物の排水最終処理方法
(51)【国際特許分類】
C02F 1/78 20060101AFI20221025BHJP
C02F 1/28 20060101ALI20221025BHJP
C02F 9/04 20060101ALI20221025BHJP
C02F 9/12 20060101ALI20221025BHJP
C02F 1/32 20060101ALI20221025BHJP
C02F 1/58 20060101ALI20221025BHJP
C02F 1/72 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
C02F1/78
C02F1/28 D
C02F9/04
C02F9/12
C02F1/32
C02F1/58 H
C02F1/72 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021070896
(22)【出願日】2021-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】521169251
【氏名又は名称】株式会社REOTECH
(74)【代理人】
【識別番号】100078776
【弁理士】
【氏名又は名称】安形 雄三
(74)【代理人】
【識別番号】100121887
【弁理士】
【氏名又は名称】菅野 好章
(74)【代理人】
【識別番号】100200333
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 真二
(72)【発明者】
【氏名】千葉 雅輝
【テーマコード(参考)】
4D037
4D038
4D050
4D624
【Fターム(参考)】
4D037AA11
4D037AB02
4D037BA18
4D037CA01
4D037CA02
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4D038AA08
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4D050AB11
4D050BB02
4D050BC05
4D050BC09
4D050BD02
4D050BD06
4D050CA06
4D050CA07
4D050CA15
4D050CA16
4D050CA20
4D624AA04
4D624AB07
4D624BA02
4D624BB01
4D624BC01
4D624CA01
4D624DA05
4D624DB03
4D624DB10
4D624DB21
4D624DB24
(57)【要約】 (修正有)
【課題】オゾンマイクロバブル及び/又はオゾンナノバブルを利用した高濃度難分解性有機物の排水最終処理装置及び該装置を使用したシステム並びに方法を提供する。
【解決手段】オゾン発生装置2、オゾン分解反応装置3、オゾン‐紫外線分解反応装置4及びオゾン触媒反応装置5を具備する高濃度難分解性有機物の排水最終処理装置1であって、オゾン分解反応装置は、オゾン分解反応槽、原水導入口、第1マイクロバブル発生装置、エゼクタポンプ、第1圧壊塔35、第1循環ポンプ及び第1活性炭塔37を具備し、オゾン‐紫外線分解反応装置は、オゾン‐紫外線分解反応槽、紫外線照射器、第2マイクロバブル発生装置、内部に第2圧壊塔45、第3循環ポンプ及び第2活性炭塔47を具備し、オゾン触媒反応装置は、オゾン触媒分解槽、第3マイクロバブル発生装置、第4循環ポンプ、第3圧壊塔54、第5循環ポンプ及び第3活性炭塔56を具備している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オゾン発生装置、オゾン分解反応装置、オゾン‐紫外線分解反応装置及びオゾン触媒反応装置を具備する高濃度難分解性有機物の排水最終処理装置であって、
前記オゾン分解反応装置は、オゾン分解反応槽、原水導入口、第1マイクロバブル発生装置、エゼクタポンプ、内部にパンチング板が設置される第1圧壊塔、第1循環ポンプ及び第1活性炭塔を具備し、
前記オゾン‐紫外線分解反応装置は、オゾン‐紫外線分解反応槽、紫外線照射器、第2マイクロバブル発生装置、第2循環ポンプ、内部にパンチング板が設置される第2圧壊塔、第3循環ポンプ及び第2活性炭塔を具備し、
前記オゾン触媒反応装置は、オゾン触媒分解槽、第3マイクロバブル発生装置、第4循環ポンプ、内部にパンチング板が設置される第3圧壊塔、第5循環ポンプ及び第3活性炭塔を具備し、
前記オゾン発生装置は、オゾンガス供給管により、前記エゼクタポンプ、前記第1マイクロバブル発生装置、前記第2マイクロバブル発生装置及び前記第3マイクロバブル発生装置に連結し、
前記オゾン分解反応槽、前記オゾン‐紫外線分解反応槽、及び前記オゾン触媒分解槽は、越流管により連結され、
前記オゾン触媒分解槽の内部には、第1活性炭層及び第2活性炭層が配設され、且つ逆洗水吹出口が設けられていることを特徴とする高濃度難分解性有機物の排水最終処理装置。
【請求項2】
オゾン発生装置、オゾン分解反応装置及びオゾン触媒反応装置を具備する高濃度難分解性有機物の排水最終処理装置であって、
前記オゾン分解反応装置は、オゾン分解反応槽、原水導入口、第1マイクロバブル発生装置、エゼクタポンプ、内部にオリフィスが設置される第1圧壊塔、第1循環ポンプ及び第1活性炭塔を具備し、
前記オゾン‐紫外線分解反応装置は、オゾン‐紫外線分解反応槽、紫外線照射器、第2マイクロバブル発生装置、第2循環ポンプ、内部にオリフィスが設置される第2圧壊塔、第3循環ポンプ及び第2活性炭塔を具備し、
前記オゾン触媒反応装置は、オゾン触媒分解槽、第3マイクロバブル発生装置、第4循環ポンプ、内部にオリフィスが設置される第3圧壊塔、第5循環ポンプ及び第3活性炭塔を具備し、
前記オゾン発生装置は、オゾンガス供給管により、前記エゼクタポンプ、前記第1マイクロバブル発生装置、前記第2マイクロバブル発生装置及び前記第3マイクロバブル発生装置に連結し、
前記オゾン分解反応槽、前記オゾン‐紫外線分解反応槽、及び前記オゾン触媒分解槽は、越流管により連結され、
前記オゾン触媒分解槽の内部には、第1活性炭層及び第2活性炭層が配設され、且つ逆洗水吹出口が設けられていることを特徴とする高濃度難分解性有機物の排水最終処理装置。
【請求項3】
前記第1圧壊塔は、複数の管を通じて、オゾンマイクロバブルを含有する排水原水を前記オゾン分解反応槽との間で循環させるように設置される請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1活性炭塔は、複数の管を通じて、オゾンガス、オゾンマイクロバブル及び/又はオゾンナノバブルを含有する排水原水を前記オゾン分解反応槽との間で循環させるように設置される請求項1乃至3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記第2圧壊塔は、複数の管を通じて、オゾンマイクロバブルを含有する排水原水を前記オゾン‐紫外線分解反応槽との間で循環させるように設置される請求項1乃至4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記第2活性炭塔は、複数の管を通じて、オゾンガス、オゾンマイクロバブル及び/又はオゾンナノバブルを含有する排水原水を前記オゾン‐紫外線分解反応槽との間で循環させるように設置される請求項1乃至5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記第3圧壊塔は、複数の管を通じて、オゾンマイクロバブルを含有する排水原水を前記オゾン触媒分解槽との間で循環させるように設置される請求項1乃至6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記第3活性炭塔は、複数の管を通じて、オゾンガス、オゾンマイクロバブル及び/又はオゾンナノバブルを含有する排水原水を前記オゾン触媒分解槽との間で循環させるように設置される請求項1乃至7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記第1活性炭塔、前記第2活性炭塔及び前記第3活性炭塔に充填される活性炭は、粒状活性炭であり、該活性炭の直径は、1~2mmである請求項1乃至8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記第1活性炭層に充填する活性炭は、直径が6~7mmであるペレット型活性炭であり、並びに前記第3活性炭層に充填する活性炭は、直径が3~4mmであるペレット型活性炭である請求項1乃至9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
更にもう1つの前記オゾン分解反応装置及び凝集沈殿槽を具備する請求項1乃至10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の装置を使用した高濃度難分解性有機物の排水最終処理システムであって、
前記排水最終処理システムは、
排水原水をオゾン分解反応槽、原水導入口、第1マイクロバブル発生装置、エゼクタポンプ、内部にパンチング板が設置される第1圧壊塔、第1循環ポンプ及び第1活性炭塔を具備するオゾン分解反応装置を使用して処理するオゾン分解処理システム、
前記オゾン分解処理システムで処理した前記排水原水をオゾン‐紫外線分解反応槽、紫外線照射器、第2マイクロバブル発生装置、内部にパンチング板が設置される第2圧壊塔、第3循環ポンプ及び第2活性炭塔を具備するオゾン‐紫外線分解反応装置を使用して処理するオゾン‐紫外線分解処理システム、並びに
前記オゾン分解処理システム及び前記オゾン‐紫外線分解処理システムによって処理した前記排水原水を、オゾン触媒分解槽、第3マイクロバブル発生装置、第4循環ポンプ、内部にパンチング板が設置される第3圧壊塔、第5循環ポンプ及び第3活性炭塔を具備し、第1活性炭層及び第2活性炭層を内部に設置するオゾン触媒反応装置により処理するオゾン触媒分解システムを具備し、
前記オゾン‐紫外線分解処理システムにおいて、前記排水原水に対して、紫外線を2~12時間照射し、並びに前記触媒分解システムにおいて、前記排水原水を、流速10~100cm/秒で前記第1活性炭層及び前記第2活性炭層を通過させることを特徴とする高濃度難分解性有機物の排水最終処理システム。
【請求項13】
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の装置を使用した高濃度難分解性有機物の排水最終処理システムであって、
前記排水最終処理システムは、
排水原水をオゾン分解反応槽、原水導入口、第1マイクロバブル発生装置、エゼクタポンプ、内部にオリフィスが設置される第1圧壊塔、第1循環ポンプ及び第1活性炭塔を具備するオゾン分解反応装置を使用して処理するオゾン分解処理システム、
前記オゾン分解処理システムで処理した前記排水原水をオゾン‐紫外線分解反応槽、紫外線照射器、第2マイクロバブル発生装置、内部にオリフィスが設置される第2圧壊塔、第3循環ポンプ及び第2活性炭塔を具備するオゾン‐紫外線分解反応装置を使用して処理するオゾン‐紫外線分解処理システム、並びに
前記オゾン分解処理システム及び前記オゾン‐紫外線分解処理システムによって処理した前記排水原水を、オゾン触媒分解槽、第3マイクロバブル発生装置、第4循環ポンプ、内部にオリフィスが設置される第3圧壊塔、第5循環ポンプ及び第3活性炭塔を具備し、第1活性炭層及び第2活性炭層を内部に設置するオゾン触媒反応装置により処理するオゾン触媒分解システムを具備し、
前記オゾン‐紫外線分解処理システムにおいて、前記排水原水に対して、紫外線を2~12時間照射し、並びに前記触媒分解システムにおいて、前記排水原水を、流速10~100cm/秒で前記第1活性炭層及び前記第2活性炭層を通過させることを特徴とする高濃度難分解性有機物の排水最終処理システム。
【請求項14】
更に、少なくとも1つ以上の前記オゾン分解処理システム、凝集処理システム、ろ過処理システム、及び/又は少なくとも前記オゾン触媒分解システムを具備する請求項12又は13に記載の排水最終処理システム。
【請求項15】
前記第1活性炭層に充填する活性炭は、直径が6~7mmであるペレット型活性炭であり、並びに前記第3活性炭層に充填する活性炭は、直径が3~4mmであるペレット型活性炭である請求項12乃至14のいずれか1項に記載の排水最終処理システム。
【請求項16】
請求項12乃至15のいずれか1項に記載のオゾンマイクロバブルによる高濃度難分解性有機物の排水最終処理システムを使用した排水最終処理方法であって、
オゾン分解処理する工程、オゾン‐紫外線分解処理する工程及びオゾン触媒分解する工程を具備し、前記オゾン‐紫外線分解処理する工程にて、排水原水に対して紫外線を2~12時間照射することを特徴とする高濃度難分解性有機物の排水最終処理方法。
【請求項17】
更に、少なくとも1つ以上の前記オゾン分解処理する工程、凝集処理する工程、ろ過処理する工程、及び/又は前記オゾン触媒分解する工程を具備する請求項16に記載の排水最終処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オゾンガス含有マイクロバブル(以下、「オゾンマイクロバブル」とする。)及び/又はオゾンガス含有ナノバブル(以下、「オゾンナノバブル」とする。)を含む水を利用した高濃度難分解性有機物の排水の最終処理装置、該装置を使用したシステム並びに高濃度難分解性有機物の排水の最終処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オゾンは、フッ素に次ぐ強力な酸化力を有しており、医療、食品、農業、畜産、半導体製品の洗浄などの分野において、殺菌、ウィルスの不活化、脱臭、脱色、有機物の除去などに用いられることが一般的によく知られている。更に、先に述べた分野だけでなく、産業、農業、生活などの排水処理分野においても、オゾンが用いられることが知られている。
【0003】
排水処理分野において、オゾンを使用する利点としては、金属の酸化処理だけでなく、先に述べたように有機物の酸化処理が可能であることがあげられる。例えばその性質を利用した、含有機物排水処理の方法及びシステムが、特許第3468414号公報(特許文献1)に開示されている。
【0004】
特許文献1に記載の方法及びシステムは、有機物や難分解性物質を含む排水を、2段階の負圧型分離槽でオゾン処理し、オゾン処理された後に、更に微生物曝気及び沈殿分離をして処理するというものである。負圧型分離槽でオゾン処理をする際、即ち排水とオゾンを気液凝縮混合させる際に、渦流を用いて効率よくオゾン処理をするというものである。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の方法やシステムでは、排水をオゾン処理したとしても殺菌は十分であるが、難分解性物質はあくまで難分解性から易分解性の物質になるというのみで、最終的には微生物曝気や沈殿分離に依存する。また、BOD(生物化学的酸素要求量)やCOD(化学的酸素要求量)の値が大きい排水、即ち高濃度の有機物を含む排水が処理できるかどうかは不明である。
【0006】
ここで、オゾンを用いて排水処理をする際、排水内にオゾンガスを含有させた数十~数百μmオーダーの微小気泡(マイクロバブル)及び/又はオゾンガスを含有させた数十~数百nmオーダーの気泡(ナノバブル)とし、該マイクロバブル及び/又はナノバブルの吸着能を利用した排水内の有機物を処理する方法が、例えば特開2012-106211号公報(特許文献2)、特開2012-106212号公報(特許文献3)、特開2012-106213号公報(特許文献4)に開示されている。特許文献2に記載の方法は、高分子量(分子量1万以上)の有機物系微小固体物質を取り除くことにより、後の排水処理を効率良く行うことを可能にした排水の前処理方法である。また、特許文献3に記載の方法は、排水中の有機物をオゾンマイクロバブルと、オゾンマイクロバブルの強制圧壊によって生じたフリーラジカルにより分解させると共に、無機系凝集剤で更に処理することによって無害化した沈殿として析出させて排水処理を行うというものである。また、特許文献4に記載の方法は、例えば特許文献3に記載の方法で処理しきれなかった最終残存有機物、即ち有機物系微小固体物質を、オゾンマイクロバブル及び/又はオゾンナノバブルと共に、活性炭を通過させることにより処理するというものである。そして、特許文献2乃至4に記載の方法は、COD値が1000mg/L以上という比較的高濃度の排水に対して有効である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3468414号公報
【特許文献2】特開2012-106211号公報
【特許文献3】特開2012-106212号公報
【特許文献4】特開2012-106213号公報
【特許文献5】特許第6635444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の方法やシステムでは、先に述べたように、難分解性物質はあくまで難分解性から易分解性になるというのみで、最終的には微生物曝気や沈殿分離に依存する。また、難分解性物質として、例えばアクリル系排水、ガラス系排水、アルデヒドやTHF等の極性溶剤系排水などを分解可能かどうかは不明であり、更には高濃度の難分解性物質含有の排水を処理可能かどうかも不明である。
【0009】
また、特許文献2においては、あくまで排水処理の前処理方法ということを考慮すると、有機物が完全に処理されるわけではない。そして、特許文献2の方法では泡沫分離を用いるため、泡沫を効率よく発生できれば良いが、泡沫の発生が確認されない或いは泡沫に有機物が移動しないということも考えられる。
【0010】
また、特許文献3においては、浮遊物を取り除いてからでないと排水内の有機物の処理がしにくいといったことや、オゾンマイクロバブル及び/又はオゾンナノバブルだけでなく凝集剤に頼らないとCODが削減しないといった点が懸念事項である。特許文献4においては、あくまで高分子量(分子量1万以上)の有機物系微小固体物質を対象としているため、先に述べたアクリル系やガラス系などの難分解性物質が分解できるかどうかが不明であること、並びに触媒として用いる活性炭については逆洗工程が水(マイクロバブル及び/又はナノバブル含有水は除く。)で行われているため、活性炭の寿命が短くなることなどがある。もし、有機物系微小固体物質以外の有機物をオゾンと活性炭触媒下で反応させることが可能であるとしても、低濃度(40~100mg/L)のCOD値にしなくては吸着が優先されてしまい、触媒反応は起こらなくなる可能性があった。
【0011】
また、特許文献2乃至4にはあらゆる有機物の処理が可能である旨の記載があるが、これらの文献に記載の技術を組み合わせた場合、有機物系微小固体物質の除去は可能であっても、アクリル系排水、ガラス系排水、アルデヒドやTHF等の極性溶剤系排水など難分解性物質や、更に硫酸アンモニウムやアンモニア性、亜硝酸性、又は硝酸性態窒素などの窒素態固定物が処理できるかどうかは不明である。
【0012】
そこで、難分解性有機物や更には硫酸アンモニウムやアンモニア性、亜硝酸性、又は硝酸性態窒素などの窒素態固定物の処理を可能にし、且つランニングコストがかからない、オゾンマイクロバブル及び/又はオゾンナノバブルを利用した高濃度難分解性有機物の排水最終処理装置及び該装置を使用したシステム並びに高濃度難分解性有機物の排水最終処理方法が、例えば特許第6635444号公報(特許文献5)に開示されている。
【0013】
特許文献5に記載の装置やシステムは、大まかにオゾン分解反応装置及びオゾン触媒反応装置で成り、該装置を使用した排水最終処理方法は、オゾンマイクロバブル及び/又はオゾンナノバブルを利用して、オゾン分解反応装置で有機物をオゾンと反応させることにより、大部分の有機物を処理すると共に、層状にした活性炭層を触媒反応場として用いることによりオゾン触媒反応装置で、オゾン分解反応装置や活性炭塔で処理できなかった、最終残存物や浮遊物と、オゾンとを反応させることにより、難分解性有機物や有機物系微小固体物質を処理するというシステムである。
【0014】
しかしながら、特許文献5に記載の装置やシステムでは、排水処理の際に重要な要素となるオゾンマイクロバブル及び/若しくはオゾンナノバブルの圧壊により発生するフリーラジカル又はオゾンガスについては、平衡反応により酸素に戻り易いことから、溶存酸素が発生してしまうこと、また、活性炭層が汚染された場合に逆洗(洗浄)工程を高い頻度で考慮しなくては、活性炭層の維持にランニングコストがかかってしまうといった懸念があった。
【0015】
ここで、上記の事情を鑑み、本発明は、難分解性有機物や更には硫酸アンモニウムやアンモニア性、亜硝酸性、又は硝酸性態窒素などの窒素態固定物の処理や有機物系微小固体物質の処理を可能にし、且つ活性炭層の維持にランニングコストがかからない、オゾンマイクロバブル及び/又はオゾンナノバブルを利用した高濃度難分解性有機物の排水最終処理装置及び該装置を使用したシステム並びに高濃度難分解性有機物の排水最終処理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係る排水最終処理装置の目的は、オゾン発生装置、オゾン分解反応装置、オゾン‐紫外線分解反応装置及びオゾン触媒反応装置を具備する高濃度難分解性有機物の排水最終処理装置であって、前記オゾン分解反応装置は、オゾン分解反応槽、原水導入口、第1マイクロバブル発生装置、エゼクタポンプ、内部にパンチング板が設置される第1圧壊塔、第1循環ポンプ及び第1活性炭塔を具備し、前記オゾン‐紫外線分解反応装置は、オゾン‐紫外線分解反応槽、紫外線照射器、第2マイクロバブル発生装置、第2循環ポンプ、内部にパンチング板が設置される第2圧壊塔、第3循環ポンプ及び第2活性炭塔を具備し、前記オゾン触媒反応装置は、オゾン触媒分解槽、第3マイクロバブル発生装置、第4循環ポンプ、内部にパンチング板が設置される第3圧壊塔、第5循環ポンプ及び第3活性炭塔を具備し、前記オゾン発生装置は、オゾンガス供給管により、前記エゼクタポンプ、前記第1マイクロバブル発生装置、前記第2マイクロバブル発生装置及び前記第3マイクロバブル発生装置に連結し、前記オゾン分解反応槽、前記オゾン‐紫外線分解反応槽、及び前記オゾン触媒分解槽は、越流管により連結され、前記オゾン触媒分解槽の内部には、第1活性炭層及び第2活性炭層が配設され、且つ逆洗水吹出口が設けられていることを特徴とすることで、効果的に達成される。更に本発明に係る排水最終処理装置の目的は、オゾン発生装置、オゾン分解反応装置及びオゾン触媒反応装置を具備する高濃度難分解性有機物の排水最終処理装置であって、前記オゾン分解反応装置は、オゾン分解反応槽、原水導入口、第1マイクロバブル発生装置、エゼクタポンプ、内部にオリフィスが設置される第1圧壊塔、第1循環ポンプ及び第1活性炭塔を具備し、前記オゾン‐紫外線分解反応装置は、オゾン‐紫外線分解反応槽、紫外線照射器、第2マイクロバブル発生装置、第2循環ポンプ、内部にオリフィスが設置される第2圧壊塔、第3循環ポンプ及び第2活性炭塔を具備し、前記オゾン触媒反応装置は、オゾン触媒分解槽、第3マイクロバブル発生装置、第4循環ポンプ、内部にオリフィスが設置される第3圧壊塔、第5循環ポンプ及び第3活性炭塔を具備し、前記オゾン発生装置は、オゾンガス供給管により、前記エゼクタポンプ、前記第1マイクロバブル発生装置、前記第2マイクロバブル発生装置及び前記第3マイクロバブル発生装置に連結し、前記オゾン分解反応槽、前記オゾン‐紫外線分解反応槽、及び前記オゾン触媒分解槽は、越流管により連結され、前記オゾン触媒分解槽の内部には、第1活性炭層及び第2活性炭層が配設され、且つ逆洗水吹出口が設けられていることを特徴とすることで、効果的に達成される。
【0017】
本発明に係る排水最終処理装置はまた、前記第1圧壊塔は、複数の管を通じて、オゾンマイクロバブルを含有する排水原水を前記オゾン分解反応槽との間で循環させるように設置されることにより、或いは前記第1活性炭塔は、複数の管を通じて、オゾンガス、オゾンマイクロバブル及び/又はオゾンナノバブルを含有する排水原水を前記オゾン分解反応槽との間で循環させるように設置されることにより、或いは前記第2圧壊塔は、複数の管を通じて、オゾンマイクロバブルを含有する排水原水を前記オゾン‐紫外線分解反応槽との間で循環させるように設置されることにより、或いは前記第2活性炭塔は、複数の管を通じて、オゾンガス、オゾンマイクロバブル及び/又はオゾンナノバブルを含有する排水原水を前記オゾン‐紫外線分解反応槽との間で循環させるように設置されることにより、或いは前記第3圧壊塔は、複数の管を通じて、オゾンマイクロバブルを含有する排水原水を前記オゾン触媒分解槽との間で循環させるように設置されることにより、或いは前記第3活性炭塔は、複数の管を通じて、オゾンガス、オゾンマイクロバブル及び/又はオゾンナノバブルを含有する排水原水を前記オゾン触媒分解槽との間で循環させるように設置されることにより、或いは前記第1活性炭塔、前記第2活性炭塔及び前記第3活性炭塔に充填される活性炭は、粒状活性炭であり、該活性炭の直径は、1~2mmであることにより、或いは前記第1活性炭層に充填する活性炭は、直径が6~7mmであるペレット型活性炭であり、並びに前記第3活性炭層に充填する活性炭は、直径が3~4mmであるペレット型活性炭であることにより、或いは更にもう1つの前記オゾン分解反応装置及び凝集沈殿槽を具備することにより、より効果的に達成される。
【0018】
また、本発明に係る排水最終処理システムの目的は、前記装置を使用した高濃度難分解性有機物の排水最終処理システムであって、前記排水最終処理システムは、排水原水をオゾン分解反応槽、原水導入口、第1マイクロバブル発生装置、エゼクタポンプ、内部にパンチング板が設置される第1圧壊塔、第1循環ポンプ及び第1活性炭塔を具備するオゾン分解反応装置を使用して処理するオゾン分解処理システム、前記オゾン分解処理システムで処理した前記排水原水をオゾン‐紫外線分解反応槽、紫外線照射器、第2マイクロバブル発生装置、内部にパンチング板が設置される第2圧壊塔、第3循環ポンプ及び第2活性炭塔を具備するオゾン‐紫外線分解反応装置を使用して処理するオゾン‐紫外線分解処理システム、並びに前記オゾン分解処理システム及び前記オゾン‐紫外線分解処理システムによって処理した前記排水原水を、オゾン触媒分解槽、第3マイクロバブル発生装置、第4循環ポンプ、内部にパンチング板が設置される第3圧壊塔、第5循環ポンプ及び第3活性炭塔を具備し、第1活性炭層及び第2活性炭層を内部に設置するオゾン触媒反応装置により処理するオゾン触媒分解システムを具備し、前記オゾン‐紫外線分解処理システムにおいて、前記排水原水に対して、紫外線を2~12時間照射し、並びに前記触媒分解システムにおいて、前記排水原水を、流速10~100cm/秒で前記第1活性炭層及び前記第2活性炭層を通過させることを特徴とすることにより効果的に達成される。更に本発明に係る排水最終処理システムの目的は、前記装置を使用した高濃度難分解性有機物の排水最終処理システムであって、前記排水最終処理システムは、排水原水をオゾン分解反応槽、原水導入口、第1マイクロバブル発生装置、エゼクタポンプ、内部にオリフィスが設置される第1圧壊塔、第1循環ポンプ及び第1活性炭塔を具備するオゾン分解反応装置を使用して処理するオゾン分解処理システム、前記オゾン分解処理システムで処理した前記排水原水をオゾン‐紫外線分解反応槽、紫外線照射器、第2マイクロバブル発生装置、内部にオリフィスが設置される第2圧壊塔、第3循環ポンプ及び第2活性炭塔を具備するオゾン‐紫外線分解反応装置を使用して処理するオゾン‐紫外線分解処理システム、並びに前記オゾン分解処理システム及び前記オゾン‐紫外線分解処理システムによって処理した前記排水原水を、オゾン触媒分解槽、第3マイクロバブル発生装置、第4循環ポンプ、内部にオリフィスが設置される第3圧壊塔、第5循環ポンプ及び第3活性炭塔を具備し、第1活性炭層及び第2活性炭層を内部に設置するオゾン触媒反応装置により処理するオゾン触媒分解システムを具備し、前記オゾン‐紫外線分解処理システムにおいて、前記排水原水に対して、紫外線を2~12時間照射し、並びに前記触媒分解システムにおいて、前記排水原水を、流速10~100cm/秒で前記第1活性炭層及び前記第2活性炭層を通過させることを特徴とすることにより効果的に達成される。
【0019】
また、本発明に係る排水最終処理システムの目的は、更に、少なくとも1つ以上の前記オゾン分解処理システム、凝集処理システム、ろ過処理システム、及び/又は少なくとも前記オゾン触媒分解システムを具備することにより、或いは前記第1活性炭層に充填する活性炭は、直径が6~7mmであるペレット型活性炭であり、並びに前記第2活性炭層に充填する活性炭は、直径が3~4mmであるペレット型活性炭であることにより、より効果的に達成される。
【0020】
また、本発明に係る排水最終処理方法の目的は、上記排水最終処理システムを使用した排水最終処理方法であって、オゾン分解処理する工程、オゾン‐紫外線分解処理する工程及びオゾン触媒分解する工程を具備し、前記オゾン‐紫外線分解処理する工程にて、排水原水に対して紫外線を2~12時間照射することを特徴とすることにより効果的に達成される。
【0021】
また、本発明に係る排水最終処理方法の目的は、少なくとも1つ以上の前記オゾン分解処理する工程、凝集処理する工程、ろ過処理する工程、及び/又は前記オゾン触媒分解する工程を具備することにより、より効果的に達成される。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る排水最終処理装置によれば、難分解性有機物又は硫酸アンモニウムやアンモニア性、亜硝酸性、若しくは硝酸性態窒素などの窒素態固定物の処理、更には、1,4-ジオキサン等を含む極性溶剤の処理を可能にし、且つランニングコストがかからない、オゾンマイクロバブル及び/又はオゾンナノバブルによる高濃度難分解性有機物の排水最終処理装置が可能になった。
【0023】
また、本発明に係る高濃度難分解性有機物の排水最終処理装置を使用した排水最終処理システム及び排水最終処理方法によれば、オゾンマイクロバブル及び/若しくはナノバブル並びにオゾンガスによる分解反応処理及び紫外線照射処理と、更にオゾンマイクロバブル及び/若しくはナノバブル並びにオゾンマイクロバブルの圧壊により生じたフリーラジカルと、アクリル系などの難分解性有機物や有機物系微小固体物質とを活性炭触媒下で反応させる触媒反応処理及び紫外線照射処理とを備えることにより、CODが5000(~50万)mg/L以上の排水処理が可能になった。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明に係る高濃度難分解性有機物の排水最終処理装置を示す概略図である。
【
図2】本発明に係る高濃度難分解性有機物の排水最終処理装置の別態様を示す概略図である。
【
図3】本発明に係る排水最終処理システムに係る一態様を示すシステム概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
先ず、本発明に係る高濃度難分解性有機物の排水最終処理装置について、図面を用いながら詳細に説明する。
【0026】
図1は、本発明に係る高濃度難分解性有機物の排水最終処理装置を示す概略図である。
図1に示すように、当該排水最終処理装置1は、オゾン発生装置2、オゾン分解反応装置3、オゾン‐紫外線分解反応装置4及びオゾン触媒反応装置5で構成される。次にオゾン分解反応装置3は、オゾン分解反応槽31、原水導入口32、第1マイクロバブル発生装置33、エゼクタポンプ34、第1圧壊塔35、第1循環ポンプ36及び第1活性炭塔37を具備する。次に、オゾン‐紫外線分解反応装置4は、オゾン‐紫外線分解反応槽41、紫外線照射器42、第2マイクロバブル発生装置43、第2循環ポンプ44、第2圧壊塔45、第3循環ポンプ46及び第2活性炭塔47を具備する。次に、オゾン触媒反応装置5は、オゾン触媒分解槽51、第3マイクロバブル発生装置52、第4循環ポンプ53、第3圧壊塔54、第5循環ポンプ55及び第3活性炭塔56を具備し、オゾン触媒分解槽51内部には、第1活性炭層57及び第2活性炭層58が配設され、逆洗水吹出口59が設けられている。そして、オゾンガスは、オゾンガス発生装置2から、エゼクタポンプ34、第1マイクロバブル発生装置33、第2マイクロバブル発生装置43及び第3マイクロバブル発生装置52へと連結されたオゾンガス供給管Tsを通じて供給される。オゾンガスの供給量は、150~600g/h(時間)である。オゾンガスの供給量が、150g/hよりも少ないと、排水原水が殆ど処理されず、600g/hより多くてもさほど処理能力は変わらない。
【0027】
次に、オゾン反応装置3について、更に具体的に説明する。原水導入口32は、
図1に示す態様では、オゾン分解反応槽31の上部に柱状に設けているが、形状は特に限定はない。また、該導入口32は、高濃度難分解性有機物を含む排水(以下、「原水」とする。)をオゾン分解反応槽31内部に注入できればよいので、オゾン分解反応槽31の上部を開放系にして、別に設けなくてもよい。次に、第1マイクロバブル発生装置33は、
図1に示す態様では、オゾン分解反応槽31の上部に設けているが、吹き出し口から満遍なく原水にマイクロバブルが行きわたればよいので、設置場所については、オゾン分解反応槽31の中心よりも多少ずれてもよい。なお、第1マイクロバブル発生装置33は、オゾン発生装置2からのオゾンガスを導入(供給)できる形状であれば形状や種類は特に問わない。なお、第1マイクロバブル発生装置33から供給されるオゾンマイクロバブル(直径20~200μm程度)により、原水はオゾンマイクロバブル含有の気液混合液(以下「オゾンマイクロバブル含有原水」とする。)となる。
【0028】
第1圧壊塔35は、
図1に示すように、管Ta、管Tb、管Tcを通じて、先に述べたオゾンマイクロバブル含有原水を管Ta、管Tb、管Tcの順(矢印参照)に循環させるように、設置される。この場合の管Ta、Tb、Tcについてはマイクロバブル含有原水を循環させることができればよいので、金属やプラスチックなど材質は問わない。また、当該管については層流や乱流などの対象は特に問わない。ここで、オゾンマイクロバブル含有原水を第1圧壊塔35と、オゾン分解反応槽31との間を循環させる際は、エゼクタポンプ34が必要となる。その構成を採る理由としては、先に述べたオゾンマイクロバブル含有原水の循環のみならず、オゾンガス発生装置2から直接オゾンガスを原水に導入する(以下この原水を、オゾンマイクロバブル含有原水と区別するために、「オゾンガス導入原水」とする。)際に用いられる。なお、オゾンマイクロバブル含有原水及びオゾンガス導入原水を第1圧壊塔35に通過させる目的としては、オゾンマイクロバブル含有原水ならば当該原水に含まれるオゾンマイクロバブルを圧壊してオゾンナノバブル(100~500nmオーダー)にする目的があり、オゾンガス導入原水ならば気液(オゾン‐原水)混合水を発生させ、循環させることによりこの気液混合水を更にオゾンマイクロバブル含有原水と同様にすることを目的とする。言い換えると、連続的にオゾンマイクロバブルやオゾンナノバブルを発生させる目的である。なお、図示はしないが、圧壊塔にはマイクロバブル圧壊のためのパンチング板やオリフィス(多孔板)が挿入されている。ちなみに、パンチング板やオリフィスなどの孔径や形状は、マイクロバブルの圧壊が実行できれば良いので、後述するシステムや方法においては特に制限はない。
【0029】
次に、第1活性炭塔37も、第1圧壊塔35同様、
図1に示すように、管Td、管Te、管Tfを通じて、先に述べたオゾンガス(オゾンマイクロバブル及び/又はオゾンナノバブル)含有の気液混合原水を管Td、管Te、管Tfの順(矢印参照)に循環させるように、設置される。この場合の管Td、Te、Tfについてもまた、該原水を循環させることができればよいので、金属やプラスチックなど材質は問わない。また、当該管についてもまた、層流や乱流などの対象は特に問わない。ここで、マイクロバブル含有原水を第1活性炭塔37と、オゾン分解反応槽31との間を循環させる際は、第1循環ポンプ36が必要となる。第1循環ポンプ36については、活性炭塔37と、オゾン分解反応槽31との間における排水(原水等)の循環を100~200L/分の循環量で循環させることが可能なポンプならば、種類などは特に制限はない。先述したマイクロバブル含有原水を第1圧壊塔35と、オゾン分解反応槽31との間を循環させる際のエゼクタポンプ34による循環量もまた、100~200L/分の循環量である。なお、100~200L/分の循環量を採る理由や効果については、後述する。
【0030】
そして、第1活性炭塔37であるが、目的としては、原水中の有機物とオゾンとの反応による化合物の除去や原水中の微生物などの除去である。塔内に充填させる活性炭としては、直径が1~2mmの粒状の活性炭が望ましい。活性炭の直径が1mm未満であると、これら化合物や微生物の除去ができず、活性炭の直径が2mmよりも大きいと、原水が循環されずに塔内で詰まってしまう可能性がある。なお、該活性炭の充填については、第1活性炭塔37の容積の7、8割を満たせばよい。
【0031】
上記のように構成されたオゾン反応装置3にて、原水を前処理することにより、大部分の有機物が処理され、またCODやTOCの値も原水の1/2~1/5程度に減少する。
【0032】
次に、オゾン‐紫外線分解反応装置4について、更に具体的に説明する。先ず越流管Toは、
図1に示す態様では、オゾン分解反応槽31の上部と、オゾン‐紫外線分解反応槽41の上部とを接続(連結)するように示されているが、要は、オゾン分解反応装置3で前処理された原水(以下「前処理原水」とする。)をオゾン‐紫外線分解反応槽41に導入できれば良いので、配管方法や設置場所などは特に限定はない。次に、第2マイクロバブル発生装置43は、
図1に示す態様では、オゾン‐紫外線分解反応槽41の上部に設けているが、吹き出し口から満遍なく前処理原水にマイクロバブルが行きわたればよいので、設置場所については、オゾン‐紫外線分解反応槽41の中心よりも多少ずれてもよい。なお、第2マイクロバブル発生装置43は、オゾン発生装置2からのオゾンガスを導入(供給)できる形状であれば形状や種類は特に問わない。なお、第2マイクロバブル発生装置43から供給されるオゾンマイクロバブル(直径20~200μm程度)により、前処理原水はオゾンマイクロバブル含有の気液混合液となる。ちなみに、第2マイクロバブル発生装置43は、第1マイクロバブル発生装置33と同一のものでかまわない。
【0033】
紫外線照射器42は、
図1に示す態様では、オゾン‐紫外線分解反応槽41の上部に設けられている。しかしながら、紫外線照射器42は、オゾン‐紫外線分解反応槽41の中の前処理原水を照射できれば良いので、該分解反応槽41の上部ではなく、その中部や下部に設ける、或いは外部から照射できるようにしてもよい。ちなみに、紫外線照射器42を設ける目的は、原水内のオゾンマイクロバブルの一部が、圧壊されないでマイクロバブルのままで残存した場合において、オゾンから酸素分子になるのを極力少なくする、即ち原水中で紫外線を照射することにより、オゾンから、活性酸素種やヒドロキシル(水酸基)ラジカルを発生させる目的である。更に、紫外線照射器42を設ける目的としては、後述する活性炭層が触媒反応場としての機能を満たさなかったとき又はその機能を休ませたいときに、紫外線を照射することにより、浮遊物や有機物系微小固体物質との反応を促進させる目的がある。ちなみに、活性酸素種は、オゾンマイクロバブル及び/又はオゾンナノバブルを強制圧壊させたときに生じるフリーラジカルと同等の働きをすることが知られており、オゾンや酸素以外の物質の酸化をすることにより、有機物の処理をする役割を果たす。また、有機物を処理する際の紫外線照射の波長は、紫外線領域(約100~380nm)ならば特に制限はない。なお、紫外線照射器42による照射は、原水を処理している最中が良い。また、紫外線照射器42を用いた照射時間は2~12時間が望ましい。照射時間は2時間未満であると、CODやTOCの値が原水のCODやTOCの値よりも同程度かさほど変わらず、12時間以上かけてもさほど効率は上がらない。なお、この時、排水原水若しくは前処理原水のpHであるが、6.5~7.9くらいの中性域が望ましい。pH8~9の弱塩基領域やpH5前後の弱酸性領域でも紫外線照射による分解反応は可能であるが、効率は中性の時より落ちる。理由としては、オゾンガスやヒドロキシルラジカルの反応性に起因する。
【0034】
次に、第2圧壊塔45は、
図1に示すように、管Ta′、管Tb′、管Tc′を通じて、先に述べたマイクロバブル含有前処理原水を管Ta′、管Tb′、管Tc′の順(矢印参照)に循環させるように、設置される。この場合の管についてはマイクロバブル含有前処理原水を循環させることができればよいので、金属やプラスチックなど材質は問わない。また、当該管については層流や乱流などの対象は特に問わない。ここで、マイクロバブル含有原水を第2圧壊塔45と、オゾン‐紫外線分解反応槽41との間を循環させる際は、第2循環ポンプ44が必要となる。なお、マイクロバブル含有前処理原水を第2圧壊塔45に通過させる目的としては、当該原水に含まれるオゾンマイクロバブルを圧壊してオゾンナノバブル(100~500nmオーダー)にすることを目的とする。言い換ると、連続的にオゾンマイクロバブルやオゾンナノバブルを発生させる目的である。なお、図示はしないが、第1圧壊塔35同様、第2圧壊塔45にはマイクロバブル圧壊のためのパンチング板やオリフィス(多孔板)が挿入されている。ちなみに、パンチング板やオリフィスなどの孔径や形状は、マイクロバブルの圧壊が実行できれば良いので、後述する方法において用いる場合は特に制限はない。
【0035】
次に、第2活性炭塔47も、第2圧壊塔45同様、
図1に示すように、管Td′、管Te′、管Tf′を通じて、先に述べたオゾンマイクロバブル含有前処理原水を管Td′、管Te′、管Tf′の順(矢印参照)に循環させるように、設置される。この場合の管についてはオゾンマイクロバブル(及び/又はオゾンナノバブル)含有前処理原水を循環させることができればよいので、金属やプラスチックなど材質は問わない。また、当該管については層流や乱流などの対象は特に問わない。ここで、オゾンマイクロバブル(及び/又はオゾンナノバブル)含有前処理原水を第2活性炭塔47と、オゾン‐紫外線分解反応槽41との間を循環させる際は、第3循環ポンプ46が必要となる。第3循環ポンプ46については、第2活性炭塔47と、オゾン‐紫外線分解反応槽41との間における排水(原水等)の循環を100~200L/分の循環量で循環させることが可能なポンプならば、種類などは特に制限はない。先述したマイクロバブル含有原水を第2圧壊塔45と、オゾン‐紫外線分解反応槽41との間を循環させる際の第3循環ポンプ46による循環量もまた、100~200L/分の循環量である。なお、100~200L/分の循環量を採る理由や効果については、後述する。
【0036】
そして、第2活性炭塔47であるが、目的としては、第1活性炭塔37同様に、原水中の有機物とオゾンとの反応による化合物の除去や原水中の微生物などの除去である。塔内に充填させる活性炭としては、直径が1~2mmの粒状の活性炭が望ましい。活性炭の直径が1mm未満であると、これら化合物や微生物の除去ができず、活性炭の直径が2mmよりも大きいと、原水が循環されずに塔内で詰まってしまう可能性がある。なお、活性炭の充填については、第1活性炭塔37同様に第2活性炭塔47の容積の7、8割を満たせばよい。
【0037】
次に、オゾン触媒反応装置5について、更に具体的に説明する。先ず越流管To′は、
図1に示す態様では、オゾン‐紫外線分解反応槽41の上部と、オゾン触媒分解槽51の上部とを接続(連結)するように示されているが、要は、オゾン‐紫外線分解反応装置4で二次的に前処理された原水(以下「二次的前処理原水」とする。)をオゾン触媒分解槽51に導入できれば良いので、配管方法や設置場所などは特に限定はない。次に、第3マイクロバブル発生装置52は、
図1に示す態様では、オゾン触媒分解槽51の上部に設けているが、吹き出し口から満遍なく前処理原水にマイクロバブルが行きわたればよいので、設置場所については、オゾン触媒分解槽51の中心よりも多少ずれてもよい。なお、第3マイクロバブル発生装置52は、オゾン発生装置2からのオゾンガスを導入(供給)できる形状であれば形状や種類は特に問わない。なお、第3マイクロバブル発生装置52から供給されるオゾンマイクロバブル(直径20~200μm程度)により、二次的前処理原水はオゾンマイクロバブル含有の気液混合液となる。ちなみに、第3マイクロバブル発生装置52は、第1マイクロバブル発生装置33や第2マイクロバブル発生装置43と同一のものでかまわない。
【0038】
次に、第3圧壊塔54は、
図1に示すように、管Ta′′、管Tb′′、管Tc′′を通じて、先に述べたマイクロバブル含有二次的前処理原水を管Ta′′、管Tb′′、管Tc′′の順(矢印参照)に循環させるように、設置される。この場合の管についてはマイクロバブル含有前処理原水を循環させることができればよいので、金属やプラスチックなど材質は問わない。また、当該管については層流や乱流などの対象は特に問わない。ここで、マイクロバブル含有原水を第3圧壊塔54と、オゾン触媒分解槽51との間を循環させる際は、第4循環ポンプ53が必要となる。なお、マイクロバブル含有二次的前処理原水を第3圧壊塔54に通過させる目的としては、当該原水に含まれるオゾンマイクロバブルを圧壊してオゾンナノバブル(100~500nmオーダー)にすることを目的とする。言い換ると、連続的にオゾンマイクロバブルやオゾンナノバブルを発生させる目的である。なお、図示はしないが、第1圧壊塔35や第2圧壊塔45同様に、第3圧壊塔54にはマイクロバブル圧壊のためのパンチング板やオリフィス(多孔板)が挿入されている。ちなみに、パンチング板やオリフィスなどの孔径や形状は、マイクロバブルの圧壊が実行できれば良いので、後述する方法において用いる場合は特に制限はない。
【0039】
次に、第3活性炭塔56も、第3圧壊塔54同様、
図1に示すように、管Td′′、管Te′′、管Tf′′を通じて、先に述べたオゾンマイクロバブル含有前処理原水を管Td′′、管Te′′、管Tf′′の順(矢印参照)に循環させるように、設置される。この場合の管についてはオゾンマイクロバブル(及び/又はオゾンナノバブル)含有二次的前処理原水を循環させることができればよいので、金属やプラスチックなど材質は問わない。また、当該管については層流や乱流などの対象は特に問わない。ここで、オゾンマイクロバブル(及び/又はオゾンナノバブル)含有二次的前処理原水を第3活性炭塔56と、オゾン触媒分解槽51との間を循環させる際は、第5循環ポンプ55が必要となる。第5循環ポンプ55については、第3活性炭塔56と、オゾン触媒分解槽51との間における排水(原水等)の循環を100~200L/分の循環量で循環させることが可能なポンプならば、種類などは特に制限はない。先述したマイクロバブル含有原水を第3圧壊塔54と、オゾン触媒分解槽51との間を循環させる際の第5循環ポンプ55による循環量もまた、100~200L/分の循環量である。なお、100~200L/分の循環量を採る理由や効果については、後述する。
【0040】
そして、第3活性炭塔56であるが、目的としては、第1活性炭塔37や第2活性炭塔47同様に、原水中の有機物とオゾンとの反応による化合物の除去や原水中の微生物などの除去である。塔内に充填させる活性炭としては、直径が1~2mmの粒状の活性炭が望ましい。活性炭の直径が1mm未満であると、これら化合物や微生物の除去ができず、活性炭の直径が2mmよりも大きいと、原水が循環されずに塔内で詰まってしまう可能性がある。なお、活性炭の充填については、第1活性炭塔37や第2活性炭塔47同様に第3活性炭塔56の容積の7、8割を満たせばよい。
【0041】
次に、オゾン触媒反応装置5における第1活性炭層57、第2活性炭層58及び逆洗水吹出口59について、順次説明する。
【0042】
もっとも、原水や前処理原水、更に二次的原水の中に含まれる有機物や有害な微生物については、オゾンガス、オゾンマイクロバブル及び/若しくはオゾンナノバブル並びに第1活性炭塔37、第2活性炭塔47、及び第3活性炭塔56で大部分が処理(除去や無害化)される。しかしながら、本発明のような高濃度の難分解性有機物等を含む排水を処理する場合、高分子量(分子量1万以上)の有機物系微小固体物質の一部や、難分解性の有機物や窒素態固定物(アンモニア態、亜硝酸態窒素など)等の大部分(以下、「最終残存物」とする。)、更に有機溶剤(1,4-ジオキサン等を含む極性溶剤)の除去処理は、オゾンガス、オゾンマイクロバブル及び/若しくはオゾンナノバブル並びに第1活性炭塔37、第2活性炭塔47、及び第3活性炭塔56だけではうまくいかない。ここで第1活性炭層57及び第2活性炭層58が、本発明に係る装置、システム及び処理方法において、重要な構成の1つとなる。一般的に活性炭の役割としては、孔の表面積を利用した脱臭剤、吸着剤、触媒等の用途が知られている。しかしながら、従来方法では、触媒として用いる場合、反応基質の濃度をかなり低く(例えば排水ならばCOD40~100mg/L程度)しなければ触媒反応よりも吸着の方が勝ってしまうため、本発明のような排水(浄水)処理の分野では、専ら吸着剤としての役割の方が多数であった。
【0043】
ここで、本発明に係る装置において、第1活性炭層57及び第2活性炭層58の役割は、オゾンナノバブルから生じるヒドロキシル(水酸基)ラジカルやオゾンガスそのもの等と、前処理原水に含まれる最終残存物との反応場、いわゆる触媒の役割を成す。ちなみに、前処理原水についてはCODが5000mg/L以上(150000mg/Lくらいまで)でも処理可能である。
【0044】
先ず第1活性炭層57及び第2活性炭層58について説明する。第1活性炭層57には、ペレット型活性炭が用いられ、該活性炭の直径(有効径)は6~7mmである。この設定範囲は、第2活性炭層58よりも多く(長く)設定されている。一方、第2活性炭層58には、ペレット型活性炭が用いられ、該活性炭の直径(有効径)は3~4mmである。この設定範囲は、第1活性炭層58よりも直径(有効径)が小さく(短く)設定されている。この理由としては、第1活性炭層57での触媒反応がうまく処理できなかった場合、更に比表面積が大きい第2活性炭層58で確実に触媒反応がほぼ定量的になされるように、第2活性炭層58に充填されるペレット型活性炭の径を第1活性炭層57に充填されるペレット型活性炭の径よりも小さくしたわけである。また、ペレット型活性炭の直径が3mm未満であると、触媒としてよりも吸着反応の方が勝ってしまい、7mmよりも大きいと、前処理原水を各層に通過させるときに十分な速さで通過できなくなる可能性がある。
また、最終残存物を含む前処理原水を第1活性炭層57及び第2活性炭層58に通過させる際、流速10~100cm/秒で各層を通過させることが望ましい。流速が10cm/秒未満であると、触媒としてよりも吸着反応の方が勝ってしまい、流速が100cm/秒よりも早いと、吸着はおろか、触媒反応も成されない。なお、流速については、第4循環ポンプ53や第5循環ポンプ55の循環量で調節したり、任意の流量調節手段を用いてもかまわない。
【0045】
次に、逆洗水吹出口59について説明する。この逆洗水吹出口59を採る目的としては、オゾンマイクロバブル含有水及び/又はオゾンナノバブル含有水で、第1活性炭層57及び第2活性炭層58に係るペレット型活性炭を逆洗するためである。なお、逆洗の方法としては、予め調製しておいたオゾンマイクロバブル含有水及び/又はオゾンナノバブル含有水を、任意の容器(図示せず)に貯蔵しておいて、ポンプPを通じて、逆洗水吹出口59から当該含有水を吹出させて逆洗するというものである。
【0046】
逆洗の回数であるが、隔週ないし月1回を最低限度にすれば、特に逆洗回数や逆洗時間に制限はない。ちなみに、オゾンマイクロバブル含有水及び/又はオゾンナノバブル含有水で第1活性炭層57及び第2活性炭層58に係るペレット型活性炭を逆洗することにより、水(水道水)で逆洗するよりも、ペレット型活性炭の寿命が約8~20倍に延びる。また、逆洗についてはバッチ処理が望ましい。
【0047】
以上
図1を用いて、本発明に係るオゾンマイクロバブルによる高濃度難分解性有機物の排水最終処理装置の態様を説明したが、次に、本発明に係るオゾンマイクロバブルによる高濃度難分解性有機物の排水最終処理装置の別態様を説明する。なお、符号については、
図1と被る部分については、同一である。この説明においては、
図1に示す態様と被る部分については説明を省略する。
【0048】
図2は、本発明に係るオゾンマイクロバブルによる高濃度難分解性有機物の排水最終処理装置の別態様を示す概略図である。
図2に示す態様は、言うなれば、
図1に示す装置において更に前処理を念入りに行うために、別のオゾン分解反応装置及び凝集沈殿槽を更に具備したというものである。
【0049】
この別態様においては、排水処理装置1′は、オゾン発生装置2、オゾン分解反応装置3及びオゾン触媒反応装置4に加え、更にオゾン分解反応装置3′及び凝集沈殿槽50を具備する。
【0050】
オゾン分解反応装置3′は、基本的にオゾン分解反応装置3と同一の構成であり、オゾン分解反応槽31′、原水導入口32′、第1マイクロバブル発生装置33′、エゼクタポンプ34′、第1圧壊塔35′、第1循環ポンプ36′及び第1活性炭塔37′を具備する。各構成要素の役割についてもまた、オゾン分解反応装置3′は、基本的にオゾン分解反応装置3と同一であるため、割愛する。
【0051】
次に、凝集沈殿槽50について説明する。凝集沈殿槽50は、オゾン分解反応装置3′で前処理しきれなかった原水について、沈殿凝集剤を投入して、CODを低くすると共に、沈殿として原水の中に含まれる有機物系微小固体物質やオゾン分解反応装置3′で前処理しきれなかった有機物を処理するという目的がある。凝集沈殿を行う場合は、凝集沈殿槽50に導入した原水に対し、無機系の凝集沈殿剤を投入する。なお、無機系凝集剤については、ポリ塩化アルミニウムや硫酸バンドが使用でき、助剤として高分子凝集剤も使用可能である。
【0052】
なお、凝集沈殿槽50にて沈殿と、上澄み(原水)とに分離させるが、上澄みの原水は、適当に連通させた導入管(図示せず)を通じてオゾン分解反応装置3のオゾン分解反応槽31′に導入させる。一方、沈殿に関しては、任意の方法で圧縮及び乾燥して、廃棄するか、その沈殿を汚泥として再利用することができる。そして、上澄み(原水)は、オゾン分解反応装置3、オゾン‐紫外線分解反応装置4及びオゾン触媒反応装置5で順次処理をする。
【0053】
以上、本発明に係る排水最終処理装置について説明したが、例えば
図1に示す排水最終処理装置を1ユニットとして、複数ユニット連結させたり、或いは、例えば任意のろ過手段を連結させたり、任意の工程や手段若しくは装置を導入したりすることで、本発明に係る排水最終処理システムが可能である。また、
図1に示すオゾン分解反応装置3、オゾン‐紫外線分解反応装置4及びオゾン触媒反応装置5の間に、任意の工程や手段若しくは装置を挿入しても本発明に係る排水最終処理システムが可能である。以下、本発明に係る排水最終処理システム及び排水処理方法について、図面を用いながら説明する。また、必要に応じて
図1又は
図2を用いながら説明する。
【0054】
図3は、本発明に係る排水最終処理システムに係る一態様を示すシステム概略図である。
図3に示す態様では、先ず、排水原水(以下単に「原水」とする。)を希釈する。ちなみに希釈については、水で2~12倍程度に希釈すればよい。2倍未満であると、排水の中に含まれる種々の成分により、装置やシステムを劣化させてしまうことがある。12倍以上で希釈してもさほど効果は変わらない。
【0055】
次に、希釈した原水を、オゾン分解処理システムS10にて処理をする。本発明の場合、オゾン分解処理システムS10は、
図1若しくは2に示すようなオゾン分解反応装置3を用いて、オゾンマイクロバブルによる分解処理並びにオゾンマイクロバブル圧壊処理即ちオゾンナノバブルによる分解処理を行う。先に
図1に係る態様、即ち原水をエゼクタポンプ及び循環ポンプにより、オゾンマイクロバブルを含有する原水が、圧壊塔により、オゾンマイクロバブルの圧壊を受けて一部がオゾンナノバブルになり、マイクロ及びナノバブル処理を受けると共に、エゼクタポンプからはオゾンガスが直接的に吹き込まれるため、原水はオゾンガス含有の気液混合液にもなる。即ち、イメージとしては、オゾンガスにより大まかな部分の有機物の酸化分解がなされ、オゾンマイクロバブル及び/又はオゾンナノバブルにより、有機物の細かい部分まで酸化分解される。最終的には、殆どの有機物が酸化される仕組みになる。よってオゾン分解処理システムS10が終わった時点で、CODやTOCの値が原水の1/2~1/5程度になる。
【0056】
ちなみに、オゾン分解処理システムS10において、オゾンガスの供給量は、150~600g/h(時間)が望ましい。オゾンガスの供給量が、150g/hよりも少ないと、排水原水が殆ど処理されず、600g/hより多くてもさほど処理能力は変わらない。また、オゾン分解処理システムS10において、オゾン分解反応装置3内の原水の循環量は、100~200L/分である。循環量が100L/分未満であると、オゾンマイクロバブルの圧壊や原水へのオゾンガスの導入がうまくいかずに原水の処理が十分になされず、200L/分より多くてもさほど処理能力が向上しないか、却って処理能力が低下する原因となる。なお、オゾン分解処理システムS10における処理は、2~72時間くらいが望ましい。処理時間が2時間未満であると、処理が十分になされず、72時間よりも多いと、処理は十分であるが、装置の故障を早めたり、有機物によっては却って平衡反応が進行して元の物質に戻る可能性がある。
【0057】
次に、オゾン分解処理システムS10にて、オゾンマイクロバブル、オゾンナノバブル及びオゾンガスによるオゾン分解処理をしたのち、凝集処理システムS11を行う。凝集処理システムS11は、
図2に示した概略図における、凝集沈殿槽50にて行う処理である。ここで行う凝集処理とは、先に述べたように前処理しきれなかった原水について、沈殿凝集剤を投入して、CODを低くすると共に、沈殿として原水の中に含まれる有機物系微小固体物質や前処理しきれなかった有機物を処理するという目的がある。凝集沈殿を行う場合は、凝集沈殿槽50に導入した原水に対し、無機系の凝集沈殿剤を投入する。ここで言う無機系の凝集沈殿剤とは、アルミニウム系や鉄系のものが使用可能であり、中でも硫酸バンド(硫酸アルミニウム)とPAC(ポリ塩化アルミニウム)が適している。また、無機系凝集沈殿剤の助剤として高分子系凝集沈殿剤の使用が可能である。ちなみに、凝集処理システムS11は必ずしも必須の要件ではないが、より有機物系微小固体物質の処理を効率よく且つ完全に行いたい場合は、凝集処理システムS11を設けるとよい。なお、凝集処理システムS11にて生じた沈殿は、汚泥として使用が可能であり、当該汚泥は、建材や肥料などに使用が可能である。
【0058】
凝集剤の投下については、オゾン分解処理システムS10において、原水のpH(水素イオン濃度)が8.5±1.5くらいになっていれば、pHコントロールを加味せずに投入すればよい。pHが8.5±1.5の範囲外であると、任意の方法で範囲内に収まるよう原水のpHコントロールをすればよい。
【0059】
また、凝集処理システムS11は、オゾン分解反応装置、オゾン‐紫外線分解反応装置及び/又はオゾン触媒反応装置に凝集沈殿槽を連結しても、別個独立で凝集沈殿槽を設けて処理してもいずれでも構わない。
【0060】
次に、凝集処理システムS11の後、ろ過処理システムS12をする。この砂ろ過処理システムS12は、凝集沈殿させて除去しきれなかった沈殿を砂ろ過により除去するためのものである。砂ろ過処理としているように、ろ過材として砂を用いるが、砂の粒径は50μm前後が好ましい。
【0061】
なお、ろ過処理システムS12は、オゾン分解反応装置、オゾン‐紫外線分解反応装置及び/又はオゾン触媒反応装置に導管等により連結しても、別個独立で砂ろ過処理用装置若しくは手段を設けて処理してもいずれでも構わない。
【0062】
次に、ろ過処理システムS12で処理された原水(以下「前処理原水」とする。)をオゾン‐紫外線分解反応システムS13に導入して処理する。本発明の場合、
図1若しくは
図2に示すようなオゾン‐紫外線分解反応装置4を用いて、オゾンマイクロバブルによる分解処理並びにオゾンマイクロバブル圧壊処理即ちオゾンナノバブルによる分解処理並びに紫外線照射を行う。先に
図1に係る態様、即ち前処理原水を第2及び第3循環ポンプにより、オゾンマイクロバブルを含有する前処理原水が、圧壊塔により、オゾンマイクロバブルの圧壊を受けて一部がオゾンナノバブルになり、マイクロバブル及びナノバブル処理を受ける。即ち、イメージとしては、オゾンマイクロバブル及び/又はオゾンナノバブルにより、有機物の細かい部分まで酸化分解される。また、オゾン‐紫外線分解反応システムS13による紫外線照射によって、常にヒドロキシル(水酸基)ラジカル若しくは活性酸諸種が発生している状態又はオゾン酸化を促す状態になっており、大抵の有機物が酸化分解される。
【0063】
オゾン‐紫外線分解反応システムS13において、紫外線照射をする目的としては、オゾン分解処理システムS10と同様に、原水内のオゾンマイクロバブルの一部が、圧壊されないでマイクロバブルのままで残存した場合において、オゾンから酸素分子になるのを極力少なくする、即ち原水中で紫外線を照射することにより、オゾンから、活性酸素種を発生させる目的である。更に、オゾン‐紫外線分解反応システムS13において、紫外線照射をする目的としては、後述する上記における活性炭層が触媒反応場としての機能を満たさない若しくはその機能を休ませたいときに、紫外線を照射することにより、浮遊物や有機物系微小固体物質との反応を促進させる目的がある。ちなみに、活性酸素種は、オゾンマイクロバブル及び/又はオゾンナノバブルを強制圧壊させたときに生じるフリーラジカルと同等の働きをすることが知られており、オゾンや酸素以外の物質の酸化をすることにより、有機物の処理をする役割を果たす。また、有機物を処理する際の紫外線照射の波長は、紫外線領域(約100~380nm)ならば特に制限はない。なお、オゾン‐紫外線分解反応システムS13における紫外線照射は、原水を処理している最中が良い。また、オゾン‐紫外線分解反応システムS13における紫外線照射の時間は2~12時間が望ましい。照射時間が2時間未満であると、CODやTOCの値が原水のCODやTOCの値よりも同程度かさほど変わらず、12時間以上かけてもさほど効率は上がらない。なお、この時、排水原水若しくは前処理原水のpHであるが、6.5~7.9くらいの中性域が望ましい。pH8~9の弱塩基領域やpH5前後の弱酸性領域でも紫外線照射による分解反応は可能であるが、効率は中性の時より落ちる。理由としては、オゾンガスやヒドロキシルラジカルの反応性に起因する。
【0064】
ちなみに、オゾン‐紫外線分解反応システムS13においてもまた、オゾンガスの供給量は、150~600g/h(時間)が望ましい。オゾンガスの供給量が、150g/hよりも少ないと、排水原水が殆ど処理されず、600g/hより多くてもさほど処理能力は変わらない。また、オゾン‐紫外線分解反応システムS13において、オゾン分解反応装置3内の原水の循環量は、100~200L/分である。循環量が100L/分未満であると、オゾンマイクロバブルの圧壊等がうまくいかずに原水の処理が十分になされず、200L/分より多くてもさほど処理能力が向上しないか、却って処理能力が低下する原因となる。なお、オゾン‐紫外線分解反応システムS13における処理は、1~72時間くらいが望ましい。処理時間が1時間未満であると、処理が十分になされず、72時間よりも多いと、処理は十分であるが、装置の故障を早めたり、有機物によっては却って平衡反応が進行して元の物質に戻る可能性がある。
【0065】
次に、オゾン‐紫外線分解反応システムS13で処理された原水(以下「二次的前処理原水」とする。)オゾン触媒分解処理システムS14に導入して処理する。本発明の場合、オゾン触媒分解処理システムS14は、
図1若しくは
図2に示すようなオゾン触媒反応装置4を用いて、オゾンマイクロバブルによる分解処理並びにオゾンマイクロバブル圧壊処理即ちオゾンナノバブルによる分解処理を行う。先に
図1に係る態様、即ち前処理原水を第1及び第2循環ポンプにより、オゾンマイクロバブルを含有する前処理原水が、圧壊塔により、オゾンマイクロバブルの圧壊を受けて一部がオゾンナノバブルになり、マイクロバブル及びナノバブル処理を受ける。即ち、イメージとしては、オゾンマイクロバブル及び/又はオゾンナノバブルにより、有機物の細かい部分まで酸化分解される。そして最終的には、ほとんどの有機物(有機系微小固体物質や難分解性物質)が酸化される仕組みになる。そして、更によってオゾン触媒分解処理システムS14が終わった時点で、CODやTOCの値が原水の1/8~1/12程度になる。
【0066】
ちなみに、オゾン触媒分解処理システムS14においてもまた、オゾンガスの供給量は、150~600g/h(時間)が望ましい。オゾンガスの供給量が、150g/hよりも少ないと、排水原水が殆ど処理されず、600g/hより多くてもさほど処理能力は変わらない。また、オゾン触媒分解処理システムS5において、オゾン分解反応装置3内の原水の循環量は、100~200L/分である。循環量が100L/分未満であると、オゾンマイクロバブルの圧壊等がうまくいかずに原水の処理が十分になされず、200L/分より多くてもさほど処理能力が向上しないか、却って処理能力が低下する原因となる。なお、オゾン触媒分解処理システムS14における処理は、1~72時間くらいが望ましい。処理時間が1時間未満であると、処理が十分になされず、72時間よりも多いと、処理は十分であるが、装置の故障(特に活性炭層)を早めたり、有機物によっては却って平衡反応が進行して元の物質に戻る可能性がある。
【0067】
また、オゾン触媒分解処理システムS14においては、オゾン触媒反応装置5内に設置されている第1及び第2活性炭層にて、オゾンナノバブルから生じるヒドロキシル(水酸基)ラジカルやオゾンガスそのもの等と、前処理原水に含まれる最終残存物との反応場、いわゆる触媒反応が起こることが重要な点である。先述したが、第1活性炭層57には、ペレット型活性炭が用いられ、該活性炭の直径(有効径)は6~7mmである。この設定範囲は、第2活性炭層58よりも多く(長く)設定されている。一方、第2活性炭層58には、ペレット型活性炭が用いられ、該活性炭の直径(有効径)は3~4mmである。この設定範囲は、第1活性炭層57よりも直径(有効径)が小さく(短く)設定されている。この理由としては、第1活性炭層57での触媒反応がうまくできなかった場合、更に比表面積が大きい第2活性炭層58で確実に触媒反応がほぼ定量的になされるように、第2活性炭層58に充填されるペレット型活性炭の径を第1活性炭層57に充填されるペレット型活性炭の径よりも小さくしたわけである。また、ペレット型活性炭の直径が3mm未満であると、触媒としてよりも吸着反応の方が勝ってしまい、7mmよりも大きいと、前処理原水を各層に通過させるときに十分な速さで通過できなくなる可能性がある。
【0068】
また、最終残存物を含む前処理原水を第1活性炭層57及び第2活性炭層58に通過させる際、流速10~100cm/秒で各層を通過させることが望ましい。流速が10cm/秒未満であると、触媒としてよりも吸着反応の方が勝ってしまい、流速が100cm/秒よりも早いと、吸着はおろか、触媒反応も成されない。なお、流速については、
図1に示す第4循環ポンプ53や第5循環ポンプ55の循環量で調節したり、任意の流量調節手段を用いてもかまわない。
【0069】
また、オゾン触媒分解処理システムS14及び後述するオゾン触媒分解処理システムS15をする際、逆洗をすればよい。逆洗の目的は、先に述べたように、第1活性炭層57及び第2活性炭層58の逆洗である。この逆洗の回数であるが、週1回を最低限度にすれば、特に逆洗回数や逆洗時間に制限はない。ちなみに、オゾンマイクロバブル含有水及び/又はオゾンナノバブル含有水で第1活性炭層57及び第2活性炭層58に係るペレット型活性炭を逆洗することにより、水(水道水)で逆洗するよりも、ペレット型活性炭の寿命が約8~20倍に延びる。また、逆洗についてはバッチ処理が望ましい。
【0070】
次に、オゾン触媒分解処理システムS14の後に、オゾン触媒分解処理システムS15を行う。基本操作は、オゾン触媒分解処理システムS14と同一である。しかし、オゾン触媒分解処理システムS14の後にオゾン触媒分解処理システムS14を設けないと、CODやTHFの最終濃度が、原水の1/10~1/20程度にはならない。言い換えると、本態様ではオゾン触媒分解処理システムを1段階で済ませてしまうと、CODやアルデヒドやTHF等の極性溶剤の最終濃度が原水の1/10くらいにとどまってしまう。なお、オゾン触媒分解処理システムS15で、処理し終わった水は、原水を希釈する水等に再利用が可能である。
【0071】
なお、
図3に示した態様にとどまらず、システムであればオゾン分解処理システムの後にオゾン‐紫外線分解反応システムを介してオゾン触媒処理システムを持ってくる、並びに方法であればオゾン分解処理の後にオゾン‐紫外線分解反応処理を介してオゾン触媒処理を行うということを順守すれば、ろ過処理や凝集処理等は順番を入れ替えてもよい。
【0072】
以上のようにして、CODが5000mg/L以上(約15万mg/Lくらいまで)の排水或いは、高濃度のアクリル系やガラス系といった難分解性排水の処理が上記システムによって可能となる。また気体や液体の難分解性物質、1,4-ジオキサン等を含む極性溶剤の処理も、可能になる。また、前処理システムを行う際、アルデヒドやTHF等の極性溶剤系の排水においては、塩化アンモニウムなどの中和剤を用いてもよい。
【0073】
以上のようにして、気体や液体の難分解性物質の処理もまた、可能になる。また、前処理システムを行う際、アルデヒドや1,4-ジオキサン等を含む極性溶剤系の排水においては、塩化アンモニウムなどの中和剤を用いてもよい。なお、本発明に係る排水最終処理システム及び排水最終処理方法は、
図2及び
図3に記した態様にとどまらず、システムであればオゾン分解処理システムの後にオゾン‐紫外線分解処理システムを介して、オゾン触媒処理システムを持ってくる、並びに方法であればオゾン分解処理の後に、オゾン‐紫外線分解処理を介して、オゾン触媒処理を行うということを順守すれば、ろ過処理や凝集処理等は順番を入れ替えてもよい。
【0074】
以上、本発明に係る高濃度難分解性有機物の排水最終処理装置及び該装置を使用したシステム並びにオゾンマイクロバブルによる高濃度難分解性有機物の排水最終処理方法について、実施形態を説明したが、特許請求の範囲、明細書又は図面等に記載の事項を逸脱しなければ、種々の態様を採ることが可能であることは言うまでもない。
【実施例0075】
上記実施形態について、更に実施例を述べて説明する。なお、実施例の内容に応じて、
図1乃至
図3を用いて説明する。また、下記実施例1乃至3において、オゾンガス並びにオゾンマイクロバブル及びオゾンナノバブル処理を、「オゾン処理」と記載する。
【0076】
[実施例1]極性溶剤含有難分解性排水の排水処理(オゾン処理)
実施例1において、極性溶剤含有塩基性難分解性排水の排水処理については、次のように行った。ここで言う「極性溶剤」とは、主に1,4-ジオキサンを言い、「極性溶剤含有難分解性排水」とは1,4-ジオキサン等の極性溶剤を含む排水という意味である。
【0077】
先ず、TOC(全有機体炭素)=1330mg/Lの極性溶剤含有難分解性排水をオゾン分解処理システム(オゾン分解処理装置3)にて1~4時間オゾン処理を行った。
【0078】
ここで、TOC並びに極性溶剤含有難分解性排水に含まれる1,4-ジオキサンの濃度について、処理時間毎の変化を表1に記す。
【0079】
【0080】
先ず、TOCについては、オゾン処理の処理時間を長くすることにより、その値が減少していった。次に、1,4-ジオキサンについては、オゾン処理の処理時間を長くすることにより、濃度が減少していき、オゾン処理を4時間行ったところ、濃度が処理前の約65%となった。
【0081】
[実施例2]塩基性難分解性排水の排水処理(凝集沈殿処理)
実施例2において、塩基性難分解性排水の排水処理については、主に凝集沈殿処理を行った。
【0082】
先ず、TOC(全有機体炭素)=1330mg/Lの極性溶剤含有塩基性難分解性排水(pH=11.7。以下、「塩基性排水」とする。)をオゾン分解処理システム(オゾン分解処理装置3)にて1時間オゾン処理を行った。
【0083】
次に、オゾン処理した塩基性排水に対して、ポリ塩化アルミニウム(PAC)を加えて凝集処理を行い、次に、アルカリ調整剤を添加してpHを6.8~7.2の間でpHコントロールをした。ちなみに、PAC添加時のpHは、5.3であった。そして、当該処理後のTOCは、1010mg/Lであった。
【0084】
また、PAC添加条件を同様にして、塩基性排水に対するオゾン処理時間を3時間としたところ、TOCは、910mg/Lであった。しかしながら、凝集沈殿はオゾン処理を1時間した時と比べ、起こりにくかった。
【0085】
実施例2においては、塩基性排水のTOCが、凝集沈殿の有無にかかわらず、オゾン処理時間に比例して減少することが分かった。
【0086】
[実施例3]1,4-ジオキサン等を含む極性溶剤系排水の排水処理
実施例3において、オゾン‐紫外線分解処理システム(オゾン‐紫外線分解処理装置4)の性能を確認するために、オゾン分解処理システム(オゾン分解処理装置3)により、予めCODを約2000mg/L且つTOCを約850mg/Lにした1,4-ジオキサン等を含む極性溶剤系排水の排水処理(バッチ処理)を行った。なお、オゾン‐紫外線分解処理システムにおける紫外線照射は、12時間連続で行い、且つオゾンガスは、約200g/hとして12時間連続供給をした。その結果COD及びTOC共に、約1/3程度に減少した。
【0087】
この実施例において、当該排水は、紫外線照射前の濃度は約95mg/L(ppm)であったが、紫外線照射8時間後では10ppm以下となり、それ以降の照射では時間が経つにつれ、測定限界値に近い値となった。
以上のことより、オゾンガスやオゾンマイクロバブル及びオゾンナノバブルの循環量、紫外線の照射時間等検討の余地は残されているが、少なくとも本発明によれば、ありとあらゆる高濃度の有機物や窒素(アンモニア態や硝酸性態)だけでなく、1,4-ジオキサンのような極性溶剤を含む排水の最終処理に利用することが可能である。また、オゾンマイクロバブル及び/又はオゾンナノバブルだけではなく、酸素や窒素等のマイクロバブル及び/又はナノバブルでも利用可能性がある。また、凝集沈殿により生じた沈殿は、汚泥として肥料や材料などに応用が可能である。