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特開2022-165534可塑化装置の材料供給装置および可塑化装置の材料供給方法
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  • 特開-可塑化装置の材料供給装置および可塑化装置の材料供給方法 図1
  • 特開-可塑化装置の材料供給装置および可塑化装置の材料供給方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165534
(43)【公開日】2022-11-01
(54)【発明の名称】可塑化装置の材料供給装置および可塑化装置の材料供給方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/18 20060101AFI20221025BHJP
【FI】
B29C45/18
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021070907
(22)【出願日】2021-04-20
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】永田 幹男
【テーマコード(参考)】
4F206
【Fターム(参考)】
4F206AB25
4F206JA07
4F206JE16
4F206JF02
4F206JF12
4F206JF23
4F206JF46
4F206JF51
4F206JL02
4F206JM01
4F206JN03
4F206JQ72
(57)【要約】
【課題】ホッパ等の貯留部から次工程への繊維材料を供給する際の供給不良を抑制する。
【解決手段】繊維材料Fと樹脂材料Rがそれぞれ別の貯留部26,50から供給される可塑化装置11の材料供給装置12において、繊維材料Fを貯留する貯留部26と、前記貯留部26の下方に設けられ複数の針状部材39が設けられた回転供給部32と、前記回転供給部32を回転または循環回転駆動するモータ36と、前記モータ36の駆動を制御可能な制御部37と、前記回転供給部32の下方または一側に設けられ前記回転供給部32の針状部材39に絡んだ繊維材料Fを除去する除去部43と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維材料と樹脂材料がそれぞれ別の貯留部から供給される可塑化装置の材料供給装置において、
繊維材料を貯留する貯留部と、
前記貯留部の下方に設けられ複数の針状部材が設けられた回転供給部と、
前記回転供給部を回転または循環回転駆動するモータと、
前記モータの駆動を制御可能な制御部と、
前記回転供給部の下方または供給路とは反対側に設けられ前記回転供給部の複数の針状部材に絡んだ繊維材料を除去する除去部と、を備えた可塑化装置の材料供給装置。
【請求項2】
平行方向に向い合う側壁部を備えたホッパが備えられ、
前記ホッパの上部内側に前記貯留部が設けられ、
前記ホッパの中間部内側の前記側壁部の間に前記回転供給部の複数の針状部材が突設されたローラの回転軸が保持された、請求項1に記載の可塑化装置の材料供給装置。
【請求項3】
前記ホッパの下部には、フィードスクリュと、該フィードスクリュを回転駆動するフィードスクリュ回転用モータと、該フィードスクリュ回転用モータの回転駆動を制御可能な制御部を備えたフィードスクリュ機構が備えられ、
前記フィードスクリュ機構から供給される繊維材料が樹脂材料と合流して可塑化装置に供給される、請求項2に記載の可塑化装置の材料供給装置。
【請求項4】
繊維材料と樹脂材料がそれぞれ別の貯留部から供給される可塑化装置の材料供給方法において、
繊維材料を貯留する貯留部と、
前記貯留部の下方に設けられ複数の針状部材が設けられた回転供給部と、
前記回転供給部を回転または循環回転駆動するモータと、
前記モータの駆動を制御可能な制御部とが備えられ、
前記制御部はモータの回転速度、回転数、回転時間、回転のタイミングの少なくとも一つを制御して繊維材料の供給量の制御を行う、
可塑化装置の材料供給方法。
【請求項5】
前記繊維材料の供給量の制御は、可塑化装置のフィードゾーンのスクリュの溝部と加熱シリンダの内孔の間に前記繊維材料と前記樹脂材料が完全に充満していない飢餓状態を保って可塑化が行われるように制御される、請求項4に記載の可塑化装置の材料供給方法。
【請求項6】
前記繊維材料は、強化繊維樹脂の成形物を再処理して繊維材料のみが取り出されたリサイクル繊維材料である、請求項4または請求項5に記載の可塑化装置の材料供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維材料と樹脂材料がそれぞれ別の貯留部から供給される可塑化装置の材料供給装置および可塑化装置の材料供給方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、繊維材料と樹脂材料がそれぞれ別の貯留部から供給される可塑化装置の材料供給装置としては特許文献1や特許文献2に記載されたものが知られている。
【0003】
特許文献1には、ホッパが取り付けられたフィード装置から炭素繊維材料Fと樹脂材料Rがそれぞれ攪拌装置に供給されて攪拌されて可塑化装置に供給されることが記載されている。また特許文献2には、ホッパが取り付けられ供給量を調節可能なフィード装置から炭素繊維材料Fと樹脂材料Rが供給量を調節して可塑化装置に飢餓供給し、飢餓成形を行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-72959号公報
【特許文献2】特開2019-48435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら特許文献1および特許文献2の材料供給装置はいずれも繊維材料が貯留されるホッパから次工程のフィード装置に向けては繊維材料等を自然落下させるものであった。そのためホッパから次工程のフィード装置等への繊維材料の供給量の制御ができないものであった。具体的には前記特許文献1および特許文献2の材料供給装置においては、フィードスクリュの溝から溢れた繊維材料がホッパの細径部分でブリッジ状の塊となり、繊維材料の落下が良好にできない場合があった。また取り分け成形物を再処理して繊維材料のみが取り出されたリサイクル繊維材料の場合は、サイジング材等が付着されていない場合が殆どであり、比重が軽いこともあり、ホッパ等の貯留部から次工程への繊維材料を供給する際に供給不良が発生しやすかった。
【0006】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に記載の可塑化装置の材料供給装置は、繊維材料と樹脂材料がそれぞれ別の貯留部から供給される可塑化装置の材料供給装置において、繊維材料を貯留する貯留部と、前記貯留部の下方に設けられ複数の針状部材が設けられた回転供給部と、前記回転供給部を回転または循環回転駆動するモータと、前記モータの駆動を制御可能な制御部と、前記回転供給部の下方または供給路とは反対側に設けられ前記回転供給部の複数の針状部材に絡んだ繊維材料を除去する除去部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の可塑化装置の材料供給装置は、繊維材料と樹脂材料がそれぞれ別の貯留部から供給される可塑化装置の材料供給装置において、繊維材料を貯留する貯留部と、前記貯留部の下方に設けられ複数の針状部材が設けられた回転供給部と、前記回転供給部を回転または循環回転駆動するモータと、前記モータの駆動を制御可能な制御部と、前記回転供給部の下方または供給路とは反対側に設けられ前記回転供給部の複数の針状部材に絡んだ繊維材料を除去する除去部と、を備えるので良好な繊維材料の供給が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態の可塑化装置の材料供給装置の断面図である。
図2】本実施形態の可塑化装置の材料供給装置の要部の断面図である。
図3】本実施形態の可塑化装置の材料供給装置の要部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本実施形態の可塑化装置の材料供給装置について図1ないし図3を参照して説明する。本実施形態の可塑化装置11の材料供給装置12は、繊維材料Fと樹脂材料Rというように繊維材料と樹脂材料がそれぞれ別の貯留部から供給される可塑化装置の材料供給装置である。
【0011】
先に図1を参照して可塑化装置11について説明する。本実施形態の可塑化装置は、射出成形機の射出装置である。射出装置の加熱シリンダ13は、所定肉厚の円筒部材であり、ヒータ13aと図示しない熱電対がそれぞれ複数配設され、各ヒータ13aのゾーンごとに温度制御が可能となっている。そして加熱シリンダ13の軸方向の中心に設けられた内孔13bには計量および射出用のスクリュ14が回転可能かつ前後進可能に配設されている。スクリュ14にはフライト14aが設けられ,フライト14a同士の間は溝部14bが形成されている。またスクリュ14は、後方から前方に向けてフィードゾーン14c、コンプレッションゾーン14d、メタリングゾーン(図示せず)が形成されている。そしてスクリュ14は、計量時には前記フィードゾーン14cに供給されたリサイクル炭素繊維材料等の繊維材料Fを含む樹脂材料Rを混練・可塑化しながらスクリュ14前方の内孔13b内に送り溶融材料として貯留し、射出時はスクリュ14の前進により前記貯留した溶融材料を図示しない金型内のキャビティ内へ射出する役割を有する。
【0012】
加熱シリンダ13の前方には図示しないノズルが固着されており、前記射出の際はノズルを介してキャビティへの射出がなされる。また加熱シリンダ13の後部寄りの上部には材料を供給する材料供給孔16が設けられている。そして加熱シリンダ13の材料供給孔16の部分の周囲には、ハウジング部15(前プレート)が固着されている。ハウジング部15のうち前記加熱シリンダ13の材料供給孔16に接続される部分には、材料供給装置12に接続される材料供給口17が設けられている。
【0013】
射出成形機の可塑化装置11である射出装置の駆動部等については公知であるので図示しての説明は省略するが、スクリュ14を回転させるための計量用サーボモータ(計量用モータ)、スクリュ14を前後進させるための図示しない射出用サーボモータ、射出時や計量時にスクリュ14の軸方向にかかる力を検出する図示しないロードセル、射出装置全体を前後進させるとともにノズルを金型のノズルタッチ面に向けて押圧する図示しないノズルタッチ機構などが設けられている。計量用サーボモータと射出用サーボモータには回転数(回転角度)を検出するロータリエンコーダが備えられている。また前記計量用サーボモータおよび射出用サーボモータのロータリエンコーダやロードセル等は、可塑化装置11等を制御するコントローラである制御部37に接続されている。
【0014】
次に材料供給装置12について説明する。本実施形態の材料供給装置12は、貯留部を備えた繊維材料の供給装置21、繊維材料のフィード装置22、貯留部を備えた樹脂材料の供給装置23、樹脂材料のフィード装置24、繊維材料のフィード装置22と樹脂材料のフィード装置24からそれぞれ供給された繊維材料Fと樹脂材料Rが混合される混合部である供給筒部18からなっている。上記のうち貯留部を備えた繊維材料の供給装置21が本発明の要部となる部分である。
【0015】
貯留部を備えた繊維材料の供給装置21は、外殻部としてのホッパ25を備えている。ホッパ25への繊維材料Fの供給は、別の空気搬送等の供給装置によるものでもよく、作業者が直接繊維材料Fを供給するものでもよい。ホッパ25は、上部25aおよび中間部25bが水平方向の断面が矩形の箱型構造となっている。そしてホッパ25の下部25cは、下方に向けてホッパ内の容積が減少するように傾斜面またはテーパー面となっている。ホッパ25は鉄やステンレス製の薄板で構成されているが、樹脂、ガラス、木など他の材質で構成されているものでもよい。
【0016】
ホッパ25の上部25a内側は、供給された繊維材料Fを溜めておく貯留部26となっている。図3に示されるようにホッパ25は、平行方向に向かい合う垂直方向の面を備えた側壁部27,28を備えている。また前記2面の側壁部27,28の端部同士を接続する2面の側壁部29,30もまた平行方向に向かい合う垂直方向の面を備えている。一方の側壁部29の側の上部25aの内側には、繊維材料Fの供給方向を中央側に絞るための斜め壁部31が取り付けられており、貯留部26は、下方に向かうほど中央に向けて絞られ、水平方向の断面が狭くなっている。なお垂直方向の側壁部29と斜め壁部31は必須ではなく、側壁部29自体が傾斜していてもよい。
【0017】
また本実施形態では、ホッパ25の斜め壁部31と対向する側の側壁部30は、上部25aと中間部25bにおいて2枚構造となっている。そして内側の側壁部30aは図2の矢印Aに示されるように外側の側壁部30bに対して移動可能となっており、貯留部26の断面積や後述する回転供給部32のローラ33と側壁部30aの間の間隔が変更可能となっている。なお移動可能な内側の側壁部30aについては必須のものではなく、側壁部30は1枚構造でもよい。また側壁部30については垂直方向のものに限定されず、ホッパ25の上部が広がっており、中間部に向けて貯留部26が狭くなるような傾斜面を備えたものでもよい。前記貯留部26には繊維材料Fの有無を検出するレベルセンサを設けてもよい。
【0018】
ホッパ25の中間部25bには回転供給部32が設けられている。より具体的には平行方向に向い合う側壁部27,28の間には回転供給部32のローラ33の回転軸34が回転自在に保持されている。回転軸34は両側の側壁部27,28にそれぞれ設けられたベアリングからなる軸支部35を介して取付られていてもよく、両側の側壁部27,28が厚肉に形成され、側壁部27,28の厚肉部に形成された挿通孔のみからなる軸支部に回転自在に挿通されたものでもよい。回転軸34の一方の端部は前記軸支部35からホッパ25外に向けて突出しており、ホッパ25外に設けられたモータ36により回転可能となっている。従ってモータ36の駆動による回転軸34の回転とともにローラ33も図2の矢印Bの方向に回転される。モータ36はサーボモータであることが好ましく、サーボアンプを含む材料供給装置12を制御するコントローラである制御部37に接続されている。そして前記制御部37は、モータ36の回転駆動を制御可能となっている。
【0019】
より具体的には、前記制御部はモータの回転速度、回転数、回転時間、回転のタイミングの少なくとも一つを制御する。ここにおいてモータの回転速度には加速度なども含まれる。回転のタイミングとは他のフィード装置等の作動とタイミングを連動させるものなどである。なお本発明におけるモータ36の回転数の制御は、単に電流値を制御するようなオープン制御のものも含まれる。またモータ36の回転時間や回転のタイミングの制御についてはモータ36に送られる電流のオン・オフ制御も含まれる。
【0020】
ホッパ25の中間部25bに水平方向に設けられる回転軸34には、ローラ33が固着されている。ローラ33は鉄やステンレス等の金属製であり、ローラ33の円筒面33aに硬質ゴム等の基布38の多数の針状部材39が形成された剣山状の針布40を巻き付け、図示しないボルトや接着剤により固定することにより回転供給部32が形成されている。針布40は、多数のU字状の金属部材の2本の針状部材39が、基布38の裏面側から表面側に突出されることにより形成されるものが多い。ただしローラ33に設けられる針状部材39は針布40を用いずに複数の針状部材39を円筒面33aに固定したものでもよい。
【0021】
本実施形態のローラ33の外周面33bに突設形成される針状部材39の形状については、繊維材料Fが絡んで外れなくなることを防止するために、それぞれ分岐はされておらず先端が尖った釘状の形状をしている。針状部材39は、長さが15mm、太さ1.5mmである。針状部材39の長さは、繊維材料Fとの関係で最適のものが選定されるのでこれに限定されるものではないが、3mm以上30mm以下、更に好ましくは5mm以上20mm以下であることが望ましい。また針状部材39は、繊維材料Fの平均長さとの関係においては、これに限定されるものではないが、繊維材料Fの平均長さ以上であって繊維材料Fの平均長さの10倍以下であることが好ましい。針状部材39の長さが短すぎると、針状部材39の間に繊維材料Fが良好に絡まず繊維材料Fの供給に支障が生じる場合がある。また針状部材39の長さが長すぎると、針状部材39に絡んだ繊維材料を除去させにくくなり、こちらも繊維材料Fの供給に支障が生じる場合や、繊維材料Fの供給量の供給量の微調整が行いにくくなる場合がある。なおローラ33と針状部材39の関係は、ローラ33の外周側が針状となっていればよいので、針状部材39が根元から分岐したものを除外するわけではない。
【0022】
また本実施形態における針状部材39同士の間隔は、これに限定されるものではないが、基布38の表面において、回転軸34の軸方向における針状部材39同士の間隔が10mm、回転軸34に直交する方向(帯状の針布40の長さ方向)における針状部材39同士の間隔が10mmとなっている。また基布38の表面における針状部材39同士の間隔は、3mm以上15mm以下、更に好ましくは5mm以上13mm以下であることであることが望ましい。針状部材39同士の間隔は、繊維材料Fの平均長さとの関係においては、これに限定されるものではないが、繊維材料Fの平均長さ以上であって5倍以下が好ましい。針状部材39同士の間隔が小さすぎると、複数の針状部材39の間に繊維材料が絡みにくくなるか、または針状部材39の間に絡んだ繊維材料Fを除去させにくくなる場合がある。また針状部材39同士の間隔が大きすぎるとローラ33を回転させる前に針状部材39同士の間から繊維材料Fが自重落下してしまう場合がある。またローラ33の直径は、これに限定されるものではないが、30mm以上、300mm以下が好ましい。
【0023】
なお、ローラ33は、真円の円筒面を備えたものに限定されない。また回転供給部32については、2軸以上の回転軸の間に複数の針状部材が設けられたベルトが掛け渡されたものでもよい。その場合はベルト自体が針布からなっているものでもよい。そしていずれかの回転軸がモータにより駆動されることにより、ベルト式の回転供給部32のベルトが複数の軸の間で循環回転駆動される。その場合、回転軸の間のベルトの直線部分は、水平でもよく供給方向に向けて下降するように傾斜していてもよい。いずれにしてもベルト式の回転供給部32の上方が貯留部26となり、下方が材料落下空間部42となる。
【0024】
回転供給部32のローラ33の回転供給時に針状部材39が上方から下方に向けて回転移動する側には、ホッパ25の側壁部30のうちの移動可能な側壁部30aが回転軸34と平行に対向形成されている。そして前記側壁部30aとローラ33の間の部分が繊維材料Fの供給路41となっている。この供給路41の部分における針状部材39の先端39aと側壁部30aの壁面との間隔は、先端39aが側壁部30aの壁面に当接しない最低の間隔でもよいが、繊維材料Fの平均長さの1/2程度の隙間が存在していてもよい。
【0025】
ホッパ25において回転供給部32が設けられる中間部25bよりも下側の下部25cは、材料落下空間部42となっている。そして回転供給部32のローラ33の下方の材料落下空間部42には、除去部43が設けられている。本実施形態では、平行方向に向い合う側壁部27,28の軸支部の間には除去部43のローラ44の回転軸45が回転自在に保持されている。ローラ44についても回転供給部32のローラ33と同様に針布46が巻き付けられることにより針状部材47が複数形成されている。また除去部43のローラ44の回転軸45の一方の端部45aは前記軸支部からホッパ25外に向けて突出しており、ホッパ25外に設けられたサーボモータ等のモータ49により回転可能となっている。従ってモータ49の駆動による回転軸45の回転とともにローラ44も、図2の矢印Cの方向に回転される。またモータ49は制御部37に接続され、モータ36と同様に、モータ49のモータの回転速度、回転数、回転時間、回転のタイミングの少なくとも一つを制御可能となっている。
【0026】
回転供給部32のローラ33に形成された針状部材39が設けられる位置と、除去部43のローラ44に形成された針状部材47が設けられる位置は、回転軸の軸方向において一致しておらず、両方のローラ33,44がそれぞれのモータ36,49により回転された際に双方の針状部材39,47同士が干渉して接触せず、回転供給部32の針状部材39と針状部材39の間に、除去部43のローラ44に形成された針状部材47が挿入されるようになっている。また回転供給部32のローラ33を回転させるモータ36と除去部43のローラ44を回転させるモータ49は、一つのモータを駆動源として別のベルト等の駆動力伝達機構により両方のローラ33,44を同時に回転させるものでもよい。
【0027】
なお除去部43のローラ44が設けられる位置は、ローラ33の針状部材39が通過する供給路41とは反対側の回転供給部32のローラ33の回転時に針状部材39が下方から上方に向けて回転移動される側であってもよい。また除去部43は、回転可能なローラではなく、複数の針状部材を備えた櫛歯状の針状部材が固定的に設けられたものでもよい。その場合回転供給部32の針状部材39と針状部材39の間に前記櫛歯状の針状部材が挿入されるようになっている。
【0028】
ホッパ25の材料落下空間部42は、ホッパ25の中間部25bの水平方向の断面が同じ部分から、前記断面が徐々に小さくなるホッパ25の下部25cにかけて形成されている。この部分では上記したように回転供給部32のローラ33の針状部材39から繊維材料Fを除去する必要があるので、繊維材料Fを滞留させない空間となっている。また回転供給部32のローラ33と側壁部29の間、または前記ローラ33と側壁部29と斜め壁部31の間のホッパ25内部には一定の空間部が形成されている。またホッパ25の下部25cの下端は縮径されて繊維材料Fの排出口48が設けられている。なおこのホッパ25の下部25cの部分に繊維材料Fの有無を検出するレベルセンサを設けてもよく、排出口48についても開閉するシャッタを設けてもよい。更には繊維材料Fを含むホッパ全体の重量をロードセルにより計測可能としてもよい。またホッパとは、内部空間を備えたものであれば、市販されるホッパの概念以外のものでもよい。
【0029】
次に材料供給装置12の貯留部を備えた繊維材料の供給装置21以外の部分について説明する。貯留部を備えた繊維材料の供給装置21のホッパ25の排出口48は、繊維材料のフィード装置22の上部の供給口51に接続されている。繊維材料のフィード装置22の供給筒52は、水平方向または供給口とは反対側の排出口54側が上側となるように傾斜して設けられ、前記供給筒52の内部にフィードスクリュ53が回転可能に設けられる。そしてフィードスクリュ53はサーボモータ等のモータ55により回転数が制御可能となっている。また繊維材料のフィード装置22の排出口54は、繊維材料Fと樹脂材料Rが混合される混合部の供給筒部18に接続されている。なお繊維材料のフィード装置22は、重量計測して供給量を制御することのできる重量フィーダとしてもよい。
【0030】
また貯留部26とは別の貯留部を備えた樹脂材料の供給装置23は、一般的には内部に貯留部50を備えたホッパ56であり、ホッパ56の下部の排出口57は樹脂材料のフィード装置24に接続されている。なお樹脂材料の供給装置23の排出口57やその近傍には、樹脂供給を制御するシャッタや大気連通を制御する機構が設けられる場合もある。樹脂材料のフィード装置24については、繊維材料のフィード装置22と同様であり、供給筒58の内部にフィードスクリュ59を備え、フィードスクリュ59はモータ60により回転駆動される。なお繊維材料のフィード装置22と樹脂材料のフィード装置24で、フィードスクリュ53,59は同じ形状のものでもよいが、別の形状のものにしてもよい。樹脂材料のフィード装置24の排出口61もまた繊維材料Fと樹脂材料Rが混合される混合部である供給筒部18に接続されている。
【0031】
本実施形態において混合部は内部が空洞の供給筒部18であり、供給筒部18の下端は、可塑化装置11の材料供給口17に接続されている。なお特許文献1のように混合部の部分にぞれぞれの材料を攪拌する回転体等の材料攪拌部を設けてもよい。また繊維材料Fと樹脂材料Rは別の材料供給口から加熱シリンダ13内に供給されるようにしてもよい。
【0032】
なお本発明において材料供給装置12の繊維材料のフィード装置22と樹脂材料のフィード装置24は必須のものではなく、繊維材料Fは貯留部を備えた繊維材料の供給装置21から直接、可塑化装置11に投入されるものでもよい。また樹脂材料Rについても貯留部を備えた材料の供給装置23から直接、可塑化装置11に投入されるものでもよい。また繊維材料Fと樹脂材料Rは材料供給装置12において合流・混合されて可塑化装置11に供給されるものではなく、可塑化装置11の別個の供給孔からそれぞれ繊維材料Fと樹脂材料Rが供給されるものでもよい。
【0033】
次に本発明の可塑化装置11の材料供給方法、取りわけ貯留部を備えた繊維材料の供給装置21による繊維材料Fの供給方法について説明する。本発明において使用される繊維材料Fは、長短が含まれる場合があるがある長さを備えた繊維材料の集合体であり、ロービングからそのまま送り出されるエンドレス状の繊維材料は対象ではない。繊維材料Fは樹脂と混合されて成形される強化繊維樹脂であり、炭素繊維、ガラス繊維、ポリイミド繊維、アラミド繊維などが相当する。
【0034】
また特に本発明は、強化繊維樹脂の成形物を再処理して繊維材料のみが取り出されたリサイクル繊維材料の材料供給に適している。リサイクル炭素繊維などのリサイクル繊維材料は、一例として最長の繊維の長さが30mm以内であり平均繊維長さが3mmから6mm程度の繊維の集合体である。そしてリサイクル繊維材料は、サイジング材などが添加されていないことが一般的であるので、比重も小さく、そのままホッパに投入しても良好に落下しないでホッパの中間部や下部にブリッジ状に堆積してしまうことも多い。
【0035】
また特に本発明は、飢餓成形の際の繊維材料Fの供給に適している。飢餓成形の場合の繊維材料Fの供給量の制御は、可塑化装置11のスクリュ14のフィードゾーン14cの溝部14bと加熱シリンダ13の内孔13bの間に繊維材料Fと樹脂材料Rが完全に充満していない飢餓状態を保って可塑化が行われるように制御される。
【0036】
リサイクル炭素繊維からなる繊維材料F(以下は単に繊維材料Fと記載する)は、材料供給装置12の貯留部を備えた繊維材料の供給装置21のホッパ25の貯留部26に前工程の供給装置または作業者により供給される。また同様に貯留部50を備えた樹脂材料の供給装置23のホッパ56の貯留部50にも樹脂ペレットからなる樹脂材料Rが供給される。樹脂材料Rは、熱可塑性樹脂が好適に用いられるが熱硬化性樹脂であってもよい。また樹脂材料Rは、バージン樹脂材料であってもリサイクル樹脂材料であってもよい。
【0037】
ホッパ25の貯留部26に供給された繊維材料Fは、その一部が回転供給部32のローラ33の針状部材39の間に挟まった状態となっているが、ローラ33が回転されない状態では、供給路41を介して下方に向けて落下されない。そしてモータ36が駆動させてローラ33が図2の矢印Bの方向に回転されると、ローラ33の針状部材39に挟まった繊維材料Fは、供給路41の部分を針状部材39とともに上方から下方に向けて通過しローラ33の下方の材料落下空間部42へと送られる。
【0038】
この際のモータ36は、制御部37によりモータ36の回転速度、回転数、回転時間、回転のタイミングの少なくとも一つが制御される。より具体的には繊維材料Fの供給量は、モータ36がサーボモータの場合、回転速度と回転時間により制御される。ただしローラ33の回転数だけ別の検出手段により検出し、ローラ33の回転数が所定の値に到達した時点でモータ36の駆動を停止するようにしてもよく、モータ36の回転駆動の制御方法は限定されない。またモータ36の駆動による繊維材料Fの供給は、成形サイクルに同期させて、ほぼ1成形分を供給するようにしてもよく、所定の飢餓成形の条件を保つように供給してもよい。
【0039】
回転前にローラ33の針状部材39の上部や針状部材39同士の間に挟まっていた繊維材料Fは、ローラ33が約1/2回転して針状部材39が下向きになって材料落下空間部42に送られると、過半の繊維材料Fは自重によりローラ33から落下して、排出口48を介して繊維材料のフィード装置22の供給口51に向けて送られる。ただし一部の繊維材料Fは、ローラ33の針状部材39の間に絡んだ状態となっている。
【0040】
また回転供給部32のローラ33の回転の際、同時に除去部43のローラ44もモータ49の駆動により図に示される矢印Cの方向に回転される。本実施形態では、図2に示されるように、回転供給部32のローラ33の回転方向と、除去部43のローラ44の回転方向は同じ方向である。そのためローラ33の下側における針状部材39の移動方向とローラ44の上側における針状部材47の移動方向は逆方向となる。そして回転供給部32のローラ33の針状部材39の間に絡んだ繊維材料Fは、除去部43のローラ44の針状部材47が、ローラ33の針状部材39と針状部材39の間を通過することにより、針状部材47に捕集されて除去される。また除去部が固定的に設けられた櫛歯状の針状部材である場合も同様にローラ33の針状部材39に絡んだ繊維材料Fを除去できる。また除去部43のローラ44の回転方向は、ローラ33の回転方向と別方向(針状部材が交錯する部分では針状宇部材同士は同方向に回転移動)であっても両者の回転速度に大きな差を設けて、同様にローラ33の針状部材39に絡んだ繊維材料Fを除去するようにしてもよい。
【0041】
この繊維材料Fの供給の際、ホッパ25の材料落下空間部42内に繊維材料Fが充満してしまうと、回転供給部32のローラ33の針状部材39に絡んだ繊維材料Fが除去できなくなるので、該繊維材料Fが材料落下空間部42内に滞留しないで最適量が供給されるように、制御部37によりモータ36の回転速度等が制御される。
【0042】
またホッパ25の貯留部26の側では、繊維材料Fがローラ33の針状部材39に絡められて供給路41に送られるたびに、上方から新しい繊維材料Fが自重により落下してくる。そして新しい繊維材料Fは、繊維材料Fが除去されて1回転してきたローラ33の針状部材39により次々と絡められて供給路41を経由してホッパ25の下部25cの材料落下空間部42へ送られる。この回転供給部32により繊維材料Fの供給はモータ36が停止するまで継続される。そして繊維材料のフィード装置22に供給された繊維材料Fは、制御部37により制御されるモータ55の回転駆動により、混合部である供給筒部18および材料供給口17等を経て可塑化装置11の加熱シリンダ13の内孔13bに供給される。
【0043】
また樹脂材料Rについては、貯留部を備えた繊維材料の供給装置21の貯留部26とは別の、貯留部を備えた繊維材料の供給装置23のホッパ56の貯留部50に貯留されている。そして樹脂材料Rの自重によりホッパ56から樹脂材料のフィード装置24に供給される。樹脂材料のフィード装置24に供給された樹脂材料Rは、制御部37により制御されるモータ60の回転駆動により、混合部である供給筒部18および材料供給口17等を経て可塑化装置11の加熱シリンダ13の内孔13bに供給される。これらの各モータ36,49,55,60の制御は、可塑化装置11のスクリュ14のフィードゾーン14cの溝部14bと加熱シリンダ13の内孔13bの間に繊維材料Fと樹脂材料Rが完全に充満していない飢餓状態を保つように回転速度、回転数、回転時間の少なくとも一つが制御される。
【0044】
なおこの際の繊維材料F等の供給量制御は、ホッパ25、56または繊維材料のフィード装置22や樹脂材料のフィード装置24に重量計を設けてその検出値から各モータ36,49,55,60の制御を行い、供給量の制御をしてもよく、可塑化装置11の計量モータのトルク等を検出して、その検出値から各モータ36,49,55,60の制御を行い、供給量の制御をしてもよい。
【0045】
なお本発明において、可塑化装置は、スクリュを内蔵した加熱シリンダを備えた可塑化装置とプランジャを内蔵した加熱シリンダを備えた射出装置を連結したプリプラ(登録商標)式の射出成形機であってもよい。更に可塑化装置は、スクリュを備えた加熱シリンダ内で繊維材料と樹脂材料を可塑化し、加熱シリンダの先端のダイからプレス装置の下型に供給するスタンピング成形用の供給装置でもよい。更にまた可塑化装置は、繊維材料と樹脂材料を加熱シリンダ内で可塑化して先端のダイから押出す押出機の可塑化装置であってもよい。押出機の場合は、押し出された板状の強化繊維樹脂成形品を所定寸法に切断するなどして最終成形品とするものでもよく3細かく切断して強化繊維含有樹脂ペレットを造粒するものでもよい。
【0046】
また可塑化装置11に供給される繊維材料Fは、まだ成形品にされたことのない繊維材料であってもよい。更に繊維材料は、炭素繊維以外にガラス繊維や他の繊維材料であってもよい。またはガラス繊維と炭素繊維といった複数種の繊維材料の混合物であってもよい。また樹脂材料Rについてもその種類は限定されない。
【0047】
実施形態の可塑化装置の材料供給方法では、材料の供給量を制限する飢餓成形および飢餓供給について説明した。しかし本発明は、材料供給口17の部分に繊維材料Fと樹脂材料Rが貯留される一般的な材料供給方法を除外するものではない。この場合、18の部分に材料の有無を検出するレベルセンサを設けてもよい。また18の部分に加熱シリンダ13の内孔13bに向けて材料を押し込む押込装置を設けてもよい。
【0048】
本発明については、一々列挙はしないが、上記した本実施形態のものに限定されず、上記の各記載を組み合わせたものや当業者が本発明の趣旨を踏まえて変更を加えたものについても、適用されることは言うまでもないことである。
【符号の説明】
【0049】
11 可塑化装置
12 材料供給装置
13 加熱シリンダ
14 スクリュ
21 貯留部を備えた繊維材料の供給装置
25、56 ホッパ
32 回転供給部
33 ローラ
34 回転軸
36,49,55,60 モータ
37 制御部
39 針状部材
43 除去部
F 繊維材料
R 樹脂材料
図1
図2
図3