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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165570
(43)【公開日】2022-11-01
(54)【発明の名称】開閉器
(51)【国際特許分類】
   H01H 31/02 20060101AFI20221025BHJP
   H01H 33/53 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
H01H31/02 A
H01H33/53 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021070964
(22)【出願日】2021-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000231154
【氏名又は名称】日本高圧電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101535
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 好道
(74)【代理人】
【識別番号】100161104
【弁理士】
【氏名又は名称】杉山 浩康
(72)【発明者】
【氏名】金子 孝
(57)【要約】
【課題】配電線路の電線等に接続される接続部が2個有するブッシングを備えた開閉器において、本体ケースをコンパクトに形成できる開閉器を提供する。
【解決手段】内部に固定電極部4と可動電極部5を有する本体ケース42を備え、本体ケース42の対向する側面に、ブッシング取付け用穴50を設け、一方のブッシング取付け用穴50に対し、本体ケース42の外側から第1ブッシング10を取り付け、他方のブッシング取付け用穴50に対し、本体ケース42の外側から第2ブッシング11を取り付けて設け、第1ブッシング10は、固定電極部4と電気的に接続される導電体10bを有し、第2ブッシング11は、可動電極部5と電気的に接続される導電体11bを有し、
第1ブッシング10又は/及び第2ブッシング11の導電体10a,11bは、接続部10c,11cを複数有するとともに、固定電極部4又は可動電極部5に挿着される挿着部10a,11aが1つである。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に固定電極部と可動電極部を有する本体ケースを備え、本体ケースの対向する位置にある2つの側面に、夫々1個のブッシング取付け用穴を設け、一方のブッシング取付け用穴に対し、本体ケースの外側から第1ブッシングを取り付け、他方のブッシング取付け用穴に対し、本体ケースの外側から第2ブッシングを取り付けて設け、
前記第1ブッシングは、前記固定電極部と電気的に接続される導電体を有し、
前記第2ブッシングは、前記可動電極部と電気的に接続される導電体を有し、
前記第1ブッシング又は/及び前記第2ブッシングの導電体は、その配電線路の電線等と接続される接続部を複数有するとともに、固定電極部又は可動電極部に挿着される挿着部が1つであることを特徴とする開閉器。
【請求項2】
少なくとも前記第1ブッシングの導電体は、前記接続部を複数有することを特徴とする請求項1記載の開閉器。
【請求項3】
接続部を複数有する導電体を備えたブッシングの接続部以外が、金属で形成された外側ケースにより覆われていることを特徴とする請求項1又は2記載の開閉器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉器に関するもので、詳しくは、高圧配電線路などの電路を開閉するために使用されるユニット型の開閉器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、本体ケースの内部に可動電極部と固定電極部を設け、本体ケースの外側に設けた操作ハンドルを操作することにより、可動電極部を回動させて、電路の開閉を行う開閉器が知られている。
【0003】
また、固定電極に接続するブッシングとして、配電線路の電線等に接続される接続部が2個有するものと、1個有するものが知られている。
【0004】
このうちの図5に示すように、接続部102を2個有する開閉器101は、固定電極部103と電気的に接続される導電体104を2本有し、導電体104の固定電極部103側端部は、本体ケース105内に挿入され、本体ケース105内において2本の導電体104は、接続体106により電気的に接続されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来の図5に示す開閉器101は、本体ケース105内において2本の導電体104が、相互に電気的に接続されているとともに、2本の導電体104を上下に配置する必要があるため、本体ケース105が大きくなるという問題がある。
【0006】
また、固定電極に接続するブッシングとして、配電線路の電線等に接続される接続部が1個有するものと、2個有するものでは、本体ケース内における導電体と固定電極部との接続部分の構造が異なるため、本体ケースを兼用することが難しいという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は上記の問題を解決した開閉器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の課題を解決するために、本発明は、内部に固定電極部と可動電極部を有する本体ケースを備え、本体ケースの対向する位置にある2つの側面に、夫々1個のブッシング取付け用穴を設け、一方のブッシング取付け用穴に対し、本体ケースの外側から第1ブッシングを取り付け、他方のブッシング取付け用穴に対し、本体ケースの外側から第2ブッシングを取り付けて設け、
前記第1ブッシングは、前記固定電極部と電気的に接続される導電体を有し、
前記第2ブッシングは、前記可動電極部と電気的に接続される導電体を有し、
前記第1ブッシング又は/及び前記第2ブッシングの導電体は、その配電線路の電線等と接続される接続部を複数有するとともに、固定電極部又は可動電極部に挿着される挿着部が1つであることを特徴とするものである。
また、少なくとも前記第1ブッシングの導電体は、前記接続部を複数有してもよい。
【0009】
また、接続部を複数有する導電体を備えたブッシングの接続部以外が、金属で形成された外側ケースにより覆われていてもよい。
【発明の効果】
【0010】

本発明は、本体ケースの対向する位置にある2つの側面に、夫々1個のブッシング取付け用穴を設け、夫々のブッシング取付け用穴に対し、本体ケースの外側から第1ブッシングと第2ブッシングを取り付けて設け、第1ブッシング又は/及び第2ブッシングの導電体を、その配電線路の電線等と接続される接続部を複数有するとともに、固定電極又は可動電極に挿着される挿着部を1つとしたことにより、従来の本体ケース内において、第1ブッシングの2本の導電体を電気的に接続した開閉器と比較して、本体ケース内の構造を簡略化できるとともに、本体ケースをコンパクトに形成できる。
【0011】
また、本体ケースの対向する位置にある2つの側面に、夫々1個のブッシング取付け用穴を設けるだけでよいため、ブッシングを交換するのみで、第1ブッシング又は/及び第2ブッシングの接続部が夫々1個の開閉器とすることができ、本体ケースを兼用することができ、製造コストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施例に係る開閉器の正面図。
図2図1の右側面図。
図3図2の縦断面図。
図4】本発明の実施例に用いるブッシングの縦断面図。
図5】従来技術の開閉器の縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を実施するための形態を図に基づいて説明する。
【0014】
図1は開閉器1の正面図、図2は右側面図、図3図2の縦断面図である。
【0015】
開閉器1は、ステンレス等の金属で形成された第1ケース2を有し、第1ケース2は、上面が開口する箱形状に形成されている。
【0016】
第1ケース2の内部には、1相毎に分割されたユニットケース3が、図1,3に示すように、3相分設けられ、それぞれが台板12に固設されている。ユニットケース3は、絶縁性の樹脂材料で形成され、上面が開口した略長方形の箱形状に形成されている。絶縁性の樹脂材料としては、例えば、不飽和ポリエステェル樹脂材料、エポキシ樹脂材料が挙げられ、本実施例においては、絶縁性で強度の高いガラス繊維を混合したエポキシ樹脂材料を使用した。
【0017】
ユニットケース3の内部には、固定電極部4と可動電極部5が設けられている。
【0018】
ユニットケース3における対向する位置にある両側壁部3a,3bには、その表裏に貫通する貫通穴3c、3dが設けられ、貫通穴3c,3dの周囲には、外側方向へ突出する筒形状の突出壁6,7が貫通穴3c,3dと同心円状で二重に形成されている。
【0019】
貫通穴3cには、固定電極部4に電気的に接合された第1接続導電体8が挿通し固定され、貫通穴3dには、可動電極部5に電気的に接合された第2接続導電体9が挿通し固定されている。接続導電体8,9は、導電材料で形成され、その周囲に突出壁6,7が形成されている。突出壁6,7の横断面形状は、円形以外にも、楕円形や正方形や長方形など任意の連続した壁を有する形状に設定することができる。
【0020】
夫々の接続導電体8,9において、ユニットケース3より外側へ突出した接続部8a,9aには、後述するブッシング10,11の挿着部10a,11aが接続されている。接続導電体8,9は、ブッシング10、11と電気的に接続できる構成であればよく、接続導電体8,9の外側端部が突出壁6,7の端部より外側方向へ突出していても、突出していなくてもよい。
【0021】
固定電極部4における接続導電体8の内側端部には、導電性の金属材料で形成された一対の固定接触子15a,15aが、接続導電体8を挟持するとともに、回動しないように固着されている。固定接触子15a,15aの内側には図示しない突起部が設けられている。
【0022】
可動電極部5は、導電性の金属材料で形成された可動接触子20で構成され、可動接触子20は、図3に示すように、湾曲する逆V字形状に形成されている。可動接触子20の接続導電体9側端部である一方の端部は、2枚の板状部材20a,20aで股状に形成されている。板状部材20a,20aは、接続導電体9の内側端部を挟持するとともに接続導電体9に対し回動可能に取付けられている。
【0023】
ユニットケース3内には、固定接触子15a,15aを収納するように消弧室26が設けられ、消弧室26の上方は、可動接触子20を固定接触子15a,15a間に投入できるように開口されている。消弧室26はユリア樹脂材料やポリアセタール樹脂材料等の樹脂材料により成形されている。このユリア樹脂材料やポリアセタール樹脂材料は、可動接触子20の固定接触子15a,15a間に対する挿入・解放(開閉動作)時に発生するアーク熱により熱分解し消弧性能のあるガスを発生するようになっている。
【0024】
ユニットケース3の底部には、金属材料で形成された主軸31が台板12に回転可能に設けられている。主軸31には、絶縁性の樹脂材料で形成された駆動リンク32が固定支持されている。駆動リンク32の先部には連結リンク33の一端部が、回転可能に連結され、連結リンク33の他端部は、可動接触子20に回転可能に連結されている。
【0025】
主軸31は、第1ケース2内部に構成されている図示しないリンク機構を介して、第1ケース2の外側面に設けた図1,2に示す操作ハンドル35に連結されている。
【0026】
操作ハンドル35を回動操作することで、図示しないリンク機構を介して主軸31が回動し、駆動リンク32、連結リンク33を介して、可動接触子20が接続導電体9との連結部を中心として回動し、図3に示すように、可動接触子20の他端部20cを固定接触子15a、15aの突起部間に対して挿入したり、開放したりする操作が行なえるようになっている。
【0027】
各ユニットケース3の上部には絶縁性の樹脂材料で成形された蓋ケース40がそれぞれ被せられている。絶縁性の樹脂材料として、ユニットケース3を形成している絶縁性の樹脂材料と同様の材料を使用できる。蓋ケース40は下側が開口した略箱形状をし、ユニットケース3の上部と蓋ケース40の下部とは全周方向において重なり合う箇所が設けられており、各ユニットケース3に対して固定保持され、蓋ケース40とユニットケース3により対地間や3相間の絶縁が確保されている。
【0028】
第1ケース2の上部にはケース蓋41が設けられている。なお、蓋ケース40はユニットケース3毎に設けるのではなく、3つの蓋ケース40を一体に成形してもよい。
【0029】
第1ケース2とケース蓋41により本体ケース42が構成され、ユニットケース3と蓋ケース40より絶縁内側ケース43が構成されている。
【0030】
第1ケース2における対向する位置にある側面2a,2bには、ユニットケース3の突出壁6,7と対向する位置にブッシング取付け用穴50が夫々1個設けられている。ブッシング取付け用穴50から内側方向に、略円筒形状をした絶縁性の合成樹脂ゴム等からなる電極カバー51が設けられ、周方向の外側に位置する突出壁6,7の外側に離間して、一部が覆いかぶさるように設けられている。
【0031】
固定電極部4側である一方のブッシング取付け用穴50には、第1ブッシング10を外側から取り付けて設けられ、可動電極部5側である他方のブッシング取付け用穴50には、第2ブッシング11を外側から取り付けて設けられている。
【0032】
第1ブッシング10は、挿着部10aと導電体10bと接続部10cと円筒部10dを有する。挿着部10aと導電体10bと接続部10cは、配電線路の電線等に電気的に接続できる銅材で一体に形成されている。導電体10bは、固定電極部4側である挿着部10a側は1本に、配電線路の電線等と接続される接続部10c側は2本となるように、分岐して形成されている。なお、導電体10bの接続部10c側は、複数本であれば任意の本数に形成することができ、第1ブッシング10の接続部10c側は複数に分岐するように形成してもよい。挿着部10a以外の導電体10bの外周部は、絶縁性を有する絶縁材55で覆われ、第1ブッシング10が構成されている。本実施例では、絶縁材55として、絶縁性を有する樹脂であるエポキシ樹脂をモールド成形により一体形成して構成した。
【0033】
第2ブッシング11は、挿着部11aと導電体11bと接続部11cと円筒部11dを有する。挿着部11aと導電体11bは、配電線路の電線等に接続される銅材で一体に形成されている。導電体11bは、固定電極部4側である挿着部10a側は1本に、配電線路の電線等と接続される接続部11c側は1本となるように形成した。なお、第1ブッシング10の導電体10bと同様に、接続部11c側が複数に分岐するように形成してもよい。挿着部11a以外の導電体11bの外周部は、絶縁性を有する絶縁材56で覆われ、第2ブッシング11が構成されている。本実施例では、絶縁材56として、絶縁性を有する樹脂であるエポキシ樹脂をモールド成形により一体形成して構成した。
【0034】
導電体10b、11bのユニットケース3側の先端部には、接続導電体8、9の接続部8a、9aに、電気的に接続する挿着部10a,11aが形成され、挿着部10a、11aの構造等は、接続導電体8,9の接続部8a,9aに、電気的に接続することができれば任意の構造等を用いることができる。
【0035】
ブッシング10,11の円筒部10d,11dの端部は、ユニットケース3に設けられた2重に形成された突出壁6,6(7,7)の間に位置するように配設されている。また、ブッシング10,11の円筒部10d,11dは、図3に示すように、ユニットケース3の壁部3a,3bおよび突出壁6,7と接触していない。これにより、導電体10b,11bの挿着部10a,11b(充電部)から電極カバー51の円筒部51aの外側に至る間には、蛇行した複雑で長距離の空間経路が形成される。なお、ユニットケース3に設けられた突出壁6,7は、2重以外に3重等の複数或いは1重に設けてもよい、また、ブッシング10,11の円筒部10d,11dは1重以外に、2重等複数設けてもよく任意に設定する。
【0036】
第1ブッシング10と第2ブッシング11における接続部10c,11c以外の部分は、ステンレス等の金属で形成された外側ケース60により覆われている。
【0037】
本体ケース42の下部には、キャスター63を4隅に設けた架台64が設けられ、開閉器1を移動することができるようになっている。
【0038】
本体ケース42を構成する第1ケース2の側面2a,2bに、夫々、1個ブッシング取付け用穴50を設け、一方のブッシング取付け用穴50に第1ブッシング10に、他方のブッシング取付け用穴50に第2ブッシング11を外側から取り付けるようにし、第1ブッシング10又は/及び第2ブッシング11の導電体10b,11bを、固定電極部4又は可動電極部5と接続される挿着部11a側は1本、配電線路の電線等と接続される接続部10c,11cを複数に分岐するように形成したため、第1ブッシング10又は/及び第2ブッシング11の導電体10b,11bにおける分岐部は、本体ケース42の外側に位置し、本体ケース42を、第1ブッシングと第2ブッシングの接続部を夫々1個とした開閉器の本体ケースを改良することなく転用できる。
【0039】
これにより、本発明の開閉器1と、第1ブッシングと第2ブッシングの接続部10を1個とした開閉器において、同じ本体ケース42を使用できるため、製造コストを低減できる。
【0040】
本体ケース42を構成する第1ケース2の側面2a,2bに、夫々、1個ブッシング取付け用穴50を設け、本体ケース42の外側において、第1ブッシング10又は/及び第2ブッシング11の導電体10b,11bを複数に分岐するようにしたことにより、図5に示す従来技術の開閉器101と比較して、本体ケース42内の構造を簡略化できるとともに、本体ケース42を小型化することができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、前記実施例以外にも、地中配電線路に使用される1つのケース内に複数の開閉部を収納させている多回路開閉器など、高圧配電線路などの電路を開閉するために使用される全ての機器に適用可能である。
【符号の説明】
【0042】
1 開閉器
4 固定電極
5 可動電極
10 第1ブッシング
10a,11a挿着部
10b,11b導電体
10c,11c 接続部
11 第2ブッシング
42 本体ケース
50 ブッシング取付け用穴
60 外側ケース
図1
図2
図3
図4
図5