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  • 特開-歯科ユニット 図1
  • 特開-歯科ユニット 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165578
(43)【公開日】2022-11-01
(54)【発明の名称】歯科ユニット
(51)【国際特許分類】
   A61C 19/00 20060101AFI20221025BHJP
【FI】
A61C19/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021070980
(22)【出願日】2021-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】515279946
【氏名又は名称】株式会社ジーシー
(74)【代理人】
【識別番号】100129838
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 典輝
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 航紀
【テーマコード(参考)】
4C052
【Fターム(参考)】
4C052AA06
4C052LL04
4C052LL07
(57)【要約】
【課題】水量の観点から効率の良い洗浄を可能とする洗浄装置を備える歯科ユニットを提供する。
【解決手段】給水路を洗浄する洗浄装置を備える歯科ユニットであって、歯科ユニットに供給される水の単位時間当たりの水量に基づいて、洗浄液のすすぎ時間が変更される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水路を洗浄する洗浄装置を備える歯科ユニットであって、
前記歯科ユニットに供給される水の単位時間当たりの水量に基づいて、洗浄液のすすぎ時間が変更される、
歯科ユニット。
【請求項2】
コップに注水を自動で行う出水部を備え、
前記コップを満水にする注水時間に基づいて前記単位時間当たりの水量の演算を行う、
請求項1に記載の歯科ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、歯科ユニットに関し、特に給水路を洗浄するための洗浄装置を備える歯科ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
歯科ユニットは、歯科治療等の際に使用される各種設備が備えられるユニットであり、患者が着座する患者用椅子を備えている。そしてその周囲には、施術者が使用する歯科治療のための各種器具が配置されるドクターユニット、アシスタントハンガー、患者にうがい水等を供給する出水部、これを排水するためのスピットン、及び患者の口腔内を照らす歯科用照明等が備えられている。
【0003】
このように、歯科ユニットは出水部やハンドピースのための給水路を備えている。そして、給水路は衛生の観点から、該給水路を構成する配管内を洗浄することが好ましく、そのために例えば特許文献1のように、水道水の管路と洗浄液の管路を切り替える弁を有し、歯科ユニット内の給水路の管路に洗浄液を充填させて菌の繁殖を抑制する洗浄装置の技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-192119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような洗浄装置による給水路内の菌の繁殖の抑制は、給水路への洗浄液の充填及びそのすすぎの過程を有しているが、このような各過程は予め設定された時間で制御されている。例えばすすぎのための水の循環量(水の流量)は、水の速度(流速)と時間との積で決まるが、歯科ユニットでは時間が決められているのみなので、歯科ユニットに供給される水の水圧に起因する流速の違いに基づく水の流量に大小が生じる。すすぎ不足を回避するため、通常は最も水圧が低い(流量が小さい)状態を想定してすすぎの時間を決めることから、多くの場合に過剰な流量の水が供給されている。このような過剰な流量の水は1回の量は小さいのものであっても日々の洗浄の積み重ね及び歯科ユニットの設置台数等により年間を通じて考えると無視できない問題となる。
【0006】
そこで、本開示は上記の問題点に鑑み、水量の観点から効率の良い洗浄を可能とする洗浄装置を備える歯科ユニットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の1つの態様は、給水路を洗浄する洗浄装置を備える歯科ユニットであって、歯科ユニットに供給される水の単位時間当たりの水量に基づいて、洗浄液のすすぎ時間が変更される、歯科ユニットである。
【0008】
コップに注水を自動で行う出水部を備え、コップを満水にする注水時間に基づいて上記の時間単位当たりの水量の演算を行うように構成してもよい。
【発明の効果】
【0009】
本開示の歯科ユニットによれば、洗浄の際に過剰な量の水が使われることが抑制でき、
効率の良い洗浄を可能とする歯科ユニットとなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】歯科ユニット1の外観斜視図である。
図2】洗浄装置10を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.歯科ユニットの構成
図1は1つの形態にかかる歯科ユニット1の外観図、図2は歯科ユニット1が備える洗浄装置10を説明するための模式図である。図1からわかるように、歯科ユニット1は、基台2、患者用椅子3、歯科用照明4、ドクターユニット5、アシスタントユニット6、給水路、空気路、及び洗浄装置10を備えている。
【0012】
1.1.基台
基台2は患者用椅子3の下方に配置されており、患者用椅子3の土台となるものである。基台2は、筐体により外郭が形成されるとともに、該筐体の内側には、各種制御機器が内包されている。ここに含まれる制御機器としては、例えば、患者用椅子3の昇降、傾倒起立等をさせるための油圧回路、及び該油圧回路を制御する油圧制御手段を挙げることができる。従って、基台2のうち、患者用椅子3の背面側には、フットスイッチが設けられる。施術者はこのフットスイッチやドクターユニット5の操作パネル5dの操作スイッチを操作して油圧制御手段に対して指令を出し、油圧回路を制御して患者用椅子3の昇降、傾倒起立をさせることができる。
【0013】
1.2.患者用椅子
患者用椅子3は、公知の通りであるが、着座部、背もたれ、ヘッドレスト、レッグレスト、及びフットレストを備えており、基台2に配置された油圧回路により上記したように昇降、及び傾倒起立させることができるように構成されている。
【0014】
1.3.歯科用照明
歯科用照明4は、治療を行うときに的確に患者の口腔内を照明することができるように、自在継ぎ手等により自由度高く移動回動可能なアームを介して取り付けられている。従って、歯科用照明4は、その位置、角度を調整することにより、施術者が患者の口腔内を適切に観察できる位置へ該歯科用照明4を移動させることが可能である。
【0015】
1.4.ドクターユニット
ドクターユニット5は、患者用椅子3の側方のうちアシスタントユニット6とは反対側の側方に設けられ、施術者が必要とする各器具やスイッチ等が備えられる作業台5aを有している。この作業台5aにはその上面に作業面5bを有するとともに、施術者が施術の際に使用するハンドピース群5cがホルダーに収められている。ハンドピース群5cに含まれるハンドピースとしては、例えば、エアタービン、マイクロモータ、スケーラ、シリンジ等を挙げることができる。作業台5aには、操作パネル5dが設けられてもよく、ここに各種操作スイッチ類が配置されており、例えば患者用椅子3の傾倒起立、昇降操作、歯科用照明4の点灯及び消灯の切り替え等が可能となっている。
そして、作業台5aはアーム5eにより移動及び回動ができるように支持されており、施術者の移動に合わせて作業台5aも移動及び回動することが可能とされ、利便性の向上が図られている。
【0016】
1.5.アシスタントユニット
アシスタントユニット6は、患者用椅子3の側方のうちのドクターユニット5が配置された側とは反対側に設けられ、アシスタントハンガー7、スピットン8、及び出水部9を備えている。
【0017】
1.5a.アシスタントハンガー
アシスタントハンガー7は、主にアシスタントが使用する器具が具備された部位である。アシスタントハンガー7は、ハンガー部7a、及びハンガー支柱7bを備えている。ハンガー部7aには、例えばバキューム、排唾管、シリンジ等のハンドピースが懸架されている。そしてこのようなハンガー部7aがハンガー支柱7bにより移動及び回動可能に支持されている。
【0018】
1.5b.スピットン
スピットン8は、出水部9から供給された水により治療中や治療後に患者がうがいをして、口腔内を洗浄するときに使用するものである。従って、スピットン8は、うがいをした後の口腔内の水を吐き捨てるため、鉢状とされている。そしてスピットン8に排出された唾液や水は、ウオーターユニット中の排水トラップを介して排出される。ここで、スピットン8は、患者の正面側に向かって水平面内で回動可能とされている。これにより患者の目の前にスピットン8を配置することができ、利便性を向上させている。
【0019】
1.5c.出水部
出水部9は、給水源からの水が流出する部位であり、治療中や治療後に患者がうがいをして、口腔内を洗浄するとき等に使用される。出水部9では、コップを置くことができるように構成されており、コップを置くと自動にコップに所定の水量の水が注がれる。このようにコップに自動に水が注がれる手段は公知の通りであり、特に限定されることはなく、水面を超音波で検知する方法や重量の変化により水量を検知する方法(ひずみゲージを用いる方法)等を挙げることができる。また、満水になるまでの時間(給水開始から給水停止までの時間)も併せて取得するように構成されている。
なお、本形態では後述するように、当該出水部9による水の供給実績に基づいて洗浄装置10におけるすすぎのための水の流動時間を決める。
【0020】
1.6.給水路
給水路は、図2に一部が示されているように、給水源から出水部9やハンドピース等に水を供給する配管及び各種機器からなる給水路である。ここに備えられる各種機器は公知の通りでよいが、例えば弁やレギュレータ等を挙げることができる。
【0021】
1.7.空気路
空気路は、図2に一部が示されているように、空気供給源から各ハンドピースに空気(エアー)を供給する配管及び各種機器からなる空気回路である。ここに備えられる各種機器は例えば弁やレギュレータ等を挙げることができるが公知のものを必要に応じて適用することができる。
【0022】
1.8.洗浄装置
洗浄装置10は、給水路の管内を洗浄する装置であり、給水路内に洗浄剤を充填させるとともに、洗浄剤をすすぐために水を供給する装置である。図2には洗浄装置10の構成を概念的に示した。
洗浄装置10は、洗浄液容器11、液流路12、空気供給路13、及び、制御装置14を備えている。以下に詳しく説明する。
【0023】
1.8a.洗浄液容器
洗浄液容器11は、洗浄液(原液が水により所定の濃度に希釈された液)が貯留された容器である。洗浄液容器11は密閉可能にフタが配置され、該フタの部分に配管が通される。具体的には、空気路からの配管、及び給水路からの配管が通されている。
空気路からの配管は洗浄液容器11の上部で開口し、洗浄液容器11の上部に空気を供給するように配置されている。
給水路からの配管は洗浄液容器11の下部まで延びて該下部で開口し、洗浄液容器11の下部から洗浄液を管内に流入させることができるように配置されている(開口が洗浄液の中にある。)。
【0024】
用いられる洗浄液の種類は特に限定されることはないが、過酸化水素水、次亜塩素酸水、界面活性剤などが挙げられる。
【0025】
1.8b.液流路
液流路12は、洗浄液容器11の洗浄液を給水路に供給する流路である。洗浄液が洗浄液容器11から液流路12を通して洗浄対象の配管である給水路に供給される。
【0026】
液流路12は上記のように、洗浄液が洗浄液容器11から液流路12を通して給水路に供給されるように構成されていればその具体的構成は特に限定されることはない。本形態では、既に歯科ユニットに具備されている給水源から給水路への配管を用いている。これにより歯科ユニットの構造を簡略化することができる。そのため、本形態で液流路12は液切替弁12aを備えている。
【0027】
液切替弁12aは、給水源からの配管、出水部9やハンドピースへの配管(給水路)、及び、洗浄液容器11からの配管が接続される。そしてこの接続により、給水源と給水路とを繋ぐ流路(通常の治療等で利用する流路)、洗浄液容器11と給水路とを繋ぐ流路(洗浄液が洗浄対象である給水路に供給される流路)を切り替えることができる。
液切替弁12aは、このように液の流れを切り替えることができればその具体的態様は限定されることはないが、電気制御による自動切換えが可能であること及び応答速度が速い観点から電磁弁であることが好ましい。
【0028】
すなわち、本形態によれば液流路12は、液切替弁12a及び液切替弁12aと洗浄液容器11とを結ぶ配管を有して構成されている。
【0029】
1.8c.空気供給路
空気供給路13は、洗浄液容器11に空気を供給する流路である。空気供給路13から洗浄液容器11に供給される空気により、洗浄液容器11の内圧を上昇させ、洗浄液容器11に貯留した洗浄液を押し出すようにして液流路12に流させる。
【0030】
空気供給路13はこのように、空気供給路13から洗浄液容器11に供給される空気により、洗浄液容器11の内圧を上昇させ、洗浄液容器11に貯留した洗浄液を押し出すようにして液流路12に流させるように構成されていればその具体的構成は特に限定されることはない。本形態では、既に歯科ユニットに具備されている空気供給源から空気路への流路を用いている。これにより歯科ユニットの構造を簡略化することができる。そのため、本形態で空気供給路13は空気切替弁13a及びレギュレータ13bを備えている。
【0031】
空気切替弁13aは、空気供給源からの配管、ハンドピース等への配管(空気路)、及び、洗浄液容器11へ(本形態では途中にレギュレータ13bが配置されている。)の配管が接続される。そしてこの接続により、空気供給源と空気路(通常の治療等で利用する流路)、及び、空気供給源と洗浄液容器11とを繋ぐ流路(洗浄液容器11から洗浄液を流出させるための空気を供給する流路)を切り替えることができる。
空気切替弁13aは、このように空気の流れを切り替えることができればその具体的態様は限定されることはないが、電気制御による自動切換えが可能であること及び応答速度が速い観点から電磁弁であることが好ましい。
【0032】
レギュレータ13bは、洗浄液の充填圧力の調整を可能とし、空気切替弁13aと合わせることで一定の時間制御により定量の洗浄液を供給することを目的としているレギュレータである。レギュレータ13bは圧力計も合わせて備えている。
【0033】
すなわち、本形態によれば空気供給路13は、空気切替弁13a、空気切替弁13aとレギュレータ13bとを結ぶ配管、及び、レギュレータ13bと洗浄液容器11とを結ぶ配管を有して構成されている。
【0034】
本形態では、配管の数の減少及び装置構造の簡略化の観点から、通常の歯科ユニットには具備されている空気供給源から空気路への流路を用いることとした。ただし、これに限らず、通常の歯科ユニットに具備されている空気供給源から空気路への流路とは別に流路を設けてもよい。
【0035】
1.8d.制御手段
以上のような洗浄装置10による給水路の洗浄は自動的に行われることが好ましい。そのため、洗浄装置10には制御手段14が具備される。
本開示では、制御手段14は後で説明するように、出水部9によるコップへの給水情報に基づいてすすぎの際の給水路への水の供給量(供給時間)を調整するように制御する。従って、図2に一点鎖線で表したように、制御手段14は液切替弁12a及び出水部9のセンサに電気的に接続されている。ここで出水部9のセンサは上記したように出水部9によるコップへの注水にかかる時間及び水面の位置を検出しているセンサである。具体的にどのように水の供給の調整を行うかは後で詳しく説明する。
【0036】
制御手段14としては例えばコンピュータが挙げられる。すなわち、制御手段は、出水部9におけるコップへの注水時間、水面の変化のデータを取得し、液切替弁12aに対して指令をし、給水路の洗浄を行う。具体的な洗浄の流れは後で説明する。
また、本形態では、制御手段14はそれ以外の洗浄に関する制御(例えば空気供給路13の空気を流す制御、供給路に備えられた出水部9及びハンドピースに個別に設けられた弁の開閉制御)等も併せて行うことができるように構成されている。
そのため、制御手段は例えば、演算子、RAM、記憶手段、受信手段、及び出力手段を備えている。
【0037】
演算子は、いわゆるCPU(中央演算子)により構成されており、本形態では制御手段14に電気的に接続された液切替弁12a、及び、空気切替弁13a等を制御する手段である。また、記憶媒体として機能する記憶手段等に記憶された各種プログラムを実行し、これに基づいて各種データの生成やデータの選択をする手段として演算を行うのも演算子である。
【0038】
RAMは、演算子の作業領域や一時的なデータの記憶手段として機能する構成部材である。RAMは、SRAM、DRAM、フラッシュメモリ等で構成することができ、公知のRAMと同様である。
【0039】
記憶手段は、各種演算の根拠となるプログラムやデータが保存される記憶媒体として機能する部材である。また記憶手段には、プログラムの実行により得られた中間、最終の各種結果を保存することができてもよい。
【0040】
本形態では、この記憶手段に記憶されたプログラムの1つに、後で説明するように各構成部材を作動させ、洗浄を行うためのプログラムが含まれる。
【0041】
受信手段は、洗浄開始の操作や予め決められたタイミングに達したことを示す信号を取り入れたり、出水部9のセンサからの情報を得たりする機能を有する構成部材である。
【0042】
出力手段は、得られた結果のうち外部に出力すべき情報を適切に外部に出力する機能を有する構成部材であり、本形態では液切替弁12a、及び、空気切替弁13aが電気的に接続されている。
【0043】
2.洗浄
以上のような構成を有する歯科ユニット1では、例えば次のように給水路の洗浄が行われる。なお、以下の動作は制御手段14により自動に行われる。
【0044】
2.1.すすぎ時間変更係数K、及び、すすぎ時間Tの算出
本形態では、通常の治療のときにコップへの注水が行われる際、出水部9のセンサにより得られた水位から満水時の水量(A[ml])、及び、満水になるまでの時間(B[秒])を得て、A/Bで得られる単位時間当たりの水量(C[ml/秒])を算出して記憶する。このCの値は、通常の治療における複数回の平均でもよいし、洗浄が開始される直前の注水において算出された値を用いてよく、その他特に限定されることはない。
【0045】
ここで、洗浄液のすすぎを行うことができる基準を予め設定しておく。具体的には洗浄液のすすぎに必要な基準となる時間T[秒]、及び、そのときの基準となる単位時間当たりの水量C[ml/秒]を得ておいて制御手段14の記憶手段にデータベースの1つとして記録しておく。
【0046】
得られた単位時間当たりの水量C[ml/秒]、及び、基準となる単位時間当たりの水量C[ml/秒]から、すすぎ時間変更係数KをC/Cで算出する。
そして当該すすぎ時間変更係数K及び基準となる時間T[秒]から、実際のすすぎ時間T[秒]を、K×T[秒]で得る。
【0047】
2.2.洗浄
洗浄開始の操作、又は、予め決められた時間に達したことにより、次のように洗浄が開始される。
【0048】
洗浄開始の操作、又は、予め決められた時間に達したことにより、液切替弁12aが切り替わり洗浄装置10の液流路12が開放(図2のA1の流れが許容)されるとともに、空気切替弁13aが切り替わり洗浄装置10の空気供給路13が開放(図2のA2の流れが許容)される。また、このとき給水路に設置された出水部9やハンドピースのための個別の弁も開放される。
【0049】
次に空気供給源から空気供給路13を通じて洗浄液容器11に空気が供給される(図2の矢印A2)。すると、洗浄液容器11の内圧が上昇し、洗浄液容器11に貯留した洗浄液が押し出されるようにして液流路12の配管に流れ、液切替弁12aを通って給水路へ洗浄液が流れる(図2の矢印A1)。これにより給水路内が洗浄液で満たされる。このように給水路内が洗浄液で満たされたときに給水路に設置された出水部9やハンドピースのための個別の弁が閉じ、この状態で必要な時間洗浄液が保持されることで給水路内の洗浄が行われる。
【0050】
2.3.すすぎ
上記洗浄のための保持時間が経過した後、液切替弁12aが給水源から給水路へ水が流れるように切り替わり(図2の矢印B1)、及び、給水路に設置された出水部9やハンドピースのための個別の弁が開き、給水路に水が流れることで給水路のすすぎが行われる。
ここで、給水路に水を流す時間は、上記算出したすすぎ時間T[秒]とすればよい。従って、すすぎ開始して時間T[秒]が経過したとき給水路に設置された出水部9やハンドピースのための個別の弁が閉じ、水の供給を停止する。
【0051】
3.効果
以上のような洗浄装置10及びこれを備える歯科ユニット1によれば、洗浄におけるすすぎに用いられる水量が、歯科ユニットが設置された環境に応じて適切な水量が適用されるため、洗浄における過剰な水供給を抑制することができ、効率の良い洗浄を可能とする洗浄装置を備える歯科ユニットとすることができる。
【0052】
4.他の態様
上記形態では、歯科ユニットに対して時間当たりに供給される水の水量(C)を求める手段として歯科ユニットに具備される出水部の情報(コップを満水にするまでの時間)を用いる例を説明した。これによれば、通常の歯科ユニットに既に具備されているセンサを用いるため、新たな機器の設置の必要がなくコスト低下や装置の簡素化による作動の確実性向上を行うことができる。
ただし、これに限らず、時間当たりに供給される水の水量(C)を流量計等のセンサを別途設けてこれにより当該Cの値をえてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 歯科ユニット
10 洗浄装置
11 洗浄液容器
12 液流路
12a 液切替弁
13 空気供給路
13a 空気切替弁
図1
図2