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特開2022-165579ワイヤグリッド偏光子、及び表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165579
(43)【公開日】2022-11-01
(54)【発明の名称】ワイヤグリッド偏光子、及び表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/30 20060101AFI20221025BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
G02B5/30
G09F9/30 349E
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021070981
(22)【出願日】2021-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】日高 泉展
(72)【発明者】
【氏名】杉村 昌治
(72)【発明者】
【氏名】土井 誠太郎
【テーマコード(参考)】
2H149
5C094
【Fターム(参考)】
2H149AA01
2H149AB01
2H149AB24
2H149AB26
2H149BA04
2H149BA23
2H149FA02Z
2H149FA05Z
2H149FA08W
2H149FA13Z
2H149FA41W
2H149FC10
2H149FD30
2H149FD47
5C094BA43
5C094ED14
5C094JA01
5C094JA07
5C094JA08
(57)【要約】
【課題】光学特性に優れ、成形性にも優れたワイヤグリッド偏光子を得る。
【解決手段】曲面形状を有するワイヤグリッド偏光子であって、基材1と、前記基材1とは異なる材料からなり、前記基材1上に特定方向に延在する微細凹凸構造3を表面に有する樹脂層2と、前記微細凹凸構造3上に設けられた金属ワイヤ5からなるワイヤグリッド層4とを有し、前記樹脂層2のガラス転移温度(Tg2)が、前記基材1のガラス転移温度(Tg1)よりも、10℃以上60℃以下高い、ワイヤグリッド偏光子10。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
曲面形状を有するワイヤグリッド偏光子であって、
基材と、
前記基材とは異なる材料からなり、前記基材上に特定方向に延在する微細凹凸構造を表面に有する樹脂層と、
前記微細凹凸構造上に設けられた金属ワイヤからなるワイヤグリッド層と、
を、有し、
前記樹脂層のガラス転移温度(Tg2)が、前記基材のガラス転移温度(Tg1)よりも、10℃以上60℃以下高い、
ワイヤグリッド偏光子。
【請求項2】
前記樹脂層の厚みが0.2μm以上3μm以下である、
請求項1に記載のワイヤグリッド偏光子。
【請求項3】
前記微細凹凸構造の厚みが、前記樹脂層の厚みよりも薄く、0.05μm以上0.4μm以下である、
請求項1又は2に記載のワイヤグリッド偏光子。
【請求項4】
前記金属ワイヤの高さが、0.05μm以上0.5μm以下である、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のワイヤグリッド偏光子。
【請求項5】
前記ワイヤグリッド偏光子の曲面形状が、下記式で算出される延伸率にて、101%以上133%以下である、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載のワイヤグリッド偏光子。
延伸率(%)=(特定の2点に関し、その曲面形状上における最短距離)
/(前記特定の2点を直線で結んだ距離) ×100
(なお、式中、特定の2点とは、微細凹凸構造の延在方向に対し、直交方向又は平行方向における両端部であり、上記の式で延伸率が最大となる方の両端部である。)
【請求項6】
前記基材の厚みが、35μm以上190μm以下である、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載のワイヤグリッド偏光子。
【請求項7】
前記ワイヤグリッド偏光子以外の他の部材と一体化されている、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載のワイヤグリッド偏光子。
【請求項8】
前記他の部材が、樹脂レンズ又はガラスレンズである、
請求項7に記載のワイヤグリッド偏光子。
【請求項9】
接着剤を介して前記他の部材と一体化されている、
請求項7又は8に記載のワイヤグリッド偏光子。
【請求項10】
前記基材が、
TAC(トリアセチルセルロース)、COP(シクロオレフィンポリマー)、及びPC(ポリカーボネート)からなる群より選ばれるいずれかを含む樹脂からなる、
請求項1乃至9のいずれか一項に記載のワイヤグリッド偏光子。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか一項に記載のワイヤグリッド偏光子を含む表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤグリッド偏光子、及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
反射型偏光子は、光の偏光状態によって、その光を反射させたり透過させたりすることが可能である。この特徴を活かし、様々な用途への適用が進んでいる。ワイヤグリッド偏光子は反射型偏光子に分類される偏光子の一種であり、表面に微細な金属ナノワイヤが特定の間隔で配置された構造を有し、その金属ナノワイヤと平行な方向に振動する光を反射させ、直交する方向に振動する光を透過させる。
近年、仮想現実(VR)型のヘッドマウントディスプレイ(HMD)の分野においても、ワイヤグリッド偏光子を用いた技術が公開されている。
例えば、下記特許文献1には、湾曲したワイヤグリッド偏光子を用いることで、瞳孔の泳ぎと呼ばれる、ユーザーが目を動かした場合に生じる画像の歪みを大幅に低減でき、かつ垂直方向の視差も低減できる技術が公開されている。前述した湾曲したワイヤグリッド偏光子は両面ともに湾曲した形状のレンズや片面が平坦なレンズに接合した状態で提供されている。
【0003】
このような湾曲したワイヤグリッド偏光子に関して、下記特許文献2に、反射型ワイヤグリッド偏光部分と吸収型直線偏光機能部分とを含むワイヤグリッド偏光レンズに関する技術が開示されている。
しかしながら、かかる特許文献2に開示されているワイヤグリッド偏光レンズにおいては、ワイヤグリッド偏光子のワイヤグリッド面に粘着剤を付けており、平行光線透過率の低下等、光学特性が悪化する、という問題点を有している。また、曲面の加工性の観点でも一定以下の曲率半径に加工する場合、フィルムが延伸されるため、ワイヤグリッド構造に亀裂が発生したり、基材にヘイズが発生したりする等の、加工性や光学特性が悪化するという問題点を有している。
【0004】
また、下記特許文献3には、曲率半径が50mm以下となるような曲面加工を施したワイヤグリッド偏光子に関する技術が開示されている。ワイヤグリッド偏光子を樹脂プレート等と共に成形加工することで、レンズ形状を有したワイヤグリッド偏光子を作製している。
しかしながら、特許文献3に開示されている技術においても、ワイヤグリッド面が樹脂で埋め込まれるため、粘着剤で埋め込む場合に比べて光学特性の悪化は緩和されるものの、偏光度が低下するという問題点を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2019/244141号公報
【特許文献2】特許第6231373号公報
【特許文献3】特開2013-200482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、従来開示されているワイヤグリッド偏光子に関する技術においては、光学特性、及び成形加工性を両立させるには改善の余地がある、という問題点を有している。
【0007】
そこで本発明においては、上述した従来技術の問題点に鑑み、光学特性に優れ、かつ、成形性にも優れるワイヤグリッド偏光子、及び当該ワイヤグリッド偏光子を具備する表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上述した従来技術の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、曲面形状を有するワイヤグリッド偏光子であって、基材と、前記基材とは異なる樹脂材料からなり前記基材上に特定方向に延在する微細凹凸構造を表面に有する樹脂層と、前記微細凹凸構造上に形成された金属ワイヤからなるワイヤグリッド層とを有し、前記樹脂層のガラス転移温度が、前記基材のガラス転移温度よりも所定の温度範囲高いものに特定したワイヤグリッド偏光子により、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
【0009】
〔1〕
曲面形状を有するワイヤグリッド偏光子であって、
基材と、
前記基材とは異なる材料からなり、前記基材上に特定方向に延在する微細凹凸構造を表面に有する樹脂層と、
前記微細凹凸構造上に設けられた金属ワイヤからなるワイヤグリッド層と、
を、有し、
前記樹脂層のガラス転移温度(Tg2)が、前記基材のガラス転移温度(Tg1)よりも、10℃以上60℃以下高い、ワイヤグリッド偏光子。
〔2〕
前記樹脂層の厚みが0.2μm以上3μm以下である、前記〔1〕に記載のワイヤグリッド偏光子。
〔3〕
前記微細凹凸構造の厚みが、前記樹脂層の厚みよりも薄く、0.05μm以上0.4μm以下である、前記〔1〕又は〔2〕に記載のワイヤグリッド偏光子。
〔4〕
前記金属ワイヤの高さが、0.05μm以上0.5μm以下である、前記〔1〕乃至〔3〕のいずれか一に記載のワイヤグリッド偏光子。
〔5〕
前記ワイヤグリッド偏光子の曲面形状が、下記式で算出される延伸率にて、101%以上133%以下である、前記〔1〕乃至〔4〕のいずれか一に記載のワイヤグリッド偏光子。
延伸率(%)=(特定の2点に関し、その曲面形状上における最短距離)
/(前記特定の2点を直線で結んだ距離) ×100
(なお、式中、特定の2点とは、微細凹凸構造の延在方向に対し、直交方向又は平行方向における両端部であり、上記の式で延伸率が最大となる方の両端部である。)
〔6〕
前記基材の厚みが、35μm以上190μm以下である、前記〔1〕乃至〔5〕のいずれか一に記載のワイヤグリッド偏光子。
〔7〕
前記ワイヤグリッド偏光子以外の他の部材と一体化されている、前記〔1〕乃至〔6〕のいずれか一に記載のワイヤグリッド偏光子。
〔8〕
前記他の部材が、樹脂レンズ又はガラスレンズである、前記〔7〕に記載のワイヤグリッド偏光子。
〔9〕
接着剤を介して前記他の部材と一体化されている、前記〔7〕又は〔8〕に記載のワイヤグリッド偏光子。
〔10〕
前記基材が、TAC(トリアセチルセルロース)、COP(シクロオレフィンポリマー)、及びPC(ポリカーボネート)からなる群より選ばれるいずれかを含む樹脂からなる、前記〔1〕乃至〔9〕のいずれか一に記載のワイヤグリッド偏光子。
〔11〕
前記〔1〕乃至〔10〕のいずれか一に記載のワイヤグリッド偏光子を含む表示装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、光学特性に優れ、成形性にも優れたワイヤグリッド偏光子、及びこのワイヤグリッド偏光子を具備する表示装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明のワイヤグリッド偏光子の概略断面図を示す。
図2】本発明のワイヤグリッド偏光子の原理の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」ともいう。)について詳細に説明する。
なお、以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0013】
〔ワイヤグリッド偏光子〕
図1に、本実施形態のワイヤグリッド偏光子の概略断面図を示す。
本実施形態のワイヤグリッド偏光子10は、曲面形状を有するワイヤグリッド偏光子であり、基材1と、前記基材1とは異なる材料からなり、前記基材1上に、特定方向に延在する微細凹凸構造3を表面に有する樹脂層2と、前記微細凹凸構造3上に設けられた金属ワイヤ5からなるワイヤグリッド層4とを有し、前記樹脂層2のガラス転移温度(Tg2)が、前記基材1のガラス転移温度(Tg1)よりも10℃以上60℃以下高い。
上記構成を有することにより、光学特性に優れ、成形性にも優れたワイヤグリッド偏光子が得られる。
【0014】
図2に、本実施形態のワイヤグリッド偏光子10の原理の概略図を示す。
図2に示すように、ワイヤグリッド偏光子は、入射した光のうち、P波のみを透過し、S波を反射する。すなわち、ワイヤグリッド層4に対して平行な電界ベクトルEを持つ偏光成分であるS波は通過できず、ワイヤグリッド層4に対して垂直な電界ベクトルEを持つ偏光成分であるP波は通過できる。
【0015】
(曲面形状)
本実施形態のワイヤグリッド偏光子は、曲面形状を有する。
曲面の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、球面や非球面が挙げられる。
また、本実施形態のワイヤグリッド偏光子全体が曲面形状であってもよく、その一部が平面形状であってもよい。
ワイヤグリッド偏光子に曲面形状を付与する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、真空成形法、圧空成形法により、本実施形態のワイヤグリッド偏光子を成形する方法が挙げられる。
金属ワイヤ5や微細凹凸構造3の変形を抑制できる観点から、真空成形法や圧空成形法が好適な方法である。
【0016】
(基材)
本実施形態のワイヤグリッド偏光子の基材としては、常温又は加熱することにより曲面形状を形成可能な材料であれば、特に限定されるものではない。
基材の材料としては、以下に限定されるものではないが、例えば、トリアセチルセルロース樹脂(TAC)、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂(PC)、シクロオレフィンオレフィンポリマー樹脂(COP)、シクロオレフィンオレフィンコポリマー樹脂(COC)、アクリル樹脂、スチレン系樹脂等が挙げられる。
可視光領域における複屈折が小さい樹脂である、という観点から、TAC、COP、COC、PCが好ましい。
基材1としては、これらの樹脂材料を、所定の厚みに成形したフィルムが挙げられる。このようなフィルムの機械物性はフィルムの面方向について比較的均等であることが好ましい。
【0017】
基材1の厚み1hは、35μm以上190μm以下が好ましい。
基材の厚みが35μm以上であることにより、ワイヤグリッド偏光子を単体で用いる場合の曲面加工後の自立性に優れたものとなる、という効果が得られ、ワイヤグリッド偏光子を部材と一体化させて用いる場合には、シワの発生を抑制できる、という効果が得られる。
また、基材の厚み1hが190μm以下であることにより、曲面加工性が良好なものとなる、という効果が得られる。
基材1の厚み1hは、より好ましくは35~100μmであり、さらに好ましくは35~85μmである。
基材1の厚みは、曲面形状を付与する前段階のワイヤグリッド偏光子を作製する際、所望の厚みの基材を選択して使用することにより、上記数値範囲に制御できる。
【0018】
(樹脂層)
本実施形態のワイヤグリッド偏光子10は、前記基材1上に、特定方向に延在する微細凹凸構造3を表面に有する樹脂層2が形成されている。
樹脂層2は、前記基材1とは、異なる材料からなる。
樹脂層2の材料としては、以下に限定されるものではないが、例えば、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂が挙げられ、曲面形状を付与する前のワイヤグリッド偏光子をロールtoロール方式で連続的で生産する観点からは、光硬化性樹脂が好ましい。
光硬化性樹脂は、光で硬化するものであれば特に限定されないが、例えば、光重合開始剤及びモノマーを含む樹脂組成物を用いることができる。光硬化性樹脂としては、光の照射によりモノマーの反応を促す効果を有するものであれば特に限定されず、また複数種類の光重合開始剤を同時に使用することもできる。樹脂組成物を構成するモノマーとしては、光照射後の光重合開始剤に対して反応性を有するものであれば、特に限定されないが、例えば、アクリレート化合物、メタクリレート化合物、ビニル化合物、又はそれらの混合物等が挙げられる。
【0019】
樹脂層2の厚み2hは、0.2μm以上3μm以下が好ましい。
樹脂層2の厚み2hとは、前記基材1とは異なる樹脂で形成された樹脂層2全体の厚みであり、微細凹凸構造3の厚みも含んだ厚みを意味する。
樹脂層2の厚み2hが0.2μm以上であることにより、基材1の上に均一な凹凸構造を形成できる。樹脂層の厚み2hが3μm以下であることにより、曲面加工時のクラック発生を抑制できる。
樹脂層2の厚み2hは、より好ましくは0.2~1μmであり、さらに好ましくは0.2~0.8μmである。
また、後述する方法で観察される樹脂層2は、前記基材1との境界が必ずしも明確でない場合がある。例えば、基材1の上に光硬化性樹脂を塗布して、その後、光照射により硬化させて樹脂層2を形成する場合、基材1の構成樹脂との相溶性によっては、基材1の構成樹脂と前記光硬化性樹脂とが混在したと推定される層も同時に観察される。その場合、樹脂層2には混在している層も含まれる。
樹脂層2の厚みは、基材1への光硬化性樹脂等の塗布条件を調整することで、上記数値範囲に制御できる。塗布方法としては、リバースコータ、グラビアコータ、スロットダイコータ、インクジェットコータ等が挙げられるが、薄膜での膜厚均一性を達成する観点からは、グラビアコータ、スロットダイコータ、インクジェットコータが好適に使用される。
【0020】
(微細凹凸構造)
本実施形態のワイヤグリッド偏光子10は、前記樹脂層2の表面に、特定方向に延在する微細凹凸構造3を有する。
例えば、基材上に一定の間隔で一定の方向に略平行に微細凹凸が延在した状態が挙げられ、微細凹凸構造3が特定方向に延在したものであることにより、後述する金属ワイヤ5から構成されるワイヤグリッド層4を形成することが容易となる。
【0021】
微細凹凸構造3の厚みは、0.05μm以上0.4μm以下が好ましい。
微細凹凸構造3は樹脂層2の表面に形成されているため、微細凹凸構造の厚み3hは、樹脂層の厚み2hよりも薄い。
なお樹脂凹凸構造の厚み3hとは、樹脂凹凸構造3の延在方向に対し、垂直な断面において、微細凹凸構造の凸部の頭頂部から凹部の底部までの高さを意味する。
微細凹凸構造3の厚み3hが0.05μm以上であることにより、成形時に金属ワイヤ5の倒れを抑制することができる。
また、微細凹凸構造3の厚み3hが0.4μm以下であることにより、微細凹凸構造自体の倒れを抑制することができる。
微細凹凸構造3の厚み3hは、より好ましくは0.05~0.2μmであり、さらに好ましくは0.05~0.15μmである。
前記微細凹凸構造3は、表面に同一の凹凸パターンを有するスタンパを硬化前の樹脂層2に押し当てた状態で硬化させ、その後スタンパを剥離することで形成できる。また、微細凹凸構造3の厚み3hは、スタンパの凹凸パターンを選択することにより、上記数値範囲に制御ですることができる。
【0022】
(樹脂層のガラス転移温度Tg2と、基材のガラス転移温度Tg1との関係)
本実施形態のワイヤグリッド偏光子10においては、前記樹脂層2のガラス転移温度Tg2が、前記基材1のガラス転移温度Tg1よりも、10℃以上60℃以下高いものとする。
(Tg2-Tg1)が、10℃以上であることにより、曲面加工時に金属ワイヤ5や微細凹凸構造3を保持できる。
また、(Tg2-Tg1)が、60℃以下であることにより曲面加工時のクラック発生を抑制できる。
前記(Tg2-Tg1)は、好ましくは25℃以上50℃以下であり、より好ましくは30℃以上50℃以下である。
前記基材と樹脂層のガラス転移温度の差は、各々の材料を適切に選択することにより、上記数値範囲に制御することができる。
【0023】
(ワイヤグリッド層)
本実施形態のワイヤグリッド偏光子10は、前記微細凹凸構造3上に設けられた金属ワイヤ5からなるワイヤグリッド層4を有している。
このワイヤグリッド層4は、例えば、(1)ワイヤグリッド層4と樹脂層2との密着力を高める目的で、樹脂層2の表面にワイヤグリッド層を構成する金属ワイヤ1本1本に相対する微細凹凸構造3を形成し、その微細凹凸構造3の形状に沿って金属ワイヤ5を形成する方法、(2)金属ワイヤ5を形成する工程に先立ち、微細凹凸構造の表面に金属との親和性に優れた誘電体層を形成させ、次いで微細凹凸構造3の形状に沿って金属ワイヤ5を形成する方法により、形成することができる。
【0024】
ワイヤグリッド層4を構成する金属ワイヤ5の材質は、可視光領域で光の反射率が均一かつ高く、樹脂層2を構成する材料との密着性の高いものが好ましい。例えば、アルミニウム、銀、又はそれらの合金等が挙げられる。酸化劣化等に対し、安定で低コストである観点から、特にアルミニウムが好ましい。
【0025】
本実施形態のワイヤグリッド偏光子10においては、前記金属ワイヤ5の高さ5hが、0.05μm以上0.5μm以下であることが好ましい。
なお、金属ワイヤの高さとは、図1に示すように、金属ワイヤ5の延在方向に対し垂直な断面において、基材の厚み方向において金属ワイヤ5の基材に最も近い点を通り、かつ基材に対し平行な線と、最も遠い点を通り、かつ基材に平行な線で形成される2線間の距離を意味する。
金属ワイヤの高さ5hが0.05μm以上であることにより、十分な偏光分離性能を発揮できる。また、金属ワイヤの高さ5hが0.5μm以下であることにより、曲面加工時に金属ワイヤ5の倒れや変形を抑制できる。
金属ワイヤの高さ5hは、0.12μm以上0.25μm以下であることがより好ましく、0.12μm以上0.2μm以下であることがさらに好ましい。
【0026】
本実施形態のワイヤグリッド偏光子10においては、金属ワイヤ5の間隔は、0.2μm以下であることが好ましい。
金属ワイヤ5の間隔が、0.2μm以下であることにより、可視光領域での良好な偏光分離特性を発揮できる。
金属ワイヤ5の間隔は、0.15μm以下であることがより好ましく、0.12μm以下であることがさらに好ましい。
【0027】
(ワイヤグリッド偏光子の曲面形状の形成方法)
本実施形態のワイヤグリッド偏光子は、曲面形状を有している。
本実施形態のワイヤグリッド偏光子を、曲面形状に形成する方法の一例を以下に説明する。
前記ワイヤグリッド偏光子に対し、付与したい曲面形状を有する元型を用いて、真空成型法にて前記元型の曲面形状をワイヤグリッド偏光子に付与する。
詳細には、上下にチャンバーを有する真空成形機内に、ワイヤグリッド偏光子を間仕切るように固定し、装置内の上下チャンバーをともに真空状態とする。この時、ワイヤグリッド偏光子の微細凹凸構造を有する面は上チャンバー側に向け固定する。
その後、装置内のヒーターにてワイヤグリッド偏光子を加熱し、その温度を赤外線モニターにて計測しながら、所望の温度に達するまで加熱した後、下チャンバー内に固定されている元型をワイヤグリッド偏光子に突き当てる。
元型は、例えば、平凸ガラスレンズを使用できる。
その後、上チャンバー側にて緩やかに空気をリークさせ、次に下チャンバー側をリークさせる。
その後、レーザーカットにより曲面形状を付与した部分を切り出し、所望の大きさのワイヤグリッド偏光子を得る。
【0028】
(ワイヤグリッド偏光子の曲面形状の延伸率)
本実施形態のワイヤグリッド偏光子は、曲面形状が、下記の式で算出される延伸率において、101%以上133%以下であることが好ましい。
延伸率(%)=(特定の2点に関し、その曲面形状上における最短距離)
/(前記特定の2点を直線で結んだ距離) ×100
(なお、特定の2点とは、微細凹凸構造の延在方向に対し、直交方向又は平行方向における両端部であり、上記の式で延伸率が最大となるほうの両端部である。)
前記延伸率が101%以上133%以下であることにより、成形によるワイヤグリッド偏光子のクラック発生を抑制できる。
前記延伸率は、101~120%であることがより好ましく、101~115%であることがさらに好ましい。
ワイヤグリッド偏光子の曲面形状の延伸率は、後述する実施例に記載する方法により測定することができる。
ワイヤグリッド偏光子の曲面形状の延伸率は、上述した曲面形状の形成方法において、元型の曲面形状を調整することにより、上記数値範囲に制御することができる。
【0029】
(他の部材との一体化)
本実施形態のワイヤグリッド偏光子は、単体で用いてもよく、他の部材と一体化された形態で用いてもよい。
ワイヤグリッド偏光子と一体化される、他の部材としては、例えば、単体のワイヤグリッド偏光子の一部を支持するような枠体、ワイヤグリッド偏光子の曲面形状に追従するような形状の成形体が挙げられる。
他の部材の材料は、特に限定されないが、透過光及び反射光の両方を利用できる観点から、所望の波長領域で透過性を有する材料であることが好ましい。特に可視光領域での使用を想定する場合、ガラス、COP、ポリメチルメタクリレート(PMMA)が好ましい。ただし、透過光の利用を考慮しない場合は、前記の材料に限定されない。
【0030】
曲面形状に追従する、他の部材としては、例えば、レンズが挙げられる。
前記レンズとしては、例えば、球面レンズ、非球面レンズが挙げられる。
前記レンズの曲面形状は、特に限定されず、凹形状であっても、凸形状であってもよい。
また、ワイヤグリッド偏光子と一体化されていない面については、その形状は特に限定されない。
また、前記レンズの曲面以外の形状は特に限定されず、円形状のレンズだけでなく、シリンドリカルレンズのような矩形型のレンズ等も含まれる。
【0031】
前記他の部材がレンズである場合、当該レンズはガラスレンズであっても樹脂レンズであってもよい。
【0032】
本実施形態のワイヤグリッド偏光子を、上述した他の部材と一体化する場合、一体化する形態は特に限定されるものではないが、所定の接着剤を介して一体化することが好ましい。
これにより、ワイヤグリッド偏光子と部材を強固に一体化でき、かつワイヤグリッド偏光子の曲面形状に追従する形状の部材を一体化させる場合、均一で滑らかな接合面を形成させることができる。接着剤としては、加工性の観点から、感圧性接着剤が好ましい。
【0033】
本実施形態のワイヤグリッド偏光子と、他の部材とを一体化する工程においては、成形後の曲面形状を有するワイヤグリッド偏光子を、その曲面形状に追従する形状を有する他の部材と一体化させてもよいし、成形前の平面形状を有するワイヤグリッド偏光子を任意の方法で他の部材の曲面形状に合わせる形で一体化してもよい。
【0034】
〔表示装置〕
本実施形態の表示装置は、上述した本実施形態のワイヤグリッド偏光子を含む。
表示装置としては、例えば、ヘッドマウントディスプレイが好適である。
本実施形態のワイヤグリッド偏光子を単体又は所定のレンズ等の他の部材と一体化させ、前記ヘッドマウントディスプレイに組み込むことにより、従来よりも映像の歪みを低減できる。
また、表示装置としては、ヘッドアップディスプレイも好適である。
本実施形態のワイヤグリッド偏光子を単体又は所定のレンズ等の他の部材と一体化させ、車載の前記ヘッドアップディスプレイに組み込むことにより、装置内部の液晶パネルに当たる外光を低減することで前記パネルの故障を抑制しつつ、装置自体のサイズを小型化できる。この場合、ワイヤグリッド偏光子をその凹面を外光の進行方向側に向けて配置することで前記の効果を奏することができる。
【実施例0035】
以下、具体的な実施例及び比較例によって本実施形態をさらに詳細に説明するが、本実施形態は、以下の実施例及び比較例により何ら限定されるものではない。
【0036】
以下、実施例及び比較例の各物性の測定方法、評価方法について示す。
(ガラス転移温度の測定)
基材のガラス転移温度(Tg1)及び樹脂層のガラス転移温度(Tg2)を、基材及び樹脂層を形成する硬化後の光硬化性樹脂の動的粘弾性を測定し、tanδが最大となる温度をガラス転移温度(Tg)として求めた。
測定装置に動的粘弾性装置(RHEOVIBRON モデルDDV-01FP、ORIENTEC社製)を用いた。
基材、及び樹脂層を、それぞれ長さ約35mm、幅約5mmに切り出して、試験片とし、引張モード、周波数:10rad/s、昇温速度:3℃/mの条件で測定を行い、ガラス転移温度の差:Tg2-Tg1を算出した。
【0037】
(基材の厚み、樹脂層の厚み、微細凹凸構造の厚み、金属ワイヤ層の高さの測定)
ワイヤグリッド偏光子の基材の厚み、微細凹凸構造の厚み、樹脂層の厚み、金属ワイヤ層の高さを、前記ワイヤグリッド偏光子の中央部において、前記微細凹凸構造の延在する方向に垂直な断面を走査型電子顕微鏡(SEM)(S-4100、株式会社日立ハイテクノロジーズ製)にて観察することにより測定した。
前記断面は、イオンミリング装置(IM-4000、日立ハイテクノロジーズ製)を使用して作製した。
また、後述するレンズ等のその他の部材と、ワイヤグリッド偏光子とを一体化する場合、前記断面を作製することが困難であるため、接着剤を用いずに前記その他の部材を元型として成形したワイヤグリッド偏光子の断面を観察した。
【0038】
(延伸率の測定)
ワイヤグリッド偏光子において、特定の2点間を選択し、その延伸率を求めた。この特定の2点とは、微細凹凸構造の延在方向に対し、直交方向又は平行方向における両端部であり、下記の式で延伸率が最大となる方の両端部である。

延伸率(%)=(特定の2点に関し、その曲面形状上における距離)
/(前記特定の2点を直線で結んだ距離) ×100

特定の2点について、その曲面形状上における距離や直線で結んだ距離は、3Dスキャナ型三次元測定機(VL-5000、キーエンス製)を用いて、形状データを取得し、微細凹凸構造の延在方向に直交方向又は平行方向での断面形状データを基に算出した。
【0039】
(ワイヤグリッド偏光子の評価)
<外観観察>
後述する実施例及び比較例にて得られたワイヤグリッド偏光子に関し、その外観を目視で評価した。
対象としては、成形前のワイヤグリッド偏光子の欠陥、成形後のワイヤグリッド偏光子のクラック及びシワ、金属ワイヤ及び微細凹凸構造の破損、端部の状態を、それぞれ評価した。
なお、金属ワイヤ及び微細凹凸構造の破損については、ライトテーブルを使用し、その透過光における色ムラの有無を確認した。
また端部の状態は、成形後のワイヤグリッド偏光子の端部が加工に使用した元型あるいは一体化する部材の端部での形状に追従しているかについて確認した。
それぞれの状態を、〇(良好)、△(可)、×(不良)の三段階で評価した。
【0040】
<偏光度の測定>
ワイヤグリッド偏光子の偏光度を、分光光度計(日本分光株式会社製、V-7100)を用いて測定した。
微細凹凸構造を光源側に配置し、550nmにおけるその平行透過率(Tp)、及び直交透過率(Ts)を測定し、下記の式より、偏光度(P)を算出した。
偏光度P(%)=(Tp-Ts)/(Tp+Ts)×100
【0041】
〔実施例1〕
<ワイヤグリッド偏光子の製造>
基材となるフィルムの片側表面に、光硬化性樹脂で樹脂層及び微細凹凸構造を形成した。
次に、微細凹凸構造の表面に窒化珪素薄膜を形成した。
次に、前記微細凹凸構造に沿ってアルミニウムの金属ワイヤを形成し、ワイヤグリット偏光フィルムを得た。
前記光硬化性樹脂としては、トリメチロールプロパントリアクリレートを32質量%、N-ビニル-2-ピロリドンを32質量%、1,9-ノナンジオールジアクリレートを33質量%、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイドを2質量%、シリコンジアクリレートを1質量%配合したものをろ過することによって調製した光硬化性樹脂A(表中、樹脂Aと記載する。)を用いた。
前記光硬化性樹脂Aの粘度は7.9mPa・sであった。なお、光硬化性樹脂Aを単体で硬化させた際のTgは200℃であった。
厚み80μmのロール状のTAC樹脂フィルム(TAC-Aと呼称、富士フイルム株式会社製 TD80UL-P:Tg175℃)上に、連続的に、前記光硬化性樹脂Aを塗布し、微細凹凸構造を表面に有するロール状スタンパと接触させながら紫外線硬化させることにより、微細凹凸構造を連続的に転写した。この微細凹凸構造が転写されたフィルムの断面を電子顕微鏡により観察したところ、微細凹凸構造の形状は、ロール状スタンパの正確な反転形状になっており、ピッチが0.1μm、厚みが0.1μmのライン&スペース構造であることが確認できた。
連続製膜装置によって、前記微細凹凸構造が転写されたフィルムの、微細凹凸構造形成面側に、スパッタリング法により窒化珪素薄膜を形成した。
次に、窒化珪素薄膜の上に真空蒸着法により、アルミニウムの金属ワイヤを形成し、ワイヤグリッド層4を有するワイヤグリッド偏光子10を得た。
【0042】
<ワイヤグリッド偏光子への曲面形状の付与>
前記ワイヤグリッド偏光子に対し、付与したい曲面形状を有する元型を用いて、真空成型法により、前記元型の曲面形状をワイヤグリッド偏光子に付与した。
詳細には、上下にチャンバーを有する真空成型機内にワイヤグリッドを間仕切るように固定し、装置内の上下チャンバーをともに真空状態とした。この時、ワイヤグリッド偏光子の微細凹凸構造を有する面は、上チャンバー側に向け固定した。その後、装置内のヒーターにてワイヤグリッド偏光子を加熱し、その温度を赤外線モニターにて計測しながら、約200℃に達するまで加熱した後、下チャンバー内に固定されている元型をワイヤグリッド偏光子に突き当てた。元型は直径40mm、曲率半径30mmである球面形状の平凸ガラスレンズである。その後、上チャンバー側にて緩やかに空気をリークさせ、次に下チャンバー側をリークさせた。
上述により曲面形状を有するワイヤグリッド偏光子を得た。
レーザーカットにより所望の曲面形状を付与した部分を切り出し、測定用のサンプルを得た。
【0043】
〔実施例2~19、比較例1~2〕
基材、樹脂層を形成する光硬化性樹脂、ロール状スタンパ、光硬化性樹脂の塗布量、アルミニウムの蒸着量を変更し、下記表1~3に示す物性を有するワイヤグリッド偏光子を作製した。
実施例2~19、比較例1~2において、基材は、前記実施例1の基材とは、Tgや厚みが異なるTAC樹脂フィルム(TAC-Bと呼称、TacBright Optronics社製P980-RR:Tg150℃)(TAC-Cと呼称、TacBright Optronics社製P940-RR、Tg150℃)、COP樹脂フィルム(JSR株式会社製FEKP185、Tg170℃)、PCフィルム(帝人株式会社製、パンライトD、Tg145℃)を使用した。
樹脂層を構成する光硬化性樹脂についは、前記光硬化性樹脂A(表中、樹脂Aと記載する)の配合比において、トリメチロールプロパントリアクリレートを26質量%、N-ビニル-2-ピロリドンを38質量%に変更することにより光硬化性樹脂B(硬化後のTg:185℃、表中、樹脂Bと記載する。)を調製した。
また、前記光硬化性樹脂Aの配合比において、トリメチロールプロパントリアクリレートを45質量%、N-ビニル-2-ピロリドンを19質量%に変更することにより、光硬化性樹脂C(硬化後のTg:210℃、表中、樹脂Cと記載する。)を調製した。
また、前記光硬化性樹脂Aの配合比において、トリメチロールプロパントリアクリレートを22質量%、N-ビニル-2-ピロリドンを42質量%に変更することにより、光硬化性樹脂D(硬化後のTg:178℃、表中、樹脂Dと記載する。)を調製した。
また、前記光硬化性樹脂Aの配合比において、トリメチロールプロパントリアクリレートを48質量%、N-ビニル-2-ピロリドンを16質量%に変更することにより、光硬化性樹脂E(硬化後のTg:215℃、表中、樹脂Eと記載する。)を調製した。
ワイヤグリッド偏光子単体に曲面形状の付与を付与する場合は、元型となるレンズのサイズや曲率半径を変えて、実施例1と同様の方法で実施した。
【0044】
上述した実施例1~19、比較例1、2のワイヤグリッド偏光子を、下記表に示す所定の部材である平凸レンズ、平凹レンズ、凸メニスカスレンズと一体化する場合は、あらかじめワイヤグリッド偏光子の微細凹凸構造がない面に対し、厚み25μmの感圧性接着剤(積水化学社、♯5400A、25μmt)を貼合し、レンズのサイズや曲率半径を変え、実施例1と同様の方法にて加工した。各レンズはCOPレンズを使用した。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【産業上の利用可能性】
【0048】
本実施形態のワイヤグリッド偏光子は、各種の偏光性成形品、ヘッドマウントディスプレイ、ヘッドアップディスプレイの構成材料として、産業上の利用可能性を有している。
【符号の説明】
【0049】
1 基材
1h 基材の厚み
2 樹脂層
2h 樹脂層の厚み
3 微細凹凸構造
3h 微細凹凸構造の厚み
4 ワイヤグリッド層
5 金属ワイヤ
5h 金属ワイヤの高さ
10 ワイヤグリッド偏光子
図1
図2