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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165616
(43)【公開日】2022-11-01
(54)【発明の名称】記録装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/48 20060101AFI20221025BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
B41J29/48 B
B41J2/01 451
B41J2/01 401
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021071027
(22)【出願日】2021-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡田 祐樹
【テーマコード(参考)】
2C056
2C061
【Fターム(参考)】
2C056EB13
2C056EB36
2C056EC67
2C056FA03
2C056FA13
2C061AQ05
2C061AS08
2C061LL06
(57)【要約】
【課題】画像情報に適合しないラベルが使用されたときに、誤ってラベル以外に印刷してしまうことを抑制可能にする。
【解決手段】受信した画像データに基づいて記録媒体に画像を記録する記録部と、記録媒体を搬送する搬送部と、記録媒体の搬送方向の先端位置及び後端位置を検出する検出部と、を備える。記録媒体は、連続した台紙に貼付されたラベルであり、1ページ分の画像データは、連続する複数のラベルにそれぞれ記録する画像の情報を含む画像部と、記録する画像の情報を含まない非画像部とを有する。制御部は、印刷ジョブの実行中に、検出部が後端位置を検出した際に(ステップS45_YES)、後端位置に対応する画像データがラベル部分であるときは(ステップS49)、画像データの記録を停止する(ステップS50)。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信した画像情報に基づいて記録媒体に画像を記録する記録部と、
前記記録媒体を搬送する搬送部と、
前記記録媒体の搬送方向の先端位置及び後端位置を検出する検出部と、
前記記録部及び前記検出部を制御すると共に、前記画像情報に基づいて記録媒体に画像を記録するジョブを実行可能な制御部と、を備え、
前記記録媒体は、連続した台紙に貼付されたラベルであり、
1ページ分の前記画像情報は、連続する複数の前記ラベルにそれぞれ記録する画像の情報を含む画像部と、記録する画像の情報を含まない非画像部とを有し、
前記制御部は、前記ジョブの実行中に、前記検出部が前記後端位置を検出した際に、前記後端位置に対応する前記画像情報が前記非画像部であるときは、前記画像情報の記録を継続し、前記後端位置に対応する前記画像情報が前記画像部であるときは、前記画像情報の記録を停止する、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記ジョブの実行中に、前記非画像部の処理が終了した際に、前記検出部が前記先端位置を検出しないときは、前記画像情報の記録を停止する、
ことを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記画像情報の受信後、かつ、前記記録媒体の搬送開始前に、前記画像情報において、画像を記録しない領域が前記ラベルの搬送方向に関して所定長さ以上連続した場合に、該領域を前記非画像部と判定する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ライン方式で記録を行うインクジェット記録装置として適用可能な記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、搬送する記録媒体の搬送方向の先端部を検出して画像を所望の位置に記録するプリンタなどの記録装置が知られている。この記録装置において、コントローラから供給される印刷情報にサイズなどの適合しないラベルが本装置に設置されていた場合に、そのまま誤ってラベル部分以外の台紙部分に印刷を行ってしまうという課題があった。この課題に対し、ラベル連続体の搬送方向にて、印刷1ページ分のラベル先端と後端を示す情報を検出し、予め設定されている印刷データ情報と適合するか否かを判定することで、印刷情報に適合しないラベルに誤って印刷することを防止するという技術が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-187313号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1に記載の記録装置では、複数の連続した画像データを1ページとしてまとめて扱うことで高速印刷を実現しようとした際、その1ページの画像データの中で想定しているタイミングとは異なる位置でラベルの端部が来てしまった場合に、誤ってラベル部分以外の台紙部分に印刷を行ってしまう虞がある。これは、複数の連続した画像データの間に、ラベルが貼られていない部分に相当する非画像データを挟んで1ページの画像データとして結合したものの、ラベルの大きさが想定したものと異なる場合に、ラベルが貼られていない部分と非画像データの位置がズレるために生じる。
【0005】
また、1ページ毎に識別マークをラベル裏面に設けている場合においても、識別マーク以外のラベルの先端及び後端は監視していない。そのため、識別マーク間でサイズの適合しないラベルが使用されてしまうと、誤ってラベル以外に印刷を行ってしまう虞があった。
【0006】
本発明は、複数の連続した画像データを1ページ分の画像として扱う場合に画像情報に適合しないラベルが使用されたときに、誤ってラベル以外に印刷してしまうことを抑制可能な記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の記録装置は、受信した画像情報に基づいて記録媒体に画像を記録する記録部と、前記記録媒体を搬送する搬送部と、前記記録媒体の搬送方向の先端位置及び後端位置を検出する検出部と、前記記録部及び前記検出部を制御すると共に、前記画像情報に基づいて記録媒体に画像を記録するジョブを実行可能な制御部と、を備え、前記記録媒体は、連続した台紙に貼付されたラベルであり、1ページ分の前記画像情報は、連続する複数の前記ラベルにそれぞれ記録する画像の情報を含む画像部と、記録する画像の情報を含まない非画像部とを有し、前記制御部は、前記ジョブの実行中に、前記検出部が前記後端位置を検出した際に、前記後端位置に対応する前記画像情報が前記非画像部であるときは、前記画像情報の記録を継続し、前記後端位置に対応する前記画像情報が前記画像部であるときは、前記画像情報の記録を停止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の記録装置によれば、複数の連続した画像データを1ページ分の画像として扱う場合に画像情報に適合しないラベルが使用されたときに、誤ってラベル以外に印刷してしまうことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態におけるプリンタの断面図である。
図2】実施形態におけるプリンタの制御ユニットを示すブロック図である。
図3】実施形態におけるロールシートを示す概略図であり、(a)は表面、(b)は裏面である。
図4】実施形態における画像データ中の白紙データを特定する手順を示すフローチャートである。
図5】実施形態におけるプリンタが扱う画像データの一例を示す説明図である。
図6】実施形態におけるプリンタが実行する画像形成処置の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を、図1図6を参照しながら詳細に説明する。本発明の記録装置は、断続的に搬送される紙やカードなどの記録媒体に対して、インクを吐出する記録ヘッドを用いて画像を記録する、所謂、ライン方式のインクジェット記録装置である。また、本実施形態では、記録媒体には、紙、布、プラスチック・フィルムなど、インクを受容可能なものを含む。本実施形態では、記録媒体として、台紙Mと、台紙M上に所定方向としての記録媒体の搬送方向Fに複数貼付されたラベルLa,Lbとを有する長尺のロールシートS(図3(a)参照)を用いた場合について説明する。本実施形態に係る記録装置は、このようなロールシートSの画像形成領域としてのラベル部分に画像形成可能である。なお、本実施形態の記録媒体は、記録媒体の搬送方向Fに沿って複数の画像形成領域が配置されるものであれば良く、上述のように台紙M上に複数のラベルLa,Lbが貼付されている以外に、例えば、予め画像を形成すべき領域(画像形成領域)が決められた長尺状のシートなどであってもよい。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係る記録装置の一例を適用したプリンタの構成例を示す断面図である。図1において、プリンタ1は、ロールシートSをロール状に巻かれているロール2がセットされており、搬送ユニット3により記録位置Arに搬送されるロールシートSに記録ユニット30がインクジェット記録方式により画像を記録形成して印刷する。
【0012】
このプリンタ1は、例えば、PCなどのホスト装置H(図2参照)から送られてくる画像データを制御ユニット40(図2参照)が受け取って記録ユニット30が備える記録ヘッド31の不図示のノズルから各色インクを吐出させることにより画像形成する。
【0013】
このプリンタ1では、搬送部の一例である搬送ユニット3は、ロール2から引き出されるロールシートSを搬送ベルト11が従動ローラ12との間に挟み込んで回転することにより、そのロールシートSをプラテン15上の記録ヘッド31による記録位置Arに搬送する。なお、搬送ベルト11は、搬送ローラ16や従動ローラ17などに巻き掛けられており、その搬送ローラ16がモータ駆動されることにより回転される。また、搬送ベルト11は、従動ローラ17に設置されて一体回転されるエンコーダ21により、回転量(搬送量)と回転速度(搬送速度)とが検出されるようになっている。また、ロール2と記録ユニット30との間には、ロールシートSの端部を検出する検出部の一例であるシート端部検知センサ26及びシート端部検知センサ27が設けられている。即ち、シート端部検知センサ26及びシート端部検知センサ27は、ロールシートSの搬送方向Fの先端位置及び後端位置を検出する。
【0014】
記録ユニット30は、受信した画像情報に基づいてロールシートSに画像を記録する記録部の一例であり、ヒータ駆動によりノズルからインク滴を吐出する、所謂、サーマル方式のインクジェット記録方式を採用する各色毎の複数の記録ヘッド31(31Y,31M,31C,31K)を備えて構成されている。記録ヘッド31は、上下動可能なキャリッジ35に収納されて、ロールシートSの搬送方向Fに沿って配列されている。また、記録ヘッド31は、プラテン15上のロールシートSにノズル形成面32を近接対面させつつ画像データに応じた駆動信号で駆動されて各色インク滴を吐出することにより、ロールシートSに画像形成する。なお、記録ヘッド31は、ロールシートSの搬送方向Fと直交するシート幅方向の全幅を画像形成領域としてカバーするように、複数個のノズルが整列されている、所謂、フルラインヘッドの長尺形態に形成されている。また、記録ヘッド31は、サーマル方式に限らず、例えば、圧電素子(ピエゾ素子)によりノズルからインク滴を吐出させる所謂、ピエゾ方式を採用してもよいことは言うまでもない。
【0015】
記録ユニット30は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色インク毎に別個の記録ヘッド31Y、31M、31C、31Kを備えている。この記録ユニット30では、ロールシートSの搬送方向Fの上流側から下流側に向かって画像形成に適した順位で記録ヘッド31から各色インクを選択的に吐出することにより、ロールシートSの表面側にモノクロ画像やフルカラー画像を記録形成する。
【0016】
[制御ユニット]
次に、プリンタ1で用いられる制御部の一例である制御ユニット40の構成について、図2に基づいて説明する。図2は、プリンタ1が備える制御ユニット40の構成例を示すブロック図である。図2において、制御ユニット40は、CPU41、ROM42、ワークRAM43、及びイメージRAM44を備え、これらのデバイスは互いに通信可能に接続された状態でメイン制御基板(図示せず)上に形成されている。制御ユニット40は、FPGA(Field-Programmable Gate Array)45を更に備える。制御ユニット40は、記録ユニット30とシート端部検知センサ26及びシート端部検知センサ27とを制御すると共に、画像情報に基づいてロールシートSに画像を記録するジョブを実行可能となっている。
【0017】
FPGA45は、CPU41、プログラムROM42、及びイメージRAM44と接続されている。FPGA45は更に、記録ヘッド31、搬送ローラ(の駆動モータ)16、及びロールシートSの搬送量や搬送速度を検出するエンコーダ21に加えて、ロールシートSの端部を検出するシート端部検知センサ26及びシート端部検知センサ27などの各種デバイスと接続されている。これらのデバイス及びイメージRAM44は、FPGA45を介してCPU41と接続されている。また、FPGA45は、搬送ユニット3及び記録ユニット30内の図示しない各センサの出力を示す情報を取得できるように、各センサと接続されている。
【0018】
CPU41は、プログラムROM42に格納された制御プログラムを読み出して実行することにより、プリンタ1内の各デバイスの動作を制御することで、プリンタ1の動作を制御する。プログラムROM42は、CPU41及びFPGA45と接続されており、CPU41によって実行される各種プログラム、及びCPU41及びFPGA45によって使用される各データが格納される。プログラムROM42には、例えば、プリンタ1内の各デバイスの動作に関連する履歴情報が格納されてもよい。ワークRAM43は、CPU41によるワークエリアとして使用され、例えば、ホスト装置Hから受信した画像データ及びコマンド等のデータが一時的に格納される。
【0019】
CPU41は、LAN等のネットワークを介してホスト装置Hと通信可能である。CPU41は、ホスト装置Hから各種指示情報(例えば設定情報)、及び印刷対象の画像データを受信可能であり、ホスト装置Hから受信したデータをワークRAM43に一時的に格納して使用する。CPU41は、ワークRAM43に格納された画像データに基づいて、記録ユニット30(記録ヘッド31)により記録媒体(ロールシートS)に画像を形成させる画像形成処理を行う。
【0020】
CPU41は、FPGA45を介して搬送ユニット3(搬送ローラ16等)及び記録ユニット30(記録ヘッド31等)を制御することにより、画像形成処理を実現する。FPGA45は、CPU41による制御下で、搬送ユニット3及び記録ユニット30の駆動制御を行う。図2に示すように、FPGA45は、画像処理部49、ヘッド駆動部51、モータ駆動部52、移動量検出部53、端部検出部55、及び位置管理部56を含む。
【0021】
画像処理部49は、ワークRAM43に格納された画像データに対して画像処理を行うことで、記録ヘッド31の駆動用の記録データを生成し、生成した記録データをイメージRAM44に格納する。
【0022】
ヘッド駆動部51は、イメージRAM44に格納されている記録データに基づいて、記録ヘッド31を駆動するための駆動信号を生成する。ヘッド駆動部51は、生成した駆動信号により記録ヘッド31を駆動してロールシートSに画像を形成させる。このとき、ヘッド駆動部51は、シート端部検知センサ26或いはシート端部検知センサ27から出力される信号に基づくロールシートSの検出結果に基づいて、記録ヘッド31の駆動制御(インクを吐出するタイミングの制御)を行う。また、モータ駆動部52は、シート端部検知センサ26或いはシート端部検知センサ27から出力される信号に基づくロールシートSの検出結果に基づいて、搬送ローラ16の駆動制御(搬送ローラ16を駆動する駆動モータの駆動制御)を行う。
【0023】
図2に示すように、エンコーダ21から出力された信号は、FPGA45に入力されて移動量検出部53へ提供される。移動量検出部53は、エンコーダ21の出力信号に基づいて、搬送ユニット3によって搬送される記録媒体(ロールシートSを構成する各ラベルLa,Lb)の移動量を検出する。即ち、本実施形態では、記録媒体は、連続した台紙Mに貼付されたラベルLa,Lbである。
【0024】
シート端部検知センサ26は、キャリッジ35(記録ヘッド31)よりも上流に設置される発光素子26a及び受光素子26bからなる透過型光学センサである。このシート端部検知センサ26は、プラテン15に向けて発光素子26aから出射される出射光の直接またはロールシートSを透過して受光される受光素子26bの受光量から、搬送ベルト11により搬送されるロールシートSの端部を検出可能にする。シート端部検知センサ27は、シート端部検知センサ26よりも下流でキャリッジ35(記録ヘッド31)よりも上流側のプラテン15の下部に設置される、発光素子と受光素子が一体の反射型光学センサである。このシート端部検知センサ27も、記録位置Arに送り出されるロールシートSが反射する出射光の反射光の受光量から、そのロールシートSにおける端部を検出可能にする。すなわち、シート端部検知センサ26が透過型端部センサを、シート端部検知センサ27が反射型端部センサを構成している。なお、これらシート端部検知センサ26及びシート端部検知センサ27から受け取るセンサ信号は、端部検出部55による処理に使用される。移動量検出部53及び端部検出部55は、それぞれ検出結果を示す情報を、ロールシートSの位置情報として位置管理部56へ出力する。
【0025】
位置管理部56は、移動量検出部53及び端部検出部55から出力されるロールシートSの位置情報を管理し、当該位置情報をヘッド駆動部51へ出力する。ヘッド駆動部51は、位置管理部56から出力されるロールシートSの位置情報に基づいて、記録ヘッド31に対して駆動信号を出力するタイミングを制御する。
【0026】
このように、FPGA45は、エンコーダ21の出力信号に基づいて、ロールシートSの搬送状態(搬送位置及び搬送速度等)を把握する。FPGA45は更に、ロールシートSの搬送状態に基づいて、搬送ユニット3(搬送ローラ16)及び記録ユニット30(記録ヘッド31)の駆動制御を行うことで、ロールシートSに対する画像形成を実行する。
【0027】
FPGA45は、搬送ユニット3及び記録ユニット30内の図示しない各センサの出力を示す情報を取得すると、当該情報をCPU41へ出力しうる。また、FPGA45は、ロールシートSの搬送状態に応じた割込信号をCPU41へ出力しうる。CPU41は、FPGA45から出力される割込信号を監視している。CPU41は、FPGA45から出力される割込信号及び各種情報に基づいて、FPGA45を含むプリンタ1の各デバイスの動作を制御する。例えば、CPU41は、ワークRAM43に格納されている画像データから記録データを生成し、当該記録データに基づいて記録ヘッド31を駆動するよう、FPGA45に指示する。
【0028】
なお、FPGA45は、記録ヘッド31が使用するインクタンク(図示せず)内のインク残量、及びアクチュエータの動作等を監視して取得した情報を、CPU41と送受信するように構成されている。
【0029】
本実施形態では、プリンタ1は、ホスト装置Hから受け取る画像データを記録形成する記録媒体として、所定の一定幅で連続する、例えば、後述する図3に図示するロールシートSがロール状に巻かれているロール2がセットされている。ロールシートSは、画像を記録形成する所定幅かつ所定長さの記録領域ArL(図3参照)を備える形態とされている。
【0030】
[ロールシート]
次に、本実施形態で使用するロールシートSについて、図3を用いて説明する。図3は、プリンタ1が扱うロールシートSの一例を示す概略図であり、図3(a)は表面、図3(b)は裏面をそれぞれ示す。
【0031】
このロールシートSは、両側部に側辺Psを有する台紙Mの表面内側に剥離可能なラベルLa及びラベルLbが、所定の隙間間隔WLabを空けて貼り付けられている。また、このロールシートSでは、ラベルLaとラベルLbをひとまとまりとしたラベルLが、所定の間隔WL(ピッチ)ごとに連続的に貼付されている。
【0032】
ラベルLaは、所定の幅サイズArLaWかつ所定の長さArLaLの記録領域ArLaを備えており、ラベルLbは、所定の幅ArLbWかつ所定の長さArLbLの記録領域ArLbを備えている。このロールシートSは、例えば、POP広告や名札などのデザイン文字や氏名等の画像データがラベルLaの記録領域ArLa及びラベルLbの記録領域ArLbに記録印刷された後に、そのラベルLa及びLbを台紙Mから剥して利用される。
【0033】
プリンタ1は、ロールシートSの片側の側辺Ps近傍に、シート端部検知センサ26及びシート端部検知センサ27による検出位置SPが設定されている。シート端部検知センサ27は、ロール2から離隔して記録ヘッド31に最も近接する位置に設置されて(図1参照)、搬送ベルト11上のロールシートSの裏面の側辺Ps部に備えられた識別マークMKにおける反射率の変動を反映したセンサ情報をCPU41(FPGA45)に出力する。シート端部検知センサ26は、従動ローラ12とシート端部検知センサ27との間に設置されて(図1参照)、搬送ベルト11上のロールシートSの側辺Psにおける透過率の変動を反映したセンサ情報をCPU41(FPGA45)に出力する。
【0034】
CPU41は、シート端部検知センサ27からロールシートSの側辺Psで変動する反射率に応じたセンサ情報を受け取って、ロールシートSの形態(輪郭端部)や有無を取得する。すなわち、この反射型のシート端部検知センサ27の検出情報に基づいて、CPU41は、ロールシートSの搬送方向端部Peに加え、ロールシートSの隣接するラベルLの記録領域ArLの間隔や有無を取得する。
【0035】
また、CPU41は、シート端部検知センサ26からロールシートSの側辺Psで変動する透過率に応じたセンサ情報を受け取って、ロールシートSの形態(輪郭端部)や有無を取得する。すなわち、この透過型のシート端部検知センサ26の検出情報に基づいて、CPU41は、ロールシートSの隣接するラベルLaの記録領域ArLaの搬送方向Fの後端Leaの位置と、ラベルLbの記録領域ArLbの搬送方向Fの先端Lebの位置を取得する。このとき、この透過型のシート端部検知センサ26の検出情報に基づいて、CPU41は、ラベルLa及びラベルLbの有無を取得する。
【0036】
CPU41は、シート端部検知センサ26及びシート端部検知センサ27の検出情報に基づいて、ロール2から引き出されて画像を記録形成するロールシートSの形態(輪郭端部)を判断して搬送制御処理及び画像形成処理などを実行する。即ち、CPU41は、これらセンサ情報に基づいて、ラベルLが台紙Mに貼付されたロールシートSの形態判断をして各種制御処理を実行する。
【0037】
[画像形成処理の概略]
次に、本実施形態における画像形成処理の概略について説明する。本実施形態では、プリンタ1は、上位のホスト装置Hから画像データを含むジョブの一例として印刷ジョブを受けた際に、CPU41は、ロールシートSの搬送前に画像データを解析する。CPU41は、1ページ分の画像データから、連続する複数のラベルLa、Lbにそれぞれ記録する画像のデータを含む画像部と、記録する画像のデータを含まない白紙データである非画像部とを抽出する。その後、CPU41は、解析した画像データに基づいて、印刷を実行する。以下、画像データの解析処理と、画像形成処理とについて、それぞれ詳細に説明する。
【0038】
[画像データ解析]
まず、CPU41が実行する画像データ解析について、図4及び図5を用いて詳細に説明する。図4は、画像データ中の白紙データを特定する手順を示すフローチャートである。図5は、プリンタ1が扱う画像データの一例を示す説明図である。
【0039】
CPU41は、ホスト装置Hより受信した印刷データにおいて、各種印刷データを取得する(ステップS11)。印刷データとは、例えば、画像データの長さと幅、ロールシートSの搬送速度、解像度、先端及び後端の余白情報等である。CPU41は、ステップS11で取得した印刷データから、画像データの幅サイズArLaW及びArLbWを算出する(ステップS12)。CPU41は、前述と同様に、取得した印刷データから、先端の余白設定値Zfと、後端の余白設定値Zbを算出する(ステップS13)。
【0040】
CPU41は、ホスト装置Hから圧縮された画像データを取得し(ステップS14)、画像データ中の解析を開始するために、白紙データカウントを初期化(n←‘0’,m←‘0’)する(ステップS15)。ここで、カウンタnは圧縮された白紙データひと塊のカウント値を表し、カウンタmは白紙データ1ライン分のカウント値を表す。CPU41は、画像データのライン情報を初期化(L←‘0’)し(ステップS16)、ライン情報を更新(L←L+1)する(ステップS17)。
【0041】
CPU41は、画像データの解析が画像データの最終ラインまで完了したか否か(L>Lmax)を判断する(ステップS18)。ここで、Lmaxは画像データの最終ライン、つまり画像のデータ長さを表す。CPU41は、画像データの解析が画像データの最終ラインまで完了していないと判断した場合は(ステップS18_NO)、次に、現在解析している1ラインの先頭データが白紙データか否かを判断する(ステップS19)。
【0042】
CPU41は、先頭データが白紙データでないと判断した場合は(ステップS19_NO)、カウンタn,mをリセット(n←‘0’,m←‘0’)し(ステップS26)、後述する後端待ちフェーズを解除する(ステップS27)。その後、ステップS17に戻り、画像データの解析を継続する。
【0043】
一方、CPU41は、ステップS19で先頭データが白紙データであると判断した場合は(ステップS19_YES)、同じラインの隣のデータを解析し、それが白紙データであるか否かを判断する(ステップS20)。CPU41は、同じラインの隣のデータが白紙データでは無いと判断した場合は(ステップS20_NO)、ステップS19_NOと同様にステップS26に進み、その後の処理を継続する。一方、CPU41は、同じラインの隣のデータが白紙データであると判断した場合は(ステップS20_YES)、カウンタnを更新(n←n+1)する(ステップS21)。
【0044】
CPU41は、1ラインの白紙データ解析が、画像データの幅サイズ(ArLaW或いはArLbW)分まで完了したか否かを、カウンタnを基に判断する(ステップS22)。具体的には、ホスト装置Hから取得した圧縮された画像データの圧縮単位をAとして、画像データの幅サイズを圧縮単位Aで割った値に対して、白紙データのカウント数(=カウンタn)が到達しているか否かで判断する(n≧ArLaW/A、又は、n≧ArLbW/A)。
【0045】
CPU41は、カウンタnが画像データの幅サイズまで到達していないと判断した場合は(ステップS22_NO)、ステップS20に戻り、白紙データのカウントを継続する。一方、CPU41は、カウンタnが画像データの幅サイズまで到達していると判断した場合は(ステップS22_YES)、その1ラインは全て白紙データで埋まっていると判断し、白紙データ1ライン分のカウンタmを更新し、白紙データが何ライン分続いているかの解析を開始する(ステップS23)。例えば、図5に示す画像データイメージ内のライン情報L1の位置が、初めて1ライン全て白紙データで埋まっているため、この位置から白紙データ1ライン分のカウントを開始する。
【0046】
CPU41は、白紙データ1ラインの解析が、画像データ内の後端の余白設定値Zb分まで到達しているか否かを、カウンタmを基に判断する(ステップS24)。具体的には、画像データの解像度をPとして、画像データの後端の余白設定値Zbを解像度Pで割った値に対して、白紙データ1ライン分のカウント数(=カウンタm)が到達しているか否かで判断する(m≧Zb/P)。
【0047】
CPU41は、カウンタmが画像データの後端の余白設定値Zb分まで到達していないと判断した場合は(ステップS24_NO)、ステップS17に戻り、画像データの解析を継続する。一方、CPU41は、カウンタmが画像データの後端の余白設定値Zb分まで到達していると判断した場合は(ステップS24_YES)、CPU41は、後端待ちフェーズへ移行し(ステップS25)、ステップS17へ戻り、印刷データの解析を継続する。例えば、図5に示すデータイメージ内のライン情報L1+m-1の時点でm-1>Zb/Pとなっていると判断した場合、CPU41は、この1ラインを印刷するタイミングから後端待ちフェーズに入る。即ち、CPU41は、画像データの受信後、かつ、ロールシートSの搬送開始前に、画像データにおいて、画像を記録しない領域が搬送方向Fに関して所定長さ以上連続した場合に、該領域を非画像部の一例として白紙データと判定する。
【0048】
ここで、白紙データの判断と後端待ちフェーズの判断の一例について、図5を用いて具体的に説明する。図5では、印刷解像度を、例えば1200dpi(用紙幅方向)とし、128バイトの画像データ(128バイト圧縮データD1)の画像データ長は、25.4/1200×128×8=21.67mmとなる。例えば、用紙幅4インチ(101.6mm)とすると、実際に1ライン全てを白紙データで埋められている場合において、128バイトの圧縮データの塊の数が5カウント続いたらその1ラインは全て白紙データと判断する。ここで、101.6/21.67=4+余り14.92mm(余剰バイトは88バイト)(余剰バイト圧縮データD2)となる。
【0049】
更に、1ラインのデータ間隔は、25.4/1200×1=0.02117mmとなり、例えば、後端余白の設定値を1.5mmとすると、後端余白のライン数は1.5/0.02117=70+余り0.0181mmとなり、従って白紙データが70ライン続いたら後端待ちフェーズに入る。
【0050】
一方、CPU41は、ステップS18で画像データの解析が画像データの最終ラインまで完了していると判断した場合は(ステップS18_YES)、画像データの解析を終了する。
【0051】
[画像形成処理]
次に、本実施形態における画像形成処理の手順について、図6及び図5を用いて詳細に説明する。図6は、プリンタ1が実行する画像形成処置の手順を示すフローチャートである。
【0052】
CPU41は、ホスト装置Hより印刷データを受信する(ステップS31)。CPU41は、受信した印刷データの中身について、上述した図4に示すフローによる解析を実行する(ステップS32)。CPU41は、ロールシートSがプリンタ1の内部に搬送されてくることを検出するために、シート端部検知センサ26及びシート端部検知センサ27を用いてシート先端の監視を開始する(ステップS33)。
【0053】
CPU41は、ロールシートSの搬送を開始し(ステップS34)、印刷データの1ページのシート先端を検出したか否かを判断する(ステップS35)。CPU41は、印刷データの1ページのシート先端を検出したと判断した場合は(ステップS35_YES)、印刷データの先端余白分の所定距離を搬送し(ステップS36)、画像印刷を実行する(ステップS37)。尚、CPU41は、ステップS35で印刷データの1ページのシート先端を検出していないと判断した場合は(ステップS35_NO)、検出するまでロールシートSの搬送を継続する。
【0054】
CPU41は、現在印刷している画像データとステップS32で解析した画像データとを照合し、ロールシートSの後端待ちフェーズに入るか否かを判断する(ステップS38)。CPU41が後端待ちフェーズに入ると判断した場合は(ステップS38_YES)、シート後端を検出したか否かを判断する(ステップS45)。CPU41は、シート後端を検出したと判断すると(ステップS45_YES)、その検出したシート後端位置をキャンセルする(ステップS46)。例えば、図5に示す画像データイメージ内のライン情報L2+mの時点から後端待ちフェーズに入った場合、その後、ラベルLaの後端Leaを検出した場合に、その後端位置をキャンセルする。この後端位置がキャンセルされることによって、プリンタ1は誤ってラベルLが存在しないと判断し動作を停止させることがなくなり、印刷を継続させることが可能になる。
【0055】
一方、CPU41は、シート後端を検出しないと判断した場合は(ステップS45_NO)、ステップS37に戻り、画像印刷を継続する。例えば、図5に示す画像データイメージ内のライン情報L1+mの時点から後端待ちフェーズに入った場合、その後、ラベルLaの後端は存在せず白紙データが連続しているため、通常の印刷フローと同じ処理を継続させる。
【0056】
CPU41は、ステップS46でシート後端位置をキャンセルした後、次のラベルLbの先端Lebを検出したか否かを判断する(ステップS47)。CPU41は、ラベルLbの先端Lebを検出したと判断した場合は(ステップS47_YES)、ステップS36に戻り、画像印刷を継続する。即ち、CPU41は、印刷ジョブの実行中に、シート端部検知センサ26が後端位置を検出した際に、後端位置に対応する画像データが白紙データであるときは、画像データの記録(印刷)を継続する。尚、ここでの後端位置に対応する画像データとは、後端位置に印刷される予定の画像データを意味する。
【0057】
一方、CPU41は、ラベルLbの先端Lebを検出しないと判断した場合は(ステップS47_NO)、後端待ちフェーズが終了しているか否かを判断する(ステップS48)。CPU41は、後端待ちフェーズが終了していると判断した場合は(ステップS48_YES)、ラベルLbが存在しないと判断し、ジャムエラーと判定し(ステップS49)、画像印刷を停止し(ステップS50)、ロールシートSの搬送を停止させ(ステップS44)、処理を終了する。即ち、CPU41は、印刷ジョブの実行中に、シート端部検知センサ26が後端位置を検出した際に、後端位置に対応する画像データがラベルLa、Lbであるときは、ラベルサイズエラーであると判断して画像データの記録(印刷)を停止する。尚、ここでの後端位置に対応する画像データとは、後端位置に印刷される予定の画像データを意味する。また、CPU41は、印刷ジョブの実行中に、白紙データの処理が終了した際に、シート端部検知センサ26が先端位置を検出しないときは、画像データの記録(印刷)を停止する。尚、CPU41は、後端待ちフェーズが終了していないと判断した場合は(ステップS48_NO)、ステップS47に戻る。
【0058】
一方、CPU41は、ステップS38で、後端待ちフェーズに入らないと判断した場合は(ステップS38_NO)、ラベル後端を検出したか否かを判断する(ステップS39)。CPU41は、ラベル後端を検出したと判断すると(ステップS39_YES)、検出したラベル後端の位置を確定させる(ステップS40)。また、CPU41は、ラベル後端を検出しないと判断した場合は(ステップS39_NO)、ステップS37に戻り、画像印刷を継続する。
【0059】
CPU41は、ステップS40で確定したラベル後端位置が、印刷データの1ページの終了位置か否かを判断する(ステップS41)。CPU41は、このシート後端位置が印刷データの1ページの終了位置では無いと判断した場合は(ステップS41_NO)、ラベルLが存在しないと判断し、ジャムエラーと判定して(ステップS49)、画像印刷を停止し(ステップS50)、ロールシートSの搬送を停止させ(ステップS44)、処理を終了する。
【0060】
一方、CPU41は、シート後端位置が、印刷データの1ページの終了位置であると判断した場合は(ステップS41_YES)、次回印刷データをホスト装置Hより受信しているか否かを判断し(ステップS42)、次回印刷データを受信している場合(ステップS42_YES)は、ステップS32に戻り、上述と同様の印刷フローを実行する。CPU41は、次回印刷データを受信していないと判断した場合は(ステップS42_NO)は、ロールシートSを排出し(ステップS43)、搬送動作を停止させ(ステップS44)、処理を終了する。
【0061】
このように、CPU41は、後端待ちフェーズに移行していない状態で、シート後端を検出した場合に、エラー判定としプリンタ1の動作を停止させることで、ラベルLが存在しない部分、例えばラベルLが剥がれた後の台紙Mの部分や、プラテン15等に、誤って印刷することを抑制可能になる。
【0062】
上述したように本実施形態のプリンタ1によれば、CPU41は、印刷ジョブの実行中に、シート端部検知センサ26が後端位置を検出した際に、後端位置に対応する画像データがラベルLa、Lbであるときは、ラベルサイズエラーであると判断して画像データの記録を停止する。これにより、画像データに適合しないラベルが使用されたときに、誤ってラベル以外に印刷してしまうことを抑制することができる。
【0063】
また、本実施形態のプリンタ1によれば、CPU41は、印刷ジョブの実行中に、シート端部検知センサ26が後端位置を検出した際に、後端位置に対応する画像データが白紙データであるときは、画像データの記録を継続する。このため、ラベルLa,Lbの端部を監視して画像のはみ出しを防止しつつ、ラベルLa,Lbへの印刷を継続することができる。
【0064】
また、本実施形態のプリンタ1によれば、CPU41は、印刷ジョブの実行中に、白紙データの処理が終了した際に、シート端部検知センサ26が先端位置を検出しないときは、画像データの記録を停止する。これにより、画像データに適合しないラベルが使用されたときに、誤ってラベル以外に印刷してしまうことを抑制することができる。
【0065】
また、本実施形態のプリンタ1によれば、CPU41は、画像データの受信後、かつ、ロールシートSの搬送開始前に、画像データにおいて、画像を記録しない領域が搬送方向Fに関して所定長さ以上連続した場合に、該領域を白紙データと判定する。このため、画像を記録しない領域が搬送方向Fに所定長さ未満である場合に、それを白紙データであると判断して誤動作してしまうことを抑制できる。
【0066】
尚、上述した本実施形態におけるプリンタ1では、ロールシートSとして、1ページに2枚のラベルLa,Lbを有するものを適用した場合について説明したが、これには限られず、1ページに3枚以上のラベルを有するものとしてもよい。
【符号の説明】
【0067】
1…プリンタ(記録装置)、3…搬送ユニット(搬送部)、26,27…シート端部検知センサ(検出部)、30…記録ユニット(記録部)、40…制御ユニット(制御部)、F…搬送方向、La,Lb…ラベル(記録媒体)、M…台紙
図1
図2
図3
図4
図5
図6