(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165629
(43)【公開日】2022-11-01
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
A47J 27/00 20060101AFI20221025BHJP
【FI】
A47J27/00 109G
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021071047
(22)【出願日】2021-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000176866
【氏名又は名称】三菱電機ホーム機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】市村 一貴
(72)【発明者】
【氏名】石原 杏子
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 ちひろ
(72)【発明者】
【氏名】内田 毅
(72)【発明者】
【氏名】勝間 規夫
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 利弘
【テーマコード(参考)】
4B055
【Fターム(参考)】
4B055AA02
4B055BA07
4B055BA61
4B055CB18
4B055CD08
4B055CD63
4B055GB25
4B055GC12
4B055GC33
4B055GD02
4B055GD05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】調理中に加圧または減圧する加熱調理器において、調理を適切に行い、良好な食味を実現することができる加熱調理器を提供する。
【解決手段】比較判断部は、減圧開始後、第1時間t1が経過した時点で圧力検知部によって検知された圧力と、基準圧力となる第1圧力P1とを比較し、容器が密閉状態であるか否かを判断する。このとき、比較判断部は、圧力検知部によって検知された容器内の圧力が第1圧力P1よりも大きい、すなわち、第1圧力P1未満に到達していない場合に、容器が非密閉状態であると判断する。そして、制御装置は、加熱を開始せず、現在の工程を一時停止状態にする。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を収容する容器と、
前記容器を収納する本体と、
前記容器を覆う蓋体と、
前記容器を加熱する加熱手段と、
前記容器内の圧力を変化させる圧力変化手段と、
前記容器内の圧力を検知する圧力検知部と、
前記加熱手段および前記圧力変化手段を制御する制御装置と
を備え、
前記制御装置は、
前記圧力変化手段を制御して前記容器内の圧力を変化させる圧力変化工程と、
前記圧力変化工程の後に行われ、前記圧力変化工程における前記容器内の圧力から得られる前記容器の密閉状態に基づき、前記加熱手段を制御して前記容器を加熱する調理工程と
を行う
加熱調理器。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記圧力変化工程において、前記容器内の圧力に基づき前記容器の密閉状態を判断し、
前記容器が密閉状態であると判断した場合に、前記調理工程を開始する前に前記容器内の圧力を大気圧にする
請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記圧力変化工程において、前記容器内の圧力に基づき前記容器の密閉状態を判断し、
前記容器が密閉状態であると判断した場合に、前記調理工程において、前記加熱手段および前記圧力変化手段の少なくとも一方を制御し、前記容器内の圧力を変化させる
請求項1または2に記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記圧力変化工程において、前記容器内の圧力に基づき前記容器の密閉状態を判断し、
前記容器が非密閉状態であると判断した場合に、前記調理工程を実行しない
請求項1~3のいずれか一項に記載の加熱調理器。
【請求項5】
前記制御装置は、
前記圧力変化工程において、前記容器内の圧力に基づき前記容器の密閉状態を判断し、
前記容器が非密閉状態であると判断した場合に、前記調理工程に代えて、設定調理温度および設定調理時間のうち少なくとも一方を変更した第2調理工程を実行する
請求項1~3のいずれか一項に記載の加熱調理器。
【請求項6】
前記制御装置は、
前記調理工程よりもポンプの駆動時間を長くするように、前記第2調理工程を実行する
請求項5に記載の加熱調理器。
【請求項7】
ユーザによる操作指示が入力される操作表示部をさらに備え、
前記制御装置は、
前記操作表示部により調理開始指示が入力された場合に、前記調理開始指示の直後に前記圧力変化工程を行う
請求項1~6のいずれか一項に記載の加熱調理器。
【請求項8】
前記制御装置は、
前記操作表示部を介して入力された、調理モード、メニュー名、食材または調味料のうち少なくともいずれかを含む調理情報が設定条件を満たす場合に、前記圧力変化工程を実行しない
請求項7に記載の加熱調理器。
【請求項9】
前記制御装置は、
前記調理情報に粉状または粒状の物質に関連する情報が含まれていない場合に、前記圧力変化工程を実行しない
請求項8に記載の加熱調理器。
【請求項10】
前記容器が非密閉状態であることを報知する報知手段をさらに備える
請求項1~9のいずれか一項に記載の加熱調理器。
【請求項11】
前記制御装置は、
前記圧力変化工程が開始されてから第1時間の間に、前記圧力変化手段を制御して前記容器内を減圧または増圧させ、
前記第1時間が経過した際の前記容器内の圧力が第1圧力に到達している場合に、前記容器が密閉状態であると判断する
請求項1~10のいずれか一項に記載の加熱調理器。
【請求項12】
前記制御装置は、
前記第1時間だけ経過した時点で前記容器内の減圧または増圧を停止させ、
前記第1時間が経過した時点から第2時間の間に、前記容器内の圧力が前記第1圧力よりも大気圧側に近づかない場合に、前記容器が密閉状態であると判断する
請求項11に記載の加熱調理器。
【請求項13】
前記制御装置は、
前記第1時間だけ経過した時点で前記容器内の減圧または増圧を停止させ、
前記第1時間が経過した時点から第2時間の間に、前記容器内の圧力が前記第1時間経過時点の圧力から起算して第2圧力以上大気圧側に近づかない場合に、前記容器が密閉状態であると判断する
請求項11または12に記載の加熱調理器。
【請求項14】
前記制御装置は、
前記圧力変化工程が開始されてから第1時間の間に、前記圧力変化手段を制御して前記容器内を減圧または増圧させ、
前記第1時間が経過した際の前記容器内の圧力が第1圧力に到達せず、
前記第1時間が経過した時点で前記容器内の減圧または増圧を停止してから第3時間が経過するまでの間に、前記容器内の圧力が第3圧力よりも大気圧側に近づかない場合に、前記容器が擬似的な非密閉状態であると判断するとともに、前記圧力変化手段の不具合に関する報知を行う
請求項10に記載の加熱調理器。
【請求項15】
前記制御装置は、
前記圧力変化工程が開始されてから第1時間の間に、前記圧力変化手段を制御して前記容器内を減圧または増圧させ、
前記第1時間が経過した際の前記容器内の圧力が第1圧力に到達せず、
前記第1時間が経過した時点で前記容器内の減圧または増圧を停止してから第3時間が経過するまでの間に、前記容器内の圧力が前記第1時間経過時点の圧力から起算して第4圧力以上大気圧側に近づかない場合に、前記容器が擬似的な非密閉状態であると判断するとともに、前記圧力変化手段の不具合に関する報知を行う
請求項10または14に記載の加熱調理器。
【請求項16】
前記圧力変化手段は、
前記容器内の空気を外部に排出する減圧ポンプ、または、外部の空気を前記容器内に送り込む増圧ポンプの少なくとも一方を含む
請求項1~15のいずれか一項に記載の加熱調理器。
【請求項17】
内容物を収容する容器と、
前記容器を収納する本体と、
前記容器を覆う蓋体と、
前記容器を加熱する加熱手段と、
前記容器内の圧力を変化させる圧力変化手段と、
前記容器内の圧力を検知する圧力検知部と、
前記加熱手段および前記圧力変化手段を制御する制御装置と
を備え、
前記圧力変化手段により前記容器内の圧力を変化させる圧力変化工程と、
前記圧力変化工程の後に行われ、前記加熱手段により前記容器を加熱する調理工程と
を有し、
前記制御装置は、
前記圧力変化工程が開始されてから第1時間が経過した際の前記容器内圧力が第1圧力に到達している場合に、前記調理工程を開始する前に前記容器内の圧力を大気圧にする
加熱調理器。
【請求項18】
内容物を収容する容器と、
前記容器を収納する本体と、
前記容器を覆う蓋体と、
前記容器を加熱する加熱手段と、
前記容器内の圧力を変化させる圧力変化手段と、
前記容器内の圧力を検知する圧力検知部と、
前記加熱手段および前記圧力変化手段を制御する制御装置と
を備え、
前記圧力変化手段により前記容器内の圧力を変化させる圧力変化工程と、
前記圧力変化工程の後に行われ、前記加熱手段により前記容器を加熱する調理工程と
を有し、
前記制御装置は、
前記圧力変化工程が開始されてから第1時間が経過した際の前記容器内圧力が第1圧力に到達している場合に、前記調理工程において、前記加熱手段および前記圧力変化手段の少なくとも一方を制御し、前記容器内の圧力を変化させる
加熱調理器。
【請求項19】
内容物を収容する容器と、
前記容器を収納する本体と、
前記容器を覆う蓋体と、
前記容器を加熱する加熱手段と、
前記容器内の圧力を変化させる圧力変化手段と、
前記容器内の圧力を検知する圧力検知部と、
前記容器が非密閉状態であることを報知する報知手段と、
前記加熱手段および前記圧力変化手段を制御する制御装置と
を備え、
前記圧力変化手段により前記容器内の圧力を変化させる圧力変化工程と、
前記圧力変化工程の後に行われ、前記加熱手段により前記容器を加熱する調理工程と
を有し、
前記制御装置は、
前記圧力変化工程が開始されてから第1時間が経過した際の前記容器内圧力が第1圧力に到達していない場合に、報知する
加熱調理器。
【請求項20】
内容物を収容する容器と、
前記容器を収納する本体と、
前記容器を覆う蓋体と、
前記容器を加熱する加熱手段と、
前記容器内の圧力を変化させる圧力変化手段と、
前記容器内の圧力を検知する圧力検知部と、
前記加熱手段および前記圧力変化手段を制御する制御装置と
を備え、
前記圧力変化手段により前記容器内の圧力を変化させる圧力変化工程と、
前記圧力変化工程の後に行われ、前記加熱手段により前記容器を加熱する調理工程と
を有し、
前記制御装置は、
前記圧力変化工程が開始されてから第1時間が経過した際の前記容器内圧力が第1圧力に到達していない場合に、前記調理工程を実行しない
加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、食材を調理する加熱調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、真空下で容器内の内容物を加熱し、100℃未満の低温で沸騰させることにより、低温でも内容物を攪拌して全体を均一に調理できることが知られている。例えば、特許文献1には、低温での調理を行う加熱調理器として、減圧ポンプを搭載し、容器内を減圧ポンプで減圧して真空とし、真空下で容器を加熱するようにした加熱調理器が開示されている。
【0003】
特許文献1に記載の加熱調理器は、容器内を内容物の飽和水蒸気圧まで減圧させることにより、100℃未満の低温度帯でも内容物を沸騰させることができる。例えば、60℃の水の飽和水蒸気圧は0.2気圧であるため、加熱調理器は、容器内を約0.2気圧まで減圧させることにより、60℃の水を沸騰させることができる。このように、低温度帯での沸騰状態を維持するためには、容器内の圧力が常に飽和水蒸気圧以下に維持される必要がある。したがって、加熱調理器の密閉性を確保することが非常に重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ユーザが加熱調理器を使用する場合には、構造的に密閉性を高めたとしても、必ずしも所望の減圧状態を確保できるとは限らない。例えば、加熱調理器が製造メーカの想定を超えるような長時間使用された場合には、真空ポンプの能力が低下し、容器内を十分に減圧することができなかったり、容器内を密閉するための弾性部材が劣化してリークが発生したりする可能性がある。また、密着部に塩またはコショウ等の調味料、あるいは汚れ等が付着することにより、密閉性が悪化する可能性もある。
【0006】
密着性が悪化すると、調理を適切に行うことができず、良好な食味を実現することが困難となる。特に、調理の後半で初めて減圧を行う調理モード、あるいは、調理終了時間を指定する予約調理等、ユーザによる調理開始操作が終了してから一定の時間が経過してから減圧を開始する場合には、調理が適切に行われないことに対する対応が困難である。これは、減圧開始後に密閉性が低下していることが判明し、それをユーザに報知したとしても、ユーザが加熱調理器の付近におらず、場合によっては外出している可能性もあり、直ちに対応できないことが多いからである。
【0007】
また、減圧を行う前の段階で、十分に内容物を加熱している場合には、すでに調理が進行しているため、調理を途中で停止しても所望の仕上がりが得られないことがある。このように、調理の際に密閉性が重要となるのは、調理中に減圧する場合に限らず、調理中に大気圧以上に加圧する場合も同様である。
【0008】
本開示は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、調理中に加圧または減圧する加熱調理器において、調理を適切に行い、良好な食味を実現することができる加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の加熱調理器は、内容物を収容する容器と、前記容器を収納する本体と、前記容器を覆う蓋体と、前記容器を加熱する加熱手段と、前記容器内の圧力を変化させる圧力変化手段と、前記容器内の圧力を検知する圧力検知部と、前記加熱手段および前記圧力変化手段を制御する制御装置とを備え、前記制御装置は、前記圧力変化手段を制御して前記容器内の圧力を変化させる圧力変化工程と、前記圧力変化工程の後に行われ、前記圧力変化工程における前記容器内の圧力から得られる前記容器の密閉状態に基づき、前記加熱手段を制御して前記容器を加熱する調理工程とを行うものである。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本開示によれば、圧力変化工程において容器内の圧力から得られる容器の密閉状態に基づいて調理工程が行われるため、調理を適切に行い、良好な食味を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態1に係る加熱調理器の構成の一例を示す模式断面図である。
【
図2】
図1の加熱調理器の構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図1の制御装置の構成の一例を示す機能ブロック図である。
【
図4】
図3の制御装置の構成の一例を示すハードウェア構成図である。
【
図5】
図3の制御装置の構成の他の例を示すハードウェア構成図である。
【
図6】内容物の温度と飽和水蒸気圧との関係を示すグラフである。
【
図7】実施の形態1に係る加熱調理器の圧力変化工程および調理工程について説明するための概略図である。
【
図8】リークが多い場合に容器の密閉性を確認する方法について説明するためのグラフである。
【
図9】リークが比較的少ない場合に容器の密閉性を確認する第1の方法について説明するためのグラフである。
【
図10】リークが比較的少ない場合に容器の密閉性を確認する第2の方法について説明するためのグラフである。
【
図11】実施の形態1に係る制御装置による処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図12】実施の形態1に係る制御装置による処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図13】実施の形態1の変形例において、容器の密閉性または減圧ポンプの不具合を確認する方法について説明するためのグラフである。
【
図14】実施の形態1の変形例において、リークが多い場合に容器の密閉性または減圧ポンプの不具合を確認する方法について説明するためのグラフである。
【
図15】実施の形態1の変形例に係る制御装置による処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図16】実施の形態1の変形例に係る制御装置による処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図17】実施の形態1に係る加熱調理器の圧力変化工程および調理工程の他の例について説明するための概略図である。
【
図18】増圧ポンプを用いて容器の密閉性を確認する方法について説明するためのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。なお、以下の説明に用いられる図面では、同一または相当する部分には、同一の符号を付し、その説明を適宜省略または簡略化する。また、各図に記載の構成について、その形状、大きさ、および配置等は、本開示の範囲内で適宜変更することができる。また、明細書全文に表わされている構成要素の形態は、あくまでも例示であって、これらの記載に限定されるものではない。
【0013】
実施の形態1.
本実施の形態1に係る加熱調理器について説明する。本実施の形態1に係る加熱調理器は、容器内を減圧して容器内の内容物を低温状態で沸騰させる減圧低温沸騰を利用して調理を行うものである。
【0014】
[加熱調理器100の構成]
図1は、本実施の形態1に係る加熱調理器の構成の一例を示す模式断面図である。加熱調理器100は、本体1と、本体1に開閉自在に係止された外蓋2とを備えている。
【0015】
本体1の内側には、容器収納部3が内装固着されている。容器収納部3には、有底筒状で上面が開口した鍋状の容器4が着脱自在に収納されている。容器4内には、被加熱物である食材等の内容物が収容される。容器収納部3の外壁には、加熱手段5が設けられている。加熱手段5は、例えば、容器収納部3にスパイラル状に旋回された電磁誘導加熱用の加熱コイル5aであり、高周波電流が供給されることにより発生する磁界で容器4を誘導加熱する。加熱手段5の加熱動作は、後述する制御装置50によって制御される。なお、この例に限られず、加熱手段5として、電流が供給されることによって熱を発生するヒータ等が用いられてもよい。
【0016】
容器収納部3の底面の中央部には貫通孔が形成され、貫通孔内に鍋底温度センサ6が配置されている。鍋底温度センサ6は、圧縮バネ7によって下方から支持され、容器4の底部に接触するように配置される。鍋底温度センサ6は、容器4の温度を計測する。
【0017】
容器4には取っ手部8が設けられている。取っ手部8は、容器収納部3に設けられた図示しない保持部上に係止される。これにより、容器4が本体1内に保持される。容器4の上面開口の周囲には、外方に向かって延びるフランジ部4aが形成されている。
【0018】
外蓋2には、容器4の上面開口を覆う蓋体である内蓋9が連結されている。内蓋9の周縁には、シール材である蓋パッキン10が設けられている。蓋パッキン10は、外蓋2を閉じた際に、容器4のフランジ部4aおよび内壁と内蓋9との密閉性が得られるようになっている。
【0019】
内蓋9には蒸気孔11が形成されている。蒸気孔11には蒸気排出弁12が配置されている。蒸気排出弁12は、容器4内の圧力によって自動的に開閉し、容器4内を密閉または非密閉とする。通常時において、蒸気排出弁12は、自重により蒸気孔11を閉塞するように設けられている。一方、容器4内が密閉された状態で、容器4内に蒸気が発生し、容器4内の圧力が大気圧を超えると、蒸気は蒸気排出弁12を押しのけて容器4外へ放出されるようになっている。なお、蒸気排出弁12は、容器4内が低圧となるときにも、図示しないパッキンを介して容器4内を密閉するように構成される。
【0020】
蒸気排出弁12の下流には、カートリッジ13が配置されている。カートリッジ13は、蒸気排出口14を備え、蒸気排出弁12を介して容器4内の蒸気を蒸気排出口14から排出する。カートリッジ13には、蒸気の排出経路を密閉するためのカートリッジパッキン15が設けられている。
【0021】
内蓋9には、貫通するセンサ孔16が設けられている。外蓋2には、蓋温度センサ17が配置されている。蓋温度センサ17は、センサ孔16を介して容器4内の上部空間温度を計測する。上部空間温度は、容器4内の内容物以外の空間のうち、内蓋9近傍の空間の温度である。なお、外蓋2には、センサ孔16の周囲の内蓋9と外蓋2とを密閉するための蓋温度センサパッキン18が設けられている。
【0022】
内蓋9には、貫通する第1の内蓋通気孔19aおよび第2の内蓋通気孔19bが設けられている。外蓋2には、外面に開口する第1の外蓋通気孔20aおよび第2の外蓋通気孔20bが設けられている。また、外蓋2には、中空状に形成された連通管21a~21f、三方向電磁弁31、減圧ポンプ32、圧力検知部33および電磁弁34が配置されている。
【0023】
三方向電磁弁31には、第1の内蓋通気孔19aに接続された連通管21aと、減圧ポンプ32に接続された連通管21bと、第1の外蓋通気孔20aに接続された連通管21dとが接続されている。減圧ポンプ32には、連通管21bと、カートリッジ13に接続された連通管21cとが接続されている。
【0024】
三方向電磁弁31は、連通管21bと、連通管21aまたは連通管21dとが接続されるように、三方向電磁弁31の開閉動作が制御装置50によって制御される。連通管21bと連通管21dとが接続されることにより、容器4の外部同士が連通する。また、連通管21aと連通管21bとが接続されることにより、容器4の内外が連通する。
【0025】
減圧ポンプ32は、吸引側から空気を吸引し、排出側から排気する減圧装置である。減圧ポンプ32は、容器4内の圧力を変化させる圧力変化手段として機能する。減圧ポンプ32の吸引側には、連通管21bが接続されている。減圧ポンプ32の排出側には、連通管21cが接続されている。減圧ポンプ32の駆動は、制御装置50によって制御される。
【0026】
減圧ポンプ32は、三方向電磁弁31によって連通管21aと連通管21bとが接続された場合に、第1の内蓋通気孔19a、連通管21a、三方向電磁弁31および連通管21bを介して容器4内の空気を吸引する。そして、減圧ポンプ32は、吸引した空気を、連通管21cおよびカートリッジ13の蒸気排出口14を介して外部に排出する。これにより、容器4内の空気が吸引されて外部に排出されるため、容器4内が減圧する。以下では、このような第1の内蓋通気孔19aから連通管21a、三方向電磁弁31、連通管21b、減圧ポンプ32、連通管21cおよびカートリッジ13を経て蒸気排出口14に至る連通流路を「流路A」と適宜称して説明する。
【0027】
また、減圧ポンプ32は、三方向電磁弁31によって連通管21bと連通管21dとが接続された場合に、第1の外蓋通気孔20a、連通管21d、三方向電磁弁31および連通管21bを介して容器4内の空気を吸引する。そして、減圧ポンプ32は、吸引した空気を、連通管21cおよびカートリッジ13の蒸気排出口14を介して外部に排出する。以下では、このような第1の外蓋通気孔20aから連通管21d、三方向電磁弁31、連通管21b、減圧ポンプ32、連通管21cおよびカートリッジ13を経て蒸気排出口14に至る連通流路を「流路B」と適宜称して説明する。
【0028】
減圧ポンプ32が蒸気を吸引した場合、減圧ポンプ32から結露水が排出されることがあるが、カートリッジ13が結露水を貯める露受けとしても機能する。なお、露受けは、流路を介してカートリッジ13と別に設けられてもよく、例えば本体1等の外蓋2以外の場所に設けられてもよい。
【0029】
圧力検知部33は、連通管21aの途中から分岐する分岐部分に接続されている。圧力検知部33は、例えば圧力センサであり、連通管21aを含む容器4内の圧力を検知する。なお、圧力検知部33は、これに限られず、容器4に連通する連通流路を設け、この連通流路に接続するように配置されてもよい。
【0030】
電磁弁34には、第2の内蓋通気孔19bに接続された連通管21eと、第2の外蓋通気孔20bに接続された連通管21fとが接続されている。電磁弁34は、容器4内と外部との連通を許容または阻止するように開閉する。電磁弁34の開閉動作は、制御装置50によって制御される。
【0031】
電磁弁34が開くことにより、連通管21eと連通管21fとが接続され、容器4内と外部とが連通する。容器4内が減圧された状態で電磁弁34が開状態となった場合には、第2の外蓋通気孔20b、連通管21f、電磁弁34、連通管21eを介して外気が容器4内に取り込まれ、容器4内の圧力が常圧に戻る。このように、電磁弁34の開閉状態によって容器4内の圧力が変化するため、電磁弁34は、減圧ポンプ32と同様に圧力変化手段として機能する。なお、以下では、このような第2の外蓋通気孔20bから連通管21f、電磁弁34、連通管21eを経て第2の内蓋通気孔19bに至る連通流路を「流路C」と適宜称して説明する。
【0032】
連通管21aの第1の内蓋通気孔19aとの接続部分には、第1の内蓋通気孔19aと密閉接続するための経路パッキン22aが配置されている。また、連通管21eの第2の内蓋通気孔19bとの接続部分には、第2の内蓋通気孔19bと密閉接続するための経路パッキン22bが配置されている。
【0033】
なお、第1の外蓋通気孔20aおよび第2の外蓋通気孔20bは、外蓋2の側面または底面に配置されると好ましい。これは、減圧ポンプ20への水分および異物の侵入を防ぎ、故障を抑制するためである。また、第1の外蓋通気孔23aおよび第2の外蓋通気孔23bは、外気を吸引するための通気孔として配置されているが、このような通気孔は、これに限られず、例えば本体1の側面または底部等に配置してもよい。さらに、第1の外蓋通気孔20aおよび第2の外蓋通気孔20b、あるいは、連通管21dおよび連通管21fには、外部の埃等を吸引しないように、フィルターまたはメッシュ構造が設けられてもよい。
【0034】
外蓋2には、操作表示部35が設置されている。操作表示部35は、ユーザによる操作指示等の入力および動作状態等の表示を行う。また、操作表示部35には、報知手段35aが設けられている(
図3参照)。報知手段35aは、例えばスピーカであり、容器4が非密閉状態であることを示すエラーをユーザに対して報知する。
【0035】
なお、操作表示部35は、外蓋2に設置される場合に限られず、例えば本体1に設置されてもよい。また、操作表示部35に対する操作および表示等の各種機能は、以下で説明する制御装置50に含まれてもよいし、スマートフォン等の外部の機器によって実現されてもよい。
【0036】
(制御装置50)
さらに、加熱調理器100は、制御装置50を備えている。制御装置50は、加熱調理器100全体を制御する。制御装置50は、鍋底温度センサ6および蓋温度センサ17の計測結果に基づき、加熱コイル5a、三方向電磁弁31、減圧ポンプ32および電磁弁34を制御し、後述する調理工程を実施するための制御を行う。また、本実施の形態1において、制御装置50は、圧力検知部33の検知結果に基づき、三方向電磁弁31、減圧ポンプ32および電磁弁34を制御し、容器4の密閉性を確認する圧力変化工程を実施するための制御を行う。なお、制御装置50は、本体1に設けられてもよいし、外蓋2に設けられてもよい。また、制御装置50は、上述した操作表示部35の各種機能を含んでもよい。
【0037】
図2は、
図1の加熱調理器の構成の一例を示すブロック図である。
図2に示すように、制御装置50には、三方向電磁弁31、減圧ポンプ32、圧力検知部33、電磁弁34、鍋底温度センサ6、蓋温度センサ17、操作表示部35およびインバータ部36が電気的に接続されている。インバータ部36は、加熱コイル5aに高周波電流を供給するために設けられている。
【0038】
図3は、
図1の制御装置の構成の一例を示す機能ブロック図である。
図3に示すように、制御装置50は、情報取得部51、比較判断部52、機器制御部53、タイマ54および記憶部55を備えている。制御装置50は、マイクロコンピュータなどの演算装置上でソフトウェアを実行することにより各種機能が実現され、もしくは各種機能を実現する回路デバイスなどのハードウェア等で構成されている。
【0039】
情報取得部51は、鍋底温度センサ6で計測された容器4の温度と、蓋温度センサ17によって計測された容器4内の上部空間温度とを取得する。また、情報取得部51は、圧力検知部33で検知された容器4内の圧力を取得する。情報取得部51は、鍋底温度センサ6および蓋温度センサ17からの温度情報と、圧力検知部33からの圧力情報とを定期的に取得する。
【0040】
比較判断部52は、後述する圧力変化工程および調理工程の際に各種の比較および判断を行い、容器4の温度状態および圧力状態等を判断する。例えば、比較判断部52は、情報取得部51で取得された圧力検知部33で検知された容器4内の圧力と、記憶部55に記憶された第1圧力P1とを比較し、容器4の密閉状態を判断する。また、比較判断部52は、圧力検知部33で検知された容器4内の圧力に基づく圧力差ΔPと、記憶部55に記憶された第2圧力ΔP2とを比較することによっても、容器4の密閉状態を判断する。第1圧力P1および第2圧力ΔP2は、容器4の密閉性を確認する際に用いられる基準値である。第1圧力P1および第2圧力ΔP2の詳細については、後述する。
【0041】
さらに、比較判断部52は、タイマ54でカウントされた値に基づき、カウントを開始した時点から記憶部55に記憶された第1時間t1または第2時間t2が経過したか否かを判断する。第1時間t1および第2時間t2は、圧力変化工程において容器4内の圧力状態を確認する際に用いられる設定値である。第1時間t1および第2時間t2の詳細について、後述する。
【0042】
機器制御部53は、比較判断部52による判断結果に基づき、加熱調理器100の各部の動作を制御する。例えば、機器制御部53は、比較判断部52による各種の判断結果に基づき、加熱コイル5a、三方向電磁弁31、減圧ポンプ32、電磁弁34、インバータ部36ならびに操作表示部35による表示およびエラーの報知を制御する。
【0043】
タイマ54は、圧力変化工程における各種の時間をカウントする。本実施の形態1において、タイマ54は、圧力変化工程が開始されてからの経過時間をカウントする。また、タイマ54は、圧力変化工程が開始されて第1時間t1が経過してからの経過時間をカウントする。
【0044】
記憶部55は、制御装置50の各部で用いられる各種の値を記憶する。例えば、記憶部55は、第1時間t1、第2時間t2、第1圧力P1および第2圧力ΔP2等を記憶する。
【0045】
図4は、
図3の制御装置の構成の一例を示すハードウェア構成図である。制御装置50の各種機能がハードウェアで実行される場合、
図3の制御装置50は、
図4に示すように、処理回路41および入出力装置42で構成される。
図3の情報取得部51、比較判断部52、機器制御部53、タイマ54および記憶部55の各機能は、処理回路41により実現される。また、操作表示部35の各種機能が制御装置50に含まれている場合、操作表示部35は、
図4の入出力装置42に対応する。
【0046】
各機能がハードウェアで実行される場合、処理回路41は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせたものが該当する。情報取得部51、比較判断部52、機器制御部53、タイマ54および記憶部55の各部の機能それぞれを処理回路41で実現してもよいし、各部の機能を1つの処理回路41で実現してもよい。
【0047】
図5は、
図3の制御装置の構成の他の例を示すハードウェア構成図である。制御装置50の各種機能がソフトウェアで実行される場合、
図3の制御装置50は、
図5に示すように、プロセッサ43、メモリ44および入出力装置45で構成される。情報取得部51、比較判断部52、機器制御部53、タイマ54および記憶部55の各機能は、プロセッサ43およびメモリ44により実現される。また、操作表示部35の各種機能が制御装置50に含まれている場合、
図3の操作表示部35は、
図5の入出力装置45に対応する。
【0048】
各機能がソフトウェアで実行される場合、情報取得部51、比較判断部52、機器制御部53、タイマ54および記憶部55の機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアおよびファームウェアは、プログラムとして記述され、メモリ44に格納される。プロセッサ43は、メモリ44に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各部の機能を実現する。
【0049】
メモリ44として、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable and Programmable ROM)およびEEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)等の不揮発性または揮発性の半導体メモリ等が用いられる。また、メモリ44として、例えば、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、CD(Compact Disc)、MD(Mini Disc)およびDVD(Digital Versatile Disc)等の着脱可能な記録媒体が用いられてもよい。
【0050】
[加熱調理器100の動作]
次に、上記構成を有する加熱調理器100の動作について説明する。まず、加熱調理器100の動作について説明する前に、調理における温度と圧力との関係について説明する。
【0051】
図6は、内容物の温度と飽和水蒸気圧との関係を示すグラフである。
図6のグラフは、内容物の温度に対する飽和水蒸気圧、すなわち、内容物が沸騰する際の圧力と沸点との関係を示す。
図6に示すように、容器4内の内容物の沸点は、容器4内の圧力によって変動する。例えば、容器4内の内容物である水を60℃で沸騰させるためには、容器4内を0.2気圧程度まで減圧すればよい。
【0052】
図6に示す内容物の温度と飽和水蒸気圧との関係から、本実施の形態1に係る加熱調理器100は、容器4内の内容物を調理する際に、容器4内を減圧するとともに加熱し、大気圧未満の圧力で100℃未満の温度帯から沸騰が継続される減圧沸騰状態を維持する。このように、減圧沸騰状態を維持することにより、容器4内の煮汁の対流が促進されるとともに、沸騰によって発生した水蒸気により、煮汁に浸かっていない食材が蒸すようにして加熱される。そのため、沸騰していない場合と比較して、容器4内の内容物の加熱ムラが軽減される。そして、加熱ムラが軽減されることにより、容器4内の内容物が均一に加熱され、食材の仕上がりが安定するため、おいしさを向上させることができる。
【0053】
(基本動作)
本実施の形態1に係る加熱調理器100の基本動作について、
図1および
図2を参照しながら説明する。加熱調理器100では、主に、容器4の密閉性を確認する圧力変化工程と、容器4内の内容物を調理する調理工程と、調理された内容物を保温する保温工程とが行われる。
【0054】
まず、ユーザによって、任意のメニューを調理するのに必要な米、肉、魚、野菜、水および調味料等の材料が容器4内に投入される。その後、ユーザが取っ手部8を把持することにより、容器4が容器収納部3に載置され、外蓋2が閉じられる。これにより、内蓋9の蓋パッキン10が容器4のフランジ部4aに圧接され、容器4内が密閉される。
【0055】
次に、ユーザによる操作表示部35に対する操作によってメニューが選択され、図示しない開始スイッチがオンとされると、制御装置50に調理開始指示が与えられ、調理が開始される。このとき、制御装置50には、選択されたメニューに応じて、設定調理温度T[℃]、減圧ポンプ32の駆動パターン、ならびに設定調理温度Tを維持する設定調理時間t[分]等の調理条件を含む調理シーケンスが、調理開始指示として与えられる。
【0056】
なお、設定調理温度Tおよび設定調理時間t等の調理条件は、それぞれユーザによって直接選択されるようにしてもよい。また、食材の種類および量、ならびに調理方法等についても、それぞれユーザによって直接選択されてもよい。
【0057】
ここで、本実施の形態1では、減圧低温沸騰が開始される設定調理圧力P[atm]は設定されない。本実施の形態1では、容器4内の空間温度の上昇等により、低温沸騰が開始されたこと、すなわち、容器4内の圧力が設定調理温度Tの飽和水蒸気圧である設定調理圧力Pに到達したことが判断される。
【0058】
なお、この例に限られず、設定調理圧力Pが予め設定されるようにしてもよい。また、例えば、設定可能な各温度に対する飽和水蒸気圧の関係をテーブルとして予め用意しておき、設定調理温度Tで沸騰する圧力が自動的に設定され、そのときの圧力が操作表示部35等に表示されるようにしてもよい。加えて、予約調理のように、設定した時刻までに調理が完了するように、設定調理時間tと設定完了時刻とが設定されるようにしてもよい。
【0059】
調理開始指示が制御装置50に与えられると、容器4への加熱が開始される前の段階で、容器4内の密閉性を確認するための圧力変化工程が開始される。電磁弁34は、調理開始時には流路Cが連通するように開状態となっているが、圧力変化工程が開始されると、流路Cを遮断するように閉状態とされる。また、三方向電磁弁31は、調理開始時には流路Bが連通する状態となっており、容器4内の減圧が行われるときのみ流路Aが連通する状態とされる。そして、減圧ポンプ32が駆動された場合には、容器4内の空気が第1の内蓋通気孔19a、連通管21a、三方向電磁弁31、連通管21b、減圧ポンプ32、連通管21cおよびカートリッジ13の蒸気排出口14を介して外部に排出される。これにより、容器4内の圧力が低下する。次に、圧力検知部33によって検知された容器4内の圧力に基づき、容器4の密閉性が確認される。容器4の密閉性の具体的な確認方法の詳細については、後述する。
【0060】
容器4の密閉性が確認されると、減圧ポンプ32の駆動が停止され、減圧が停止する。また、三方向電磁弁31は、連通流路が流路Aから流路Bとなるように切り替えられる。そして、電磁弁34は、流路Cが連通するように開状態とされ、容器4内に外部の空気が流入する。これにより、容器4内の圧力が大気圧に戻り、圧力変化工程が終了する。
【0061】
なお、容器4の密閉性が確認された後は、容器4内の圧力を大気圧に戻すことなく、そのまま調理を開始してもよい。ただし、容器4内の減圧状態によっては、後工程で加熱する際に、容器4内の内容物が加熱による昇温中に沸騰し、内容物の昇温時間等に変化が生じるため、調理物の仕上がりがユーザの所望の仕上がりとは異なる可能性がある。
【0062】
圧力変化工程が終了すると、調理工程が開始される。この場合、加熱コイル5aには、インバータ部36から高周波電流が供給され、高周波磁界が発生する。容器4の加熱コイル対向面は、発生した高周波磁界によって加熱コイル5aと磁気結合して励磁され、容器4の底面に渦電流が誘起される。そして、誘起された渦電流と容器4の抵抗とによりジュール熱が生じ、容器4の底面が発熱して容器4の内容物に対する加熱が行われる。
【0063】
本実施の形態1では、容器4が設定調理温度Tに到達した後、インバータ部36が制御され、設定調理温度Tが維持される。なお、設定調理温度Tが100℃である場合には、連続的または間欠的に加熱が行われてもよい。
【0064】
調理工程において、三方向電磁弁31は、容器4内の減圧が行われるときのみ流路Aが連通する状態とされる。そして、減圧ポンプ32が駆動された場合には、容器4内の空気が第1の内蓋通気孔19a、連通管21a、三方向電磁弁31、連通管21b、減圧ポンプ32、連通管21cおよびカートリッジ13の蒸気排出口14を介して外部に排出される。これにより、容器4内の圧力が徐々に低下する。そして、
図6に示すように、容器4内の圧力が、容器4の温度または容器4内の内容物の温度における飽和水蒸気圧となると、容器4内に収容された内容物が激しく蒸発および沸騰し、減圧低温沸騰が開始される。なお、本実施の形態1において、このときの圧力は、大気圧である1.0atm以下の圧力となる。
【0065】
指示された設定調理時間tが経過すると、調理が終了し、インバータ部36および減圧ポンプ32の駆動が停止され、加熱および減圧が停止する。また、三方向電磁弁31は、連通流路が流路Aから流路Bに切り替えられるように制御される。このとき、例えば操作表示部35により、調理が終了したことがユーザに対して報知されるようにしてもよい。
【0066】
その後、内容物および容器4内の温度が低下し、予め設定された保温温度に到達した場合に、インバータ部36が制御され、設定保温温度で内容物を保温する保温工程が行われる。保温工程は、予め決められた所定の最長保温時間になるか、ユーザが自ら保温を停止するまで続行する。
【0067】
また、加熱調理器100には、ユーザによる指定時刻までに調理を完了させる予約調理モードが設けられている。予約調理の場合、指定時刻から調理時間を差し引いた時刻まで、調理が開始されなくてもよいが、生の食材を用いた調理を行う場合には、衛生性を長時間担保することが困難である。そのため、予約調理の場合には、加熱殺菌処理または調理を先に行うことが好ましい。本実施の形態1における予約調理では、調理工程全体が先行して行われ、予約時刻まで保温されるものとする。ただし、この場合でも、予約時刻の直前に、あたため等の仕上げ加熱が行われてもよい。
【0068】
図7は、本実施の形態1に係る加熱調理器の圧力変化工程および調理工程について説明するための概略図である。
図7は、容器4の温度[℃]および容器4内の圧力[atm]と、加熱コイル5a、減圧ポンプ32および電磁弁34のそれぞれの動作タイミングと、蒸気排出弁12の状態との一例を示す。
【0069】
(圧力変化工程)
圧力変化工程は、容器4内を減圧した際の容器4内の圧力状態に基づいて容器4の密閉性を確認する工程である。ユーザの操作によってメニューが選択され、開始スイッチが押下されると、制御装置50は、予約時刻の設定有無にかかわらず、圧力変化工程を開始する。
【0070】
まず、制御装置50の機器制御部53は、電磁弁34が閉状態となるように制御して流路Cを遮断し、容器4および内蓋9で囲まれた空間を略密閉状態とする。また、機器制御部53は、三方向電磁弁31を制御して連通流路を流路Aに切り替え、減圧ポンプ32と容器4内とを連通する。そして、機器制御部53は、減圧ポンプ32を第1時間t1だけ駆動する。これにより、容器4内の空気が第1の内蓋通気孔19a、連通管21a、三方向電磁弁31、連通管21b、減圧ポンプ32、連通管21cおよびカートリッジ13の蒸気排出口14を介して外部に排出され、容器4内の圧力が低下する。
【0071】
ここで、減圧ポンプ32の容器4内の空気の吸排気、三方向電磁弁31による連通流路の切り替え、および、電磁弁34による流路Cの遮断が適切に行われるとともに、蓋パッキン10、経路パッキン22aおよび22b等の各弾性部材の劣化等の問題がない場合、容器4内と内蓋9に囲われた空間は、十分に密閉された状態となる。この場合、容器4内の圧力は、
図7の第1時間t1で示される区間において、減圧ポンプ32の限界到達圧力まで徐々に低下する。
【0072】
(リークが多い場合における容器4の密閉性の確認)
リークが多い場合の、容器4の密閉性の確認方法について説明する。減圧ポンプ32の不具合あるいは弾性部材の劣化等により密閉性が悪い場合等、減圧ポンプ32の排気能力に対してリークが多い場合には、第1時間t1だけ減圧ポンプ32を駆動しても、容器4内を十分に減圧することができない。そのため、調理中に減圧または加圧が行われる場合に、そのまま調理を開始すると、容器4内の圧力が予期せぬ圧力状態となり、指示した温度で沸騰が起きない、あるいは、沸騰が弱い等の不具合が圧制し、所望の仕上がりが得られない可能性がある。そこで、比較判断部52は、減圧ポンプ32を駆動してから設定時間だけ経過した時点における容器4内の圧力の状態に基づき、容器4の密閉性を確認する。
【0073】
図8は、リークが多い場合に容器の密閉性を確認する方法について説明するためのグラフである。
図8は、容器4の温度[℃]および容器4内の圧力[atm]と、加熱コイル5a、減圧ポンプ32および電磁弁34のそれぞれの動作タイミングと、蒸気排出弁12の状態との一例を示す。
【0074】
図8に示すように、比較判断部52は、減圧開始後、第1時間t1が経過した時点で圧力検知部33によって検知された圧力と、基準圧力となる第1圧力(例えば、0.5atm)P1とを比較し、容器4が密閉状態であるか否かを判断する。このとき、比較判断部52は、圧力検知部33によって検知された容器4内の圧力が第1圧力P1よりも大きい、すなわち、第1圧力P1未満に到達していない場合に、容器4が非密閉状態であると判断する。そして、制御装置50は、加熱を開始せず、現在の工程を一時停止状態にする。
【0075】
機器制御部53は、減圧ポンプ32の駆動を停止させる。また、機器制御部53は、流路Bが連通するように三方向電磁弁31を切り替え、流路Cが連通するように電磁弁34を開状態に切り替える。これにより、容器4内に外部の空気が流入し、容器4内の圧力が大気圧に戻る。また、機器制御部53は、操作表示部35に備えられた報知手段35aを介して、エラーであることを示す報知音を発するとともに、減圧が十分にできないこと、ならびに経路パッキン22aおよび22b等の弾性部材の汚れまたはねじれ等の確認を促す表示を行う。
【0076】
ユーザによって経路パッキン22aおよび22b等の弾性部材の状態が点検され、操作表示部35の開始スイッチが押されると、制御装置50は、設定を維持したまま再び圧力変化工程を最初から開始する。そして、制御装置50は、上述と同様にして容器4の密閉性を確認し、問題がなければ、次の工程に移行する。
【0077】
なお、ユーザに対する報知は、音および表示に限られず、例えばLED(Light Emitting Diode)を点灯または点滅させる等の光を用いて行われてもよい。また、ユーザに対する報知は、例えばユーザが予め指定したスマートフォン等の情報端末に報知情報が送信され、この情報端末を用いて行われるようにしてもよい。また、容器4が非密閉状態である場合、制御装置50は、現在の工程を一時停止ではなく、終了させてもよい。
【0078】
第1時間t1は、減圧ポンプ32の減圧速度等の能力、および、容器4の容量にもよるが、例えば2分程度に設定されると好ましい。例えば、予約調理において、予約時刻付近まで加熱せずに放置したり、初期に加熱殺菌処理のみを行ったり等、調理自体を予約時刻間際の後半に行う場合、調理工程中に含まれる減圧動作は、ユーザによって調理が指示されてから長時間(例えば、10時間等)経過後になる。そのため、調理工程中に初めて、密閉性が悪いことを加熱調理器100が検知してユーザに報知したとしても、ユーザは、加熱調理器100から離れている場合が多い。また、調理工程中に密閉性が悪いことを報知しても、ユーザの所望の調理完了時刻が迫っているため、ユーザには不便である。
【0079】
これに対して、本実施の形態1では、第1時間t1を比較的短い時間に設定することにより、容器4が密閉されないことがユーザに対して短時間で報知される。そのため、ユーザが加熱調理器100から離れてエラーの報知を認識できないことを抑制することができる。
【0080】
また、圧力変化工程をユーザによる調理開始操作の直後に行うことにより、容器4内の内容物に対して加熱を行う前の段階で、容器4の密閉性を確認できるため、容器4が非密閉であることによる調理の失敗を防ぐことができる。なお、第1圧力P1は、設定調理温度T、ならびに、選択されるメニューおよび調理モードに応じて、その値を適宜変更してもよい。
【0081】
(リークが比較的少ない場合における容器4の密閉性の確認)
リークが比較的少ない場合の、容器4の密閉性の確認方法について説明する。密閉性がやや悪いが、減圧ポンプ32の排気能力に対してリークが比較的少ない場合、第1時間t1だけ減圧ポンプ32が駆動されると、容器4内の圧力が基準となる第1圧力P1以下に到達する場合もある。この場合には、容器4が非密閉状態となっているが、
図8を用いて説明した方法では、容器4の非密閉状態を検知することが困難である。
【0082】
したがって、第1時間t1が経過した時点で、容器4内の圧力が第1圧力P1以下に到達している場合、機器制御部53は、容器4に対する減圧を停止し、予め設定された第2時間t2だけ減圧状態を維持するように、減圧ポンプ32、三方向電磁弁31および電磁弁34を制御する。すなわち、第1時間t1に到達した時点で、圧力検知部33で検知された容器4内の圧力が第1圧力P1以下に到達している場合、機器制御部53は、減圧ポンプ32の駆動を停止させる。また、機器制御部53は、流路Bが連通するように三方向電磁弁31を切り替え、流路Cが遮断されるように電磁弁34の閉状態を維持する。これにより、容器4内は略密閉状態となる。なお、三方向電磁弁31を流路Bに切り替えれば、容器4内は略密閉状態となるため、必ずしも減圧ポンプ32を停止する必要はない。そして、比較判断部52は、第2時間t2が経過した時点における容器4内の圧力状態に基づき、容器4の密閉性を判断する。
【0083】
三方向電磁弁31、減圧ポンプ32、電磁弁34ならびに経路パッキン22aおよび22b等の各部品に特に問題がなく、容器4が十分に密閉されていれば、
図7の第2時間t2の区間のように、圧力は略一定となるか、僅かに増加するのみとなる。一方、減圧ポンプ32の排気能力に対して、比較的低い速度でリークが起きており、容器4の密閉性が十分でない場合には、第2時間t2が経過するまでの間に、容器4内の圧力は徐々に増加する。この場合、本実施の形態1では、以下に示す第1の方法および第2の方法を用いて、容器4の密閉性が確認される。
【0084】
第1の方法は、第2時間t2が経過するまでの間に、容器4内の圧力が第1圧力P1以上となるか否かによって、容器4の密閉性を確認する方法である。
図9は、リークが比較的少ない場合に容器の密閉性を確認する第1の方法について説明するためのグラフである。
図9は、容器4の温度[℃]および容器4内の圧力[atm]と、加熱コイル5a、減圧ポンプ32および電磁弁34のそれぞれの動作タイミングと、蒸気排出弁12の状態との一例を示す。
【0085】
図9に示すように、比較判断部52は、第1時間t1が経過してから第2時間t2が経過するまでの間における、圧力検知部33によって検知された圧力と、基準圧力となる第1圧力P1とを比較し、容器4が密閉状態であるか否かを判断する。このとき、比較判断部52は、圧力検知部33によって検知された容器4内の圧力が第1圧力P1以上に増加した時点で、容器4が非密閉状態であると判断する。そして、制御装置50は、加熱を開始せず、現在の工程を一時停止状態にする。
【0086】
機器制御部53は、流路Cが連通するように電磁弁34を開状態に切り替える。これにより、容器4内に外部の空気が流入し、容器4内の圧力が大気圧に戻る。また、機器制御部53は、操作表示部35に備えられた報知手段35aを介して、エラーであることを示す報知音を発するとともに、減圧が十分にできないこと、ならびに経路パッキン22aおよび22b等の弾性部材の汚れまたはねじれ等の確認を促す表示を行う。
【0087】
なお、ユーザに対する報知は、音および表示に限られず、例えばLEDを点灯または点滅させる等の光を用いて行われてもよい。また、ユーザに対する報知は、例えば情報端末を用いて行われるようにしてもよい。
【0088】
第2の方法は、第2時間t2が経過するまでの間に増加した容器4内の圧力の増分に基づき、容器4の密閉性を確認する方法である。
図10は、リークが比較的少ない場合に容器の密閉性を確認する第2の方法について説明するためのグラフである。
図10は、容器4の温度[℃]および容器4内の圧力[atm]と、加熱コイル5a、減圧ポンプ32および電磁弁34のそれぞれの動作タイミングと、蒸気排出弁12の状態との一例を示す。
【0089】
図10に示すように、比較判断部52は、第1時間t1が経過してから第2時間t2が経過するまでの間における、第1時間t1が経過した時点の容器4内の圧力から起算した容器4内の圧力の圧力差ΔP(
図7参照)と、予め設定された第2圧力ΔP2とを比較し、容器4が密閉状態であるか否かを判断する。このとき、比較判断部52は、容器4内の圧力の圧力差ΔPが第2圧力ΔP2以上となった時点で、容器4が非密閉状態であると判断する。そして、制御装置50は、加熱を開始せず、現在の工程を一時停止状態にする。
【0090】
機器制御部53は、流路Cが連通するように電磁弁34を開状態に切り替える。これにより、容器4内に外部の空気が流入し、容器4内の圧力が大気圧に戻る。また、機器制御部53は、操作表示部35に備えられた報知手段35aを介して、エラーであることを示す報知をユーザに対して行う。
【0091】
第2時間t2は、比較的低い速度で発生するリークを検知するため、例えば3分程度等の第1時間t1より長い時間に設定されるとよい。また、予約調理の場合には、比較的時間に余裕があるため、第2時間t2は、例えば10分程度の長さに設定されてもよい。このように、第2時間t2は、調理モードおよび調理設定に応じて、適宜調整されてもよい。
【0092】
なお、実施の形態1において、第1圧力P1は、例えば0.5atm程度に設定されるため、第2圧力ΔP2は、第1圧力P1よりも小さい0.1atm程度の値に設定される。ただし、第1圧力P1が0.1atm程度の非常に低い値に設定される場合には、この限りではない。
【0093】
(調理工程)
調理工程は、容器4の温度が設定調理温度Tを維持するように、温度を調整しながら容器4内の内容物に対して調理を行う工程である。まず、機器制御部53は、容器4の温度が設定調理温度Tに到達するように、加熱コイル5aを制御する。すなわち、機器制御部53は、鍋底温度センサ6で計測された容器4の温度が設定調理温度Tを含む一定の温度範囲内に収まるように加熱コイル5aを制御する。なお、ここでは、「設定調理温度Tを含む一定の温度範囲内に収まる」ことが「設定調理温度Tを維持する」ことを意味するものとする。
【0094】
容器4の温度が設定調理温度Tに到達すると、機器制御部53は、流路Cが遮断されるように電磁弁34を制御するとともに、連通流路が流路Aとなるように三方向電磁弁31を制御する。また、機器制御部53は、インバータ部36を制御し、鍋底温度センサ6で計測された容器4の温度に基づき、容器4の温度が設定調理温度Tを維持するように、加熱コイル5aによる容器4の加熱を制御する。さらに、機器制御部53は、減圧ポンプ32を駆動し、容器4内の減圧を開始する。そして、機器制御部53は、容器4内の圧力が低下し、減圧低温沸騰が開始されて、蓋温度センサ17によって計測された容器4内の上部空間温度が所定の温度まで上昇した時点で、減圧ポンプ32を停止させるとともに、連通流路が流路Bとなるように三方向電磁弁31を制御する。
【0095】
以後、機器制御部53は、鍋底温度センサ6で計測された容器4の温度と、圧力検知部33で検知された容器4内の圧力とに基づき、調理工程が開始されてから設定調理時間tが経過するまで、容器4の温度が設定調理温度Tを維持するように、減圧ポンプ32および加熱コイル5aによる加熱を制御する。設定調理時間tが経過すると、機器制御部53は、流路Cが連通するように電磁弁34を制御し、容器4内の圧力を大気圧に戻す。なお、設定調理時間tのカウントは、減圧低温沸騰が開始された時点、すなわち、蓋温度センサ17によって計測された容器4内の上部空間温度が所定の温度まで上昇した時点から開始されるようにしてもよい。
【0096】
図11および
図12は、本実施の形態1に係る制御装置による処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、
図11および
図12において、記号AおよびBは、それぞれ対応する記号へと処理が移行することを示す。
【0097】
ステップS1において、調理メニューがユーザによって選択され、ステップS2において、操作表示部35の開始スイッチが押下される。ステップS3において、制御装置50の機器制御部53は、流路Cが遮断されるように電磁弁34を制御するとともに、連通流路が流路Aとなるように三方向電磁弁31を切り替える。そして、機器制御部53は、減圧ポンプ32を駆動し、容器4内の減圧を開始する。これにより、制御装置50は、圧力変化工程を開始する。このとき、制御装置50は、タイマ54によるカウントを開始する。
【0098】
ステップS4において、比較判断部52は、タイマ54でカウントされた値と、記憶部55に記憶された第1時間t1とを比較し、圧力変化工程が開始されてから第1時間t1が経過したか否かを判断する。第1時間t1が経過した場合(ステップS4:Yes)、機器制御部53は、ステップS5において、減圧ポンプ32を停止させて容器4内の減圧を終了するとともに、連通流路が流路Bとなるように三方向電磁弁31を切り替える。また、制御装置50は、タイマ54によるカウントをリセットし、再度、タイマ54によるカウントを開始する。一方、第1時間t1が経過していない場合(ステップS4:No)には、処理がステップS4に戻り、第1時間t1が経過するまでステップS4の処理が繰り返される。
【0099】
ステップS6において、比較判断部52は、圧力検知部33による検知結果に基づき、容器4内の圧力が第1圧力P1以上であるか否かを判断する。容器4内の圧力が第1圧力P1未満である場合(ステップS6:No)には、処理がステップS7に移行する。また、容器4内の圧力が第1圧力P1以上である場合(ステップS6:Yes)には、処理がステップS21に移行する。
【0100】
ステップS7において、比較判断部52は、圧力差ΔPが第2圧力ΔP2以上であるか否かを判断する。圧力差ΔPが第2圧力ΔP2未満である場合(ステップS7:No)には、処理がステップS8に移行する。また、圧力差ΔPが第2圧力ΔP2以上である場合(ステップS7:Yes)には、処理がステップS21に移行する。
【0101】
ステップS8において、比較判断部52は、タイマ54でカウントされた値と、記憶部55に記憶された第2時間t2とを比較し、第1時間t1が経過した時点から第2時間t2が経過したか否かを判断する。第2時間t2が経過した場合(ステップS8:Yes)、機器制御部53は、ステップS9において、流路Cが連通するように電磁弁34を制御する。これにより、ステップS10において、機器制御部53は、加熱コイル5aによる加熱を行うようにインバータ部36を制御し、調理工程を開始する。一方、ステップS8において、第2時間t2が経過していない場合(ステップS8:No)には、処理がステップS6に戻る。
【0102】
次に、ステップS11において、機器制御部53は、流路Cが遮断されるように電磁弁34を制御するとともに、連通流路が流路Aとなるように三方向電磁弁31を切り替える。そして、機器制御部53は、減圧ポンプ32を駆動し、容器4内の減圧を開始する。ステップS12において、機器制御部53は、蓋温度センサ17によって計測された容器4内の上部空間温度が、低温沸騰によって所定の温度まで上昇した時点で、減圧ポンプ32を停止させ、容器4内の減圧を停止するとともに、連通流路が流路Bとなるように三方向電磁弁31を切り替える。
【0103】
ステップS13において、設定調理時間tが経過すると、機器制御部53は、インバータ部36を制御し、加熱コイル5aによる容器4の加熱を停止する。これにより、制御装置50は、調理工程を終了する。そして、機器制御部53は、次の工程である保温工程を開始する。
【0104】
ステップS21において、制御装置50は、現在の圧力変化工程を一時停止する。そして、ステップS22において、機器制御部53は、流路Cが連通するように電磁弁34を制御する。ステップS23において、機器制御部53は、容器4が非密閉状態であることを示すエラーを、操作表示部35の報知手段35aを用いてユーザに報知する。
【0105】
ステップS24において、比較判断部52は、ユーザによる操作表示部35の開始スイッチに対する操作に基づき、一時停止された圧力変化工程を再開するか否かを判断する。圧力変化工程を再開する操作がユーザによって行われた場合(ステップS24:Yes)には、処理がステップS3に戻り、制御装置50は、圧力変化工程を最初から開始する。一方、圧力変化工程を再開する操作がユーザによって行われない場合(ステップS24:No)には、一連の処理が終了する。
【0106】
このように、本実施の形態1では、調理工程が開始される前に、容器4の密閉性を確認する圧力変化工程が行われる。そして、圧力変化工程において、容器4が非密閉状態である場合には、ユーザに対してエラーが報知される。そのため、調理が開始される前に、容器4の密閉性を確認できるので、ユーザが予期しない圧力状態で容器4内の内容物を調理することを未然に防ぐことができる。そして、それによって調理を適切に行い、良好な食味を実現することができる。
【0107】
(変形例)
次に、本実施の形態1に係る加熱調理器100の変形例について説明する。この変形例では、第1時間t1が経過した時点からさらに第3時間t3を設定し、第3時間t3における容器4内の圧力状態に基づき、容器4の密閉性または減圧ポンプ32の不具合の確認を行う。
【0108】
図13は、本実施の形態1の変形例において、容器の密閉性または減圧ポンプの不具合を確認する方法について説明するためのグラフである。
図13は、容器4の温度[℃]および容器4内の圧力[atm]と、加熱コイル5a、減圧ポンプ32および電磁弁34のそれぞれの動作タイミングと、蒸気排出弁12の状態との一例を示す。
【0109】
図13に示すように、減圧が開始されてから第1時間t1が経過した時点で、圧力検知部33で検知された容器4内の圧力が第1圧力P1以下に到達していない場合、制御装置50の機器制御部53は、減圧ポンプ32の駆動を停止させる。また、機器制御部53は、流路Bが連通するように三方向電磁弁31を切り替え、流路Cが遮断されるように電磁弁34の閉状態を維持する。これにより、容器4内は略密閉状態となる。三方向電磁弁31、減圧ポンプ32、電磁弁34ならびに経路パッキン22aおよび22b等の各部品に特に問題がなく、容器4が十分に密閉されていれば、
図13の第3時間t3の区間のように、圧力は略一定となるか、僅かに増加するのみとなる。
【0110】
ここで、本実施の形態1の
図8に示すように、第1時間t1が経過した時点で、容器4内の圧力が基準となる第1圧力P1に到達していない場合に、直ちに圧力変化工程を終了させることにより、ユーザに対して異常を早期に報知することができる。しかしながら、第1時間t1が経過した時点では、容器4内の圧力が第1圧力P1以下に到達しない原因が、減圧ポンプ32による減圧不足によるものなのか、あるいは、弾性部材の汚れまたは劣化等による密閉性の低下によるものなのか、判断することが困難である。
【0111】
これに対して、
図13に示すように、第1時間t1が経過した後に第3時間t3だけ容器4内の圧力状態を維持することにより、容器4内の圧力が第1圧力P1に到達しない原因をより確実に推定することができる。例えば、
図13の例において、第3時間t3の区間では、容器4内の圧力が略一定であることから、密閉性は確保されているものの、容器4内を十分に減圧できていないことがわかる。そのため、この場合には、減圧ポンプ32の不具合が発生していると推定することができる。すなわち、この場合には、容器4が擬似的な非密閉状態であると判断することができる。
【0112】
したがって、第3時間t3が経過した時点で、機器制御部53は、流路Cが連通するように電磁弁34を開状態に切り替える。これにより、容器4内に外部の空気が流入し、容器4内の圧力が大気圧に戻る。また、機器制御部53は、操作表示部35に備えられた報知手段35aを介して、減圧ポンプ32に不具合が発生している可能性があること、ならびに、カスタマーセンターへの連絡を促す等の表示を行う。
【0113】
なお、ユーザに対する報知は、音および表示に限られず、例えばLEDを点灯または点滅させる等の光を用いて行われてもよい。また、ユーザに対する報知は、例えば情報端末を用いて行われるようにしてもよい。さらに、カスタマーセンターへの連絡に代えて、クリーニングモードの使用または点検等を促すようにしてもよい。さらにまた、加熱調理器100では、この圧力変化工程のみを実施するモードを、減圧ポンプ32の故障確認を行うためのモードとして独立して設けてもよい。
【0114】
一方、リークが多い場合には、容器4の密閉性が悪いため、第3時間t3の区間で容器4内の圧力が上昇する。
図14は、本実施の形態1の変形例において、リークが多い場合に容器の密閉性または減圧ポンプの不具合を確認する方法について説明するためのグラフである。
図14は、容器4の温度[℃]および容器4内の圧力[atm]と、加熱コイル5a、減圧ポンプ32および電磁弁34のそれぞれの動作タイミングと、蒸気排出弁12の状態との一例を示す。
【0115】
図14に示すように、第3時間t3が経過する前に、容器4内の圧力が予め設定された基準圧力である第3圧力P3まで上昇した場合、あるいは、第1時間t1が経過した時点の容器4内の圧力から起算した容器4内の圧力の圧力差ΔPが予め設定された第4圧力ΔP4以上となった場合には、容器4の密閉性が悪い、または、容器4の密閉性が悪く、かつ減圧ポンプ32の不具合が発生している可能性がある。したがって、機器制御部53は、容器4内の圧力が第3圧力P3まで上昇、あるいは、容器4内の圧力の圧力差ΔPが第4圧力ΔP4以上となった時点で、流路Cが連通するように電磁弁34を開状態に切り替える。これにより、容器4内に外部の空気が流入し、容器4内の圧力が大気圧に戻る。また、機器制御部53は、操作表示部35に備えられた報知手段35aを介して、減圧ポンプ32に不具合が発生している可能性があること、ならびに、経路パッキン22aおよび22b等の弾性部材の汚れまたは劣化等の確認を促す表示を行う。
【0116】
なお、ユーザに対する報知は、音および表示に限られず、例えばLEDを点灯または点滅させる等の光を用いて行われてもよい。また、ユーザに対する報知は、例えば情報端末を用いて行われるようにしてもよい。
【0117】
減圧ポンプ32の性能によるが、容器4内の圧力が第1圧力P1に到達しないことが、減圧ポンプ32の能力低下等の不具合ではなく、リークによって発生している場合には、リークが減圧ポンプ32の排気能力に対してかなり多いと考えられる。そのため、第3時間t3は、例えば1分程度の第2時間t2に対して短い時間に設定されてもよい。
【0118】
図15および
図16は、本実施の形態1の変形例に係る制御装置による処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、
図15および
図16において、記号C、DおよびEは、それぞれ対応する記号へと処理が移行することを示す。また、
図11および
図12に示すフローチャートと共通する処理については、同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0119】
ステップS1~ステップS5の処理は、
図11に示す処理と同様であるため、説明を省略する。ステップS6において、比較判断部52は、圧力検知部33による検知結果に基づき、容器4内の圧力が第1圧力P1以上であるか否かを判断する。容器4内の圧力が第1圧力P1未満である場合(ステップS6:No)には、処理がステップS7に移行する。また、容器4内の圧力が第1圧力P1以上である場合(ステップS6:Yes)には、処理がステップS31に移行する。
【0120】
ステップS7において、比較判断部52は、圧力差ΔPが第2圧力ΔP2以上であるか否かを判断する。圧力差ΔPが第2圧力ΔP2未満である場合(ステップS7:No)には、処理がステップS8に移行する。また、圧力差ΔPが第2圧力ΔP2以上である場合(ステップS7:Yes)には、処理がステップS32に移行する。
【0121】
ステップS8において、比較判断部52は、タイマ54でカウントされた値と、記憶部55に記憶された第2時間t2とを比較し、第1時間t1が経過した時点から第2時間t2が経過したか否かを判断する。第2時間t2が経過した場合、(ステップS8:Yes)、機器制御部53は、ステップS9において、流路Cが連通するように電磁弁34を制御する。これにより、ステップS10~ステップS14において、機器制御部53は、減圧ポンプ32およびインバータ部36を制御し、調理工程を実施する。
【0122】
ステップS31において、比較判断部52は、タイマ54でカウントされた値と、記憶部55に記憶された第3時間t3とを比較し、第1時間t1が経過した時点から第3時間t3が経過したか否かを判断する。第3時間t3が経過した場合(ステップS31:Yes)には、処理がステップS21に移行する。また、第3時間t3が経過していない場合(ステップS31:No)には、処理がステップS32に移行する。
【0123】
ステップS32において、比較判断部52は、圧力検知部33による検知結果に基づき、容器4内の圧力が第3圧力P3以上であるか否かを判断する。容器4内の圧力が第3圧力P3未満である場合(ステップS32:No)には、処理がステップS33に移行する。また、容器4内の圧力が第3圧力P3以上である場合(ステップS32:Yes)には、処理がステップS21に移行する。
【0124】
ステップS33において、比較判断部52は、圧力差ΔPが第4圧力ΔP4以上であるか否かを判断する。圧力差ΔPが第4圧力ΔP4未満である場合(ステップS33:No)には、処理がステップS31に戻る。また、圧力差ΔPが第4圧力ΔP4以上である場合(ステップS33:Yes)には、処理がステップS21に移行する。
【0125】
以上のように、本実施の形態1に係る加熱調理器100では、圧力変化工程において容器4内の圧力から得られる容器4の密閉状態に基づいて調理工程が行われる。これにより、調理が開始される前に、容器4の密閉性を確認できるので、ユーザが予期しない圧力状態で容器4内の内容物を調理することを未然に防ぐことができる。そのため、容器4内の内容物に対する調理を適切に行い、良好な食味を実現することができる。
【0126】
以上、本開示の実施の形態1について説明したが、本開示は、上述した実施の形態1に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形または応用が可能である。本実施の形態1では、エラーを検知した際に、加熱を開始せず、現在の工程を一時停止状態にして、ユーザに報知するものとしたが、エラーを検知した際の処理はこれに限られない。例えば、エラーの原因が密閉不良による比較的僅かなリークであった場合には、減圧ポンプ32の制御を調整することにより、調理物の仕上がりを問題なく得ることができる。
【0127】
図17は、本実施の形態1に係る加熱調理器の圧力変化工程および調理工程の他の例について説明するための概略図である。例えば、
図17に示すように、温度調整時において間欠的に行われる減圧の頻度および減圧時間を、
図7に示す正常時の例と比較して多くする。これにより、適切に減圧できない場合およびリークが発生している場合であっても、容器4内の減圧状態が一定に保たれるため、低温での沸騰を維持することができ、調理を適切に行い、良好な食味を実現することができる。
【0128】
また、エラーを検知した際には、常圧での調理に切り替え、調理を完遂させるようにしてもよい。例えば、減圧ポンプ32の不具合が発生したと判断された場合に、減圧ポンプ32を直ちに修理することは困難である。そのため、例えば、減圧ポンプ32の不具合が発生したことをユーザに報知するとともに、代替となる常圧での調理に切り替えるようにしてもよい。代替となる調理制御は、調理メニューや調理モードによっても異なるが、例えば、沸騰が必要な調理の場合には、常圧で沸騰する100℃に設定調理温度Tを変更する工程を、元の調理工程の前後に加えてもよい。
【0129】
また、これに限られず、代替となる調理制御は、例えば、設定調理温度Tはそのままで、非沸騰でもしっかりと食材に火が通るように設定調理時間tを延長したり、設定調理温度Tを100℃に変更するとともに、設定調理時間tを短くしたりしてもよい。このように、代替となる調理制御では、設定調理温度Tおよび設定調理時間tの少なくとも一方を変更するとよい。
【0130】
この場合、制御を自動的に切り替え、制御を切り替えたことをユーザに報知してもよいし、現在の工程を一時停止状態にして、ユーザに調理を中止するか、あるいは代替制御で調理するかのいずれかを選択させるようにしてもよい。
【0131】
本実施の形態1による容器4の密閉性の確認は、予約調理の場合または調理工程の後半で減圧を行う場合に特に有効である。また、調理工程中に減圧を行わず、例えば、保温工程でのみ減圧を行うなど、圧力変化工程の後工程のいずれかにおいて、密閉性が重要となる減圧または加圧制御を行う場合に実施するとよい。
【0132】
また、予約調理の際に第2時間t2を20分程度等の長い時間に変更する場合には、エラーを検知したタイミングに応じて、報知を行うか、あるいは調理工程を変更するかのいずれかをユーザに選択させるようにしてもよい。例えば、第2時間t2のカウント開始から10分以内にエラーが検知された場合には、ユーザへの報知のみを行い、10分以上経ってからエラーが検知された場合には、代替の調理制御に切り替えて、ユーザに報知してもよい。
【0133】
本実施の形態1では、減圧ポンプ32を用いて容器4内を調理中に減圧する場合について説明したが、外部から容器4内に空気を送り込む増圧ポンプを用いても同様に、ポンプの状態および容器4の密閉性を確認することができる。
図18は、増圧ポンプを用いて容器の密閉性を確認する方法について説明するためのグラフである。
図18に示すように、容器4内を加圧する場合でも、第1圧力P1または第2圧力ΔP2を用いて容器4の密閉性を確認することができる。
【0134】
また、調理中に蓋を物理的にロックし、加熱によって発生する蒸気で容器4内を加圧する圧力鍋等の調理器の場合にも、容器内の密閉性が十分に保たれていないと、調理が失敗してしまう可能性がある。そのため、調理器に減圧ポンプまたは増圧ポンプを搭載し、本実施の形態1と同様に、容器の密閉性の確認を行ってもよい。なお、密閉性の確認のみ減圧ポンプで行い、調理中は減圧せずに加圧してもよいし、減圧ポンプを用いずに、例えば水蒸気の凝縮効果等を利用して減圧してもよい。
【0135】
本実施の形態1では、圧力変化工程の後、調理工程に移行するように説明したが、ユーザにとっては、調理時間の増加に繋がってしまう。そこで、調理時間を短縮するため、容器4に対する加熱および圧力変化工程が同時に実施されてもよい。ただし、容器4内の内容物が沸騰するほど加熱した状態では、容器4の内部が十分に減圧できない。
【0136】
例えば、第1圧力P1が0.2atmである場合、容器4の温度が60℃程度以上になると沸騰が起こるため、第1圧力P1を検知できない可能性が高い。また、容器4内を加圧する場合には、内容物が沸騰した時点で略密閉状態ではなくなるため、密閉性を確認することは困難である。したがって、圧力変化工程中に加熱を行う場合には、少なくとも圧力変化工程中、内容物が沸騰しない程度の温度になるように加熱を制御する必要がある。すなわち、容器4の温度が容器4内の圧力における沸点を超えないように、容器4内の圧力および温度を制御する必要がある。
【0137】
また、調理メニューに応じて、圧力変化工程が実施されないようにしてもよい。例えば、容器4内に投入される内容物に、お米、小麦粉およびブラックペッパー等の粉状の物質または粒状の物質が含まれる場合には、容器4のフランジ等にこれらの物質が付着して密閉性に悪影響を及ぼす可能性がある。一方、お肉の茹で調理等では、比較的密閉性に悪影響を及ぼす可能性は低いため、このような内容物を調理する場合には、圧力変化工程が実施されないようにしてもよい。内容物の判断は、例えば、ユーザが操作表示部35を介して調理モード、メニュー名、食材または使用する調味料の種類等の少なくともいずれかを含む調理情報を入力することにより行われる。すなわち、制御装置50は、操作表示部35を介して入力された調理情報に、粉状または粒状の物質に関連する情報が含まれていない場合に、圧力変化工程を実施しないようにする。
【0138】
圧力検知部33は、例えば圧力センサであるように説明したが、これはこの例に限られない。圧力検知部33としては、圧力センサのように検知された圧力数値を細かく出力できるものが好ましいが、第1圧力P1および第3圧力P3等の各基準圧力より高いか低いかのみを示す情報を出力するものとしてもよい。圧力検知部33が圧力センサである場合には、調理工程の途中であっても異常発生を検知しやすいが、後者の場合には、調理の途中での検知が困難である。そのため、圧力検知部33として後者を用いる場合には、調理初期に圧力変化工程のような確認工程が設けられることがより重要である。
【符号の説明】
【0139】
1 本体、2 外蓋、3 容器収納部、4 容器、4a フランジ部、5 加熱手段、5a 加熱コイル、6 鍋底温度センサ、7 圧縮バネ、8 取っ手部、9 内蓋、10 蓋パッキン、11 蒸気孔、12 蒸気排出弁、13 カートリッジ、14 蒸気排出口、15 カートリッジパッキン、16 センサ孔、17 蓋温度センサ、18 蓋温度センサパッキン、19a 第1の内蓋通気孔、19b 第2の内蓋通気孔、20a 第1の外蓋通気孔、20b 第2の外蓋通気孔、21a、21b、21c、21d、21e、21f 連通管、22a、22b 経路パッキン、31 三方向電磁弁、32 減圧ポンプ、33 圧力検知部、34 電磁弁、35 操作表示部、35a 報知手段、36 インバータ部、41 処理回路、42、45 入出力装置、43 プロセッサ、44 メモリ、50 制御装置、51 情報取得部、52 比較判断部、53 機器制御部、54 タイマ、55 記憶部、100 加熱調理器。