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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165631
(43)【公開日】2022-11-01
(54)【発明の名称】車両用ドア開閉装置
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/643 20150101AFI20221025BHJP
   E05F 15/655 20150101ALI20221025BHJP
   B60J 5/06 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
E05F15/643
E05F15/655
B60J5/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021071050
(22)【出願日】2021-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000148896
【氏名又は名称】三井金属アクト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100060759
【弁理士】
【氏名又は名称】竹沢 荘一
(74)【代理人】
【識別番号】100083389
【弁理士】
【氏名又は名称】竹ノ内 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100198317
【弁理士】
【氏名又は名称】横堀 芳徳
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸 直也
【テーマコード(参考)】
2E052
【Fターム(参考)】
2E052AA09
2E052CA06
2E052DA03
2E052DA04
2E052DB03
2E052DB04
2E052EA16
2E052EB01
2E052EC01
2E052KA10
2E052KA15
2E052KA16
(57)【要約】
【課題】車両用ドア開閉装置において、ヒンジブラケット及び無端ベルトの不要な動きを抑制してハンドリング性の向上を図る。
【解決手段】ヒンジブラケット201は、ガイドメンバー20に軸205により所定角度回動可能に支持されて、車体に固定される位置である取付位置及び当該取付位置から所定角度回動した位置である退避位置に回動可能であって、退避位置において自体に移動可能に設けた抑え棒207が無端ベルト21に当接することにより無端ベルト21を緊張状態とすると共に、抑え棒207がガイドメンバー20に設けた突部20dに係合することにより退避位置に保持される。抑え棒207は、突部20dから外れることで、ヒンジブラケット201の取付位置への回動を可能にすると共に、無端ベルト21から離れて無端ベルト21の緊張状態を解除する。

【選択図】図21
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動部と、
長手方向の端部に設けたヒンジブラケットを介して車体に固定されるガイドメンバーと、
前記ガイドメンバーにおける長手方向の端部に回動可能に支持されたプーリにそれぞれ掛け回されると共に、前記駆動部の駆動により前記ガイドメンバーの長手方向に沿って循環移動可能な無端ベルト又はケーブルにより形成される動力伝達部材と、
前記動力伝達部材に連結されると共に、前記ガイドメンバーの長手方向に移動可能なガイドローラユニットを介して前記車体に開閉可能に支持されるスライドドアに連結される接続部材と、を備え、
前記ヒンジブラケットは、前記ガイドメンバーに軸により所定角度回動可能に支持されて、前記車体に固定される位置である取付位置及び当該取付位置から所定角度回動した位置である退避位置に回動可能であって、退避位置において自体に移動可能に設けた抑え棒が前記動力伝達部材に当接することにより前記動力伝達部材を緊張状態とすると共に、前記抑え棒が前記ガイドメンバーに設けた突部に係合することにより退避位置に保持され、
前記抑え棒は、前記突部から外れることで、前記ヒンジブラケットの取付位置への回動を可能にすると共に、前記動力伝達部材から離れて前記動力伝達部材の緊張状態を解除することを特徴とする車両用ドア開閉装置。
【請求項2】
前記ヒンジブラケット及び前記プーリを同軸により前記ガイドメンバーに回動可能に支持したことを特徴とする請求項1記載の車両用ドア開閉装置。
【請求項3】
前記ガイドメンバーは、前記軸を中心とする円弧孔を有し、
前記ヒンジブラケットは、前記軸を中心とする遠心方向へ延伸し、かつ前記円弧孔に交差する長孔を有し、
前記突部は、前記円弧孔に設けられ、
前記抑え棒は、前記円弧孔及び前記長孔にそれぞれ移動可能に嵌合され、前記動力伝達部材に緊張状態とする反力で、前記突部に係合する方向へ押されることを特徴とする請求項1又は2記載の車両用ドア開閉装置。
【請求項4】
前記ガイドメンバーは、前記接続部材を所定位置に着脱自在に仮保持するための係合孔を有し、
前記接続部材は、前記係合孔の一端部に位置することにより前記係合孔に係合して係合位置に保持され、前記係合孔の他端部に移動することで前記係合孔から外れることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の車両用ドア開閉装置。
【請求項5】
前記係合孔は、前記ガイドメンバーの長手方向へ向けて傾斜することを特徴とする請求項4記載の車両用ドア開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のスライドドアを自動開閉させるための車両用ドア開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両のボディパネルに取り付けられるベルトガイド部と、ベルトガイド部に循環移動するようにガイドされると共にアームを介してスライドドアに連結される無端ベルト(動力伝達部材)と、無端ベルトを駆動させるモータモジュールと、を備えて、ベルトガイド部は、前端部に無端ベルトの方向転換をするプーリ及びプーリと同軸で回転可能に支持されるヒンジブラケットを設け、後端部に無端ベルトの方向転換をするプーリ及び固定ブラケットを設けて、ヒンジブラケット及び固定ブラケットをボディパネルに固定することによってボディパネルに取り付けられるようにした車両用ドア開閉装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6697827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示の車両用ドア開閉装置においては、ベルトガイド部にヒンジブラケットを回動可能に支持することで、ヒンジブラケットをボディパネルに固定する際、ボディパネルの取り付け面の角度誤差を許容でき、固定しやすい、という利点を有するものの、その一方でベルトガイド部の搬送時、組付時にヒンジブラケットが不要に動いたり、ベルトガイド部にガイドされた無端ベルトが弛みにより振れてしまうことがあるため、ハンドリング性の低下を招く虞がある。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑み、ヒンジブラケット及び動力伝達部材の不要な動きを抑制してハンドリング性の向上を可能とした車両用ドア開閉装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
車両用ドア開閉装置において、駆動部と、長手方向の端部に設けたヒンジブラケットを介して車体に固定されるガイドメンバーと、前記ガイドメンバーにおける長手方向の端部に回動可能に支持されたプーリにそれぞれ掛け回されると共に、前記駆動部の駆動により前記ガイドメンバーの長手方向に沿って循環移動可能な無端ベルト又はケーブルにより形成される動力伝達部材と、前記動力伝達部材に連結されると共に、前記ガイドメンバーの長手方向に移動可能なガイドローラユニットを介して前記車体に開閉可能に支持されるスライドドアに連結される接続部材と、を備え、前記ヒンジブラケットは、前記ガイドメンバーに軸により所定角度回動可能に支持されて、前記車体に固定される位置である取付位置及び当該取付位置から所定角度回動した位置である退避位置に回動可能であって、退避位置において自体に移動可能に設けた抑え棒が前記動力伝達部材に当接することにより前記動力伝達部材を緊張状態とすると共に、前記抑え棒が前記ガイドメンバーに設けた突部に係合することにより退避位置に保持され、前記抑え棒は、前記突部から外れることで、前記ヒンジブラケットの取付位置への回動を可能にすると共に、前記動力伝達部材から離れて前記動力伝達部材の緊張状態を解除することを特徴とする。
【0007】
好ましくは、前記ヒンジブラケット及び前記プーリを同軸により前記ガイドメンバーに回動可能に支持する。
【0008】
好ましくは、前記ガイドメンバーは、前記軸を中心とする円弧孔を有し、前記ヒンジブラケットは、前記軸を中心とする遠心方向へ延伸し、かつ前記円弧孔に交差する長孔を有し、前記突部は、前記円弧孔に設けられ、前記抑え棒は、前記円弧孔及び前記長孔にそれぞれ移動可能に嵌合され、前記動力伝達部材に緊張状態とする反力で、前記突部に係合する方向へ押されるようにする。
【0009】
好ましくは、前記ガイドメンバーは、前記接続部材を所定位置に着脱自在に仮保持するための係合孔を有し、前記接続部材は、前記係合孔の一端部に位置することにより前記係合孔に係合して係合位置に保持され、前記係合孔の他端部に移動することで前記係合孔から外れる。
【0010】
好ましくは、前記係合孔は、前記ガイドメンバーの長手方向へ向けて傾斜する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、ヒンジブラケットを取付位置及び退避位置に回動可能とし、かつ退避位置に保持可能とするとともに、退避位置において動力伝達部材を緊張状態とすることにより、ヒンジブラケット及び動力伝達部材の不要な動きを抑制してハンドリング性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る車両用ドア開閉装置を装着した車両の側面図である。
図2】車両用ドア開閉装置及びセンターガイドレールの斜め前方から見た斜視図である。
図3図2において矢印III方向から見た要部の拡大側面図である。
図4】ベルト接続部材が仮保持姿勢にある状態の要部の斜め前方から見た斜視図である。
図5図4において矢印V方向から見た要部の拡大側面図である。
図6】車両用ドア開閉装置の斜め前方から見た斜視図である。
図7】車両用ドア開閉装置の平面図である。
図8】モータモジュールの分解斜視図である。
図9】ベルト接続部材及び保持手段部をそれぞれ異なる方向から見た斜視図である。
図10】ベルト接続部材及び保持手段部を車内側から見た斜視図である。
図11図10において矢印X1方向から見た上斜め側面図である。
図12】ベルト接続部材が仮保持姿勢にあるときの車内側から見た要部の斜視図である。
図13図12において矢印XIII方向から見た要部の側面図である。
図14図12において矢印XIV方向から見た上斜め側面図である。
図15図13においてXV-XV線縦断面図である。
図16】ベルト接続部材が解除位置にあるときの車内側から見た要部の斜視図である。
図17図16において矢印XVII方向から見た要部の側面図である。
図18図16において矢印XVIIIから見た上斜め側面図である。
図19図17においてXIX-XIX線縦断面図である。
図20】ベルト接続部材が正規姿勢にあるときの図19と同一部位の縦断面図である。
図21】前ヒンジブラケットが係る要部の分解斜視図であって、上下逆にした状態の図である。
図22】前ヒンジブラケットが係る要部の平面図である。
図23図22におけるXXIII矢視図である。
図24図23におけるXXIV矢視図である。
図25】前ヒンジブラケットが取付位置にある状態の図23におけるXXIV矢視図である。
図26】要部を実線で示し、他を2点鎖線で描画した図24の拡大図である。
図27】他の実施形態の要部の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態により限定されるものではなく、以下の実施形態から当業者が自明の範囲内で適宜変更したものも含む。
【0014】
図1に示すように、本実施形態に係る車両用ドア開閉装置1は、小型ワゴンタイプの車両2における左側の車体パネル7の内側に配置されると共に、車体パネル7に前後方向に開閉自在に支持された左側のスライドドア3を後述のモータ15の動力により自動開閉させるものである。
なお、以下の説明における方位は、断りのない限り、車両用ドア開閉装置1を車体パネル7に取り付けた状態での方位を指す。
【0015】
スライドドア3は、前上部に取り付けられたアッパーガイドローラユニット4が車体上部に固定された前後方向へ延伸するアッパーガイドレール8、中央後部に取り付けられたセンターガイドローラユニット5が車体の上下方向中央部に固定された前後方向へ延伸するセンターガイドレール9、また前下部に取り付けられたロアガイドローラユニット6が車体下部に固定された前後方向へ延伸するロアガイドレール10にそれぞれ前後方向に移動自在に連結されることにより前後方向に開閉可能に支持される。
【0016】
(車両用ドア開閉装置1の全体構成)
図2、6、7に示すように、車両用ドア開閉装置1は、車体パネル7の内側に配置され、スライドドア3を自動開閉させるための動力を出力するモータモジュール(駆動部)11と、モータモジュール11が取り付けられると共に、モータモジュール11から出力される動力をスライドドア3に伝達して、スライドドア3を開閉作動させるガイドモジュール12とを備える。
【0017】
(モータモジュール11)
図8に示すように、モータモジュール11は、ガイドモジュール12における後述の取付プレート22を介してガイドメンバー20に固定されるロアケーシング13及びアッパーケーシング14と、回転軸が下方へ向くようにアッパーケーシング14に取り付けられるモータ15と、アッパーケーシング14の上面に固定され、モータ15を含むアッパーケーシング14の上面全体を覆う合成樹脂製のカバー16と、モータ15の回転を減速する第1減速ギヤ17と、第1減速ギヤ17に噛合し、第1減速ギヤ17の回転を減速する第2減速ギヤ18とを含む。
【0018】
第2減速ギヤ18と一体的に回転する駆動軸19は、回転中心軸線が上下方向を向いて、第1減速ギヤ17及び第2減速ギヤ18により減速されたモータ15の回転をガイドモジュール12側へ出力するものであって、ガイドモジュール12の後述の駆動プーリ23の中心孔に相対的に回転不能に圧入固着される。これにより、モータ15の回転は、図示略の電磁クラッチ、第1減速ギヤ17、第2減速ギヤ18、駆動軸19を介して駆動プーリ23に伝達される。駆動プーリ23の回転は、後述のように、ガイドモジュール12における動力伝達部材となる無端ベルト21に伝達される。
【0019】
(ガイドモジュール12)
図2、6、7に示すように、ガイドモジュール12は、センターガイドレール9の上部に配置される合成樹脂製のガイドメンバー20と、ガイドメンバー20により長手方向(前後方向)へ案内される前記動力伝達部材となる無端ベルト21と、ガイドメンバー20に固定された取付プレート22と、無端ベルト21をガイドメンバー20の長手方向に沿って循環移動させるための駆動プーリ23(図8参照)と、無端ベルト21をスライドドア3に連結するためのベルト接続部材24とを有する。
【0020】
ガイドメンバー20は、図7に示す平面視においてセンターガイドレール9の長手方向(前後方向)に沿った形状を呈して、センターガイドレール9の上面に重なり合うような形態で、前端部に所定角度可能に支持した前ヒンジブラケット201及び後端部に所定角度回動可能に支持した後ヒンジブラケット202を介して図示略のボルトにより車体パネル7に固定される。これにより、前ヒンジブラケット201及び後ヒンジブラケット202を車体パネル7に固定する際、車体パネル7の取り付け面の角度誤差を許容して確実に固定することができる。
【0021】
ガイドメンバー20の前端部には、無端ベルト21の前端部が掛け回されることでガイドメンバー20の前端で無端ベルト21を方向転換させるための前反転プーリ203が軸205により回動可能に支持される。ガイドメンバー20の後端部には、無端ベルト21の後端部が掛け回されることでガイドメンバー20の後端で無端ベルト21を方向転換させるための後反転プーリ204が軸206により回動可能に支持される。
【0022】
前ヒンジブラケット201は、金属製であって、前反転プーリ203をガイドメンバー20の前端部に回動可能に支持するための軸205により所定角度回動可能に支持されると共に、図示略のボルトにより車体パネル7に締結されることによりガイドメンバー20の前端部を車体パネル7に固定する。
【0023】
後ヒンジブラケット202は、金属製であって、後反転プーリ15をガイドメンバー20の後端部に回動可能に支持するための軸206により所定角度回動可能に支持されると共に、図示略のボルトにより車体パネル7に締結されることによりガイドメンバー20の後端部を車体パネル7に固定する。
【0024】
主に図22に示すように、前ヒンジブラケット201は、図示略のボルトにより車体パネル7に固定された状態においては、自体の取付部201aが車体パネル7に対面する取付位置(図22に2点鎖線で示す位置)にあるが、ガイドメンバー20を車体パネル4に固定するまでの期間は、取付位置から図22において反時計方向へ略60度回転した実線で退避位置に所定の保持力で保持される。前ヒンジブラケット201が退避位置にある場合には、後述のように無端ベルト21に制動力を付与する。後ヒンジブラケット202も前ヒンジブラケット201と同様に、退避位置から取付位置に回動な構成を備えて、退避位置にある場合には、無端ベルト21に対して緊張力で制動力を付与する。これらについては、後述する。
【0025】
ガイドメンバー20の後部側面には、例えば図4~6に示すような姿勢で、ベルト接続部材24をガイドメンバー20に着脱自在に仮保持するための保持手段部25が設けられる。保持手段部25には、無端ベルト21をセンターガイドローラユニット5に連結するまでの期間、無端ベルト21に予め固着されたベルト接続部材24が着脱自在に仮保持される。
【0026】
保持手段部25は、例えば図9、10に示すように、ガイドメンバー20の側壁部20aを車内外方向(左右方向)へ貫通し、前後方向(開閉方向)へ所定の開口幅を有する矩形状の係合孔251と、係合孔251の下部に設けられる受け部252、位置合わせ突部253及び逃げ部254と、係合孔251の上部に設けられる案内突起部255及び上抑え部256と、係合孔251の下部にあって、上方へ所定量突出する下抑え部257、258とを有する。
【0027】
受け部252は、係合孔251の前寄り側にあって、係合孔251の下部から車外方向へ所定量突出すると共に、車内側を向く面に車外斜め上方向へ向けて傾斜する傾斜面252aを有する。
【0028】
逃げ部254は、係合孔251の下部で、かつ受け部252の後側にあって、受け部252よりも車内側に凹むと共に、前後方向に所定の長さを有する。逃げ部254の前後方向の長さは、ベルト接続部材24の後述の被保持部241の前後方向の幅よりも若干大きく形成される。
【0029】
位置合わせ突部253は、逃げ部254の前後方向略中央部にあって、逃げ部254の側端面から車外側へ向けて突出するように設けられる。下抑え部257、258は、係合孔251の下部にあって、受け部252及び位置合わせ突部253よりも車内側寄り側に設けられる。
【0030】
案内突起部255は、係合孔251における前後方向の略中央上部から下方へ突出するように設けられる。上抑え部256は、案内突起部255の車外側を向く側面に設けられ、案内突起部255よりも車外側へ突出するように設けられる。なお、上抑え部256の下端は、案内突起部255の下端よりも上方に位置するように設けられる。
【0031】
無端ベルト21は、扁平状のゴム製であって、特に図2に示すように、前端部がガイドメンバー20の前部に支持された前反転プーリ203、また後端部がガイドメンバー20の後部に支持された後反転プーリ204にそれぞれ掛け回されると共に、室内側を移動する部分の一部が室内側に迂回して、前述の駆動プーリ23に掛け回されることで、駆動プーリ23の回転に伴って、ガイドメンバー20に沿って前後方向へ循環移動する。
【0032】
(ベルト接続部材24及び保持手段部25)
ベルト接続部材24は、上部が無端ベルト21の車外側を移動する領域の一部に連結されると共に、上部にあって、無端ベルト21に固着される被保持部241と、被保持部241の上端(仮保持姿勢にあっては車内側を向く端)に設けられる爪部242と、被保持部241の車外側を向く側面(仮保持姿勢にあっては上面)にあって、かつ爪部242の下方(仮保持姿勢にあっては車外側)に設けられる案内凹部243と、被保持部241の上端に設けられる位置合わせ凹部244とを有し、センターガイドローラユニット5に連結されるまでの期間、例えば図4~6に示すように、保持手段部25に嵌合して車外側へ上斜め方向に略30度に傾いた仮保持姿勢で着脱自在に保持され、センターガイドローラユニット5に連結する場合には、保持手段部25から取り外される。
【0033】
被保持部241は、ベルト接続部材24の上部にあって、無端ベルト21を厚み方向から挟み込むことで、無端ベルト21に固着される。本実施形態においては、被保持部241の前後方向の幅は、保持手段部25における係合孔251の前後方向の開口幅の約2/3で、かつ逃げ部254の前後方向の幅よりも若干小さくなるように形成される。これにより、ベルト接続部材24は、被保持部241が係合孔251に嵌合した状態で前後方向に所定量移動可能であって、かつ図12~14に示すように、被保持部241の前端が係合孔251の前端に当接した係合位置から、図16~18に示すように、被保持部241の後端が係合孔251の後端に当接した解除位置、及びその逆へ移動可能である。ベルト接続部材24が解除位置にある場合には、被保持部241は、逃げ部254に合致する。これにより、被保持部241を、逃げ部254を通して下方へ移動させることで、保持手段部25から取り外し可能となる。
【0034】
被保持部241の車外側を向く側面(ベルト接続部材20の仮保持姿勢においては、上面)は、特に図15に示すように、ベルト接続部材24の係合位置において保持手段部25の上抑え部256に対して下側から当接可能な被上抑え部245を形成する。上抑え部256は、被上抑え部245に対して上側から当接することにより、ベルト接続部材24における仮保持姿勢からの上方への動きを阻止する。
【0035】
被保持部241の車内側を向く側面(ベルト接続部材20の仮保持姿勢においては、下面)は、特に図15に示すように、ベルト接続部材24の係合位置において保持手段部25の受け部252の傾斜面252aに対して乗り上げ可能な被受け部246を形成する。被受け部246は、受け部252の傾斜面252aに乗り上げることで、ベルト接続部材24を車外側が上斜め方向へ向いた仮保持姿勢に確実に支持する。
【0036】
爪部242は、被保持部241の上端にあって、車外側(ベルト接続部材20の仮保持姿勢においては、上側)向けて突出するように形成されることで、特に図15に示すように、ベルト接続部材24の係合位置においてガイドメンバー20における案内突起部255に対して車内側から当接する。これにより、ガイドメンバー20は、仮保持姿勢にある場合、車外方向(抜け方向)への移動が阻止される。
【0037】
案内凹部243は、被保持部241の車外側を向く側面に設けられ、車内側(ベルト接続部材20の仮保持姿勢においては、下側)へ向けて凹み、かつ前後方向へ所定の長さを有するように形成されることで、特に図15に示すように、ベルト接続部材24の係合位置においてベルト接続部材20における案内突起部255に対して前後方向へ相対移動可能で、かつ車内外方向に相対移動不能に嵌合し、正規姿勢にある場合には、案内突起部255から外れる。
【0038】
位置合わせ凹部244は、被保持部241における前後方向の幅中央部にあって、かつ位置合わせ突部253の前後幅よりも若干拡幅に形成されると共に、ベルト接続部材24の解除位置において、位置合わせ突部253の位置に合致することで、被保持部241の逃げ部254からの下方への移動を可能にする。ベルト接続部材24は、位置合わせ凹部244が位置合わせ突部253に合致しない位置、すなわち解除位置以外にある場合には、被保持部241の一部が位置合わせ突部253に対して当接することで、被保持部241の係合孔251から取り外しを阻止する。
【0039】
ベルト接続部材24が係合位置にある場合には、特に図12~15に示すように、被保持部241の前端は、係合孔251の前端に当接し、爪部242は、上向き姿勢で、案内突起部255に対して車内側から当接し、被受け部246は、受け部252の傾斜面252aに乗り上げた状態で支持され、案内突起部255は、案内凹部243に前後方向へ移動可能で、かつ車内外方向に移動不能に嵌合し、上抑え部256は、被上抑え部245に対して上側から当接可能であり、被下抑え部247は、下抑え部257、258に対して車外側から当接している。これにより、ベルト接続部材24は、車外側へ上斜め方向に略30度に傾いた仮保持姿勢に保持される。
【0040】
本実施形態おいては、被保持部241の前端は、係合孔251の前端に当接することで、ベルト接続部材24を係合位置に規制する被ストッパ部24aを形成し、また、被保持部241の後端は、係合孔251の後端に当接することで、ベルト接続部材24を解除位置に規制するストッパ部24bを形成する。
【0041】
ベルト接続部材24は、係合位置から後方へ移動させられることで、解除位置に移動する。この場合、ベルト接続部材24のストッパ部24bが係合孔251の後端に当接して、ベルト接続部材24の解除位置を定めるため、ベルト接続部材24を簡単かつ確実に解除位置に停止させることができる。
【0042】
ベルト接続部材24が解除位置に移動した場合には、特に図16~19に示すように、被保持部241の後端の被ストッパ部24bは、係合孔251の後端に当接し、被受け部246は、受け部252の傾斜面252aから外れて逃げ部254に合致する位置に移動し、位置合わせ凹部244は、位置合わせ突部253に合致する位置に移動する。これにより、ベルト接続部材24の被保持部241は、逃げ部254を通って下方へ移動可能となる。例えば、被保持部24を解除位置の手前で停止させる等して、正規の解除位置以外の位置にある場合には、位置合わせ凹部244と位置合わせ突部253とが互いに干渉して、被保持部241の下方への移動が阻止される。したがって、ベルト接続部材24が正規の解除位置にある場合のみ、ベルト接続部材24を保持手段部25から取り外すことができる。これにより、ベルト接続部材24をセンターガイドローラユニット5に対して予め定めた位置で容易に連結できる。
【0043】
ベルト接続部材24を保持手段部25から取外すには、被保持部24を下方へ若干移動させて、案内突起部255と案内凹部243との互いの嵌合関係を解除する。これにより、ベルト接続部材24は、下方への回動が可能となり、ベルト接続部材24を保持手段部25から外して正規姿勢とすることができる。この場合、ベルト接続部材24は、案内突起部255が案内凹部243から外れたタイミングで、捩じれた無端ベルト21の復帰力に加えて、自重により下方へ回動するため、容易に正規姿勢とすることができる。
【0044】
保持手段部25から取り外されたベルト接続部材24は、正規姿勢の状態で、センターガイドレール9に予め組付けられたセンターガイドローラユニット5のブラケット5aの上面にボルトにより連結される。
【0045】
ベルト接続部材24をガイドメンバー20の保持手段部25に仮保持する場合には、図9~11に示すように、ベルト接続部材24を正規姿勢から上方へ略120度回転させた姿勢の状態で、被保持部241を保持手段部25の逃げ部254の位置に合わせて車外側から係合孔251に差し込みつつ上方へ若干移動させる。これにより、ベルト接続部材24の案内凹部243に案内突部255が上方から嵌合する。続いて、ベルト接続部材25を前方に移動させて仮保持位置と移動させる。これにより、ベルト接続部材24の被受け部246が受け部252の傾斜面252aに乗り上げると共に、被保持部241の被下抑え部247が下抑え部257、258に対して車外側から当接することで、ベルト接続部材25は、車外側へ上斜め方向に略30度に傾いた仮保持姿勢に保持される。
【0046】
ベルト接続部材24が車外側へ上斜め方向に略30度に傾いた仮保持姿勢にある場合には、無端ベルト21は、厚み方向が所定角度捩れた状態にあり、ベルト接続部材24の前側及び後側には、特に図5に示すように、無端ベルト21の捩じれ部21aが形成される。これにより、ベルト接続部材25に対して、捩じれ部21aによる復帰力(無端ベルト21が元の状態に戻ろうとする力)により、ベルト接続部材24に対して図15において受け部252を支点として時計方向へのモーメントが作用して、案内凹部243が案内突起部255に確実に嵌合するため、ベルト接続部材25は、係合位置に確実に保持される。
【0047】
また、捩じれ部21aにより無端ベルト21の弛みを吸収して、無端ベルト21のガタ付きをより確実に抑えることができる。
【0048】
さらに、ベルト接続部材24は、仮保持姿勢にある場合には、車外側へ上斜め方向に傾いた姿勢にあるため、従来技術のように水平方向へ大きく延在したものに比して、車外側への突出量を小さくできる。これにより、車両用ドア開閉装置1のハンドリング性の向上を図ることができると共に、車体パネル7への組付け時にベルト接続部材24が他部品に干渉して、他部品を傷付けることを抑止できる。
【0049】
さらに、ベルト接続部材24は、センターガイドローラユニット5の移動軌跡外に退避した位置にある。これにより、車両用ドア開閉装置1を車体パネル7に組付けた後、センターガイドローラユニット5をセンターガイドレール9に組み付ける際、センターガイドローラユニット5がベルト接続部材24に干渉しないので、センターガイドローラユニット5をセンターガイドレール9に容易に組み付けることができる。
【0050】
上述のように、車両用ドア開閉装置の搬送期間、及び車体パネル7に対して組付け作業を行う期間、ベルト接続部材24が保持手段部25に着脱自在に保持されることで、無端ベルト21の弛み、捩じれ等により、無端ベルト21及びベルト接続部材25が振れて車体パネル7やスライドドア3に接触する等して傷付けることを未然に防止する。この結果、車両用ドア開閉装置1のハンドリング性の向上を図ることができる。
【0051】
(前ヒンジブラケット201及びそれに係る構成)
前ヒンジブラケット201及びそれに係る構成について、図21~26に基づいて説明する。なお、後ヒンジブラケット202の構成は、前後逆であること以外は前ヒンジブラケット201と全て同一であるので、後ブラット202の詳細説明は省略する。
【0052】
図21は、前ヒンジブラケット201が係る要部の分解斜視図であって、上下逆にした状態の図である。図22は、前ヒンジブラケット201が係る要部の平面図である。図23は、図22におけるXXIII矢視図である。図24は、図23におけるXXIV矢視図である。図25は、前ヒンジブラケット201が取付位置にある状態の図23におけるXXIV矢視図である。図26は、要部を実線で示し、他を2点鎖線で描画した図24の拡大図である。
【0053】
前ヒンジブラケット201は、取付部201aが車体パネル7に対面する図25に示す取付位置から図24に示す退避位置及びその逆に回動し得るように、ガイドメンバー20の前端部に回動可能に支持される。前ヒンジブラケット201が退避位置にある場合には、前ヒンジブラケット201の一部が、ガイドメンバー20に設けたストッパ部20eに当接することで、前ヒンジブラケット201の図24において時計方向への回動が規制される。
【0054】
ガイドメンバー20の前端部には、上下方向を向く円筒状の軸受部20bと、軸受部20bを中心とする円弧方向に所定の長さを有する円弧孔20cとが設けられる。円弧孔20cにおける一端部付近の外周縁には、内側に向けて山形状に突出する突部20dが設けられる。
【0055】
前ヒンジブラケット201は、上下方向を向く軸205によりガイドメンバー20の軸受部20bに所定角度回動可能に支持されることにより退避位置(図22に実線で示す位置及び図24に示す位置)から取付位置(図22に2点鎖線で示す位置及び)及びその逆へ回動可能である。
【0056】
前ヒンジブラケット201を退避位置にするタイミングは、ベルト接続部材24を係合孔251に係合して係合位置としたあとに行われる。
【0057】
さらに、前ヒンジブラケット201は、前述の取付部201a及び上下の支持部201eを有する。取付部201aには、車体パネル7に固定するための図示略のボルトが挿入される取付孔201bが設けられる。上下の支持部201eには、軸25が挿入される軸孔201cと、軸孔201cの付近から遠心方向へ延伸し、かつ円弧孔20cに交差する長孔201dとがそれぞれ設けられる。上下の長孔201dには、段付き円柱状の上下方向を向く抑え棒207が長孔201dの長手方向へ移動可能に嵌合される。
【0058】
抑え棒207は、上下の長孔201dに移動可能に嵌合されると共に、上側(図21においては下側)の長孔201dから上方へ突出した端部207aがガイドメンバー20の円弧孔20cに円弧方向へ移動可能に嵌合されると共に、図24に示すように、前ヒンジブラケット201が退避位置にある場合には、円弧孔20cの一端部寄りに位置にして突部20dに当接可能であり、図25に示すように、前ヒンジブラケット201が取付位置にある場合には、円弧孔20cの他端部寄りに位置する。好ましくは、抑え棒207における端部207aの外径は、円弧孔20cにおける内周縁と突部20dとの間の間隙L(図26参照)よりも若干小さいものとする。これにより、抑え棒207は、前ヒンジブラケット201の退避位置から取付位置への回動に伴って、突部20dを乗り越えて円弧孔20cの一端部から他端部に移動できる。
【0059】
前反転プーリ203は、軸205により前ヒンジブラケット201における上下の支持部201e間に回動可能に支持される。無端ベルト21の前端部は、前反転プーリ203に掛け回されることで、前ヒンジブラケット201の上下の支持部201e間を移動すると共に、その移動経路は、図25に示すように、円弧孔20c及び長孔201dに交差する。
【0060】
図24に示すように、前ヒンジブラケット201が退避位置にある場合には、抑え棒207の端部207aは、円弧孔20cの一端部寄り位置して突部20dに当接し、抑え棒207に設けた拡径部207bは、無端ベルト21の側面に当接して無端ベルト21をその移動方向に直交する方向(図24において矢示F1方向)へ押し込んで緊張状態とすることにより、無端ベルト21に対して制動力を付与する。この場合、無端ベルト21の反力が抑え棒207に対して矢示F2方向(図24参照)へ作用するため、抑え棒207の端部207aが円弧孔20cの外周縁に強く押し付けられて、突部20dに確実に当接する。これにより、前ヒンジブラケット201を退避位置に確実に保持できる。
【0061】
前ヒンジブラケット201を退避位置から取付位置に移動させるには、抑え棒207を無端ベルト21の反力に抗して求心方向へ移動させて、抑え棒207の端部207aと突部20dとの当接関係を解除する。これにより、前ヒンジブラケット201を退避位置から取付位置へ向けて回動させることにより、前ヒンジブラケット201を取付位置とすることができる。
【0062】
前ヒンジブラケット201が取付位置にある場合には、図25に示すように、抑え棒207の端部207aは、円弧孔20cの他端部寄りに位置し、抑え棒207の拡径部207bは、無端ベルト21の側面から離れる。これにより、無端ベルト21に作用する緊張力及び制動力は解除される。
【0063】
上述のように、ガイドメンバー20を車体パネル4に固定するまでの期間、前ヒンジブラケット201及び/又は後ヒンジブラケット202を退避位置に保持することにより、ガイドメンバー20からの前ヒンジブラケット201及び/又は後ヒンジブラケット202の突出量を減少させることができる。さらには、無端ベルト21を緊張状態として無端ベルト21に制動力を付与して、無端ベルト21の不要な動き、弛み及びがた付きを抑制するため、ベルト接続部材24を係合孔251に対して確実に仮保持させることができる。これにより、車両用ドア開閉装置1の搬送時及び車体パネル7への組付け時に、前ヒンジブラケット201及び後ヒンジブラケット202が不用意に振れる等して車体パネル7に接触して塗装面を傷つけるような事態を防止して、車両用ドア開閉装置1のハンドリング性をより向上させることができる。
【0064】
(スライドドア3に対する車両用ドア開閉装置1の連結作業)
先ず、図2に示すように、ガイドメンバー20を車体パネル7に予め固定されたセンターガイドレール9の上側に配置して、ガイドメンバー20の前ヒンジブラケット201及び後ヒンジブラケット202を取付位置に回動させて図示略のボルトにより車体パネル7に固定して、車両用ドア開閉装置1を車体パネル7に組み付ける。
【0065】
車両用ドア開閉装置1を車体パネル7に対して組み付け作業を行うときには、ベルト接続部材24は、前述のようにして、ガイドメンバー20の保持手段部25に仮保持されている。
【0066】
車体パネル7に対する車両用ドア開閉装置1の組み付けは、モータモジュール11をガイドモジュール12に予め組み付けた状態で行っても良いし、モータモジュール11とガイドモジュール12とを分離した形態で、先に、ガイドモジュール12を車体パネル7に組み付け、その後に、モータモジュール11をガイドモジュール12に組み付けるようにしても良い。
【0067】
次いで、スライドドア3に取り付けられた各ガイドローラユニット4、5、6の図示略のガイドローラ(センターガイドローラユニット5については、図15、19、20に符号5bとしてガイドローラを示している)をそれぞれ対応する各レール8、9、10に後端から挿入する。そして、スライドドア3を前方、すなわち閉方向へ移動させて、センターガイドローラユニット5を係合孔251に仮保持されたベルト接続部材24の位置(予め定められた位置)に合わせる。この場合、ベルト接続部材24は、仮保持姿勢にあって、センターガイドローラユニット5の移動軌跡外に退避した位置にあるため、センターガイドローラユニット5がベルト接続部材24に衝突するような事態を回避できる。これにより、センターガイドローラユニット5及びベルト接続部材24の損傷を防止できる。
【0068】
次いで、専用の治具を車体パネル7とスライドドア3の後端の間の隙間に差し込んで、ベルト接続部材24を係合孔251から上述のように取り外して、ベルト接続部材24を正規姿勢にする。そして、ベルト接続部材24の下部をセンターガイドローラユニット5のブラケット5aに連結する。これにより、無端ベルト21とスライドドア3とは、ベルト接続部材24及びセンターガイドローラユニット5を介して連結される。
【0069】
(車両用ドア開閉装置1の作用)
ユーザ携帯のワイヤレスリモートスイッチ又はスライドドア3に設けられるドア開用のドアハンドルの操作に応じて、モータ15が駆動する。これにより、モータ15の回転は、電磁クラッチ、第1減速ギヤ17、第2減速ギヤ18、駆動軸19及び駆動プーリ23を経由して、無端ベルト21に伝達される。これにより、無端ベルト21がガイドメンバー20の長手方向に沿って循回移動することで、スライドドア3は、閉位置にあれば開移動し、全開位置にあれば閉移動する。
【0070】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、上記実施形態に対して、次のような種々の変形や変更及び組み合わせを施すことが可能である。
【0071】
(1)前記実施形態においては、センターガイドレール9とガイドメンバー20とを別体としたが、これに代えて、センターガイドレール9とガイドメンバー20とを一体的に形成するか、または、センターガイドレール9に対してガイドメンバー20を予め固定した構成としても良い。この場合には、ベルト接続部材24を仮保持するための保持手段部25をセンターガイドレール9に設けても良い。よって、ガイドメンバー20、又はガイドメンバー20とセンターガイドレール9の両要素を組み合わせた要素を、本発明においては、ガイド手段と定義する。
【0072】
(2)前記実施形態においては、モータ15の動力をスライドドア3に伝達するための動力伝達部材を無端ベルト21としたが、これに代えて、動力伝達部材をボーデンケーブル等のケーブルとする。
【0073】
(3)前ヒンジブラケット201に代えて、又は加えて、後ヒンジブラット202を、取付位置及び退避位置に回動可能であって、退避位置において自体に移動可能に設けた抑え棒207が無端ベルト21に当接することにより無端ベルト21を緊張状態とすると共に、抑え棒207が退避位置に保持されるようにする。
【0074】
(4)図27に示す他の実施形態のように、保持手段部25における係合孔251Aを一方(前方)が他方(後方)よりも低くなるように傾斜させる。このようにすると、係合孔251Aに係合しているベルト接続部材24は、自重により一方、すなわち係合方向(係合位置に向かう方向)へ摺動しようとする力が作用するため、ベルト接続部材24を係合位置に確実に保持できる。
【0075】
例えば、前ヒンジブラケット201及び/又は後ヒンジブラケット202を退避位置から取付位置に移動させた際、それまで無端ベルト21に付与されていた制動力が解除されて、無端ベルト21が僅かに動いて、ベルト接続部材24が後方(解除方向)に位置ずれを起こす虞があるが、図27に示す他の実施形態のようにすると、無端ベルト21に作用する制動力が解除されても、ベルト接続部材24を自重により係合位置に確実に保持できる。
【0076】
なお、他の実施形態においては、係合孔251A全体が傾斜している以外は前記実施形態と同一のであるので、前記実施形態と同一部分については前記実施形態と同一の符号を付与して詳細説明は省略する。
【符号の説明】
【0077】
1 車両用ドア開閉装置 2 車両
3 スライドドア 4 アッパーガイドローラユニット
5 センターガイドローラユニット 5a ブラケット
5b ガイドローラ 6 ロアガイドローラユニット
7 車体パネル 8 アッパーガイドレール
9 センターガイドレール(ガイド手段) 10 ロアガイドレール
11 モータモジュール(駆動部) 12 ガイドモジュール
13 ロアケーシング 14 アッパーケーシング
15 モータ 16 カバー
17 第1減速ギヤ 18 第2減速ギヤ
19 駆動軸 20 ガイドメンバー
20a 側壁部 20b 軸受部
20c 円弧孔 20d 突部
20e ストッパ部 201 前ヒンジブラケット
201a 取付部 201b 取付孔
201c 軸孔 201d 長孔
201e 支持部 202 後ヒンジブラケット
203 前反転プーリ 204 後反転プーリ
205 軸 206 軸
207 抑え棒 207a 端部
207b 拡径部 21 無端ベルト(動力伝達部材)
21a 捩じれ部 22 取付プレート
23 駆動プーリ 24 ベルト接続部材(接続部材)
24a、24b 被ストッパ部 241 被保持部
242 爪部 243 案内凹部
244 位置合わせ凹部 245 被上抑え部
246 被受け部 247 被下抑え部
25 保持手段部 251 係合孔
252 受け部 252a 傾斜面
253 位置合わせ突部 254 逃げ部
255 案内突起部 256 上抑え部
257、258 下抑え部
図1
図2
図3
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