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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165637
(43)【公開日】2022-11-01
(54)【発明の名称】貨幣処理装置および貨幣処理方法
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/50 20190101AFI20221025BHJP
   G07D 9/00 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
G07D11/50
G07D9/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021071058
(22)【出願日】2021-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】小林 清晃
(72)【発明者】
【氏名】毛利 裕也
【テーマコード(参考)】
3E141
【Fターム(参考)】
3E141AA01
3E141AA08
3E141BA06
3E141BA14
3E141BA15
3E141DA10
3E141FA10
3E141FL01
3E141HA06
3E141HA09
3E141JA16
(57)【要約】
【課題】殺菌用の光を効率的に貨幣に照射することが可能な貨幣処理装置および貨幣処理方法を提供する。
【解決手段】貨幣処理装置1は、貨幣を受け入れる受入部20と、受入部20に受け入れた貨幣を搬送する搬送部40と、搬送部40の搬送路43において貨幣に殺菌用の光を照射する光源(光源モジュール90)と、光源を制御する制御部と、を備える。制御部は、光源が殺菌用の光を照射可能な状態になった後、殺菌動作を解除可能な解除条件が充足されたか否かを判定し、解除条件が充足されたことに応じて光源を省電力モードに設定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貨幣を受け入れる受入部と、
前記受入部に受け入れた貨幣を搬送する搬送部と、
前記搬送部の搬送路において貨幣に殺菌用の光を照射する光源と、
前記光源を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記光源が前記殺菌用の光を照射可能な状態になった後、殺菌動作を解除可能な解除条件が充足されたか否かを判定し、前記解除条件が充足されたことに応じて前記光源を省電力モードに設定する、
ことを特徴とする貨幣処理装置。
【請求項2】
前記解除条件は、予め設定された監視期間に亘って、装置に対し、貨幣処理に関する操作が行われなかったことを含む、
請求項1に記載の貨幣処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記監視期間の設定を受け付けるための設定項目を設定画面に含める、請求項2に記載の貨幣処理装置。
【請求項4】
前記省電力モードにおいて、前記制御部は、前記光源の発光を停止させる、
請求項1ないし3の何れか一項に記載の貨幣処理装置。
【請求項5】
前記省電力モードにおいて、前記制御部は、前記光源の発光強度を殺菌動作時に比べて低下させる、
請求項1ないし3の何れか一項に記載の貨幣処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、殺菌動作を開始させる開始条件が充足されると、前記光源を殺菌動作時の発光強度で発光させる殺菌制御を実行する、
請求項1ないし5の何れか一項に記載の貨幣処理装置。
【請求項7】
前記開始条件は、装置に電源が投入されたこと、および、前記省電力モードにおいて貨幣処理に関する操作が装置に行われたことを含む、
請求項6に記載の貨幣処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記殺菌制御を開始した後、殺菌動作時の発光強度で前記光源が発光するまでの待機期間において、前記光源が起動中であることを操作者に報知する報知処理を実行する、
請求項6または7に記載の貨幣処理装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記待機期間の設定を受け付けるための設定項目を設定画面に含める、請求項8に記載の貨幣処理装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記待機期間において、前記搬送部による貨幣の搬送を中止させる、
請求項8または9に記載の貨幣処理装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記殺菌制御を開始した後、殺菌動作時の発光強度で前記光源が発光するまでの待機期間において、貨幣の処理を実行するか否かの操作を受け付け、貨幣の処理を実行する旨の操作を受け付けた場合に、前記殺菌制御を継続しつつ、貨幣の処理を実行する、
請求項6ないし10の何れか一項に記載の貨幣処理装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記受入部から前記搬送路に送り込まれて処理された貨幣を、再度、前記受入部から取り込んで、前記殺菌用の光により殺菌する再殺菌モードを備える、
請求項1ないし11の何れか一項に記載の貨幣処理装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記再殺菌モードを実行するか否かを設定するための設定項目を、設定画面に含める、
請求項12の何れか一項に記載の貨幣処理装置。
【請求項14】
前記光源と前記光源の駆動回路とがケースに収容されて光源モジュールが構成され、
前記光源モジュールが、前記搬送部の前記搬送路に配置される、
請求項1ないし13の何れか一項に記載の貨幣処理装置。
【請求項15】
前記ケースは、凹部を備え、
前記駆動回路および前記光源は、底から順番に凹部に設置され、
前記光源モジュールは、前記凹部を塞ぐ光透過板を備え、
前記光源に対して反対側の前記光透過板の表面が、前記搬送路の搬送面を形成する、
請求項14に記載の貨幣処理装置。
【請求項16】
前記搬送部は、前記貨幣の搬送を案内するためのガイドを備え、
前記ガイドは、前記光源モジュールの配置位置を挟んで搬送方向に分離し、
前記光源モジュールは、前記配置位置に設けられた隙間に収容され、前記光透過板の前記表面が、前記ガイドが分離した前記配置位置の搬送面を構成する、
請求項15に記載の貨幣処理装置。
【請求項17】
前記光源は、波長が280nm以下の光を前記殺菌用の光として照射する、
請求項1ないし16の何れか一項に記載の貨幣処理装置。
【請求項18】
前記光源は、冷陰極管である、
請求項1ないし17の何れか一項に記載の貨幣処理装置。
【請求項19】
前記貨幣処理装置は、貨幣を計数する貨幣計数装置である、
請求項1ないし18の何れか一項に記載の貨幣処理装置。
【請求項20】
前記制御部は、前記光源からの光を用いた殺菌動作を実行するか否かを設定するための設定項目を、前記受入部に貨幣がセットされたことに応じて自動で貨幣の処理を開始するモードを設定するための設定項目、および貨幣の処理速度を設定するための設定項目の少なくとも一方を含む設定画面に含める、
請求項1ないし19の何れか一項に記載の貨幣処理装置。
【請求項21】
貨幣に対する処理を自動で行う貨幣処理方法であって、
貨幣の搬送路において貨幣を殺菌するために殺菌用の光を照射する光源を起動し、
前記光源が前記殺菌用の光を照射可能な状態になった後、殺菌動作を解除可能な解除条件が充足されたか否かを判定し、
前記解除条件が充足されたことに応じて前記光源を省電力モードに設定する、貨幣処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨幣を処理する貨幣処理装置および貨幣処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ATM(AutomaticTeller Machine)や出納機、貨幣計数機等の貨幣処理装置が、店舗や金融機関等に設置されている。以下の特許文献1には、紙葉類を取り扱う紙葉類取扱装置が記載されている。この装置では、ファンを用いて装置内部が冷却される。装置に対する取引の開始により、ファンの回転数を抑制する制御が行われ、取引の終了に応じて、当該制御が解除される。また、当該制御が解除された後に、装置内の温度が所定温度を超えると、取引処理が停止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5421213号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
貨幣処理装置で処理される貨幣には、様々な使用者の手指が触れる。貨幣の衛生面をより向上させるため、処理対象の貨幣に殺菌処理を施す構成が、貨幣処理装置に配置されると好ましい。たとえば、波長が280nm以下の光(UV-C)を用いて、貨幣に付着した細菌やウィルスを、死滅あるいは不活化させる構成が貨幣処理装置に適用され得る。この場合、たとえば、当該波長の光を発する光源が貨幣の搬送路上に配置され、搬送路を流れる貨幣に当該波長の光が照射される。
【0005】
この構成では、貨幣処理時に迅速かつ確実に殺菌用の光を貨幣に照射するために、光源を常時、発光状態に維持しておく制御が行われ得る。しかし、この制御では、実際に処理が開始されるまでの光の照射が無駄になり、消費電力の増加と、光源の寿命低下を招き得る。
【0006】
かかる課題に鑑み、本発明は、殺菌用の光を効率的に貨幣に照射することが可能な貨幣処理装置および貨幣処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は貨幣処理装置に関する。この態様に係る貨幣処理装置は、貨幣を受け入れる受入部と、前記受入部に受け入れた貨幣を搬送する搬送部と、前記搬送部の搬送路において貨幣に殺菌用の光を照射する光源と、前記光源を制御する制御部と、を備える。前記制御部は、前記光源が前記殺菌用の光を照射可能な状態になった後、殺菌動作を解除可能な解除条件が充足されたか否かを判定し、前記解除条件が充足されたことに応じて前記光源を省電力モードに設定する。
【0008】
本態様に係る貨幣処理装置によれば、光源が殺菌用の光を照射可能な状態になった後、殺菌動作を解除可能な解除条件が充足されると、光源が省電力モードに設定される。これにより、殺菌動作が不要な状態における殺菌用の発光が抑制され、殺菌用の光を効率的に貨幣に照射することができる。よって、光源による不要な電力消費を抑制でき、且つ、光源の寿命低下を抑制できる。
【0009】
なお、本態様において、「殺菌」とは、貨幣に付着した細菌またはウィルスを死滅または不活化することを意味する。また、「貨幣」とは、紙幣および硬貨の他、有価証券等の経済上の価値のある他の媒体をも含み得る。
【0010】
本態様に係る貨幣処理装置において、前記解除条件は、予め設定された監視期間に亘って、装置に対し、貨幣処理に関する操作が行われなかったことを含み得る。
【0011】
一定時間に亘って装置に貨幣処理に関する操作が行われなかった場合、その後、直ちに装置が使用される可能性は低いと推定され得る。よって、上記のように、監視期間に亘って当該操作がないことを解除条件に含めて、光源を省電力モードに移行させることにより、殺菌動作が不要な状態における殺菌用の発光を適切に抑制することができる。
【0012】
この構成において、前記制御部は、前記監視期間の設定を受け付けるための設定項目を設定画面に含めるよう構成され得る。
【0013】
これにより、利用者は、貨幣処理装置の運用状況に応じて、監視期間を適正に設定できる。たとえば、貨幣処理装置が頻繁に使用される場合は、監視期間を長めに設定することにより、次回の貨幣処理の際に、光源が、殺菌用の光を照射可能な状態に維持されやすくなり、次回の貨幣処理における殺菌動作を円滑に行い得る。他方、貨幣処理装置が頻繁に使用されない場合は、監視期間を短めに設定することにより、次回の貨幣処理までに、光源が殺菌時の強度で発光し続ける期間を短縮でき、消費電力を適切に抑制できる。
【0014】
この場合、前記制御部は、前記省電力モードにおいて、前記光源の発光を停止させるよう構成され得る。
【0015】
この構成によれば、省電力モードにおける光源の発光を回避できる。これにより、貨幣処理装置の消費電力を確実に抑制でき、光源の寿命を効果的に引き延ばすことができる。
【0016】
あるいは、制御部は、前記省電力モードにおいて、前記光源の発光強度を殺菌動作時に比べて低下させるよう構成され得る。
【0017】
この構成によれば、省電力モードにおける光源の電力消費を、通常の殺菌動作時に比べて抑制できる。また、省電力モードにおいて光源が停止されていないため、省電力モードから通常の殺菌動作に復帰する際に、殺菌用の光が安定的に照射されるまでの時間を短縮できる。よって、より迅速に、通常の殺菌動作へと移行できる。
【0018】
本態様に係る貨幣処理装置において、前記制御部は、殺菌動作を開始させる開始条件が充足されると、前記光源を殺菌動作時の発光強度で発光させる殺菌制御を実行するよう構成され得る。
【0019】
この構成によれば、殺菌動作が装置に必要な状況になったことに応じて、光源が、殺菌動作時の発光強度で発光される。よって、その後、殺菌動作を伴う貨幣処理へと迅速かつ円滑に移行できる。
【0020】
この場合、前記開始条件は、装置に電源が投入されたこと、および、前記省電力モードにおいて貨幣処理に関する操作が装置に行われたことを含み得る。
【0021】
貨幣処理装置に電源が投入された場合、および、貨幣処理に関する操作が装置に行われた場合、その後、直ちに装置が使用される可能性が高いと推定される。よって、これらを開始条件に含めて光源を殺菌動作時の発光強度で発光させることにより、その後、殺菌動作を伴う貨幣処理へと迅速かつ円滑に移行できる。
【0022】
この構成において、前記制御部は、前記殺菌制御を開始した後、殺菌動作時の発光強度で前記光源が発光するまでの待機期間において、前記光源が起動中であることを操作者に報知する報知処理を実行するよう構成され得る。
【0023】
この構成によれば、操作者は、貨幣処理装置に対して貨幣処理を行おうとした際に、殺菌用の光源が起動中(殺菌動作が起動中)である場合に、そのことを、当該報知により把握できる。よって、操作者は、その後の処理を円滑に進めることができる。
【0024】
この構成において、前記制御部は、前記待機期間の設定を受け付けるための設定項目を設定画面に含めるよう構成され得る。
【0025】
この構成によれば、操作者は、貨幣処理装置の運用状況に応じて、待機期間を適切に設定できる。
【0026】
本態様に係る貨幣処理装置において、前記制御部は、前記待機期間において、前記搬送部による貨幣の搬送を中止させるよう構成され得る。
【0027】
この構成によれば、光源が殺菌用の光を安定的に照射可能となるまでの間は、搬送部による貨幣の搬送が中止される。このため、殺菌用の光の照射が不十分な状態において貨幣が搬送されることが回避される。よって、その後の搬送動作において、処理対象の貨幣を確実に殺菌できる。
【0028】
あるいは、前記制御部は、前記殺菌制御を開始した後、殺菌動作時の発光強度で前記光源が発光するまでの待機期間において、貨幣の処理を実行するか否かの操作を受け付け、貨幣の処理を実行する旨の操作を受け付けた場合に、前記殺菌制御を継続しつつ、貨幣の処理を実行するよう構成され得る。
【0029】
この構成によれば、操作者は、自身の判断で、殺菌動作の起動が完了する前に、貨幣の処理を実行できる。
【0030】
本態様に係る貨幣処理装置において、前記制御部は、前記受入部から前記搬送路に送り込まれて処理された貨幣を、再度、前記受入部から取り込んで、前記殺菌用の光により殺菌する再殺菌モードを備えるよう構成され得る。
【0031】
この構成によれば、殺菌用の光を用いて複数回、貨幣が殺菌されるため、貨幣をより確実に殺菌することができる。
【0032】
この場合、前記制御部は、前記再殺菌モードを実行するか否かを設定するための設定項目を、設定画面に含めるよう構成され得る。
【0033】
この構成によれば、操作者は、再殺菌モードの実行の要否を、貨幣処理装置の運用状況に応じて、任意に設定できる。
【0034】
本態様に係る貨幣処理装置は、前記光源と前記光源の駆動回路とがケースに収容されて光源モジュールが構成され、前記光源モジュールが、前記搬送部の前記搬送路に配置される構成とされ得る。
【0035】
この構成によれば、光源モジュール単位で、円滑に、光源を設置または交換することができる。
【0036】
この構成において、前記ケースは、凹部を備え、前記駆動回路および前記光源は、底から順番に凹部に設置され、前記光源モジュールは、前記凹部を塞ぐ光透過板を備え得る。そして、前記光源に対して反対側の前記光透過板の表面が、前記搬送路の搬送面を形成する。
【0037】
この構成によれば、光透過板の表面が搬送路の搬送面に共用されるため、搬送路の構成を簡素化できる。また、光透過板の表面に沿って貨幣が流れるため、光透過板の表面を貨幣が通過する間に、光源からの光を効率良く貨幣に照射できる。よって、貨幣の殺菌をより効率的に行うことができる。
【0038】
この構成において、前記搬送部は、前記貨幣の搬送を案内するためのガイドを備え、前記ガイドは、前記光源モジュールの配置位置を挟んで搬送方向に分離し、前記光源モジュールは、前記配置位置に設けられた隙間に収容され、前記光透過板の前記表面が、前記ガイドが分離した前記配置位置の搬送面を構成するよう構成され得る。
【0039】
この構成によれば、光源モジュールを搬送路に対して円滑に着脱しつつ、光透過板の表面を搬送路の搬送面に設定できる。
【0040】
本態様に係る貨幣処理装置において、前記光源は、波長が280nm以下の光を前記殺菌用の光として照射するよう構成され得る。
【0041】
これにより、光を用いた貨幣の殺菌を適切に行うことができる。
【0042】
本態様に係る貨幣処理装置において、前記光源は、冷陰極管とされ得る。
【0043】
この構成によれば、コストの削減を図りつつ、高い光源出力を得ることができ、貨幣の殺菌を効率的に行い得る。
【0044】
本態様に係る前記貨幣処理装置は、たとえば、貨幣を計数する貨幣計数装置である。
【0045】
この構成によれば、貨幣の計数に並行して、計数対象の貨幣に対する殺菌を行うことができる。
【0046】
この場合、前記制御部は、前記光源からの光を用いた殺菌動作を実行するか否かを設定するための設定項目を、前記受入部に貨幣がセットされたことに応じて自動で貨幣の計数を開始するモードを設定するための設定項目、および貨幣の計数速度を設定するための設定項目の少なくとも一方を含む設定画面に含めるよう構成され得る。
【0047】
この構成によれば、貨幣計数の基本的な設定項目の設定状況を同一の設定画面で確認しつつ、殺菌動作を設定するか否かの設定を行い得る。よって、殺菌動作の設定を、円滑かつ適正に行うことができる。
【0048】
本発明の第2の態様は、貨幣に対する処理を自動で行う貨幣処理方法に関する。この態様に係る貨幣処理方法は、貨幣の搬送路において貨幣を殺菌するために殺菌用の光を照射する光源を起動し、前記光源が前記殺菌用の光を照射可能な状態になった後、殺菌動作を解除可能な解除条件が充足されたか否かを判定し、前記解除条件が充足されたことに応じて前記光源を省電力モードに設定する。
【0049】
本態様に係る貨幣処理方法によれば、上記第1の態様と同様の効果が奏され得る。
【発明の効果】
【0050】
以上のとおり、本発明によれば、殺菌用の光を効率的に貨幣に照射することが可能な貨幣処理装置および貨幣処理方法を提供することができる。
【0051】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1図1は、実施形態1に係る、貨幣処理装置の構成を示す概略図である。
図2図2(a)は、実施形態1に係る、光源モジュールの構成を示す分解斜視図である。図2(b)は、実施形態1に係る、組み立て状態の光源モジュールの構成を示す斜視図である。図2(c)は、実施形態1に係る、光源モジュールの断面を模式的に示す図である。
図3図3は、実施形態1に係る、上部筐体が開放された状態の貨幣処理装置の構成を示す概略図である。
図4図4(a)は、実施形態1に係る、下側の光源モジュールの配置位置付近の構成を示す平面図である。図4(b)は、実施形態1に係る、下側の光源モジュールの配置位置に光源モジュールが配置された状態を示す平面図である。
図5図5は、実施形態1に係る、貨幣処理装置の構成を示すブロック図である。
図6図6(a)~図6(d)は、それぞれ、実施形態1に係る、貨幣処理装置の動作設定を行うための設定画面を示す図である。
図7図7(a)~図7(d)は、それぞれ、実施形態1に係る、貨幣処理装置のメンテナンスを行うためのメンテナンス画面を示す図である。
図8図8(a)~図8(d)は、それぞれ、実施形態1に係る、貨幣処理装置のメンテナンスを行うためのメンテナンス画面を示す図である。
図9図9は、実施形態1に係る、光源モジュールの累積使用時間が設定時間に到達したときに操作表示部に表示される通知画面を示す図である。
図10図10は、実施形態1に係る、光源モジュールの制御処理を示すフローチャートである。
図11図11(a)は、実施形態1に係る、光源が起動中であることを操作者に報知する報知処理において、操作表示部に表示される報知画面を示す図である。図11(b)は、実施形態1に係る、計数結果を表示する結果画面を示す図である。図11(c)は、実施形態1に係る、省電力モードにおける結果画面の状態を示す図である。
図12図12は、実施形態1に係る、開始条件判定処理を示すフローチャートである。
図13図13は、実施形態1に係る、解除条件判定処理を示すフローチャートである。
図14図14(a)は、実施形態1に係る、省電力モードにおける光源の制御処理を示すフローチャートである。図14(b)および図14(c)は、それぞれ、実施形態1に係る、省電力モードにおける光源の他の制御処理を示すフローチャートである。
図15図15は、実施形態1に係る、紙幣の搬送制御処理を示すフローチャートである。
図16図16は、実施形態1に係る、紙幣の計数処理を示すフローチャートである。
図17図17(a)および図17(b)は、それぞれ、実施形態1に係る、再殺菌モードの実行時に記憶部に記憶される情報を示す図である。
図18図18(a)および図18(b)は、それぞれ、実施形態1に係る、再殺菌モードの実行時に操作表示部に表示される報知画面を示す図である。
図19図19は、実施形態1の変更例に係る、光源モジュールの制御処理を示すフローチャートである。
図20図20(a)は、実施形態1の変更例に係る、開始要否受付処理において操作表示部に表示される受付画面を示す図である。図20(b)は、実施形態1の変更例に係る、受付画面において開始不要の操作が行われたときに操作表示部に表示される報知画面を示す図である。
図21図21は、実施形態1の変更例に係る、紙幣の搬送制御処理を示すフローチャートである。
図22図22は、実施形態2に係る、貨幣処理装置の構成を示す概略図である。
図23図23は、実施形態2に係る、貨幣処理装置の構成を示すブロック図である。
図24図24は、実施形態3に係る、貨幣処理装置の構成を示す概略図である。
図25図25は、実施形態3に係る、貨幣処理装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0054】
以下の実施形態において、「殺菌」とは、貨幣に付着した細菌またはウィルスを死滅または不活化することを意味する。
【0055】
<実施形態1>
実施形態1では、紙幣を計数処理する貨幣処理装置が例示されている。処理対象の貨幣は、紙幣である。但し、特許請求の範囲に記載の「貨幣」は、紙幣に限られるものではなく、紙幣の他、硬貨や有価証券等の経済上の価値のある他の媒体をも含み得る。説明において参照する図には、適宜、貨幣処理装置の上下、左右および前後を示す矢印が付されている。
【0056】
図1は、貨幣処理装置1の構成を示す概略図である。
【0057】
貨幣処理装置1は、紙幣を計数する計数機である。貨幣処理装置1は、紙幣を計数する単純計数処理や、紙幣を計数して所定枚数の紙幣に仕分ける整理計数処理などの計数処理を行う。貨幣処理装置1は、筐体10と、受入部20と、繰出部30と、搬送部40と、識別部50と、集積部60と、リジェクト部70と、操作表示部80と、を備える。
【0058】
筐体10は、貨幣処理装置1の外郭を構成する。後述のように、筐体10は、上部筐体10aと下部筐体10bとからなる(図3参照)。受入部20は、筐体10の前側上部に設けられる。受入部20には、処理対象となる紙幣が積層された状態で載置される。
【0059】
繰出部30、搬送部40および識別部50は、筐体10内に設けられる。繰出部30は、キッカローラ31、フィードローラ32および逆転ローラ33を含み、受入部20に載置された紙幣を一枚ずつ搬送部40に繰り出す。キッカローラ31、フィードローラ32および逆転ローラ33は、モータ等の駆動源(図示せず)により回転駆動される。
【0060】
キッカローラ31は、受入部20に積層された紙幣のうち一番下の紙幣に接触し、当該紙幣をフィードローラ32側に蹴り出す。フィードローラ32は、キッカローラ31が蹴り出した紙幣を受け取って搬送部40へと送り出す。フィードローラ32と逆転ローラ33は互いに対向する。フィードローラ32と逆転ローラ33の間に形成されたゲート34を紙幣が通過する。逆転ローラ33は、フィードローラ32と同じ方向に回転し、蹴り出された紙幣がその上の紙幣を引き連れてきたときに、上の紙幣を受入部20側に戻す。
【0061】
搬送部40は、繰出部30から繰り出された紙幣を搬送する。搬送部40は、ガイド41、42と、駆動ローラ44と、従動ローラ45とを備える。ガイド41、42は、所定の隙間をもって互いに対向する。この隙間によって、紙幣を搬送するための搬送路43が構成される。ガイド41、42は、搬送路43を流れる紙幣の表裏面に対向して、紙幣の搬送を案内する。
【0062】
搬送路43は、受入部20から延びる第1搬送路43aと、第1搬送路43aの端部から搬送路43をU字状に折り返す屈曲部43cと、屈曲部43cの端部から延びる第2搬送路43bと、を備える。駆動ローラ44と従動ローラ45は、互いに対向する部分が、搬送路43内に位置づけられる。駆動ローラ44の回転により、搬送路43を流れる紙幣が、駆動ローラ44と従動ローラ45とに挟まれて、下流側へ送られる。
【0063】
識別部50は、第1搬送路43aに設けられ、第1搬送路43aを流れる紙幣を識別する。識別部50は、ラインセンサユニット51と、厚み検知センサユニット52と、磁気センサユニット53とを含む。
【0064】
ラインセンサユニット51は、ラインセンサを含み、紙幣を撮像する。厚み検知センサユニット52は、紙幣の厚みを検知する。検知された紙幣の厚みに基づいて、紙幣に折れた部分があるか、紙幣の一部にテープ類が貼られているか、あるいは、紙幣が2枚以上重なった状態で搬送されているか(重送されているか)などが検知できる。磁気センサユニット53は、磁気センサを含み、紙幣のインク等に含まれた磁気成分から発せられる磁気を検知する。
【0065】
識別部50は、ラインセンサユニット51が撮像した画像と、厚み検知センサユニット52および磁気センサユニット53の検知結果とに基づいて、搬送部40を流れる紙幣の正損、真偽、金種等の識別を行う。識別部50は、さらに、金種ごとの紙幣の計数を行ってもよい。
【0066】
第2搬送路43bは、下流側で2つの搬送路に分岐する。分岐した一方の搬送路は集積部60に繋がり、分岐した他方の搬送路はリジェクト部70に繋がる。これら2つの搬送路に搬送路43が分岐する位置に、振分部材46が設けられる。振分部材46は、モータ等の駆動源(図示せず)により駆動され、上流側から搬送されてきた紙幣を、集積部60側の搬送路またはリジェクト部70側の搬送路に振り分ける。
【0067】
集積部60は、筐体10の前側下部に設けられる。集積部60には、その背面位置に羽根車61が設けられる。羽根車61は、モータ等の駆動源(図示せず)により回転駆動される。
【0068】
羽根車61には、その外周面に、外方に延びる羽根61aが等間隔に設けられている。羽根車61は、搬送部40から送られてきた紙幣を2枚の羽根61aの間で1枚ずつ受け止めて、受け止めた紙幣を集積部60に送る。羽根車61により送られた紙幣は、集積部60内において整列した状態で集積される。
【0069】
集積部60の前面には、紙幣を取り出すための取出口62が設けられる。取出口62は、シャッター63により開閉される。シャッター63は、駆動源(図示せず)により取出口62が閉鎖される位置と取出口62が開放される位置との間を移動される。
【0070】
リジェクト部70は、集積部60の上側に設けられる。リジェクト部70の前面には、紙幣を取り出すための取出口71が設けられる。また、リジェクト部70には、左右一対の整列部材72が取出口71の前方に設けられる。整列部材72は、手動操作により起立した状態と前方に倒れた状態とに切り替えることができる。リジェクト部70に送られてきた紙幣は、起立状態の整列部材72に受け止められ、整列した状態で集積される。操作者は、整列部材72を前方に倒すことにより、リジェクト部70から紙幣を取り出すことができる。
【0071】
操作表示部80は、リジェクト部70の上方に設けられる。操作表示部80は、表示および入力が可能なタッチパネル81を備える。タッチパネル81には、計数処理の結果情報、すなわち、計数された紙幣の金種毎の枚数、合計金額等の情報が表示される。また、タッチパネル81は、計数処理の各種モードの設定や計数処理における操作に用いられる。操作表示部80が、LCD等の表示部と、複数の操作キーとによって構成されてもよい。
【0072】
単一金種の紙幣の計数が行われる場合(単一金種モード)、同一金種の紙幣が受入部20に積層して載置される。また、複数金種の紙幣の計数が行われる場合(複数金種モード)には、異なる金種が混在した状態で、紙幣が受入部20に積層して載置される。
【0073】
計数処理が開始されると、受入部20の紙幣が繰出部30により1枚ずつ繰り出され、搬送部40により搬送される。紙幣は、搬送路43(第1搬送路43a)を流れる間に、識別部50により識別および計数される。損券(損傷した紙幣、汚れの酷い紙幣)または偽券でなく、且つ、金種が特定された正常な紙幣は、集積部60へと搬送されて集積される。損券、偽券または金種が特定できないリジェクト紙幣は、リジェクト部70へと搬送されて集積される。集積部60では、計数処理が実行されている間、シャッター63が閉じられる。金種毎の枚数や合計金額がリアルタイムに表示部(タッチパネル81)に表示される。
【0074】
計数処理が整理計数処理である場合、所定枚数の紙幣が集積部60に集積されると、一旦、受入部20からの紙幣の繰出しが停止されて計数が中断され、シャッター63が開かれる。そして、集積部60から紙幣が取り出されると、受入部20からの紙幣の繰出しが再開され、計数が再開される。
【0075】
搬送路43を流れる紙幣に折れや斜行等が生じると、識別部50において、当該紙幣を正常紙幣と識別できない場合がある。このため、リジェクト部70に集積された紙幣が、取り出された後に再び計数される場合がある。再計数の前には、紙幣の折れなどが直され得る。また、損券の判定レベルが、所定の設定操作により低くされる場合もある。
【0076】
本実施形態では、搬送路43を流れる紙幣に対し、さらに、殺菌処理が施される。具体的には、第2搬送路43bを挟んで、2つの光源モジュール90が配置され、これら光源モジュール90から、第2搬送路43bを流れる紙幣の上面および下面に、殺菌用の光が照射される。これにより、紙幣の表面に付着する細菌やウィルスが、死滅および不活化される。
【0077】
光源モジュール90から照射される殺菌用の光は、紫外線を含む。殺菌用の光の波長は、280nm以下であることが好ましく、250~260nm付近(たとえば、253.7nm)であることがより好ましい。これにより、細菌やウィルスを効果的に死滅または不活化させることができる。
【0078】
図2(a)は、光源モジュール90の構成を示す分解斜視図、図2(b)は、組み立て状態の光源モジュール90の構成を示す斜視図、図2(c)は、図2(b)の光源モジュール90のA-A’断面を模式的に示す図である。
【0079】
図2(a)に示すように、光源モジュール90は、ケース91と、基板92と、反射板93と、光源94と、光透過板95と、を備える。
【0080】
ケース91は、一方の面が開放された箱型の形状である。平面視におけるケース91の形状は、長方形である。ケース91は、長手方向の両端に鍔部91aを有する。鍔部91aには、厚み方向に貫通する孔91bが形成されている。図2(c)に示すように、ケース91の内部には、凹部91cが形成されている。凹部91cの2つの内側面には、ケース91の長手方向に延びる一対の鍔部91eが形成されている。凹部91cにおける一対の鍔部91eの深さ方向の位置は、互いに同じである。一対の鍔部91eを除いて、凹部91cの幅は、ケース91の長手方向および短手方向において一定である。また、凹部91cの深さも一定である。
【0081】
ケース91の一方の面には、開口91dが形成されている。平面視における開口91dの形状は、長方形である。ケース91の短手方向における開口91dの幅は、凹部91cよりも狭い。また、ケース91の長手方向における開口91dの幅は、凹部91cと同じである。ケース91は、一体形成されてもよく、複数の部材が組み合わされて構成されてもよい。
【0082】
基板92は、回路基板である。基板92には、光源94を駆動するための駆動回路92aが実装される。駆動回路92aは、貨幣処理装置1側から供給される直流電圧を光源94の駆動に適する交流電圧に変換するためのインバータを含む。
【0083】
反射板93は、高反射率の金属材料により構成される。反射板93は、たとえば、SUSやアルミニウム合金等により構成される。反射板93は、平面視において長方形の平板形状である。短手方向および長手方向における反射板93の幅は、それぞれ、凹部91cの短手方向および長手方向の幅よりやや小さい。
【0084】
光源94は、冷陰極管である。本実施形態では、光源94は、2回折り返された形状である。但し、光源94の形状は、これに限られるものではない。光源94は、波長が280nm以下の殺菌用の光を発光する。図2には、光源94が1つ配置される例が示されたが、2つ以上の光源94が複数段に積み重ねられて配置されてもよい。
【0085】
光透過板95は、樹脂やガラス等の光透過性の材料により構成される。光透過板95は、平面視において長方形の平板形状である。短手方向における光透過板95の幅は、短手方向におけるケース91の幅と同じである。また、長手方向における光透過板95の幅は、長手方向における凹部91cの幅より大きい。
【0086】
基板92は、反射板93の一方の面に設置され、光源94は、反射板93の他方の面に設置される。これらの設置は、たとえば、接着剤を用いて行われる。これらの設置が、取付け具を用いて行われてもよい。たとえば、反射板93の表面に、光源94を保持するためのU字状の保持部材が装着され、この保持部材に光源94を嵌め込むことにより、光源94が反射板93に装着されてもよい。
【0087】
反射板93に基板92と光源94が設置された状態において、基板92の駆動回路92aと光源94とが配線(図示せず)で接続される。さらに、貨幣処理装置1本体側の回路部と駆動回路92aとが、配線(図示せず)で接続される。この配線は、ケース91に設けられた孔や切欠き(図示せず)を介して、ケース91内の凹部91cに通される。この状態で、反射板93が、開口91dを介して、凹部91c内に挿入され、一対の鍔部91eに接着剤等で設置される。さらに、光透過板95が、開口91dを塞ぐようにして、接着剤96で、ケース91の下面に設置される。これにより、図2(b)の光源モジュール90が完成する。
【0088】
光源モジュール90は、開口91dが搬送路43(第2搬送路43b)側に位置付けられるように、貨幣処理装置1に設置される。これにより、光源94から発光された殺菌用の光が、搬送路43(第2搬送路43b)内に照射される。このとき、光源94から反射板93側に向かう光は、反射板93で反射されて、開口91dから搬送路43(第2搬送路43b)へと導かれる。これにより、殺菌用の光が、より効率的に搬送路43(第2搬送路43b)に照射される。
【0089】
図3は、上部筐体10aが開放された状態の貨幣処理装置1の構成を示す概略図である。
【0090】
図3に示すように、上部筐体10aは、所定の操作により、支軸11を軸として上方に回動可能である。上部筐体10aの回動に伴い、駆動回路92aに接続された電源供給ラインが遮断される。これにより、図3に示す開放状態において、光源モジュール90から殺菌用の光が出射することが確実に防止される。
【0091】
図3の開放状態において、光源モジュール90の設置および取り外しが行われ得る。操作者は、光源モジュール90内の光源94の寿命が終わりに近づいたタイミングで、図3に示すように上部筐体10aを開放し、装置内の光源モジュール90を新たな交換モジュールに交換する。
【0092】
図4(a)は、下側の光源モジュール90の配置位置付近の構成を示す平面図である。
【0093】
図4(a)に示すように、第2搬送路43bを構成する下側のガイド41は、配置位置において、前側のガイド41aと後側のガイド41bに分割されている。すなわち、ガイド41は、光源モジュール90の配置位置を挟んで、搬送方向に分離している。これにより、2つのガイド41a、41bの間に、平面視において長方形の隙間G1が生じている。隙間G1の前後方向の幅は、光源モジュール90の短手方向の幅より僅かに大きい。また、隙間G1の深さは、光源モジュール90の高さ方向に幅より大きい。
【0094】
2つのガイド41a、41bは、前後方向に延びる一対の側板47に、ネジ48でねじ止めされている。また、一対の側板47には、駆動ローラ44を駆動する駆動軸44aが軸支され、従動ローラ45を支持する支軸(図示せず)が軸支されている。一対の側板47には、隙間G1に対応する位置に、切欠き47aがそれぞれ形成されている。切欠き47aの前後方向の幅は、光源モジュール90の短手方向の幅より僅かに大きい。
【0095】
さらに、右の側板47には、右の切欠き47aの底部から右側に突出する鍔部47bが形成されている。同様に、左の側板47には、左の切欠き47aの底部から左側に突出する鍔部47bが形成されている。これら2つの鍔部47bには、厚み方向に貫通するネジ孔47cがそれぞれ形成されている。
【0096】
光源モジュール90は、隙間G1および切欠き47aに嵌め込まれて装着される。このとき、光源モジュール90は、光透過板95が上を向くようにして、隙間G1および切欠き47aに嵌め込まれる。これにより、光源モジュール90の2つの鍔部91aが、それぞれ、一対の側板47の鍔部47bの上面に載置される。この状態において、光透過板95の表面は、ガイド41a、41bと面一になる。すなわち、光透過板95の表面は、ガイド41a、41bとともに、紙幣の搬送面を構成する。
【0097】
こうして、光源モジュール90が配置された後、光源モジュール90の一対の鍔部91aにそれぞれ形成された孔91b(図2(a)参照)が、一対の側板47の鍔部47bにそれぞれ形成されたネジ孔47cに位置合わせされる。その後、図4(b)に示すように、孔91b(図2(a)参照)を介してネジ孔47cにネジ97が締められる。これにより、光源モジュール90の設置が完了する。
【0098】
上側の光源モジュール90を設置するための構成も、図4(a)、(b)と同様である。この場合も、上側のガイド42が紙幣の搬送方向に分離され、これにより生じた隙間に光源モジュール90が嵌め込まれて設置される。光源モジュール90を設置するための一対の側板の構成も、図4(a)、(b)と同様である。
【0099】
光源モジュール90の交換時には、図3に示した開放状態において、ネジ97を外せばよい。これにより、既存の光源モジュール90が、隙間G1から抜き取り可能となる。既存の光源モジュール90を抜き取った後、上記と同様の方法で、新たな光源モジュール90が隙間G1に設置される。
【0100】
図5は、貨幣処理装置1の構成を示すブロック図である。図5には、貨幣処理装置1の主要な構成が示されている。
【0101】
図5に示すように、貨幣処理装置1は、繰出部30、搬送部40、識別部50、操作表示部80および光源モジュール90の他、制御部101と、記憶部102と、シャッター駆動部103と、羽根車駆動部104と、振分駆動部105と、センサ部106とを備える。
【0102】
制御部101は、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理回路を備え、記憶部102に記憶された制御プログラムに従って各部を制御する。記憶部102は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)やハードディスク等の記憶媒体を備え、制御部101の制御プログラムを記憶し、また、制御部101の制御処理の際にワーク領域として利用される。
【0103】
シャッター駆動部103は、制御部101からの制御に応じて、図1のシャッター63を開閉駆動する。羽根車駆動部104は、制御部101からの制御に応じて、図1の羽根車61を回転駆動する。振分駆動部105は、制御部101からの制御に応じて、図1の振分部材46を駆動する。センサ部106は、受入部20に紙幣がセットされたことを検知するセンサや、上部筐体10aが開閉されたことを検知するセンサ等の各種センサを含む。
【0104】
次に、光源モジュール90を用いた殺菌制御の設定操作について説明する。
【0105】
図6(a)~図6(d)は、貨幣処理装置1の動作設定を行うための設定画面を示す図である。
【0106】
図6(a)の設定画面200は、各種設定操作を行うためのメニュー画面である。設定画面200は、操作表示部80(タッチパネル81)に表示される初期画面に対する所定の操作により、操作表示部80に表示される。設定画面200は、制御モードを設定するための項目201と、装置管理のための項目202を含んでいる。項目201が操作されると、図6(b)の設定画面210が操作表示部80に表示される。設定画面210は、項目211、212、213、214を含んでいる。
【0107】
項目211は、紙幣の計数の開始方法を設定するための項目である。操作者は、この項目211を操作することにより、受入部20に紙幣がセットされたことに応じて自動で紙幣の計数が開始される自動計数モードと、操作表示部80に対して計数開始の操作が行われたことに応じて紙幣の計数が開始される手動計数モードの何れかを設定できる。図6(b)では、自動計数モードが設定された状態にある。
【0108】
項目212は、紙幣の計数速度を設定するための項目である。操作者は、この項目211を操作することにより、紙幣の計数速度を設定できる。図6(b)では、紙幣の計数速度が1000NPMに設定されている。
【0109】
項目213は、殺菌制御の実行の要否を設定するための項目である。操作者は、この項目211を操作することにより、紙幣の計数動作時に、光源モジュール90からの光によって紙幣を殺菌するか否かを設定できる。図6(b)では、紙幣の殺菌を行わないモードが設定されている。
【0110】
項目214は、待機期間と監視期間を設定するための項目である。待機期間とは、殺菌制御を開始した後、殺菌動作時の発光強度で光源94が安定的に発光するまでの期間である。監視期間とは、殺菌動作時の発光強度で光源94が安定的に発光した後に、貨幣処理装置1に対して貨幣処理に関する操作が行われなかったことを監視するための期間である。後述のように、監視期間において、貨幣処理装置1に貨幣処理に関する操作が行われなかった場合、光源94が省電力モードに設定される。操作者は、項目214を操作することにより、待機期間および監視期間を所望の時間長に設定できる。
【0111】
項目213が操作されると、図6(c)の設定画面220が、操作表示部80に表示される。この設定画面220は、項目221、222、223を含んでいる。項目221は、紙幣の計数動作時に殺菌制御が行われないことを選択するための項目である。項目222は、紙幣の計数動作時に殺菌制御が行われることを選択するための項目である。項目223は、後述の再殺菌モードの実行を装置に設定するための項目である。再殺菌モードが設定されると、受入部20から搬送路43に送り込まれて処理された紙幣が、再度、受入部20に戻されて、殺菌用の光により殺菌される制御が行われる。
【0112】
図6(b)の設定画面210において、項目214が操作されると、図6(d)の設定画面230が、操作表示部80に表示される。この設定画面230は、項目231、232を含んでいる。項目231は、待機期間を設定するための項目である。項目232は、監視期間を設定するための項目である。項目231および項目232の何れが操作された場合も、各項目の時間を設定するための画面が表示される。操作者は、この場面を介して、待機期間および監視期間を設定できる。図6(d)では、待機期間が1分に設定され、監視期間が15分に設定されている。
【0113】
図7(a)~図7(d)は、貨幣処理装置1のメンテナンスを行うためのメンテナンス画面を示す図である。
【0114】
図7(a)のメンテナンス画面300は、各種メンテナンスを行うためのメニュー画面である。メンテナンス画面300は、図6(a)の項目202が操作されることにより、操作表示部80に表示される。メンテナンス画面300は、項目301、302、303を含んでいる。項目301は、各種センサの状態を確認するための項目である。項目302は、貨幣処理装置1に対して各種確認テストを行うための項目である。項目303は、貨幣処理装置1の状態に関する各種通知について設定を行うための項目である。
【0115】
項目301が操作されると、図7(b)のメンテナンス画面310が、操作表示部80に表示される。このメンテナンス画面310は、光源モジュール90(光源94)の駆動状態を確認する項目311を含んでいる。項目311が操作されると、搬送路43の上下に配置された2つの光源94が駆動され、これら2つの光源94に流れる電流(または、光源94の端子間電圧)の時間的変化を示すグラフが操作表示部80に表示される。これにより、操作者は、これら2つの光源94が適正に動作しているか否かを確認できる。
【0116】
項目302が操作されると、図7(c)のメンテナンス画面320が、操作表示部80に表示される。このメンテナンス画面320は、光源モジュール90(光源94)による光の照射状態をテストする項目321を含んでいる。このテストを行う場合、操作者は、図3に示すように、上部筐体10aを開放して、紙幣と同様のサイズの感光紙を光源モジュール90の位置にセットし、上部筐体10aを閉じる。これにより、2つの光源モジュール90間に感光紙が挟まれる。
【0117】
この状態で、操作者は、メンテナンス画面320の項目321を操作する。これにより、図7(d)のメンテナンス画面330が操作表示部80に表示される。その後、操作者は、メンテナンス画面330中の項目331、332の一方を操作する。項目331が操作されると、上側の光源モジュール90(光源94)が起動され、項目332が操作されると、下側の光源モジュール90(光源94)が起動される。これにより、各光源モジュール90(光源94)は、殺菌用の光を一定時間、感光紙に照射する。その後、操作者は、再び上部筐体10aを開放して、感光紙を取り出す。操作者は、感光紙の感光状態により、各光源モジュール90(光源94)による光の照射状態が適正であるか否かを確認できる。
【0118】
図7(a)のメンテナンス画面300において、項目303が操作されると、図8(a)のメンテナンス画面340が、操作表示部80に表示される。このメンテナンス画面340は、光源モジュール90(光源94)のメンテナンスに関する項目341を含んでいる。項目341が操作されると、図8(b)のメンテナンス画面350が操作表示部80に表示される。
【0119】
このメンテナンス画面350は、項目351、352、353を含んでいる。項目351は、光源モジュール90(光源94)の交換を通知する制御を行うか否かを設定するための項目である。図8(b)では、当該制御が行われる設定となっている。この状態で項目351が1回操作されると、項目351の表示がOFFに切り替わり、当該制御が行われない状態に設定される。項目351が操作されるごとに、当該制御のON、OFFが切り替えられる。
【0120】
項目352は、通知のための設定時間を設定するための項目である。すなわち、光源モジュール90の使用開始時からの累積使用時間がこの設定時間に到達したことに応じて、光源モジュール90(光源94)が交換時期に到達したことを通知する通知画面が操作表示部80に表示される。項目352が操作されると、図8(c)のメンテナンス画面360が表示される。
【0121】
メンテナンス画面360は、領域R1、R2を含んでいる。領域R1は、現在の設定時間を表示する項目361と、現在の設定時間をキャンセルするためのボタン362と、設定時間の入力を促すメッセージ363と、設定可能な設定時間の範囲を報知するメッセージ364とを含んでいる。領域R2は、0~9のテンキー365と、設定時間の入力値を有効化するためのキー366と、設定時間の入力値をキャンセルするためのキー367とを含んでいる。
【0122】
設定時間を修正する場合、操作者は、まず、ボタン362を操作する。これにより、項目361の表示が消える。その後、操作者は、テンキー365を操作して、自身が望む設定時間を入力する。入力結果は、項目361に表示される。入力を間違えた場合、操作者は、キー367を操作する。これにより、項目361の表示が消える。所望の設定時間を入力した後、操作者は、キー366を操作する。これにより、キー366が操作される際に項目361に表示された時間が、新たな設定時間に設定される。これに応じて、図8(b)のメンテナンス画面350が再び表示される。このとき、項目352の下段には、新たに設定された設定時間が表示される。
【0123】
図8(b)の項目353は、光源モジュール90のチェック状態を確認するための項目である。項目353が操作されると、図8(d)のポップアップ画面370が表示される。ポップアップ画面370は、2つの光源モジュール90の各々に対して個別に表示されてもよい。ポップアップ画面370は、光源モジュール90に対するチェックを更新するか否かを問い合わせるメッセージ371と、2つの表示領域372、373と、2つのボタン374、375とを含んでいる。
【0124】
表示領域372には、前回のチェック時点(光源モジュール90の交換時)と、その後の光源モジュール90の使用累積時間(Life)とが表示される。表示領域373には、現在の日付と、光源モジュール90の使用累積時間(交換対象の光源モジュール90の使用累積時間(Life)とが表示される。操作者は、光源モジュール90を交換した場合、ポップアップ画面370のボタン374を操作する。これにより、表示領域372の表示内容が表示領域373の表示内容に更新されて、ポップアップ画面370が消える。表示領域372の表示内容を更新する必要がない場合、操作者は、ポップアップ画面370のボタン375を操作する。これにより、表示領域372の表示内容が変更されることなく、ポップアップ画面370が消える。
【0125】
図9は、光源モジュール90の累積使用時間が設定時間に到達したときに操作表示部80に表示される通知画面を示す図である。
【0126】
ここでは、紙幣の計数動作時に表示される結果画面500に、通知画面400がポップアップ表示されている。通知画面400は、光源モジュール90の累積使用時間が設定時間を超えたこと、および、光源モジュール90の交換を操作者に促すことを報知するメッセージ401と、OKボタン402とを含んでいる。この通知画面400は、紙幣の計数動作が開始される前に表示される。
【0127】
操作者は、通知画面400中のメッセージ401を参照して、光源モジュール90を交換する必要が生じたことを把握し、OKボタン402を操作する。そして、操作者は、図3および図4(a)、(b)を参照して説明したように、上部筐体10aを開放して、光源モジュール90を新たな光源モジュール90に交換し、さらに、図8(d)のポップアップ画面370のボタン374を操作してチェックを更新する。
【0128】
なお、図9の通知画面400は、2つの光源モジュール90の各々について個別に表示されてもよい。この場合、操作者は、光源モジュール90ごとに、交換の要否を把握して、適宜、交換が必要な光源モジュール90を新たな光源モジュール90に交換する。
【0129】
次に、計数処理時における貨幣処理装置1の制御処理について説明する。
【0130】
図10は、光源モジュール90の制御処理を示すフローチャートである。
【0131】
制御部101は、予め規定された開始条件が充足されたか否かを判定する(S101)。開始条件が充足されると、制御部101は、光源94を、殺菌時の発光強度で発光させるための殺菌制御を実行する(S102)。さらに、制御部101は、光源94が起動中であることを操作者に報知する報知処理を実行する(S103)。
【0132】
図11(a)は、図10のステップS103の報知処理において、操作表示部80(タッチパネル81)に表示される画面を示す図である。
【0133】
ここでは、紙幣の計数結果を示す結果画面500に報知画面510がポップアップ表示される。報知画面510は、光源94が起動中であること、および、光源94が点灯するまで待機を促すことを報知するメッセージ511を含んでいる。操作者は、このメッセージ511を参照することにより、光源94が点灯するまで計数動作を待機することを促される。
【0134】
図10に戻って、制御部101は、ステップS102において殺菌制御を開始した後、待機期間が経過したか否かを判定する(S104)。上記のとおり、待機期間は、図6(d)の項目231に対する操作より、予め設定される。待機期間は、少なくとも、光源94を殺菌時の発光強度で発光させる制御が開始された後、光源94が殺菌時の発光強度で安定的に発光するまでに要する時間以上に設定される。
【0135】
本実施形態では、光源94が冷陰極管であるため、光源94が殺菌時の発光強度で安定的に発光するまでに数十秒程度要し、また、この時間は、周囲温度等によって変動し得る。操作者は、この点を考慮して、設定期間を設定する。図6(d)の項目231が操作されたことに応じて、入力可能な最低時間が予め表示されていてもよい。この場合、最低時間は、たとえば、光源94が殺菌時の発光強度で安定的に発光するまでに通常要する時間に設定される。
【0136】
なお、待機期間は、操作者により設定されるのではなく、デフォルト値(固定値)として予め規定されてもよい。この場合、デフォルト値は、たとえば、光源94が殺菌時の発光強度で安定的に発光するまでに通常要する時間、または、この時間よりやや長めに設定される。
【0137】
待機期間が経過すると(S104:YES)、制御部101は、報知処理を終了する(S105)。これにより、操作表示部80の画面から報知画面510が消失し、図11(b)の結果画面500が表示される。結果画面500は、計数結果を表示する領域501と、現在の計数モードを表示する項目502、503と、各種センサが適正に動作していることを表示する項目504とを含んでいる。
【0138】
項目502には、受入部20に紙幣がセットされたことに応じて自動で紙幣の計数が開始される自動計数モードと、操作表示部80に対して計数開始の操作が行われたことに応じて紙幣の計数が開始される手動計数モードの何れかが表示される。ここでは、自動計数モードが選択されていることが表示されている。項目503には、紙幣の計数速度が表示される。
【0139】
図10に戻って、ステップS104の判定がYESとなったタイミングにおいて、光源94は、殺菌時の発光強度で安定的に発光した状態になっている。その後、制御部101は、予め規定された解除条件が充足されたか否かを判定する(S106)。解除条件が充足されると、制御部101は、殺菌制御を終了し、装置を省電力モードに設定する(S107)。これにより、光源94が停止され、さらに、図11(c)に示すように、結果画面500の領域501が消灯する。
【0140】
こうして、装置を省電力モードに設定した後、制御部101は、図10の処理を終了する。その後、制御部101は、再度、ステップS101から、上記と同様の処理を実行する。
【0141】
図12は、図10のステップS101における開始条件判定処理を示すフローチャートである。
【0142】
ここでは、開始条件として、装置の電源スイッチが操作されて貨幣処理装置1に電源が投入されたこと(S201)、および、省電力モードにおいて貨幣処理に関する操作が貨幣処理装置1に行われたこと(S202)が規定されている。貨幣処理装置1に電源が投入され(S201:YES)、あるいは、省電力モードにおいて貨幣処理に関する操作が貨幣処理装置1に行われると(S202:YES)、制御部101は、開始条件が充足されたとして(S203)、図10のステップS101の判定をYESとする。他方、これらの事象の何れも生じていない場合、制御部101は、開始条件が充足されていないとして(S204)、図10のステップS101の判定をNOとする。
【0143】
なお、ステップS202の判定は、たとえば、受入部20に紙幣がセットされたことが検出された場合や、操作表示部80に対して計数処理のための操作が行われた場合に、YESとなる。
【0144】
図13は、図10のステップS106における解除条件判定処理を示すフローチャートである。
【0145】
ここでは、解除条件として、監視期間内に貨幣処理に関する操作がなかったこと(S212、S213)が規定されている。上記のように、監視期間は、図6(d)の項目232に対する操作により、予め設定される。また、ステップS212の判定は、図12のステップS202の判定と同様、たとえば、受入部20に紙幣がセットされたことが検出された場合や、操作表示部80に対して計数処理のための操作が行われた場合に、YESとされる。
【0146】
制御部101は、タイマーを起動して(S211)、監視期間の経過を監視する。監視期間が経過する前に貨幣処理に関する操作が行われると(S212:YES)、制御部101は、解除条件が充足されなかったとして(S214)、図10のステップS106の判定をNOとする。この場合、制御部101は、再度、図13のステップS211においてタイマーをリセットし、ステップS212以降の処理を再度実行する。
【0147】
他方、監視期間内に貨幣処理に関する操作が行われなかった場合(S212:NO、S213:YES)、制御部101は、解除条件が充足されたとして(S215)、図10のステップS106の判定をYESとする。これにより、殺菌制御が中止され、省電力モードが実行される。
【0148】
図14(a)は、図10のステップS107における省電力モードにおける光源94の制御処理を示すフローチャートである。
【0149】
ここでは、省電力モードにおいて、光源94が消灯される(S301)。この制御は、搬送路43を挟んで配置された2つの光源モジュール90の両方において一様に適用される。
【0150】
なお、省電力モードにおいて、図14(b)または図14(c)の制御が行われてもよい。
【0151】
図14(b)の制御において、制御部101は、光源94に対する印加電圧を、通常の殺菌動作時の印加電圧よりも低下させて、光源94の発光強度を低下させる(S311)。この場合、省電力モードにおける印加電圧は、たとえば、通常の殺菌制御時の印加電圧の45~70%程度に設定される。省電力モードにおける印加電圧を、通常殺菌時の印加電圧に対してどの程度の割合に設定するかを、操作者が任意に設定可能であってもよい。
【0152】
図14(b)のように、省電力モードにおいて印加電圧を低下させたとしても、光源94である冷陰極管内には、励起状態の水銀分子が一定数維持され得る。このため、省電力モード中に、図10のステップS101の開始条件が充足されて、ステップS102の殺菌制御が実行された場合、短時間のうちに、通常の殺菌動作時の発光強度で、光源94を発光させることができる。
【0153】
したがって、この場合は、ステップS103~S105の報知および待機の処理は、行われなくてもよい。すなわち、図14(b)の制御が行われる場合、制御部101は、省電力モードの設定後に、図10のステップS101の判定がYESとなると、ステップS102を実行した後、ステップS103~S105の処理をスキップして、ステップS106へと処理を移行させてもよい。
【0154】
図14(c)の制御において、制御部101は、図14(b)のステップS311と同様、光源94の発光強度を低下させた後(S321)、さらに、所定時間が経過すると(S322:YES)、光源94を消灯させる(S323)。この場合、ステップS322の所定時間は、操作者によって任意に設定可能であってもよく、あるいは、デフォルト値が適用されてもよい。
【0155】
図14(c)の制御において、制御部101は、ステップS322の判定がYESとなるまでに、図10のステップS101の判定がYESとなると、図14(b)の場合と同様、図10のステップS102を実行した後、ステップS106へと移行させてもよい。他方、図14(c)の制御において、ステップS322の判定がYESとなって光源94が消灯された後に、図10のステップS101の判定がYESとなった場合、制御部101は、図14(a)の場合と同様、図10のステップS102以降の処理をそのまま実行すればよい。
【0156】
図15は、紙幣の搬送制御処理を示すフローチャートである。
【0157】
制御部101は、計数開始操作がなされたか否かを判定する(S401)。貨幣処理装置1に自動計数モードが設定されている場合、受入部20に対する紙幣のセットが検出されたことにより、ステップS401の判定がYESとなる。貨幣処理装置1に手動計数モードが設定されている場合、受入部20に対する紙幣のセットが検出され、且つ、操作表示部80に対して計数開始のための操作が行われたことにより、ステップS401の判定がYESとなる。
【0158】
計数開始操作がなされた場合(S401:YES)、制御部101は、現時点が待機期間中であるか否かを判定する(S402)。たとえば、省電力モードが設定された後、計数開始操作が行われた場合、図10のステップS101がYESとなって、ステップS102、S103とともに、ステップS104の待機期間が設定される。このため、この場合は、図15のステップS402の判定はYESとなる。他方、図10のステップS104の判定がYESとなった後、ステップS106の判定がYESとなるまでに、計数開始操作が行われた場合、現時点が待機期間中でないため、図15のステップS402の判定はNOとなる。
【0159】
現時点が待機期間中である場合(S402:YES)、制御部101は、紙幣の繰出および搬送を行うことなく(S403)、待機期間の終了を待つ(S404)。その後、待機期間が終了すると(S404:YES)、制御部101は、受入部20にセットされた紙幣の繰出および搬送を実行する(S405)。他方、現時点が待機期間中でない場合(S402:NO)、制御部101は、ステップS403、S404をスキップして、受入部20にセットされた紙幣の繰出および搬送を実行する(S405)。
【0160】
その後、制御部101は、受入部20にセットされた紙幣の搬送が終了するまで(S406:NO)、紙幣の繰出および搬送を実行する。そして、受入部20にセットされた全紙幣の搬送が終了すると(S406:YES)、制御部101は、紙幣の繰出および搬送動作を停止させ(S407)、図15の処理を終了する。
【0161】
図15の搬送制御処理において、所定の金種に適正に識別された紙幣は、図1の集積部60に搬送され、所定の金種に適正に識別されなかった紙幣は、図1のリジェクト部70に搬送される。
【0162】
図16は、紙幣の計数処理を示すフローチャートである。
【0163】
制御部101は、図15の処理により紙幣の繰出および搬送が開始されて、紙幣の計数が開始されると(S501:YES)、貨幣処理装置1に再殺菌モードが設定されているか否かを判定する(S502)。上記のとおり、再殺菌モードは、図6(c)の項目223を介して設定される。
【0164】
再殺菌モードが設定されていない場合(S502:NO)、制御部101は、紙幣の計数および計数結果の表示を行う(S513)。すなわち、制御部101は、識別部50で所定金種に適正に識別された紙幣の枚数と合計金額を、図11(b)の領域501に表示させる。制御部101は、受入部20にセットされた全ての紙幣の計数が完了するまで(S514:NO)、紙幣の計数および計数結果の表示を継続する(S513)。そして、全ての紙幣の計数が完了すると(S514:YES)、制御部101は、図16の処理を終了する。
【0165】
他方、再殺菌モードが設定されている場合(S502:YES)、制御部101は、ステップS513、S514と同様、受入部20にセットされた全ての紙幣の計数が完了するまで(S505:NO)、紙幣の計数および計数結果の表示を実行する(S503)。このとき、制御部101は、処理した各紙幣の識別情報を、記憶部102に記憶させる(S504)。
【0166】
図17(a)は、再殺菌モードの実行時に記憶部102に記憶される情報を示す図である。
【0167】
図17(a)に示すように、図16のステップS504において、識別部50により識別された各紙幣の金種、記番号および記番号の切取画像が、互いに対応づけられて、記憶部102に記憶される。図17(a)の“NO”は、紙幣の処理順を示している。紙幣に2カ所、記番号が印字されているため、紙幣ごとに、2種類の記番号と切取画像が対応付けて記憶される。
【0168】
なお、記憶部102には、識別部50によって金種が適正に識別された紙幣についてのみ、図17(a)の情報が記憶され、識別部50によって金種が適正に識別されなかった紙幣(リジェクト紙幣)については、当該情報の記憶は行われない。
【0169】
図16に戻って、受入部20にセットされた全ての紙幣の計数が完了すると(S505:YES)、制御部101は、集積部60に搬出されている全ての紙幣を再度、受入部20にセットして処理に供することを促す報知を行う(S506)。この報知は、たとえば、図18(a)の報知画面520を、結果画面500にポップアップ表示させることにより行われる。報知画面520は、集積部60に搬出されている全ての紙幣を再度、受入部20にセットすることを促すメッセージ521と、OKボタン522とを含んでいる。操作者は、メッセージ521により必要な操作を確認した上で、OKボタン522を操作し、集積部60に集積されている全ての紙幣を、再度、受入部20にセットする。
【0170】
こうして、集積部60に集積されている全ての紙幣が受入部20にセットされると、制御部101は、再度、受入部20にセットされた全ての紙幣に対して計数および計数結果の表示(S507)と、各紙幣の識別情報の記憶(S508)とを行う。このとき、制御部101は、今回、取得した紙幣の識別情報と、1回目の処理により記憶部102に記憶されている識別番号とを照合する。具体的には、制御部101は、照合によって、今回、取得した紙幣の記番号と、1回目の処理により記憶部102に記憶されている記番号とが一致するか否かを判断する。そして、制御部101は、今回の識別情報が1回前の何れかの識別情報に一致する場合は、今回の識別情報を取得した紙幣を集積部60に搬出し、今回の識別情報が1回前の何れかの識別情報にも一致しない場合は、今回の識別情報を取得した紙幣をリジェクト部70に搬出する(S509)。
【0171】
図17(b)は、2回目の計数処理により記憶部102に記憶される情報を示す図である。
【0172】
図17(b)に示すように、2回目の計数処理においても、1回目と同様の情報が記憶部102に記憶される。ここでは、2回目の計数処理において4番目に処理された紙幣の識別情報が、1回目の計数処理において記憶された識別情報の何れにも一致しない。したがって、この場合は、2回目の計数処理において、4番目に処理された紙幣が、リジェクト部70に搬出される。
【0173】
図16に戻って、受入部20にセットされた全ての紙幣についてステップS507~S509の処理を実行すると(S510)、制御部101は、リジェクト部70に搬出された紙幣に対して、再度、計数処理を行うか否かを操作者に問い合わせる処理を行う(S511)。また、制御部101は、2回目の計数処理において記憶部102に記憶された識別情報のうち、1回目の計数処理において記憶部102に記憶されている識別情報と重複するものを、記憶部102から削除する。これにより、2回目の計数処理で記憶された識別情報のうち、リジェクト部70に搬出された紙幣の識別情報のみが残る。
【0174】
ステップS511において、制御部101は、たとえば、図18(b)の報知画面530を、結果画面500にポップアップ表示させる。この報知画面530には、計数処理を継続するか否かを問い合わせるメッセージ531と、2つのボタン532、533が含まれている。
【0175】
リジェクト部70に搬出された紙幣について再度計数処理を行う場合、操作者は、報知画面530中のボタン532を操作して、リジェクト部70に搬出されている紙幣を受入部20に再度セットする。この場合、再度セットされる紙幣は、ステップS509でリジェクト部70に振り分けられた紙幣の他、ステップS503における1回目の計数および結果表示処理において、識別部50により適正に識別されなかったリジェクト紙幣も含まれ得る。他方、リジェクト部70に搬出された紙幣について再度計数処理を行わない場合、操作者は、リジェクト部70に搬出されている紙幣を受入部20に再度セットすることなく、報知画面530中のボタン533を操作する。
【0176】
図16に戻って、図18(b)の報知画面530中のボタン532が操作された場合(S512:YES)、制御部101は、リジェクト部70から受入部20に再セットされた紙幣に対して、ステップS507~S509の処理を行う。このとき、制御部101は、2回目の処理後に記憶部102に残っている識別情報と、今回処理する各紙幣の識別情報とを比較して、ステップS509の処理を行う。また、制御部101は、今回、記憶部102に記憶した識別情報のうち、2回目に処理において記憶部102に残っている識別情報と一致するものは、記憶部102から削除する。
【0177】
こうして、リジェクト部70から受入部20に再セットされた全ての紙幣に対する処理が終了すると(S510:YES)、制御部101は、ステップS511以降の処理を同様に実行する。
【0178】
他方、図18(b)の報知画面530中のボタン533が操作された場合(S512:NO)、制御部101は、図16の処理を終了する。この場合、操作者は、リジェクト部70に搬出された紙幣を、再度、受入部20にセットすることなく、そのまま回収する。
【0179】
なお、ステップS506~S510における2回目の計数処理において、リジェクト部70にリジェクトされる紙幣が存在しなかった場合、記憶部102には、2回目の計数処理に関する図17(b)の情報が残らないことになる。この場合、制御部101は、図16のステップS511、S512をスキップして、図16の処理を終了してもよく、あるいは、1回目の計数処理においてリジェクトされた紙幣が存在する場合は、これらの紙幣について、ステップS511以降の処理を実行してもよい。
【0180】
また、上記では、1回目の計数処理により集積部60に集積された紙幣を受入部20に再度セットすることが、ステップS506において報知されたが、集積部60に集積された紙幣とともに、ステップS503においてリジェクト部70にリジェクトされた紙幣(識別部50によって適正に識別されなかったリジェクト紙幣)も、受入部20に再度セットするように、ステップS506の報知が変更されてもよい。これにより、1回目の計数処理されたリジェクト紙幣も、2回目の計数処理において殺菌されるため、最初にセットされた全ての紙幣に対して、確実に、複数回の殺菌を行うことができる。
【0181】
<実施形態1の効果>
実施形態1によれば、以下の効果が奏され得る。
【0182】
図10に示したように、制御部101は、光源94が殺菌用の光を照射可能な状態になった後(S104:YES)、殺菌動作を解除可能な解除条件が充足されたか否かを判定し(S106)、解除条件が充足されたことに応じて(S106:YES)、光源94を省電力モードに設定する(S107)。これにより、殺菌動作が不要な状態における殺菌用の発光が抑制され、殺菌用の光を効率的に紙幣に照射することができる。よって、光源94による不要な電力消費を抑制でき、且つ、光源94の寿命低下を抑制できる。
【0183】
図13に示したように、解除条件は、予め設定された監視期間に亘って、装置に対し、貨幣処理に関する操作が行われなかったこと(S212、S213)を含んでいる。一定時間に亘って装置に貨幣処理に関する操作が行われなかった場合、その後、直ちに装置が使用される可能性は低いと推定され得る。よって、このように、監視期間に亘って当該操作がないことを解除条件に含めて、光源94を省電力モードに移行させることにより、殺菌動作が不要な状態における殺菌用の発光を適切に抑制することができる。
【0184】
図6(d)に示したように、制御部101は、監視期間の設定を受け付けるための設定項目(項目232)を設定画面230に含める。これにより、貨幣処理装置1の運用状況に応じて、監視期間を適正に設定できる。たとえば、貨幣処理装置1が頻繁に使用される場合は、監視期間を長めに設定することにより、次回の貨幣処理の際に、光源94が、殺菌用の光を照射可能な状態に維持されやすくなり、次回の貨幣処理における殺菌動作を円滑に行い得る。他方、貨幣処理装置1が頻繁に使用されない場合は、監視期間を短めに設定することにより、次回の貨幣処理までに、光源94が殺菌時の強度で発光し続ける期間を短縮でき、消費電力を適切に抑制できる。
【0185】
図14(a)に示したように、制御部101は、省電力モードにおいて、光源94の発光を停止させる。この制御によれば、省電力モードにおける光源94の発光を回避できる。これにより、貨幣処理装置1の消費電力を確実に抑制でき、光源94の寿命を効果的に引き延ばすことができる。
【0186】
あるいは、図14(b)、(c)に示したように、制御部101は、省電力モードにおいて、光源94の発光強度を殺菌動作時に比べて低下させてもよい。この制御によれば、省電力モードにおける光源の電力消費を、通常の殺菌動作時に比べて抑制できる。また、省電力モードにおいて光源94が停止されていない(電圧が印加されている)ため、光源94である冷陰極管内に、励起状態の水銀分子を一定数維持できる。このため、開始条件が充足されて、省電力モードから通常の殺菌動作に復帰する際に、殺菌用の光が安定的に照射されるまでの時間を短縮できる。よって、より迅速に、通常の殺菌動作へと移行できる。
【0187】
図10に示したように、制御部101は、殺菌動作を開始させる開始条件が充足されると(S101:YES)、光源94を殺菌動作時の発光強度で発光させる殺菌制御を実行する(S102)。これにより、逐一、光源94を起動する操作を行わなくとも、貨幣処理装置1において殺菌動作が必要な状況になったことに応じて、光源94が、殺菌動作時の発光強度で発光される。よって、その後、殺菌動作を伴う貨幣処理へと迅速かつ円滑に移行できる。
【0188】
図12に示したように、開始条件は、貨幣処理装置1に電源が投入されたこと、および、省電力モードにおいて貨幣処理に関する操作が貨幣処理装置1に行われたことを含んでいる。貨幣処理装置1に電源が投入された場合、および、貨幣処理に関する操作が貨幣処理装置1に行われた場合、その後、直ちに貨幣処理装置1が使用される可能性が高いと推定される。よって、これらを開始条件に含めて光源94を殺菌動作時の発光強度で発光させることにより、その後、殺菌動作を伴う貨幣処理へと迅速かつ円滑に移行できる。
【0189】
図10に示したように、制御部101は、殺菌制御を開始した後(S102)、殺菌動作時の発光強度で光源94が発光するまでの待機期間において(S104:NO)、光源94が起動中であることを操作者に報知する報知処理(S103、図11(a)の報知画面510)を実行する。これにより、操作者は、貨幣処理装置1に対して貨幣処理を行おうとした際に、殺菌用の光源が起動中(殺菌動作が起動中)である場合に、そのことを、当該報知により把握できる。よって、操作者は、その後の処理を円滑に進めることができる。
【0190】
図6(d)に示したように、制御部101は、待機期間の設定を受け付けるための設定項目(項目231)を設定画面230に含める。これにより、操作者は、貨幣処理装置1の運用状況に応じて、待機期間を適正に設定できる。
【0191】
図15に示したように、制御部101は、待機期間において(S402:YES、S404:NO)、搬送部40による紙幣の搬送を中止させる(S403)。これにより、光源94が殺菌用の光を安定的に照射可能となるまでの間は、搬送部40による紙幣の搬送が中止される。このため、殺菌用の光の照射が不十分な状態において紙幣が搬送されることが回避される。よって、その後の搬送動作において、処理対象の紙幣を確実に殺菌できる。
【0192】
図16に示したように、制御部101は、受入部20から搬送路43に送り込まれて処理された紙幣を、再度、受入部20から取り込んで、殺菌用の光により殺菌する再殺菌モード(S502~S512)を備える。このモードが実行されると、殺菌用の光を用いて複数回、紙幣が殺菌される。このため、紙幣をより確実に殺菌することができる。
【0193】
図6(c)に示したように、制御部101は、再殺菌モードを実行するか否かを設定するための設定項目(項目223)を、設定画面220に含める。これにより、操作者は、再殺菌モードの実行の要否を、貨幣処理装置1の運用状況に応じて、任意に設定できる。
【0194】
図2(a)~(c)に示したように、光源94と光源94の駆動回路92aがケース91に収容されて光源モジュール90が構成され、光源モジュール90が、搬送部40の搬送路43に配置される。この構成によれば、光源モジュール単位で、円滑に、光源94を交換することができる。
【0195】
図2(a)~(c)に示したように、ケース91は、凹部91cを備え、駆動回路92aおよび光源94は、凹部91cの底から順番に凹部91cに設置され、光源モジュール90は、凹部91cを塞ぐ光透過板95を備え得る。そして、図4(b)に示したように、光源94に対して反対側の光透過板95の表面が、搬送路43の搬送面を形成する。この構成によれば、光透過板95の表面が搬送路43の搬送面に共用されるため、搬送路43の構成を簡素化できる。また、光透過板95の表面に沿って紙幣が流れるため、光透過板95の表面を紙幣が通過する間に、光源94からの光を効率良く紙幣に照射できる。よって、紙幣の殺菌をより効率的に行うことができる。
【0196】
図4(a)、(b)に示したように、搬送部40は、紙幣の搬送を案内するためのガイド41、42を備え、ガイド41、42は、光源モジュール90の配置位置を挟んで搬送方向に分離し(ガイド41a、41b)、光源モジュール90は、配置位置に設けられた隙間G1に収容され、光透過板95の表面が、ガイド41、42が分離した配置位置の搬送面を構成する。この構成によれば、光源モジュール90を搬送路43に対して円滑に着脱しつつ、光透過板95の表面を搬送路43の搬送面に設定できる。
【0197】
光源94は、波長が280nm以下の光を殺菌用の光として照射する。これにより、光を用いた紙幣の殺菌を適切に行うことができる。
【0198】
図2(a)に示したように、光源94は、冷陰極管である。このように、冷陰極管を光源94に用いることにより、コストの削減を図りつつ、高い光源出力を得ることができ、紙幣の殺菌を効率的に行い得る。
【0199】
図1に示したように、貨幣処理装置1は、貨幣を計数する貨幣計数装置である。この構成では、貨幣の計数に並行して、計数対象の貨幣に対する殺菌を行うことができる。
【0200】
図6(b)に示したように、制御部101は、光源94からの光を用いた殺菌動作を実行するか否かを設定するための設定項目(項目213)を、受入部20に紙幣がセットされたことに応じて自動で紙幣の処理(計数)を開始するモードを設定するための設定項目(項目211)、および紙幣の処理速度(計数速度)を設定するための設定項目(項目212)の少なくとも一方を含む設定画面210に含める。これにより、紙幣計数の基本的な設定項目(項目211、212)の設定状況を同一の設定画面210で確認しつつ、殺菌動作を設定するか否かの設定を行い得る。よって、殺菌動作の設定を、円滑かつ適正に行うことができる。
【0201】
図10に示した処理方法は、紙幣の搬送路43において紙幣を殺菌するために殺菌用の光を照射する光源94を起動し(S101)、光源94が殺菌用の光を照射可能な状態になった後(S104:YES)、殺菌動作を解除可能な解除条件が充足されたか否かを判定し(S106)、前記解除条件が充足されたことに応じて光源94を省電力モードに設定する(S107)。これにより、上記のように、殺菌動作が不要な状態における殺菌用の発光が抑制され、光源94による不要な電力消費が回避される。よって、殺菌用の光を効率的に紙幣に照射することができる。
【0202】
図7(b)に示したように、制御部101は、光源94の現在の動作状態を反映するパラメータを確認するための項目311をメンテナンス画面310に含める。これにより、操作者は、光源94の動作状態を、適宜、円滑に確認できる。
【0203】
図7(c)、(d)に示したように、制御部101は、光源94の点灯テストを行うための項目321、331、332をメンテナンス画面320、330に含める。これにより、操作者は、光源94の点灯状態を、適宜、円滑に確認できる。
【0204】
図8(b)に示したように、制御部101は、光源94の寿命を監視するための設定時間を受け付けるための項目352をメンテナンス画面350に含め、光源94の累積使用時間が設定時間に到達したことに基づいて、光源94の寿命に関する情報を報知する処理(図9の通知画面400の表示)を実行する。これにより、操作者は、光源94の交換タイミングを円滑に把握できる。
【0205】
図2(a)~(c)に示したように、光源モジュール90は、駆動回路92aと光源94との間に、光源94から駆動回路92a側に向かう光を光透過板95側に反射させる反射板93を備える。これにより、光源94からの光を効率的に紙幣に照射でき、紙幣の殺菌をより効率的に行うことができる。
【0206】
図1に示したように、貨幣処理装置1は、搬送部40により搬送される紙幣の種別を識別するための識別部50を備え、光源モジュール90は、搬送路43上の識別部50から離れた位置に配置されている。
【0207】
より詳細には、搬送路43は、受入部20から延びる第1搬送路43aと、第1搬送路43aの端部から搬送路43をU字状に折り返す屈曲部43cと、屈曲部43cの端部から延びる第2搬送路43bと、を備え、識別部50は、第1搬送路43aおよび第2搬送路43bの一方に配置され、光源モジュール90は、第1搬送路43aおよび第2搬送路43bの他方に配置される。
【0208】
このように、光源モジュール90を識別部50から離れた位置に配置することにより、光源モジュール90から生じる誘導ノイズや放射ノイズが識別部50に影響を与えることを抑制できる。これにより、紙幣の計数と並行して光源モジュール90により紙幣に光を照射しても、識別部50による紙幣の識別を適正に行うことができる。
【0209】
図16に示したように、再殺菌モードにおいて、制御部101は、受入部20から搬送路43に送り込まれて処理された紙幣を、再度、受入部20に戻すことを操作者に促す報知処理を実行する(S506、図18(a)の報知画面520)。これにより、操作者は、再殺菌モードにおいて、1回計数済みの紙幣を受入部20に再セットして、再度、計数処理(殺菌処理)に供することを促される。よって、操作者は、再殺菌モードにおける操作を円滑に進めることができる。
【0210】
図16に示したように、制御部101は、再殺菌モードにおいて、殺菌処理に供された紙幣の識別情報を記憶部102に記憶させ(S508)、再度、受入部20から取り込まれた紙幣の識別情報が記憶部102に記憶されている場合、当該紙幣を処理済みの搬出部(集積部60)に搬出し(S509)、再度、受入部20から取り込まれた紙幣の識別情報が記憶部102に記憶されていない場合は、当該紙幣をリジェクト部70に搬出する(S509)。これにより、殺菌処理が2回行われた紙幣は搬出部(集積部60)に搬出され、2回目の殺菌処理しか行われなかった紙幣はリジェクト部70に搬出される。よって、操作者は、殺菌処理が2回行われた紙幣と、1回しか行われていない紙幣を適切に把握でき、その後の処理(たとえば、リジェクトされた紙幣の再殺菌)を円滑に進めることができる。
【0211】
図16に示したように、制御部101は、リジェクト部70に搬出された紙幣を、再度受入部20に戻して殺菌処理に供するか否かを操作者から受け付ける処理(S511、図18(b)の報知画面530)を行う。これにより、操作者は、リジェクト部70に搬出された紙幣(1回だけ殺菌処理が行われた紙幣)に対する殺菌処理を円滑に進めることができる。
【0212】
<実施形態1の変更例>
上記実施形態1では、開始条件が充足されて光源94が起動された後、待機期間が終了するまでは、紙幣の搬送が中止されて、計数動作が待機された。これに対し、本変更例では、待機期間において、紙幣の計数を開始するか否かを選択する操作が受け付けられ、紙幣の計数を開始する選択が行われた場合、紙幣の搬送が開始されて計数動作が行われる。
【0213】
図19は、変更例に係る光源制御処理を示すフローチャートである。
【0214】
図19のフローチャートは、図10のフローチャートに比べて、ステップS111、S112が追加されている。図19におけるその他のステップにおける処理は、図10の対応するステップの処理と同様である。
【0215】
制御部101は、開始条件が充足されて(S101:YES)、殺菌制御を開始すると(S102)、開始要否受付処理を実行する(S111)。ステップS111において、制御部101は、たとえば、図20(a)に示す受付画面540を、結果画面500上にポップアップ表示する。
【0216】
受付画面540は、メッセージ541と、ボタン542、543とを含んでいる。メッセージ541は、光源94が起動中であるため、殺菌用の光を照射できないが、紙幣の搬送(計数)を開始するか否かを操作者に問い合わせる内容となっている。操作者は、メッセージ541を参照して、紙幣の搬送および計数を開始するか、光源94が安定的に動作するまで待つかを選択する。操作者は、紙幣の搬送および計数を開始する場合はボタン542を操作し、光源94が安定的に動作するまで待つ場合はボタン543を操作する。
【0217】
図19に戻って、操作者により紙幣の搬送および計数を開始するためのボタン542が操作された場合(S112:YES)、制御部101は、ステップS103~S105をスキップして、ステップS106へと処理を進める。これに応じて、図20(a)の受付画面540が消失し、結果画面500のみが表示される。ステップS106以降の処理は、上記実施形態1と同様である。
【0218】
他方、操作者により光源94が安定的に動作するまで待つためのボタン543が操作された場合(S112:NO)、制御部101は、処理をステップS103に進めて、報知処理を実行する。この場合、図20(b)のように、結果画面500上に報知画面510がポップアップ表示される。報知画面510の構成は、図11(a)と同様である。ステップS103以降の処理は、上記実施形態1と同様である。
【0219】
図21は、変更例に係る搬送制御処理を示すフローチャートである。
【0220】
図21のフローチャートは、図15のフローチャートに比べて、ステップS411が追加されている。図21におけるその他のステップにおける処理は、図15の対応するステップの処理と同様である。
【0221】
制御部101は、待機期間において(S402:YES)、図20(a)の受付画面540中のボタン542が操作されると(S411:YES)、待機期間の終了を待つことなく、受入部20にセットされた紙幣の繰出および搬送を開始する(S405)。これに応じて、図16のステップS501がYESとなって、紙幣の計数が開始される。
【0222】
他方、待機期間において(S402:YES)、図20(a)の受付画面540中のボタン543が操作されると(S411:NO)、制御部101は、処理をステップS404に進めて、待機期間の終了を待つ。この場合、制御部101は、上記実施形態1と同様、待機期間の終了に応じて(S404:YES)、受入部20にセットされた紙幣の繰出および搬送を開始する(S405)。これにより、図16のステップS501がYESとなって、紙幣の計数が開始される。
【0223】
以上のように、制御部101は、殺菌制御を開始した後(S102)、殺菌動作時の発光強度で光源94が安定的に発光するまでの待機期間において、紙幣の処理を実行するか否かの操作を受け付け(S111)、紙幣の処理を実行する旨の操作を受け付けた場合に(S112:YES)、殺菌制御を継続しつつ、紙幣の処理を実行する。この構成によれば、操作者は、自身の判断で、殺菌動作の起動が完了する前に、紙幣の処理を実行することができる。
【0224】
なお、待機期間が終了する前に、操作者が、上記操作によって紙幣の処理を開始させた場合、光源94は、未だ、発光強度が殺菌用の強度に安定していないものの、目標波長の光を照射する状態にはある。したがって、この場合、強度は低いながらも、光が紙幣に照射され、この光による紙幣の殺菌は行われることになる。
【0225】
<実施形態2>
図22は、実施形態2に係る、貨幣処理装置2の構成を示す概略図である。
【0226】
実施形態2に係る貨幣処理装置2は、所定の条件に従って紙幣を整理する紙幣整理機である。整理の条件は、通貨、金種、正損、方向等である。複数の集積部640には、これらの条件のうち、少なくとも1つが割り当てられる。たとえば、金種ごとに紙幣を整理する場合、各集積部640には、何れか1つの金種が割り当てられる。操作者は、様々な金種が混在した複数の紙幣を、受入部610にセットする。その後、紙幣の処理が開始されると、セットされた各紙幣は、識別部630で金種を識別され、対応する金種の集積部640に集積される。
【0227】
図22に示すように、貨幣処理装置2は、受入部610と、搬送部620と、識別部630と、4つの集積部640と、リジェクト部650、2つの光源モジュール660とを備える。
【0228】
受入部610は、ホッパー611と繰出機構612とを備える。ホッパー611は、紙幣が積まれて置かれるように構成されている。繰出機構612は、ホッパー611に置かれた紙幣を一枚ずつ搬送部620へと繰り出す。
【0229】
搬送部620は、受入部610から複数の集積部640へと向かう搬送路621と、搬送路621から分岐してリジェクト部650へ向かう分岐路622とを含む。搬送部620は、上記実施形態1と同様、互いに対向するガイドを備え、これらガイドの隙間が搬送路621となっている。
【0230】
識別部630は、上記実施形態1における識別部50と同様の構成である。識別部630は、搬送路621上に設けられ、搬送路621を流れる紙幣の属性を識別する。識別される紙幣の属性には、紙幣の種別(通貨、金種、刷種(新旧)等)や正損、方向(表裏、天地)、真偽などが含まれる。紙幣の属性が適正に識別された紙幣は、搬送路621を介して、何れかの集積部640に搬送される。紙幣の属性が適正に識別されなかった紙幣は、分岐路622を介してリジェクト部650に搬送される。
【0231】
集積部640は、羽根車641と、ステージ642とを備える。羽根車641は、回転しながら、搬送部620から送られてきた紙幣を2枚の羽根の間で1枚ずつ受け止めて、受け止めた紙幣をステージ642へ送る。羽根車641により送られた紙幣は、集積部640内において整列した状態でステージ642上に集積される。集積枚数が増加するに従い、ステージ642が下降する。さらに、集積部640には、集積された紙幣を取り出すための取出口643が設けられる。
【0232】
リジェクト部650は、羽根車651と、トレイ652とを備える。羽根車651は、回転しながら、搬送部620から送られてきた紙幣を2枚の羽根の間で1枚ずつ受け止めて、受け止めた紙幣をトレイ652へ送る。羽根車651により送られた紙幣は、整列した状態でトレイ652内に集積される。
【0233】
光源モジュール660は、上記実施形態1と同様、搬送路621を流れる紙幣に殺菌用の光を照射する。2つの光源モジュール660は、搬送路621を挟んで配置されている。上側の光源モジュール660は、搬送路621を流れる紙幣の上面に殺菌用の光を照射する。下側の光源モジュール660は、搬送路621を流れる紙幣の下面に殺菌用の光を照射する。
【0234】
光源モジュール660の構成は、上記実施形態1と同様であってよい。たとえば、2つの光源モジュール660によって挟まれる搬送路621の部分において、貨幣処理装置2の上部筐体が上方に開放される場合、光源モジュール660の設置領域は、図4(a)、(b)と同様の構成とされ得る。光源モジュール660の設置領域の構成は、その他の構成であってもよく、他の設置方法で光源モジュール660が設置されてもよい。
【0235】
図23は、貨幣処理装置2の構成を示すブロック図である。図23には、貨幣処理装置2の主要な構成が示されている。
【0236】
図23に示すように、貨幣処理装置2は、繰出機構612、搬送部620、識別部630、集積部640、リジェクト部650および光源モジュール660の他、制御部701と、記憶部702と、操作表示部703と、センサ部704と、を備える。
【0237】
制御部701は、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理回路を備え、記憶部702に記憶された制御プログラムに従って各部を制御する。記憶部702は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)やハードディスク等の記憶媒体を備え、制御部701の制御プログラムを記憶し、また、制御部701の制御処理の際にワーク領域として利用される。
【0238】
操作表示部703は、表示および入力が可能なタッチパネルにより構成される。操作表示部703には、整理処理に関する情報、たとえば、各集積部640に集積された紙幣の枚数や合計金額等の情報が表示される。また、操作表示部703は、整理処理の各種モードの設定や整理処理における操作に用いられる。操作表示部703が、LCD等の表示部と、複数の操作キーとによって構成されてもよい。
【0239】
センサ部704は、受入部610に紙幣がセットされたことを検知するセンサや、リジェクト部650に紙幣が存在するか否かを検出するセンサ等の各種センサを含む。
【0240】
制御部701は、図10と同様の光源制御処理を実行する。この処理における開始条件の判定処理は、図12と同様であってよく、解除条件の判定処理は、図13と同様であってよい。この場合、図10のステップS202および図12のステップS212における貨幣処理操作は、たとえば、受入部610に紙幣がセットされたことや、操作表示部703に整理処理のための操作が行われたこととされ得る。
【0241】
また、監視期間および待機期間は、上記実施形態1と同様、所定の設定画面を介して操作者が設定可能であってよい。また、光源の寿命通知等のその他の設定についても、上記実施形態1の図6(a)~図8(b)と同様、所定の設定画面またはメンテナンス画面を介して行われてもよい。
【0242】
また、実施形態2においても、省電力モードにおける光源モジュール660の制御は、図14(a)~(c)と同様の制御が適用され得る。
【0243】
また、制御部701は、図15と同様の搬送制御処理を実行可能である。この場合、ステップS401では、たとえば、受入部610に紙幣がセットされたことや、操作表示部703に整理処理のための操作が行われた場合に、YESの判定がなされ得る。制御部701は、ステップ405で紙幣の繰出および搬送を開始することに応じて、上述した紙幣の整理処理、すなわち、条件に適合する集積部640へ紙幣を集積する処理を実行する。
【0244】
実施形態2においても、これらの制御によって、上記実施形態1と同様の効果が奏され得る。
【0245】
なお、実施形態2においても、上記実施形態1の変更例と同様、光源制御処理が図19の処理に変更されてもよく、搬送制御処理が図21の処理に変更されてもよい。これにより、操作者は、待機期間が経過する前に、自身の判断で、紙幣の整理処理を進めることができる。
【0246】
また、実施形態2の構成においても、再殺菌モードが実行可能であってもよい。この場合、たとえば、1回目の処理時において全ての紙幣がリジェクト部650に搬出され、リジェクト部650から全ての紙幣が操作者により受入部610に戻されて、2回目の処理が行われてもよい。この場合、2回目の処理において、各紙幣が対応する集積部640に集積されることになる。あるいは、集積部640とリジェクト部650以外に搬出部が設けられ、1回目の処理時において全ての紙幣がこの搬出部に搬出されてもよい。この場合、この搬出部から全ての紙幣が操作者により受入部610に戻されて、2回目の処理が行われ、2回目の処理において、各紙幣が対応する集積部640に集積される。
【0247】
<実施形態3>
図24は、実施形態3に係る貨幣処理装置3の構成を示す概略図である。
【0248】
実施形態3に係る貨幣処理装置3は、硬貨を入出金する硬貨入出金機である。実施形態3では、処理対象の貨幣が硬貨である。
【0249】
貨幣処理装置3は、受入部810と、出金部820と、カセット830と、複数の収納部840と、第1搬送部851と、第2搬送部852と、シュート861、862、863と、識別部870と、繰出部880と、光源モジュール890と、を備える。
【0250】
受入部810は、入金される硬貨を受け入れる。出金部820は、出金される硬貨を受け入れる。受入部810は、貨幣処理装置3の上面に設けられ、出金部820は、貨幣処理装置3の前面に設けられる。カセット830は、硬貨の繰出しおよび回収に用いられる。
【0251】
複数の収納部840は、それぞれ、入金時に入金された硬貨を収納し、出金時に硬貨を第2搬送部852に繰り出す。複数の収納部840には、それぞれ、金種が割り当てられている。各収納部840は、対応する金種の硬貨の収納および繰出を行う。収納部840は、出金時に、回転円盤を用いた周知の構成により、硬貨を1枚ずつ第2搬送部852に繰り出す。
【0252】
第1搬送部851は、受入部810に投入された硬貨を収納部840に搬送する。第2搬送部852は、収納部840から繰り出された硬貨を出金部820に搬送する。第1搬送部851および第2搬送部852は、それぞれ、硬貨を搬送するための搬送路851a、852aを有する。
【0253】
シュート861は、第1搬送部851の搬送路851aとカセット830とを接続する。シュート861は、搬送路851aを流れる硬貨のうち、カセット830に収納されるべき硬貨をカセット830へと投出する。
【0254】
シュート862は、第1搬送部851の搬送路851aと1つの収納部840とを接続する。便宜上、図24には、上段後端の収納部840と搬送路851aとを接続するシュート862のみが図示されている。その他の収納部840も、それぞれ、対応するシュート862によって、搬送路851aに接続されている。これらのシュート862は、搬送路851aを流れる硬貨のうち、対応する収納部840に収納されるべき硬貨を当該収納部840へと投出する。
【0255】
シュート863は、第1搬送部851の搬送路851aと出金部820とを接続する。シュート863は、搬送路851aを流れる硬貨のうち、出金部820に出金されるべき硬貨を出金部820へと投出する。
【0256】
識別部870は、第1搬送部851の搬送路851a上に配置され、搬送路851aを流れる硬貨を識別して計数する。識別部870は、たとえば、硬貨の金種、真偽および正損を識別して、金種別の硬貨の枚数および金額と、合計枚数および合計金額とを計数する。識別部870による識別結果に基づいて、各硬貨の収納先が決定される。
【0257】
繰出部880は、受入部810に投入された硬貨を一時保留するとともに、一時保留した硬貨を、第1搬送部851の搬送路851aに繰り出す。繰出部880は、収納部840と同様、回転円盤を用いた周知の繰出機構を備える。繰出部880は、この繰出機構により、硬貨を1枚ずつ搬送路851aに繰り出す。
【0258】
また、繰出部880は、出金時において、第2搬送部852により搬送される硬貨を受け入れる。繰出部880は、底部に、開閉可能なゲート881を有する。出金時には、このゲート881が開放される。これにより、第2搬送部852から繰出部880に搬送された硬貨は、ゲート881を通って、出金部820に搬出される。
【0259】
光源モジュール890は、識別部870の下流側の搬送路851aに配置されている。2つの光源モジュール890が、搬送路851aを上下に挟むように配置されている。上側の光源モジュール890は、搬送路851aを流れる硬貨の上面に殺菌用の光を照射する。下側の光源モジュール890は、搬送路851aを流れる硬貨の下面に殺菌用の光を照射する。光源モジュール890は、上記実施形態1、2と同様、光源として冷陰極管を有し、さらに、駆動回路、反射板、透過板を有する。透過板の表面は、搬送路851aの搬送面を構成する。殺菌用の光の波長は、上記実施形態1、2と同様、280nm以下に設定される。
【0260】
入金時において、操作者は、硬貨を受入部810に投入する。投入された硬貨は、繰出部880に一時保留される。その後、硬貨は、繰出部880によって搬送路851aに1枚ずつ繰出される。繰出された硬貨は、第1搬送部851によって、順次、下流側に搬送される。
【0261】
まず、硬貨は、識別部870によって、金種等が識別される。次に、硬貨は、2つの光源モジュール890の配置位置を通過し、これら光源モジュール890からの光によって、上面および下面が殺菌される。その後、硬貨は、識別部870の識別結果に応じて、シュート861、862、863の何れかにより、カセット830、収納部840または出金部820に投出される。識別部870により識別不能であった硬貨は、シュート863によって、出金部820に出金される。適正に識別された硬貨は、シュート862によって、対応する金種の収納部840に投出される。
【0262】
出金時には、出金対象の金種の硬貨が、対応する収納部840から搬送路852aに繰り出される。このとき同時に、繰出部880のゲート881が開放される。搬送路852aに繰り出された硬貨は、第2搬送部852によって、繰出部880に搬送される。その後、硬貨は、繰出部880の底部へと落下し、ゲート881を介して、出金部820に投出される。
【0263】
図25は、貨幣処理装置3の構成を示すブロック図である。図25には、貨幣処理装置3の主要な構成が示されている。
【0264】
図25に示すように、貨幣処理装置3は、カセット830、収納部840、第1搬送部851、第2搬送部852、シュート861、862、863、識別部870、繰出部880および光源モジュール890の他、制御部901と、記憶部902と、操作表示部903と、センサ部904と、を備える。
【0265】
制御部901は、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理回路を備え、記憶部902に記憶された制御プログラムに従って各部を制御する。記憶部902は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)やハードディスク等の記憶媒体を備え、制御部901の制御プログラムを記憶し、また、制御部901の制御処理の際にワーク領域として利用される。
【0266】
操作表示部903は、表示および入力が可能なタッチパネルにより構成される。操作表示部903には、硬貨処理に関する情報、たとえば、入金された硬貨の金種別の枚数および合計金額、全硬貨の枚数および合計金額や、出金された硬貨の金種別の枚数または合計金額、全硬貨の枚数および合計金額等の情報が表示される。また、操作表示部903は、硬貨処理における各種モードの設定や硬貨処理時の操作に用いられる。操作表示部903が、LCD等の表示部と、複数の操作キーとによって構成されてもよい。
【0267】
センサ部904は、繰出部880における硬貨の有無を検知するセンサや、出金部820における硬貨の有無を検知するセンサ、搬送路851aを流れる硬貨がシュート861、862、863に到達したことを検知するセンサ等の各種センサを含む。
【0268】
制御部901は、硬貨の入金処理時に、図10と同様の光源制御処理を実行する。この処理における開始条件の判定処理は、図12と同様であってよく、解除条件の判定処理は、図13と同様であってよい。この場合、図10のステップS202および図12のステップS212における貨幣処理操作は、たとえば、受入部810を介して繰出部880に硬貨が投入されたことや、操作表示部903に入金処理のための操作が行われたこととされ得る。
【0269】
また、監視期間および待機期間は、上記実施形態1と同様、所定の設定画面を介して操作者が設定可能であってよい。また、その他の設定についても、上記実施形態1の図6(a)~図8(b)と同様、所定の設定画面またはメンテナンス画面により行われてもよい。
【0270】
また、実施形態3においても、省電力モードにおける光源モジュール890の制御は、図14(a)~(c)と同様の制御が適用され得る。
【0271】
また、制御部901は、硬貨の入金処理時に、図15と同様の搬送制御処理を実行可能である。この場合、ステップS401では、たとえば、繰出部880に硬貨が投入されたことや、操作表示部903に入金処理のための操作が行われた場合に、YESの判定がなされ得る。制御部901は、ステップ405で硬貨の繰出および搬送を開始することに応じて、光源モジュール890を駆動しつつ、硬貨の入金処理、すなわち、硬貨を対応する金種の収納部840へ搬送する処理を実行する。
【0272】
実施形態3においても、これらの制御によって、上記実施形態1と同様の効果が奏され得る。
【0273】
なお、実施形態3においても、上記実施形態1の変更例と同様、光源制御処理が図19の処理に変更されてもよく、搬送制御処理が図21の処理に変更されてもよい。これにより、操作者は、待機期間が経過する前に、自身の判断で、硬貨の入金処理を進めることができる。
【0274】
また、実施形態3の構成においても、再殺菌モードが実行可能であってもよい。この場合、たとえば、1回目の入金処理時において全ての硬貨が出金部820に搬出され、出金部820から全ての硬貨が操作者により受入部810に戻されて、2回目の処理が行われてもよい。この場合、2回目の処理において、各硬貨が対応する収納部840に収納されることになる。あるいは、出金部820と収納部840以外に外部に開放された搬出部が設けられ、1回目の処理時において全ての硬貨がこの搬出部に搬出されてもよい。この場合、この搬出部から全ての硬貨が操作者により受入部810に戻されて、2回目の処理が行われ、2回目の処理において、各硬貨が対応する金種の収納部840に収納される。
【0275】
<その他の変更例>
上記実施形態1~3では、光源モジュールを設置することにより、光源が設置されたが、光源の設置形態は、これに限られるものではない。たとえば、光源が直接、搬送路に設置され、光源と、回路基板上の駆動回路とが配線で接続されてもよい。
【0276】
また、光源の出射波長は、必ずしも、280nm以下でなくてもよく、貨幣を殺菌可能な限りにおいて、他の波長であってもよい。但し、上記のように光源の波長を280nm以下に設定することにより、貨幣に付着した細菌またはウィルスを効果的に死滅または不活化することができる。好ましくは、光源の波長が250~260nm付近に設定されるとよい。
【0277】
また、光源は、必ずしも、冷陰極管でなくてもよく、殺菌に適する波長の光を出射可能な限りにおいて、LED光源やレーザ光源などの他の光源であってもよい。但し、冷陰極管を光源として用いることにより、コストの削減を図りつつ、高い光源出力を得ることができ、貨幣の殺菌を効率的に行い得る。
【0278】
また、上記実施形態1~3では、図12に示すように、開始条件が、装置に対して電源が投入されたこと、および、省電力モードにおいて貨幣処理に関する操作が行われたことであったが、開始条件は、これに限られるものではない。たとえば、貨幣処理装置が人感センサを備える場合、貨幣処理装置付近に人が検知されたことが開始条件に含まれてもよい。また、所定の曜日や時間帯に頻繁に貨幣処理装置が用いられる場合、現在の日時が、これらの曜日や時間帯に含まれることが、開始条件に含まれてもよい。この場合、これらの曜日や時間帯は、貨幣処理装置の運用状況に応じて、操作者が設定してもよく、あるいは、学習処理等により貨幣処理装置(制御部)が設定してもよい。
【0279】
また、上記実施形態1~3では、図13に示すように、監視期間内に貨幣処理に関する操作が行われなかったことが解除条件とされたが、解除条件はこれに限られるものではない。たとえば、貨幣処理装置が人感センサを備える場合、監視期間中に貨幣処理装置付近に人が検知されなかったことが解除条件に含まれてもよい。また、所定の曜日や時間帯において貨幣処理装置が用いられる頻度が顕著に低い場合、現在の日時(貨幣処理の完了時点)が、これらの曜日や時間帯に含まれることが、解除条件に含まれてもよい。この場合、これらの曜日や時間帯は、貨幣処理装置の運用状況に応じて、操作者が設定してもよく、あるいは、学習処理等により貨幣処理装置(制御部)が設定してもよい。
【0280】
また、上記実施形態1~3では、図13の監視期間が操作者によって設定されたが、他の方法によって監視期間が設定されてもよい。たとえば、過去の装置の使用頻度を貨幣処理装置において記憶しておき、この使用頻度に応じた時間長の監視期間が、貨幣処理装置において自動で設定されてもよい。たとえば、使用間隔の平均値が監視期間に設定されてもよく、使用間隔の最大度数付近の時間長が監視期間に設定されてもよい。この場合、曜日や時間帯ごとの使用頻度に基づいて、曜日や時間帯ごとに監視期間が設定されてもよい。
【0281】
また、上記実施形態1~3では、報知や通知が画面の表示により行われたが、画面の表示に代えて、あるいは、画面の表示とともに、音声の出力によって、報知や通知が行われてもよい。また、報知や通知のための画面の構成やメッセージの内容も、上記実施形態1~3に示したものに限られるものではない。
【0282】
また、上記実施形態1~3では、再殺菌モードにおける殺菌処理の繰り返し回数が2回であったが、再殺菌モードにおける殺菌処理の繰り返し回数はこれに限られるものではなく、3回以上、殺菌処理が繰り返されてもよい。また、上記実施形態1~3では、再殺菌モードにおいて、操作者により貨幣が受入部に戻されたが、貨幣処理装置が、処理後の貨幣を受入部に搬送する経路を備える場合、この経路により貨幣が自動で受入部に戻されてもよい。
【0283】
また、貨幣処理装置および光源モジュールの構成や、光源モジュールの設置方法も、上記実施形態1~3に示した構成に限られるものではない。本発明が適用される貨幣処理装置も、上記実施形態1~3に示した装置に限られるものではない。
【0284】
本発明の実施形態は、特許請求の範囲に記載の範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0285】
1、2、3 貨幣処理装置
20、610、810 受入部
40、620 搬送部
851 第1搬送部
41、41a、41b、42 ガイド
43、621、851a 搬送路
90、660、890 光源モジュール
91 ケース
91c 凹部
92a 駆動回路
94 光源
95 光透過板
101、701、901 制御部
210、220、230 設定画面
211、212、213、221、222、223、231、232 項目
G1 隙間
図1
図2
図3
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