(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165639
(43)【公開日】2022-11-01
(54)【発明の名称】光学ユニット
(51)【国際特許分類】
G03B 5/00 20210101AFI20221025BHJP
H04N 5/232 20060101ALI20221025BHJP
H04N 5/225 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
G03B5/00 J
H04N5/232 480
H04N5/225 100
H04N5/225 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021071062
(22)【出願日】2021-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095452
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 博樹
(72)【発明者】
【氏名】新井 努
(72)【発明者】
【氏名】南澤 伸司
(72)【発明者】
【氏名】須江 猛
【テーマコード(参考)】
2K005
5C122
【Fターム(参考)】
2K005CA03
2K005CA04
2K005CA22
2K005CA44
2K005CA46
2K005CA53
5C122DA09
5C122EA41
5C122EA56
5C122FB03
5C122GE04
5C122GE05
5C122GE07
5C122GE11
5C122HA82
(57)【要約】
【課題】光学モジュールを備える可動体を固定体に対して複数方向に移動させる構成を簡単に形成する。
【解決手段】光学モジュール12を備える可動体14と、固定体16と、可動体14を固定体16に対して支持する支持機構100と、可動体14を固定体16に対して移動させる駆動機構18と、を備え、支持機構100は、可動体14に形成された円弧面141と、円弧面141と接触する位置に設けられた複数の球体101と、固定体16に設けられ、複数の球体101の各々に対応して設けられる球体101を支持する球体支持部106と、を有し、球体支持部106は、円弧面141と対向する位置に設けられる3つ以上の球状の支持体102で球体を回転可能に支持する構成である光学ユニット10。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学モジュールを備える可動体と、
固定体と、
前記可動体を前記固定体に対して複数方向に移動可能に支持する支持機構と、
前記支持機構で支持された前記可動体を前記固定体に対して移動させる駆動機構と、を備え、
前記支持機構は、
前記光学モジュールの光軸方向の一方側において前記可動体と前記固定体とが対向する対向領域において、前記可動体及び前記固定体の一方に形成された円弧面と、
前記対向領域において、前記円弧面と接触する位置に設けられた複数の球体と、
前記対向領域において、前記可動体及び前記固定体の他方に設けられ、複数の前記球体の各々に対応して設けられる前記球体を支持する球体支持部と、を有し、
前記球体支持部は、前記円弧面と対向する位置に設けられる3つ以上の球状の支持体で前記球体を回転可能に支持する構成であることを特徴とする光学ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の光学ユニットにおいて、
前記駆動機構は、前記対向領域に磁石を有するとともに前記磁石と対向する位置にコイルを有し、
前記磁石及び前記コイルは、前記円弧面の接線と平行に配置されていることを特徴とする光学ユニット。
【請求項3】
請求項2に記載の光学ユニットにおいて、
前記磁石と対向する位置の延長線上に磁性体を有することを特徴とする光学ユニット。
【請求項4】
請求項3に記載の光学ユニットにおいて、
前記光学モジュールの光軸方向における他方側を下向きに向けた場合でも、前記磁石と前記磁性体との磁力により、前記可動体は前記固定体に対して落下しない構成となっていることを特徴とする光学ユニット。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の光学ユニットにおいて、
前記固定体は、前記光学モジュールの光軸方向における他方側に、該他方側に向かう前記可動体の移動を規制する規制部を備えることを特徴とする光学ユニット。
【請求項6】
請求項5に記載の光学ユニットにおいて、
前記球体は、前記可動体が前記規制部による規制位置にある場合でも前記球体支持部から外れない構成であることを特徴とする光学ユニット。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の光学ユニットにおいて、
前記球体と前記円弧面との摩擦力は、前記球体と前記球体支持部との摩擦力よりも大きいことを特徴とする光学ユニット。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の光学ユニットにおいて、
前記駆動機構として、前記光軸方向を回転軸として前記可動体を前記固定体に対して移動させるローリング駆動機構と、前記光軸方向と交差する方向を回転軸として前記可動体を前記固定体に対して移動させるヨーイング駆動機構と、前記ローリング駆動機構の回転軸及び前記ヨーイング駆動機構の回転軸とともに交差する方向を回転軸として前記可動体を前記固定体に対して移動させるピッチング駆動機構と、を備え、
前記光学ユニットの配線基板を、前記ローリング駆動機構と前記ヨーイング駆動機構と前記ピッチング駆動機構との隙間のうち一番広い隙間に配置することを特徴とする光学ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、光学モジュールを備える可動体と、固定体と、可動体を固定体に対して複数方向に移動可能に支持する支持機構と、支持機構で支持された可動体を固定体に対して移動させる駆動機構と、を備える光学ユニットが使用されている。例えば、特許文献1には、レンズを備える移動体と、固定体と、移動体を固定体に対して複数方向に回転可能に支持する第1枠体と、第1枠体で支持された移動体を固定体に対して移動させるコイルと磁石とを有するレンズ駆動装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のレンズ駆動装置のような、従来から使用される可動体を固定体に対して複数方向に移動可能な光学ユニットにおいては、構成が複雑になりがちであった。特に、固定体に対して可動体が、ローリング軸、ヨーイング軸、ピッチング軸の3つの回転軸に対して回転可能な構成の光学ユニットにおいては、構成が複雑になりがちであった。そこで、本発明は、光学モジュールを備える可動体を固定体に対して複数方向に移動させる構成を簡単に形成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の光学ユニットは、光学モジュールを備える可動体と、固定体と、前記可動体を前記固定体に対して複数方向に移動可能に支持する支持機構と、前記支持機構で支持された前記可動体を前記固定体に対して移動させる駆動機構と、を備え、前記支持機構は、前記光学モジュールの光軸方向の一方側において前記可動体と前記固定体とが対向する対向領域において、前記可動体及び前記固定体の一方に形成された円弧面と、前記対向領域において、前記円弧面と接触する位置に設けられた複数の球体と、前記対向領域において、前記可動体及び前記固定体の他方に設けられ、複数の前記球体の各々に対応して設けられる前記球体を支持する球体支持部と、を有し、前記球体支持部は、前記円弧面と対向する位置に設けられる3つ以上の球状の支持体で前記球体を回転可能に支持する構成であることを特徴とする。
【0006】
本態様によれば、3つ以上の球状の支持体で球体を回転可能に支持する球体支持部で複数の球体を支持し、可動体及び固定体の一方に形成された円弧面に該球体を接触させるという、簡単な構成の支持機構とすることができる。したがって、光学モジュールを備える可動体を固定体に対して複数方向に移動させる構成を簡単に形成することができる。
【0007】
本発明の光学ユニットにおいては、前記駆動機構は、前記対向領域に磁石を有するとともに前記磁石と対向する位置にコイルを有し、前記磁石及び前記コイルは、前記円弧面の接線と平行に配置されている構成とすることができる。このような構成とすることで、固定体に対して可動体が移動することに伴って、一方に移動する場合よりも他方に移動する場合の方が磁石とコイルとの間隔が大きくなり駆動効率が低下するというようなことを抑制できる。また、光軸方向及び光軸方向と直交する方向の両方において磁石とコイルとが傾く構成となるので、光軸方向及び光軸方向と直交する方向の両方において装置が大型化するのを抑制することができる。
【0008】
本発明の光学ユニットにおいては、前記磁石と対向する位置の延長線上に磁性体を有する構成とすることができる。このような構成とすることで、磁石と磁性体とで磁気バネを形成することができ、固定体の位置に対する可動体の位置の原点復帰を容易にさせることができる。
【0009】
本発明の光学ユニットにおいては、前記光学モジュールの光軸方向における他方側を下向きに向けた場合でも、前記磁石と前記磁性体との磁力により、前記可動体は前記固定体に対して落下しない構成とすることができる。このような構成とすることで、光学モジュールの光軸方向における他方側を下向きに向けた場合に、可動体が固定体に対して落下して衝突し、可動体または固定体が損傷することを抑制することができる。
【0010】
本発明の光学ユニットにおいては、前記固定体は、前記光学モジュールの光軸方向における他方側に、該他方側に向かう前記可動体の移動を規制する規制部を備える構成とすることができる。このような構成とすることで、可動体が固定体から外れて落下するなどして、可動体が損傷することを効果的に抑制することができる。
【0011】
本発明の光学ユニットにおいては、前記球体は、前記可動体が前記規制部による規制位置にある場合でも前記球体支持部から外れない構成とすることができる。このような構成とすることで、可動体が規制位置に移動することで球体が球体支持部から外れ、該球体を紛失することを抑制できる。
【0012】
本発明の光学ユニットにおいては、前記球体と前記円弧面との摩擦力は、前記球体と前記球体支持部との摩擦力よりも大きい構成とすることができる。このような構成とすることで、駆動機構の負荷を効果的に低減できる。
【0013】
本発明の光学ユニットにおいては、前記駆動機構として、前記光軸方向を回転軸として前記可動体を前記固定体に対して移動させるローリング駆動機構と、前記光軸方向と交差する方向を回転軸として前記可動体を前記固定体に対して移動させるヨーイング駆動機構と、前記ローリング駆動機構の回転軸及び前記ヨーイング駆動機構の回転軸とともに交差する方向を回転軸として前記可動体を前記固定体に対して移動させるピッチング駆動機構と、を備え、前記光学ユニットの配線基板を、前記ローリング駆動機構と前記ヨーイング駆動機構と前記ピッチング駆動機構との隙間のうち一番広い隙間に配置する構成とすることができる。このような構成とすることで、ローリング軸、ヨーイング軸、ピッチング軸の3つの回転軸に対して回転可能な構成の光学ユニットとすることができるとともに、配線基板が可動体の固定体に対する移動を妨げる虞を低減できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の光学ユニットは、光学モジュールを備える可動体を固定体に対して複数方向に移動させる構成を簡単に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施例に係る光学ユニットの平面図である。
【
図2】本発明の一実施例に係る光学ユニットの斜視図である。
【
図3】本発明の一実施例に係る光学ユニットの分解斜視図である。
【
図4】
図3とは異なる方向から見た本発明の一実施例に係る光学ユニットの分解斜視図である。
【
図5】本発明の一実施例に係る光学ユニットにおいて固定体を取り外した状態を表す側面図である。
【
図6】本発明の一実施例に係る光学ユニットにおいて固定体を取り外した状態を表す背面図である。
【
図7】本発明の一実施例に係る光学ユニットにおける球体及び球体支持部を表す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。最初に、本発明の一実施例に係る光学ユニットについて
図1から
図7を用いて説明する。なお、
図2において、符号Lが付された一点鎖線は光軸を示している。そして、R方向は光軸周り方向である。また、各図において、Z軸方向は、光軸方向であり、ローリングの軸方向である。また、X軸方向は、光軸と交差する方向、言い換えるとヨーイングの軸方向である。また、Y軸方向は、光軸と交差する方向、言い換えるとピッチングの軸方向である。ここで、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向において、矢印の向く方向を+方向、その反対方向を-方向とする。
【0017】
<光学ユニットの全体構成の概略>
図1から
図4を用いて、本実施例に係る光学ユニット10の構成についての概略を説明する。
図1及び
図2などで表されるように、光学ユニット10は、光学モジュール12を備える可動体14と、X軸方向を回転軸とする方向(ヨーイング方向)、Y軸方向を回転軸とする方向(ピッチング方向)及びZ軸方向を回転軸とする方向(ローリング方向)に変位可能な状態で可動体14を保持する固定体16と、を備えている。また、固定体16に対して可動体14をヨーイング方向、ピッチング方向及びローリング方向に駆動する(回転させる)駆動機構18と、固定体16に対して可動体14をピッチング方向及びヨーイング方向に回転可能に支持する支持機構100とを備えている。
【0018】
<光学モジュールについて>
本実施例において、光学モジュール12は略矩形筐体状の撮像ユニット14Aに形成されており、例えばカメラ付携帯電話機やタブレット型PC等に搭載される薄型カメラ等として用いられる。光学モジュール12は、被写体側(+Z方向側)にレンズ12aを備え、矩形筐体状のハウジング12bの内部に撮像を行うための光学機器等が内蔵されている。本実施例における光学モジュール12は、一例として、光学モジュール12に生じたピッチングの振れ(Y軸方向を回転軸とする回動方向の振れ)、ヨーイングの振れ(X軸方向を回転軸とする回動方向の振れ)及びローリングの振れ(Z軸方向を回転軸とする回動方向の振れ)の補正を行うアクチュエーターを内蔵し、ピッチングの振れの補正、ヨーイングの振れの補正及びローリングの振れの補正が可能な構成となっている。
【0019】
<可動体について>
図3及び
図4で表されるように、可動体14は、光学モジュール12及び撮像素子50を有する撮像ユニット14Aと、磁石24Aが磁石取り付け部29Aに取り付けられ、磁石24Bが磁石取り付け部29Bに取り付けられ、磁石24Cが磁石取り付け部29Cに取り付けられるホルダ枠14Bと、を備えている。ホルダ枠14Bは、光学モジュール12のレンズ12aが設けられる前面(被写体側の面)と、反対側の後面の中央部分を除く、残りの4面を取り囲むように設けられる枠状の部材として構成されている。本実施例のホルダ枠14Bは、一例として光学モジュール12を着脱可能に構成されている。ホルダ枠14Bは、後面に円弧面141を有しており、円弧面141が後述する支持機構100の球体101により支持される。ここで、「円弧面」とは、球の表面の少なくとも一部に対応する面である。
【0020】
磁石24Aは平板状の鉄板であるヨーク26Aに接着されており、磁石24Bは平板状の鉄板であるヨーク26Bに接着されており、磁石24Cは平板状の鉄板であるヨーク26Cに接着されている。磁石24Aはヨーク26Aがホルダ枠14Bに固定されることでホルダ枠14Bに固定されており、磁石24Bはヨーク26Bがホルダ枠14Bに固定されることでホルダ枠14Bに固定されており、磁石24Cはヨーク26Cがホルダ枠14Bに固定されることでホルダ枠14Bに固定されている。
【0021】
<固定体について>
図3及び
図4で表されるように、固定体16は、コイル32Aがコイル取り付け部28Aに取り付けられ、コイル32Bがコイル取り付け部28Bに取り付けられ、コイル32Cがコイル取り付け部28Cに取り付けられる固定枠16Aと、レンズ12aを+Z方向に通すとともに+Z方向に可動体14が固定体16から抜け出さないように可動体14の移動を規制する規制部としての上面部16Bと、を備えている。固定枠16Aは、光軸周り方向(R方向)において可動体14のホルダ枠14Bの4面を取り囲むように設けられている。
【0022】
また、固定枠16Aの内面161には、支持機構100としての支持機構100Aを固定する支持機構固定部25A、支持機構100としての支持機構100Bを固定する支持機構固定部25B、支持機構100としての支持機構100Cを固定する支持機構固定部25C、が設けられている。本実施例において、コイル32A、コイル32B及びコイル32Cは一例として巻線コイルとして構成されているが、コイルをパターンとして基板配線内に取り込んだパターン基板(コイル基板)としてもよい。
【0023】
本実施例において可動体14が固定体16内に配置された状態において、磁石24Aとコイル32A、磁石24Bとコイル32B、磁石24Cとコイル32C、は対向状態となる。また、本実施例において、磁石24Aとコイル32Aとの対、磁石24Bとコイル32Bとの対、磁石24Cとコイル32Cとの対は、駆動機構18を構成している。磁石24Aとコイル32Aとの対からなる駆動機構18により、可動体14のピッチングの補正が行われる。また、磁石24Bとコイル32Bとの対からなる駆動機構18により、可動体14のヨーイングの補正が行われる。そして、磁石24Cとコイル32Cとの対からなる駆動機構18により、可動体14のローリングの補正が行われる。なお、本実施例の駆動機構18は、磁石24A、24B及び24Cが可動体14に形成され、コイル32A、32B及び32Cが固定体16に形成されるが、磁石24A、24B及び24Cが固定体16に形成され、コイル32A、32B及び32Cが可動体14に形成される構成としてもよい。
【0024】
また、ピッチング、ヨーイング及びローリングの補正は以下のように行われる。光学ユニット10にピッチング方向、ヨーイング方向及びローリング方向の少なくともいずれか一方向の振れが発生すると、磁気センサー(ホール素子)によって振れを検出し、その結果に基づいて駆動機構18を駆動させる。或いは、振れ検出センサ(ジャイロスコープ)などを用いて、光学ユニット10の振れを検出してもよい。振れの検出結果に基づいて、駆動機構18がその振れを補正するように作用する。即ち、光学ユニット10の振れを打ち消す方向に可動体14を動かすように各コイル32A、32B及び32Cに電流が流され、これにより振れが補正される。
【0025】
このように、本実施例の光学ユニット10においては、可動体14を固定体16に対して、ピッチングの軸方向、ヨーイングの軸方向及びローリングの軸方向を回転軸として、回転させる駆動機構18を備えている。ここで、駆動機構18は、可動体14に対してX軸方向のうちのフレキシブル配線基板51が配置されている側(+X方向側)以外の位置に配置されていることが好ましい。駆動機構18をフレキシブル配線基板51が形成されていない側に配置できるので、駆動機構18とフレキシブル配線基板51との接触を抑制するために光学ユニット10を大きくする必要が無くなり、光学ユニット10を小型化できるためである。なお、本明細書における「回転」とは、360°回転することを要せず、回転方向に揺動する場合を含む意味である。
【0026】
<撮像素子>
図3及び
図4に示すように、光学モジュール12は、被写体側とは反対側に撮像素子50を備えている。そして、撮像素子50には、フレキシブル配線基板51が接続されている。ここで、本実施例の撮像素子50のフレキシブル配線基板51との接続部は、+X方向側に形成されている。
【0027】
<フレキシブル配線基板について>
上記のように、本実施例の光学ユニット10においては、駆動機構18として、光軸方向を回転軸として可動体14を固定体16に対して移動させるローリング駆動機構としての磁石24Cとコイル32Cとの対、光軸方向と交差する方向を回転軸として可動体14を固定体16に対して移動させるピッチング駆動機構としての磁石24Aとコイル32Aとの対、ローリング駆動機構の回転軸及びピッチング駆動機構の回転軸とともに交差する方向を回転軸として可動体14を固定体16に対して移動させるヨーイング駆動機構としての磁石24Bとコイル32Bとの対、を備えている。ここで、本実施例の光学ユニット10においては、該光学ユニット10のフレキシブル配線基板51を、ローリング駆動機構とヨーイング駆動機構とピッチング駆動機構との隙間のうち一番広い隙間に配置する構成としている。このような構成としていることで、ローリング軸、ヨーイング軸、ピッチング軸の3つの回転軸に対して回転可能な構成の光学ユニット10としているとともに、フレキシブル配線基板51が可動体14の固定体16に対する移動を妨げる虞を低減している。
【0028】
<支持機構について>
次に、
図1から
図4に加えて
図5から
図7を参照して支持機構100の詳細について説明する。本実施例の光学ユニット10は、支持機構100A、支持機構100B及び支持機構100Cと,3つの支持機構100を有しており、これらはいずれも同様の構成である。
【0029】
図7で表されるように、支持機構100は、中央部に円形の大孔部105が設けられ、大孔部105の周りに大孔部105に隣接して略等間隔で3箇所に小孔部104が設けられた、金属製の円盤状の板金部材103を有している。板金部材103が、
図3及び
図4で表される支持機構固定部25A、支持機構固定部25B及び支持機構固定部25Cに固定されることで、支持機構100は固定体16の内面161に固定される。ただし、支持機構100が固定体16ではなく可動体14に固定される構成としてもよい。
【0030】
また、
図7で表されるように、支持機構100は、各々の小孔部104に1つずつ溶接される金属製で球体状の小球部102を有している。3つの小球部102はいずれも小孔部104に溶接されて固定されているので板金部材103に対して回転等することはないが、小球部102が板金部材103に対して回転する構成としてもよい。
【0031】
また、
図7で表されるように、支持機構100は、3つの小球部102に支持される金属製の球体101を備えている。すなわち、小球部102と板金部材103とで、球体101を支持する球体支持部106を形成している。球体101は小球部102と点接触することで支持されるので、低摩擦で3つの小球部102に対して回転することができる。そして、
図5及び
図6で表されるように、球体101は、ホルダ枠14Bにおける円弧面141に対して回転可能に接触することで、可動体14を固定体16に対して移動可能に支持する。なお、円弧面141も支持機構100の一部を構成するとみなすことができる。球体101は円弧面141に対して固定されていないので、球体101は可動体14が移動することに伴い回転する。ここで、本実施例においては、球体101と円弧面141との摩擦係数は球体101と3つの小球部102との摩擦係数よりも大きいが、逆であってもよい。なお、支持機構100は固定枠16Aの内面161に固定されるので、円弧面141と固定枠16Aの内面161とは対向する位置に配置され、円弧面141と内面161とで対向領域200を形成する。
【0032】
ここで、円弧面141の回転中心Cは、
図5で表されるように、可動体14の全体位置よりも+Z方向側の位置となる。このような構成とすることで、光学ユニット10をZ軸方向において薄く形成することができる。また、固定枠16Aの被写体側は開放されている。このため、可動体14や固定体16に設計公差がある場合や可動体14や固定体16が例えば熱膨張などした場合であっても、可動体14を固定体16に対して被写体側に逃がすことができ、可動体14が固定体16に対して移動できなくなる(ロックする)ことを抑制できる。
【0033】
なお、
図3から
図6で表されるように、本実施例の光学ユニット10は、コイル32Aの外側に磁性体27Aが配置され、コイル32Bの外側に磁性体27Bが配置され、コイル32Cの外側に磁性体27Cが配置されている。このため、磁石24Aと磁性体27Aの対、磁石24Bと磁性体27Bの対、磁石24Cと磁性体27Cの対が、各々磁気バネとして引き合って固定体16に対して可動体14が-Z方向に引き寄せられる。このため、光学ユニット10の姿勢を変えても円弧面141が球体101に支持される状態は維持される。
【0034】
しかしながら、光学ユニット10に強い衝撃を加えると、固定体16に対して可動体14が+Z方向に移動する虞がある。このため、固定体16に対して可動体14が+Z方向に抜け出さないように規制部としての上面部16Bが設けられている。可動体14が+Z方向に移動し、上面部16Bで規制された状態となったときの円弧面141の位置を
図5では破線の円弧面141bとして表している。なお、
図5の実線の円弧面141aは円弧面141が球体101に支持される状態の位置を表している。本実施例の光学ユニット10においては、上面部16Bの可動体14に対する配置(詳細にはZ軸方向における両者の間隔)と、球体101の直径と、小球部102の直径と、小球部102による球体101の支持位置と、を調整することで、円弧面141が
図5の円弧面141bの位置に至ったときでも球体101が小球部102による支持位置から抜け出さない構成となっている。
【0035】
ここで、一旦まとめると、本実施例の光学ユニット10は、光学モジュール12を備える可動体14と、固定体16と、可動体14を固定体16に対して複数方向に移動可能に支持する支持機構100と、支持機構100で支持された可動体14を固定体16に対して移動させる駆動機構18と、を備えている。そして、支持機構100は、光学モジュール12の光軸方向の一方側である-Z方向において可動体14と固定体16とが対向する対向領域200に配置される。また、支持機構100は、可動体14及び固定体16の一方である可動体14に形成された円弧面141と、対向領域200において、円弧面141と接触する位置に設けられた複数(3つ)の球体101(球体101A、101B及び101C)と、対向領域200において、可動体14及び固定体16の他方である固定体16に設けられ、複数の球体101の各々に対応して設けられる球体101を支持する小球部102などを備えた球体支持部106と、を有する。ここで、小球部102は、円弧面141と対向する位置に設けられる3つの球状の支持体であり、球体101を回転可能に支持する構成である。なお、小球部102は、4つ以上の球状の支持体とすることも可能である。
【0036】
支持機構100をこのような構成とすることで、3つ以上の球状の支持体で球体を回転可能に支持する球体支持部で複数の球体101を支持し、円弧面141に該球体101を接触させるという、簡単な構成の支持機構100とすることができる。したがって、支持機構100をこのような構成とすることで、光学モジュール12を備える可動体14を固定体16に対して複数方向に移動させる構成を簡単に形成することができる。なお、球体101を、球状の支持体である小球部102の代わりに、球状ではない突起部などの支持体で支持する構成とすることも可能である。しかしながら、球状の支持体で支持することで、該支持体の耐性を強くすることができ、滑らかに球体101を回転可能に支持できる。
【0037】
また、上記のように、本実施例の光学ユニット10においては、駆動機構18は、対向領域200に磁石24A、24B及び24Cを有するとともに磁石24A、24B及び24Cと対向する位置にコイル32A、32B及び32Cを有している。そして、
図5及び
図6で表されるように、磁石24A、24B及び24C、並びに、コイル32A、32B及び32Cは、いずれも、円弧面141の接線と平行に配置されている。このような構成とすることで、固定体16に対して可動体14が移動することに伴って、一方に移動する場合よりも他方に移動する場合の方が磁石24A、24B及び24Cとコイル32A、32B及び32Cとの間隔が大きくなり駆動効率が低下するというようなことを抑制できる。また、光軸方向(Z軸方向)及び光軸方向と直交する方向(X軸方向及びY軸方向)の両方において磁石24A、24B及び24Cとコイル32A、32B及び32Cとが傾く構成となるので、光軸方向及び光軸方向と直交する方向の両方において装置が大型化するのを抑制することができる。
【0038】
また、上記のように、本実施例の光学ユニット10においては、磁石24A、24B及び24Cと対向する位置の延長線上に磁性体27A、27B及び27Cを有する。このような構成とすることで、磁石24A、24B及び24Cと磁性体27A、27B及び27Cとで磁気バネを形成することができ、固定体16の位置に対する可動体14の位置の原点復帰を容易にさせることができる。
【0039】
また、上記のように、本実施例の光学ユニット10においては、光学モジュール12の光軸方向における他方側(+Z方向側)を下向きに向けた場合でも、磁石24A、24B及び24Cと磁性体27A、27B及び27Cとの磁力により、可動体14は固定体16に対して落下しない構成となっている。別の表現をすると、可動体14の自重に伴う重力よりも、磁石24A、24B及び24Cと磁性体27A、27B及び27Cとの磁力の方が、強い。このような構成としていることで、本実施例の光学ユニット10は、光学モジュール12の光軸方向における他方側を下向きに向けた場合に、可動体14が固定体16(上面部16B)に対して落下して衝突し、可動体14または固定体16が損傷することを抑制している。
【0040】
ただし、上記のように、強い衝撃などに備え、本実施例の光学ユニット10においては、固定体16は、光学モジュール12の光軸方向における他方側(+Z方向側)に、該他方側に向かう可動体14の移動を規制する規制部としての上面部16Bを備えている。このような構成としていることで、本実施例の光学ユニット10は、強い衝撃などを受けた場合においても、可動体14が固定体16から外れて落下するなどして、可動体14が損傷することを効果的に抑制している。
【0041】
また、上記のように、本実施例の光学ユニット10においては、球体101は、
図5の破線で表されるように可動体14が上面部16Bによる規制位置にある場合でも球体支持部106から外れない構成となっている。このような構成となっていることで、本実施例の光学ユニット10は、可動体14が規制位置に移動することで球体101が球体支持部106から外れ、該球体101を紛失することを抑制できる。
【0042】
また、上記のように、本実施例の光学ユニット10においては、球体101と円弧面141との摩擦力は、球体101と球体支持部106の小球部102との摩擦力よりも大きい。このような構成となっていることで、本実施例の光学ユニット10は、駆動機構の負荷を効果的に低減できる。
【0043】
本発明は、上述の実施例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。例えば、本実施例の光学ユニット10においては、円弧面141が被写体側とは反対方向に設けられる構成であったが、円弧面141が被写体側に設けられる構成としてもよい。また、例えば、本実施例とは逆に、円弧面141を固定体16に設け、可動体14の対向領域200に球体支持部106を設ける構成としてもよい。
【符号の説明】
【0044】
10…光学ユニット、12…光学モジュール、12a…レンズ、12b…ハウジング、14…可動体、14A…撮像ユニット、14B…ホルダ枠、16…固定体、16A…固定枠、16B……上面部、18…駆動機構、24A…磁石、24B…磁石、24C…磁石、25A…支持機構固定部、25B…支持機構固定部、25C…支持機構固定部、26A…ヨーク、26B…ヨーク、26C…ヨーク、27A…磁性体、27B…磁性体、27C…磁性体、28A…コイル取り付け部、28B…コイル取り付け部、28C…コイル取り付け部、29A…磁石取り付け部、29B…磁石取り付け部、29C…磁石取り付け部、32A…コイル、32B…コイル、32C…コイル、50…撮像素子、51…フレキシブル配線基板、100…支持機構、100A…支持機構、100B…支持機構、100C…支持機構、101…球体、102…小球部(支持体)、103…板金部材、104…小孔部、105…大孔部、106…球体支持部、141…円弧面、141a…円弧面、141b…円弧面、161…内面、200…対向領域、C…回転中心、L…光軸