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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165656
(43)【公開日】2022-11-01
(54)【発明の名称】消毒・乾燥装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/18 20060101AFI20221025BHJP
   A61L 2/10 20060101ALI20221025BHJP
   A61L 101/06 20060101ALN20221025BHJP
【FI】
A61L2/18
A61L2/10
A61L101:06
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021071084
(22)【出願日】2021-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】500085312
【氏名又は名称】日本アサヒ機工 株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067644
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 裕
(74)【代理人】
【識別番号】100125313
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 浩幸
(72)【発明者】
【氏名】菊島 雅幸
【テーマコード(参考)】
4C058
【Fターム(参考)】
4C058AA03
4C058BB06
4C058BB07
4C058JJ07
4C058JJ24
4C058JJ28
4C058KK02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】台車を用いて寝具等を円滑に空間内に搬入するとともに、台車上に載置したまま、効率的に消毒あるいは乾燥することができる消毒・乾燥装置を提供する。
【解決手段】消毒液を噴霧する消毒液噴霧手段2と、温風を送給する温風送給手段3と、を備えた空間4と、該空間に乗り入れ可能な、底面に温風が流れる方向に対して垂直方向に延びる導風板を設けた台車5と、を備えた消毒・乾燥装置1。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
消毒液を噴霧する消毒液噴霧手段と、温風を送給する温風送給手段と、を備えた空間と、該空間に乗り入れ可能な、底面に導風板を設けた台車と、を備え、該台車で空間内に搬入した対象物を台車上で消毒及び/又は乾燥することを特徴とする消毒・乾燥装置。
【請求項2】
温風が流れる方向に対して垂直方向に延びる導風板を設けた台車を備えることを特徴とする請求項1記載の消毒・乾燥装置。
【請求項3】
温風が流れる方向に沿って複数の導風板を設けた台車を備えることを特徴とする請求項2記載の消毒・乾燥装置。
【請求項4】
温風が流れる方向に沿って導風板の板面の面積が大きくなる台車を備えることを特徴とする請求項3記載の消毒・乾燥装置。
【請求項5】
消毒液を噴霧するノズルと消毒液を貯蔵する貯蔵タンクを繋ぐ経路内に消毒液を活性化するための活性化手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の消毒・乾燥装置。
【請求項6】
貯蔵タンクに貯蔵する消毒液は安定化二酸化塩素とし、活性化手段は経路内に組み込んだ紫外線透過部材と該紫外線透過部材に紫外線を照射する紫外線照射装置からなることを特徴とする請求項5記載の消毒・乾燥装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消毒液を噴霧し、あるいは温風を送給することによって寝具や衣類等を消毒あるいは乾燥するための消毒・乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、寝具や衣類等を消毒あるいは乾燥するための装置として、密閉した空間内に寝具等を搬入し、二酸化塩素の水溶液をミスト状にして空間内に噴霧して消毒したり、更に加熱空気を空間内に送給して乾燥を行う消毒・消臭装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
このような装置においては、消毒や乾燥の対象物である寝具等は、重量があり大型であることから、人手による運搬が困難であるため、通常、台車を用いて空間内に搬入することが多い。
【0004】
しかしながら、台車を用いて空間内に搬入することができたとしても、台車の上に載置したままの状態では、消毒液や温風が対象物の全面に十分に届かず、消毒あるいは乾燥を確実に行うことができない事態が生じる可能性がある。
【0005】
このため、台車を用いて寝具等を円滑に空間内に搬入するとともに、台車上に載置したまま、効率的に消毒あるいは乾燥することができる消毒・乾燥装置の開発が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002-306577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、台車を用いて寝具等を円滑に空間内に搬入するとともに、台車上に載置したまま、効率的に消毒あるいは乾燥することができる消毒・乾燥装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために本発明者が検討を行った結果、消毒液を噴霧する消毒液噴霧手段と、温風を送給する温風送給手段と、を備えた空間内に乗り入れ可能な台車の底面に所定の導風板を設けることにより、台車で搬入した対象物を台車上に載置したままの状態で効率的に消毒あるいは乾燥することができることを見出し本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち本発明は、消毒液を噴霧する消毒液噴霧手段と、温風を送給する温風送給手段と、を備えた空間と、該空間に乗り入れ可能な、底面に導風板を設けた台車と、を備え、該台車で空間内に搬入した対象物を台車上で消毒及び/又は乾燥することを特徴とする消毒・乾燥装置である。
【0010】
さらに本発明は、温風が流れる方向に対して垂直方向に延びる導風板を設けた台車を備えることを特徴とする消毒・乾燥装置である。
【0011】
さらに本発明は、温風が流れる方向に沿って複数の導風板を設けた台車を備えることを特徴とする消毒・乾燥装置である。
【0012】
さらに本発明は、温風が流れる方向に沿って導風板の板面の面積が大きくなる台車を備えることを特徴とする消毒・乾燥装置である。
【0013】
また本発明は、消毒液を噴霧するノズルと消毒液を貯蔵する貯蔵タンクを繋ぐ経路内に消毒液を活性化するための活性化手段を備えたことを特徴とする消毒・乾燥装置である。
【0014】
さらに本発明は、貯蔵タンクに貯蔵する消毒液は安定化二酸化塩素とし、活性化手段は経路内に組み込んだ紫外線透過部材と該紫外線透過部材に紫外線を照射する紫外線照射装置からなることを特徴とする消毒・乾燥装置である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の消毒・乾燥装置によれば、台車を用いて空間内に搬入した寝具等を台車上に載置したままの状態で消毒あるいは乾燥を効率的に行うことが可能となる。
【0016】
消毒液を活性化しながら使用するため、消毒の効果が高く、また、使い切れず残存した場合にも消毒液を安定に長期間保存することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】消毒・乾燥装置の斜視透視図
図2】消毒・乾燥装置の温風送給手段を示す一部透視図
図3】台車の斜視外観図
図4】台車の外観図((a)側面図、(b)正面図))
図5】導風板の取り付け箇所の断面図
図6】活性化手段を示す概念図
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の消毒・乾燥装置について、図を参照しながら以下に説明する。但し、本発明は、実施するための形態として例示したものに限定されるものではない。また、本発明における構成部材の連結あるいは取り付けは、直接的な連結等だけでなく、他の部材を介した間接的な連結等も含むもので、対象となる2つの部材の取り付け部位の相対的な位置関係を略一定に保持するものであれば、特に断りがない限り、全てがこれに含まれる。
【0019】
図1に示すように、消毒・乾燥装置1は、消毒液を噴霧する消毒液噴霧手段2と、温風を送給する温風送給手段3と、を備えた空間4と、当該空間に乗り入れ可能な台車5と、を備える。
【0020】
消毒・乾燥装置1は、空間4内に搬入した対象物に対し、消毒液による消毒や温風による乾燥を施すことができ、例えば、消毒液を噴霧した後に温風を送給する工程や、消毒液を噴霧した後、空気中の消毒液のミストを溶解するための水を噴霧して対象物に付着させ、その後、温風を送給する工程など、対象物に応じて様々な工程を実施することができる。
【0021】
マットレス、布団、ベッド、衣類等の対象物は、台車5を用いることにより、空間4に搬入することができる。図3は、マットレスを搬入することを目的とした台車の態様例を示しており、台車の上部には、十字状の補強部材で補強した5つの枠部材6を立設している。この台車では、隣り合う枠部材の間にマットレスを縦置きに配置することにより4枚のマットレスを運搬することができる。また、台車の底面7は、格子状の枠体により構成されている。格子状の枠体は、特に限定するものではないが、例えば、丸パイプや角パイプ等を組み合わせて形成することができる。
【0022】
マットレスを支える枠部材6と底面7は、マットレスとの接触面積が小さいため、空気の流れが損なわれることはなく、マットレスの全面に消毒液や温風を当射することができる。
【0023】
尚、枠部材6や底面7の形状や大きさは、台車に載せる対象物によって適宜最適なものに設計することが望ましい。
【0024】
図3及び図4に示すように、台車5の底面7には導風板8が設けられる。台車の底面は、横方向に延びる複数の角パイプと、縦方向に延びる複数の丸パイプを格子状に連結して形成されており(図3)、横長の板状体である導風板8は角パイプの下に長手方向に沿って取り付けられている(図4)。台車は、底面の角パイプが送風口を備えた空間の側壁面と平行になるように搬入されるため、導風板は温風が流れる方向に対して垂直になるように配列されることとなる(図1)。
【0025】
消毒・乾燥装置1における温風送給手段3は、例えば、図2に示すように、ダクト9を通して外部から供給される温風を送風ファン10により送風口3aから空間4に送り込む態様とすることができる。送風口3aは、温風による上昇気流を考慮し空間4内の比較的低い位置に設けられている。また、送風口3aの開口面は方形状とし、送風口の横幅は可能な限り空間4の壁面の横幅に近づけることが望ましい。
【0026】
送風口3aから送給される温風の一部は、空間4の床面と台車5の底面7との間を流れるが、台車の底面に導風板8を設けることにより、温風の風向きを上方向に変えることができる。これにより、送風口3aとは反対側のマットレスの側面にも温風を当射することが可能となる。
【0027】
導風板は、図4に示すように、温風が流れる方向に沿って複数設けることができる。これにより台車上の複数のマットレスのすべてに温風を確実に送給することが可能となる。図4に示す態様例では、複数の枠部材の下に導風板8a,8b,8cを配置し、隣り合うマットレスの間に効率的に温風を送り込むことを可能としている。
【0028】
また複数の導風板は、温風が流れる方向に沿って板面の面積が大きくなるように配置することができる。送風口から離れた風下では、風量が少なくなる傾向にあるが、導風板の板面の面積を大きくすることによって、上方向への風量を増やし、送風口からの遠近にかかわらず、台車上のすべてのマットレスに対してなるべく均等に温風を当射することを可能としている。図4に示す態様例では、温風が流れる風下の導風板ほど、横方向の幅と台車の底面から下方に伸び出す長さを大きくし、導風板の板面の面積を大きくしている。これにより、台車上の複数のマットレスのすべてに温風を確実に当射することができ、台車上に載置した状態のまま効率的に消毒及び/又は乾燥を行うことができる。
【0029】
図5は、台車の底面における導風板の取り付け部分の断面を示す。導風板を形成する横長の金属製の板状体は、長手方向に沿って上辺部がくの字状に屈曲しており、かかる屈曲した部分を台車の底面を構成する角パイプに溶接することにより、底面7から下方に伸び出す導風板を形成している。水平方向に対する導風板の取り付け角度θは、導風板の大きさや取り付け位置等に応じて適宜設計することができる。図5に示す態様例では、θ乃至θは、いずれも80度としているが、これに限定されるものではない。送風口から供給される温風を上方向に導くための角度θとしては、10~90度の範囲であることが好ましい。
【0030】
導風板8は、台車に載せる対象物の数、形状、大きさ等や送風口から送給される温風の量によって適宜最適なものに設計し適切な位置に配置することが望ましい。図4には、試験の結果から、送風口から1、3、及び4番目に位置する角パイプに導風板を取り付けた態様例を示している。
【0031】
消毒液としては、消毒効果が高く、引火による爆発の危険性が少ない二酸化塩素の水溶液を用いることが好適であるが、二酸化塩素は、熱や紫外線で分解しやすく、長期保存に適していない。このため、一般的には、安定性が高い安定化二酸化塩素水溶液を貯蔵しておき、使用する際に、これに紫外線を照射又は酸性物質を添加することにより活性化した二酸化塩素水溶液を用いる。
【0032】
本発明の消毒・乾燥装置においては、消毒・乾燥装置の空間に備える消毒液を噴霧するノズル2aと消毒液を貯蔵する貯蔵タンク2dを繋ぐ経路内に消毒液を活性化するための活性化手段11を設けている(図6)。
【0033】
安定化二酸化塩素水溶液は、ノズル2aの手前で二酸化塩素水溶液に活性化されノズルから噴霧されるため、マットレスの消毒作業が終了し、消毒液が使い切れず残存したとしても、貯蔵タンク内では安定化二酸化塩素水溶液が継続して保存されるため、消毒液の品質を長期間保持することが可能である。
【0034】
図6は、消毒液の活性化手段として紫外線照射を採用した態様例を示す。ノズル2aと貯蔵タンク2dを繋ぐ経路に紫外線透過部材11aを組み込み、当該紫外線透過部材付近に紫外線ランプ11bのような紫外線照射装置を配置する。消毒液貯蔵タンク2dからポンプ2cで吸い上げられた安定化二酸化塩素水溶液は、紫外線透過部材を通過する際に紫外線ランプから照射される紫外線により二酸化塩素水溶液に活性化される。尚、紫外線透過部材を形成する素材としては、例えば、ホウケイ酸ガラスや石英ガラス等を用いることができる。
【0035】
その他の活性化手段としては、経路の一部においてクエン酸や塩酸などの酸性物質を添加する手段等を挙げることができる。
【0036】
活性化された二酸化塩素水溶液は、エアコンプレッサ2dによる圧搾空気により、ノズル2aの先端から空間内にミスト状に噴霧される。
【符号の説明】
【0037】
1 消毒・乾燥装置
2 消毒液噴霧手段
2a ノズル
2b エアコンプレッサ
2c ポンプ
2d 消毒液貯蔵タンク
3 温風送給手段
3a 送風口
4 空間
5 台車
6 枠部材
7 底面
8 導風板
8a 導風板
8b 導風板
8c 導風板
9 ダクト
10 送風ファン
11 活性化手段
11a 紫外線透過部材
11b 紫外線ランプ
図1
図2
図3
図4
図5
図6