(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022016568
(43)【公開日】2022-01-21
(54)【発明の名称】翼回転垂直離着陸長距離航空機
(51)【国際特許分類】
B64C 27/28 20060101AFI20220114BHJP
B64D 27/24 20060101ALI20220114BHJP
B64D 9/00 20060101ALI20220114BHJP
B64C 25/06 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
B64C27/28
B64D27/24
B64D9/00
B64C25/06
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021189532
(22)【出願日】2021-11-22
(62)【分割の表示】P 2020032485の分割
【原出願日】2018-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000211569
【氏名又は名称】中松 義郎
(72)【発明者】
【氏名】中松 義郎
(57)【要約】
【課題】垂直離着陸ができ且つ高速に水平飛行できる新型ドローン等の航空機を提供する。
【解決手段】垂直上昇下降と水平飛行用プロペラを水平飛行用翼を設け、且つ、前記水平飛行用翼を縦に回転して上昇と下降、横に回転して水平飛行する事により高速に水平飛行ができ、且つ長距離物を搭載して飛ぶことが出来る航空機。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の水平飛行用主翼、と垂直尾翼を有し、上昇前進兼用プロペラ・モータを、前記複数の水平飛行用主翼に直接固定し、前記水平飛行用主翼は、上昇下降時はほぼ垂直に向くよう回転させて、上昇下降し、水平飛行時は迎え角で固定させ、水平飛行するように飛行する事を特徴とする飛行体。
【請求項2】
請求項1に於て、スキッドと荷物キャリーを兼用した降着装置兼荷物保持部を重心付近に設け、プロペラを設置した翼を回転し得る様にした事を特徴とする飛行体。
【請求項3】
請求項1に於て、プロペラとその駆動部を翼に設け、1個のモータ、1本のシャフト及び前記シャフトに設けたベベルギアで、前記翼を回転する事を特徴とする飛行体。
【請求項4】
請求項1に於いて、水平飛行用翼面をソーラー電池とした事を特徴とする飛行体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は垂直離着陸ができ且つ高速に水平飛行できる新型ドローン等航空機に関する。
【背景技術】
【0002】
通常の飛行機は、飛行機が離陸できるような速度になるまで滑走路を滑走する。また、逆に着陸する場合にも、着陸してから停止するまでの間滑走するので滑走路が必要となる。一般の距離は1.5kmから3km程度のものが必要である。そこで、VTOL(垂直離着陸機)が必要となる。
この種の飛行機としては、ヘリコプタ,オスプレイ,ドローンなどが知られている。ヘリコプタは、
図1に示す如く1個のプロペラをホバリング、上昇、下降、水平飛行のそれぞれに対して用いるものである。
図1において、1は機体、3はテイルロータ、32はプロペラ回転用モータである。
【0003】
ヘリコプタは水平速度が遅いので、水平速度が速いオスプレイ(
図2)が開発された。オスプレイは、1953年本発明者が発明したものであり、これをベルエアクラフト社のCEOロウレンス・ベル氏に教授し、ベルエアクラフト社が近年になりようやく実用化したものである。
主翼の両端にティルト制御が可能なプロペラを持ち、このプロペラのティルト角を制御することで、ホバリング機能や、水平飛行が可能となっている。上昇と直進動作を行うために、プロペラのティルト角を0度から90度まで変化させる。しかしロータを水平、垂直にする変換時に多くの事故が発生する。
図2において、1は機体、34はオスプレイ上昇・下降・前進用プロペラ、4は水平尾翼、5はオスプレイエンジン用回転軸、33はオスプレイプロペラ用エンジンであるが近年ようやくポピュラーになった。
図3は公知のドローンであり、これも1940年に本発明者が発明したものであるが、近年ようやくポピュラーになった。
図3において、6はドローンプロペラ、7はドローン上昇・下降用モータ、8はドローンプロペラガイド、9は受信装置・カメラ等である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述したように、滑走路が無い場所では飛行機は離着陸出来ない。通常の飛行機は垂直離着陸やホバリング機能は有していない欠点がある。このような問題を解決するために、垂直離着陸やホバリング機能を持つ飛行体が考えられた。ヘリコプタは、垂直離着陸とホバリング機能を有する飛行体であり、海難事故や山での遭難事故等で、人命救助に活躍しているが、しかし、水平飛行速度が遅く、また、航続距離も短く、積載荷物量も少ないので、ヘリコプタに代わる飛行体が求められている。
オスプレイ型の飛行機の場合、垂直離着陸時にプロペラの風が翼を叩き、空力的に非効率となっている。
また、
図3の如きドローンが公知であるが、ドローンは水平飛行速度が遅く長距離飛べないし、横風でひっくり返ったり全天候型でないので、アマゾン等が計画しているが荷物配送や、急速輸送としては向いていない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記した課題を解決する本発明は、垂直上昇下降用前進用プロペラと水平飛行用安定翼を設けて構成する。これは垂直上昇下降が出来ないオートジャイロとも異なる手段である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、水平速度が速く、遠距離を小エネルギで積載量も多くなり、全天候型であり、安全で安定な垂直離着陸やホバリング機能を持ち離陸上昇時にプロペラ風が翼を打つ翼力ロスが無くティルトロータも不要で制御構造が簡単になり、また事故もなくなり、製造容易でローコストの、通販の商品輸送をエネルギ高効率で高速で遠距離に確実に配送できる垂直離着陸型高速長距離安全飛行機を提供することができ、産業上時間節約と主深効果を生み出す画期的発明である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】公知のティルトロータ型(オスプレイ)の側面図
【
図4】本発明の第10実施例で翼を水平にした上面図
【
図7】本発明の第10実施例で翼を垂直にした上面図
【
図10】同上翼回転モータを1個にした駆動機構側面図
【
図11】ベベルギアを利用した本発明翼を回転する本発明概念図
【
図12】前プロペラの後続の影響を後プロペラが受けない本発明実施例の上昇下降時
【
図14】シングルティルトメインロータ式本発明実施例の側面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明はこのような課題に鑑みてなされた新発明航空機であり、上昇下降用プロペラと前進用プロペラと回転または回転しない水平飛行用翼を設け垂直離着陸やホバリングできることは勿論のこと、水平飛行速度が速く、エネルギロスが少なく長距離を飛べて全天候型で悪天候でも安定な飛行を行うことができる新垂直離着陸型飛行機(新VTOL)を提供することを目的としている。
本発明は従来のドローンとも、ヘリコプタとも、オスプレイとも、オートジャイロとも異なる発想である事に注目すべきである。
【0009】
図4、5、6、7、8、9は本発明の実施例第10である。
この実施例は別の実施例までと根本的に異なるものである。
具体的には別の実施例までは翼を固定し、且つ前進用プロペラを別個に設けたものであるが、第10実施例は翼を回転し、前進用プロペラを設けないものである。
別の実施例迄は上昇下降用のプロペラの後流が乱れないようにプロペラ後流部分に翼を配置していない。そして翼を固定している。また、前進用プロペラと上昇下降用プロペラと別に設けている。本第10実施例は別の実施例までと全く異なったコンセプトの実施例で本発明を更に効率化した実施例である。
具体的には構造を合理化するため、上昇下降用プロペラを翼に設け、翼によりプロペラの後流を乱さずプロペラ効率を上げるため翼をプロペラと直角に配置し、プロペラの軸方向が変わればそれに従って翼方向も回転するようにする事によりプロペラ後流が翼の面方向と同一になり、翼によりプロペラ後流が常に乱されないようにする。
また前進用プロペラを設けず、上昇下降用プロペラと兼用させるため、前記の如く翼を約90度回転させ、プロペラの方向を約90度回転させ、前進用プロペラとする。
これはオスプレイと同じではないかと誤解されるが、オスプレイと根本的に異なる発明である。オスプレイは翼を固定し、翼の先端に方向を回転するエンジンとプロペラを設け、プロペラ方向が回転しても翼は回転しないものであるのに対し、本発明は、エンジン付プロペラは翼に固定してあり、且つ翼は固定せずプロペラ方向か回転する翼と共に回転するものである。
この様にオスプレイと異なる。その上オスプレイの場合、プロペラの後流が翼に当たりプロペラ効率が低下するのに対し、本発明はプロペラと翼は常に直角でプロペラが傾くと同じ角度で翼が傾くのでプロペラ後流が翼に当たらないのでプロペラ後流が格段に向上する発明である。
又、オスプレイはエンジンとプロペラが翼端で回転するので、振動や強度など構造的にトラブルが発生するが、本発明はエンジンとプロペラが翼にしっかり固定しているので構造的にトラブルが発生しない。また、オスプレイは翼の先端に回転するエンジンとプロペラを設けているので、翼桁を丈夫にする必要があるので重量が増加し、空力性能が低下する。
これに対し本発明は、オスプレイ方式よりも翼桁は軽くなるので空力性能が向上する。オスプレイは翼端にエンジンとプロペラがあるので長いスパンによる共振が発生し、振動が大きく垂心持が悪く、遂には振動による墜落事故が発生している。
これに対し本発明はエンジンプロペラが翼の先端に無く、構造が強い中央部にあるので共振も起こらず安全で垂心地もよい。
【0010】
これを
図4以下で説明する。
図4は第10実施例の一例の平面図である。胴体53に翼57を回転するモータ55、翼58を回転するモータ56、モータ55、56を駆動するバッテリ54、垂直尾翼14、前主翼57、後主翼58を設け、前主翼57にはプロペラ用モータ7、プロペラ6を搭載し、後主翼58にはプロペラ6’駆動用モータ7‘、プロペラ6’を搭載する。
図5はこれを正面から見た図である。
図6はこれを側面から見た図である。
59は降着装置兼荷物保持部であり、本航空機のCG 68にカメラや荷物60が載る様になっており、荷物の種々の重量に関係なく、常に水平に飛行出来る様に工夫されている。
ここで重要な事は、プロペラ6の推力線に対し翼57が迎え角α 62を持つ様にプロペラ6用モータ7が前翼57に取り付けられている事である。
同様に後翼58も迎え角βがある様にプロペラ6’用モータ7’が取付けられている。
αとβは当然異なる角度である。
【0011】
図7は前主翼57と後主翼58及びこれらに搭載されているプロペラ6、同用モータ7、プロペラ6’、同用モータ7’をモータ55の回転軸67とモータ56の回転軸70により90度回転した上面図である。
図8はこれを正面から見た図である。
図9は
図7を側面から見た図である。
【0012】
この状態で本発明航空機はモータ7によりプロペラ6を回し、モータ7’によりプロペラ6’を回し垂直離陸上昇する。
この際のプロペラ6、6’の後流を翼57、58が遮え切る事がない様工夫されている。
次にモータ55と56を徐々に回転し、回転軸69と70を中心にプロペラ6と6‘、翼57と58を回転し、
図9の位置にする。
これにより翼57と58により機体を浮遊させプロペラ6と6’の推力で高速に水平飛行する。必要あらばカメラ60で撮影する。
目的地に到着するとモータ55と56を上記と逆回転して回転軸60、76を中心に翼57、58、プロペラ6、6’を徐々に上向きにし、垂直降下する。この際もプロペラ後流に翼が邪魔をしないのでプロペラ効率が上がる。
図10は
図4から9の2つモータ55、56を使わずに一つのモータ55のみで翼57、58を回転する本発明実施例で、これにより航空機の軽量化が出来る。
モータはステッピングモータが望ましい。
モータ55の回転力66はレバー61、ピポット62、連結桁63によりピポット64、レバー65を経て回転力67となり、軸70を回転する。
【0013】
図11は
図10と異なる本発明実施例でベベルギア68の非逆転性を利用して翼57、58を回転するものである。
図12、
図13は本発明の他の実施例で
図7、8、9の実施例では前プロペラ6の後流で、後プロペラ6’の効率が悪くなる。そこでこれを改善したのが本発明の他の実施例
図12、
図13である。この実施例では前プロペラ6の後流が後プロペラ6’の回転範囲外にしてあるので後プロペラ6’の効率も下がらない。
図12は上昇又は下降時で、
図13は水平飛行時である。
図14、
図15も本発明の他の実施例でシングルティルトメインロータ69、トルク是正テイルロータ70、固定主翼57、固定尾翼58からなる。
【0014】
本発明はドローンのみならず実機でも適用される。又、その場合、プロペラはエンジンで回転させる。又、プロペラでなく、ジェットエンジンやロケットを使用した場合でも本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0015】
本発明は、公知のドローンや公知のオスプレイ等ティルトロータ方式やヘリコプタ等、他の垂直離着陸機に比べ安全かつ水平速度が速い新型飛行機であり、現在のドローンでは通販等の長距離物品輸送やロジスティクスには速度が遅く長距離飛べず、エネルギを多く消費するので高速輸送に適さないが、本発明をドローンに適用した場合、物品を高速に輸送でき、長距離撮影が可能となり、また、本発明を人を載せる機体に適用した場合は、遠くの場所で急速な山岳救助、海難救助等に活躍するので、産業上大きな利用可能性がある。
また本発明の飛行機はヘリコプタに比較してピッチコントロール不要なので舵を簡単ローコストである上、水平速度が速く航続距離も長くまたオスプレイのティルトによる事故も皆無となるので安全であり、使用範囲が拡がる。また、その機体の大きさを大きくすれば、大勢の人を乗せることができ、また飛行場のない島にも就航することができ、島民の交通の不便さを補うことができ、防衛上、産業上の利用可能性が極めて大きい。
また本発明を成層圏付近に飛ばし、翼で受けた太陽エネルギをマイクロ波にして地上に送り、地上で電気エネルギとして使用すれば、無資源の我が国に貴重なエネルギを供給でき、また偵察衛星の代わりになる。防衛上、産業上の利用可能性が極めて大きい。
【符号の説明】
【0016】
1 機体
2 メインロータ
3 テイルロータ
4 水平尾翼
5 オスプレイエンジン用回転軸
6 ドローンプロペラ
6’ 同上(後部)
7 ドローン上昇下降モータ
7’ 同上(後部)
8 ドローンプロペラガード
9 受信装置、カメラ等
14 垂直尾翼
32 プロペラ回転用モータ
33 オスプレイプロペラ用エンジン
34 オスプレイ上昇・下降・前進用プロペラ
45 胴体桁
46 実機前進プロペラエンジン
47 実機前進プロペラ
48 実機上昇下降専用ロータ
49 実機水平飛行専用主翼
50 実機水平飛行専用水平尾翼
51 実機水平飛行専用垂直尾翼
52 実機上昇下降専用ロータ用エンジン
53 胴体
54 バッテリ、電子回路等
55 前翼回転モータ(ステッピングモータ)
56 後翼回転モータ(ステッピングモータ)
57 前翼
58 後翼
59 荷物搭載兼降着装置
60 荷物
61 モータ55の回転伝導レバー
62 同上ピボット
63 同上後翼回転連結桁
64 同上ピホット
65 同上レバー
66 前翼回転モータ回転方向
67 同上後翼
68 翼回転ベベルギア
69 ティルトメインロータ
70 トルク是正テイルロータ