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特開2022-165699枠部材の施工方法及び引き戸ユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165699
(43)【公開日】2022-11-01
(54)【発明の名称】枠部材の施工方法及び引き戸ユニット
(51)【国際特許分類】
   E06B 1/60 20060101AFI20221025BHJP
【FI】
E06B1/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021071158
(22)【出願日】2021-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100101890
【弁理士】
【氏名又は名称】押野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100098268
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 豊
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(74)【代理人】
【識別番号】100166420
【弁理士】
【氏名又は名称】福川 晋矢
(74)【代理人】
【識別番号】100150865
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 司
(72)【発明者】
【氏名】久保 貴博
【テーマコード(参考)】
2E011
【Fターム(参考)】
2E011JA02
2E011KC02
2E011KC04
2E011KD26
2E011KD28
(57)【要約】
【課題】比較的狭い作業スペースにおいても、引き戸を設けるための枠部材の設置の作業性に優れた施工方法及び引き戸ユニットの提供。
【解決手段】壁又は仕切りに形成された開口部Gを開閉する上吊り式の引き戸を設けるための枠部材を設置するための施工方法であって、引き戸の戸当たりを構成する竪枠であって、上部に上枠荷重受け部113を備える竪枠11を、開口部Gの側方部に設置するステップと、上枠12の一端側を上枠荷重受け部113によって支持させた状態とした上で、上枠12を開口部Gの上部に設置するステップと、を有することを特徴とする枠部材の施工方法。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁又は仕切りに形成された開口部を開閉する上吊り式の引き戸を設けるための枠部材を設置するための施工方法であって、
前記引き戸の戸当たりを構成する竪枠であって、上部に上枠荷重受け部を備える竪枠を、前記開口部の側方部に設置するステップと、
上枠の一端側を前記上枠荷重受け部によって支持させた状態とした上で、前記上枠を前記開口部の上部に設置するステップと、
を有することを特徴とする枠部材の施工方法。
【請求項2】
前記上枠を、前記上枠荷重受け部に対して締結させるステップを有することを特徴とする請求項1に記載の枠部材の施工方法。
【請求項3】
前記竪枠と係合する竪枠下地材を前記開口部の側方部に固定するステップと、前記竪枠下地材に前記竪枠を固定するステップと、を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の枠部材の施工方法。
【請求項4】
前記竪枠の下部と係合する床固定部材を、床面に対して固定するステップを有することを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の枠部材の施工方法。
【請求項5】
前記開口部の上部が開放されている場合に、
前記開放部分の両端にスライド係合部を取り付けるステップと、
前記スライド係合部と係合する被係合部を両端に備える欄間パネルを、前記スライド係合部に対してスライドさせながら所定位置に配し、固定するステップと、
前記欄間パネルに前記上枠を設置するステップと、
を有することを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の枠部材の施工方法。
【請求項6】
前記上枠が設置される範囲内において、前記スライド係合部と前記被係合部の両者に貫通させた締結体を設けるステップを有することを特徴とする請求項5に記載の枠部材の施工方法。
【請求項7】
前記開口部の上部であって、前記上枠が設置される範囲内において、壁面から一部が突出した締結体を設けるステップと、
前記上枠がハンガー部を備え、前記締結体の一部に対して前記ハンガー部を引っかけた状態とした上で、前記上枠を前記開口部の上部に設置するステップと、
を有することを特徴とする請求項1から6の何れかに記載の枠部材の施工方法。
【請求項8】
壁又は仕切りに形成された開口部を開閉するための上吊り式の引き戸ユニットであって、
引き戸と、
前記引き戸を上吊り式でスライドさせるガイド部材と、
前記ガイド部材を前記開口部の上部に設置させるための上枠と、
前記引き戸の戸当たりを構成する竪枠であって、前記上枠を前記開口部の上部に対して設置する際に前記上枠の一端側を支持する上枠荷重受け部を上部に備える竪枠と、
を備えることを特徴とする引き戸ユニット。
【請求項9】
前記開口部の側方部に固定され、前記竪枠と係合する竪枠下地材を備えることを特徴とする請求項8に記載の引き戸ユニット。
【請求項10】
床面に対して固定され、前記竪枠の下部と係合する床固定部材を備えることを特徴とする請求項8又は9に記載の引き戸ユニット。
【請求項11】
前記開口部の上部の両端に取り付けられるスライド係合部と、
前記スライド係合部と係合する被係合部を両端に備える欄間パネルと、
を備えることを特徴とする請求項8から10の何れかに記載の引き戸ユニット。
【請求項12】
前記上枠が、前記開口部の上部に設けられた締結体の壁面からの突出部分に対して引っかかるハンガー部を備えることを特徴とする請求項8から11の何れかに記載の引き戸ユニット。
【請求項13】
前記上枠荷重受け部によって前記上枠を支持する構造において、前記竪枠を開口壁面から離れる方向へスライドさせて取り外すことができるように、前記支持をさせるための部材を通過させるスリットが、前記上枠又は前記竪枠に形成されていることを特徴とする請求項8から12の何れかに記載の引き戸ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁又は仕切りに形成された開口部を開閉する上吊り式の引き戸を設けるための枠部材を設置するための施工方法、及び、引き戸ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
部屋等の“所定の空間”を隔てるために、壁や仕切り等を設ける一方で、“所定の空間”へのアクセスを可能とするために、壁や仕切り等に開口部が形成される。また、このような開口部には、開口部を開閉する開閉体が設けられることも行われている。
このような開閉体の一つとして、上吊り式の引き戸があり、特許文献1には、引き戸用の四方枠(予め組み上げた四方枠)を取り付ける作業の作業性を向上することに関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6228493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えばトイレブースに引き戸を設けるような場合、通常はトイレブースの内側に引き戸の設置が行われる。外側に設置すると、外側に引き戸の機構部分が存在することになり、外部から引き戸の機構部分へのアクセスがしやすくなり、防犯上の観点等で好ましくないためである(これへの対策を別途講じるとなるとコスト高になる)。
トイレブースのように狭い空間内の内側に、引き戸の設置を行おうとした場合、作業スペースも限定的となる。
特許文献1に開示されている技術は、予め四方枠を組み立てた上で、これを取り付けるようにしているものであるが、このように予め組み立てた枠を設置することは、作業スペースが限定的である環境では難しい若しくは不可能である場合があった。また、予め組み立てた枠を設置する作業は、一人で作業をすることを考えた場合、必ずしも作業性に優れているといえるものでは無かった。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑み、比較的狭い作業スペースにおいても、引き戸を設けるための枠部材の設置の作業性に優れた施工方法及び引き戸ユニット、又は、一人での設置作業においても、枠部材の設置の作業性に優れた施工方法及び引き戸ユニット、を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(構成1)
壁又は仕切りに形成された開口部を開閉する上吊り式の引き戸を設けるための枠部材を設置するための施工方法であって、前記引き戸の戸当たりを構成する竪枠であって、上部に上枠荷重受け部を備える竪枠を、前記開口部の側方部に設置するステップと、上枠の一端側を前記上枠荷重受け部によって支持させた状態とした上で、前記上枠を前記開口部の上部に設置するステップと、を有することを特徴とする枠部材の施工方法。
【0007】
(構成2)
前記上枠を、前記上枠荷重受け部に対して締結させるステップを有することを特徴とする構成1に記載の枠部材の施工方法。
【0008】
(構成3)
前記竪枠と係合する竪枠下地材を前記開口部の側方部に固定するステップと、前記竪枠下地材に前記竪枠を固定するステップと、を有することを特徴とする構成1又は2に記載の枠部材の施工方法。
【0009】
(構成4)
前記竪枠の下部と係合する床固定部材を、床面に対して固定するステップを有することを特徴とする構成1から3の何れかに記載の枠部材の施工方法。
【0010】
(構成5)
前記開口部の上部が開放されている場合に、前記開放部分の両端にスライド係合部を取り付けるステップと、前記スライド係合部と係合する被係合部を両端に備える欄間パネルを、前記スライド係合部に対してスライドさせながら所定位置に配し、固定するステップと、前記欄間パネルに前記上枠を設置するステップと、を有することを特徴とする構成1から4の何れかに記載の枠部材の施工方法。
【0011】
(構成6)
前記上枠が設置される範囲内において、前記スライド係合部と前記被係合部の両者に貫通させた締結体を設けるステップを有することを特徴とする構成5に記載の枠部材の施工方法。
【0012】
(構成7)
前記開口部の上部であって、前記上枠が設置される範囲内において、壁面から一部が突出した締結体を設けるステップと、前記上枠がハンガー部を備え、前記締結体の一部に対して前記ハンガー部を引っかけた状態とした上で、前記上枠を前記開口部の上部に設置するステップと、を有することを特徴とする構成1から6の何れかに記載の枠部材の施工方法。
【0013】
(構成8)
壁又は仕切りに形成された開口部を開閉するための上吊り式の引き戸ユニットであって、引き戸と、前記引き戸を上吊り式でスライドさせるガイド部材と、前記ガイド部材を前記開口部の上部に設置させるための上枠と、前記引き戸の戸当たりを構成する竪枠であって、前記上枠を前記開口部の上部に対して設置する際に前記上枠の一端側を支持する上枠荷重受け部を上部に備える竪枠と、を備えることを特徴とする引き戸ユニット。
【0014】
(構成9)
前記開口部の側方部に固定され、前記竪枠と係合する竪枠下地材を備えることを特徴とする構成8に記載の引き戸ユニット。
【0015】
(構成10)
床面に対して固定され、前記竪枠の下部と係合する床固定部材を備えることを特徴とする構成8又は9に記載の引き戸ユニット。
【0016】
(構成11)
前記開口部の上部の両端に取り付けられるスライド係合部と、前記スライド係合部と係合する被係合部を両端に備える欄間パネルと、を備えることを特徴とする構成8から10の何れかに記載の引き戸ユニット。
【0017】
(構成12)
前記上枠が、前記開口部の上部に設けられた締結体の壁面からの突出部分に対して引っかかるハンガー部を備えることを特徴とする構成8から11の何れかに記載の引き戸ユニット。
【0018】
(構成13)
前記上枠荷重受け部によって前記上枠を支持する構造において、前記竪枠を開口壁面から離れる方向へスライドさせて取り外すことができるように、前記支持をさせるための部材を通過させるスリットが、前記上枠又は前記竪枠に形成されていることを特徴とする構成8から12の何れかに記載の引き戸ユニット。
【0019】
(構成14)
壁又は仕切りに形成された開口部を開閉する上吊り式の引き戸を設けるための上枠を設置するための施工方法であって、
前記開口部の上部の開放部分の両端にスライド係合部を取り付けるステップと、前記スライド係合部と係合する被係合部を両端に備える欄間パネルを、前記スライド係合部に対してスライドさせながら所定位置に配し、固定するステップと、前記欄間パネルに前記上枠を設置するステップと、を有することを特徴とする枠部材の施工方法。
【0020】
(構成15)
前記上枠が設置される範囲内において、前記スライド係合部と前記被係合部の両者に貫通させた締結体を設けるステップを有することを特徴とする構成14に記載の枠部材の施工方法。
【0021】
(構成16)
壁又は仕切りに形成された開口部を開閉する上吊り式の引き戸を設けるための上枠を設置するための施工方法であって、
前記開口部の上部であって、前記上枠が設置される範囲内において、壁面から一部が突出した締結体を設けるステップと、前記上枠がハンガー部を備え、前記締結体の一部に対して前記ハンガー部を引っかけた状態とした上で、前記上枠を前記開口部の上部に設置するステップと、を有することを特徴とする枠部材の施工方法。
【0022】
(構成17)
壁又は仕切りに形成された開口部を開閉するための上吊り式の引き戸ユニットであって、
引き戸と、
前記引き戸を上吊り式でスライドさせるガイド部材と、
前記ガイド部材を前記開口部の上部に設置させるための上枠と、
前記開口部の上部の両端に取り付けられるスライド係合部と、
前記スライド係合部と係合する被係合部を両端に備える欄間パネルと、を備えることを特徴とする引き戸ユニット。
【0023】
(構成18)
壁又は仕切りに形成された開口部を開閉するための上吊り式の引き戸ユニットであって、
引き戸と、
前記引き戸を上吊り式でスライドさせるガイド部材と、
前記ガイド部材を前記開口部の上部に設置させるための上枠と、を備え、
前記上枠が、前記開口部の上部に設けられた締結体の壁面からの突出部分に対して引っかかるハンガー部を備えることを特徴とする引き戸ユニット。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、比較的狭い作業スペースにおいても、引き戸を設けるための枠部材の設置の作業性に優れた施工方法及び引き戸ユニット、又は、一人での設置作業においても、枠部材の設置の作業性に優れた施工方法及び引き戸ユニットを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明に係る実施形態の引き戸ユニットの設置状態を示す正面図
図2】実施形態の引き戸ユニットの設置状態を示す横断面図
図3】実施形態の引き戸ユニットの設置状態を示す縦断面図
図4】実施形態の引き戸ユニットの枠部材の施工方法を説明する説明図
図5】実施形態の引き戸ユニットの枠部材の施工方法を説明する説明図
図6】実施形態の引き戸ユニットの枠部材の施工方法を説明する説明図
図7】実施形態の引き戸ユニットの枠部材の施工方法を説明する説明図
図8】実施形態の引き戸ユニットの枠部材の施工方法を説明する説明図
図9】実施形態の引き戸ユニットの枠部材の施工方法を説明する説明図
図10】実施形態の引き戸ユニットの枠部材の施工方法を説明する説明図
図11】実施形態の引き戸ユニットの枠部材の施工方法を説明する説明図
図12】枠部材の施工方法の別の例を説明する説明図
図13】欄間パネルの施工方法を説明する説明図
図14】欄間パネルの施工方法を説明する説明図
図15】欄間パネルの施工方法を説明する説明図
図16】欄間パネルの施工方法を説明する説明図
図17】引き戸ユニットの枠部材の別の例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化する際の一形態であって、本発明をその範囲内に限定するものではない。
【0027】
図1~3は、本発明に係る実施形態の引き戸ユニットの設置状態を示す図であり、それぞれ、図1は正面図、図2は横断面図、図3は縦断面図である。
本実施形態では、引き戸ユニット1の設置場所として、トイレブースを例としている。トイレブースは、パネル体2で仕切られることで形成され、出入り口となる開口部を有しており、この開口部を開閉する上吊り式の引き戸として設けられるのが、引き戸ユニット1である。引き戸ユニット1はトイレブースの室内側に設置される。なお、図2では、トイレブースの2面がパネル体で仕切られたものを例としている(他の2面は建物の躯体(特に図示せず)などで構成される)。
図1~3に示されるように、引き戸ユニット1は、
引き戸14と、
引き戸14を上吊り式でスライドさせるガイドレール(ガイド部材)13と、
ガイドレール(ガイド部材)13を開口部Gの上部に設置させるための無目(上枠)12と、
引き戸14の戸当たりを構成する竪枠であって、無目(上枠)12を開口部Gの上部に対して設置する際に無目(上枠)12の一端側を支持する上枠荷重受け部113(図8参照)を上部に備える竪枠11と、を備える。
【0028】
竪枠11と無目12は、上吊り式の引き戸を設けるための枠部材である。本発明は、主に、枠部材やこれを設置するための施工方法に関する。
【0029】
竪枠11は、開口部Gの側方の壁面(側方パネル2S2)に対して、Cチャンネル111を介して設置され、引き戸14の戸先側の戸当たりを構成する。
図6(b)、図7(b)にその断面図が示されるように、竪枠11は、基本態様が中空状の部材であり、壁面側の側面115の両端の両側面が壁面側へ延出していることにより、壁面側に開口する凹部114を有している。凹部114は、Cチャンネル111を受け入れて係合する部分であり、内面側にCチャンネル111と当接する突起1141が形成されている。これにより、凹部114内へのCチャンネル111の挿入の作業性に優れ、且つ、Cチャンネル111に対してガタつくこと無く竪枠11を係合させることができる。また、竪枠11の中空部の内面側には、上面部材を取り付けるためのタッピングネジを受け入れるネジ溝116が形成されている。ネジ溝116は竪枠11の長手方向(上下方向)に沿って形成され、床固定部材であるCチャンネル112と当接する突起としての機能も有しており、これにより、Cチャンネル112に対してガタつくこと無く竪枠11が係合する。ここでは、ネジ溝にCチャンネル112と当接する機能も併せ持つように構成しているが、Cチャンネル112と当接する部材をネジ溝と別に形成するものであっても勿論よい。また、凹部114内でCチャンネル111と当接する突起1141を、ネジ溝によって構成するものであってもよい。
竪枠11の上部には、無目12の組付け作業時に無目12の一端側を支持するための、L字状の部材(アングル材)である上枠荷重受け部113(図8参照)が取り付けられている。
また、竪枠11は、戸先側の戸当たりとしての構成として、引き戸141の戸先が接触する箇所に形成される凹部や、引き戸141に備えられる鍵と係合する鍵係合穴118を備えている。
【0030】
無目12は、図3に示されるように、開口部Gの上方の壁面(上方パネル2T)に対して設置され、引き戸14をスライド可能に吊持するガイドレール13や、自動閉鎖装置(引き戸14が自動的にゆっくりと閉まるようにする機械的機構部)15等が取り付けられて、これらを支持するための部材である。また、無目12には、ガイドレール13等の機構部分を覆うためのカバー16も取り付けられる。
図12にその縦断面図が示されるように、無目12は、基本態様が中空状の部材であり、その下面側にガイドレール13等が取り付けられる梁部121と、壁面(上方パネル2T)に対する取り付け面となる取付板122と、を備える。無目12には、ガイドレール13等の取り付けられる部材の位置決めとなる突起や、タッピングネジのネジ溝、ネジ穴、補強のための中空内に設けられる仕切り板などが形成されている。
【0031】
枠部材によって支持される引き戸の機構(ガイドレール13、引き戸14、自動閉鎖装置15や、これらに付随する部材など)は任意のものを利用することができるため、ここでの詳しい説明を省略する。
本実施形態では、引き戸141と142を備える2重引きタイプの引き戸で、自動閉鎖装置を備えるものを例としているが、本発明をこれに限るものではなく、任意の引き戸を利用することができる。
【0032】
図4~11は、引き戸ユニット1の枠部材(竪枠11と無目12)を設置する施工方法を説明する説明図である。なお、図1~3とは、配置関係が左右反転しているが、これによって概念上の相違がもたらされるものでは無い。
【0033】
先ず、竪枠11を開口部Gの側方の壁面(側方パネル2S2)に設置する作業が行われる。
本実施形態では、竪枠11を壁面(側方パネル2S2)に設置するために、Cチャンネル(竪枠下地材)111が使用される。また、竪枠11の振れ(壁面に対する取り付け部分を中心とした振れ)を防止するため床固定部材としてのCチャンネル112が使用される。
【0034】
図4は、竪枠下地材であるCチャンネル111の取り付けに関する説明図であり、図4(a)はトイレブースの室内側からみた斜視図、図4(b)は横断面図である。
図4に示されるように、Cチャンネル111は、開口部Gの側方部となる側方パネル2S2に対して、複数のネジでネジ止めされることで固定される。
図5は、床固定部材であるCチャンネル112の取り付けに関する説明図であり、図5(a)はトイレブースの室内側からみた斜視図、図5(b)は図5(a)の下端部分の拡大図、図5(c)は横断面図である。
図5に示されるように、Cチャンネル112は、側方パネル2S2の壁面と直交するような方向とされて、一端がCチャンネル111に係合するように配置され、床面にネジ止めされることで固定される。
【0035】
図6図7は、竪枠11の取り付けに関する説明図であり、図6(a)、図7(a)はトイレブースの室内側からみた斜視図、図6(b)、図7(b)は横断面図である。
図6、7に示されるように、竪枠11を壁面(側方パネル2S2)へ向かってスライドさせるようにして、竪枠11を、Cチャンネル111及びCチャンネル112に係合させる。各部材が前述したような構成を備えていることにより、当該作業の作業性に優れると共に、ガタつくことなく竪枠11とCチャンネル111及びCチャンネル112を係合させることができる。なお、竪枠11の下端部では、竪枠11の側面115が切り欠かれており、竪枠11をスライドさせて係合させる際に、側面115が、竪枠11の下部におけるCチャンネル(床固定部材)112との係合の障害になることはない。
竪枠11をCチャンネル111及びCチャンネル112にスライドさせて係合させた後に、図7に示されるように、複数のネジで竪枠11とCチャンネル111をネジ止めすることによって、Cチャンネル(竪枠下地材)111に竪枠11が固定される。なお、竪枠11とCチャンネル(床固定部材)112も、ネジ止め等によって固定するものであってもよい。
【0036】
図8~11は、無目12の取り付けに関する説明図であり、それぞれ、図8はトイレブースの室内側からみた斜視図、図9(a)は竪枠11と無目12の接合部分を拡大した正面図、図9(b)は同部分の縦断面図、図10はトイレブースの室内側からみた斜視図、図11(a)は竪枠11と無目12の接合部分を拡大した斜視図、図11(b)は竪枠11と無目12の接合部分を拡大した正面図、図11(c)は同部分の縦断面図である。
前述のごとく、竪枠11の上部には上枠荷重受け部113が設けられており、この上枠荷重受け部113を、中空の部材である無目12の梁部121の内部に挿通させるようにする(図8、9参照)。これにより、上枠荷重受け部113によって、無目12の一端側を支持させることができるため、無目12の取り付けの作業性に優れる。また、予め設計に基づいて所定の高さに上枠荷重受け部113が取り付けられているため、正確な高さに無目12を配置することができる。
無目(上枠)12の一端側を上枠荷重受け部113によって支持させた状態とした上で、無目(上枠)12を開口部Gの上部に設置する。より具体的には、枠荷重受け部113に無目12の一端側を引っかけた状態で、無目12のもう一か所を手で支持し、無目12のレベル出しをしながら、壁面(上方パネル2T)に対して無目12の取付板122を複数のネジSCでネジ止めする(図10)。作業者が一人でも、比較的容易に作業をすることができる。
なお、取付板122の裏面側には壁面(パネル体)の小さな凹凸や段差等(例えば各パネル体の端部部分で生じる段差等)の影響を吸収するための緩衝材シート(本実施形態では塩ビシート)が予め貼付されており、取付板122と壁面との間に塩ビシートが配される。
図11に示されるように、無目(上枠)12を、上枠荷重受け部113に対してネジSCで締結することで、竪枠11と無目12の設置が終了する。上枠荷重受け部113と無目12のネジ止めの際に、無目12の側面と竪枠11の側面の間に隙間がないように合わせて接合することで、竪枠11が壁面に対してより直角に近くなるように設置することができる。
【0037】
以上のごとく、本実施形態の引き戸ユニット1及びその施工方法によれば、上枠荷重受け部113によって、無目12の一端側を支持させることができるため、無目12の取り付けの作業性に優れる。無目12は開口部Gの大きさ等に応じて長い部材となり得、これを水平にレベル出ししながら所定の高さ(比較的高い位置)に設置する作業は、煩雑な作業になりがちであるが、本実施形態によれば、この作業性に優れ、一人でも容易に作業可能となる。これにより、トイレブース等の比較的狭い作業スペースにおいても、引き戸を設けるための枠部材の設置の作業性に優れ、一人でも容易に作業可能である。
また、予め設計に基づいて所定の高さに上枠荷重受け部113が取り付けられているため、正確な高さに無目12を配置することもできる。なお、「予め上枠荷重受け部113が竪枠11に取り付けられている」とは、工場出荷時に竪枠11に上枠荷重受け部113が取り付けられているものの他、例えば、施工現場において、竪枠11に上枠荷重受け部113を取り付けるもの(少なくとも無目12の取り付け作業前に取り付けるもの)も含む。
【0038】
無目の取り付け時に、無目の保持を簡単にするための別の構成として、壁面に設けたネジ等の締結体に無目を引っかけるようにしてもよい。
より具体的には、開口部の上部であって、無目(上枠)が設置される範囲内において、壁面から一部が突出した締結体を設ける(例えばネジ頭を壁面から突出させた状態にネジを打ち込む)ステップと、
無目(上枠)がハンガー部を備え、前記締結体の一部に対してハンガー部を引っかけた状態とした上で、前記上枠を前記開口部の上部に設置するステップと、を備える施工方法としてもよい。
図12は、当該施工方法に関する図であり、開口部Gの上方の壁面(上方パネル2T)に無目12を設置する状態を示す縦断面図である。
無目12の梁部121の壁面と対向する面には、ハンガー部123が凹部として形成されている。
壁面(上方パネル2T)の、ハンガー部123と対向する位置に、ネジSCを1つ又は複数打ち込み、このネジSCが壁面から突出している箇所にハンガー部123を引っかけることで無目12を支持させ、この状態で壁面に対して無目12の取付板122をネジ止めする。
これによれば、竪枠を設けない場合においても、無目の設置の作業性を向上することができる。なお、竪枠を設ける場合(上枠荷重受け部を使用する場合)に併せて用いてもよいことは勿論である。
なお、ここではハンガー部123が凹部であるものを例としたが、本発明をこれに限るものではなく、壁面から突出している締結体の一部に対して引っかけることができる任意の構成とすることができる。例えば、無目12に締結体の一部を挿通させることができる大きさの穴を形成することでハンガー部としてもよい。また、締結部としてネジを例としたが、本発明をこれに限るものではない(例えば釘を用いる等してもよい)。
【0039】
トイレブース等のように、パネル体によって仕切りがされている場合、開口部の上部にパネル体が無い(開放されている)場合もある。上部パネルや笠木等が無いと、無目を取り付けることができない。そこで、開口部の上部が開放されている場合に、無目を取り付けることができるように、開口部の上部にパネル体(欄間パネル)を設ける方法について説明する。
【0040】
図13~16は、欄間パネルの取り付けに関する説明図であり、図13図14はトイレブースの開口部の上部の開放部O部分の横断面図、図15は同箇所における欄間パネルが取り付けらえた状態の横断面図、図16は正面図である。
この方法では、開口部の上部の開放部Oの両端に取り付けられるスライド係合部171と、スライド係合部171と係合する被係合部1721を両端に備える欄間パネル172が用いられる。
スライド係合部171は角パイプ状の部材であり、パネル体(側方パネル2S1、
2S2)の厚さの半分ほどの厚さを有している。
欄間パネル172は、基本的には側方パネル2S1、2S2と同様のパネル体であり、その両端面には、スライド係合部171を受け入れる凹部である被係合部1721が形成されている。
図13に示されるように、開口部の上部にパネル体が無く、開放部Oとなっている場合、開放部Oの両端(即ち、側方パネル2S1と側方パネル2S2の端面)にスライド係合部171を取り付ける(図14)。
次に、スライド係合部171と被係合部1721の一方若しくは両方に接着剤を塗布した上で、欄間パネル172を下から上へスライドさせるようにして、スライド係合部171に被係合部1721を係合させる。欄間パネル172を所定位置に配したら、無目(上枠)12が設置される範囲内において、スライド係合部171と被係合部1721の両者に貫通させてネジ止めをする(図15、16のネジSC)。なお、スライド係合部171と被係合部1721を締結させる締結体は、ネジに限らない(釘などであってよい)。また、締結体は接着剤が硬化するまで欄間パネル172を保持するためのものであり、必須のものではない。
これにより、開口部の上部に欄間パネル172が固定され、欄間パネル172に対して、無目(上枠)を設置することができる。
上記方法によれば、欄間パネルを設置するための部材が意匠面に表れないようにすることが可能であるため、意匠性に優れる。
なお、スライド係合部171と被係合部1721の両者に貫通させる締結体を、図12で説明したハンガー部123を引っかけさせるための締結体として設置するようにすると、より好適である。
【0041】
本実施形態のように、竪枠11の側面から突出するように上枠荷重受け部113を設け、これを中空状の無目12(梁部121)の内部に挿通させる構成である場合、無目12を取り外さない限り、竪枠11を取り外すことができない構成となる。これであると、物がぶつかること等によって竪枠に変形や傷がついた場合等において、竪枠を交換しようとすると無目の脱着が必須となる。
図17には、このような場合において、無目の脱着を要することがなく、竪枠を交換することができるようにした構成を示した。
図17で示した無目12には、竪枠11を開口壁面から離れる方向へスライドさせて取り外すことができるように、上枠荷重受け部113(無目を支持させるための部材)を通過させるスリット124が形成されている。
これにより、図17(b)に示されるように、上枠荷重受け部113と無目12を締結するネジSCを外し、Cチャンネル(竪枠下地材)111に竪枠11を締結しているネジを外すことで、無目12の脱着を要することなく、竪枠11を手前側(壁面から離れる方向)へスライドさせるようにして取り外すことができる。
【0042】
なお、実施形態では、上枠荷重受け部がL字状の部材(アングル部材)が取り付けられることで構成されるものを例としたが、本発明をこれに限るものではなく、無目(上枠)を支持することができる任意の形状の部材を用いることができる。
また、実施形態では、竪枠の側面から突出するように上枠荷重受け部を設け、これを中空状の無目の内部に挿通させる構成としているが、本発明をこれに限るものではない。例えば、無目(上枠)の方に突出する部分を設け、竪枠の方に設けた穴(若しくは上端部)でこれを支持するようなものであってもよい。この場合、竪枠の穴(若しくは上端部)が、「竪枠に設けられた上枠荷重受け部」に該当する。なお、無目の方に突出する部分を設け、竪枠の方に設けた穴に挿通させる構成の場合、図17で説明した“スリット”は、竪枠の方に設けられることになる。
【0043】
実施形態では、引き戸ユニットの設置場所として、トイレブースを例として説明したが、本発明に係る引き戸ユニットの設置対象をこれに限るものでは無く、任意の開口部(部屋等の“所定の空間”を隔てるための壁や仕切り等に形成された開口部)に対して用いることができる。
【0044】
本実施形態では、竪枠が、Cチャンネル(竪枠下地材)を介して壁面に設置されるものを例としたが、本発明をこれに限るものでは無く、例えば、他の形状の部材によって竪枠下地材が構成されて、壁面に設置されるものであってもよく、また、竪枠が直接壁面に取り付けられるようなもの(竪枠下地材を用いないもの)であってもよい。
同様に、本実施形態では、竪枠の振れ防止のために、Cチャンネルを床固定部材として用いるものを例としたが、本発明をこれに限るものでは無く、例えば、他の形状の部材を床固定部材として用いてもよく、また、竪枠が直接床面に固定されるようなものであってもよい。なお、床固定部材等の振れ防止のための構成は必須のものという訳ではない。
【符号の説明】
【0045】
1...引き戸ユニット
11...竪枠
111...Cチャンネル(竪枠下地材)
112...Cチャンネル(床固定部材)
113...上枠荷重受け部
12...無目(上枠)
123...ハンガー部
124...スリット
13...ガイドレール(ガイド部材)
14...引き戸
171...スライド係合部
172...欄間パネル
1721...被係合部
G...開口部
O...開放部
図1
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