(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165703
(43)【公開日】2022-11-01
(54)【発明の名称】内視鏡用マスク
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20221025BHJP
【FI】
A61B1/00 650
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021071162
(22)【出願日】2021-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】521169620
【氏名又は名称】呉市医師会病院
(71)【出願人】
【識別番号】000200666
【氏名又は名称】泉株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(72)【発明者】
【氏名】井元 孝行
(72)【発明者】
【氏名】関 和治
(72)【発明者】
【氏名】阿部 晃之
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161GG11
(57)【要約】
【課題】 内視鏡を用いた診察等を行う際に、患者からの吐出物の飛散を防止しつつ、医療従事者による内視鏡チューブの操作を阻害しないことを目的とする。
【解決手段】 内視鏡を用いた診察等を行う際に、患者に装着される内視鏡用マスク1に関する。
上記内視鏡の内視鏡チューブTaを挿通可能な内視鏡挿通口6が形成されるとともに透明な素材からなる挿入用シート2と、当該挿入用シート2を囲繞するように設けたカバーシート3と、上記カバーシート3を患者に固定するための保持手段とを備え、上記挿入用シート2と上記カバーシート3とによって上記内視鏡チューブTaが挿入される患者の挿入口を覆った状態で、上記内視鏡挿通口6に内視鏡チューブTaを挿通させるようになっている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡を用いた診察等を行う際に、患者に装着される内視鏡用マスクであって、
上記内視鏡の内視鏡チューブを挿通可能な内視鏡挿通口が形成されるとともに、透明な素材からなる挿入用シートと、当該挿入用シートを囲繞するように設けたカバーシートと、上記カバーシートを患者に固定するための保持手段とを備え、
上記挿入用シートと上記カバーシートとによって上記内視鏡チューブが挿入される患者の挿入口を覆った状態で、上記内視鏡挿通口に内視鏡チューブを挿通させることを特徴とする内視鏡用マスク。
【請求項2】
上記内視鏡挿通口の直径を、内視鏡チューブの直径よりも小径としたことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用マスク。
【請求項3】
上記カバーシートの保持手段は、ストラップであることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の内視鏡用マスク。
【請求項4】
上記カバーシートの保持手段は、上記カバーシートの外周縁に設けられた両面テープであることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の内視鏡用マスク。
【請求項5】
上記挿入用シートにおける患者側の面に、患者が咥えるマウスピースの先端部に接着するための両面テープを設けたことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の内視鏡用マスク。
【請求項6】
上記挿入用シートにおける上記内視鏡挿通口に隣接した位置に、吸引用チューブを挿通させるための吸引用挿通口を形成し、当該吸引用挿通口を開閉手段によって開閉可能としたことを特徴とする請求項5に記載の内視鏡用マスク。
【請求項7】
上記マウスピースの先端部に形成されたフランジ部に貫通穴が設けられている場合において、
上記吸引用挿通口を、上記マウスピースの貫通穴の位置に設けたことを特徴とする請求項6に記載の内視鏡用マスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は内視鏡用マスクに関し、詳しくは内視鏡を用いた診察等を行う際に、患者に装着される内視鏡用マスクに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内視鏡を用いた診察や治療を行う際には、内視鏡チューブを患者の口や肛門といった挿入口に挿入するようになっている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、内視鏡チューブを患者の口に挿入すると、患者がせき込んで唾液や体液などの吐出物を飛散させる場合があり、飛散した吐出物が内視鏡を操作する医師などの医療従事者に付着してしまうと、不衛生であるとともにウイルス感染等の危険性があった。
このような問題に鑑み、内視鏡を用いた診察等を行う際に、患者からの吐出物の飛散を防止しつつ、医療従事者による内視鏡チューブの操作を阻害しない内視鏡用マスクを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち請求項1の発明にかかる内視鏡用マスクは、内視鏡を用いた診察等を行う際に、患者に装着される内視鏡用マスクであって、
上記内視鏡の内視鏡チューブを挿通可能な内視鏡挿通口が形成されるとともに、透明な素材からなる挿入用シートと、当該挿入用シートを囲繞するように設けたカバーシートと、上記カバーシートを患者に固定するための保持手段とを備え、
上記挿入用シートと上記カバーシートとによって上記内視鏡チューブが挿入される患者の挿入口を覆った状態で、上記内視鏡挿通口に内視鏡チューブを挿通させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
上記発明にかかる内視鏡用マスクは、内視鏡挿通口に内視鏡チューブを挿通することにより、内視鏡による診察等を行いつつ、挿入用シートおよびカバーシートによって例えば患者の口を覆うことができる。これにより患者の口から噴き出される吐出物の飛散を防止し、ひいては医療従事者への付着を防止するものとなっている。
また、上記挿入用シートは透明であることから、医療従事者は内視鏡用マスクの外部から内視鏡チューブの先端の位置を確認しながら内視鏡の操作を行うことが可能であり、操作を阻害しないものとなっている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図5】第2実施例にかかる内視鏡用マスクの拡大断面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下図示実施例について説明すると、
図1は第1実施例にかかる内視鏡用マスク1の平面図を示し、本実施例の内視鏡用マスク1は、内視鏡を用いた治療や診察(以下診察等という)を行う際に、患者の口を覆うことにより患者からの吐出物の飛散を防止するものとなっている。
内視鏡は従来公知であるため詳細な説明は省略するが、患者の口や肛門といった挿入口に挿入される内視鏡チューブTa(
図4参照)を備えており、ここで内視鏡チューブTaとしては直径約9mm程度のものが一般的に使用されている。
また内視鏡を用いて診察等を行う際、患者は
図3、
図4に示すようなマウスピース11を口で咥えるようになっており、当該マウスピース11に形成された通路に上記内視鏡チューブTaを通過させて、当該内視鏡チューブTaを患者の食道等に挿入するようになっている。
【0009】
本実施例の内視鏡用マスク1は、上記内視鏡の内視鏡チューブTaを挿通可能な挿入用シート2と、当該挿入用シート2を囲繞するように設けたカバーシート3と、上記カバーシート3を患者に固定するための保持手段としてのストラップ4とを備えている。ここで以下の説明において、上下方向を患者の頭と顎とを結んだ方向とし、左右方向を患者の両耳を結んだ方向とする。
上記挿入用シート2は透明で、かつ柔軟性を有するとともに多少の伸縮性を有した素材によって構成されており、シリコンやウレタン、エラストマーなどを使用することができ、厚さは1mm以下のシートを用いることが望ましい。
ここで透明とは、当該カバーシート3を介して反対側の様子が確認できる程度であれば多少濁った半透明を含むものとする。
なお、本実施例の挿入用シート2は横方向に長い長円状を有したものとなっているが、楕円形や長方形であってもよい。
また上記挿入用シート2における患者側の面には透明な両面テープ5が装着され、後述するように内視鏡を用いた診察等を行う際に、患者が咥えた上記マウスピース11の先端部に接着固定するようになっている。
【0010】
上記カバーシート3は、例えば厚さ0.5mm程度の不織布よって形成されており、カバーシート3の外形は横方向に長い略長方形となっており、患者の口を含む顔の略下半分を覆う程度の大きさを有している。
またカバーシート3の略中央には上記挿入用シート2の形状に合わせて長円状の装着穴3aが形成されており、上記挿入用シート2の外周縁と装着穴3aの内周縁とを相互に重合させた状態で、これらを接着剤や溶着といった手段によって接着したものとなっている。
上記ストラップ4は上記カバーシート3の左右両端部に設けられており、各ストラップ4の端部はそれぞれカバーシート3の上下の端部に接着固定されている。上記ストラップ4としてはゴム紐を用いるのが好ましい。
このように、上記構成を有する内視鏡用マスク1は、一般的に使用される衛生マスクと同様、上記ストラップ4を患者の耳部に係合させることで患者に装着することができ、上記挿入用シート2およびカバーシート3によって患者の口部を覆うことが可能となっている。
【0011】
次に、上記挿入用シート2の略中央部には、内視鏡チューブTaを挿通させるための内視鏡挿通口6が形成されている。
上記内視鏡挿通口6の径は上記内視鏡チューブTaと同径もしくは若干小径に設定されている。内視鏡挿通口6の径を上記内視鏡チューブTaよりも小径とする場合、挿入用シート2は伸縮性を有しているが、小径にしすぎると内視鏡チューブTaの挿抜に支障が生じるため、内視鏡挿通口6の径を内視鏡チューブTaの直径に対して50%程度に設定することが望ましい。
なお、上記内視鏡挿通口6の径は、挿入用シート2を構成する素材や厚さに応じて適宜変更することができる。
このようにすることで、内視鏡挿通口6は内視鏡チューブTaに密着した状態を維持することが可能となり、患者からの吐出物が内視鏡チューブTaと内視鏡挿通口6との隙間から漏れ出ないようにすることができる。
また、挿入用シート2における患者側の面には、上記内視鏡挿通口6を囲繞するように上記両面テープ5が装着されており(
図3参照)、患者の診察等の際に上記マウスピース11の先端に接着されるようになっている。
【0012】
さらに、上記挿入用シート2における上記内視鏡挿通口6に対して左右に隣接した位置には、それぞれ吸引用チューブTb(
図4参照)を挿通させるための吸引用挿通口7が形成されている。
上記吸引用チューブTbは、内視鏡を用いた診察等を行う際に、患者の口腔内にたまった唾液や、患者と内視鏡用マスク1との間に吐き出された吐出物を吸引するために用いられ、図示しない吸引手段が接続されている。
上記吸引用挿通口7の形成される位置は、上記マウスピース11のフランジ部13に形成された貫通穴13aの位置に合わせて形成されている。また上記吸引用挿通口7の径は上記吸引用チューブTbと同径もしくは若干小径に設定されていることが望ましいが、必ずしもそのようにする必要はない。
【0013】
上記吸引用チューブTbは上述した吐出物を回収する際にのみ吸引用挿通口7より挿入されるようになっており、通常は上記挿入用シート2における患者側の面に設けた開閉手段としての弁部材8によって閉鎖されるようになっている。
上記弁部材8は吸引用挿通口7よりも大径の円形のシートによって構成されており、上記挿入用シート2と同じ素材によって構成することが望ましく、またその一部が接着剤や溶着といった手段によって挿入用シート2に固定されたものとなっている。
このような構成により、上記弁部材8が上記接着部分を支点として患者側に変形することで、上記吸引用挿通口7が開閉されることとなり、患者の呼吸や吐出物によって外側に開くことはなく、閉鎖状態を維持することが可能となっている。
【0014】
以下、本実施例にかかる内視鏡用マスク1の使用方法について説明する。
図3、
図4は内視鏡用マスク1の使用状態の一例を示すものとなっており、内視鏡を用いた診察等を行う際には、患者は
図3、
図4に示すマウスピース11を口で咥えるとともに、上記内視鏡用マスク1によって患者の顔を覆うようになっている。
上記マウスピース11としては従来公知のものを使用することができ、ここで説明する以外の構成を有したマウスピース11を使用する場合であっても、本実施例の内視鏡用マスク1を使用することが可能となっている。
上記マウスピース11は、患者が咥える円筒状部12と、当該円筒状部12の先端部、すなわち患者の口から外側に突出した部分に形成されたフランジ部13とから構成されている。
上記円筒状部12は診察等を行う際に患者が咥えるのに適当な外径および長さを有しており、また当該円筒状部12の内径は上記内視鏡チューブTaを挿抜可能な程度の径に設定されている。
上記フランジ部13は、患者の顔面の形状に沿って湾曲して形成されており、上記円筒状部12に隣接した部分には平坦面が形成されている。また、当該フランジ部13における上記円筒状部12に対して左右に隣接した部分には、患者の呼吸を阻害しないように貫通穴13aが形成されている。
【0015】
そして、患者が内視鏡による治療を受ける際、患者は右半身を下方にした状態で横たわり、その状態で上記マウスピース11を咥えるようになっている。このとき上記フランジ部13に形成された貫通穴13aは、患者が横たわっていることから略鉛直方向に整列するようになっている。
続いて、上記患者に本実施例の内視鏡用マスク1を装着する。このとき、
図3に示すように挿入用シート2の患者側に設けた両面テープ5の剥離紙をはがし、当該両面テープ5によって挿入用シート2とマウスピース11とを接着する。
このとき、上記内視鏡用マスク1に設けた内視鏡挿通口6を上記マウスピース11の円筒状部12の中心に合わせるとともに、上記吸引用挿通口7をそれぞれマウスピース11のフランジ部13の貫通穴13aの位置に合わせた状態で、挿入用シート2とマウスピース11とを接着する。
続いて、上記カバーシート3の両側に設けたストラップ4を患者の耳に係合させ、これにより内視鏡用マスク1が患者に装着され、患者の口を含む顔の下半分がカバーシート3および挿入用シート2によって覆われることとなる。なお、上述したように患者は横たわっていることから、上記内視鏡挿通口6および上記吸引用挿通口7は略鉛直方向に整列するようになっている。
【0016】
続いて、医師が内視鏡を操作して、上記内視鏡チューブTaを上記内視鏡用マスク1の内視鏡挿通口6に挿入し、さらに上記マウスピース11の筒状部12を通過させる。
このとき、マウスピース11を通過した内視鏡チューブTaの先端は、透明な挿入用シート2を介して医師が内視鏡用マスク1の外部より観察することが可能となっており、これにより医師は通常の操作を妨げられることなく、内視鏡チューブTaを患者の食道に導くことが可能となっている。
さらに、医師は診察等のために内視鏡チューブTaを患者に挿入してゆくが、このとき、内視鏡チューブTaには予め潤滑剤が塗布されているため、上記内視鏡用マスク1の内視鏡挿通口6を通過させることが可能であり、また挿入用シート2はマウスピース11に透明な両面テープ5により接着されていることから、操作中における内視鏡用マスク1のずれが生じにくくなっている。
【0017】
このように内視鏡を用いた診察等を行うと、患者は食道に内視鏡チューブTaが挿入されていることから、せき込んだり内容物を吐き出してしまう場合がある。
このような場合であっても、患者の口部は内視鏡用マスク1によって覆われているため、吐出物の飛散を当該内視鏡用マスク1によって阻止することができ、内視鏡を操作する医師や医療従事者に吐出物が付着して、吐出物に含まれるウイルスや菌による感染等を防止することができる。
またその際、上記内視鏡チューブTaが挿入されている内視鏡挿通口6は内視鏡チューブTaに密着しているため、その隙間からの吐出物の漏出も防止することができる。
さらに、上記吸引用挿通口7は弁部材8によって閉鎖されており、患者が吐出物を勢いよく噴出しても、当該弁部材8は挿入用シート2の患者側から密着しているため、弁部材8の開放が防止され、吐出物の漏出を防止することができる。
【0018】
次に、患者の口から吐出物が内視鏡用マスク1と患者の顔との間に吐き出されたり、治療中に患者の口腔内に唾液が溜まってしまった場合には、上記吸引手段によってこれらを回収することができる。
医師またはこれを補助する医療従事者は、上記吸引手段の吸引用チューブTbを上記吸引用挿通口7に挿入する。吸引用挿通口7は内視鏡挿通口6に対して上方および下方に設けられているが、吐出物は下方に流れるため、下方に位置する吸引用挿通口7に吸引用チューブTbを挿入する。
すると、吸引用チューブTbの先端によって上記弁部材8が押圧されて患者側に開き、吸引用チューブTbを内視鏡用マスク1と患者の顔との間や、患者の口腔内に挿入することができる。
この場合も、挿入用シート2が透明であることから、吸引用チューブTbの先端位置を外部から容易に認識することができ、迅速に吐出物を回収することができる。
吐出物の回収が終了すると、吸引用チューブTbは速やかに吸引用挿通口7より抜かれ、その後上記弁部材8はその弾性力によってふたたび挿入用シート2に密着し、吸引用挿通口7は再び閉鎖されることとなる。
【0019】
以上のように、本実施例にかかる内視鏡用マスク1によれば、内視鏡チューブTaを上記挿入用シート2の内視鏡挿通口6に挿通させることで、患者が内視鏡用マスク1をした状態で内視鏡による診察等を行うことができる。
このとき、上記挿入用シート2は透明であるため、内視鏡用マスク1を装着した患者の口に内視鏡チューブTaを挿入する場合であっても、内視鏡用マスク1の外部から内視鏡チューブTaの先端の位置を視認することが可能であり、医療従事者による内視鏡の操作が阻害されないようになっている。
また内視鏡による診察の間、患者の口は挿入用シート2およびカバーシート3によって覆われるため、患者が口から吐出物を噴き出したとしても、当該吐出物の飛散を防止することができ、吐出物の医療従事者への付着を防止することができる。
次に、上記内視鏡挿通口6の直径を内視鏡チューブTaの直径よりも小径としたことにより、内視鏡チューブTaと内視鏡挿通口6との間に隙間が形成されないようにして、当該隙間からの吐出物の漏出を防止することができる。
次に、上記挿入用シート2における患者側の面に、患者が咥えるマウスピース11の先端部に接着するための透明な両面テープ5を設けたことで、治療中におけるマウスピース11と内視鏡用マスク1とのずれが生じず、内視鏡の操作の妨げにならない。
次に、上記挿入用シート2における上記内視鏡挿通口6に隣接した位置に、吸引用チューブTbを挿通させるための吸引用挿通口7を形成し、患者と内視鏡用マスク1との間に漏れ出た吐出物や、患者の口腔内にたまった唾液等を、上記吸引用チューブTbによって回収することができる。その際も上記挿入用シート2が透明であることから、吸引用チューブTbを容易に操作することができる。
そして、上記吸引用挿通口7における患者側の開口部に弁部材8を設けたことで、上記吸引用チューブTbを挿入しない状態では吸引用挿通口7が弁部材8によって閉鎖され、患者から噴き出された吐出物の飛散を防止することができる。
次に、
図3に示したように上記マウスピース11の先端部に形成されたフランジ部13に貫通穴13aが設けられている場合、上記吸引用挿通口7が貫通穴13aの位置に合わせて設けられていることから、上記吸引用チューブTbの操作が妨げられることはない。
【0020】
図5は第2実施例にかかる内視鏡用マスク1の断面図を示しており、内視鏡用マスク1を
図4と同じ方向、すなわち左右方向に切断した断面図となっている。また説明のため、上記挿入用シート2を拡大した図となっている。
本実施例の挿入用シート2も透明な素材によって構成されており、上記内視鏡挿通口6および吸引用挿通口7の位置には、それぞれ患者に対して離隔する方向に縮径するテーパ状の凸部2aを設けたものとなっている。
なお、第1実施例と同様、本実施例の挿入用シート2も、その外周縁が上記カバーシート3と接着や溶着といった手段によって固定されている。
上記本実施例の挿入用シート2はある程度の硬さを有しており、内視鏡挿通口6および吸引用挿通口7にそれぞれ内視鏡チューブTaや吸引用チューブTbが挿入されても、その形状をある程度維持するようになっている。一方では、
図4に示すように患者が咥えるマウスピース11のフランジ部13に沿って変形する程度の柔軟性を備えている。
内視鏡挿通口6および吸引用挿通口7の開口縁には肉厚部6a、7aが形成されており、挿入された内視鏡チューブTaや吸引用チューブTbはこの肉厚部6a、7aと密着するようになっている。
【0021】
次に、上記吸引用挿通口7を開閉する開閉手段は、当該吸引用挿通口7に嵌合される略筒状のキャップ14となっており、上記挿入用シート2の左右両端部に設けられた腕部14aを介して一体成型されている。
上記キャップ14は、内視鏡による治療の間は吸引用挿通口7に装着されて、患者からの吐出物の飛散を防止するようになっているが、吐出物の回収等を行う際には取り外され、上記吸引用挿通口7への吸引用チューブTbの挿通を許容するようになっている。
【0022】
上記構成を有する第2実施例の内視鏡用マスク1においても、第1実施例の内視鏡用マスク1と同様、挿入用シート2を介して内視鏡チューブTaを観察しながら患者に挿入することができる。
その際、本実施例の内視鏡挿通口6はテーパ状の凸部2aの先端に設けられているため、内視鏡挿通口6が密着している部分を支点として、内視鏡チューブTaの先端を自由に移動させることが可能となり、内視鏡チューブTaの可動域を拡大し、操作を容易にすることができる。
【0023】
なお、上記各実施例に記載した内視鏡用マスク1は、カバーシート3の両端に設けたストラップ4を患者の耳に係合させることで、当該内視鏡用マスク1を患者の顔に装着するようになっているが、内視鏡用マスク1の保持手段として、観察用マスクの左右両端部に両面テープを設け、当該両面テープを患者の皮膚に貼付することにより患者に保持させるようにしてもよい。
【0024】
さらに、上記実施例は患者の口に内視鏡チューブTaを挿入して診察等を行う際に用いる内視鏡用マスク1について説明しているが、当該内視鏡用マスク1は肛門より内視鏡チューブTaを挿入して診察等を行う場合にも応用できる。
この場合、肛門およびその周辺の臀部等を覆うように比較的大きなカバーシート3を設けるとともに、当該カバーシート3の4辺を両面テープ5によって患者の臀部等に貼付することで、肛門からの吐出物の飛散を防止することができる。
その際も、挿入用シート2によって内視鏡チューブTaの動きを内視鏡用マスク1の外部より観察することができるため、内視鏡の操作が妨げられることはない。
なお、肛門からの吐出物を吸引チューブTbによって回収する必要がない場合には、上記挿入用シート2から上記吸引用挿通口7を省略してもよい。
【符号の説明】
【0025】
1 内視鏡用マスク 2 挿入用シート
3 カバーシート 4 ストラップ(保持手段)
6 内視鏡挿通口 7 吸引用挿通口
Ta 内視鏡チューブ Tb 吸引チューブ