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  • 特開-器具取付具および器具の取付方法 図1
  • 特開-器具取付具および器具の取付方法 図2
  • 特開-器具取付具および器具の取付方法 図3
  • 特開-器具取付具および器具の取付方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165708
(43)【公開日】2022-11-01
(54)【発明の名称】器具取付具および器具の取付方法
(51)【国際特許分類】
   F16B 9/02 20060101AFI20221025BHJP
   F21V 21/04 20060101ALI20221025BHJP
   F16B 1/00 20060101ALI20221025BHJP
   F16B 37/00 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
F16B9/02 H
F21V21/04 110
F16B1/00 A
F16B37/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021071169
(22)【出願日】2021-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】521170464
【氏名又は名称】株式会社エムテック
(74)【代理人】
【識別番号】110001597
【氏名又は名称】特許業務法人アローレインターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】宮本 学
【テーマコード(参考)】
3J023
【Fターム(参考)】
3J023AA01
3J023BA02
3J023BB01
3J023CA11
3J023DA02
(57)【要約】
【課題】 既設の吊り下げボルトを利用した器具の取付作業を迅速容易に行うことができる器具取付具を提供する。
【解決手段】 既設の吊り下げボルト50を利用して照明器具60を天井70に取り付けるための器具取付具1であって、筒状の本体10と、本体10の一端側に設けられて吊り下げボルト50に螺合する第1の雌ねじ部12と、本体10の他端側に設けられて照明器具60の取付孔62に挿通された取付ボルト20が螺合する第2の雌ねじ部14と、本体10の内部に設けられて第2の雌ねじ部14に螺合した取付ボルト20の先端部が当接する当接部とを備え、取付ボルト20を、先端部が前記当接部に当接した状態で本体10に対して螺進方向に回転させることにより、本体10を取付ボルト20と共に回転させて、第1の雌ねじ部12を吊り下げボルト50に螺合可能に構成されている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設の吊り下げボルトを利用して器具を天井に取り付けるための器具取付具であって、
筒状の本体と、
前記本体の一端側に設けられて前記吊り下げボルトに螺合する第1の雌ねじ部と、
前記本体の他端側に設けられて前記器具の取付孔に挿通された取付ボルトが螺合する第2の雌ねじ部と、
前記本体の内部に設けられて前記第2の雌ねじ部に螺合した前記取付ボルトの先端が当接する当接部とを備え、
前記取付ボルトを、先端が前記当接部に当接した状態で前記本体に対して螺進方向に回転させることにより、前記本体を前記取付ボルトと共に回転させて、前記第1の雌ねじ部を前記吊り下げボルトに螺合可能に構成された器具取付具。
【請求項2】
前記当接部は、前記取付ボルトの進入方向に膨出する形状を有する請求項1に記載の器具取付具。
【請求項3】
請求項1または2のいずれかに記載の器具取付具を用いた器具の取付方法であって、
取付ボルトを器具に形成された取付孔に挿通して前記第2の雌ねじ部に螺合させることにより、前記器具取付具を前記器具に取り付ける第1のステップと、
前記取付ボルトの回転により前記本体を回転させて、前記第1の雌ねじ部を前記吊り下げボルトに螺合させることにより、前記器具を天井に取り付ける第2のステップとを備える器具の取付方法。
【請求項4】
前記第1のステップは、前記取付ボルトの先端部が前記当接部に当接するまで前記取付ボルトを締め付けるステップを含む請求項3に記載の器具の取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、器具取付具および器具の取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
既存照明のLED化等に伴い、天井埋込型の照明器具の取替作業を行うケースが増えつつあるが、最近の照明器具は従来のものと比べて薄型化が図られているため、既設の吊り下げボルトの長さ不足により取替作業が困難になっている。このため、特許文献1には、吊り下げボルトに螺合されるネジ溝が内周に形成された筒状の軸部と、つまみ部を有する頭部とを備えるボルトを用いて、作業工程の簡素化を図ることが提案されている。
【0003】
ところが、上記特許文献1のボルトは、照明器具の取付孔に挿通した後、取付孔から抜け落ちないように照明器具と共に支持しながら、吊り下げボルトと位置合わせして螺合させる必要があるため、これら一連の作業が煩雑になり易いという問題があった。また、照明器具の取付孔の幅は、吊り下げボルトの径と略同じ大きさが一般的であるため、吊り下げボルトよりも必然的に大径となる特許文献1のボルトを取付孔に挿通できないおそれがあり、この点からも改良の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-180485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、既設の吊り下げボルトを利用した器具の取付作業を迅速容易に行うことができる器具取付具および器具の取付方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の前記目的は、既設の吊り下げボルトを利用して器具を天井に取り付けるための器具取付具であって、筒状の本体と、前記本体の一端側に設けられて前記吊り下げボルトに螺合する第1の雌ねじ部と、前記本体の他端側に設けられて前記器具の取付孔に挿通された取付ボルトが螺合する第2の雌ねじ部と、前記本体の内部に設けられて前記第2の雌ねじ部に螺合した前記取付ボルトの先端部が当接する当接部とを備え、前記取付ボルトを、先端部が前記当接部に当接した状態で前記本体に対して螺進方向に回転させることにより、前記本体を前記取付ボルトと共に回転させて、前記第1の雌ねじ部を前記吊り下げボルトに螺合可能に構成された器具取付具により達成される。
【0007】
この器具取付具において、前記当接部は、前記取付ボルトの進入方向に膨出する形状を有することが好ましい。
【0008】
また、本発明の前記目的は、上記の器具取付具を用いた器具の取付方法であって、取付ボルトを器具に形成された取付孔に挿通して前記第2の雌ねじ部に螺合させることにより、前記器具取付具を前記器具に取り付ける第1のステップと、前記取付ボルトの回転により前記本体を回転させて、前記第1の雌ねじ部を吊り下げボルトに螺合させることにより、前記器具を天井に取り付ける第2のステップとを備える器具の取付方法により達成される。
【0009】
この器具の取付方法において、前記第1のステップは、前記取付ボルトの先端部が前記当接部に当接するまで前記取付ボルトを締め付けるステップを含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、既設の吊り下げボルトを利用した器具の取付作業を迅速容易に行うことができる器具取付具および器具の取付方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る器具取付具の縦断面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る器具の取付方法を説明するための概略側面図である。
図3図2の要部断面図である。
図4】器具の取付後の状態を示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る器具取付具の縦断面図である。図1に示す器具取付具1は、両端が開口する筒状の本体10と、本体10の一端側に設けられた第1の雌ねじ部12と、本体10の他端側に設けられた第2の雌ねじ部14および当接部16とを備えている。器具取付具1は、例えば金属材料により形成することができる。
【0013】
本実施形態の第1の雌ねじ部12および第2の雌ねじ部14は、六角ナット等のナット状に形成されており、本体10の両端の開口面とそれぞれ面一になるように本体10内に配置されて、外周面の複数箇所(例えば3か所)が本体10の内周面に溶接されて固定されている。第1の雌ねじ部12および第2の雌ねじ部14は、本体10の内周面にねじ溝を形成する等して構成することもできる。本体10は、スムーズな回転を促すことができるように円筒状であることが好ましいが、楕円筒状や多角筒状等であってもよい。
【0014】
第1の雌ねじ部12の径は、後述する吊り下げボルト50(例えば、寸切りボルト3/8)に螺合可能な大きさであり、第2の雌ねじ部14の径は、後述する取付ボルト20が螺合可能な大きさである。第1の雌ねじ部12の径および第2の雌ねじ部14の径は、互いに同じ大きさであってもよいが、本実施形態においては、第2の雌ねじ部14の径を第1の雌ねじ部12の径よりも小さく設定している。
【0015】
当接部16は、第2の雌ねじ部14に螺合された取付ボルト20の先端部が当接するように、本体10の内部に設けられている。本実施形態の当接部16は、第2の雌ねじ部14を袋ナット状に構成することで、第2の雌ねじ部14と一体的に形成されており、取付ボルト20の進入方向である上方に向けて半球状に膨出した形状を有している。
【0016】
次に、上記の構成を備える器具取付具1を用いた器具の取付方法の一実施形態を説明する。既存の天井埋込型照明器具を取り外して新規な照明器具に取り替える際には、図2に示すように、照明器具60の厚みが薄いために、天井スラブ52等に固定された吊り下げボルト50の長さが不足して、吊り下げボルト50を照明器具60の取付孔62に挿通できないおそれがある。
【0017】
本実施形態の器具の取付方法は、このような場合において、取付ボルト20を、照明器具60の取付孔62に座金23を介して挿通して、器具取付具1の第2の雌ねじ部14に螺合させることにより、器具取付具1を照明器具60に取り付ける工程(第1のステップ)を行った後、取付ボルト20の回転により本体10を回転させて、第1の雌ねじ部12を吊り下げボルト50に螺合させることにより、照明器具60の上部を開口72に挿入して照明器具60を天井70に取り付ける工程(第2のステップ)を行うものである。
【0018】
より詳細には、上記の第1ステップにおいて、図3(a)に示すように、取付ボルト20を照明器具60の取付孔62に座金23を介して挿入し、第2の雌ねじ部14に対して螺進方向である矢示A方向に回転させることにより、取付ボルト20を第2の雌ねじ部14に螺合させる。取付ボルト20の長さは、取付ボルト20の先端部が当接部16に当接したときに、座金23と取付孔62の周縁部との間に隙間が生じるように設定されており、第1ステップにおいて、取付ボルト20の先端部が当接部16に当接するまで取付ボルト20を締め付けることが好ましい。こうして、器具取付具1を照明器具60に取り付けることにより、図2に示す照明器具60を持ち上げた際に、器具取付具1と吊り下げボルト50との位置合わせを容易に行うことができる。
【0019】
上記の第2ステップにおいては、図3(b)に示すように、取付ボルト20を矢示A方向に回転させると、取付ボルト20の先端部が当接部16に当接することで、取付ボルト20が本体10に対して相対的に回転できないため、本体10が取付ボルト20と共に矢示B方向に回転し、第1の雌ねじ部12が吊り下げボルト50に螺合する。当接部16は、本実施形態のように取付ボルト20の進入方向に膨出する形状を有することが好ましく、これによって、取付ボルト20の先端周縁の全体を当接部16に当接させることができるので、取付ボルト20の回転により本体10を確実に回転させることができる。但し、当接部16の形状は、取付ボルト20の先端部と確実に係合して本体10を取付ボルト20と共に回転可能な形状であればよく、必ずしも本実施形態のものには限定されない。吊り下げボルト50の長さ不足は、本体10の長さによって補うことができる他、取付ボルト20の長さによっても補うことができる。
【0020】
この後、図4に示すように、インパクトレンチ80等を使用して取付ボルト20を更に回転させることにより、器具取付具1が吊り下げボルト50に沿って上昇し、照明器具60の周縁部が天井70の下面に当接する。こうして、照明器具60の取付作業が完了する。
【0021】
本実施形態の器具取付具1は、取付ボルト20により照明器具60に取り付けた後に、取付ボルト20の回転によって吊り下げボルト50に螺合させることができるので、照明器具60の取付作業を迅速容易に行うことができる。
【0022】
また、器具取付具1自体は、照明器具60の取付孔62に挿通させる必要がないため、取付孔62の幅が器具取付具1の径より小さい場合であっても作業性に影響を与えるおそれがなく、この点からも照明器具60の取付作業を迅速容易に行うことができる。
【0023】
本実施形態においては、既設の吊り下げボルトを利用して、器具取付具1により照明器具60を天井に取り付ける場合を説明したが、器具取付具1により天井に取り付けられる器具は照明器具60に限定されるものではなく、空調装置等の電気器具、ケーブルラック、セキュリティ器具、消防器具、音響器具、その他の設備器具など、既設の天井吊り下げボルトに支持される種々の器具を例示することができる。
【符号の説明】
【0024】
1 器具取付具
10 本体
12 第1の雌ねじ部
14 第2の雌ねじ部
16 当接部
20 取付ボルト
50 吊り下げボルト
60 照明器具
62 取付孔
70 天井
図1
図2
図3
図4