(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165710
(43)【公開日】2022-11-01
(54)【発明の名称】エアバッグ及びエアバッグ装置
(51)【国際特許分類】
B60R 21/239 20060101AFI20221025BHJP
B60R 21/237 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
B60R21/239
B60R21/237
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021071171
(22)【出願日】2021-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】318002149
【氏名又は名称】Joyson Safety Systems Japan株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118267
【弁理士】
【氏名又は名称】越前 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】▲吉▼川 浩通
(72)【発明者】
【氏名】越川 公裕
【テーマコード(参考)】
3D054
【Fターム(参考)】
3D054CC16
3D054CC20
3D054CC29
3D054CC43
(57)【要約】
【課題】ベントホールの開閉及び排気量を安定させることができる、エアバッグ及びエアバッグ装置を提供する。
【解決手段】開閉機構4は、ベントホール3を覆うように袋体2の内側に配置されたベントホールカバー41と、ベントホールカバー41の内側に配置された整流布42と、ベントホールカバー41及び整流布42を袋体2に固定する縫合部43と、を備えている。ベントホールカバー41は、破断部41b及びフラップ部41cを備えている。フラップ部41cは、ベントホール3の開口面積より大きい面積を有する。整流布42は、ベントホール3よりも開口面積が小さい開口部を有する。縫合部43は、フラップ部41cを収容可能なポケット部43aを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に供給されたガスにより膨張展開可能な袋体と、前記ガスを排気可能なベントホールと、該ベントホールの開閉を制御可能な開閉機構と、を備えたエアバッグにおいて、
前記開閉機構は、前記ベントホールを覆うように前記袋体の内側に配置されたベントホールカバーと、該ベントホールカバーの内側に配置された整流布と、前記ベントホールカバー及び前記整流布を前記袋体に固定する縫合部と、を備え、
前記ベントホールカバーは、所定の圧力で破断する破断部と、該破断部の破断後に前記ベントホールの外部に放出されるフラップ部と、を含み、前記フラップ部は、前記ベントホールの開口面積より大きい面積を有し、
前記整流布は、前記ベントホールよりも開口面積が小さい開口部を有し、
前記縫合部は、前記フラップ部を収容可能なポケット部を形成するように構成されている、
ことを特徴とするエアバッグ。
【請求項2】
前記ベントホールカバーは、前記フラップ部の外形を形成する第一スリット部と、前記フラップ部を屈曲させるための第二スリット部と、を含む請求項1に記載のエアバッグ。
【請求項3】
前記フラップ部は、側部又は中心部に固定部を備える、請求項1に記載のエアバッグ。
【請求項4】
前記フラップ部は、折り畳み可能に構成されている、請求項1に記載のエアバッグ。
【請求項5】
前記フラップ部は、外縁部が中心部に向かって縮径するように折り畳み可能に構成されている、請求項1に記載のエアバッグ。
【請求項6】
前記開口部は、複数の小孔により構成されている、請求項1に記載のエアバッグ。
【請求項7】
前記縫合部は、円形状又は略多角形状を有している、請求項1に記載のエアバッグ。
【請求項8】
前記ベントホールカバー及び前記整流布は、一枚のパネルにより構成されている、請求項1に記載のエアバッグ。
【請求項9】
前記パネルは、インフレータに固定される補強部を含む、請求項8に記載のエアバッグ。
【請求項10】
前記ベントホールカバーと前記整流布との間に折り畳まれた状態で配置される膨張部材を備え、前記膨張部材は排気口を備える、請求項1に記載のエアバッグ。
【請求項11】
前記膨張部材は、外縁部が中心部に向かって縮径するように折り畳み可能に構成されている、請求項10に記載のエアバッグ。
【請求項12】
前記ベントホールカバー、前記整流布及び前記膨張部材は、一枚のパネルにより構成されている、請求項10に記載のエアバッグ。
【請求項13】
前記パネルは、インフレータに固定される補強部を含む、請求項12に記載のエアバッグ。
【請求項14】
請求項1~請求項13のいずれか一項に記載されたエアバッグと、該エアバッグにガスを供給するインフレータと、を備えたことを特徴とするエアバッグ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアバッグ及びエアバッグ装置に関し、特に、ベントホールの開閉機構を備えたエアバッグ及びエアバッグ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両には、衝突時等の緊急時にエアバッグを車内で膨張展開させて乗員に生ずる衝撃を吸収するためのエアバッグ装置が搭載されることが一般的になってきている。かかるエアバッグは、例えば、乗員と車両構造物との間に膨張展開可能な袋体と、該袋体の内部に供給されたガスを排気可能なベントホールと、該ベントホールの開閉を制御する開閉機構と、を備えている(特許文献1等参照)。かかる開閉機構によりエアバッグの内圧を調整することができる。
【0003】
特許文献1には、ガスバッグ(エアバッグ)が少なくとも一つの放出開口(ベントホール)を有するガスバッグ壁(袋体を形成するパネル)を備え、放出開口(ベントホール)を覆うようにガスバッグ壁(袋体を形成するパネル)に固定された材料片により、所定の内圧までガスバッグ(エアバッグ)を閉鎖し、内圧が過大になると材料片を破断させることによってガスバッグ(エアバッグ)を開放する開閉機構が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された発明では、材料片を補強リングと袋体を形成するパネルとにより挟持し、補強リングにはベントホールを補完するようにベントホールと同等以上の径を有する開口部が形成されている。かかる構成では、ベントホールの開口部を覆う材料片の内面全体に略均等に内圧が負荷されることから、種々の衝突事象に対して材料片を所望のタイミングで安定して破断させることが難しいという問題がある。また、破断した後の材料片が開口部の一部を塞いでしまい、排気量の制御が安定しないという問題もある。
【0006】
本発明はかかる問題点に鑑み創案されたものであり、ベントホールの開閉及び排気量を安定させることができる、エアバッグ及びエアバッグ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、内部に供給されたガスにより膨張展開可能な袋体と、前記ガスを排気可能なベントホールと、該ベントホールの開閉を制御可能な開閉機構と、を備えたエアバッグにおいて、前記開閉機構は、前記ベントホールを覆うように前記袋体の内側に配置されたベントホールカバーと、該ベントホールカバーの内側に配置された整流布と、前記ベントホールカバー及び前記整流布を前記袋体に固定する縫合部と、を備え、前記ベントホールカバーは、所定の圧力で破断する破断部と、該破断部の破断後に前記ベントホールの外部に放出されるフラップ部と、を含み、前記フラップ部は、前記ベントホールの開口面積より大きい面積を有し、前記整流布は、前記ベントホールよりも開口面積が小さい開口部を有し、前記縫合部は、前記フラップ部を収容可能なポケット部を形成するように構成されている、ことを特徴とするエアバッグが提供される。
【0008】
前記ベントホールカバーは、前記フラップ部の外形を形成する第一スリット部と、前記フラップ部を屈曲させるための第二スリット部と、を含んでいてもよい。
【0009】
前記フラップ部は、側部又は中心部に固定部を備えていてもよい。
【0010】
前記フラップ部は、折り畳み可能に構成されていてもよい。
【0011】
前記フラップ部は、外縁部が中心部に向かって縮径するように折り畳み可能に構成されていてもよい。
【0012】
前記開口部は、複数の小孔により構成されていてもよい。
【0013】
前記縫合部は、円形状又は略多角形状を有していてもよい。
【0014】
前記ベントホールカバー及び前記整流布は、一枚のパネルにより構成されていてもよい。
【0015】
前記パネルは、インフレータに固定される補強部を含んでいてもよい。
【0016】
前記エアバッグは、前記ベントホールカバーと前記整流布との間に折り畳まれた状態で配置される膨張部材を備え、前記膨張部材は排気口を備えていてもよい。
【0017】
前記膨張部材は、外縁部が中心部に向かって縮径するように折り畳み可能に構成されていてもよい。
【0018】
前記ベントホールカバー、前記整流布及び前記膨張部材は、一枚のパネルにより構成されていてもよい。
【0019】
前記パネルは、インフレータに固定される補強部を含んでいてもよい。
【0020】
また、本発明によれば、上述した何れかのエアバッグと、該エアバッグにガスを供給するインフレータと、を備えたことを特徴とするエアバッグ装置が提供される。
【発明の効果】
【0021】
上述した本発明に係るエアバッグ及びエアバッグ装置によれば、ベントホールカバー(フラップ部)の大きさ>ベントホールの開口面積>整流布の開口面積の関係を有していることから、整流布の開口部によりベントホールカバー(フラップ部)に負荷される圧力を高くすることができ、ベントホールカバーを破断させる応答性能の向上を図ることができる。また、ベントホールカバー(フラップ部)はポケット部に収容されていることから、ベントホールカバー(フラップ部)に負荷される圧力を高くした場合であっても、ベントホールカバー(フラップ部)からのガス漏れを抑制することができる。したがって、本発明によれば、ベントホールの開閉を安定させることができる。
【0022】
また、整流布の開口面積をベントホールの開口面積よりも小さくしたことにより、ベントホールカバーが破断した後のフラップ部と整流布の開口部との干渉を抑制することができ、ベントホールの排気量を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の第一実施形態に係るエアバッグ装置を示す全体構成図である。
【
図3】開閉機構の作用を示す断面図であり、(A)は初期状態、(B)は加圧状態、(C)は破断状態、を示している。
【
図4】
図2に示した開閉機構の変形例を示す図であり、(A)は第一変形例、(B)は第二変形例、を示している。
【
図5】
図2に示した開閉機構の変形例を示す図であり、(A)は第三変形例、(B)は第四変形例、を示している。
【
図6】
図2に示した開閉機構の第五変形例を示す図であり、(A)は平面展開図、(B)は折畳状態、(C)は断面図、を示している。
【
図7】
図2に示した開閉機構の第六変形例を示す図であり、(A)は平面展開図、(B)は折畳状態、を示している。
【
図8】
図2に示した開閉機構の第七変形例を示す図であり、(A)はパッチクロス、(B)はベントホールカバー(折畳状態正面図)、(C)は整流布、を示している。
【
図9】
図8に示したベントホールカバーを示す図であり、(A)は平面展開図、(B)は折畳状態裏面図、を示している。
【
図10】
図2に示した開閉機構の第八変形例を示す図であり、(A)はベントホールカバーの平面展開図、(B)はベントホールカバーの折畳状態正面図、(C)はベントホールカバーの折畳状態裏面図、を示して
【
図11】本発明の第二実施形態に係るエアバッグ装置を示す全体構成図である。
【
図13】
図12に示したパネルの折り畳み手順を示す図であり、(A)は第一ステップ、(B)は第二ステップ、(C)は第三ステップ、を示している。
【
図14】開閉機構の作用を示す断面図であり、(A)は初期状態、(B)は加圧状態、(C)は破断状態、を示している。
【
図15】
図12に示した開閉機構の第一変形例を示す図であり、(A)は膨張部材の平面展開図、(B)は膨張部材の折畳状態正面図、(C)は膨張部材の折畳状態裏面図、を示している。
【
図16】
図12に示した開閉機構の第二変形例を示す図であり、(A)は膨張部材の平面展開図、(B)は膨張部材の折畳状態正面図、(C)は膨張部材の折畳状態裏面図、を示している。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について
図1~
図16(C)を用いて説明する。ここで、
図1は、本発明の第一実施形態に係るエアバッグ装置を示す全体構成図である。
図2は、
図1に示した開閉機構の平面展開図である。なお、
図1に示した開閉機構は初期状態を示している。また、
図1において、説明の便宜上、開閉機構以外の構成は一点鎖線で図示してある。
【0025】
本発明の第一実施形態に係るエアバッグ装置1は、
図1に示したように、内部に供給されたガスにより膨張展開可能な袋体2と、袋体2の内部に供給されたガスを排気可能なベントホール3と、ベントホール3の開閉を制御可能な開閉機構4と、を備えたエアバッグ5と、エアバッグ5にガスを供給するインフレータ6と、を備えている。
【0026】
袋体2は、例えば、複数のパネル(基布)を縫合することにより袋状に形成される。袋体2の一部には、インフレータ6を装着するインフレータ用開口部が形成されている。なお、袋体2は、図示した構成に限定されるものではなく、エアバッグ5の種類(運転席用エアバッグ、助手席用エアバッグ、後部座席用エアバッグ、サイドエアバッグ、ニーエアバッグ等)によって任意に変更可能である。
【0027】
インフレータ6は、ガス噴出口が袋体2内に挿入された状態でリテーナに固定される。インフレータ6は、図示しないECU(電子制御ユニット)に接続されており、加速度センサ等の計測値に基づいて制御される。
【0028】
ECU(電子制御ユニット)が車両の衝突を感知した場合には、インフレータ6の内部に格納された薬剤を燃焼させてガスを発生させ、袋体2にガスを供給する。インフレータ6は、ディスク型形状であってもよいし、円柱形状であってもよい。
【0029】
ベントホール3は、例えば、袋体2の乗員接触面と反対側の面(裏面)を構成するリアパネルに形成された円形状の開口部である。なお、ベントホール3は、エアバッグ5の種類によっては、エアバッグ5の他の面(側面、下面、上面等)に形成されていてもよい。
【0030】
また、本実施形態では、袋体2の一箇所にベントホール3を形成しているが、ベントホール3は複数個所に形成されていてもよい。また、本明細書に記載された実施形態及びその変形例において、「ベントホール3」は、エアバッグ5の外部にガスを排気するものに限定されず、袋体2に隣接するチャンバ内にガスを排気するものも含むものとする。
【0031】
開閉機構4は、例えば、
図1及び
図2に示したように、ベントホール3を覆うように袋体2の内側に配置されたベントホールカバー41と、ベントホールカバー41の内側に配置された整流布42と、ベントホールカバー41及び整流布42を袋体2に固定する縫合部43と、インフレータ6に固定される補強部44と、を備えている。
【0032】
本実施形態に係る開閉機構4は、例えば、
図2に示したように、補強部44・整流布42・ベントホールカバー41の順に連続した一枚のパネルで構成してもよい。補強部44は、インフレータ6のガス噴出口を挿入するインフレータ用開口部44aと、インフレータ6を固定するボルトを挿通する取付孔44bと、補強部44を袋体2のリアパネルに固定するための縫合部44cと、を備えている。
【0033】
ベントホールカバー41は、例えば、略矩形の領域を形成するパネルにより構成されている。ベントホールカバー41は、折り線Lに沿って折り返されて整流布42上に配置される。折り線Lに沿って屈曲性を高めるためのスリット部41aが形成されていてもよい。
【0034】
また、ベントホールカバー41は、例えば、所定の圧力で破断する破断部41bと、破断部41bの破断後にベントホール3の外部に放出されるフラップ部41cと、フラップ部41cの外形を形成する第一スリット部41dと、フラップ部41cを屈曲させるための第二スリット部41eと、を備えている。
【0035】
第一スリット部41dは、例えば、パネルに形成された一対の円弧形状の切り込みによって構成されている。第一スリット部41dは、ベントホール3の径より大きく、縫合部43の径よりも小さい径を有する円上に沿って形成される。また、一対の第一スリット部41dの整流布42側の端部には、それぞれ小径の開口部41fが形成されていてもよい。破断部41bは、一対の開口部41fによって形成された狭隘部によって構成される。
【0036】
第二スリット部41eは、例えば、パネルの横幅方向に沿って直線上に形成される。第一スリット部41dと第二スリット部41eの間隔は、一対の開口部41fの狭隘部(破断部41b)の横幅よりも広く形成されている。したがって、ベントホールカバー41における最も脆弱な部分は破断部41bによって構成される。
【0037】
また、第一スリット部41dと第二スリット部41eとの間に存在する基布により、破断部41bの破断後にフラップ部41cを保持する固定部41gが構成される。したがって、本実施形態では、固定部41gはフラップ部41cの側部に形成される。
【0038】
フラップ部41cは、第一スリット部41d及び破断した破断部41bによって外形が形成され、ベントホール3の開口面積より大きい面積を有する。また、固定部41gの近傍に第二スリット部41eを形成することにより、破断した後のフラップ部41cを屈曲させやすくすることができる。
【0039】
整流布42は、ベントホール3よりも開口面積が小さい開口部42aを有している。開口部42aは、例えば、ベントホール3と連通可能に形成された複数の小孔により構成される。開口部42aの開口面積は、これらの小孔の開口面積の総和として算出される。なお、開口部42aの形状及び個数は、図示した構成に限定されるものではない。
【0040】
また、図示したように、開口部42a(四つの小孔)は、ベントホール3の径よりも内径側に形成されることが好ましいが、開口部42aの一部がベントホール3の縁に被っていてもよい。なお、開口部42aは、ベントホールカバー41の第一スリット部41d及び第二スリット部41eよりも内径側に位置するように形成される。
【0041】
ベントホールカバー41は、整流布42の上に折り返され、ベントホールカバー41及び整流布42は、袋体2のリアパネルに縫合部43で縫合される。このとき、ベントホールカバー41は、袋体2のリアパネルと整流布42との間に挟持される。縫合部43は、例えば、ベントホール3と同心の円形状に形成される。
【0042】
縫合部43は、ベントホール3の縁部と所定の距離Dpを隔てて配置されることから、フラップ部41cを収容可能なポケット部43aを形成するように構成されている。このポケット部43aの深さ(距離Dp)により、エアバッグ5の膨張展開中におけるフラップ部41cからのガス漏れを抑制することができる。
【0043】
ここで、
図3は、開閉機構の作用を示す断面図であり、(A)は初期状態、(B)は加圧状態、(C)は破断状態、を示している。なお、
図3(A)に示した断面図は、
図1におけるA-A線断面図である。また、各図において、説明の便宜上、袋体2・ベントホールカバー41・整流布42の間隔を空けた状態を図示してある。
【0044】
図3(A)に示したように、ベントホールカバー41は、整流布42と折り重なるように折り返され、袋体2(リアパネル)と整流布42との間に配置され、ベントホール3を覆うように構成されている。袋体2(リアパネル)・ベントホールカバー41・整流布42は縫合部43で縫合される。この状態で袋体2は折り畳まれてリテーナ等に収容される。
【0045】
車両の衝突等によりエアバッグ装置1が作動するとインフレータ6からエアバッグ5内にガスが供給される。エアバッグ5の膨張展開の進展に応じて、
図3(B)に示したように、整流布42の開口部42aを介してベントホールカバー41に圧力が負荷される。
【0046】
このとき、ベントホール3の開口面積に対して整流布42の開口部42aの開口面積を小さくしていることから、エアバッグ5に供給されたガスをベントホールカバー41の一部に集約して加圧することができ、ベントホールカバー41を破断させる際の応答性能の向上を図ることができる。
【0047】
また、ベントホールカバー41のフラップ部41cはベントホール3の開口面積より大きい面積を有し、ポケット部43aに収容されていることから、第一スリット部41dからのガス漏れを抑制することができ、ベントホールカバー41(フラップ部41c)に負荷される圧力を高くした場合であっても、ベントホール3の開閉を安定させることができる。
【0048】
その後、乗員の接触等によりエアバッグ5の内圧がさらに上昇すると、ベントホールカバー41に負荷される圧力も上昇して破断部41bが破断し、
図3(C)に示したように、フラップ部41cがベントホール3から外部に放出される。このとき、ベントホール3よりも整流布42の開口部42aの開口面積を小さくしていることから、整流布42の開口部42aから放出されるガスとフラップ部41cとの干渉を抑制し、ガスを抜けやすくすることができ、ベントホール3の排気量を安定させることができる。
【0049】
ここで、
図4は、
図2に示した開閉機構の変形例を示す図であり、(A)は第一変形例、(B)は第二変形例、を示している。
図2に示した実施形態と同じ構成部品については、同じ符号を付して重複した説明を省略する。
【0050】
図4(A)に示した第一変形例は、ベントホールカバー41と整流布42とを一枚のパネルで構成したものである。インフレータ6から離れた位置にベントホール3が形成されている場合には、補強部44を分離することができる。
【0051】
図4(B)に示した第二変形例は、ベントホールカバー41と整流布42とを別々のパネルで構成したものである。ベントホールカバー41及び整流布42は、縫合部43により袋体2(リアパネル)に縫合されることから、図示したように互いに独立したパネルにより構成されていてもよい。
【0052】
ここで、
図5は、
図2に示した開閉機構の変形例を示す図であり、(A)は第三変形例、(B)は第四変形例、を示している。
図2に示した実施形態と同じ構成部品については、同じ符号を付して重複した説明を省略する。なお、説明の便宜上、
図5(B)ではベントホール3の位置を示す仮想線を省略してある。
【0053】
図5(A)に示した第三変形例は、
図2に示した実施形態の縫合部43を略多角形状に形成したものである。「略」とは角部が鋭角ではなく円弧形状であってもよい趣旨である。例えば、縫合部43は、角部を丸くした四角形状に形成される。かかる構成により、縫合部43の角部とベントホール3との距離Dcを大きくすることができ、深いポケット部43aを形成することができる。なお、縫合部43は、五角形以上の多角形状であってもよい。
【0054】
また、縫合部43の形状に合わせてフラップ部41cを略多角形状に形成してもよい。例えば、第一スリット部41dは、全体として略U字形状に形成されており、底辺の中間部に破断部41bを形成する狭隘部が形成される。
【0055】
図5(B)に示した第四変形例は、破断部41bを二箇所に形成したものである。例えば、第一スリット部41dは、全体として略U字形状に形成されており、角部の二箇所に破断部41bを形成する狭隘部が形成される。このように、破断部41bの個数や位置は、フラップ部41cの形状や破断荷重等の条件に応じて任意に設定することができる。
【0056】
ここで、
図6は、
図2に示した開閉機構の第五変形例を示す図であり、(A)は平面展開図、(B)は折畳状態、(C)は断面図、を示している。
図2に示した実施形態と同じ構成部品については、同じ符号を付して重複した説明を省略する。
【0057】
図6(A)~
図6(C)に示した第五変形例は、フラップ部41cを片開きから両開きに変更したものである。例えば、
図6(A)に示したように、第一スリット部41dは、全体として略四角形状に形成されており、縦方向(Y方向)の二箇所に破断部41bを形成する狭隘部が形成される。また、フラップ部41cの中心部には、横方向(X方向)に延伸した縫合線によって構成される固定部41gが配置される。
【0058】
図6(B)に示したように、ベントホールカバー41は、整流布42の上に折り返され、固定部41gを構成する縫合線によって整流布42に縫合される。
【0059】
図6(C)に示したように、車両の衝突等によりエアバッグ装置1が作動するとインフレータ6からエアバッグ5内にガスが供給される。エアバッグ内の圧力が上昇すると破断部41bが破断し、フラップ部41cがベントホール3の外部に放出される。このとき、フラップ部41cは、固定部41gにより整流布42に縫合されていることから、縦方向(Y方向)の両端部がポケット部43aから引き出される。
【0060】
このようにフラップ部41cを両開きに構成した場合であっても、整流布42の開口部42aよりもベントホール3の開口面積が大きいことから、フラップ部41cと整流布42の開口部42aとの干渉を抑制することができ、ベントホール3の排気量を安定させることができる。
【0061】
ここで、
図7は、
図2に示した開閉機構の第六変形例を示す図であり、(A)は平面展開図、(B)は折畳状態、を示している。
図2に示した実施形態と同じ構成部品については、同じ符号を付して重複した説明を省略する。
【0062】
図7(A)及び
図7(B)に示した第六変形例は、第五変形例と同様に、フラップ部41cを片開きから両開きに変更したものである。例えば、
図7(A)に示したように、第一スリット部41dは、全体として略四角形状に形成されており、破断部41bを角部の四箇所に形成したものである。また、フラップ部41cの中心部には、横方向(X方向)に延伸した縫合線によって構成される固定部41gが配置される。
【0063】
また、整流布42は、X方向に沿って形成されたブリッジ部41kによってY方向に二つに分割された開口部42aを有している。
図7(B)に示したように、ベントホールカバー41は、整流布42の上に折り返され、固定部41gを構成する縫合線によって整流布42のブリッジ部41kに縫合される。
【0064】
ここで、
図8は、
図2に示した開閉機構の第七変形例を示す図であり、(A)はパッチクロス、(B)はベントホールカバー(折畳状態正面図)、(C)は整流布、を示している。
図9は、
図8に示したベントホールカバーを示す図であり、(A)は平面展開図、(B)は折畳状態裏面図、を示している。
図2に示した実施形態と同じ構成部品については、同じ符号を付して重複した説明を省略する。
【0065】
図8(A)に示したパッチクロス45は、インフレータ6の取付部に配置される補強部44と、ベントホール3の外周に配置される補強部46と、を備えている。補強部46には、ベントホール3と同じ径を有する開口部46aが形成されている。第七変形例に係る開閉機構4は、パッチクロス45・ベントホールカバー41・整流布42を別々のパネルで構成したものである。
【0066】
図8(B)に示したベントホールカバー41は、
図9(A)に示したベントホールカバー41を折り畳んだ状態の正面図を示している。
図9(A)において、細い実線は山折り線Lmを示し、細い一点鎖線は谷折り線Lvを示している。ベントホールカバー41は、例えば、
図9(A)に示したように、各辺に折り幅Wを含む四角形状を有している。
【0067】
また、ベントホールカバー41は、
図8(B)及び
図9(B)に示したように、山折り線Lm及び谷折り線Lvに沿って折り畳んだときに、整流布42側に配置される底部41hと、ベントホール3側に配置される頂部41iと、を備えている。底部41hは、例えば、折り畳まれた状態で整流布42と同じ外形を有する。頂部41iは、例えば、四角形状に形成され、中心部に固定部41gを備えている。
【0068】
底部41hには、例えば、折り畳まれたときに同一円上に配置されるスリット部41jが形成される。また、スリット部41jの両端部には小径の開口部41fが形成されており、一対の開口部41fによって形成された狭隘部によって破断部41bが構成されていてもよい。
【0069】
したがって、フラップ部41cは、スリット部41jによって囲まれた内側の領域によって構成されており、外縁部が中心部に向かって縮径するように折り畳み可能に構成されている。なお、フラップ部41cの折り畳み方法は、図示した折り畳み方法に限定されるものではない。
【0070】
このように、フラップ部41cを折り畳み可能に構成することにより、エアバッグ5の膨張展開時にガスを一時的に溜める膨張部を形成することができ、破断部41bに生じる圧力を増幅させることができ、ベントホールカバー41の応答性能の向上を図ることができる。
【0071】
ここで、
図10は、
図2に示した開閉機構の第八変形例を示す図であり、(A)はベントホールカバーの平面展開図、(B)はベントホールカバーの折畳状態正面図、(C)はベントホールカバーの折畳状態裏面図、を示している。
図2に示した実施形態及び
図9(A)に示した第七変形例と同じ構成部品については、同じ符号を付して重複した説明を省略する。
【0072】
図10(A)~
図10(C)に示した第八変形例は、
図9(A)~
図9(C)に示した第七変形例の破断部43を略四角形状に変更し、それに合わせてスリット部41j及び破断部41bの構成を変更したものである。ベントホールカバー41以外の構成は第七変形例と同じ構成であるため、ここでは説明を省略する。
【0073】
スリット部41jは、例えば、全体として略四角形状に形成されており、各辺の一部に破断部41bを構成する狭隘部が形成されている。破断部41bを構成する狭隘部は、例えば、図示したように、スリット部41jの両端部を外側に向かって延長した部分によって構成されていてもよい。かかる構成によっても、第七変形例と同様の機能を有するフラップ部41cを構成することができる。
【0074】
次に、本発明の第二実施形態に係るエアバッグ装置1について、
図11~
図16(C)を参照しつつ説明する。ここで、
図11は、本発明の第二実施形態に係るエアバッグ装置を示す全体構成図である。
図12は、
図11に示した開閉機構の平面展開図である。
図13は、
図12に示したパネルの折り畳み手順を示す図であり、(A)は第一ステップ、(B)は第二ステップ、(C)は第三ステップ、を示している。なお、上述した第一実施形態と同じ構成部品については、同じ符号を付して重複した説明を省略する。
【0075】
第二実施形態に係るエアバッグ装置1は、開閉機構4にベントホールカバー41と整流布42との間に折り畳まれた状態で配置される膨張部材47を備えたものである。膨張部材47は、整流布42から流れ込むガスを集約してベントホールカバー41に伝達する圧力を増幅する機能を有している。
【0076】
また、膨張部材47は、袋体2の外部にガスを放出する排気口47aを備えている。なお、排気口47aの大きさ、形状、個数、配置等の条件は、任意に設定することができ、図示した構成に限定されるものではない。
【0077】
例えば、
図12に示したように、ベントホールカバー41・整流布42・補強部44・膨張部材47は、一枚のパネルにより構成される。ここで、ベントホールカバー41・整流布42・補強部44の構成は、
図5(B)に示した第一実施形態の第四変形例と同じ構成であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0078】
なお、ベントホールカバー41・整流布42・補強部44の構成は、
図2に示した第一実施形態と同じ構成であってもよいし、第四変形例を除く、
図4(A)~
図10(C)に示した他の変形例と同じ構成であってもよい。
【0079】
図12において、細い実線は山折り線Lmを示し、細い一点鎖線は谷折り線Lvを示している。膨張部材47は、例えば、
図13(A)に示したように、横方向(X方向)に折り畳んで横幅を短くした後、縦方向(Y方向)に折り畳んで縦幅を短くすることにより、ベントホールカバー41又は整流布42と同じ大きさの形状に変形される。なお、膨張部材47は、縦方向(Y方向)に折り畳んで縦幅を短くした後、横方向(X方向)に折り畳んで横幅を短くするようにしてもよい。
【0080】
膨張部材47は、山折り線Lm及び谷折り線Lvに沿って折り畳んだときに、整流布42側に配置される底部47bと、ベントホールカバー41側に配置される頂部47cと、を備えている。すなわち、膨張部材47は、底部47bを構成する外縁部が頂部47cを構成する中心部に向かって縮径するように折り畳み可能に構成されている。
図13(A)に示したように、膨張部材47は、パネルを平面展開した状態で、底部47bの上に頂部47cが形成されるように折り畳まれる。
【0081】
次に、
図13(B)に示したように、折り畳まれた膨張部材47は、隣接するベントホールカバー41上に折り線L1に沿って折り返される。すなわち、膨張部材47は、頂部47cがベントホールカバー41に隣接するように折り返される。
【0082】
次に、
図13(C)に示したように、底部47bが整流布42上に配置されるように、折り線L2に沿って折り返される。この状態で、
図11に示したように、開閉機構4は袋体2(リアパネル)に縫合部43により縫合される。
【0083】
ここで、
図14は、開閉機構の作用を示す断面図であり、(A)は初期状態、(B)は加圧状態、(C)は破断状態、を示している。
図14(A)に示した断面図は、
図11におけるA-A線断面図である。
【0084】
図14(A)に示したように、膨張部材47は、ベントホールカバー41と整流布42との間にベントホール3を覆うように配置されている。袋体2(リアパネル)・ベントホールカバー41・膨張部材47・整流布42は縫合部43で縫合される。この状態で袋体2は折り畳まれてリテーナ等に収容される。
【0085】
車両の衝突等によりエアバッグ装置1が作動するとインフレータ6からエアバッグ5内にガスが供給される。エアバッグ5の膨張展開の進展に応じて、
図14(B)に示したように、整流布42の開口部42aを介して膨張部材47にガスが送り込まれる。膨張部材47は、折り畳まれており排気口47aが閉鎖されていることから、図示したように、ベントホール3の外部に出ようとしてベントホールカバー41を加圧する。
【0086】
このとき、ベントホール3の開口面積に対して整流布42の開口部42aの開口面積を小さくしていることから、エアバッグ5に供給されたガスを膨張部材47に集約して加圧することができ、膨張部材47を膨張させる際の応答性能の向上を図ることができる。
【0087】
また、ベントホールカバー41のフラップ部41cはベントホール3の開口面積より大きい面積を有し、ポケット部43aに収容されていることから、第一スリット部41dからのガス漏れを抑制することができ、ベントホールカバー41(フラップ部41c)に負荷される圧力を高くした場合であっても、ベントホール3の開閉を安定させることができる。
【0088】
その後、乗員の接触等によりエアバッグ5の内圧がさらに上昇すると、膨張部材47がさらに膨張し、ベントホールカバー41に負荷される圧力も上昇して破断部41bが破断する。
図14(C)に示したように、フラップ部41c及び膨張部材47がベントホール3から外部に放出され、膨張部材47の排気口47aからガスが放出される。
【0089】
このとき、ベントホール3よりも整流布42の開口部42aの開口面積を小さくしていることから、整流布42の開口部42aから送り込まれ膨張部材47の排気口47aから放出されるガスとフラップ部41cとの干渉を抑制し、ガスを抜けやすくすることができ、ベントホール3の排気量を安定させることができる。
【0090】
ここで、
図15は、
図12に示した開閉機構の第一変形例を示す図であり、(A)は膨張部材の平面展開図、(B)は膨張部材の折畳状態正面図、(C)は膨張部材の折畳状態裏面図、を示している。
図12に示した第二実施形態と同じ構成部品については、同じ符号を付して重複した説明を省略する。
【0091】
図15(A)に示した第二実施形態の第一変形例は、膨張部材47をベントホールカバー41及び整流布42から独立した別のパネルにより構成したものである。膨張部材47は、略多角形状(例えば、四角形状、六角形状、八角形状等)を有している。なお、角部は円弧形状に形成されていてもよい。排気口47aの構成や折り畳み方法等は、
図12に示した膨張部材47と同じである。
【0092】
図15(B)及び
図15(C)に示したように、膨張部材47は、山折り線Lm及び谷折り線Lvに沿って、中心部に向かって縮径するように折り畳み可能に構成されている。
図15(B)に示した頂部47cは、ベントホールカバー41側に配置され、
図15(C)に示した底部47bは、整流布42側に配置されて、縫合部43により縫合される。
【0093】
ここで、
図16は、
図12に示した開閉機構の第二変形例を示す図であり、(A)はベントホールカバーの平面展開図、(B)はベントホールカバーの折畳状態正面図、(C)はベントホールカバーの折畳状態裏面図、を示している。
図12に示した第二実施形態と同じ構成部品については、同じ符号を付して重複した説明を省略する。
【0094】
図16(A)に示した第二実施形態の第二変形例は、
図15(A)に示した第一変形例と同様に、膨張部材47をベントホールカバー41及び整流布42から独立した別のパネルにより構成したものである。膨張部材47は、例えば、十角形状を有しているが、五角形状であってもよい。角部は円弧形状に形成されていてもよい。
【0095】
図示したように、五つの長辺は、山折り線Lm及び谷折り線Lvによって形成される折り幅Wの折り畳み部を含んでいる。膨張部材47は、中心部に五角形状を有する頂部47cを備え、その外周に底部47bを構成する平面部を備えている。排気口47aは、頂部47cの外周に沿って配置され、膨張部材47の折り畳み時に閉鎖されるように構成されている。
【0096】
図16(B)及び
図16(C)に示したように、膨張部材47は、山折り線Lm及び谷折り線Lvに沿って、中心部に向かって縮径するように折り畳み可能に構成されている。
図16(B)に示した頂部47cは、ベントホールカバー41側に配置され、
図16(C)に示した底部47bは、整流布42側に配置されて、縫合部43により縫合される。
【0097】
上述した第二実施形態の第一変形例及び第二変形例に示した膨張部材47の形状及び構成は単なる一例であり、膨張部材47の形状、構成及び折り畳み方法は、図示した構成に限定されるものではない。
【0098】
本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0099】
1 エアバッグ装置
2 袋体
3 ベントホール
4 開閉機構
5 エアバッグ
6 インフレータ
41 ベントホールカバー
41a スリット部
41b 破断部
41c フラップ部
41d 第一スリット部
41e 第二スリット部
41f 開口部
41g 固定部
41h 底部
41i 頂部
41j スリット部
41k ブリッジ部
42 整流布
42a 開口部
43 縫合部
43a ポケット部
44 補強部
44a インフレータ用開口部
44b 取付孔
44c 縫合部
45 パッチクロス
46 補強部
46a 開口部
47 膨張部材
47a 排気口
47b 底部
47c 頂部