(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165717
(43)【公開日】2022-11-01
(54)【発明の名称】電池パック
(51)【国際特許分類】
H01M 50/291 20210101AFI20221025BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20221025BHJP
H01M 50/271 20210101ALI20221025BHJP
H01M 50/242 20210101ALI20221025BHJP
B60K 1/04 20190101ALI20221025BHJP
H01M 50/249 20210101ALN20221025BHJP
【FI】
H01M50/291
H01M50/204 101
H01M50/271 B
H01M50/242
B60K1/04 Z
H01M50/249
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021071180
(22)【出願日】2021-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】308039414
【氏名又は名称】株式会社FTS
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】錦 伸恭
(72)【発明者】
【氏名】小島 功司
【テーマコード(参考)】
3D235
5H040
【Fターム(参考)】
3D235AA01
3D235BB05
3D235CC15
3D235DD35
3D235EE63
3D235FF07
3D235FF12
3D235HH03
3D235HH26
5H040AA14
5H040AA37
5H040AS04
5H040AT06
5H040AY04
5H040AY05
5H040CC05
5H040CC38
5H040DD08
5H040NN03
(57)【要約】
【課題】電池パックが側方からの衝突を受けた場合であっても、ロアケースやアッパーケースに設けられた突出部が内側に向かって押し込まれることを抑制可能な構成を備えた、電池パックを得る。
【解決手段】電池パック5は、電池モジュール9と、一方向に突出する第1突出部11cを有するロアケース11と、一方向に突出する第2突出部10cを有するアッパーケース10と、第1突出部11cと第2突出部10cとの間に封止構造を形成するシール材12と、電池モジュール9の上方に配置され、一方向に延在する形状を有する板部材13とを備え、板部材13は、一方向における端部の位置に、下方に向けて曲がるフランジ部13bを有し、フランジ部13bは、第2突出部10cよりも高い位置に配置され、且つ、一方向において電池モジュール9よりもアッパーケース10に近い位置に配置されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルを含む電池モジュールと、
一方向に突出する第1突出部を有し、前記電池モジュールの下部を収用するロアケースと、
前記一方向に突出する第2突出部を有し、前記ロアケースとともに前記電池モジュールを内側に収容するアッパーケースと、
前記第1突出部と前記第2突出部との間に設けられ、前記第1突出部と前記第2突出部との間に封止構造を形成するシール材と、
前記電池モジュールの上方に配置され、前記一方向に延在する形状を有する板部材と、を備え、
前記板部材は、前記一方向における端部の位置に、下方に向けて曲がるフランジ部を有しており、
前記フランジ部は、前記第2突出部よりも高い位置に配置され、且つ、前記一方向において前記電池モジュールよりも前記アッパーケースに近い位置に配置されている、
電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
特許第6693282号公報(特許文献1)に開示されているように、ロアケースとアッパーケースとにより電池モジュールを収容した電池パックが知られている。ロアケースおよびアッパーケースの各々は、側方に向けて突出する突出部を有している。ロアケースの突出部とアッパーケースの突出部とが互いに接合または締結等されることによって、ロアケースとアッパーケースとが互いに一体化し、電池モジュールを配置するための空間がロアケースおよびアッパーケースの内側に形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ロアケースおよびアッパーケースの各々に設けられた突出部は、側方に向けて突出する形状を有している。電池パックが側方からの衝突を受けた場合には、ロアケースおよびアッパーケースにおける突出部以外の部位よりも早く、突出部が外力を受けて内側に向けて押し込まれ、その結果、電池パック内部の電池モジュール等に損傷が発生する可能性がある。
【0005】
本開示は、電池パックが側方からの衝突を受けた場合であっても、ロアケースやアッパーケースに設けられた突出部が内側に向かって押し込まれることを抑制可能な構成を備えた、電池パックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
電池パックは、複数の電池セルを含む電池モジュールと、一方向に突出する第1突出部を有し、上記電池モジュールの下部を収用するロアケースと、上記一方向に突出する第2突出部を有し、上記ロアケースとともに上記電池モジュールを内側に収容するアッパーケースと、上記第1突出部と上記第2突出部との間に設けられ、上記第1突出部と上記第2突出部との間に封止構造を形成するシール材と、上記電池モジュールの上方に配置され、上記一方向に延在する形状を有する板部材と、を備え、上記板部材は、上記一方向における端部の位置に、下方に向けて曲がるフランジ部を有しており、上記フランジ部は、上記第2突出部よりも高い位置に配置され、且つ、上記一方向において上記電池モジュールよりも上記アッパーケースに近い位置に配置されている。
【発明の効果】
【0007】
上記構成によれば、電池パックが側方からの衝突を受けた場合であっても、ロアケースやアッパーケースに設けられた突出部が内側に向かって押し込まれることを抑制可能な構成を備えた、電池パックを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】電池パック5に備えられるロアケース11および板部材13を示す斜視図である。
【
図3】電池パック5が側方(一例として後方)からの衝突を受けた場合の挙動を説明するための第1断面図である。
【
図4】電池パック5が側方(一例として後方)からの衝突を受けた場合の挙動を説明するための第2断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本開示の実施の形態について説明する。以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本開示の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。各々の構成要素は、特に記載がある場合を除き、本開示にとって必ずしも必須のものではない。同一の部品および相当部品には同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。
【0010】
図1は、電池パック5を示す断面図である。電池パック5は、車両等に搭載されて使用される。電池パック5が車両に搭載された状態では、たとえば、図中に示す矢印Fr方向が車両前進方向に一致し、矢印Rr方向が車両後退方向に一致し、矢印Up方向が車両上方向に一致する。なお、
図2に示す矢印Rh方向は車両右手方向に一致し、その反対方向が車両左手方向に一致する。
【0011】
図1に示すように、電池パック5は、たとえばフロアパネル1の下方の位置、具体的にはシートクッション3(一例として2列目のシートクッション)の下方の位置に設けられる。ここでは、フロアパネル1の前方上方側の角部1aの位置にフロントクロスメンバ2が設けられており、フロントクロスメンバ2の後方の位置に、リヤクロスメンバ4が設けられている。
【0012】
フロントクロスメンバ2には、フロントブラケット6が垂れ下がるように取り付けられており、フロントブラケット6により、リーンフォース8Aが支持されている。リヤクロスメンバ4には、リヤブラケット7が垂れ下がるように取り付けられており、リヤブラケット7により、リーンフォース8Bが支持されている。
【0013】
電池パック5は、電池モジュール9、アッパーケース10、ロアケース11、シール材12、板部材13、および電子機器14を備える。電池モジュール9は、複数の電池セルと、一対のエンドプレートとを有する。複数の電池セルは、たとえば
図1紙面に対して垂直な方向に積層されており、不図示のバスバーを介して相互に電気接続されている。
【0014】
図2は、電池パック5に備えられるロアケース11および板部材13を示す斜視図である。図示上の便宜のため、
図2には、電池モジュール9、アッパーケース10、シール材12、板部材13、および電子機器14などは図示していない。
【0015】
図1、
図2に示すように、ロアケース11は、底面11a、側面11bおよび第1突出部11cを有し、電池モジュール9の下部を収用している。底面11aは平板形状を有する。底面11aの上方に電池モジュール9が配置される。ロアケース11の側面11bは、底面11aの周縁に沿って延びる環状の形状を有し、底面11aの周縁から上方に向かって起立するように設けられている。
【0016】
第1突出部11cは、側面11bの上部にフランジ状に設けられており、ロアケース11とアッパーケース10とを互いに接合または締結等するために用いられる。ロアケース11は、少なくとも一方向(ここでは矢印Rr方向)に突出する第1突出部11cを有している。ここでは、第1突出部11cは、側面11bの上部で環状に延在している。
【0017】
ロアケース11の底面11aが、フロントブラケット6の下部、リヤブラケット7の下部、およびリーンフォース8A,8Bにより支持されている。ロアケース11(電池パック5)は、フロントクロスメンバ2、リヤクロスメンバ4、フロントブラケット6、リヤブラケット7およびリーンフォース8A,8Bを介して、車両のフロアパネル1に取り付けられる。
【0018】
図1に示すように、アッパーケース10は、天面10a、側面10bおよび第2突出部10cを有し、ロアケース11とともに電池モジュール9を内側に収容する。天面10aは平板形状を有する。天面10aの下方に電池モジュール9が配置される。側面10bは、天面10aの周縁に沿って延びる環状の形状を有し、天面10aの周縁から下方に向かって垂れ下がるように設けられている。
【0019】
第2突出部10cは、側面10bの下部にフランジ状に設けられており、ロアケース11とアッパーケース10とを互いに接合または締結等するために用いられる。アッパーケース10は、少なくとも一方向(ここでは矢印Rr方向)に突出する第2突出部10cを有している。ここでは、第2突出部10cは、側面10bの下部で環状に延在している。
【0020】
シール材12は、第1突出部11cの形状や第2突出部10cの形状に対応するように、たとえば環状の形状を有している。シール材12は、第1突出部11cと第2突出部10cとの間に設けられ、第1突出部11cと第2突出部10cとの間に封止構造を形成する。
【0021】
板部材13は、電池モジュール9の上方に配置される。板部材13は、上記の一方向(ここでは矢印Rr方向)に延在する形状を有する本体部13aと、上記一方向における端部の位置に、下方に向けて曲がるフランジ部13bと、を有している。板部材13の本体部13aの上方に、ECU等から構成される電子機器14が配置され、板部材13は電子機器14を下方から支持する。
【0022】
図2に示すように、板部材13は、たとえば矢印Rhとは反対方向の側の端部に設けられた取付部13dを介して、台座16などに固定されて
図1に示すような姿勢、具体的には、板部材13の本体部13aが電池モジュール9の上方において略水平となり、上記一方向における端部に下方に向けて曲がるフランジ部13bが位置するような姿勢に保持される。
【0023】
ここで、
図1に示すように、板部材13のフランジ部13bは、アッパーケース10の第2突出部10cよりも高い位置に配置され、且つ、上記の一方向において電池モジュール9よりもアッパーケース10に近い位置(より具体的にはアッパーケース10の側面10bに近い位置)に配置されている。
【0024】
[作用および効果]
図3および
図4は、それぞれ、電池パック5が側方(ここでは一例として後方)からの衝突を受けた場合の挙動を説明するための第1および第2断面図である。
図3の矢印DR1に示すように、電池パック5が側方(たとえば後方)からの衝突を受けた場合には、荷重が、リヤブラケット7(
図1)を介して第1突出部11cおよび第2突出部10cに作用する。第1突出部11cおよび第2突出部10cは、矢印DR1と同じ方向に変位しようとする。
【0025】
図4に示すように、ここでは、第1突出部11cおよび第2突出部10cが電池モジュール9に接触するよりも前に、アッパーケース10の側面10bが板部材13のフランジ部13bに接触する。アッパーケース10の側面10bのうちのフランジ部13bよりも下方側の部分が、フランジ部13bの位置を起点として矢印DR2に示すように回動することとなる。側面10bがフランジ部13bの位置を起点として回動することに伴って、第2突出部10cも同方向に折れ曲がり、第1突出部11cもこれに追従して同方向に折れ曲がる。第2突出部10cおよび第1突出部11cは、矢印DR1と同じ方向を向いた直線移動ではなく、矢印DR2に示すように回動することとなり、下方向へと移動させられる。
【0026】
すなわち、第1突出部11cおよび第2突出部10cが電池モジュール9に向かって矢印DR1方向に沿って直線的に変位することが板部材13のフランジ部13bの存在によって抑制されている。電池パック5が側方(ここでは後方)からの衝突を受けた場合であっても、ロアケース11やアッパーケース10に設けられた突出部(第1突出部11cおよび第2突出部10c)が内側に向かって押し込まれることを抑制可能な構成とすることが可能となっており、第1突出部11cおよび第2突出部10cが電池モジュール9に接触するまでの距離(許容ストローク)を長く確保することが可能となっている。
【0027】
以上、本開示の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0028】
1 フロアパネル、1a 角部、2 フロントクロスメンバ、3 シートクッション、4 リヤクロスメンバ、5 電池パック、6 フロントブラケット、7 リヤブラケット、8A,8B リーンフォース、9 電池モジュール、10 アッパーケース、10a 天面、10b,11b 側面、10c 第2突出部、11 ロアケース、11a 底面、11c 第1突出部、12 シール材、13 板部材、13a 本体部、13b フランジ部、13d 取付部、14 電子機器、16 台座。