(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165718
(43)【公開日】2022-11-01
(54)【発明の名称】電力増幅回路
(51)【国際特許分類】
H03F 3/21 20060101AFI20221025BHJP
【FI】
H03F3/21
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021071181
(22)【出願日】2021-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 孝
【テーマコード(参考)】
5J500
【Fターム(参考)】
5J500AA01
5J500AA41
5J500AC22
5J500AF10
5J500AM08
(57)【要約】
【課題】高周波出力信号の高周波入力信号依存性及びスロープを抑制する。
【解決手段】多段接続された複数の電力増幅器と、複数の制御電流に夫々基づいて、複数のバイアス電流を夫々出力する複数のバイアス回路と、制御電圧に基づいて、複数の制御電流を複数のバイアス回路に出力する、制御回路と、を含む。複数の電力増幅器は、初段が電気的に並列接続された第1電力増幅器及び第2電力増幅器を含む。複数のバイアス回路は、第1バイアス回路及び第2バイアス回路を含む。制御回路は、制御電圧が第1閾値電圧の場合に第1電流値となり、制御電圧が第1閾値電圧より大きい場合に制御電圧に応じて線形に増加する第1制御電流を、第1バイアス回路に出力する第1電流出力部、及び、制御電圧が第1閾値電圧以上の場合に一定の第2電流値となる第2制御電流を、第2バイアス回路に出力する第2電流出力部を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多段接続された複数の電力増幅器と、
複数の制御電流に夫々基づいて、複数のバイアス電流を前記複数の電力増幅器に夫々出力する複数のバイアス回路と、
制御電圧に基づいて、前記複数の制御電流を前記複数のバイアス回路に出力する、制御回路と、
を含み、
前記複数の電力増幅器は、
初段が電気的に並列接続された第1電力増幅器及び第2電力増幅器を含み、
前記複数のバイアス回路は、
第1制御電流に基づいて第1バイアス電流を前記第1電力増幅器に出力する第1バイアス回路及び第2制御電流に基づいて第2バイアス電流を前記第2電力増幅器に出力する第2バイアス回路を含み、
前記制御回路は、
前記制御電圧が第1閾値電圧の場合に第1電流値となり、前記制御電圧が前記第1閾値電圧より大きい場合に前記制御電圧に応じて線形に増加する第1制御電流を、前記第1バイアス回路に出力する第1電流出力部、及び、前記制御電圧が前記第1閾値電圧以上の場合に一定の第2電流値となる第2制御電流を、前記第2バイアス回路に出力する第2電流出力部を含む、
電力増幅回路。
【請求項2】
請求項1に記載の電力増幅回路であって、
前記複数の電力増幅器は、
前記第1電力増幅器及び前記第2電力増幅器の出力に接続された第2段の第3電力増幅器及び前記第3電力増幅器の出力に接続された第3段の第4電力増幅器を含み、
前記複数のバイアス回路は、
第3制御電流に基づいて第3バイアス電流を前記第3電力増幅器に出力する第3バイアス回路及び第4制御電流に基づいて第4バイアス電流を前記第4電力増幅器に出力する第4バイアス回路を含み、
前記制御回路は、
前記制御電圧が前記第1閾値電圧よりも高い第2閾値電圧以上の場合に、前記制御電圧の2乗に比例する前記第3制御電流及び前記第4制御電流を、前記第3バイアス回路及び前記第4バイアス回路に夫々出力する第3電流出力部及び第4電流出力部を含む、
電力増幅回路。
【請求項3】
請求項1に記載の電力増幅回路であって、
前記複数の電力増幅器は、
前記第1電力増幅器及び前記第2電力増幅器の出力に接続された第2段の第3電力増幅器及び前記第3電力増幅器の出力に接続された第3段の第4電力増幅器を含み、
前記複数のバイアス回路は、
第3制御電流に基づいて第3バイアス電流を前記第3電力増幅器に出力する第3バイアス回路及び第4制御電流に基づいて第4バイアス電流を前記第4電力増幅器に出力する第4バイアス回路を含み、
前記制御回路は、
前記制御電圧が前記第1閾値電圧以上の場合に、前記制御電圧の2乗に比例する前記第3制御電流及び前記第4制御電流を、前記第3バイアス回路及び前記第4バイアス回路に夫々出力する第3電流出力部及び第4電流出力部を含む、
電力増幅回路。
【請求項4】
請求項1に記載の電力増幅回路であって、
前記複数の電力増幅器は、
前記第1電力増幅器及び前記第2電力増幅器の出力に接続された第2段の第3電力増幅器及び前記第3電力増幅器の出力に接続された第3段の第4電力増幅器を含み、
前記複数のバイアス回路は、
第3制御電流に基づいて第3バイアス電流を前記第3電力増幅器に出力する第3バイアス回路及び第4制御電流に基づいて第4バイアス電流を前記第4電力増幅器に出力する第4バイアス回路を含み、
前記制御回路は、
前記制御電圧が前記第1閾値電圧以上の場合に、前記制御電圧に応じて線形に増加する前記第3制御電流及び前記第4制御電流を、前記第3バイアス回路及び前記第4バイアス回路に夫々出力する第3電流出力部及び第4電流出力部を含む、
電力増幅回路。
【請求項5】
請求項1に記載の電力増幅回路であって、
前記複数の電力増幅器は、
前記第1電力増幅器及び前記第2電力増幅器の出力に接続された第2段の第3電力増幅器及び前記第3電力増幅器の出力に接続された第3段の第4電力増幅器を含み、
前記複数のバイアス回路は、
第3制御電流に基づいて第3バイアス電流を前記第3電力増幅器に出力する第3バイアス回路及び第4制御電流に基づいて第4バイアス電流を前記第4電力増幅器に出力する第4バイアス回路を含み、
前記制御回路は、
第3制御電流を前記第3バイアス回路に出力する第3電流出力部及び第4制御電流を前記第4バイアス回路に出力する第4電流出力部を含み、
前記第3電流出力部及び前記第4電流出力部の内の一方は、前記制御電圧が前記第1閾値電圧よりも高い第2閾値電圧以上の場合に前記制御電圧の2乗に比例する制御電流を出力し、
前記第3電流出力部及び前記第4電流出力部の内の他方は、前記制御電圧が前記第1閾値電圧よりも高い第3閾値電圧以上の場合に前記制御電圧に応じて線形に増加する制御電流を出力する、
電力増幅回路。
【請求項6】
請求項5に記載の電力増幅回路であって、
前記第2閾値電圧と前記第3閾値電圧とは同一の閾値電圧である、
電力増幅回路。
【請求項7】
請求項1に記載の電力増幅回路であって、
前記複数の電力増幅器は、
前記第1電力増幅器及び前記第2電力増幅器の出力に接続された第2段の第3電力増幅器及び前記第3電力増幅器の出力に接続された第3段の第4電力増幅器を含み、
前記複数のバイアス回路は、
第3制御電流に基づいて第3バイアス電流を前記第3電力増幅器に出力する第3バイアス回路及び第4制御電流に基づいて第4バイアス電流を前記第4電力増幅器に出力する第4バイアス回路を含み、
前記制御回路は、
第3制御電流を前記第3バイアス回路に出力する第3電流出力部及び第4制御電流を前記第4バイアス回路に出力する第4電流出力部を含み、
前記第3電流出力部及び前記第4電流出力部の内の一方は、前記制御電圧が前記第1閾値電圧以上の場合に前記制御電圧の2乗に比例する制御電流を出力し、
前記第3電流出力部及び前記第4電流出力部の内の他方は、前記制御電圧が前記第1閾値電圧以上の場合に前記制御電圧に応じて線形に増加する制御電流を出力する、
電力増幅回路。
【請求項8】
請求項1に記載の電力増幅回路であって、
前記複数の電力増幅器は、
前記第1電力増幅器及び前記第2電力増幅器の出力に接続された第2段の第3電力増幅器及び前記第3電力増幅器の出力に接続された第3段の第4電力増幅器を含み、
前記複数のバイアス回路は、
第3制御電流に基づいて第3バイアス電流を前記第3電力増幅器に出力する第3バイアス回路及び第4制御電流に基づいて第4バイアス電流を前記第4電力増幅器に出力する第4バイアス回路を含み、
前記制御回路は、
第3制御電流を前記第3バイアス回路に出力する第3電流出力部及び第4制御電流を前記第4バイアス回路に出力する第4電流出力部を含み、
前記第3電流出力部及び前記第4電流出力部は、前記制御電圧が前記第1閾値電圧よりも高い第2閾値電圧以上の場合に、前記制御電圧の2乗に比例する制御電流、または、前記制御電圧に応じて線形に増加する制御電流を出力する、
電力増幅回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力増幅回路に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、GSM(Global System for Mobile communications)のGMSK(Gaussian filtered Minimum Shift Keying)送信モードでは、制御電圧によって電力増幅回路の利得を制御することが、行われている。
【0003】
特許文献1には、制御電圧に比例するバイアス電流を前段の増幅器に供給し、制御電圧の2乗に比例するバイアス電流を後段の増幅器に供給する高周波電力増幅回路が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1記載の高周波電力増幅回路では、高周波出力信号が低電力の場合に、高周波出力信号の高周波入力信号依存性及びスロープが大きくなってしまう。本開示において、スロープとは、制御電圧に対する利得の変化率を言う。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、高周波出力信号の高周波入力信号依存性及びスロープを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面の電力増幅回路は、多段接続された複数の電力増幅器と、複数の制御電流に夫々基づいて、複数のバイアス電流を複数の電力増幅器に夫々出力する複数のバイアス回路と、制御電圧に基づいて、複数の制御電流を複数のバイアス回路に出力する、制御回路と、を含む。複数の電力増幅器は、初段が電気的に並列接続された第1電力増幅器及び第2電力増幅器を含む。複数のバイアス回路は、第1制御電流に基づいて第1バイアス電流を第1電力増幅器に出力する第1バイアス回路及び第2制御電流に基づいて第2バイアス電流を第2電力増幅器に出力する第2バイアス回路を含む。制御回路は、制御電圧が第1閾値電圧の場合に第1電流値となり、制御電圧が第1閾値電圧より大きい場合に制御電圧に応じて線形に増加する第1制御電流を、第1バイアス回路に出力する第1電流出力部、及び、制御電圧が第1閾値電圧以上の場合に一定の第2電流値となる第2制御電流を、第2バイアス回路に出力する第2電流出力部を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、高周波出力信号の高周波入力信号依存性及びスロープを抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1の実施の形態の電力増幅回路の構成を示す図である。
【
図2】
図2は、第1の実施の形態の電力増幅回路の第1バイアス回路の回路構成を示す図である。
【
図3】
図3は、第1の実施の形態の電力増幅回路の第1電力増幅器及び第2電力増幅器の回路構成の第1例を示す図である。
【
図4】
図4は、第1の実施の形態の電力増幅回路の第1電力増幅器及び第2電力増幅器の回路構成の第2例を示す図である。
【
図5】
図5は、第1の実施の形態の電力増幅回路の第1電力増幅器及び第2電力増幅器の回路構成の第3例を示す図である。
【
図6】
図6は、第1の実施の形態の電力増幅回路の第1電力増幅器及び第2電力増幅器の回路構成の第4例を示す図である。
【
図7】
図7は、比較例の回路シミュレーション結果を示す図である。
【
図8】
図8は、比較例の回路シミュレーション結果を示す図である。
【
図9】
図9は、比較例の回路シミュレーション結果を示す図である。
【
図10】
図10は、比較例の回路シミュレーション結果を示す図である。
【
図11】
図11は、第1の実施の形態の回路シミュレーション結果を示す図である。
【
図12】
図12は、第1の実施の形態の回路シミュレーション結果を示す図である。
【
図13】
図13は、第1の実施の形態の回路シミュレーション結果を示す図である。
【
図14】
図14は、第1の実施の形態の回路シミュレーション結果を示す図である。
【
図15】
図15は、第2の実施の形態の回路シミュレーション結果を示す図である。
【
図16】
図16は、第2の実施の形態の回路シミュレーション結果を示す図である。
【
図17】
図17は、第3の実施の形態の回路シミュレーション結果を示す図である。
【
図18】
図18は、第3の実施の形態の回路シミュレーション結果を示す図である。
【
図19】
図19は、第3の実施の形態の回路シミュレーション結果を示す図である。
【
図20】
図20は、第3の実施の形態の回路シミュレーション結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の電力増幅回路の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。各実施の形態は例示であり、異なる実施の形態で示した構成の部分的な置換又は組み合わせが可能であることは言うまでもない。第2の実施の形態以降では第1の実施の形態と共通の事柄についての記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については実施形態毎には逐次言及しない。
【0011】
<第1の実施の形態及び比較例>
(回路構成)
図1は、第1の実施の形態の電力増幅回路の構成を示す図である。電力増幅回路1は、高周波入力信号RFINを増幅して、高周波出力信号RFOUTを出力する。電力増幅回路1は、第1半導体チップ2と、第2半導体チップ3と、を含む。
【0012】
第1半導体チップ2は、第1電力増幅器11から第4電力増幅器14までと、第1バイアス回路15から第4バイアス回路18までと、第1抵抗Rbb1から第4抵抗Rbb4までと、を含む。
【0013】
第2半導体チップ3は、第1電流出力部31から第4電流出力部34までと、レギュレータ部35と、を含む。
【0014】
第1電流出力部31には、制御電圧Vrampが入力される。制御電圧Vrampは、電力増幅回路1の利得を制御するための電圧である。第1電流出力部31は、制御電圧Vrampに基づいて、第1制御電流IB1を、第1バイアス回路15に出力する。
【0015】
第2電流出力部32には、制御電圧Vrampが入力される。第2電流出力部32は、制御電圧Vrampに基づいて、第2制御電流IB2を、第2バイアス回路16に出力する。
【0016】
第3電流出力部33には、制御電圧Vrampが入力される。第3電流出力部33は、制御電圧Vrampに基づいて、第3制御電流IB3を、第3バイアス回路17に出力する。
【0017】
第4電流出力部34には、制御電圧Vrampが入力される。第4電流出力部34は、制御電圧Vrampに基づいて、第4制御電流IB4を、第4バイアス回路18に出力する。
【0018】
レギュレータ部35は、電源電圧Vbatを、第1バイアス回路15から第4バイアス回路18までに出力する。第1バイアス回路15から第4バイアス回路18までは、レギュレータ部35から電源電圧Vbatの供給を受けて、動作する。
【0019】
第1バイアス回路15は、第1制御電流IB1に基づいて、第1バイアス電流I1を、第1抵抗Rbb1を介して、第1電力増幅器11に出力する。
【0020】
第2バイアス回路16は、第2制御電流IB2に基づいて、第2バイアス電流I2を、第2抵抗Rbb2を介して、第2電力増幅器12に出力する。
【0021】
第3バイアス回路17は、第3制御電流IB3に基づいて、第3バイアス電流I3を、第3抵抗Rbb3を介して、第3電力増幅器13に出力する。
【0022】
第4バイアス回路18は、第4制御電流IB4に基づいて、第4バイアス電流I4を、第4抵抗Rbb4を介して、第4電力増幅器14に出力する。
【0023】
図2は、第1の実施の形態の電力増幅回路の第1バイアス回路の回路構成を示す図である。なお、
図2では、第1バイアス回路15の回路構成について説明する。第2バイアス回路16から第4バイアス回路18までの回路構成は、第1バイアス回路15の回路構成と同様であるので、図示及び説明を省略する。
【0024】
第1バイアス回路15は、抵抗15aと、トランジスタ15b、15c及び15eと、コンデンサ15dと、を含む。
【0025】
本開示では、各トランジスタは、バイポーラトランジスタとするが、本開示はこれに限定されない。バイポーラトランジスタは、ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(Heterojunction Bipolar Transistor:HBT)が例示されるが、本開示はこれに限定されない。トランジスタは、例えば、電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor:FET)であっても良い。トランジスタは、複数の単位トランジスタを電気的に並列接続した、マルチフィンガートランジスタであっても良い。単位トランジスタとは、トランジスタが構成される最小限の構成を言う。
【0026】
抵抗15aの一端には、第1制御電流IB1が入力される。
【0027】
トランジスタ15bは、コレクタとベースとが電気的に接続されている。つまり、トランジスタ15bは、ダイオード接続されている。トランジスタ15bのコレクタ及びベースは、抵抗15aの他端に電気的に接続されている。
【0028】
トランジスタ15cは、コレクタとベースとが電気的に接続されている。つまり、トランジスタ15cは、ダイオード接続されている。トランジスタ15cのコレクタ及びベースは、トランジスタ15bのエミッタに電気的に接続されている。トランジスタ15cのエミッタは、基準電位に電気的に接続されている。
【0029】
トランジスタ15b及び15cの直列接続回路は、第1制御電流IB1に応じて、一定の電位VBを発生させる。
【0030】
コンデンサ15dの一端は、トランジスタ15bのコレクタ及びベースに電気的に接続されている。コンデンサ15dの他端は、基準電位に電気的に接続されている。コンデンサ15dは、電位VBを安定化させる。
【0031】
トランジスタ15eのベースは、コンデンサ15dの一端に電気的に接続され、電位VBが入力される。トランジスタ15eのコレクタは、電源電圧Vbatに電気的に接続されている。トランジスタ15eのエミッタは、第1抵抗Rbb1(
図1参照)に電気的に接続されている。つまり、トランジスタ15e及び第1抵抗Rbb1は、エミッタフォロワ接続されている。
【0032】
トランジスタ15eは、電位VBに応じて、第1バイアス電流I1を、第1抵抗Rbb1を介して、第1電力増幅器11(
図1参照)に出力する。
【0033】
再び
図1を参照すると、第1電力増幅器11及び第2電力増幅器12には、電源電圧Vcc1が入力される。第1電力増幅器11及び第2電力増幅器12は、電源電圧Vcc1の供給を受けて、動作する。
【0034】
第3電力増幅器13には、電源電圧Vcc2が入力される。第3電力増幅器13は、電源電圧Vcc2の供給を受けて、動作する。
【0035】
第4電力増幅器14には、電源電圧Vcc3が入力される。第4電力増幅器14は、電源電圧Vcc3の供給を受けて、動作する。
【0036】
電源電圧Vcc1、Vcc2及びVcc3は、異なっていても良いし、同じであっても良い。
【0037】
第1電力増幅器11と第2電力増幅器12とは、互いに電気的に並列接続されている。本開示では、第1電力増幅器11の入力と第2電力増幅器12の入力とが、電気的に同じノードに共通接続されている。また、第1電力増幅器11の出力と第2電力増幅器12の出力とが、電気的に同じノードに共通接続されている。第1電力増幅器11及び第2電力増幅器12の入力端子には、高周波入力信号RFINが入力される。第1電力増幅器11及び第2電力増幅器12は、高周波入力信号RFINを増幅して、高周波信号RF1を出力する。
【0038】
第3電力増幅器13の入力端子は、第1電力増幅器11及び第2電力増幅器12の出力端子に電気的に接続されている。第3電力増幅器13は、高周波信号RF1を増幅して、高周波信号RF2を出力する。
【0039】
第4電力増幅器14の入力端子は、第3電力増幅器13の出力端子に電気的に接続されている。第4電力増幅器14は、高周波信号RF2を増幅して、高周波出力信号RFOUTを出力する。
【0040】
つまり、第1電力増幅器11から第4電力増幅器14までは、多段(ここでは、3段)接続されている。
【0041】
第1電力増幅器11及び第2電力増幅器12が、初段(ドライバ段)電力増幅器に相当する。
【0042】
第3電力増幅器13が、第2段(中間段)電力増幅器に相当する。
【0043】
第4電力増幅器14が、第3段(パワー段)電力増幅器に相当する。
【0044】
第1の実施の形態では、(初段の利得)<(第2段の利得)<(第3段の利得)とするが、本開示はこれに限定されない。
【0045】
なお、第1の実施の形態では、初段電力増幅器が、電気的に並列接続された2個の電力増幅器(第1電力増幅器11及び第2電力増幅器12)を含むこととしたが、本開示はこれに限定されない。初段電力増幅器は、電気的に並列接続された3個以上の電力増幅器を含むこととしても良い。
【0046】
また、第1の実施の形態では、複数の電力増幅器が3段接続されていることとしたが、本開示はこれに限定されない。複数の電力増幅器が2段接続又は4段以上に接続されていることとしても良い。いずれの場合も、初段電力増幅器が、電気的に並列接続された2個以上の電力増幅器を含んでいれば良い。
【0047】
図3は、第1の実施の形態の電力増幅回路の第1電力増幅器及び第2電力増幅器の回路構成の第1例を示す図である。
【0048】
第1電力増幅器11は、抵抗Rb1及びRe1と、DCカットコンデンサCbb1と、トランジスタTr1と、を含む。
【0049】
抵抗Rb1の一端には、高周波入力信号RFINが入力される。抵抗Rb1の他端は、DCカットコンデンサCbb1の一端に電気的に接続されている。DCカットコンデンサCbb1の他端は、トランジスタTr1のベースに電気的に接続されている。
【0050】
トランジスタTr1のコレクタには、電源電圧Vcc1が入力される。トランジスタTr1のエミッタは、抵抗Re1の一端に電気的に接続されている。抵抗Re1の他端は、基準電位に電気的に接続されている。
【0051】
トランジスタTr1のベースには、第1抵抗Rbb1(
図1参照)を介して、第1バイアス電流I1が入力される。また、トランジスタTr1のベースには、抵抗Rb1及びDCカットコンデンサCbb1を通過した後の高周波入力信号RFINが入力される。
【0052】
トランジスタTr1は、高周波入力信号RFINを増幅して、増幅後の高周波信号RF1をコレクタから出力する。
【0053】
第2電力増幅器12は、抵抗Rb2及びRe2と、DCカットコンデンサCbb2と、トランジスタTr2と、を含む。
【0054】
抵抗Rb2及びRe2、DCカットコンデンサCbb2、並びに、トランジスタTr2の接続関係は、抵抗Rb1及びRe1、DCカットコンデンサCbb1、並びに、トランジスタTr1の接続関係と同様であるので、説明を省略する。
【0055】
抵抗Rb1及び抵抗Rb2の抵抗値を調整したり、トランジスタTr1及びトランジスタTr2のサイズを調整したりすることで、第1電力増幅器11の利得と第2電力増幅器12の利得とを調整することができる。
【0056】
図4は、第1の実施の形態の電力増幅回路の第1電力増幅器及び第2電力増幅器の回路構成の第2例を示す図である。
【0057】
第1電力増幅器11Aは、第1電力増幅器11(
図3参照)と比較して、コンデンサCbe1を更に含む。
【0058】
コンデンサCbe1の一端は、トランジスタTr1のベースに電気的に接続されている。コンデンサCbe1の他端は、基準電位に電気的に接続されている。
【0059】
第2電力増幅器12Aは、第2電力増幅器12(
図3参照)と比較して、コンデンサCbe2を更に含む。
【0060】
コンデンサCbe2の接続関係は、コンデンサCbe1の接続関係と同様であるので、説明を省略する。
【0061】
図5は、第1の実施の形態の電力増幅回路の第1電力増幅器及び第2電力増幅器の回路構成の第3例を示す図である。
【0062】
第1電力増幅器11Bは、第1電力増幅器11A(
図4参照)と比較して、抵抗Rbc1と、コンデンサCbc1と、を更に含む。
【0063】
抵抗Rbc1の一端は、トランジスタTr1のベースに電気的に接続されている。抵抗Rbc1の他端は、コンデンサCbc1の一端に電気的に接続されている。コンデンサCbc1の他端は、トランジスタTr1のコレクタに電気的に接続されている。
【0064】
第2電力増幅器12Bは、第2電力増幅器12A(
図4参照)と比較して、抵抗Rbc2と、コンデンサCbc2と、を更に含む。
【0065】
抵抗Rbc2及びコンデンサCbc2の接続関係は、抵抗Rbc1及びコンデンサCbc1の接続関係と同様であるので、説明を省略する。
【0066】
図6は、第1の実施の形態の電力増幅回路の第1電力増幅器及び第2電力増幅器の回路構成の第4例を示す図である。
【0067】
第2電力増幅器12Cは、第2電力増幅器12B(
図5参照)と比較して、抵抗Rb2を含んでいない。従って、交流入力信号RFINは、DCカットコンデンサCbb2だけを介して、トランジスタTr2のベースに入力される。また、第2電力増幅器12Cは、第2電力増幅器12Bと比較して、コンデンサCbe2を含んでいない。
【0068】
なお、
図3から
図6まででは、第1電力増幅器11、11A及び、11B、並びに、第2電力増幅器12、12A、12B及び12Cの回路構成について示した。第3電力増幅器13及び第4電力増幅器14の回路構成は、第1電力増幅器11、11A及び、11B、並びに、第2電力増幅器12、12A、12B及び12Cの回路構成と同様であるので、図示及び説明を省略する。
【0069】
(比較例)
図7及び
図8は、比較例の回路シミュレーション結果を示す図である。具体的には、
図7及び
図8は、制御電圧と制御電流との関係を示す図である。
図7の波形101は、第1制御電流IB1の波形であり、波形102は、第2制御電流IB2の波形である。
図8の波形103は、第3制御電流IB3及び第4制御電流IB4の波形である。
【0070】
波形101で示すように、第1電流出力部31は、制御電圧Vrampが予め定められた閾値電圧Vbs1未満の場合に、第1制御電流IB1をゼロとする。また、第1電流出力部31は、制御電圧Vrampが閾値電圧Vbs1以上且つ予め定められた閾値電圧Vbs3未満の場合に、制御電圧Vrampに応じて線形に増加する第1制御電流IB1を、第1バイアス回路15に出力する。
【0071】
また、第1電流出力部31は、制御電圧Vrampが予め定められた閾値電圧Vbs2の場合に、予め定められた電流値Ibs3となる第1制御電流IB1を、第1バイアス回路15に出力する。また、第1電流出力部31は、制御電圧Vrampが閾値電圧Vbs3以上の場合に、予め定められた一定の第1制御電流IB1を、第1バイアス回路15に出力する。
【0072】
ここで、Vbs1<Vbs2<Vbs3である。また、閾値電圧Vbs1は、0Vであっても良いし、0V以外であっても良い。
【0073】
波形102で示すように、第2電流出力部32は、制御電圧Vrampが閾値電圧Vbs1未満の場合に、第2制御電流IB2をゼロとする。また、第2電流出力部32は、制御電圧Vrampが閾値電圧Vbs1以上且つ閾値電圧Vbs2未満の場合に、制御電圧Vrampに応じて線形に増加する第2制御電流IB2を、第2バイアス回路16に出力する。また、第2電流出力部32は、制御電圧Vrampが閾値電圧Vbs2以上の場合に、予め定められた電流値Ibs2となる第2制御電流IB2を、第2バイアス回路16に出力する。
【0074】
ここで、Ibs2<Ibs3である。
【0075】
波形103で示すように、第3電流出力部33及び第4電流出力部34は、制御電圧Vrampが閾値電圧Vbs1未満の場合に、第3制御電流IB3及び第4制御電流IB4をゼロとする。また、第3電流出力部33及び第4電流出力部34は、制御電圧Vrampが閾値電圧Vbs1以上且つ閾値電圧Vbs3未満の場合に、制御電圧Vrampに応じて線形に増加する第3制御電流IB3及び第4制御電流IB4を、第3バイアス回路17及び第4バイアス回路18に夫々出力する。
【0076】
また、第3電流出力部33及び第4電流出力部34は、制御電圧Vrampが閾値電圧Vbs2の場合に、予め定められた電流値Ibs4となる第3制御電流IB3及び第4制御電流IB4を、第3バイアス回路17及び第4バイアス回路18に夫々出力する。また、第3電流出力部33及び第4電流出力部34は、制御電圧Vrampが閾値電圧Vbs3以上の場合に、予め定められた一定の第3制御電流IB3及び第4制御電流IB4を、第3バイアス回路17及び第4バイアス回路18に夫々出力する。
【0077】
図9は、比較例の回路シミュレーション結果を示す図である。具体的には、比較例の交流出力電力と、交流出力電力の変化量と、の関係を示す図である。
図9の波形111は、一例としてGSMの仕様上の上限を示し、波形112は、一例としてGSMの仕様上の下限を示す。
【0078】
波形113は、入力電力Pinが-1dBmの場合の、出力電力Poutと出力電力Poutの変化量ΔPoutとの関係を示す。波形114は、入力電力Pinが2.5dBmの場合の、出力電力Poutと変化量ΔPoutとの関係を示す。波形115は、入力電力Pinが6dBmの場合の、出力電力Poutと変化量ΔPoutとの関係を示す。
【0079】
波形113から波形115までは、波形111と波形112との間に収まっている。しかしながら、電力増幅回路1の温度変動による変化量ΔPoutの変動や、電力増幅回路1の前段及び後段の回路による交流出力電力の変動等を考慮すると、変化量ΔPoutを更に小さくすることが、好ましい。
【0080】
図10は、比較例の回路シミュレーション結果を示す図である。具体的には、比較例の制御電圧とスロープとの関係を示す図である。先に説明したように、本開示において、スロープとは、制御電圧に対する利得の変化率を言う。
【0081】
図10の線121は、出力電力Poutが5dBmとなる場合の、制御電圧Vrampを示す。線122は、ターゲットとするスロープ値(一例として、200dB/V)を示す。波形123は、入力電力Pinが-1dBmの場合の、制御電圧Vrampとスロープとの関係を示す。波形124は、入力電力Pinが2.5dBmの場合の、制御電圧Vrampとスロープとの関係を示す。波形125は、入力電力Pinが6dBmの場合の、制御電圧Vrampとスロープとの関係を示す。
【0082】
波形123から波形125までで示すように、出力電力Poutが5dBmとなる場合、スロープ値がターゲットを上回ってしまっている。
【0083】
上記の通り、比較例では、高周波出力信号RFOUTが低電力の場合に、高周波出力信号RFOUTの高周波入力信号RFIN依存性(
図9参照)及びスロープ(
図10参照)が大きくなってしまう。
【0084】
(第1の実施の形態)
図11及び
図12は、第1の実施の形態の回路シミュレーション結果を示す図である。具体的には、第1の実施の形態の制御電圧と制御電流との関係を示す図である。
図11の波形131は、第1制御電流IB1の波形であり、波形132は、第2制御電流IB2の波形である。
図12の波形133は、第3制御電流IB3及び第4制御電流IB4の波形である。
【0085】
波形131で示すように、第1電流出力部31は、制御電圧Vrampが閾値電圧Vbs1未満の場合に、第1制御電流IB1をゼロとする。また、第1電流出力部31は、制御電圧Vrampが閾値電圧Vbs1の場合に、予め定められた電流値Ibs1となる第1制御電流IB1を、第1バイアス回路15に出力する。
【0086】
閾値電圧Vbs1が、本開示の「第1閾値電圧」の一例に相当する。電流値Ibs1が、本開示の「第1電流値」の一例に相当する。
【0087】
また、第1電流出力部31は、制御電圧Vrampが閾値電圧Vbs1より大きく且つ閾値電圧Vbs3未満の場合に、制御電圧Vrampに応じて線形に増加する第1制御電流IB1を、第1バイアス回路15に出力する。また、第1電流出力部31は、制御電圧Vrampが閾値電圧Vbs2の場合に、電流値Ibs3となる第1制御電流IB1を、第1バイアス回路15に出力する。また、第1電流出力部31は、制御電圧Vrampが閾値電圧Vbs3以上の場合に、予め定められた一定の第1制御電流IB1を、第1バイアス回路15に出力する。
【0088】
ここで、Ibs1≦Ibs2であることとするが、本開示はこれに限定されない。Ibs1>Ibs2であっても良い。
【0089】
波形132で示すように、第2電流出力部32は、制御電圧Vrampが閾値電圧Vbs1未満の場合に、第2制御電流IB2をゼロとする。また、第2電流出力部32は、制御電圧Vrampが閾値電圧Vbs1以上の場合に、電流値Ibs2となる第2制御電流IB2を、第2バイアス回路16に出力する。
【0090】
電流値Ibs2が、本開示の「第2電流値」の一例に相当する。
【0091】
波形131及び132を、波形101及び102(
図7参照)と比較すると、制御電圧Vrampが低い領域(一例として、閾値電圧Vbs1)において、第1制御電流IB1及び第2制御電流IB2が多くなっている。つまり、第1の実施の形態では、比較例と比較して、高周波出力信号RFOUTが低電力の場合に、初段の電力増幅器の利得が大きくなっている。
【0092】
波形133で示すように、第3電流出力部33及び第4電流出力部34は、制御電圧Vrampが予め定められた閾値電圧Vbs4未満の場合に、第3制御電流IB3及び第4制御電流IB4をゼロとする。また、第3電流出力部33及び第4電流出力部34は、制御電圧Vrampが閾値電圧Vbs4以上且つ閾値電圧Vbs3未満の場合に、制御電圧Vrampの2乗に比例する第3制御電流IB3及び第4制御電流IB4を、第3バイアス回路17及び第4バイアス回路18に夫々出力する。
【0093】
ここで、Vbs1<Vbs4であることとする。
【0094】
閾値電圧Vbs4が、本開示の「第2閾値電圧」及び「第3閾値電圧」の一例に相当する。なお、第1の実施形態においては、第2閾値電圧及び第3閾値電圧は同一の閾値電圧Vbs4であるが、これらは異なっていてもよい。言い換えれば、第3電流出力部33が制御電圧Vrampの2乗に比例する第3制御電流IB3を出力する閾値電圧と、第4電流出力部34が制御電圧Vrampの2乗に比例する第4制御電流IB4を出力する閾値電圧とは、異なっていてもよい。
【0095】
また、第3電流出力部33及び第4電流出力部34は、制御電圧Vrampが閾値電圧Vbs2の場合に、電流値Ibs4となる第3制御電流IB3及び第4制御電流IB4を、第3バイアス回路17及び第4バイアス回路18に夫々出力する。また、第3電流出力部33及び第4電流出力部34は、制御電圧Vrampが閾値電圧Vbs3以上の場合に、予め定められた一定の第3制御電流IB3及び第4制御電流IB4を、第3バイアス回路17及び第4バイアス回路18に夫々出力する。
【0096】
波形133を、波形103(
図8参照)と比較すると、制御電圧Vrampが低い領域(一例として、閾値電圧Vbs1から閾値電圧Vbs4まで)において、第1制御電流IB1及び第2制御電流IB2が少なくなっている。つまり、第1の実施の形態では、比較例と比較して、高周波出力信号RFOUTが低電力の場合に、第2段及び第3段の電力増幅器の利得が小さくなっている。
【0097】
図13は、第1の実施の形態の回路シミュレーション結果を示す図である。具体的には、第1の実施の形態の交流出力電力と、交流出力電力の変化量と、の関係を示す図である。
図13の波形141は、入力電力Pinが-1dBmの場合の、出力電力Poutと出力電力Poutの変化量ΔPoutとの関係を示す。波形142は、入力電力Pinが2.5dBmの場合の、出力電力Poutと変化量ΔPoutとの関係を示す。波形143は、入力電力Pinが6dBmの場合の、出力電力Poutと変化量ΔPoutとの関係を示す。
【0098】
図13の波形141から波形143までを、
図9の波形113から波形115までと比較すると、第1の実施の形態は、比較例と比較して、変化量ΔPoutを小さくすることができる。
【0099】
図14は、第1の実施の形態の回路シミュレーション結果を示す図である。具体的には、第1の実施の形態の制御電圧とスロープとの関係を示す図である。
図14の波形151は、入力電力Pinが-1dBmの場合の、制御電圧Vrampとスロープとの関係を示す。波形152は、入力電力Pinが2.5dBmの場合の、制御電圧Vrampとスロープとの関係を示す。波形153は、入力電力Pinが6dBmの場合の、制御電圧Vrampとスロープとの関係を示す。
【0100】
波形151から波形153までで示すように、出力電力Poutが5dBmとなる場合、スロープ値がターゲットを下回っている。
【0101】
(効果)
第1の実施の形態は、高周波出力信号RFOUTが低電力の場合に、比較例と比較して、初段の電力増幅器の利得を大きくするとともに、第2段及び第3段の電力増幅器の利得を小さくする。これにより、第1の実施の形態は、第2段及び第3段の電力増幅器が高周波出力信号RFOUTの高周波入力信号RFIN依存性に与える影響を抑制できる。つまり、第1の実施の形態は、高周波出力信号RFOUTの高周波入力信号RFIN依存性のばらつきを低減することができる。また、第1の実施の形態は、スロープを抑制することができる。
【0102】
(変形例)
第1の実施の形態では、第3電流出力部33及び第4電流出力部34の両方が、波形133(
図12参照)で示される第3制御電流IB3及び第4制御電流IB4を夫々出力することとしたが、本開示はこれに限定されない。第3電流出力部33及び第4電流出力部34の内の一方は、波形133で示される制御電流を出力することとしても良い。第3電流出力部33及び第4電流出力部34の内の他方は、波形134で示すように、制御電圧Vrampが閾値電圧Vbs4以上且つ閾値電圧Vbs2未満の場合に、制御電圧Vrampに応じて線形に増加する制御電流を出力することとしても良い。或いは、第3電流出力部33及び第4電流出力部34の両方は、波形134で示すように、制御電圧Vrampが閾値電圧Vbs4以上且つ閾値電圧Vbs2未満の場合に、制御電圧Vrampに応じて線形に増加する第3制御電流IB3及び第4制御電流IB4を夫々出力することとしても良い。
【0103】
(第2の実施の形態)
図15及び
図16は、第2の実施の形態の回路シミュレーション結果を示す図である。具体的には、第2の実施の形態の制御電圧と制御電流との関係を示す図である。
図15の波形131は、第1制御電流IB1の波形であり、
図11の波形131と同様である。波形132は、第2制御電流IB2の波形であり、
図11の波形132と同様である。
図16の波形161は、第3制御電流IB3及び第4制御電流IB4の波形である。
【0104】
波形161で示すように、第3電流出力部33及び第4電流出力部34は、制御電圧Vrampが閾値電圧Vbs1未満の場合に、第3制御電流IB3及び第4制御電流IB4をゼロとする。また、第3電流出力部33及び第4電流出力部34は、制御電圧Vrampが閾値電圧Vbs1以上且つ閾値電圧Vbs3未満の場合に、制御電圧Vrampの2乗に比例する第3制御電流IB3及び第4制御電流IB4を、第3バイアス回路17及び第4バイアス回路18に夫々出力する。
【0105】
また、第3電流出力部33及び第4電流出力部34は、制御電圧Vrampが閾値電圧Vbs2の場合に、電流値Ibs4となる第3制御電流IB3及び第4制御電流IB4を、第3バイアス回路17及び第4バイアス回路18に夫々出力する。また、第3電流出力部33及び第4電流出力部34は、制御電圧Vrampが閾値電圧Vbs3以上の場合に、予め定められた一定の第3制御電流IB3及び第4制御電流IB4を、第3バイアス回路17及び第4バイアス回路18に夫々出力する。
【0106】
(効果)
第2の実施の形態は、高周波出力信号RFOUTが低電力の場合に、比較例と比較して、初段の電力増幅器の利得を大きくするとともに、第2段及び第3段の電力増幅器の利得を小さくする。これにより、第2の実施の形態は、第2段及び第3段の電力増幅器が高周波出力信号RFOUTの高周波入力信号RFIN依存性に与える影響を抑制できる。つまり、第2の実施の形態は、高周波出力信号RFOUTの高周波入力信号RFIN依存性のばらつきを低減することができる。また、第2の実施の形態は、スロープを抑制することができる。
【0107】
(変形例)
第2の実施の形態では、第3電流出力部33及び第4電流出力部34の両方が、波形161(
図16参照)で示される第3制御電流IB3及び第4制御電流IB4を夫々出力することとしたが、本開示はこれに限定されない。第3電流出力部33及び第4電流出力部34の内の一方は、波形161で示される制御電流を出力することとしても良い。第3電流出力部33及び第4電流出力部34の内の他方は、波形162で示すように、制御電圧Vrampが閾値電圧Vbs1以上且つ閾値電圧Vbs2未満の場合に、制御電圧Vrampに応じて線形に増加する制御電流を出力することとしても良い。
【0108】
(第3の実施の形態)
図17及び
図18は、第3の実施の形態の回路シミュレーション結果を示す図である。具体的には、第3の実施の形態の制御電圧と制御電流との関係を示す図である。
図17の波形131は、第1制御電流IB1の波形であり、
図11の波形131と同様である。波形132は、第2制御電流IB2の波形であり、
図11の波形132と同様である。
図18の波形103は、第3制御電流IB3及び第4制御電流IB4の波形であり、
図8の波形103と同様である。
【0109】
図19は、第3の実施の形態の回路シミュレーション結果を示す図である。具体的には、第3の実施の形態の交流出力電力と、交流出力電力の変化量と、の関係を示す図である。
図19の波形171は、入力電力Pinが-1dBmの場合の、出力電力Poutと出力電力Poutの変化量ΔPoutとの関係を示す。波形172は、入力電力Pinが2.5dBmの場合の、出力電力Poutと変化量ΔPoutとの関係を示す。波形173は、入力電力Pinが6dBmの場合の、出力電力Poutと変化量ΔPoutとの関係を示す。
【0110】
図19の波形171から波形173までを、
図9の波形113から波形115までと比較すると、第3の実施の形態は、比較例と比較して、変化量ΔPoutを小さくすることができる。
【0111】
図20は、第3の実施の形態の回路シミュレーション結果を示す図である。具体的には、第3の実施の形態の制御電圧とスロープとの関係を示す図である。
図20の波形181は、入力電力Pinが-1dBmの場合の、制御電圧Vrampとスロープとの関係を示す。波形182は、入力電力Pinが2.5dBmの場合の、制御電圧Vrampとスロープとの関係を示す。波形183は、入力電力Pinが6dBmの場合の、制御電圧Vrampとスロープとの関係を示す。
【0112】
波形181から波形183までを、
図10の波形123から波形125までと比較すると、出力電力Poutが5dBmとなる場合、スロープ値を小さくすることができる。
【0113】
(効果)
第3の実施の形態は、高周波出力信号RFOUTが低電力の場合に、比較例と比較して、初段の電力増幅器の利得を大きくする。これにより、第3の実施の形態は、第2段及び第3段の電力増幅器が高周波出力信号RFOUTの高周波入力信号RFIN依存性に与える影響を、初段の電力増幅器が高周波出力信号RFOUTの高周波入力信号RFIN依存性に与える影響よりも相対的に小さくできる。従って、第3の実施の形態は、高周波出力信号RFOUTの高周波入力信号RFIN依存性のばらつきを低減することができる。また、第3の実施の形態は、スロープを抑制することができる。
【0114】
なお、上記した実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更/改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【符号の説明】
【0115】
1 電力増幅回路
2 第1半導体チップ
3 第2半導体チップ
11、11A、11B 第1電力増幅器
12、12A、12B、12C 第2電力増幅器
13 第3電力増幅器
14 第4電力増幅器
15 第1バイアス回路
16 第2バイアス回路
17 第3バイアス回路
18 第4バイアス回路
31 第1電流出力部
32 第2電流出力部
33 第3電流出力部
34 第4電流出力部
35 レギュレータ部
IB1 第1制御電流
IB2 第2制御電流
IB3 第3制御電流
IB4 第4制御電流
I1 第1バイアス電流
I2 第2バイアス電流
I3 第3バイアス電流
I4 第4バイアス電流
RFIN 高周波入力信号
RF1、RF2 高周波信号
RFOUT 高周波出力信号