(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165721
(43)【公開日】2022-11-01
(54)【発明の名称】事故抜去検知装置、及び事故抜去検知方法
(51)【国際特許分類】
A61M 5/172 20060101AFI20221025BHJP
A61M 25/02 20060101ALI20221025BHJP
A61M 5/168 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
A61M5/172
A61M25/02 502
A61M5/168 550
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021071186
(22)【出願日】2021-04-20
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
2.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】000005061
【氏名又は名称】バンドー化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】特許業務法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大高 秀夫
(72)【発明者】
【氏名】岩根 雅史
(72)【発明者】
【氏名】門倉 麻実
【テーマコード(参考)】
4C066
4C267
【Fターム(参考)】
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD01
4C066FF01
4C066FF04
4C066HH07
4C066LL16
4C066QQ53
4C066QQ77
4C066QQ82
4C066QQ84
4C267AA09
4C267BB19
4C267BB24
4C267BB40
4C267BB42
4C267BB62
4C267CC01
4C267HH08
(57)【要約】
【課題】 医療用チューブ部材の事故抜去を、早期に、正確、且つ簡便に検知するために用いられる事故抜去検知装置、及び事故抜去検知方法を提供すること。
【解決手段】 患者に施された医療用チューブ部材を固定及び/又は保護するサポート部材に取付けられ、サポート部材の形状変化を検出する検出部を有する伸縮センサと、前記伸縮センサの前記検出部の変形量を測定する計測部と、前記計測部の測定結果に基づき、事故抜去を検知する検知部と、を備える事故抜去検知装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に施された医療用チューブ部材を固定及び/又は保護するサポート部材に取付けられ、サポート部材の形状変化を検出する検出部を有する伸縮センサと、
前記伸縮センサの前記検出部の変形量を測定する計測部と、
前記計測部の測定結果に基づき、事故抜去を検知する検知部と、を備える事故抜去検知装置。
【請求項2】
前記伸縮センサは、前記変形量に応じて、前記検出部の静電容量が変化する伸縮センサであり、
エラストマー製の誘電層と、前記誘電層の上面に形成された第1電極層と、前記誘電層の下面に形成された第2電極層とを有し、前記第1電極層及び前記第2電極層の対向する部分を前記検出部とする、伸縮可能なセンサ部材を含む、請求項1に記載の事故抜去検知装置。
【請求項3】
前記伸縮センサは、前記センサ部材の伸長状態を調整して、前記伸縮センサを前記サポート部材に取付けるための、取付部材を含む、請求項1又は2に記載の事故抜去検知装置。
【請求項4】
前記医療用チューブ部材は、点滴部材である、請求項1~3のいずれか一項に記載の事故抜去検知装置。
【請求項5】
前記点滴部材は、留置針、及びチューブから選択される少なくとも一つを含む、請求項4に記載の事故抜去検知装置。
【請求項6】
前記サポート部材は、医療用テープ、医療用ベルト、及び抜管防止具から選択される少なくとも一つを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の事故抜去検知装置。
【請求項7】
前記検知部の、事故抜去の検知結果を、医療従事者に通知する、通知部を備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の事故抜去検知装置。
【請求項8】
前記通知部は、前記検知結果を、音、振動、及び光から選択される少なくとも一つで、医療従事者に通知する、請求項7に記載の事故抜去検知装置。
【請求項9】
前記検出部は、前記検知結果を、前記通知部に無線で送信する、無線送信手段を有し、
前記通知部は、前記無線送信手段からの前記通知結果を受信する、無線受信手段を有する、請求項7又は8に記載の事故抜去検知装置。
【請求項10】
前記通知部は、前記医療従事者の携帯端末である、請求項9に記載の事故抜去検知装置。
【請求項11】
前記事故抜去は、患者による自己抜去である、請求項1~10のいずれか一項に記載の事故抜去検知装置。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の事故抜去検知装置を用いる、事故抜去検知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用チューブ部材の事故抜去を検知するための装置、及びその装置を用いる、事故抜去の検知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医師や看護師等の医療従事者は、患者に、点滴、気管チューブ、及び胃管等の医療用チューブ部材の設定を行った後、医療従事者は、患者を、医療用チューブ部材が設定された状態で、留置する場合がある。留置後、医療従事者の意図とは無関係に、医療用チューブ部材が、何らかの原因で、患者から外れてしまう場合がある。これは、事故抜去と呼ばれる。事故抜去は、ベッド移動、体位変換、及び転倒等により、医療用チューブ部材が、患者から外れてしまうケース、及び患者が、医療用チューブ部材を抜去してしまう、自己抜去と呼ばれるケースを含む。特に、認知症やせん妄を伴う患者は、自己抜去の発生率が高く、自己抜去の予防、及び早急な対処が課題となっている。
【0003】
事故抜去を検知するための装置として、例えば、特許文献1には、体表に取付けられた磁気シートからの磁界の変化を、チューブに取付けられた磁気センサにより検出することで、事故抜去を通知する装置が開示されている。しかし、特許文献1に記載の装置は、チューブが完全に外れたか、又は外れそうな状態となるまで、異常を検知することができない。そのため、患者による自己抜去の予防、又は早急な対処が、困難な場合がある。
【0004】
自己抜去の予防、又は早急な対処を可能とすべく、特許文献2には、点滴針の挿入部位に固定されたセンサ部が、静電容量によりセンサ部と患者の手との位置関係の正否を判定することで、自己抜去を検知する装置が、開示されている。
【0005】
また、特許文献3には、チューブを固定するテープに配置された磁気バイアス磁石、及び注射針を固定するテープに配置された検知対象用磁石からの磁界強度の変化を、磁気センサで測定することで、自己抜去を検知する装置が、開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017-159035号公報
【特許文献2】特開2020-118626号公報
【特許文献3】国際公開第2009/031560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2、及び特許文献3に開示されている装置は、特許文献1に開示されている装置よりも、患者の自己抜去の行動を、早期に検知できるため、自己抜去の予防、又は早急な対処が可能となる。しかし、特許文献2の静電容量、及び特許文献3の磁界強度は、空間を隔ててセンサが測定するため、センサ側の測定感度の調整が難しい。センサ側の測定感度を上げ過ぎると、誤検知が増加し、医療従事者による患者確認の負担が、増加してしまう。逆に、センサ側の測定感度を下げ過ぎると、異常の検知が遅れ、自己抜去の予防、又は早急な対処が困難になる。加えて、特許文献3の装置では、磁気センサ、磁気バイアス磁石、及び検知対象用磁石の配置状態が、磁界強度に影響を及ぼす場合がある。そのため、医療従事者は、適度な距離を保ちつつ、磁気センサ、磁気バイアス磁石、及び検知対象用磁石を患者に装着する必要があり、作業が煩雑であった。
【0008】
本発明者らは、医療用チューブ部材の事故抜去、特に患者による点滴部材の自己抜去を、早期に、正確、且つ簡便に検知すべく、鋭意検討を行い、新たな技術思想に基づき本発明を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)患者に施された医療用チューブ部材を固定及び/又は保護するサポート部材に取付けられ、サポート部材の形状変化を検出する検出部を有する伸縮センサと、
上記伸縮センサの上記検出部の変形量を測定する計測部と、
上記計測部の測定結果に基づき、事故抜去を検知する検知部と、を備える事故抜去検知装置。
【0010】
上記(1)に記載の事故抜去検知装置は、医療用チューブ部材の事故抜去を、早期に、正確、且つ簡便に検知することができる。
【0011】
(2)上記伸縮センサは、上記変形量に応じて、上記検出部の静電容量が変化する伸縮センサであり、
エラストマー製の誘電層と、上記誘電層の上面に形成された第1電極層と、上記誘電層の下面に形成された第2電極層とを有し、上記第1電極層及び上記第2電極層の対向する部分を上記検出部とする、伸縮可能なセンサ部材を含む、(1)に記載の事故抜去検知装置。
【0012】
上記(2)に記載の事故抜去検知装置の伸縮センサは、医療用チューブ部材の事故抜去を、より正確に検知することができる。
【0013】
(3)上記伸縮センサは、上記センサ部材の伸長状態を調整して、上記伸縮センサを上記サポート部材に取付けるための、取付部材を含む、(1)又は(2)に記載の事故抜去検知装置。
【0014】
上記(3)に記載の事故抜去検知装置によれば、事故抜去検知装置の患者への装着を、医療従事者が、より簡便に行うことができる。
【0015】
(4)上記医療用チューブ部材は、点滴部材である、請求項(1)~(3)のいずれか一つに記載の事故抜去検知装置。
【0016】
(5)上記点滴部材は、留置針、及びチューブから選択される少なくとも一つを含む、(4)に記載の事故抜去検知装置。
【0017】
(6)上記サポート部材は、医療用テープ、医療用ベルト、及び抜管防止具から選択される少なくとも一つを含む、(1)~(5)のいずれか一つに記載の事故抜去検知装置。
【0018】
上記(4)~(6)に記載の事故抜去検知装置は、点滴部材の事故抜去を、より正確、且つ簡便に検知することができる。
【0019】
(7)上記検知部の、事故抜去の検知結果を、医療従事者に通知する、通知部を備える、(1)~(6)のいずれか一つに記載の事故抜去検知装置。
【0020】
(8)上記通知部は、上記検知結果を、音、振動、及び光から選択される少なくとも一つで、医療従事者に通知する、(7)に記載の事故抜去検知装置。
【0021】
(9)上記検出部は、上記検知結果を、上記通知部に無線で送信する、無線送信手段を有し、
上記通知部は、上記無線送信手段からの上記通知結果を受信する、無線受信手段を有する、(7)又は(8)に記載の事故抜去検知装置。
【0022】
(10)上記通知部は、上記医療従事者の携帯端末である、(9)に記載の事故抜去検知装置。
【0023】
上記(7)~(10)に記載の事故抜去検知装置によれば、医療従事者は、より早期に、患者による医療用チューブ部材の事故抜去を察知することができる。
【0024】
(11)上記事故抜去は、患者による自己抜去である、(1)~(10)のいずれか一つに記載の事故抜去検知装置。
【0025】
本発明の事故抜去検知装置は、医療用チューブ部材の事故抜去を、早期に、且つ正確に検知することができる。そのため、本発明の事故抜去検知装置は、特に患者による自己抜去の検知に、好適に用いることができる。
【0026】
(12)(1)~(11)のいずれか一つに記載の事故抜去検知装置を用いる、事故抜去検知方法。
【0027】
上記(12)に記載の事故抜去検知方法は、上記(1)~(11)のいずれか一つに記載の事故抜去検知装置を用いるため、医療用チューブ部材の事故抜去を、早期に、正確、且つ簡便に検知することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の事故抜去検知装置、及び事故抜去検知方法は、医療用チューブ部材の事故抜去を、早期に、正確、且つ簡便に検知することができる。そのため、本発明の事故抜去検知装置、及び事故抜去検知方法は、患者による点滴の自己抜去を検知するための、自己抜去検知装置、及び自己抜去検知方法として、特に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】第一実施形態に係る自己抜去検知装置の使用状態を示す模式図である。
【
図3】
図1の自己抜去検知装置を構成する伸縮センサを示す模式図である。
【
図6】
図1の自己抜去検知装置を構成する検知ユニットを示す模式図である。
【
図7】第一実施形態に係る自己抜去検知装置を示す概略図である。
【
図8】第一実施形態に係る検知ユニットの演算回路による、自己抜去検知処理の、フローチャートである。
【
図9】第一実施形態に係る携帯端末の演算回路による、自己抜去検知処理の、フローチャートである。
【
図10】第二実施形態に係るセンサ部材を示す斜視図である。
【
図12】第三実施形態に係る自己抜去検知装置の使用状態を示す模式図である。
【
図13】第四実施形態に係る自己抜去検知装置の使用状態を示す模式図である。
【
図14】第五実施形態に係る事故抜去検知装置の使用状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態が、説明される。
【0031】
(第一実施形態)
患者の腕に、医療用チューブ部材として点滴部材を施した場合を例に、本実施形態が、説明される。なお、第一実施形態は、患者による点滴の自己抜去を検知することを主たる目的とし、本発明の事故抜去検知装置を適用した際の、事例である。そのため、本実施形態の説明には、以下、「自己抜去検知装置」の用語が、使用されている。しかし、「自己抜去検知装置」の用語は、事故抜去検知装置としての適用を除外するものではない。
<自己抜去検知装置>
図1は、本実施形態に係る自己抜去検知装置100を、患者200に施された点滴部材300を固定する、医療用ベルト400に取付けた、使用状態を模式的に示す図である。
図2は、
図1の医療用ベルト400を示す模式図である。
【0032】
本実施形態に係る自己抜去検知装置100は、検知ユニット110、伸縮センサ120、及び携帯端末130を有している。点滴部材300は、留置針310、及びチューブ320を有している。留置針310は、患者200に穿刺されている。チューブ320は、輸液容器(図示せず)からの輸液を、留置針310に供給するため、留置針310に接続されている。
【0033】
本実施形態の医療用ベルト400は、留置針310を固定するように、患者200の腕に巻き付けられている。
図2に示すように、医療用ベルト400は、面ファスナ420、及び起毛生地430を有する、帯状部材410で構成されている。帯状部材410は、伸縮性布生地で作成されている。帯状部材410の、患者200に巻き付かせる側の面の一端側に、面ファスナ420が、取付けられている。帯状部材410の、面ファスナ420が取付けられている面と、反対側の面は、そのほぼ全面に、起毛生地430が取付けられている。医療従事者は、患者200に巻き付ける医療用ベルト400の締め付け力を、面ファスナ420の、起毛生地430への貼付け位置で調整することができる。
【0034】
図1、及び
図2に示される、ベルト端401は、医療用ベルト400の長手方向における、面ファスナ420側の端を示す。患者200に穿刺されている留置針310が抜去される際、面ファスナ420の、起毛生地430への貼付け位置がずれ、ベルト端401が、移動する。
図1の自己抜去検知装置100の使用状態では、患者による自己抜去を、より早期に検知するため、伸縮センサ120は、ベルト端401をまたいで、医療用ベルト400に取付けられている。
【0035】
図1では、患者200に穿刺されている留置針310が、医療用ベルト400により固定されている。医療用ベルト400で留置針310を固定することで、留置針310が、患者200から抜けることを、防止している。なお、医療用ベルト400は、留置針310に限らず、チューブ320の患者への固定に使用することもできる。
【0036】
図3は、
図1の自己抜去検知装置100を構成する伸縮センサ120を示す模式図である。
図3に示すように、伸縮センサ120は、センサ部材10、被覆部材21、リード線22、面ファスナ121、及び接続端子30Aを有している。伸縮センサ120は、静電容量型センサを構成する部材である。被覆部材21は、伸縮性の布生地からなり、センサ部材10の周囲に設けられている。伸縮センサ120は、取付部材である面ファスナ121により、医療用ベルト400の起毛生地430へ、取付けられる。接続端子30Aは、後述する検知ユニット110の接続端子30B(
図6参照)と接続するためのオスの接続端子である。センサ部材10は、リード線22、及び接続端子30Aを介して、検知ユニット110と、電気的に接続される。
【0037】
図4は、
図3のセンサ部材10を示す斜視図である。
図5は、
図4のセンサ部材10のA-A線断面図である。センサ部材10は、
図4及び
図5に示すように、誘電層、電極層、電極接続部などを備えた積層体である。センサ部材10は、帯状であり、長手方向(
図4、及び
図5中、左右方向)に伸縮可能に構成されている。
【0038】
センサ部材10は、伸縮性を有するシート状の誘電層11と、誘電層11のおもて面に形成された表側電極層(第1電極層)12Aと、誘電層11の裏面に形成された裏側電極層(第2電極層)12Bと、表側電極層12Aに連結された上記長手方向に延びる表側配線13Aと、裏側電極層12Bに連結された上記長手方向に延びる裏側配線13Bとを備える。
【0039】
誘電層11は、ウレタンゴム等のエラストマーを含むエラストマー組成物からなる。表側電極層12A、裏側電極層12B、表側配線13A及び裏側配線13Bは、いずれも、カーボンナノチューブ等の導電材料を含む導電性組成物からなる。
【0040】
センサ部材10は、非伸縮性の樹脂シート17の上面に銅箔からなる2つの電極接続部16A、及び電極接続部16Bが形成されたシート状の接続部材18を備えている。センサ部材10では、表側配線13Aと電極接続部16A、及び裏側配線13Bと電極接続部16B、がそれぞれ導電性接着剤14A、及び導電性接着剤14Bを介して電気的に接続されている。
【0041】
誘電層11の表側及び裏側のそれぞれには、表側電極層12A及び裏側電極層12Bを覆うように表側保護層15A及び裏側保護層15Bが、形成されている。電極接続部16A、及び電極接続部16Bのそれぞれには、オスの接続端子30Aと接続するためのリード線22が半田付けされている。また、リード線22は、オスの接続端子30Aの接続ピン20に接続されている。
【0042】
表側電極層12Aと裏側電極層12Bとは、同一の平面視形状を有しており、誘電層11を挟んで表側電極層12Aと裏側電極層12Bとは全体が対向している。センサ部材10では、表側電極層12Aと裏側電極層12Bとの対向した部分が検出部位19となる。上記センサ部材10において、表側電極層12Aと裏側電極層12Bとは、必ずしも誘電層11を挟んでその全体が対向している必要はなく、少なくともその一部が対向していれば良い。
【0043】
センサ部材10において、誘電層11は、上記面方向に伸縮可能である。従って、誘電層11は、表裏面の面積が変化するように変形することができる。また、誘電層11が、変形した際には、その変形に追従して表側電極層12A及び裏側電極層12B、並びに、表側保護層15A及び裏側保護層15B(以下、両者を合わせて単に保護層ともいう)も、変形することができる。そのため、センサ部材10では、検出部位19の静電容量が、誘電層11の変形量(電極層の面積変化)と相関をもって変化する。よって、検出部位19の静電容量の変化を検出することで、センサ部材10の変形量が、検出できる。また、センサ部材10において、平面視した際に樹脂シート17と重なる部分は、上記長手方向(センサ部材10の面方向)に実質的に伸縮することができない。
【0044】
なお、センサ部材10は、裏面側であって、長手方向の一端側(
図4、及び
図5中、左右方向の右側)にのみ非伸縮性の部材を備えているが、本発明の実施形態に係るセンサ部材10は、当該センサ部材10の裏面側であって、長手方向の他端側(
図4、及び
図5中、左右方向の左側)にも非伸縮性の部材(例えば、樹脂シート)を備えていても良い。
【0045】
図3に戻って、センサ部材10の両面には、伸縮性の布生地からなる被覆部材21が設けられている。被覆部材21は、長手方向の長さがセンサ部材10の長手方向の長さより長い2枚の伸縮性布生地からなる。センサ部材10は、この2枚の布生地同士の間に挟み込まれている。被覆部材21を設けることにより、センサ部材10が、保護される。
【0046】
伸縮センサ120は、医療用ベルト400の起毛生地430に、伸縮センサ120を取付けるための、2つの面ファスナ121を有している。面ファスナ121は、伸縮センサ120の長手方向の一端側に1つ、及び他端側に1つ配置されている。本実施形態における自己抜去検知装置100の使用状態では、
図1に示されるように、伸縮センサ120は、医療用ベルト400のベルト端401をまたぐように、面ファスナ121により、医療用ベルト400に取付けられている。これにより、患者200による、留置針310の自己抜去の行動が、伸縮センサ120により検出できる。なお、本実施形態では、伸縮センサ120は、医療用ベルト400のベルト端401をまたぐように、医療用ベルト400に取付けられているが、本発明の伸縮センサ120の取付の態様は、これに限られない。上述のように、医療用ベルト400は、伸縮性布生地で作成されている帯状部材410を有している。患者200が自己抜去の行動を取る場合、患者200は、留置針310を固定する医療用ベルト400を、除去しようとする。この患者200の医療用ベルト400の除去行動による、医療用ベルト400の伸縮量を、センサ部材10の伸縮量として捉えることで、自己抜去検知装置100は、患者200による自己抜去の行動を、検知する。よって、伸縮センサ120を、医療用ベルト400の伸縮性を有する領域に取付けることで、自己抜去検知装置100は、患者による自己抜去の行動を、検知することができる。患者200の自己抜去行動の早期検出の観点から、伸縮センサ120は、医療用ベルト400のベルト端401をまたぐように、医療用ベルト400に取付けられることが好ましい。患者200の自己抜去行動により、医療用ベルト400における、面ファスナ420の、起毛生地430への貼付が、影響を受けやすいためである。
【0047】
自己抜去検知装置100による、患者200による自己抜去の監視を開始するにあたり、センサ部材10は、適度なプリテンションを有していることが好ましい。後述の検知ユニット110は、センサ部材10の変形量に対する静電容量の出力を、センサ部材10の伸縮量(mm)に変換する。そして、検知ユニット110は、センサ部材10の伸縮量と、所定の閾値とを比較し、患者200による自己抜去の有無を判定する。センサ部材10は、医療用ベルト400に取付けられている。すなわち、センサ部材10の伸縮量は、医療用ベルト400の伸縮量と相関する。上述のように、患者200が自己抜去の行動による、医療用ベルト400の伸縮量を、センサ部材10の伸縮量として捉えることで、自己抜去検知装置100は、自己抜去を検知することができる。
【0048】
自己抜去検知装置100による自己抜去の監視開始時に、センサ部材10が、弛んだ状態の場合、医療用ベルト400の伸縮量が、センサ部材10の弛みに吸収される。そのため、患者200による自己抜去の検知が、十分にできない場合がある。逆に、自己抜去の監視開始時に、センサ部材10が、検出限界の近くまで伸びた状態(プリテンションが極めて過剰な状態)の場合、センサ部材10の検出限界を超えた医療用ベルト400の伸縮量が、検知できなくなる。そのため、患者200による自己抜去の検知が、十分にできない場合がある。本実施形態に係る自己抜去検知装置100は、医療用ベルト400への伸縮センサ120の取付けに使用する、面ファスナ121の、医療用ベルト400の起毛生地430への取付け位置の調整により、センサ部材10のプリテンションを、容易に調整できる。
【0049】
本実施形態に係る自己抜去検知装置100は、センサ部材10のプリテンションを、面ファスナ121の、起毛生地430への取付け位置の調整で、調節可能であるが、必ずしもこれに限られない。例えば、伸縮センサ120の取付部材として、スナップボタン、両面テープ、バックル、フック、及び磁石等が、適用可能である。この場合も、センサ部材10のプリテンションを調整可能な、自己抜去検知装置100が、構成できる。例えば、伸縮センサ120の取付部材として、スナップボタンのオス(メス)を用いる場合、起毛生地430に代えて、医療用ベルト400側に、複数のスナップボタンのメス(オス)が、配置される。医療従事者は、伸縮センサ120のスナップボタンのオス(メス)を取り付ける、医療用ベルト400側のスナップボタンのメス(オス)を変更することで、センサ部材10のプリテンションを、容易に調整することができる。
【0050】
図6は、本実施形態に係る検知ユニット110の模式図である。検知ユニット110は、接続端子30B、リード線23、及び本体5を備えている。接続端子30Bは、前述の伸縮センサ120のオスの接続端子30Aと接続するための、メスの接続端子である。接続端子30A、及び接続端子30Bを接続することにより、検知ユニット110と、伸縮センサ120とが、リード線23、及びリード線22を介して、電気的に接続される。本体5は、電源スイッチ5a、及びスピーカースイッチ5bを有している。電源スイッチ5aを押すことで、検知ユニット110のON、及びOFFが、切替わる。なお、本体5は、電源(図示せず)を有しており、電源スイッチ5aにより、検知ユニット110、及び検知ユニット110に接続された伸縮センサ120への電気供給が、制御される。また、本体5は、伸縮センサ120からのセンサ部材10の変形量に対する静電容量の出力信号に基づき、自己抜去の有無の判定、警告音と振動による自己抜去の警告、及び携帯端末130への警告信号の送信を行う。なお、スピーカースイッチ5bを押すことで、後述する本体5のスピーカー4cのON、及びOFFが、切替わる。
【0051】
図7は、本実施形態の自己抜去検知装置100を示す概略図である。自己抜去検知装置100は、
図7に示すように、伸縮センサ120、検知ユニット110、及び携帯端末130を有している。検知ユニット110の本体5は、センサ部材10の静電容量の変化を計測する計測器3、及び計測器3で取得した計測結果を処理する検知器4を備えている。
【0052】
計測器3は、静電容量Cをアナログ電圧信号に変換するためのCV変換回路3a、アナログ電圧信号をデジタル信号に変換するA/D変換回路3b、及び電源回路(図示せず)を備える。計測器3は、センサ部材10の検出部位19の静電容量Cをアナログ電圧信号に変換した後、更にデジタル信号に変換し、検知器4に送信する。以下、本実施形態において、計測器3から検知器4へ送信される、上記のデジタル信号は、電圧信号Vと表記される。
【0053】
検知器4は、演算回路4a、記憶部4b、スピーカー4c、バイブレーター4d、及び無線送信器4eを備える。記憶部4bは、計測器3から受信した電圧信号Vを、センサ部材10の伸縮量(mm)に変換するためのデータテーブルを記憶している。使用する伸縮センサにより、センサ部材の変形量に対する静電容量の出力が異なるため、データテーブルは、使用する伸縮センサ毎に設定されることが好ましい。また、記憶部4bは、本体5の演算回路4aの処理フローを記憶している。演算回路4aは、記憶部4bに記憶されているデータテーブル、及び計測器3より受信した電圧信号Vに基づき、センサ部材10の伸縮量(mm)を算出する。さらに、記憶部4bは、自己抜去の警告を行うセンサ部材10の伸縮量の閾値を記憶している。本実施形態では、記憶部4bは、センサ部材10の上限の伸縮量として+3mmを、上限閾値として記憶している。また、記憶部4bは、センサ部材10の下限の伸縮量として-3mmを、下限閾値として記憶している。演算回路4aは、センサ部材10の伸縮量と、記憶部4bに記憶されている上限閾値、及び下限閾値とを比較する。演算回路4aは、伸縮量が閾値を逸脱している場合、スピーカー4cに警告音を、バイブレーター4dに振動を、及び無線送信器4eに警告信号を、出力させる制御を行う。なお、スピーカースイッチ5bにより、スピーカー4cがOFFに設定されている場合、演算回路4aは、スピーカー4cに警告音を出力させる制御を行わない。
【0054】
携帯端末130は、無線受信器130a、演算回路130b、記憶部130c、スピーカー130d、バイブレーター130e、及びモニター130fを備える。無線受信器130aが、本体5の無線送信器4eから発信された警告信号を受信すると、演算回路130bは、スピーカー130dに警告音を、バイブレーター130eに振動を、及びモニター130fに警告表示を出力させる制御を行う。なお、警告表示は、モニター130fからの光出力により、医療従事者に自己抜去の警告を伝えられるものであれば、特に制限されない。警告表示としては、例えば、文字、色彩、及び輝度等が挙げられる。なお、本実施形態における携帯端末130は、スマートフォンであり、モニター130fは、入力機能も備えている。また、記憶部130cには、演算回路130bが、後述する所定の処理フローを実行するための、アプリケーションが、インストールされている。
【0055】
図8のフローチャートは、検知ユニット110の演算回路4aの処理フローを示す。医療従事者は、患者200に穿刺されている留置針310を固定する医療用ベルト400に、検知ユニット110がOFFの状態で、伸縮センサ120を、センサ部材10が、適度なプリテンションを有するよう調整して、取付ける。伸縮センサ120の取付け完了後、医療従事者は、検知ユニット110の本体5にある、電源スイッチ5aを押し、検知ユニット110をONにする。これにより、自己抜去の監視が開始される(スタート)。なお、
図8のフローチャートは、本体5のスピーカー4cがONに設定されている場合の、フローチャートである。
【0056】
S110において、演算回路4aは、記憶部4bに、センサ部材10のプリテンション状態の計測器3からの電圧信号V(初期電圧値)、及びステータスとして監視中を記憶させる。すなわち、S110における、初期電圧値が、センサ部材10の伸縮量が0mmの状態を示す、電圧信号Vとなる。なお、監視中のステータスは、自己抜去が検知されていない状態を示す。次に、S120において、演算回路4aは、ステータスが、監視中か否かを判定する。ステータスが監視中ではない、すなわち警報中の場合、演算回路4aの処理は、S160の実行に移行する。なお、警報中のステータスは、自己抜去が検知された状態を示す。S120において、ステータスが監視中であると判定された場合、S130において、演算回路4aは、計測器3からの電圧信号Vから、センサ部材10の伸縮量(mm)を取得する。より具体的には、演算回路4aは、記憶部4bに記憶されている上述のデータテーブルに基づき、計測器3からの電圧信号Vの電圧値と、初期電圧値との差に関する値から、センサ部材10の伸縮量を取得する。ここで、演算回路4aにより変換される、センサ部材10の伸縮量は、上記の初期電圧値における伸縮量0mmを基準として、センサ部材10が縮んだ場合は、マイナスの伸縮量となり、センサ部材10が伸びた場合は、プラスの伸縮量となる。例えば、プリテンション状態から、センサ部材10が3mm縮んだ場合、伸縮量は、-3mmとなる。逆に、プリテンション状態から、センサ部材10が3mm伸びた場合、伸縮量は、+3mmとなる。S140において、演算回路4aは、センサ部材10の伸縮量と、記憶部4bに記憶されている上限閾値(+3mm)、及び下限閾値(-3mm)を比較する。伸縮量が、上限閾値未満、及び下限値を超える場合、演算回路4aの処理は、S170の実行に移行する。なお、伸縮量が、上限閾値未満、及び下限値を超える状態は、監視中のステータス、すなわち、自己抜去が検知されていない状態である。S170において、演算回路4aは、無線送信器4eに、ステータスに関する信号を、送信させる。より具体的には、無線送信器4eは、自己抜去が検知されていない状態であれば、監視中のステータスに関する信号を、自己抜去が検知された状態であれば、警報中のステータスに関する信号を、送信する。次に、S180において、演算回路4aは、電源スイッチ5aからの電源OFFの指示の有無を判断する。S180において、電源OFFの指示が有ると判断された場合、演算回路4aは、本体5の電源をOFFにし、処理を完了する(エンド)。S180において、電源OFFの指示が無いと判断された場合、演算回路4aは、S120の処理に戻る。
【0057】
S140において、伸縮量が、上限閾値(+3mm)以上、又は下限値(-3mm)以下の場合、演算回路4aは、S150において、警報中のステータスを記憶部4bに記憶させる。すなわち、記憶部4bに記憶されていた、監視中のステータスが、警報中のステータスに変更される。なお、伸縮量が、上限閾値以上、又は下限値以下の状態は、自己抜去が検知された状態である。S160において、演算回路4aは、スピーカー4cに警告音を、及びバイブレーター4dに振動を、出力させる。S160の処理を行った後、演算回路4aの処理は、上述のS170に移行する。ここで、上記のS150において、記憶部4bに記憶されているステータスは、警報中になっている。そのため、S170では、無線送信器4eは、警報中のステータスに関する信号を、送信することとなる。また、S170の処理の後、S180において、電源OFFの指示が無ければ、演算回路4aの処理は、S120に戻る。ここで、記憶部4bに記憶されているステータスは、警報中になっているため、演算回路4aの処理は、S120から、S160にスキップすることになる。すなわち、S140において、自己抜去が検知された場合、演算回路4aは、電源スイッチ5aからの電源OFFの指示が無い限り、警告処理を継続することになる。これにより、患者200の自己抜去中に、センサ部材10の伸縮量が、上限閾値未満、及び下限閾値を超える状態に戻ったとしても、スピーカー4cによる警告音、及びバイブレーター4dによる振動が、継続する。その結果、本実施形態に係る自己抜去検知装置100は、患者200の自己抜去行動を、医療従事者に、適切に通知することができる。
【0058】
図9のフローチャートは、携帯端末130の演算回路130bの処理フローを示す。携帯端末130にインストールされている、上述のアプリケーションを実行することで、
図9の処理フローが開始される(スタート)。S210において、演算回路130bは、記憶部130cに、受信待ち時間として0秒、及び監視中のステータスを記憶させ、警告音停止指示の記憶を削除させる。受信待ち時間とは、無線受信器130aが、上述のS170において、無線送信器4eから出力されたステータスに関する信号を、最後に受信した時点からの経過時間(秒)である。S220において、演算回路130bは、無線受信器130aによるステータス信号の受信の有無を判定する。S220において、ステータス信号の受信が無いと判定された場合、S230において、演算回路130bは、記憶部130cに記憶されている受信待ち時間を更新する。より具体的には、演算回路130bは、記憶部130cに記憶されていた受信待ち時間に、経過時間を加算することで、更新された受信待ち時間を算出し、更新された受信待ち時間を、記憶部130cに記憶させる。S230の処理後、演算回路130bは、S240において、タイムアウトの有無を判定する。S240において、タイムアウトが有ると判定された場合、演算回路130bは、S250において、警報中のステータスを、記憶部130cに記憶させ、S270の処理に移行する。本実施形態において、タイムアウトは、30秒に設定されている。演算回路130bは、記憶部130cに記憶されている受信待ち時間が、30秒以上の場合、タイムアウトが有ると判定する。タイムアウトの処理は、所謂フェイルセーフとして機能する。すなわち、検知ユニット110、及び携帯端末130の少なくとも一つが、故障や不具合により、ステータスに関する信号を、送受信できなくなった場合、タイムアウトが、発生する。タイムアウトにより、ステータスが警報中に変更され、演算回路130bは、後述する警告処理を開始する。そのため、医療従事者は、自己抜去検知装置100の故障や不具合の発生を、早期に気付くことができる。また、患者200が、自己抜去行動を開始するにあたり、本体5の電源をOFFにする場合がある。この場合、ステータスに関する信号の、検知ユニット110からの送信が途切れる。その結果、タイムアウトが発生し、演算回路130bは、警告処理を開始する。これにより、自己抜去検知装置100は、患者200による計画的な自己抜去行動も、検知することができる。
【0059】
S220において、ステータス信号の受信が有ると判定された場合、S260において、演算回路130bは、記憶部130cに、受信待ち時間として0秒、及び無線受信器130aが受信したステータスに関する情報を記憶させる。ここで、無線受信器130aが受信するステータスに関する情報は、上述のS170において、無線送信器4eより送信された、監視中、又は警報中のステータスである。S270において、演算回路130bは、記憶部130cに記憶されているステータスが、監視中か否かを判定する。S270において、監視中であると判定された場合、演算回路130bは、S280において、モニター130fに監視中である旨を示す表示を出力させ、スピーカー130dに警告音を停止させ、バイブレーター130eに振動を停止させる。ここで、停止は、スピーカー130d、及びバイブレーター130eが、待機状態になることを意味する。S290において、演算回路130bは、アプリケーションの停止指示の有無を判定する。アプリケーションの停止指示が有る場合、演算回路130bは、アプリケーションを停止し、処理を完了する(エンド)。アプリケーションの停止指示が無い場合、演算回路130bの処理は、S220に戻る。
【0060】
S270において、監視中ではないと判定された場合、演算回路130bは、S300において、モニター130fに警告表示を出力させる。ここで、S270における監視中ではないとの判定は、記憶部130cに記憶されているステータスが、警報中であることを意味する。次に、S310において、演算回路130bは、警告音停止指示の有無を判定する。警告音停止指示が有る場合、演算回路130bは、S320において、記憶部130cに、警告音停止指示を記憶させる。警告音停止指示が無い場合、演算回路130bの処理は、S330に移行する。S330において、演算回路130bは、記憶部130cにおける、警告音停止指示の記憶の有無を判定する。S330において、警告音停止指示が、記憶部130cに記憶されていると判定された場合、演算回路130bは、S340において、スピーカー130dに警告音を停止させ、バイブレーター130eに振動を停止させ、上述のS290の処理に移行する。警告音停止指示が、記憶されていないと判定された場合、演算回路130bは、S350において、スピーカー130dに警告音を出力させ、バイブレーター130eに振動を出力させ、上述のS290の処理に移行する。
【0061】
図9のフローチャートに示される処理フローでは、警告処理が開始された際、医療従事者は、携帯端末130のモニター130fから、警告音停止指示を入力する(S310)ことにより、スピーカー130dの警告音、及びバイブレーター130eの振動を停止することができる(S340)。これにより、警告音、及び振動による、患者200を含む、病院内に居る患者への影響が、低減できる。なお、本実施形態は、警告音停止指示の入力により、警告音、及び振動の両方を、同時に停止する処理となっているが、本発明は、これに限られない。例えば、警告音、及び振動が、医療従事者の入力により、別々に停止可能な処理とすることもできる。また、警告音、及び振動の少なくとも一つについて、停止、及び出力が、医療従事者の入力により、切り換え可能な処理とすることもできる。
【0062】
(第二実施形態)
本実施形態は、センサ部材が第一実施形態と異なる。具体的には、第一実施形態におけるセンサ部材10に代えて、
図10、及び
図11に示したセンサ部材40とする。センサ部材40は、誘電層(第1誘電層)及びその両面に形成された第1電極層及び第2電極層に加えて、第2誘電層及び第3電極層を備えている。
図10は、本実施形態で使用するセンサ部材40を示す斜視図である。
図11は、
図10のB-B線断面図である。
【0063】
図10、及び
図11に示すセンサ部材40は、伸縮性を有するシート状の第1誘電層41Aと、第1誘電層41Aのおもて面に形成された第1電極層42Aと、第1誘電層41Aの裏面に形成された第2電極層42Bと、第1誘電層41Aの表側に第1電極層42Aを覆うように積層された第2誘電層41Bと、第2誘電層41Bのおもて面に形成された第3電極層42Cとを備える。また、センサ部材40は、第1電極層42Aに連結された第1配線43Aと、第2電極層42Bに連結された第2配線43Bと、第3電極層42Cに連結された第3配線43Cとを備える。ここで、第3配線43Cの一部は、第2配線43B上に積層され、第2配線43Bと一体化されている。
【0064】
更に、センサ部材40は、上面に銅箔からなる2つの電極接続部46A、及び電極接続部46Bが非伸縮性の樹脂シート47上に形成された接続部材48を備え、第1配線43Aと電極接続部46A、並びに、一体化された第2配線43B及び第3配線43Cと電極接続部46B、がそれぞれ導電性接着剤44A、及び導電性接着剤44Bを介して電気的に接続されている。また、センサ部材40は、第1誘電層41Aの裏側及び第2誘電層41Bの表側のそれぞれに裏側保護層45B及び表側保護層45Aが形成されている。電極接続部46A、及び電極接続部46Bのそれぞれには、オスの接続端子31Aと接続するためのリード線32が半田付けされている。また、リード線32は、オスの接続端子31Aの接続ピン33に接続されている。オスの接続端子31Aは、上述の検知ユニット110のメスの接続端子30Bと、接続される端子である。
【0065】
センサ部材40において、第1~第3電極層42A~42Cは、同一の平面視形状を有している。第1電極層42Aと第2電極層42Bとは、第1誘電層41Aを挟んで全体が対向しており、第1電極層42Aと第3電極層42Cとは、第2誘電層41Bを挟んで全体が対向している。センサ部材40では、第1電極層42Aと第2電極層42Bとの対向した部分、及び第1電極層42Aと第3電極層42Cとの対向した部分が、検出部位49となり、第1電極層42Aと第2電極層42Bとの対向した部分の静電容量と、第1電極層42Aと第3電極層42Cとの対向した部分の静電容量との和が、検出部位49の静電容量となる。
【0066】
このような構成を備えたセンサ部材40を用いて計測を行う場合、第2電極層42Bと第3電極層42Cとが、電気的に接続されているため、導体である生体を発生源とするノイズによって生じる測定誤差が、低減される。そのため、センサ部材40を用いることによって、センサ部材10より精度良く、伸縮量が、検出される。
【0067】
本発明の実施形態で採用する伸縮センサは、静電容量型の伸縮センサに限定されるわけではなく、例えば、変形量に応じて検出部位の電気抵抗が変動する抵抗式の伸縮センサ等が採用できる。
【0068】
以下、静電容量型の伸縮センサ120を採用する場合を例に、自己抜去検知装置100の構成部材が、説明される。
【0069】
[静電容量型の伸縮センサ]
<センサ部材>
<<誘電層>>
上記誘電層は、エラストマー組成物からなるシート状物である。上記誘電層は、その表裏面の面積が変化するように可逆的に変形することができる。本発明において、シート状の誘電層の表裏面は、誘電層のおもて面及び裏面を意味する。上記エラストマー組成物としては、例えば、エラストマーと、必要に応じて他の任意成分とを含有するものが、挙げられる。上記エラストマーとしては、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ニトリルゴム(NBR)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、クロロプレンゴム(CR)、シリコーンゴム、フッ素ゴム、アクリルゴム、水素添加ニトリルゴム、ウレタンゴム等が、挙げられる。これらは、単独で用いても良いし、2種以上併用しても良い。上記エラストマーは、ウレタンゴム、シリコーンゴムが好ましい。永久歪み(または永久伸び)が、小さいからである。また、上記エラストマー組成物は、エラストマー以外に、可塑剤、酸化防止剤、老化防止剤、着色剤等の添加剤、誘電性フィラー等を含有しても良い。
【0070】
上記誘電層の平均厚さは、10~1000μmが好ましい。この場合、上記誘電層は、平面視時の面積が大きくなるように伸長するのに適している。上記平均厚さは、30~200μmがより好ましい。上記誘電層は、その表裏面の面積が無伸長状態から30%以上増大するように変形可能であることが好ましい。ここで、30%以上増大するように変形可能であるとは、荷重をかけて面積を30%増大させても破断することがなく、かつ、荷重を解放すると元の状態に復元する(即ち、弾性変形範囲にある)ことを意味する。なお、上記誘電層の面方向に変形可能な範囲は、誘電層の設計(材質や形状等)により、制御することができる。
【0071】
<<電極層(表側電極層及び裏側電極層)>>
上記電極層は、導電材料を含有する導電性組成物からなる。上記表側電極層及び上記裏側電極層は、通常同一の材料を用いて形成されるが、必ずしも同一材料を用いる必要はない。上記導電材料としては、例えば、カーボンナノチューブ、導電性カーボンブラック、グラファイト、金属ナノワイヤー、金属ナノ粒子、導電性高分子等が、挙げられる。これらは、単独で用いても良いし、2種以上併用しても良い。上記導電材料としては、カーボンナノチューブや、金属ナノワイヤーなどアスペクト比が大きいものが、好ましい。誘電層の変形に追従して変形する電極層の形成に適しているからである。
【0072】
上記導電性組成物は、上記導電材料以外に、例えば、導電材料のつなぎ材料として機能するバインダー成分や、各種添加剤を含有しても良い。上記添加剤としては、例えば、導電材料のための分散剤、バインダー成分のための架橋剤、加硫促進剤、加硫助剤、老化防止剤、可塑剤、軟化剤、更には着色剤等が、挙げられる。
【0073】
<<保護層>>
上記センサ部材は、上記保護層(表側保護層及び裏側保護層)を備えていても良い。上記保護層を設けることにより、電極層等を外部から電気的に絶縁することができる。また、上記保護層を設けることにより、センサ部材の強度や耐久性が、高まる。上記保護層の材質としては、例えば、上記誘電層の材質と同様のエラストマー組成物等が、挙げられる。
【0074】
<<接続部材>>
上記接続部材は、シート状の基材と、上記基材の上面に形成された複数の電極接続部とからなる。上記シート状の基材としては、例えば、樹脂フィルムや樹脂板、不織布等の布生地等を使用することができる。上記シート状の基材は、上記伸縮性基材が伸縮しても実質的に伸縮(変形)しないものが好ましい。当該基材が容易に変形すると、電極接続部が破断する等の不都合が、発生しやすくなるからである。上記樹脂フィルムや樹脂板の樹脂材料としては特に限定されず、例えば、PET等のポリエステル、硬質ポリ塩化ビニル、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド(PI)等が、挙げられる。
【0075】
上記電極接続部としては、例えば、銅箔等の金属箔からなるもの等が、挙げられる。更に、上記電極接続部は、銅箔以外にも、例えば、金属材料からなる印刷層やメッキ層であっても良い。上記電極接続部は、例えば、接着剤を用いて上記基材に固定されている。
【0076】
上記電極接続部は、電極層に接続された配線(表側配線や裏側配線、第1~第3配線)と導電性接着剤を介して電気的に接続されている。上記導電性接着剤としては、特に限定されず、従来公知の導電性接着剤が、使用でき、市販品も、使用できる。なお、上記電極層に接続された配線としては、例えば、上記電極層と同様の導電性組成物からなるものが、挙げられる。
【0077】
このような構成を備えたセンサ部材は、例えば、特開2016-90487号公報に記載されたセンサシートの作製方法と同様の方法を用いて、誘電層の表裏面に電極層と保護層とが積層された部材を作製した後、上記接続部材を取付け、その後、電極層(配線)と電極接続部とを電気的に接続することにより製造することができる。
【0078】
<被覆部材>
上記被覆部材は、上記センサ部材の周囲に設けられた絶縁性の部材である。上記被覆部材としては、例えば、伸縮性を有する布生地や、エラストマー組成物からなる部材が、挙げられる。上記被覆部材は、伸縮異方性を有する部材が好ましい。上記伸縮性を有する布生地は、特に限定されず、織物であっても良いし、編物であっても良く、更には不織布であっても良い。上記布生地は、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着材、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤等の粘着剤を用いて上記センサ部材と一体化されている。ここで、上記粘着剤は、上記誘電層の伸縮を阻害しない柔軟性が必要である。
【0079】
[検知ユニットの本体]
<計測器>
上記計測器は、上記センサ部材と電気的に接続されている。上記計測器は、上記センサ部材の上記検出部位の静電容量を計測する。上記静電容量を計測する方法としては従来公知の方法を用いることができる。そのため、上記計測器は、必要となる静電容量測定回路、演算回路、増幅回路、電源回路等を備える。上記静電容量を計測する方法(回路)としては、例えば、自動平衡ブリッジ回路を利用したCV変換回路(LCRメータなど)、反転増幅回路を利用したCV変換回路、半波倍電圧整流回路を利用したCV変換回路、シュミットトリガ発振回路を用いたCF発振回路、シュミットトリガ発振回路とF/V変換回路とを組み合わせて用いる方法、及びCV変換回路とA/D変換回路とを組み合わせて用いる方法等が、挙げられる。
【0080】
<検知器>
上記検知器は、演算回路、増幅回路、記憶部、スピーカー、バイブレーター、無線送信器、及び電源回路等を備える。上記記憶部は、上述のデータテーブル、アプリケーション、及び上記センサ部材の伸縮量に関する情報等のデジタルデータを記憶できるものであれば良い。上記記憶部としては、例えば、RAM、ROM、及びHDD等が、挙げられる。上記無線送信器は、後述の携帯端末の無線受信機に、通信できるものであれば良い。上記無線送信器と、上記無線受信機との無線方式としては、例えば、ZigBee、Bluetooth、Wi-Fi、及び無線LAN等が、挙げられる。なお、上記携帯端末が、上記自己抜去検知装置の構成として含まれない場合、上記無線送信器の無い検知器が、検知ユニットの本体として、採用されても良い。さらに、上記検知器は、医療従事者に、自己抜去を通知できる手段を、少なくとも一つ有してれば良い。すなわち、上記検知器は、スピーカー、及びバイブレーターから選択される少なくとも一つを有していれば良い。また、自己抜去の通知手段は、スピーカー、及びバイブレーターに限られず、例えば、モニター等を含んでも良い。
【0081】
上述の第一実施形態では、計測器3、及び上記検知器4は、本体5として一体化されているが、それぞれが、別々に構成されても良い。この場合、上記計測器、及び上記検知器は、有線で接続されていても良いし、無線で接続されていても良い。上記計測器、及び上記検知器が、無線で接続される場合、上記計測器は、無線送信器を、上記検知器は、無線受信器を、備えている。また、上述の第一実施形態では、自己抜去検知装置専用の本体5を有する構成を示したが、本発明の自己抜去検知装置は、これに限られない。本体5は、上述の検出器の構成を有する汎用端末でも良い。汎用端末としては、例えば、パソコン、スマートフォン、携帯電話、タブレット型端末等が挙げられる。
【0082】
[携帯端末]
上記携帯端末は、演算回路、増幅回路、記憶部、スピーカー、バイブレーター、モニター、無線受信器、及び電源回路等を備える。上記携帯端末の上記記憶部は、上述の検知器と同様の記憶部を用いることができる。上記携帯端末は、医療従事者に、自己抜去を通知できる手段を、少なくとも一つ有している。すなわち、上記携帯端末は、スピーカー、バイブレーター、及びモニターから選択される少なくとも一つを有していれば良い。上記携帯端末は、医療従事者が携帯できるものであれば良く、特に制限されない。上記携帯端末としては、例えば、スマートフォン、携帯電話、ノートパソコン、及びタブレット型端末等が挙げられる。
【0083】
(第三実施形態)
本実施形態は、
図12に示すように、サポート部材が第一実施形態と異なる。具体的には、第一実施形態における医療用ベルト400に代えて、医療用テープ500が、患者200に穿刺されている留置針310を固定している。医療用テープ500は、市販されている医療用テープを用いれば良く、特に制限されない。ここで、医療用テープ500は、上述の医療用ベルト400と異なり、患者200への接着面と反対側の面に、起毛生地を有していない。そのため、伸縮センサ120の、医療用テープ500への取付には、第一実施形態の面ファスナ121に代えて、両面テープが、用いられている。
【0084】
(第四実施形態)
本実施形態は、
図13に示すように、サポート部材が第一実施形態、及び第三実施形態と異なる。具体的には、第一実施形態における医療用ベルト400、及び第三実施形態における医療用テープ500に代えて、抜管防止具600が、患者200に施された点滴部材300を保護している。抜管防止具600は、特に制限されず、市販されている抜管防止具を用いることができる。
図13の抜管防止具600は、保持部601、カバー部602、第一固定部603、及び第二固定部604を備える。保持部601は、患者200の腕を保持する部材である。カバー部602は、点滴部材300の、特に留置針310への、患者200のアクセスを防止するための透明なカバーである。第一固定部603、及び第二固定部604は、患者200の腕に、抜管防止具600(保持部601)を装着するための、伸縮性布生地を含む帯状部材である。第一固定部603及び第二固定部604は、患者200の腕との間に保持部601を挟みながら、患者200の腕に巻き付けて使用する。これにより、患者200の腕は、保持部601で保持される。
図13の第一固定部603は、患者200の腕側の面と反対側の面に、起毛生地を有している。伸縮センサ120は、第一固定部603の起毛生地に、伸縮センサ120の面ファスナ121を用いて、取り付けられている。患者200は、抜管防止具600により、留置針310にアクセスできない。そのため、患者200は、自己抜去行動を起こす場合、抜管防止具600を取り外そうとする。この際の、第一固定部603の形状が、変化する。患者200の自己抜去行動に伴う、第一固定部603の形状変化を、伸縮センサ120が捉えることで、自己抜去が、検知される。
【0085】
(第五実施形態)
本実施形態は、
図14に示すように、医療用チューブ部材が、第一実施形態、第三実施形態、及び第四実施形態と異なる。具体的には、医療用チューブ部材として、点滴部材に代えて、経鼻胃管部材700が、患者200に施されている。経鼻胃管部材700は、カテーテル710、ボトル720、注入ポンプ730、第一チューブ740、第二チューブ750、第三チューブ760、第一コネクタ770、及び第二コネクタ780を備える。カテーテル710は、患者200の鼻孔に挿入される。ボトル720は、患者200に供給する、栄養剤を収容する容器である。注入ポンプ730は、ボトル720に収容されている栄養剤を、カテーテル710に送り出す装置である。第一チューブ740は、注入ポンプ730の、栄養剤の送出口(図示せず)に接続されている。第二チューブ750は、注入ポンプ730の、栄養剤の吸引口(図示せず)に接続されている。第三チューブ760は、ボトル720に接続されている。第一コネクタ770は、カテーテル710の、患者200の鼻孔に挿入される末端とは反対側の末端と、第一チューブ740の、注入ポンプ730と接続される末端とは反対側の末端とを接続固定する。第二コネクタ780は、第二チューブ740の、注入ポンプ730と接続される末端とは反対側の末端と、第三チューブの、ボトル720と接続される末端とは反対側の末端とを接続固定する。これにより、ボトル720に収容されている栄養剤は、第三チューブ760、第二チューブ750、注入ポンプ730、及び第一チューブ740を通って、カテーテル710に供給される。なお、本実施形態において、患者200の鼻孔に挿入されているカテーテル710は、患者200の頬の位置において、医療用テープ500により固定されている。
【0086】
図14は、上述の自己抜去検知装置100を、自己抜去を含めた事故抜去の検知に適用した使用状態を示している。そのため、本実施形態では、自己抜去検知装置100は、事故抜去検知装置100と記載する。本実施形態では、事故抜去検知装置100の伸縮センサ120は、三か所に取り付けられている。なお、本実施形態の伸縮センサ120の取付には、両面テープが、用いられている。また、本実施形態に用いられる事故抜去検知装置100は、上述の自己抜去検知装置100と同様の構成を有している。そのため、
図14において、検知ユニット110、及び携帯端末130等、事故抜去検知装置100のその他の構成は、省略されている。一か所目の伸縮センサ120は、カテーテル710を患者200の頬の位置で固定する、医療用テープ500に取り付けられている。患者200は、自己抜去行動を起こす場合、カテーテル710を鼻孔から引き抜こうとする。この際、医療用テープ500の形状が、変化する。患者200の自己抜去行動に伴う、医療用テープ500の形状変化を、伸縮センサ120が捉えることで、自己抜去が、検知される。二か所目の伸縮センサ120は、第一コネクタ770を介し、カテーテル710、及び第一チューブ740に取り付けられている。三か所目の伸縮センサ120は、第二コネクタ780を介し、第二チューブ750、及び第三チューブ760に取り付けられている。例えば、医療従事者や、他の第三者が、第一チューブ740、第二チューブ750、及び/又は第三チューブ760に、躓く、又は引っ掛かる等、誤って力を加えてしまう場合がある。この際、第一コネクタ770や、第二コネクタ780における接続固定が、外れる、又は緩む等の、事故抜去を引き起こす恐れがある。本実施形態では、第一コネクタ770や、第二コネクタ780における、接続固定の状態変化を、伸縮センサ120が捉えることで、事故抜去が、検知される。
【0087】
本発明における医療用チューブ部材は、点滴部材、及び経鼻胃管部材に限られない。医療用チューブ部材は、血管系、消化器官系、ドレナージ系、呼吸器系、並びに、その他の体外式ペースメーカー、及び持続硬膜外麻酔等、チューブ、カテーテル、及びドレーン類を患者に挿入する、各種医療用部材を含む。
【0088】
医療従事者は、患者に適用する医療用チューブ部材に応じ、事故抜去検知装置の伸縮センサを取り付けるサポート部材を、適宜選択することができる。より具体的には、医療従事者は、医療用チューブ部材を、患者と固定する、医療用テープ、及び医療用ベルト等や、医療用チューブ部材における部材のコネクタ部分等、事故抜去が想定されるサポート部材に、伸縮センサを取り付ければ良い。
【符号の説明】
【0089】
100 自己抜去検知装置(事故抜去検知装置)
200 患者
300 点滴部材
400 医療用ベルト
110 検知ユニット
120 伸縮センサ
130 携帯端末
310 留置針
320 チューブ
420 面ファスナ
430 起毛生地
410 帯状部材
401 ベルト端
10 センサ部材
21 被覆部材
22 リード線
121 面ファスナ
30A 接続端子
30B 接続端子
11 誘電層
12A 表側電極層
12B 裏側電極層
13A 表側配線
13B 裏側配線
14A 導電性接着剤
14B 導電性接着剤
15A 表側保護層
15B 裏側保護層
16A 電極接続部
16B 電極接続部
17 樹脂シート
18 接続部材
19 検出部位
20 接続ピン
23 リード線
5 本体
5a 電源スイッチ
5b スピーカースイッチ
3 計測器
3a CV変換回路
3b A/D変換回路
4 検知器
4a 演算回路
4b 記憶部
4c スピーカー
4d バイブレーター
4e 無線送信器
130a 無線受信器
130b 演算回路
130c 記憶部
130d スピーカー
130e バイブレーター
130f モニター
40 センサ部材
41A 第1誘電層
41B 第2誘電層
42A 第1電極層
42B 第2電極層
42C 第3電極層
43A 第1配線
43B 第2配線
43C 第3配線
44A 導電性接着剤
44B 導電性接着剤
45A 表側保護層
45B 裏側保護層
46A 電極接続部
46B 電極接続部
47 樹脂シート
48 接続部材
49 検出部位
31A 接続端子
32 リード線
33 接続ピン
500 医療用テープ
600 抜管防止具
601 保持部
602 カバー部
603 第一固定部
604 第二固定部
700 経鼻胃管部材
710 カテーテル
720 ボトル
730 注入ポンプ
740 第一チューブ
750 第二チューブ
760 第三チューブ
770 第一コネクタ
780 第二コネクタ