(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165723
(43)【公開日】2022-11-01
(54)【発明の名称】液面高さ検査装置
(51)【国際特許分類】
G01F 23/292 20060101AFI20221025BHJP
G01B 11/00 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
G01F23/292 Z
G01B11/00 C
G01B11/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021071188
(22)【出願日】2021-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(72)【発明者】
【氏名】中川 圭太郎
(72)【発明者】
【氏名】津田 洋平
【テーマコード(参考)】
2F014
2F065
【Fターム(参考)】
2F014AA02
2F014AB02
2F014FA04
2F014GA01
2F065AA02
2F065AA07
2F065AA13
2F065AA20
2F065AA24
2F065BB06
2F065BB22
2F065CC00
2F065FF02
2F065FF04
2F065GG07
2F065GG15
2F065HH15
2F065JJ03
2F065JJ19
2F065JJ26
2F065MM02
2F065PP11
2F065QQ17
2F065QQ24
2F065QQ28
2F065QQ31
(57)【要約】
【課題】 回転体の回転による液面の傾斜を認識して、正確に液面の高さを検査することを目的とする。
【解決手段】 回転体の回転による遠心力によって容器1の内部で傾斜した液体の液面を撮影し、撮影された画像から液体の液面高さを認識する液面高さ検査装置に関する。
撮影手段を上記容器1の搬送経路の内側に設けて、傾斜した液面の縁部が形成する円弧状部Aを撮影する。
画像処理手段は、上記円弧状部Aについての近似円Cを認識するとともに、当該近似円Cの半径Rを算出する半径算出部と、上記円弧状部Aから仮液面高さを算出する仮液面高さ算出部と、上記近似円Cの半径Rと実験により測定した補正値Nを記憶する補正値記憶部と、上記近似円Cの半径Rと上記補正値Nとを用いて、実際の実液面高さHを算出する実液面高さ算出部とを備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が充填された容器を保持する保持部を有する回転体と、上記回転体によって搬送される容器を撮影する撮影手段と、撮影手段が撮影した画像を画像処理する画像処理手段とを備え、
上記撮影手段は、回転体の回転による遠心力によって容器の内部で傾斜した液体の液面を撮影し、上記画像処理手段は撮影された画像から容器内の液体の液面高さを認識する液面高さ検査装置において、
上記撮影手段を上記容器の搬送経路の内側または外側に設けて、傾斜した液面の縁部が形成する円弧状部を撮影し、
上記画像処理手段は、
上記円弧状部についての近似円を認識するとともに、当該近似円の半径を算出する半径算出部と、
上記円弧状部から仮液面高さを算出する仮液面高さ算出部と、
上記近似円の半径Rと実験により測定した液面高さとに基づいて設定された補正値を記憶する補正値記憶部と、
上記半径算出部が算出した近似円の半径Rと上記補正値記憶部の補正値とを用いて、上記仮液面高さ算出部が算出した仮液面高さを補正し、実際の実液面高さを算出する実液面高さ算出部とを備えることを特徴とする液面高さ検査装置。
【請求項2】
液体が充填された容器を保持する保持部を有する回転体と、上記回転体によって搬送される容器を撮影する撮影手段と、撮影手段が撮影した画像を画像処理する画像処理手段とを備え、
上記撮影手段は、回転体の回転による遠心力によって容器の内部で傾斜した液体の液面を撮影し、上記画像処理手段は撮影された画像から容器内の液体の液面高さを認識する液面高さ検査装置において、
上記撮影手段を上記容器の搬送経路の内側または外側に設けて、傾斜した液面の縁部が形成する円弧状部を撮影するとともに、上記回転体による容器の搬送速度を計測する搬送速度計測手段を備え、
上記画像処理手段は、
上記円弧状部から仮液面高さを算出する仮液面高さ算出部と、
上記回転体による容器の搬送速度に基づいて設定された補正値を記憶する補正値記憶部と、
上記搬送速度計測手段が計測した容器の搬送速度と上記補正値記憶部の補正値とを用いて、上記仮液面高さ算出部が算出した仮液面高さを補正し、実際の実液面高さを算出する実液面高さ算出部とを備えることを特徴とする液面高さ検査装置。
【請求項3】
上記仮液面高さ算出部は、上記撮影された画像から容器の壁面を認識し、
さらに、上記円弧状部についての上記近似円と上記壁面との交点同士を結んだ基準線を用いて、上記仮液面高さを算出することを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の液面高さ検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液面高さ検査装置に関し、詳しくは回転体の回転による遠心力によって傾斜した容器内の液体の液面を撮影して、容器内の液体の液面高さを認識する液面高さ検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ペットボトルなどの容器に飲料等の液体を充填した後、液体が適正な量だけ充填されたか否かを検査する必要があり、このような充填量の検査方法として、容器中における液面の高さを検査する方法が知られている。
一方、上記容器の搬送には、当該容器を保持する保持部が外周に形成された回転体が用いられており、上記回転体を回転させることで容器を円弧状の搬送経路で搬送するようになっている。
このように上記回転体によって容器を搬送すると、回転体の回転による遠心力によって液体の液面が傾斜してしまうことから、液面の傾斜を考慮しながら液面高さを検査する液面高さ検査装置が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1では、容器を搬送方向から撮影することで液面の傾斜角度を算出し、当該傾斜角度に対応する補正値を適用して液面高さを測定しているが、回転体を高速で回転させると、液面は平らにはならず湾曲してしまい(
図3(b)参照)、正確に傾斜角度を認識することができなかった。
このような問題に鑑み、本発明は容器に作用した遠心力によって傾斜した液体の液面の画像から、当該容器における液体の液面高さを正確に測定することが可能な液面高さ検査装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち請求項1の発明にかかる液面高さ検査装置は、液体が充填された容器を保持する保持部を有する回転体と、上記回転体によって搬送される容器を撮影する撮影手段と、撮影手段が撮影した画像を画像処理する画像処理手段とを備え、
上記撮影手段は、回転体の回転による遠心力によって容器の内部で傾斜した液体の液面を撮影し、上記画像処理手段は撮影された画像から容器内の液体の液面高さを認識する液面高さ検査装置において、
上記撮影手段を上記容器の搬送経路の内側または外側に設けて、傾斜した液面の縁部が形成する円弧状部を撮影し、
上記画像処理手段は、
上記円弧状部についての近似円を認識するとともに、当該近似円の半径を算出する半径算出部と、
上記円弧状部から仮液面高さを算出する仮液面高さ算出部と、
上記近似円の半径Rと実験により測定した液面高さとに基づいて設定された補正値を記憶する補正値記憶部と、
上記半径算出部が算出した近似円の半径Rと上記補正値記憶部の補正値とを用いて、上記仮液面高さ算出部が算出した仮液面高さを補正し、実際の実液面高さを算出する実液面高さ算出部とを備えることを特徴としている。
また請求項2の発明にかかる液面高さ検査装置は、液体が充填された容器を保持する保持部を有する回転体と、上記回転体によって搬送される容器を撮影する撮影手段と、撮影手段が撮影した画像を画像処理する画像処理手段とを備え、
上記撮影手段は、回転体の回転による遠心力によって容器の内部で傾斜した液体の液面を撮影し、上記画像処理手段は撮影された画像から容器内の液体の液面高さを認識する液面高さ検査装置において、
上記撮影手段を上記容器の搬送経路の内側または外側に設けて、傾斜した液面の縁部が形成する円弧状部を撮影するとともに、上記回転体による容器の搬送速度を計測する搬送速度計測手段を備え、
上記画像処理手段は、
上記円弧状部から仮液面高さを算出する仮液面高さ算出部と、
上記回転体による容器の搬送速度に基づいて設定された補正値を記憶する補正値記憶部と、
上記搬送速度計測手段が計測した容器の搬送速度と上記補正値記憶部の補正値とを用いて、上記仮液面高さ算出部が算出した仮液面高さを補正し、実際の実液面高さを算出する実液面高さ算出部とを備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
上記請求項1の発明によれば、回転体の回転による遠心力によって傾斜した液体の液面を、容器の搬送経路のまたは外側に設けた撮影手段によって撮影することにより、上記液面の縁部によって形成される円弧状部を認識するようになっている。
そのうえで、上記円弧状部についての近似円の半径を求めるとともに仮液面高さを算出し、当該仮液面高さを実験により求めた補正値によって補正することで実液面高さを算出している。
つまり、傾斜した液面が平坦でなくても、液面の傾斜に基づいて液面の高さを検査することが可能となっている。
これと同様、請求項2の発明では、円弧状部から仮液面高さを算出したら、その際の容器の搬送速度に基づいて求めた補正値を用いて、当該仮液面高さを補正して実液面高さを算出している。
つまり、傾斜した液面が平坦でなくても、液面の傾斜を認識することができるため、より正確な液面の高さを検査することが可能となっている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3】遠心力によって傾斜する液面の状態を示した図
【
図4】遠心力によって傾斜する液面の状態を示した図
【
図5】画像処理によって実液面高さを算出する手順を説明する図
【
図6】補正値記憶部に記憶されている補正値を説明するグラフ
【
図7】第2実施例における実液面高さを算出する手順を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下図示実施例について説明すると、
図1はペットボトルなどの容器1に飲料などの液体を充填する充填ラインに設けられた液面高さ検査装置2の平面図を示し、
図2は
図1におけるII-II部の断面図を示すものとなっている。
本実施例の液面高さ検査装置2は、容器1に充填された液体の液面高さを検出することにより、液体の充填量の良否を判定するようになっており、上記容器1を搬送する回転体3と、上記回転体3によって搬送される容器1を撮影する撮影手段4と、容器1に光を照射する照明手段5とを備え、これらは図示しない制御手段によって制御されるようになっている。
液面高さ検査装置2の上流側には容器1に液体を充填する充填手段や、容器1にキャップを装着するキャッパが設けられており、液面高さ検査装置2には液体が充填されるとともにキャップが装着された容器1が供給されるようになっている。
また液面高さ検査装置2の下流側には、液面高さ検査装置2による検査結果に基づいて容器1をリジェクトするリジェクト手段や、容器1をケースに収容するケーサ等が設けられている。
【0009】
図2に示すように、上記容器1はPETやガラスなどの透明な素材によって構成されており、液体を収容する本体部1aと、口部に装着されたキャップ1bと、本体部1aと口部との間に形成された首部1cとから構成されている。
ここで、上記容器1に充填された液体の液面は上記首部1cの近傍に位置し、また上記首部1cの断面形状は円形であることから、当該首部1cにおける液面は容器1の内壁面に沿って円形に形成されることとなる。
【0010】
上記回転体3の上流側および下流側にはそれぞれ供給ホイール6および排出ホイール7が設けられ、供給ホイール6には供給コンベヤ6aから検査前の容器1が供給され、排出ホイール7からは排出コンベヤ7aへと検査後の容器1が排出されるようになっている。
図2に示すように、上記回転体3の外周には容器1を保持するための保持部8が等間隔に設けられており、容器1を載置する載置プレート8aと、載置プレート8aに載置された容器1に上方から当接するトップロケータ8bとを備え、容器1は載置プレート8aとトップロケータ8bとによって挟持された状態で搬送されるようになっている。
【0011】
上記構成を有する回転体3によって容器1を搬送すると、容器1は円弧状の搬送経路に沿って搬送され、各容器1には回転体3の回転による遠心力が作用し、容器1に充填された液体の液面Sが傾斜することとなる。
当該容器1を搬送方向から見ると、
図3に示すように液面Sにおける回転体3の外周側が上方に位置するように傾斜し、容器1を回転体3の中心側から見ると、
図4に示すように液面Sが略楕円形状となる。
さらに
図3、
図4に示すように、回転体3の回転数を変更すると容器1の搬送速度を変更することができるが、その際容器1に作用する遠心力も変動するため、回転数が低い場合(a)と、回転数が高い場合(b)とで、液面Sの傾斜角度が変動することとなる。
特に
図3(b)に示すように、回転体3の回転数を高くすると、液面Sが湾曲してしまい、液面Sが平坦ではなくなってしまうことから、液面Sの傾斜角度を正確に測定することが困難となる。
【0012】
図2に示すように、上記撮影手段4および照明手段5は上記回転体3における上記容器1の搬送経路に沿って設けられており、このうち撮影手段4は容器1に対して回転体3の中心側に、照明手段5は外周側に設けられている。
上記撮影手段4には従来公知のCCDカメラを用いることができ、撮影した画像は上記制御手段に設けられた画像処理手段11に送信されるようになっている。また照明手段5は例えばLEDによる光を照射するようになっており、そのほかにもX線を照射するようにしてもよい。
このような構成により、回転体3によって搬送された容器1が撮影手段4と照明手段5との間を通過すると、撮影手段4が当該容器1を搬送経路の内側から撮影するため、上記
図3に示すように略楕円形状の液面Sを撮影することができる。
しかしながら、上記照明手段5が照射した光は、透明な容器1を透過する一方で上記液体によって阻害されることから、容器1に収容された液体の部分が暗く撮影され、液体の上方の空間が明るく撮影されてしまう。
その結果、上記液面Sを示す楕円形状のうち、下方側の部分は液体を示す暗部に隠れてしまい、上記略楕円形状における上方側の部分が円弧状部Aとして撮影されるようになっている。
なお、撮影手段4を回転体3の外周側に、照明手段5を中心側に設けてもよく、その場合であっても、回転体3の外周側から撮影手段4によって上記円弧状部Aを撮影することができる。
【0013】
上記画像処理手段11は、上記円弧状部Aについての近似円Cを認識するとともに、当該近似円Cの半径Rを算出する半径算出部12と、上記液面Sの仮液面高さを算出する仮液面高さ算出部13と、上記近似円Cの半径Rと実験により測定した液面高さとに基づいて設定された補正値を記憶する補正値記憶部14と、上記半径算出部12が算出した近似円Cの半径Rと上記補正値記憶部14の補正値とを用いて、上記仮液面高さ算出部13が算出した仮液面高さH’を補正し、実際の実液面高さHを算出する実液面高さ算出部15とを備えている。
以下、
図5を用いて、実液面高さHの算出手順を上記画像処理手段11を構成する各部とともに説明する。
【0014】
上記撮影手段4が上記容器1を撮影すると、上記半径算出部12は上記液面Sが形成する上記円弧状部Aに基づいて近似円Cを認識し、さらに当該近似円Cの半径Rを算出する。
具体的に上記半径算出部12は、撮影手段4が撮影した画像に対して二値化処理を行い、液体を示す暗部と空間を示す明部との境界線から上記液面Sが形成する上記円弧状部Aを認識する。
すると上記半径算出部12は、認識した円弧状部Aに近似する近似円Cを算出するとともに、当該近似円Cの半径Rを算出する。上記近似円Cの認識方法は従来公知であるが、例えば上記円弧状部Aの3つ以上の画素を選択し、これらの画素を通過するような円を算出する方法を利用することができる。
【0015】
続いて上記仮液面高さ算出部13は、撮影手段4が撮影した画像から容器1内における仮想的な液面Sの高さを仮液面高さとして算出する。
具体的に仮液面高さ算出部13は、最初に上記半径算出部12が求めた近似円Cを用いて、当該近似円Cと容器1の壁面との交点B’を認識し、交点B’同士を結んだ基準線Bを作成する。
具体的には、画像処理により二値化した画像から、暗部と明部との境界線を上記容器1の壁面として認識し、当該容器1の壁面と上記近似円Cとが交差している点を、上記近似円Cと容器1の壁面との交点B’として認識する。
上記基準線Bは上記交点B’同士を結んだ線となるが、一方の交点B’と他方の交点B’との間に高さの違いがある場合には、これらの交点B’の高さの平均となる位置に、水平方向に上記基準線Bを作成する。
次に仮液面高さ算出部13は、上記半径算出部12が求めた近似円Cの頂点Pを認識するとともに、当該近似円Cの頂点Pから上記基準線Bまでの距離を測定し、当該距離の半分の高さを上記仮液面高さH’として算出する。
ここで上記画像処理手段11には、上記撮影手段4が撮影した撮影範囲に対し所要の座標値が設定されており、仮液面高さ算出部13はこの座標値に基づいて上記仮液面高さH’を認識するようになっている。
なお、仮液面高さH’の位置としては、上述した上記近似円Cの頂点Pと上記基準線Bとの距離の半分の位置に設定する他、上記基準線Bの位置や上記近似円Cの頂点Pの位置に設定してもよい。
【0016】
上記補正値記憶部14には、予め行った実験に基づいて設定した補正値Nが登録されている。
充填ラインでは、液面高さ検査装置2の上流側や下流側の装置で異常が発生すると、容器1の搬送速度を変更することが可能となっており、液面高さ検査装置2では容器1の搬送速度を同期させるために回転体3の回転数を変更する。
回転体3の回転数を変更すると、上述したように液面Sの傾斜角度が変動することから、これに伴って上記円弧状部Aの形状も変形する。例えば回転体3の回転数を高くすると、容器1に大きな遠心力が作用することから、液面Sの傾斜角度が大きくなって近似円Cの半径Rが小さくなる。
上記補正値Nとは、上記仮液面高さ算出部13が算出した仮液面高さH’と実際の実液面高さHとの差となっており、
図6は、横軸に上記近似円Cの半径Rを、縦軸に補正値Nをそれぞれとったグラフとなっている。
上記補正値Nは予め行った実験によって求められており、実際の液体を充填した実際の容器1を上記回転体3によって搬送しながら上記撮影手段4によって撮影し、上記半径算出部12や仮液面高さ算出部13によって近似円Cの半径Rと仮液面高さH’とを算出する。
そして、上記容器1に収容されている実際の液面高さHと上記仮液面高さH’との差を上記補正値Nとして算出し、これを回転体3の回転数を異ならせながら収集したものとなっている。
ここで
図6(a)、(b)は、容量の異なる容器1に同じ液体を充填した場合における、近似円Cの半径Rと補正値Nとの関係を示したグラフとなっている。これらのグラフに示すように、近似円Cの半径Rが小さくなる、すなわち回転体3の回転数が増大すると、仮液面高さH’を補正する補正値Nも大きくなることが理解できる。
【0017】
そして上記実液面高さ算出部15は、近似円Cの半径Rに対応する補正値Nを用いて仮液面高さH’を補正し、液面Sの実液面高さHを算出するようになっている。
具体的に上記実液面高さ算出部15は、上記半径算出部12が近似円Cの半径Rを算出すると、当該半径Rに対応する補正値Nを上記補正値記憶部14から取り出し、さらに上記仮液面高さ算出部13が算出した仮液面高さH’を上記補正値Nによって補正して実液面高さHを算出する。
本実施例の場合、上記仮液面高さ算出部13が算出した仮液面高さH’は上記基準面と近似円Cの頂点Pとの距離の中間となっており、実液面高さHは上記仮液面高さH’よりも下方に位置することから、算出された仮液面高さH’から補正値Nを減算する補正を行うことで実液面高さHを算出するようになっている。
続いて実液面高さ算出部15は、算出した実液面高さHを予め設定されている良品としての容器1の液面高さと比較し、実液面高さHが所定の範囲内に含まれている場合には当該容器1を良品と判断し、当該範囲外の場合には当該容器1を不良品と判断する。
【0018】
このように、本実施例の液面高さ検査装置2によれば、回転体3の回転による遠心力によって液体の液面Sが傾斜した場合であっても、実液面高さHを正確に測定することができ、これにより容器1への液体の充填量の良否判定を正確に行うことができる。
【0019】
図7は第2実施例にかかる液面高さ検査装置2を用いて上記実液面高さHを算出する手順を説明するものである。
第2実施例にかかる液面高さ検査装置2も第1実施例の液面高さ検査装置2と同様、回転体3によって容器1を搬送しながら、容器1の搬送経路の内側に設けた上記撮影手段4によって容器1を撮影し、傾斜した液面Sの円弧状部Aを認識するようになっている。
また本実施例の液面高さ検査装置2は、上記回転体3による容器1の搬送速度を計測する搬送速度計測手段を備えている。搬送速度計測手段としては、例えば光電管によって直接測定する方法を用いることができるが、本実施例では上記回転体3に設けたエンコーダによって計測した上記回転体3の回転数を直接搬送速度として採用するようになっている。
そして第2実施例の画像処理手段11は、液面Sの仮液面高さH’を算出する仮液面高さ算出部と、容器1の搬送速度とあらかじめ測定した液面高さとに基づいて設定された補正値Nを記憶する補正値記憶部と、上記搬送速度計測手段が測定した容器1の搬送速度と上記補正値記憶部の補正値Nとを用いて、上記仮液面高さ算出部が算出した仮液面高さH’を補正し、実際の実液面高さHを算出する実液面高さ算出部とを備えている。
【0020】
上記仮液面高さ算出部は上記第1実施例における仮液面高さ算出部13と同様の処理により、近似円Cと容器1の壁面との交点B’を認識し、交点B’同士を結んだ基準線Bを作成する。
次に仮液面高さ算出部13は、上記頂点算出部が求めた近似円Cの頂点Pから上記基準線Bまでの距離を測定し、当該距離の半分の位置を上記仮液面高さH’として算出する。
【0021】
上記補正値記憶部は、上記第1実施例における補正値記憶部14と同様、予め行った実験により計測した補正値Nが登録されている。
本実施例の上記補正値Nは、実際の液体を充填した実際の容器1を上記回転体3によって搬送しながら上記撮影手段4によって撮影して上記仮液面高さ算出部によって仮液面高さH’を算出し、その際の仮液面高さH’と実液面高さとの差を上記補正値Nとして算出する。
これを、例えば回転体3の回転数を100rpmから10rpm刻みで増大させながら収集することにより、各搬送速度(回転数)ごとの補正値Nが得られるようになっている。
本実施例の場合、容器1の搬送速度が増大するにしたがって仮液面高さH’を補正する補正値Nが大きくなる。
【0022】
そして上記実液面高さ算出部は、搬送速度計測手段が計測した容器1の搬送速度に対応する補正値Nを用いて仮液面高さH’を補正し、容器1中における液体の実液面高さHを算出するようになっている。
具体的に上記実液面高さ算出部15は、上記搬送速度計測手段が計測した容器1の搬送速度を算出すると、当該搬送速度に対応する補正値Nを上記補正値記憶部14から取り出し、上記仮液面高さ算出部13が算出した仮液面高さH’を上記補正値Nによって補正することにより、実際の実液面高さHを算出するようになっている。
本実施例の場合、上記仮液面高さ算出部13が算出した仮液面高さH’は上記基準面と近似円Cの頂点Pとの距離の中間となっており、実液面高さHは上記仮液面高さH’よりも下方に位置することから、算出された仮液面高さH’から補正値Nを減算する補正を行うことで実液面高さHを算出するようになっている。
続いて実液面高さ算出部15は、算出した実液面高さHを、予め設定されている良品としての容器1の液面高さと比較し、実液面高さHが所定の範囲内に含まれている場合には当該容器1を良品と判断し、当該範囲外の場合には当該容器1を不良品と判断する。
【0023】
このように、第2実施例の液面高さ検査装置2も、回転体3の回転による遠心力によって容器1の液体の液面Sが傾斜した場合であっても、実液面高さHを正確に測定することができ、これにより容器1への液体の充填量の良否判定を正確に行うことができる。
【符号の説明】
【0024】
1 容器 2 液面高さ検査装置
3 回転体 4 撮影手段
11 画像処理手段 12 半径算出部
13 仮液面高さ算出部 14 補正値記憶部
15 実液面高さ算出部 A 円弧状部
B 基準線 C 近似円
H 実液面高さ H‘ 仮液面高さ
N 補正値 S 液面