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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165726
(43)【公開日】2022-11-01
(54)【発明の名称】浮沈ホースの製造方法
(51)【国際特許分類】
   F16L 11/133 20060101AFI20221025BHJP
   B29C 70/16 20060101ALI20221025BHJP
   B29C 70/32 20060101ALI20221025BHJP
   F16L 11/04 20060101ALI20221025BHJP
   B29K 105/08 20060101ALN20221025BHJP
   B29L 23/00 20060101ALN20221025BHJP
【FI】
F16L11/133
B29C70/16
B29C70/32
F16L11/04
B29K105:08
B29L23:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021071191
(22)【出願日】2021-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(72)【発明者】
【氏名】玉田 義典
(72)【発明者】
【氏名】加藤 典保
【テーマコード(参考)】
3H111
4F205
【Fターム(参考)】
3H111AA02
3H111BA13
3H111BA25
3H111CB24
3H111CC03
3H111CC07
3H111DA17
3H111DB08
3H111EA12
3H111EA14
4F205AA45
4F205AD05
4F205AD12
4F205AD16
4F205AG08
4F205AH45
4F205HA02
4F205HA14
4F205HA23
4F205HA37
4F205HB01
4F205HB11
4F205HC02
4F205HF05
4F205HL12
4F205HT22
(57)【要約】
【課題】ホース内部に空気室を備えた浮沈ホースをより効率的に製造できる浮沈ホースの製造方法を提供する。
【解決手段】内面層7および内側補強層8aを有する内側成形体4と、外面層9および外側補強層8bを有する外側成形体5とを構成部材として、内側成形体4をマンドレル19の外周表面に成形し、この内側成形体4の外周表面に中子20を配置し、中子20の外周表面に外側成形体5を成形することで、内側成形体4と外側成形体5の間に中子20を積層して介在させたホース成形体6を製造し、ホース成形体6を加硫した後、加硫された内側成形体4と加硫された外側成形体5との間から中子20を複数のセグメント20sに分解して取り出すことで、加硫した内側成形体4と加硫した外側成形体6との間に空気室10を形成する。
【選択図】 図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内面層と外面層との間に補強層が積層されていて、前記内面層と前記外面層の間に空気室を有し、前記空気室に対して空気を出し入れする通気管が接続される浮沈ホースの製造方法において、
前記内面層および前記補強層を構成する内側補強層を有する内側成形体と、前記外面層および前記補強層を構成する外側補強層を有する外側成形体とを、構成部材として、
前記内側成形体をマンドレルの外周表面に成形し、成形した前記内側成形体の外周表面に中子を配置し、前記中子の外周表面に前記外側成形体を成形することで、前記内側成形体と前記外側成形体の間に前記中子を積層して介在させたホース成形体を製造し、前記ホース成形体を加硫することにより、加硫された前記内側成形体と加硫された前記外側成形体との間に前記空気室を備えた浮沈ホースを製造することを特徴とする浮沈ホースの製造方法。
【請求項2】
前記中子として複数に分解可能な筒状体を使用し、加硫された前記内側成形体と加硫された前記外側成形体との間から前記中子を複数に分解して取り出し、前記中子を取り出した後の空間を前記空気室にする請求項1に記載の浮沈ホースの製造方法。
【請求項3】
前記中子として、非金属製の中子を使用する請求項1または2に記載の浮沈ホースの製造方法。
【請求項4】
前記中子として膨張可能な筒状の袋体を使用し、加硫された前記内側成形体と加硫された前記外側成形体と間に前記中子を接合して、前記筒状の袋体を前記空気室にする請求項1に記載の浮沈ホースの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浮沈ホースの製造方法に関し、さらに詳しくは、ホース内部に空気室を備えた浮沈ホースをより効率的に製造できる浮沈ホースの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
タンカーから陸上に原油を搬送する場合などに、水底に沈めておいた浮沈ホースを水面に浮上させて使用する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。浮沈ホースには幾つかタイプがあるが、ホース内部に備えた空気室に対して空気を出し入れすることでホースを浮沈させるタイプがある。
【0003】
ホース内部に空気室を備えた浮沈ホースを製造するには、例えば、内面層を含む内側成形体と外面層を含む外側成形体とをそれぞれ、別々のマンドレルの外周面で成形、加硫する。次いで、内側成形体に外側成形体を外挿し、両者のすき間を空気室として確保して一体化させることで浮沈ホースを製造する。或いは、内側成形体と外側成形体とをそれぞれ、別々のマンドレルの外周面で成形した後、内側成形体に外側成形体を外挿して両者の隙間を空気室として確保して一体化させてホース成形体を成形する。次いで、ホース成形体を加硫することで浮沈ホースを製造する。
【0004】
しかしながら、このように内側成形体と外側成形体とを別々に成形するには、それぞれの成形のためのマンドレルが必要になる。また、内側成形体および外側成形体は相当の長さを有するので、内側成形体に外側成形体を外挿して一体化させる作業が煩雑になる。それ故、ホース内部に空気室を備えた浮沈ホースをより効率的に製造するには改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9-290466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、ホース内部に空気室を備えた浮沈ホースをより効率的に製造できる浮沈ホースの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため本発明の浮沈ホースの製造方法は、内面層と外面層との間に補強層が積層されていて、前記内面層と前記外面層の間に空気室を有し、前記空気室に対して空気を出し入れする通気管が接続される浮沈ホースの製造方法において、前記内面層および前記補強層を構成する内側補強層を有する内側成形体と、前記外面層および前記補強層を構成する外側補強層を有する外側成形体とを、構成部材として、前記内側成形体をマンドレルの外周表面に成形し、成形した前記内側成形体の外周表面に中子を配置し、前記中子の外周表面に前記外側成形体を成形することで、前記内側成形体と前記外側成形体の間に前記中子を積層して介在させたホース成形体を製造し、前記ホース成形体を加硫することにより、加硫された前記内側成形体と加硫された前記外側成形体との間に前記空気室を備えた浮沈ホースを製造することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、マンドレルの外周側に順次、内側成形体、中子、外側成形体を配置して内側成形体と外側成形体の間に中子を積層して介在させたホース成形体を製造する。次いで、このホース成形体を加硫することで、加硫された内側成形体と加硫された外側成形体との間に空気室を備えた浮沈ホースを製造できる。したがって、内側成形体と外側成形体のそれぞれを成形するために個別のマンドレルを用意する必要はない。また、外側成形体を中子を介在させて内側成形体に積層した状態で成形するので、別途、内側成形体に外側成形体を外挿させる工程が不要になる。したがって、ホース内部に空気室を備えた浮沈ホースをより効率的に製造するには有利になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】浮沈ホースの上半分を縦断面視で例示する説明図である。
図2図1の浮沈ホースを正面視で例示する説明図である。
図3図1のA-A断面図である。
図4】水底に沈んだ状態の浮沈ホースを例示する説明図である。
図5】水面に浮上した状態の浮沈ホースを例示する説明図である。
図6】マンドレルの外周表面に内側成形体を形成する工程を縦断面視で例示する説明図である。
図7図6の内側成形体の外周表面に中子を配置する工程を縦断面視で例示する説明図である。
図8図7の中子の構造を斜視で例示する説明図である。
図9図8の中子の外周表面に外側成形体を成形する工程を縦断面視で例示する説明図である。
図10】製造したホース成形体を加硫函の中で加硫する工程を例示する説明図である。
図11】加硫したホース成形体から中子を取り出す工程を縦断面視で例示する説明図である。
図12図11の中子を取り出した後のホース成形体を縦断面視で例示する説明図である。
図13図12のホース成形体の他方端部を塞ぐ工程を縦断面視で例示する説明図である。
図14】中子の変形例を縦断面視で例示する説明図である。
図15図14の中子が使用されて製造された浮沈ホースの上半分を縦断面視で例示する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の浮沈ホースの製造方法を、図に示した実施形態に基づいて説明する。
【0011】
図1図3に例示する浮沈ホース1が本発明の製造方法によって製造される。この浮沈ホース1は、ホース本体3と、ホース本体3の長手方向両端に接続された連結金具2とを備えている。即ち、それぞれの連結金具2の間にホース本体3が延在している。ホース本体3には流路3aが長手方向に連通し、流路3aの外周側に内面層7、補強層8(内側補強層8aおよび外側補強層8b)、外面層9が順に積層されている。さらに、ホース本体3には空気室10が備わっている。その他に必要な部材がホース本体3に適宜設けられる。
【0012】
浮沈ホース1の長さは例えば9.1m以上12.2m以下である。ホース本体3の外径は例えば350mm以上850mm以下である。流路3aを流れる液体として原油、ガソリン、LPG等を例示でき、その他の種々の流体を浮沈ホース1を通じて搬送することができる。
【0013】
連結金具2は、円盤状のフランジ2aと、フランジ2aに接合されてホース本体3に挿入される筒状のニップル2bとで構成されている。フランジ2aには周方向に間隔をあけてボルト穴2hが形成されている。また、ニップル2bには長手方向に間隔をあけて環状の固定突起2cが突設されている。それぞれの固定突起2cには、対応する内側補強層8aの長手方向端部が係合して固定される。連結金具2では、ニップル2bの内周側が流路3aになる。尚、図中の一点鎖線CLは、浮沈ホース1の長手方向に延びる中心線である。
【0014】
ホース本体3は、内面層7、内側補強層8a、外側補強層8b、外面層9が順に積層された円筒体である。そして、内側補強層8aと外側補強層8bとの間に円筒状の空気層10が形成されている。
【0015】
内面層7は、浮沈ホース1を通じて搬送する流体に接するので、その流体の種類に応じて適切な特性のゴム、樹脂が採用される。原油等を搬送する場合は、内面層7は、例えば、耐油性に優れたアクリロニトリルゴム等で形成される。
【0016】
補強層8は、内側補強層8aと外側補強層8bとで構成されている。内側補強層8a、外側補強層8bはそれぞれ、複数層の積層構造になっている。内側補強層8aは例えば、金属ワイヤを所定間隔あけて螺旋状に巻付けたワイヤ補強層と、補強コード(樹脂繊維コードなど)をゴムで被覆したコード補強層とが積層されて形成される。外側補強層8bは例えば、補強コード(樹脂繊維コードなど)をゴムで被覆したコード補強層を複数積層して形成される。内側補強層8a、外側補強層8bの積層構造や積層数は浮沈ホース1に要求される耐圧性能などに基づいて決定される。
【0017】
外面層9は、ゴム等の非透水性材料で形成されている。外面ゴム9は、耐摩耗性などを考慮して適切な特性のゴムや樹脂が採用される。
【0018】
空気室10は、内側補強層8aと外側補強層8bとの間に挟まれていて、気密性を有している。空気室10の長手方向両端には、空気室10に対して空気Arを出し入れする通気路11が連通している。詳述すると、ホース本体3の長手方向両端部では、最も外周側の内側補強層8aの長手方向端部を覆う被覆ゴムに、外側補強層8b、外面層9が積層されている。この被覆ゴムに通気路11が長手方向に延在して形成されている。空気室10は通気路11を通じてのみホース本体3の外部と連通する。通気路11の開口端には通気管となる通気ホース14が連結されている。
【0019】
通気路11を通じて空気室10に空気Arを注入すると、外側補強層8bおよび外面層9は外周側に膨出して空気室10の容積が増大する。これにより、浮沈ホース1には追加の浮力が作用する。一方、通気路11を通じて空気室10から空気Arを排出すると、外側補強層8bおよび外面層9は内周側に収縮して空気室10の容積が減少する。これにより、浮沈ホース1に作用する浮力は小さくなる。
【0020】
図4に例示するように、浮沈ホース1は別のマリンホース16と連結金具2を介して連結されてホースラインを形成する。連結される浮沈ホース1、マリンホース16のそれぞれの本数は適宜設定される。このホースラインには途中に2本の浮沈ホース1が連結されている。ホースラインを使用しない時は海などの水底に沈んだ状態にされる。この時、浮沈ホース1の空気室10からは余分な空気Arが排出されていて浮力が作用しない状態である。ホースラインの先端部にはリフティングブイ13が連結され、リフティングブイ13には水上に浮かんでいるブイ12に連結されている。リフティングブイ13と浮沈ホース1との間、浮沈ホース1と浮沈ホース1との間には、通気ホース14が接続されている。
【0021】
このホースラインを使用して、タンカーなどの船舶17から陸上に原油等を搬送する際には、船舶17に設置された空気供給源15からリフティングブイ13に空気Arを供給することで、水底に沈んでいたリフティングブイ13を水面に浮上させる。次いで、リフティングブイ13の切換弁を操作して、空気供給源15から供給される空気Arを通気ホース14を通じてそれぞれの浮沈ホース1の空気室10に供給する。
【0022】
その結果、図5に例示するようにそれぞれの浮沈ホース1は、空気室10に注入された空気Arにより生じた浮力によって水面に浮上する。これに伴ってホースラインの一方端部も浮上し、船舶17の上に引き上げられる。その後、ホースラインの一方端部を、船舶17に備わるホース接続口18に連結する。次いで、ホース接続口18およびホースラインを通じて、船舶17のタンクから陸上に原油等が搬送される。ホースラインを使用した後は、使用する際と逆の手順を行って、再びホースラインを水底に沈めた状態にする。このように浮沈ホース1は、ホースラインの昇降に使用されるので、ホースラインの浮上に必要な浮力を発揮させるために必要な容積の空気室10を備えている。
【0023】
以下、この浮沈ホース1を製造する手順の一例を説明する。
【0024】
まず、図6に例示するように、円筒状のマンドレル19に連結金具2を外挿して、長手方向に離間して配置する。図6では、マンドレル19の長手方向一方端部が記載されているが、長手方向他方端部も左右対称の状態になるように連結金具2を外挿する。
【0025】
次いで、離間した連結金具2の間で、マンドレル19の外周表面に、順次、内面層7、それぞれの内側補強層8aを成形して図6の状態にする。即ち、内面層7および内側補強層8aを有する内側成形体4をマンドレル19の外周表面に成形する。マンドレル19は両端支持の状態にして成形工程を行う。
【0026】
次いで、図7に例示するように、成形した内側成形体4の外周表面に中子20(20A)を配置する。中子20は円筒状であるが、複数のセグメント20sを連結して構成されている。セグメント20sどうしは、係合部などを係合させることで連結および連結解除が自在になっている。即ち、中子20は複数のセグメント20sに分解可能な構造である。
【0027】
図8に例示するように、この実施形態では、中子20Aは円筒体を長手方向に複数に分割され、かつ、周方向に複数に分割されたセグメント20sにより構成されている。中子20Aの長手方向の分割数は、製造する浮沈ホース1の長さに基づいて設定される。中子20Aの周方向の分割数は、例えば4~8個程度にする。中子20Aはそれぞれの連結金具2のニップル2bの間を跨ぐように配置される。
【0028】
中子20Aは種々の金属、種々の樹脂などの非金属によって形成することができる。中子20Aは、内側成形体4および外側成形体5に含まれている未加硫ゴムと接合し難くするために、表面を離型処理(フッ素樹脂被覆など)するとよい。作業性を考慮すると、軽量な非金属製の中子20Aを採用するとよい。例えば、発泡樹脂などで中子20Aを成形することができる。
【0029】
次いで、図9に例示するように、中子20Aの外周表面に、順次、外側補強層8b、外面層9を成形して図9の状態にする。即ち、外面層9および外側補強層8bを有する外側成形体5を中子20Aの外周表面に成形する。尚、通気路11は成形工程で形成するだけでなく、加硫工程の後に形成することもできる。
【0030】
これにより、マンドレル19の外周側には、内側成形体4と外側成形体5の間に中子20Aを積層して介在させたホース成形体6が製造される。このホース成形体6の長手方向他方端部側では、図10に例示するように、外側成形体5(外面層9および外側補強層8b)が完全に成形された状態になっていない。即ち、外側成形体5は、長手方向他方端部の正規位置よりも手前の位置まで成形を行い、長手方向他方端部では内側成形体4の一部が露出した状態になる。
【0031】
製造したホース成形体6は、内側成形体4および外側成形体5が未加硫ゴムを含んでいる。そこで、図10に例示するように、このホース成形体6を、公知の方法で加硫函21の内部で加硫する。これにより、内側成形体4および外側成形体5に含まれている未加硫ゴムが加硫され、積層された構成部材どうしが接合される(加硫接着される)。ただし、中子20Aは、内側成形体4および外側成形体5とは接合しない状態になっている。
【0032】
次いで、図11に例示するように、加硫された内側成形体4と加硫された外側成形体5との間からそれぞれのセグメント20sを取り出す。ホース成形体6の長手方向他方端部側では、内側成形体4が外側成形体5によって覆われていなかったので、加硫された内側成形体4と加硫された外側成形体5との間が開口している(円環状の開口が形成されている)。そこで、この開口から、すべてのセグメント20sをホース成形体6の外部に取り出す。尚、ホース成形体6の長手方向一方端部側では、内側成形体4は外側成形体5によって覆われていたので、加硫された内側成形体4と加硫された外側成形体5との間は閉口することなく塞がっている。
【0033】
中子20Aは複数のセグメント20sに分解できるので、長手方向他方端部に配置されている連結金具2を回避して中子20Aを取り出すことができる。柔軟性に富むセグメント20sであると取り出し易くなるので、セグメント20sを軟質樹脂、軟質発泡樹脂などで形成するとよい。加硫されたホース成形体6から中子20Aを取り出すと図12の状態になる。中子20Aを取り出した後の空間が空気室10になる。
【0034】
次いで、図13に例示するように、加硫された内側成形体4と加硫された外側成形体5との間の開口を塞ぐために塞ぎ部材5Aを配置して接合する。塞ぎ部材5Aは、未加硫ゴム、外側補強層8b、外面層9と実質的に同じ材料で形成されている。ホース成形体6の長手方向他方端部に塞ぎ部材5Aを加硫接合等によって接合することで、加硫された内側成形体4と加硫された外側成形体5との間の開口が塞がれて、浮沈ホース1が完成する。
【0035】
この実施形態では、中子20Aを使用して成形したホース成形体6を加硫することにより、加硫された内側成形体4と加硫された外側成形体5との間に空気室10を備えた浮沈ホース1を製造することができる。したがって、内側成形体4と外側成形体5のそれぞれを成形するために個別のマンドレル19を用意する必要はない。しかも、外側成形体5を中子20Aを介在させて内側成形体4に積層した状態で成形するので、別途、内側成形体4に外側成形体5を外挿させる工程が不要になる。浮沈ホース1は相応の長さを有しているので、内側成形体4に外側成形体5を外挿させる工程は非常に手間を要するが、この工程を省略できるので効率的に浮沈ホース1を製造するには非常に有利になる。
【0036】
図14に例示する中子20Bを使用することもできる。この中子20Bは、加硫ゴム製で膨張可能な筒状の袋体である。中子20Bの長手方向両端部に通気路11が形成されている。尚、通気路11は成形工程の前に中子20Bに形成するだけでなく、成形工程中、或いは、加硫工程の後に形成することもできる。
【0037】
この加硫ゴム製の中子20Bを使用して浮沈ホース1を製造する工程は、先の実施形態で説明した工程と概ね同じになるが。相違点を説明する。
【0038】
この中子20Bを内側成形体4の外周表面に配置した後は、中子20Bの外周表面に外側成形体5を長手方向一方端部から他方端部まで成形する。即ち、先の実施形態のように、製造したホース成形体6の長手方向他方端部で内側成形体4の一部を露出した状態にすることはない。尚、この中子20Bは、分割して内側成形体4の外周表面に配置した後に一体化させて袋体にしてもよい。
【0039】
このように成形したホース成形体6を加硫することで、加硫された内側成形体4と加硫された外側成形体5との間には中子20Bが閉じ込められた図15に例示する浮沈ホース1が製造される。内側成形体4の外周表面に配置した中子20Bは、内部に空気Arを密封した状態にして(中立状態に膨張させて)、その後の成形工程、加硫工程を行うと、ホース成形体6(ホース本体3)の外表面の皺の発生を抑制して製造するには有利になる。
【0040】
この実施形態では、ホース成形体6を加硫した後に、中子20Bをそのまま空気室10として機能させることができる。そのため、加硫したホース成形体6から中子20Bを取り出す必要がないというメリットがある。
【符号の説明】
【0041】
1 浮沈ホース
2 連結金具
2a フランジ
2b ニップル
2c 固定突起
2h ボルト穴
3 ホース本体
3a 流路
4 内側成形体
5 外側成形体
5A 塞ぎ部材
6 ホース成形体
7 内面層
8 補強層
8a 内側補強層
8b 外側補強層
9 外面層
10 空気室
11 通気路
12 ブイ
13 リフティングブイ
14 通気ホース(通気管)
15 空気供給源
16 マリンホース
17 船舶
18 ホース接続口
19 マンドレル
20(20A、20B) 中子
20s セグメント
21 加硫函
Ar 空気
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15