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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165736
(43)【公開日】2022-11-01
(54)【発明の名称】乗用型苗植機
(51)【国際特許分類】
   A01C 11/02 20060101AFI20221025BHJP
【FI】
A01C11/02 350H
A01C11/02 330C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021071212
(22)【出願日】2021-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 正道
(72)【発明者】
【氏名】今泉 大介
【テーマコード(参考)】
2B062
2B064
【Fターム(参考)】
2B062AA02
2B062AA05
2B062AA09
2B062AB01
2B062BA23
2B062BA62
2B064AA05
2B064AB01
2B064CA02
2B064CA19
2B064CA25
2B064CB05
(57)【要約】
【課題】乗用型苗植機は、走行車体前部のボンネット左右両側方に予備苗載台を設けており、ボンネット上方空間は利用されていなかった。そこで、ボンネット上方空間を利用して予備苗載部として、苗供給作業性及び作業効率の良い乗用型苗植機を提供する。
【解決手段】走行車体2の後部に苗植付部30を装着し、走行車体2前部の左右中央部にボンネット6及びステアリングハンドル9を設けた乗用型苗植機において、ステアリングハンドル9の高さを調節自在とし、ボンネット6上方に予備苗載部50を設けると共に、ステアリングハンドル9の高さを操縦操作する高さに調節した時には予備苗載部50を下降した位置とし、ステアリングハンドル9の高さを収納状態に低く調節した時には予備苗載部50を上昇した位置とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車体(2)の後部に苗植付部(30)を装着し、走行車体(2)前部の左右中央部にボンネット(6)及びステアリングハンドル(9)を設けた乗用型苗植機において、ステアリングハンドル(9)の高さを調節自在とし、ボンネット(6)上方に予備苗載部(50)を設けると共に、ステアリングハンドル(9)の高さを操縦操作する高さに調節した時には予備苗載部(50)を下降した位置とし、ステアリングハンドル(9)の高さを収納状態に低く調節した時には予備苗載部(50)を上昇した位置とすることを特徴とする乗用型苗植機。
【請求項2】
予備苗載部(50)は下降した位置でボンネット(6)上面に略沿った前が低い前傾姿勢であり、上昇した位置で略水平であることを特徴とする請求項1に記載の乗用型苗植機。
【請求項3】
予備苗載部(50)を上下回動するステアリングハンドル(9)のステアリングポスト(9a)に連結したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の乗用型苗植機。
【請求項4】
予備苗載部(50)が前後方向に長くなることを特徴とする請求項1~請求項3の何れか1項に記載の乗用型苗植機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行車体に苗植付部を装着した乗用型苗植機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水田圃場を走行しながら苗を植え付ける乗用型苗植機において、走行車体前部のボンネット左右両側方に予備苗載台を設けたものがある。(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-243946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
乗用型苗植機は、走行車体前部のボンネット左右両側方に予備苗載台を設けており、ボンネット上方空間は利用されていなかった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ボンネット上方空間を利用して予備苗載部として、苗供給作業性及び作業効率の良い乗用型苗植機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、走行車体2の後部に苗植付部30を装着し、走行車体2前部の左右中央部にボンネット6及びステアリングハンドル9を設けた乗用型苗植機において、ステアリングハンドル9の高さを調節自在とし、ボンネット6上方に予備苗載部50を設けると共に、ステアリングハンドル9の高さを操縦操作する高さに調節した時には予備苗載部50を下降した位置とし、ステアリングハンドル9の高さを収納状態に低く調節した時には予備苗載部50を上昇した位置とする乗用型苗植機である。
【0007】
請求項1記載の発明によれば、ステアリングハンドル9の高さを調節自在とし、ボンネット6上方に予備苗載部50を設けると共に、ステアリングハンドル9の高さを操縦操作する高さに調節した時には予備苗載部50を下降した位置とし、ステアリングハンドル9の高さを収納状態に低く調節した時には予備苗載部50を上昇した位置とするので、ステアリングハンドル9を収納状態に低くすると、予備苗載部50はボンネット6の上方で上昇した位置となり、走行車体2前部を畦や道路に着けて、畦や道路に居る作業者は予備苗載部50に容易に苗を育苗した苗箱Nを畦や道路から載置供給でき、機体上の作業者は該載置台51に載置された苗箱Nを取って機体後方の苗植付部30に効率良く且つ容易に供給することができる。また、予備苗載部50は走行車体2の左右中央部にあるので、該予備苗載部50の左右両側を作業者が移動できて作業性良く苗供給作業が行なえる。更に、ステアリングハンドル9の高さを操縦操作する高さに調節した時には予備苗載部50が下降した位置になるので、苗植作業中に苗箱Nを安定良く載置できると共に、操縦者の前方視界を阻害せず適切な苗植作業が行なえる。
【0008】
請求項2記載の発明は、予備苗載部50は下降した位置でボンネット6上面に略沿った前が低い前傾姿勢であり、上昇した位置で略水平である請求項1に記載の乗用型苗植機である。
【0009】
請求項3記載の発明は、予備苗載部50を上下回動するステアリングハンドル9のステアリングポスト9aに連結した請求項1又は請求項2に記載の乗用型苗植機である。
【0010】
請求項4記載の発明は、予備苗載部50が前後方向に長くなる請求項1~請求項3の何れか1項に記載の乗用型苗植機である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明における実施形態を示す乗用型苗植機の平面図である。
図2】本発明における実施形態を示す乗用型苗植機の作用説明用側面図である。
図3】本発明における実施形態を示す乗用型苗植機の作用説明用側面図である。
図4】本発明における実施形態を示す乗用型苗植機の要部の斜視図である。
図5】本発明における第2実施形態を示す乗用型苗植機の作用説明用側面図である。
図6】本発明における他の実施形態を示す乗用型苗植機の要部の平面図である。
図7】本発明における他の実施形態を示す乗用型苗植機の要部の正面図である。
図8】本発明における他の実施形態を示す乗用型苗植機の要部の正面図である。
図9】本発明における他の実施形態を示す乗用型苗植機の要部の正面図である。
図10】本発明における他の実施形態を示す乗用型苗植機の要部の斜視図である。
図11】本発明における他の実施形態を示す乗用型苗植機の要部の斜視図である。
図12】本発明における他の実施形態を示す乗用型苗植機の要部の斜視図である。
図13】本発明における他の実施形態を示す乗用型苗植機の要部の側面図である。
図14】本発明における他の実施形態を示す乗用型苗植機の作用説明用側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して本願の開示する乗用型苗植機の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0013】
<全体構成>
乗用型苗植機1は、水田圃場を走行可能な走行車体2を備える。走行車体2は、左右一対の前輪3と、左右一対の後輪4とを備える。なお、走行車体2は、前輪3及び後輪4が駆動する四輪駆動車である。
【0014】
走行車体2の後部には、昇降装置20によって昇降駆動される苗植付部30が装着されている。また、走行車体2後上部には、施肥装置40の本体部が装着されている。
【0015】
走行車体2前部の中央位置には、予備苗載部としての中予備苗載部50が設けられている。また、走行車体2前部の左右外側位置には、左右予備苗載部60L,60Rが設けられている。
【0016】
<走行車体2>
走行車体2は、機体フレーム5と、機体フレーム5上に設けられたエンジンEと、エンジンEで発生した動力を前後輪3,4、苗植付部30及び施肥装置40に伝達する動力伝達装置とを備える。すなわち、動力源であるエンジンEで発生した動力は、走行車体2を前進または後進させるために使用されるだけでなく、苗植付部30及び施肥装置40を駆動するためにも使用される。
【0017】
エンジンEは、走行車体2前部に搭乗される。なお、エンジンEとしては、ディーゼル機関やガソリン機関などの熱機関が用いられる。
【0018】
エンジンEの上部は、ボンネット6に覆われている。ボンネット6の左右両側方及び後方には、フロアステップ7が設けられている。
【0019】
フロアステップ7は、機体フレーム5上に取り付けられる。フロアステップ7のうち、たとえば、後述する操縦席8付近の一部などは作業者の靴などに付着した泥などを水田圃場に落とせるように、平面視において格子状に形成される。
【0020】
フロアステップ7の後部中央部は、凸状に形成されており、その上面に操縦席8が設けられている。
【0021】
フロアステップ7の後端部には、後輪4のフェンダを兼ねるリヤステップ7Rが設けられている。
【0022】
動力伝達装置は、エンジンEから動力が伝達されるベルト式動力伝達部と、エンジンEからベルト式動力伝達部を介して伝達される動力を変速する変速装置である静油圧式無段変速機と、ミッションケースとを備える。
【0023】
静油圧式無段変速機は、ボンネット6上端後部の操作パネル部に設けた主変速レバーが操作されることで、出力(回転速度)と出力方向(回転方向)とを変更可能である。すなわち、静油圧式無段変速機は、回転速度や回転方向を変更することで、走行車体2の前後進や走行速度を変更可能である。
【0024】
ミッションケースには、静油圧式無段変速機によって変速されたエンジンEからの動力を各部に伝達する伝動装置が設けられる。ミッションケースは、走行時や作業時における走行速度を切り替える副変速機構を備える。ミッションケースは、ボンネット6上端後部の操作パネル部に設けた副変速レバーが操作されると、走行車体2の走行速度を、植付作業時における苗植付速度と苗植付速度よりも高速な路上走行速度に切り替える。
【0025】
走行車体2は、フロアステップ7上に操縦席8を備える。操縦席8は、作業者が操縦時に着席する座席である。走行車体2は、操縦席8の前方に、ステアリングハンドル9や植付レバーなどを備える。
【0026】
ステアリングハンドル9は、走行車体2のボンネット6上部の後方中央位置に設けられ、作業者に回動操作されることで、左右前輪3が操向されて走行車体2を操舵するものである。
【0027】
そして、ステアリングハンドル9は、一般的なチルトハンドルの構成となっている。即ち、ステアリングハンドル9のステアリングポスト9aの基部に機体左右方向の回動軸9bを設けて、ステアリングハンドル9を該回動軸9b回りに上下回動させた所定位置で回動規制具にて固定することにより、ステアリングハンドル9の高さを調節できる。なお、図3に示す状態は、ステアリングハンドル9の高さを最も低い位置にした状態で、収納状態を示す。
【0028】
走行車体2は、操作パネル部に植付レバーを備える。植付レバーは、苗植付部30を昇降させたり、苗植付部30による苗の植え付けを開始及び停止させるために操作するレバーである。
【0029】
また、走行車体2は、主変速レバーと副変速レバーとを備える。主変速レバーは、静油圧式無段変速機を変速操作して走行車体2の前後進及び走行速度を変更する場合に操作されるレバーである。副変速レバーは、走行車体2の走行速度を、走行する場所(水田圃場や路上)に応じた速度に切り替える場合に操作されるレバーである。
【0030】
また、ボンネット6は、走行車体2前部でフロアステップ7左右中央部から上方に突出して設けられ、前述のように内部にエンジンEが搭載されている。
【0031】
ボンネット6上部には、操作パネル部が設けられる。操作パネル部は、操縦席8に着席して前方を向いた作業者と対面するように、後下がりに傾斜した表示面を有する。
【0032】
操作パネル部は、たとえば、水田圃場面に直進の目安となる進行基準線を形成する後述する線引きマーカが走行車体の左右側部に出ていることを検知するマーカセンサ、植付レバーの操作位置を検知する植付レバーポジションセンサ、施肥装置40の貯留ホッパ41に貯留された肥料が所定量を下回ったことを検知する肥料切れセンサ、貯留ホッパ41から送られた肥料が供給経路に詰まったことを検知する肥料詰まりセンサなどの各種センサ類からの情報を表示する。
【0033】
乗用型苗植機1は、昇降装置20と苗植付部30を備える。昇降装置20は、昇降リンクを備える。昇降リンクは、走行車体2の後部と苗植付部30とを連結する平行リンクであり、走行車体2の後部のリンクフレームと苗植付部30とのそれぞれに対して上下方向に回動自在に連結されることで、走行車体2に対して苗植付部30を昇降可能に連結する。
【0034】
また、昇降装置20は、油圧式の昇降シリンダを備える。昇降シリンダは、植付レバーが操作されて油圧バルブが切り替えられることで、伸縮動作する。昇降シリンダは、伸縮動作することで昇降リンクを駆動して、苗植付部30を昇降させる。すなわち、昇降シリンダは、植付レバーが操作されることで、苗植付部30を上昇させた非作業位置、苗植付部30を下降させた対地作業位置(植付位置)に切り替える。
【0035】
<苗植付部30>
苗植付部30は、上記したように、昇降リンクを介して走行車体2の後部に取り付けられる。苗植付部30は、たとえば、複数の列(条)で苗を植え付けることが可能である。苗植付部30は、苗載置台31と、フロート32と、植付装置33とを備える。
【0036】
苗載置台31は、機体の左右方向において、植付条数分の6つの苗載せ面を有する。各苗載せ面は、上下方向に複数枚のマット状土付苗を載置可能な後下がりの傾斜面である。フロート32は、走行車体2の移動に伴い水田圃場の泥面上を滑走しながら整地する。フロート32は、機体の左右方向において、機体中央部に配置されるセンターフロートと、センターフロートを挟んで左右方向の外側に配置されるサイドフロートとを備える。
【0037】
フロート32(センターフロート及びサイドフロート)は、水田圃場面の凹凸に応じて前部が上下動するように、走行車体2に後部が回動自在に取り付けられ、センターフロート前部の上下動を迎角制御用の回動センサで検知する。苗植付部30では、植付作業時にはセンターフロートの前部の上下動が回動センサによって検知され、回動センサの検知結果に応じて制御部によって昇降シリンダの伸縮動作を制御する油圧バルブを切り替えて苗植付部30を昇降させ、苗の植え付け深さを自動制御で調節することができる。
【0038】
植付装置33は、苗載置台31の植付支持フレームによって支持されることで、苗載置台31の下方に配置される。植付装置33は、苗載置台31に載置されたマット状土付苗を水田圃場に植え付ける。植付装置33は、植込杆331と、ロータリーケース332を備える。植込杆331は、苗載置台31に載置されたマット状土付苗から一株分の苗をとって水田圃場面に植え付ける。
【0039】
ロータリーケース332は、植込杆331を回転可能に支持する。ロータリーケース332には、植込杆331の回転速度を変化させながら植込杆331を回転させる不等速伝動機構が設けられる。植込杆331は、ロータリーケース332に対する回転角度によって回転速度を変えながら回転する。
【0040】
<施肥装置40>
乗用型苗植機1は、施肥装置40を備える。施肥装置40は、水田圃場に肥料を散布する装置である。乗用型苗植機1においては、苗植付部30によって水田圃場に苗を植え付けながら、施肥装置40によって水田圃場に肥料を散布する。
【0041】
施肥装置40は、走行車体2の後部上方であり操縦席8の後方に設けられた肥料を貯留する貯留ホッパ41、該貯留ホッパ41から肥料を繰り出す繰り出し部42、該繰り出し部42から繰り出された肥料を電動ブロア43の風力で移送する肥料パイプ44、該肥料パイプ44で移送された肥料を苗植付位置の側方に作溝して溝内に散布する作溝器45を備える。
【0042】
<予備苗載部>
乗用型苗植機1は、走行車体2前部中央に設けたボンネット6の上方位置に中予備苗載部50を備え、走行車体2の前部左右外側方に左右予備苗載部60L,60Rを備える。左右予備苗載部60L,60Rは、各々機体フレーム5に基部を固定した支持フレームの上部に苗を育苗した苗箱Nを載置する3段のパレット状の載置台61を装備している。
【0043】
中予備苗載部50は、苗を育苗した苗箱Nを機体左右方向に2つ並置する載置台51と該載置台51の後部側底面と回動軸9b回りに上下回動するステアリングハンドル9のステアリングポスト9aを連結する支持フレーム52から構成される。
【0044】
載置台51は、苗箱Nを載置支持する底面51aと前壁51bと左右側壁51cと中央仕切り壁51dを備え、後方が開放されている。
【0045】
従って、載置台51は、支持フレーム52により回動軸9b回りに上下回動するステアリングハンドル9のステアリングポスト9aに支持された構成となっているので、図3に示すようにステアリングハンドル9を収納状態にすると、ボンネット6の上方位置で水平状態となり、走行車体2前部を畦や道路に着けて、畦や道路に居る作業者は載置台51に容易に苗を育苗した苗箱Nを畦や道路から載置供給でき、機体上の作業者は該載置台51に載置された苗箱Nを取って機体後方の苗植付部30の苗載置台31に効率良く且つ容易に供給することができる。また、載置台51は走行車体2の左右中央部にあるので、該載置台51の左右両側のフロアステップ7が有効に使えて機体上の作業者は作業性良く苗供給作業が行なえる。
【0046】
そして、苗載置台31への苗供給を終えると、図2に示すようにステアリングハンドル9を苗植作業中に操縦する操縦操作位置にすると、載置台51は、ボンネット6の上方位置でボンネット6の上面に沿った前傾状態となる。畦や道路に居る作業者は、該前傾状態の載置台51に苗箱Nを載置すると共に、左右予備苗載部60L,60Rの各3段の載置台61にも苗箱Nを載置する。
【0047】
そして、乗用型苗植機1の各部を駆動して機体を前進させて苗植作業を行なうが、載置台51はボンネット6の上方位置でボンネット6の上面に沿った前傾状態となっているので、苗移植作業中に苗箱Nを安定良く載置できると共に、操縦者の前方視界を阻害せず適切な苗植作業が行なえる。
【0048】
(別実施形態)
(1)図5は、中予備苗載部50の第2実施形態を示し、載置台51を支持フレーム52上端に固定した固定載置台53と該固定載置台53上を後方にスライド移動する中移動載置台54と該中移動載置台54上を後方にスライド移動する上移動載置台55で構成した例を示す。
【0049】
従って、ステアリングハンドル9を収納状態にすることにより、載置台51をボンネット6の上方位置で水平状態にして、固定載置台53上で中移動載置台54を後方にスライド移動し、更に、中移動載置台54上で上移動載置台55を後方にスライド移動して、上移動載置台55後端部底面を操縦席8上端で支持させた状態にする。
【0050】
すると、載置台51は、走行車体2前端部から走行車体2後部に至るスライド苗レールとなり、走行車体2前部を畦や道路に着けて、畦や道路に居る作業者が載置台51の固定載置台53に苗を育苗した苗箱Nを畦や道路から載置供給すると、機体上の作業者は該固定載置台53に載置された苗箱Nを後方にスライド移動させて走行車体2後部まで移動させる。そして、走行車体2後部の上移動載置台55にまでスライド移動させた苗箱Nを取り上げて、後方の苗植付部30の苗載置台31に効率良く、作業性良く且つ容易に供給することができる。
【0051】
(2)図6及び図7は、中予備苗載部50の第3実施形態を示し、ボンネット6の上部左右両側に苗を育苗した苗箱Nを載置できる平面を形成して載置台51とした例を示す。
【0052】
ボンネット6上部左右両側に形成した載置台51は、苗箱Nを一時的に載置できる狭い面積の構成としても良いし、苗箱N底面全体を載置できる広い面積としても良い。また、載置台51の前部には、苗箱Nの前面を受けるストッパ壁56を設けている。
【0053】
(3)図8は、第3実施形態の変形例である第4実施形態を示す。
【0054】
即ち、載置台51を外側程高くなる傾斜平面とし、載置台51に載置した苗箱Nの側面をボンネット6上部の壁面で受けて、苗箱Nの載置状態を安定させる。
【0055】
(4)図9は、第3実施形態の変形例である第5実施形態を示す。
【0056】
即ち、載置台51よりも上方に延びるボンネット6壁面に苗箱Nの側壁が嵌まり込む凹部57を形成し、載置台51に載置した苗箱Nの側壁を該ボンネット6の凹部57に勘合させて苗箱Nの載置状態を安定させる。
【0057】
(5)図10は、第3実施形態の変形例である第6実施形態を示す。
【0058】
即ち、載置台51前部にL字状載置アーム58の基部を回動自在に設け、苗箱Nの前部を載置支持する作用状態とボンネット6側に収納した収納状態に姿勢変更自在とし、作用状態では載置台51に載置した苗箱Nの前部を載置支持して苗箱Nの載置状態を安定し、収納状態ではフロアステップ7上方に出っ張らず作業者がフロアステップ7を通るのを阻害しない。
【0059】
(6)図11は、第3実施形態の変形例である第7実施形態を示す。
【0060】
即ち、L字状載置具59aにボンネット6に設けた収納孔59bに挿通する杆体59cを設け、L字状載置具59aを載置台51外側方に向けてスライド移動自在とし、苗箱Nの側部を載置支持する作用状態とボンネット6側に収納した収納状態に姿勢変更自在とし、作用状態では載置台51に載置した苗箱Nの側部を載置支持して苗箱Nの載置状態を安定し、収納状態ではフロアステップ7上方に出っ張らず作業者がフロアステップ7を通るのを阻害しない。
【0061】
(7)図12及び図13は、ボンネット6上部左右両側部に空の苗箱Nを横長に立てた状態で複数個収納できる空箱収納部70を設けた第8実施形態を示す。
【0062】
即ち、ボンネット6上部左右両側部に前後方向に長い凹部を形成して空箱収納部70とする。空箱収納部70は、前が低く前傾した構成とし、載置した空の苗箱Nの前部及び側部が保持されて安定した載置状態とすることができる。また、苗箱Nを載置していない時は、ペットボトル等の置場として利用しても良い。
【0063】
(8)図14は、第9実施形態を示す。
【0064】
即ち、走行車体2後部に走行部側予備苗載部80を設け、苗植付部30の苗載置台31上方に植付部側予備苗載部90を設けている。
【0065】
走行部側予備苗載部80は、マット状土付苗を載置する苗載面を苗載置台31と同じ植付条数分(6つ)左右方向に設けた走行部側苗載部81と該走行部側苗載部81を支持する支持フレーム82で構成される。
【0066】
走行部側苗載部81は、基部が機体フレーム5に固定されて上方に延びる支持フレーム82の上端に機体左右方向にスライド移動自在で、且つ、支持フレーム82に設けた枢支軸82a回りに矢印(イ)-(ロ)方向に回動自在に設けられている。
【0067】
走行部側苗載部81を機体左右方向にスライド移動させると、走行部側苗載部81の6つの苗載面の後方出口を苗植付部30の苗載置台31の6つの苗載面の上端部入口と機体左右方向で合致させることができる。そして、走行部側苗載部81の6つの苗載面と苗植付部30の苗載置台31の6つの苗載面が機体左右方向で合致した状態で走行部側苗載部81前部を持ち上げて矢印(イ)方向に回動させると、走行部側苗載部81の6つの苗載面の後方出口が苗載置台31の6つの苗載面の上端部入口上に重なり、走行部側苗載部81の6つの苗載面に載置しているマット状土付苗を苗載置台31の6つの苗載面に供給することができる。
【0068】
植付部側予備苗載部90は、マット状土付苗を載置する苗載面を苗載置台31と同じ植付条数分(6つ)左右方向に設けた植付部側苗載部91と該植付部側苗載部91を支持する支持フレーム92で構成される。
【0069】
植付部側苗載部91は、基部が苗載置台31の左右外側壁に固定されて上方に延びる支持フレーム92の前部フレーム92a及び後部フレーム92bの上端部に装着されている。
【0070】
植付部側苗載部91の前部底面には、底面に沿った長孔を有する装着部材93が設けられており、該装着部材93の長孔に前部フレーム92a上端に設けた左右方向の枢支ピン94が挿通され、該枢支ピン94回りに矢印(ハ)-(二)方向に回動自在に設けられている。なお、畦や道路に居る作業者は、植付部側苗載部91の後部に設けた後把持部95aを持って回動操作し、走行車体2上の作業者は、植付部側苗載部91の前部に設けた前把持部95bを持って回動操作する。
【0071】
植付部側苗載部91の後部底面には、後方が開放されたU字状係合部材96が設けられており、後部フレーム92b上端に設けた左右方向の係合ピン97に後方開放部から係合する。
【0072】
従って、苗植付部30を畦や道路に接当しない位置まで上昇させて機体後部を畦や道路に着けて停車する。そして、走行車体2上の作業者は、走行部側苗載部81を機体左右方向にスライド移動させて、走行部側苗載部81の6つの苗載面の後方出口を苗植付部30の苗載置台31の6つの苗載面の上端部入口と機体左右方向で合致させる(必然的に、植付部側苗載部91の6つの苗載面前端とも合致する)。
【0073】
そして、畦や道路に居る作業者は、畦や道路に置いてある苗箱Nからマット状土付苗を取り出して、植付部側苗載部91の6つの苗載面に各々載置する。
【0074】
そして、後把持部95aを持って植付部側苗載部91を前方に押してU字状係合部材96を係合ピン97から外した後に、上方に持ち上げて植付部側苗載部91を枢支ピン94回りに矢印(ハ)方向に回動させて、植付部側苗載部91の6つの苗載面前部を走行部側苗載部81の6つの苗載面上に重ねると、植付部側苗載部91の6つの苗載面に載置されたマット状土付苗は滑落して走行部側苗載部81の6つの苗載面に移載される。
【0075】
そして、走行車体2上の作業者は、走行部側苗載部81前部を持ち上げて矢印(イ)方向に回動させて走行部側苗載部81の6つの苗載面の後方出口を苗載置台31の6つの苗載面の上端部入口上に重ねる。すると、走行部側苗載部81の6つの苗載面に載置しているマット状土付苗は、苗載置台31の6つの苗載面に供給される。
【符号の説明】
【0076】
2 走行車体
6 ボンネット
9 ステアリングハンドル
9a ステアリングポスト
30 苗植付部
50 予備苗載部(中予備苗載部)
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