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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165739
(43)【公開日】2022-11-01
(54)【発明の名称】バンド及び時計
(51)【国際特許分類】
   A44C 5/20 20060101AFI20221025BHJP
   A44C 5/02 20060101ALI20221025BHJP
   A45C 13/30 20060101ALI20221025BHJP
   A44B 11/24 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
A44C5/20 B
A44C5/02 D
A45C13/30 G
A44B11/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021071216
(22)【出願日】2021-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096699
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿嶋 英實
(74)【代理人】
【識別番号】100171882
【弁理士】
【氏名又は名称】北庄 麗絵子
(72)【発明者】
【氏名】山本 圭四郎
【テーマコード(参考)】
3B045
3B090
【Fターム(参考)】
3B045FC04
3B045GB02
3B045GD03
3B090AA13
3B090AD03
3B090AD07
(57)【要約】
【課題】 デザインの自由度を広げ、デザイン性を向上させることができるバンド及びそれを備えた時計を提供する。
【解決手段】 6時側バンド部33にその長さ方向に配列された複数の第1の突棒穴4aと、6時側バンド部33に第1の突棒穴4aと並んでバンド本体31の長さ方向に配列された複数の第2の突棒穴4bと、を備え、第1の突棒穴4aと第2の突棒穴4bとは、互いに同じ方向から見た時の形状が異なっている。従って、形状が異なる複数の第1の突棒穴4aと複数の第2の突棒穴4bとによってデザイン的に斬新なものが得られるので、デザインの自由度を広げて、バンド3全体のデザイン性を向上させることができる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バンド本体の一端側に前記バンド本体の長さ方向に配列された複数の第1の固定穴と、
前記バンド本体の前記一端側に前記バンド本体の長さ方向に前記第1の固定穴と並んで配列された複数の第2の固定穴と、
を備え、
前記第1の固定穴と前記第2の固定穴とは、互いに同じ方向から見た時の形状が異なっていることを特徴とするバンド。
【請求項2】
請求項1に記載のバンドにおいて、
前記形状は、前記第1の固定穴と前記第2の固定穴との穴の形であり、前記第1の固定穴と前記第2の固定穴とは、前記第1の固定穴と前記第2の固定穴との間を中心に回転させた同じ穴の形である
ことを特徴とするバンド。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のバンドにおいて、
前記複数の第1の固定穴は、前記バンド本体の長さ方向に互いに間隔を隔てて並んで配列されており、
前記複数の第2の固定穴は、前記バンド本体の長さ方向に互いに間隔を隔てて並び、かつ前記バンド本体の長さ方向に前記第1の固定穴に対してずれて配列されている
ことを特徴とするバンド。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれかに記載のバンドにおいて、
前記バンド本体の他端側には、前記複数の第1の固定穴のいずれに挿入する第1のピン部材と、前記複数の第2の固定穴のいずれかに挿入する第2のピン部材と、が設けられている
ことを特徴とするバンド。
【請求項5】
請求項1~請求項4のいずれかに記載のバンドにおいて、
前記第1の固定穴と前記第2の固定穴とは、前記バンド本体の長さ方向において反転した形状に形成されている
ことを特徴とするバンド。
【請求項6】
請求項1~請求項5のいずれかに記載のバンドにおいて、
前記第1の固定穴と前記第2の固定穴との一方は、台形状に形成されており、
前記第1の固定穴と前記第2の固定穴との他方は、逆台形状に形成されている
ことを特徴とするバンド。
【請求項7】
請求項6に記載のバンドにおいて、
前記第1の固定穴の上辺と前記第2の固定穴の上辺とは、前記バンド本体の長さ方向と直交する幅方向に対して所定の角度で傾斜する直線上にあり、
前記第1の固定穴の下辺と前記第2の固定穴の下辺とは、前記所定の角度と同じ角度で傾斜する直線上にある
ことを特徴とするバンド。
【請求項8】
請求項1~請求項7のいずれかに記載のバンドにおいて、
前記第1の固定穴及び前記第2の固定穴における各上辺の内壁部には、前記第1の固定穴及び前記第2の固定穴に個別に挿入する第1のピン部材及び第2のピン部材がそれぞれ押し当てられる傾斜面が設けられている
ことを特徴とするバンド。
【請求項9】
請求項1~請求項8のいずれかに記載のバンドにおいて、
前記バンド本体の前記一端側における表面には、前記バンド本体の前記一端側の端辺からこれに接近する前記第1及び前記第2の固定穴側に向けて、前記端辺側が徐々に低くなるように傾斜する第1斜面と、前記バンド本体の前記一端側における一方の側辺からこれに接近する前記第1及び前記第2の固定穴の一方側に向けて、前記側辺側が徐々に低くなるように傾斜する第2斜面と、が設けられている
ことを特徴とするバンド。
【請求項10】
請求項1~請求項9のいずれかに記載のバンドにおいて、
前記バンド本体の他端側における表面には、前記バンド本体の前記他端側の一方の側辺からこれに接近する前記第1及び前記第2のピン部材のいずれか一方に沿う延長線上に向けて、前記側辺側が徐々に低くなるように傾斜する第3斜面が設けられている
ことを特徴とするバンド。
【請求項11】
請求項1~請求項10のいずれかに記載のバンドにおいて、
前記バンド本体は、前記複数の第1の固定穴及び前記複数の第2の固定穴が形成された第1のバンド本体と、第1のピン部材及び第2のピン部材が設けられた第2のバンド本体と、を含む
ことを特徴とするバンド。
【請求項12】
請求項1~請求項11のいずれかに記載されたバンドを備えていることを特徴とする時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、腕時計などの腕装着装置や鞄、バッグなどに用いられるバンド及びそれを備えた時計に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、腕時計などのバンドにおいては、特許文献1に記載されているように、一対のバンド片の一方側に、長さ方向に等しいピッチで並ぶ複数の固定穴を幅方向に2列設け、第1列の各固定穴と第2列の各固定穴とを、バンド片の長さ方向に半ピッチずらして千鳥状に配列させたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2017/072917号
【0004】
この種のバンドは、一対のバンド片の他方側の端部に、第1列の各固定穴と第2列の各固定穴とに係合する一対のピンを有する固定具が設けられ、一対のピンがバンドの長さ方向に半ピッチずれて設けられた構造になっている。これにより、このバンドでは、一対のピンの位置をバンドの長さ方向に互い違いに半ピッチずらすことにより、バンドの長さを半ピッチ単位で微調整できるようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このようなバンドでは、第1列の各固定穴と第2列の各固定穴とがバンド片の長さ方向に半ピッチずれて千鳥状に配列されているだけで、第1列の各固定穴と第2列の各固定穴とが同じ形状であるから、デザインが単純で、デザイン性に欠けるという問題がある。
【0006】
この発明が解決しようとする課題は、デザインの自由度を広げ、デザイン性を向上させることができるバンド及びそれを備えた時計を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、バンド本体の一端側に前記バンド本体の長さ方向に配列された複数の第1の固定穴と、前記バンド本体の前記一端側に前記バンド本体の長さ方向に前記第1の固定穴と並んで配列された複数の第2の固定穴と、を備え、前記第1の固定穴と前記第2の固定穴とは、互いに同じ方向から見た時の形状が異なっていることを特徴とするバンドである。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、デザインの自由度を広げ、デザイン性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明を適用した腕時計を示す平面図である。
図2図1に示されたバンドの一方の端部を示す要部拡大図である。
図3図2のA-A線に沿う要部断面図である。
図4】突棒の格納状態を示す図3に対応する断面図である。
図5図1に示された腕時計において、バンドの連結状態を示した要部の拡大平面図である。
図6図5に示されたバンドの連結状態におけるB-B矢視における要部の拡大断面図である。
図7図1に示された腕時計のバンドにおける要部の断面を示し、(a)は6時側バンド部のC-C矢視における拡大断面図、(b)は6時側バンド部のD-D矢視における拡大断面図、(c)は12時側バンド部のE-E矢視における拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態について説明する。図1は、本発明を適用した腕時計1を示す平面図であり、この腕時計1は、時計本体2とバンド3とを備えている。
【0011】
時計本体2は円形であり、時計本体2の中央には、文字板21aと時針21b及び分針21cとを備えた時刻表示部21が設けられている。時計本体2の6時側と12時側とには、バンド取付部32がそれぞれ設けられている。
【0012】
バンド3は、ウレタン樹脂などの合成樹脂からなり弾力性を有するバンド本体31により構成され、バンド本体31は、時計本体2の6時側のバンド取付部32に取り付けられる6時側バンド部33(第1のバンド本体)と、時計本体2の12時側のバンド取付部32に取り付けられる12時側バンド部34(第2のバンド本体)とを有している。バンド本体31の12時側バンド部34には、6時側バンド部33の端辺33a側の端部を保持するための遊環10が外挿されている。
【0013】
バンド本体31の一端側を構成する6時側バンド部33には、第1の固定穴及び第2の固定穴である第1の突棒穴4a及び第2の突棒穴4bが複数並んで設けられている。複数の第1の突棒穴4a及び第2の突棒穴4bは、バンド本体31の長さ方向に等間隔のピッチPで、かつバンド本体31の幅方向に並ぶ第1の列R1と第2の列R2とをなして設けられている。第1の列R1をなす複数の第1の突棒穴4aと第2の列R2をなす複数の第2の突棒穴4bとは、バンド本体31の長さ方向にピッチPが半ピッチ(P/2)、つまり長さ方向のピッチPの1/2分ずらして配置されている。
【0014】
これに伴い、6時側バンド部33の端辺33aに最も近接する第1の列R1の第1の突棒穴4aと第2の列R2の第2の突棒穴4bとが、6時側バンド部33の長さ方向と直交する幅方向に対して所定の角度、つまり第1の列R1の第1の突棒穴4aと第2の列R2の第2の突棒穴4bとの半ピッチずれた状態に対応する傾斜角度で傾斜する直線に沿うように配置されている。
【0015】
また、複数の第1の及び第2の突棒穴4a,4bは各々が略台形状であり、第1の列R1の第1の突棒穴4aは、逆台形状に形成され、この逆台形の下辺である短辺が6時側バンド部33の端辺33a側に位置しており、それとは逆に第2の列R2の第2の突棒穴4bは、台形状に形成され、この台形の下辺である長辺が6時側バンド部33の端辺33a側に位置している。
【0016】
この場合、複数の第1の突棒穴4aにおける各上辺の長辺と複数の第2の突棒穴4bにおける各上辺の短辺とは、図1に示すように、6時側バンド部33の長さ方向と直交する幅方向に対して前述した所定の角度、つまり第1の列R1の第1の突棒穴4aと第2の列R2の第2の突棒穴4bとの半ピッチずれた状態に対応する傾斜角度で傾斜する直線上にある。また、複数の第1の突棒穴4aにおける各下辺の短辺と複数の第2の突棒穴4bにおける各下辺の長辺とは、前述した所定の角度と同じ角度で傾斜する直線上にある。この場合、複数の第1の突棒穴4aにおける各右辺は、6時側バンド部33の右辺と平行な直線上にある。また、複数の第2の突棒穴4bにおける各左辺は、6時側バンド部33の左辺と平行な直線上にある。
【0017】
また、図6に示すように、複数の第1の及び第2の突棒穴4a,4bの各々の内壁部には、後述する第1及び第2の突棒6,7の挿入を容易にするため、第1及び第2の突棒6,7の形状に対応して傾斜する傾斜面4cが形成されている。すなわち、複数の第1の及び第2の突棒穴4a,4bの各々の内壁部には、6時側バンド部33の表面側においてバンド取付部32側を形成する上辺側の内壁部分に、6時側バンド部33の表面側の開口面積を裏面側の開口面積よりも大きくするように傾斜した傾斜面4cが形成されている。これら各傾斜面4cは、第1及び第2の突棒穴4a,4bに第1及び第2の突棒6,7がそれぞれ挿入した際に、第1及び第2の突棒6,7の各裏面がそれぞれ面接触して密接した状態で押し当てられるように形成されている。
【0018】
さらに、6時側バンド部33の表面には、図1および図7に示すように、6時側バンド部33の端辺33a及び右辺の各縁部に沿って第1及び第2斜面33b,33cが同じ幅で連続して設けられている。すなわち、第1斜面33bは、6時側バンド部33の端辺33aからこれに接近する第1及び第2の突棒穴4a,4bに向けて、端辺33a側が徐々に低くなるように傾斜している。この場合、第1斜面33bは、全体が端辺33aと同様、6時側バンド部33の長さ方向と直交する幅方向に対して前述した所定の角度、つまり第1の列R1の第1の突棒穴4aと第2の列R2の第2の突棒穴4bとの半ピッチずれた状態に対応する傾斜角度で傾斜している。
【0019】
第2斜面33cは、図1および図7に示すように、6時側バンド部33の右辺からこれに接近する第1の列R1の複数の第1の突棒穴4aにおけるほぼ中心部に向けて、右辺側が徐々に低くなるように傾斜している。また、12時側バンド部34の表面には、12時側バンド部34の左辺側の縁部に沿って第3斜面34cが設けられている。この第3斜面34cは、12時側バンド部34の左辺からこれに接近する第2の突棒7に沿う延長線上に向けて、左辺側が徐々に低くなるように傾斜している。
【0020】
一方、バンド本体31の他端側を構成する12時側バンド部34の端部には、図1図6に示したように、6時側バンド部33を連結するための尾錠5が設けられている。この尾錠5は、12時側バンド部34の端部に設けられた取付軸8と、この取付軸8の両端部に取り付けられて6時側バンド部33が挿入する尾錠本体5aと、取付軸8に回転自在に取り付けられた第1の突棒6(第1のピン部材)及び第2の突棒7(第2のピン部材)と、を備えている。
【0021】
すなわち、バンド本体31の他端部である12時側バンド部34の端部は櫛歯状であって、12時側バンド部34の端部には、バンド本体31の幅方向の一方の側辺と他方の側辺とを形成する外側延出部34a,34aと、各々の外側延出部34a,34aの間に延びた中間延出部34bとが形成されている。また、外側延出部34a,34a、及び中間延出部34bの先端部には取付軸8が挿通されている。尾錠本体5aは、外側延出部34a,34aを幅方向の両側から挟む略コ字状の部材であり、12時側バンド部34の両側部から突出した取付軸8の両端に回転自在に取り付けられている。
【0022】
また、第1及び第2の突棒6,7は、12時側バンド部34と6時側バンド部33を連結する際に選択的に使用されるものであり、6時側バンド部33の幅方向に間隔をあけて並ぶとともに、基端側が尾錠本体5aの内側においてそれぞれ取付軸8に遊挿されている。つまり第1及び第2の突棒6,7は、12時側バンド部34の幅方向に間隔をあけて、6時側バンド部33の第1の列R1と第2の列R2とにそれぞれ対応するように設けられ、共通の取付軸8を中心に回転自在である。第1の突棒6は、6時側バンド部33の前述した第1の列R1の複数の第1の突棒穴4aに対応して設けられており、第2の突棒7は前述した第2の列R2の複数の第2の突棒穴4bに対応して設けられている。つまり、第1の突棒6は、第1の列R1のいずれかの第1の突棒穴4aのみに挿入可能であり、第2の突棒7は、第2の列R2のいずれかの第2の突棒穴4bのみに挿入可能である。
【0023】
また、第1及び第2の突棒6,7は、12時側バンド部34の長さ方向の長さ及び形状が同一で、各々の先端が12時側バンド部34の長さ方向において揃っている。また、第1及び第2の突棒6,7は、各々の先端側が長さの3分の1程度の位置で「へ」の字状に屈曲しており、基端側の基端部6a,7aと先端側の先端部6b,7bとから構成される。すなわち、第1及び第2の突棒6,7は、「へ」の字状に屈曲していることにより、緩やかに傾斜する山形状に形成されている。これにより、第1及び第2の突棒6,7は、各々が尾錠本体5aに当接した状態において、各々の先端部6b,7bが尾錠本体5aの表面とほぼ同様に傾斜する形状を有している。
【0024】
一方、12時側バンド部34の端部には、第1及び第2の突棒6,7を個別に格納する第1の格納部11と第2の格納部12とが設けられている。第1及び第2の格納部11,12は、先端部に取付軸8が挿通されている前述した両側の外側延出部34a,34aと中間延出部34bとの間に形成されている。すなわち、第1及び第2の格納部11,12は、12時側バンド部34の長さ方向における長さが第1及び第2の突棒6,7の長さとほぼ同じ長さで、12時側バンド部34の幅方向における長さが、第1及び第2の突棒6,7の幅方向の長さとほぼ同じ長さで形成されている。これにより、第1及び第2の格納部11,12は、12時側バンド部34の表面及び裏面に開口して、第1及び第2の突棒6,7を個別に格納するように構成されている。また、第1及び第2の格納部11,12は、各々に格納された第1及び第2の突棒6,7をロックするロック構造であるロック部11a,12aを備えている。
【0025】
すなわち、ロック部11a,12aそれぞれは、受止部13と抜止部14とを備えている。各受止部13は、12時側のバンド取付部32側の内壁が、それと対向する反対側の内壁に向かって12時側バンド部34の裏面側の開口面積を表面側の開口面積より小さくするように傾斜するように第1及び第2の格納部11,12の内部にそれぞれ設けられている。図4に示すように、第1及び第2の突棒6,7は、第1及び第2の格納部11,12に格納される際、それらの先端部6b,7bが受止部13に当接することにより、12時側バンド部34の裏面側への余分な回転を阻止される。なお、各々の受止部13の傾斜角度は、「へ」の字状に屈曲した第1及び第2の突棒6,7が取付軸8を中心に回転して表裏反転して第1及び第2の格納部11,12に格納された際に、第1及び第2の突棒6,7の各先端部6b,7bの傾斜角度と同じで、それらの先端部6b,7bが全域に亘って当接する角度に設定されている。
【0026】
また、一対の抜止部14,14は、第1及び第2の格納部11,12の内部に、12時側バンド部34の幅方向に対向する双方の内壁に形成され相対向して突出するように設けられている。各々の抜止部14は、第1及び第2の格納部11,12内において、12時側バンド部34の長さ方向のほぼ中央に位置するとともに、12時側バンド部34の厚み方向のほぼ中央に位置して設けられている。各々の抜止部14は、12時側バンド部34の幅方向に沿う断面の形状が二等辺三角形である。係る抜止部14によって、第1及び第2の格納部11,12に格納された状態にある第1及び第2の突棒6,7は、12時側バンド部34の表面側への回転、つまり抜けを阻止される。
【0027】
これにより、各ロック部11a,12aは、第1及び第2の突棒6,7が第1及び第2の格納部11,12に格納された際に、各受止部13によって第1及び第2の突棒6,7の各先端部6b、7bを受け止めて、第1及び第2の突棒6,7を適切な状態で第1及び第2の格納部11,12に格納させ、各一対の抜止部14によって第1及び第2の突棒6,7の中間部を表面側から係止して、第1及び第2の突棒6,7が第1及び第2の格納部11,12から抜け出さないようにロックする構成になっている。
【0028】
ところで、6時側バンド部33の複数の第1の突棒穴4aの各々と複数の第2の突棒穴4bの各々とは、図1に示すように、6時側バンド部33の長さ方向と直交する幅方向に対して左側から右側に向けて右上がりに所定の傾斜角度、つまり第1の列R1の第1の突棒穴4aと第2の列R2の第2の突棒穴4bとの半ピッチずれた状態に対応する傾斜角度で傾斜して設けられている。これに伴って、6時側バンド部33の端辺33aと、この端辺33aに沿って設けられた第1斜面33bと、第1及び第2の突棒6,7の各先端部6b,7bとも、複数の第1及び第2の突棒穴4a,4bと同じ傾斜角度で右上がりに傾斜している。
【0029】
この場合、第1、第2の突棒6,7それぞれは、図1及び図2に示すように、「へ」の字状に屈曲された緩やかに傾斜する山形状の稜線及び裾野が、複数の第1及び第2の突棒穴4a,4bと同じ傾斜角度で右上がりに傾斜している。これにより、第1及び第2の突棒6,7それぞれは、6時側バンド部33の第1及び第2の列R1,R2における複数の第1の突棒穴4aの各々と複数の第2の突棒穴4bの各々とが右上がりに傾斜していても、第1及び第2の突棒6,7の各山形状の稜線及び裾野の傾斜によって第1の突棒穴4a及び第2の突棒穴4bに良好に挿入して、複数の第1及び第2の突棒穴4a,4b内の傾斜面4cに面接触して密接するように構成されている。
【0030】
また、12時側バンド部34の第1、第2の格納部11,12における各ロック部11a,12aの各受止部13の各先端部は、図1及び図2に示すように、複数の第1及び第2の突棒穴4a,4bと逆方向の右下がりに傾斜している。また、12時側バンド部34の遊環10は、複数の第1及び第2の突棒穴4a,4bと同じ傾斜角度で右上がりに傾斜して形成されている。
【0031】
さらに、時計本体2の6時側と12時側との各バンド取付部32は、図1に示すように、複数の第1及び第2の突棒穴4a,4bと同じ傾斜角度で右上がりに傾斜して形成されている。これに伴って、各バンド取付部33に取り付けられる6時側バンド部33と12時側バンド部34の各端部も、複数の第1及び第2の突棒穴4a,4bと同じ傾斜角度で右上がりに傾斜して形成されている。
【0032】
これにより、この腕時計1は、6時側バンド部33の複数の第1及び第2の突棒穴4a,4bと、6時側バンド部33の端辺33aと、この端辺33aに沿って設けられた第1斜面33bと、第1及び第2の突棒6,7の各先端部6b、7bと、第1及び第2の突棒6,7の山形状の各稜線及び裾野と、遊環10と、時計本体2の各バンド取付部32と、これら各バンド取付部32に取り付けられる6時側バンド部33と12時側バンド部34との各端部とが、すべて同じ傾斜角度で右上がりに傾斜していることにより、外観上の統一性が確保され、デザイン性が高められるように構成されている。
【0033】
この場合、複数の第1の突棒穴4aと複数の第2の突棒穴4bとは、形状が異なっている。すなわち、複数の第1の突棒穴4aそれぞれは、逆台形状に形成されており、複数の第2の突棒穴4bそれぞれは、台形状に形成されている。これにより、バンド3は、斬新的なデザインが得られ、デザイン性が向上するように構成されている。また、複数の第1の突棒穴4aと複数の第2の突棒穴4bとは、互いに同じ方向から見た時の穴の形が異なっており、逆台形状と台形状に限らず、複数の第1の突棒穴4aと複数の第2の突棒穴4bとは、第1の突棒穴4aと第2の突棒穴4bとの間を中心にして同じ穴の形を回転させた形状に形成されている。
【0034】
また、複数の第1の突棒穴4aにおける各上辺である長辺と複数の第2の突棒穴4bにおける各上辺である短辺とは、6時側バンド部33の長さ方向と直交する幅方向に対して前述した傾斜角度と同じ角度で傾斜する直線上にあり、複数の第1の突棒穴4aにおける各下辺である短辺と複数の第2の突棒穴4bにおける各下辺である長辺とは、前述した傾斜角度と同じ角度で傾斜する直線上にある。さらに、複数の第1の突棒穴4aにおける各右辺は、6時側バンド部33の右辺と平行な直線上にあり、複数の第2の突棒穴4bにおける各左辺は、6時側バンド部33の左辺と平行な直線上にある。これらによっても、バンド3は、斬新なデザインで、デザイン的に好ましいものとなり、デザイン性が向上するように構成されている。
【0035】
さらに、6時側バンド部33の表面には、6時側バンド部33の端辺33aからこれに接近する第1及び第2の突棒穴4a,4b側に向けて、端辺33a側が徐々に低くなるように傾斜する第1斜面33bと、6時側バンド部33の右辺からこれに接近する第1の突棒穴4aのほぼ中心部に向けて、右辺側が徐々に低くなる傾斜する第2斜面33cとが、6時側バンド部33の端辺33a及び右辺の各縁部に沿って同じ幅で連続して設けられている。これらによって、バンド3は、第1及び第2斜面33b,33cがデザイン的なアクセントになり、デザイン性が向上するように構成されている。
【0036】
また、12時側バンド部34の表面には、12時側バンド部34の左辺からこれに接近する第2の突棒7に沿う延長線上に向けて、左辺側が徐々に低くなるように傾斜する第3斜面34cが、12時側バンド部34の左辺側の縁部に沿って設けられている。これによっても、バンド3は、第3斜面34cがデザイン的なアクセントになり、これら第1~第3斜面33b、33c、34cによって、より一層、デザイン性が向上するように構成されている。
【0037】
次に、このような腕時計1におけるバンド3の作用について説明する。
この腕時計1を腕に取り付ける場合には、予め、12時側バンド部34の端部に設けられた尾錠5の第1、第2の突棒6,7のうち、例えば、一方の第1の突棒6を選択し、他方の第2の突棒7を12時側バンド部34の第2の格納部12に格納する。
【0038】
このときには、第2の突棒7を第2の格納部12内に格納させてロック部12aによってロックする。すなわち、第2の突棒7の先端部7bを第2の格納部12の受止部13に当接させて、第2の突棒7のほぼ中間部を抜止部14で係止する。これにより、第2の突棒7は、邪魔にならないように、第2の格納部12内に適切な状態で格納されて、ロック部12aによって不用意に第2の格納部12から抜け出すことなくロックされる。
【0039】
この状態で、時計本体2を腕にあてがい、6時側バンド部33の端辺33aを12時側バンド部34の端部に設けられた尾錠5の尾錠本体5aに挿入させる。このときには、6時側バンド部33の表面における端辺33a及び右辺の各縁部に沿って連続して設けられた第1及び第2斜面33b、33cと、12時側バンド部34の表面における左辺側の縁部に沿って設けられた第3斜面34cとによって、6時側バンド部33の端辺33aを尾錠5の尾錠本体5aに容易に且つ良好に挿入させることができる。そして、6時側バンド部33と12時側バンド部34とを重ね合わせた状態で締め付ける。この状態で、第1の格納部11内に格納されていない第1の突棒6を6時側バンド部33の第1の列R1の複数の第1の突棒穴4aのいずれかに挿入させる。
【0040】
このときには、第1の突棒6が「へ」の字状に折り曲げられて緩やかに傾斜する山形状に形成されているので、第1の突棒6が第1の突棒穴4aに挿入した際に、第1の突棒6の山形状における裏面側の斜面が第1の突棒穴4aの傾斜面4cに面接触によって密接して押し当てられる。すなわち、複数の第1の突棒穴4aが6時側バンド部33の幅方向に対して所定角度で傾斜していても、第1の突棒6の山形状の稜線及び裾野が複数の第1の突棒穴4aと同じ傾斜角度で傾斜しているので、第1の突棒6の山形状における裏面側の斜面が第1の突棒穴4aの傾斜面4cに確実に且つ良好に面接触によって密接して押し当てられる。
【0041】
この状態で、第1の突棒6の先端部6bの先端が尾錠本体5aの表面に当接して、6時側バンド部33を12時側バンド部34に押し付ける。これにより、6時側バンド部33の端辺33a側の端部が12時側バンド部34に重なった状態で連結される。そして、6時側バンド部33の端辺33aを12時側バンド部34の遊環10に挿入させる。このときにも、6時側バンド部33の表面における端辺33a及び右辺の各縁部に沿って連続して設けられた第1及び第2斜面33b、33cと、12時側バンド部34の表面における左辺側の縁部に沿って設けられた第3斜面34cとによって、6時側バンド部33の端辺33aを遊環10に容易に且つ良好に挿入させることができる。これにより、6時側バンド部33の端辺33aの端部が12時側バンド部34に重ね合わされて、時計本体2がバンド3によって腕に取り付けられる。
【0042】
このとき、6時側バンド部33と12時側バンド部34との連結によって時計本体2が腕に取り付けられた際に、時計本体2の腕に対する締め付けが緩い場合には、第1の突棒6に替えて第2の突棒7を6時側バンド部33の第2の列R2の第2の突棒穴4bに挿入させて、6時側バンド部33と12時側バンド部34との有効長さを微調整する。このときには、まず、第1の突棒6を6時側バンド部33の第1の列R1の第1の突棒穴4aから抜き出して第1の格納部11に格納し、ロック部11aでロックする。
【0043】
この状態で、第2の格納部12の裏面側から指Fで第2の突棒7をロック部12aの一対の抜止部14の係止力に抗して12時側バンド部34の表面側に向けて押し出す。これにより、第2の突棒7が第2の格納部12から抜け出す。この抜け出した第2の突棒7を第1の列R1に隣接する第2の列R2の半ピッチずれた第2の突棒穴4bに挿入させる。これにより、6時側バンド部33と12時側バンド部34との有効長さが微調整される。このため、第1の突棒6と第2の突棒7とを適宜選択して使用するだけで、一般的なバンドと同様の作業によってバンド3の有効長さが容易に微調整される。
【0044】
このように、この腕時計1のバンド3によれば、バンド本体31の6時側バンド部33にバンド本体31の長さ方向に配列された複数の第1の突棒穴4aと、バンド本体31の6時側バンド部33に第1の突棒穴4と並んでバンド本体31の長さ方向に配列された複数の第2の突棒穴4bと、を備え、第1の突棒穴4aと第2の突棒穴4bとは、互いに同じ方向から見た時の形状が異なっていることにより、デザインの自由度を広げて、バンド3全体のデザイン性を向上させることができる。
【0045】
すなわち、このバンド3では、複数の第1の突棒穴4aと複数の第2の突棒穴4bとを互いに同じ方向から見た時の形状が異なっているので、これら複数の第1の突棒穴4aと複数の第2の突棒穴4bとによってデザイン的に斬新なものを得ることができ、これによりデザインの自由度を広げて、バンド3全体のデザイン性を向上させることができる。
【0046】
この場合、このバンド3では、形状が第1の突棒穴4aと第2の突棒穴4bとの穴の形であり、第1の突棒穴4aと第2の突棒穴4bとは、第1の突棒穴4aと第2の突棒穴4bとの間を中心に回転させた同じ穴の形であることにより、これによっても、デザイン的に斬新なものを得ることができるので、デザインの自由度を広げて、バンド3全体のデザイン性を向上させることができる。
【0047】
また、このバンド3では、複数の第1の突棒穴4aがバンド本体31の長さ方向に互いに間隔を隔てて並んで配列されており、複数の第2の突棒穴4bがバンド本体31の長さ方向に互いに間隔を隔てて並び、かつバンド本体31の長さ方向に第1の突棒穴4aに対してずれて配列されていることにより、これによっても斬新的なデザインが得られるので、デザインの自由度を広げて、バンド3全体のデザイン性を向上させることができる。
【0048】
また、このバンド3では、バンド本体31の12時側バンド部34に、複数の第1の固定穴4aのいずれに挿入する第1の突棒6と、複数の第2の突棒穴4bのいずれかに挿入する第2の突棒と、が設けられていることにより、12時側に設けられた第1の突棒6と第2の突棒7とを第1の突棒穴4aと第2の突棒穴4とに個別に挿入させることができる。この場合、複数の第2の突棒穴4bが第1の突棒穴4aに対してバンド本体31の長さ方向にずれて配列されていることにより、第1の突棒6と第2の突棒7とのいずれかを選択することにより、デザインの自由度を広げて、バンド3全体の有効長さを微調整することができる。
【0049】
また、このバンド3では、複数の第1の突棒穴4aと複数の第2の突棒穴4bとが、バンド本体31の長さ方向において反転した形状に形成されていることにより、これによってもデザインが斬新になり、デザイン的に好ましいものを得ることができるので、デザインの自由度を広げて、バンド3全体のデザイン性を向上させることができる。
【0050】
また、このバンド3では、複数の第1の突棒穴4aが逆台形状に形成されており、複数の第2の突棒穴4bが台形状に形成されていることにより、より一層、デザインが斬新で、デザイン的なアクセントになり、デザイン的に好ましいものを得ることができるので、デザインの自由度を広げて、バンド3全体のデザイン性を更に向上させることができる。
【0051】
この場合、このバンド3では、複数の第1の突棒穴4aにおける各上辺の長辺と複数の第2の突棒穴4bにおける各上辺の短辺とがバンド本体31の長さ方向と直交する幅方向に対して所定の角度、つまり第1の列R1の第1の突棒穴4aと第2の列R2の第2の突棒穴4bとの半ピッチずれた状態に対応する傾斜角度で傾斜する直線上にあり、複数の第1の突棒穴4aにおける各下辺の短辺と複数の第2の突棒穴4bにおける各下辺の長辺とが前述と同じ角度で傾斜する直線上にあることにより、第1及び第2の突棒穴4a、4bがバンド本体31の長さ方向にずれて並んでいても、そのずれに対応する傾斜角度で傾斜する直線上に第1及び第2の突棒穴4a,4bを傾斜させて配列させることができ、これによりデザイン的に好ましいものを得ることができるので、これによってもデザインの自由度を広げて、デザイン性を向上させることができる。
【0052】
また、このバンド3では、第1の突棒穴4a及び第2の突棒穴4bにおける各上辺の内壁面に、第1の突棒6及び第2の突棒7がそれぞれ押し当てられる傾斜面4cが設けられていることにより、第1及び第2の突棒穴4a,4bに第1及び第2の突棒6,7を挿入させ易くすることができるほか、第1の突棒穴4a及び第2の突棒穴4bにおける各傾斜面4cに第1の突棒6及び第2の突棒7をそれぞれ面接触させて密接させた状態で押し当てることができるので、第1の突棒6及び第2の突棒7を第1の突棒穴4a及び第2の突棒穴4bに確実に且つ良好に係止させることができる。
【0053】
さらに、このバンド3では、6時側バンド部33の表面に、6時側バンド部33の端辺33aからこれに接近する第1及び第2の突棒穴4a,4b側に向けて、端辺33a側が徐々に低くなるように傾斜する第1斜面33bと、6時側バンド部33の右辺からこれに接近する第1の突棒穴4aに向けて、右辺側が徐々に低くなるように傾斜する第2斜面33cとが設けられていることにより、これら第1及び第2斜面33b、33cがデザイン的なアクセントになるので、デザインの自由度を広げて、バンド3全体のデザイン性を向上させることができる。
【0054】
この場合、このバンド3では、6時側バンド部33の端辺33aを12時側バンド部34に設けられた尾錠5の尾錠本体5aに挿入させる際に、第1及び第2斜面33b、33cによって6時側バンド部33の端辺33aを尾錠本体5aに容易に且つ良好に挿入させることができるので、6時側バンド部33と12時側バンド部34とを連結させやすくすることができ、これにより容易に且つ良好に6時側バンド部33と12時側バンド部34とを連結させることができる。
【0055】
また、このバンド3では、12時側バンド部34の表面に、12時側バンド部34の左辺からこれに接近する第2の突棒7に沿う延長線上に向けて、左辺側が徐々に低くなるように傾斜する第3斜面34cが設けられていることにより、この第3斜面34cがデザイン的なアクセントになるので、これによってもバンド3全体のデザイン性を向上させることができると共に、これら第1~第3斜面33b、33c、34cによって、より一層、デザインの自由度を広げて、デザイン性を向上させることができる。
【0056】
この場合にも、バンド3は、6時側バンド部33の端辺33aを12時側バンド部34に設けられた尾錠5の尾錠本体5aに挿入させる際に、第3斜面34cによっても6時側バンド部33の端辺33aを尾錠本体5aに容易に且つ良好に挿入させることができるので、6時側バンド部33と12時側バンド部34とを連結させやすくすることができ、これによっても容易に且つ良好に6時側バンド部33と12時側バンド部34とを連結させることができる。
【0057】
なお、本実施形態においては、6時側バンド部33に、第1の列R1をなす複数の第1の突棒穴4a(第1の固定穴)と、第2の列R2をなす複数の第2の突棒穴4b(第2の固定穴)とが設けられ、複数の第2の突棒穴4bが6時側バンド部33(バンド本体31)の長さ方向に複数の第1の突棒穴4aとずれて並んだ構成について説明した。つまり複数の突棒穴が2列に配置された構成について説明した。しかし、これに限らず、本発明においては、複数の突棒穴が列ごとにずれて配置されるのであれば、複数の突棒穴を3列以上の複数列をなして配置するようにしてもよい。その場合には、列数に合わせて突棒の数を増やせばよい。また、その場合、例えば複数の突棒穴を3列に配置するのであれば、各列の突棒穴の間隔を同一とし、かつ各列の突棒穴の位置を隣接する列に対して6時側バンド部33の長さ方向に1/3ピッチずれた位置とすればよい。また、複数の突棒穴が列ごとにずれて配置されていればよく、各列の突棒穴の間隔は同一でなくてもよい。また、複数の突棒穴を3列に配置した場合、3つの突棒のサイズは同一のサイズに限らず、中央の突棒のサイズを左右の突棒のサイズに対して大きくしても良い。この場合、中央の突棒は1個のみで使用し、左右の突棒は2個で使用しても良く、安定して留めることができる。
【0058】
また、本実施形態においては、6時側バンド部33の表面に、6時側バンド部33の右辺からこれに接近する第1の突棒穴4aに向けて、右辺側が徐々に低くなるように傾斜する第2斜面33cを設けた場合について述べたが、この発明は、これに限らず、6時側バンド部33の表面に、6時側バンド部33の左辺からこれに接近する第2の突棒穴4bに向けて、左辺側が徐々に低くなるように傾斜する第2斜面を設けても良い。また、この発明は、これに限らず、6時側バンド部33の表面における両側辺に第2斜面を設けても良い。また、第2斜面の傾斜は、図7に示す傾斜に限らず、さらに右辺側又は左辺側が徐々に低くなるように傾斜しても良い。また、第1斜面33bの傾斜も図7に示す傾斜に限らず、さらに端辺33a側が徐々に低くなるように傾斜しても良い。
【0059】
また、本実施形態においては、12時側バンド部34の表面に、12時側バンド部34の左辺からこれに接近する第2の突棒7に沿う延長線上に向けて、左辺側が徐々に低くなるように傾斜する第3斜面34cを設けた場合について述べたが、この発明は、これに限らず、12時側バンド部34の表面に、12時側バンド部34の右辺からこれに接近する第1の突棒6に沿う延長線上に向けて、右辺側が徐々に低くなるように傾斜する第3斜面を設けても良い。また、この発明は、これに限らず、12時側バンド部34の表面における両側辺に第3斜面を設けても良い。また、第3斜面の傾斜は、図7に示す傾斜に限らず、さらに左辺側又は右辺側が徐々に低くなるように傾斜しても良い。
【0060】
また、本実施形態においては、第1の突棒穴4aを逆台形状に形成し、第2の突棒穴4bを台形状に形成した場合について述べたが、この発明は、これに限らず、例えば第1の突棒穴4aを台形状に形成し、第2の突棒穴4bを逆台形状に形成しても良い。また、この発明は、これに限らず、例えばバンド3の長さ方向における上下部が非対象であれば、どのような形状の突棒穴であっても良い。また、例えば第1の突棒穴4aを丸形状に形成し、第2の突棒穴4bを三角形状や四角形状に形成しても良く、第1の突棒穴4aと第2の突棒穴4bとは、非対称で全く違う形状であっても良い。
【0061】
また、本実施形態においては、第1の突棒穴4aと第2の突棒穴4bとをバンド本体31の長さ方向に半ピッチずらして配列させた場合について述べたが、この発明は、これに限らず、例えば第1の突棒穴4aと第2の突棒穴4bとを同じピッチで平行に配列させても良い。
【0062】
また、本実施形態においては、単一のバンド本体31の一端側に第1及び第2の突棒穴4a,4bが複数設けられ、その他端側に第1及び第2の突棒6,7が設けられた構成について説明したが、これに限らず、本発明は、例えば互いに連結される一対のバンド片から構成されるバンドにも適用することができる。
【0063】
また、本実施形態においては、本発明を腕時計に適用した場合について説明したが、本発明の適用対象は必ずしも腕時計である必要はなく、例えば腕に装着される各種の装着装置や鞄、バッグ等に使用される各種のバンドにも適用することができる。その場合、本発明の適用対象が、例えば高い連結強度が要求されないバンドであれば、複数の突棒を取付軸8のような軸部品に取り付けるのではなく、それ以外の任意の構造によって、複数の突棒を共通する回転の軸を中心に回転自在としてもよい。
【0064】
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明は、これに限られるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0065】
(付記)
請求項1に記載の発明は、バンド本体の一端側に前記バンド本体の長さ方向に配列された複数の第1の固定穴と、前記バンド本体の前記一端側に前記バンド本体の長さ方向に前記第1の固定穴と並んで配列された複数の第2の固定穴と、を備え、前記第1の固定穴と前記第2の固定穴とは、互いに同じ方向から見た時の形状が異なっていることを特徴とするバンドである。
【0066】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のバンドにおいて、前記形状は、前記第1の固定穴と前記第2の固定穴との穴の形であり、前記第1の固定穴と前記第2の固定穴とは、前記第1の固定穴と前記第2の固定穴との間を中心に回転させた同じ穴の形であることを特徴とするバンドである。
【0067】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のバンドにおいて、前記複数の第1の固定穴は、前記バンド本体の長さ方向に互いに間隔を隔てて並んで配列されており、前記複数の第2の固定穴は、前記バンド本体の長さ方向に互いに間隔を隔てて並び、かつ前記バンド本体の長さ方向に前記第1の固定穴に対してずれて配列されていることを特徴とするバンドである。
【0068】
請求項4に記載の発明は、請求項1~請求項3のいずれかに記載のバンドにおいて、前記バンド本体の他端側には、前記複数の第1の固定穴のいずれに挿入する第1のピン部材と、前記複数の第2の固定穴のいずれかに挿入する第2のピン部材と、が設けられていることを特徴とするバンドである。
【0069】
請求項5に記載の発明は、請求項1~請求項4のいずれかに記載のバンドにおいて、前記第1の固定穴と前記第2の固定穴とは、前記バンド本体の長さ方向において反転した形状に形成されていることを特徴とするバンドである。
【0070】
請求項6に記載の発明は、請求項1~請求項5のいずれかに記載のバンドにおいて、前記第1の固定穴と前記第2の固定穴との一方は、台形状に形成されており、前記第1の固定穴と前記第2の固定穴との他方は、逆台形状に形成されていることを特徴とするバンドである。
【0071】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のバンドにおいて、前記第1の固定穴の上辺と前記第2の固定穴の上辺とは、前記バンド本体の長さ方向と直交する幅方向に対して所定の角度で傾斜する直線上にあり、前記第1の固定穴の下辺と前記第2の固定穴の下辺とは、前記所定の角度と同じ角度で傾斜する直線上にあることを特徴とするバンドである。
【0072】
請求項8に記載の発明は、請求項1~請求項7のいずれかに記載のバンドにおいて、前記第1の固定穴及び前記第2の固定穴における各上辺の内壁部には、前記第1の固定穴及び前記第2の固定穴に個別に挿入する第1のピン部材及び第2のピン部材がそれぞれ押し当てられる傾斜面が設けられていることを特徴とするバンドである。
【0073】
請求項9に記載の発明は、請求項1~請求項8のいずれかに記載のバンドにおいて、前記バンド本体の前記一端側における表面には、前記バンド本体の前記一端側の端辺からこれに接近する前記第1及び前記第2の固定穴側に向けて、前記端辺側が徐々に低くなるように傾斜する第1斜面と、前記バンド本体の前記一端側における一方の側辺からこれに接近する前記第1及び前記第2の固定穴の一方側に向けて、前記側辺側が徐々に低くなるように傾斜する第2斜面と、が設けられていることを特徴とするバンドである。
【0074】
請求項10に記載の発明は、請求項1~請求項9のいずれかに記載のバンドにおいて、前記バンド本体の他端側における表面には、前記バンド本体の前記他端側の一方の側辺からこれに接近する前記第1及び前記第2のピン部材のいずれか一方に沿う延長線上に向けて、前記側辺側が徐々に低くなるように傾斜する第3斜面が設けられていることを特徴とするバンドである。
【0075】
請求項11に記載の発明は、請求項1~請求項10のいずれかに記載のバンドにおいて、前記バンド本体は、前記複数の第1の固定穴及び前記複数の第2の固定穴が形成された第1のバンド本体と、第1のピン部材及び第2のピン部材が設けられた第2のバンド本体と、を含むことを特徴とするバンドである。
【0076】
請求項12記載の発明は、請求項1~請求項11のいずれかに記載されたバンドを備えていることを特徴とする時計である。
【符号の説明】
【0077】
1 腕時計
2 時計本体
3 バンド
4a 第1の突棒穴
4b 第2の突棒穴
4c 傾斜面
5 尾錠
5a 尾錠本体
6 第1の突棒
7 第2の突棒
8 取付軸
11 第1の格納部
12 第2の格納部
11a、12a ロック部
13 受止部
14 抜止部
31 バンド本体
32 バンド取付部
33 6時側バンド部
33a 端辺
33b 第1斜面
33c 第2斜面
34 12時側バンド部
34a 外側延出部
34c 第3斜面
P ピッチ
R1 第1の列
R2 第2の列
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7