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特開2022-165746DC/DCコンバータおよびその制御回路、ならびに電子機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165746
(43)【公開日】2022-11-01
(54)【発明の名称】DC/DCコンバータおよびその制御回路、ならびに電子機器
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20221025BHJP
【FI】
H02M3/155 H
H02M3/155 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021071229
(22)【出願日】2021-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100133215
【弁理士】
【氏名又は名称】真家 大樹
(72)【発明者】
【氏名】徳岡 和樹
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA14
5H730AS05
5H730BB13
5H730BB57
5H730DD03
5H730DD04
5H730EE59
5H730FD01
5H730FG05
5H730XX02
5H730XX13
5H730XX19
5H730XX22
5H730XX33
5H730XX38
(57)【要約】      (修正有)
【課題】電子機器をシャットダウンさせる際に、出力電圧を短時間で低下させることが可能なDC/DCコンバータの制御回路を提供する。
【解決手段】DC/DCコンバータ100Aにおいて、放電制御信号DISCHGに基づいて、放電トランジスタ401を駆動する放電制御回路400Aは、ハイサイド制御信号HGCTL及びスイッチング電圧VSWに基づくスイッチング検出信号の少なくとも一方がオンレベルであるとき、放電制御信号DISCHGをマスクする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
降圧型のDC/DCコンバータの制御回路であって、
前記DC/DCコンバータの出力が目標状態に近づくように、ハイサイド制御信号およびローサイド制御信号を生成するとともに、前記DC/DCコンバータの出力停止のトリガにもとづいて放電制御信号を生成するロジック回路と、
前記ハイサイド制御信号にもとづいて、ハイサイドトランジスタにハイサイドゲート信号を供給するハイサイドドライバと、
前記ローサイド制御信号にもとづいて、ローサイドトランジスタにローサイドゲート信号を供給するローサイドドライバと、
前記放電制御信号にもとづいて、前記ローサイドトランジスタと並列に接続された放電トランジスタを駆動する放電制御回路と、
を備え、
前記放電制御回路は、前記放電制御信号に加えて、前記ハイサイド制御信号と、前記ハイサイドトランジスタと前記ローサイドトランジスタの接続ノードのスイッチング電圧と、を受け、前記ハイサイド制御信号および前記スイッチング電圧にもとづくスイッチング検出信号の少なくとも一方がオンレベルであるとき、前記放電制御信号をマスクする、制御回路。
【請求項2】
前記放電制御回路は、
前記スイッチング電圧を受け、前記スイッチング検出信号を生成するスイッチング検出回路と、
前記ハイサイド制御信号と前記スイッチング検出信号を論理演算してマスク信号を生成する第1論理ゲートと、
前記放電制御信号と前記マスク信号を論理演算する第2論理ゲートと、
前記第2論理ゲートの出力に応じて、前記放電トランジスタを駆動するドライバと、
を含む、請求項1に記載の制御回路。
【請求項3】
降圧型のDC/DCコンバータの制御回路であって、
前記DC/DCコンバータの出力が目標状態に近づくように、ハイサイド制御信号およびローサイド制御信号を生成するとともに、前記DC/DCコンバータの出力停止のトリガにもとづいて放電制御信号を生成するロジック回路と、
前記ハイサイド制御信号にもとづいて、ハイサイドトランジスタにハイサイドゲート信号を供給するハイサイドドライバと、
前記ローサイド制御信号にもとづいて、ローサイドトランジスタにローサイドゲート信号を供給するローサイドドライバと、
前記放電制御信号にもとづいて、前記ローサイドトランジスタと並列に接続された放電トランジスタを駆動する放電制御回路と、
を備え、
前記放電制御回路は、前記放電制御信号に加えて、前記ハイサイド制御信号と、前記ハイサイドゲート信号にもとづくスイッチング検出信号と、を受け、前記ハイサイド制御信号および前記スイッチング検出信号の少なくとも一方がオンレベルであるとき、前記放電制御信号をマスクする、制御回路。
【請求項4】
前記放電制御回路は、
前記ハイサイドゲート信号を受け、前記スイッチング検出信号を生成するスイッチング検出回路と、
前記ハイサイド制御信号と前記スイッチング検出信号の否定論理和にもとづくマスク信号を生成する第1論理ゲートと、
前記放電制御信号と前記マスク信号を論理演算する第2論理ゲートと、
を含む、請求項3に記載の制御回路。
【請求項5】
前記ハイサイドトランジスタ、前記ローサイドトランジスタおよび前記放電トランジスタをさらに備える、請求項1から4のいずれかに記載の制御回路。
【請求項6】
前記DC/DCコンバータの入力電圧がしきい値電圧より低いときに、低電圧ロックアウト信号をアサートする低電圧ロックアウト回路と、
前記DC/DCコンバータの監視対象の箇所の温度がしきい値を越えるとアサートされるサーマルシャットダウン信号を生成するサーマルシャットダウン回路と、
をさらに備え、
前記放電制御信号は、前記低電圧ロックアウト信号のアサート、前記サーマルシャットダウン信号のアサートおよび外部からのイネーブル信号のネゲートの少なくとも一つが発生したときに、アサートされる、請求項1から5のいずれかに記載の制御回路。
【請求項7】
ひとつの半導体基板に一体集積化される、請求項1から6のいずれかに記載の制御回路。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の制御回路を備える、DC/DCコンバータ。
【請求項9】
請求項1から7のいずれかに記載の制御回路を備える、電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、DC/DCコンバータ(スイッチングレギュレータ)に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートホンや、タブレットコンピュータなどの民生機器、車載機器、OA機器、産業機器をはじめとするさまざまな電子機器には、電池電圧や外部電源電圧よりも低い、または高い電源電圧を必要とする回路部品が搭載される。このような回路部品に適切な電源電圧を供給するために、降圧DC/DCコンバータ(Buckコンバータ)や昇圧DC/DCコンバータが利用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-117042号公報
【特許文献2】特開2019-037116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子機器をシャットダウンさせる際に、DC/DCコンバータの出力電圧を速やかに低下させたいという要請がある。
【0005】
本開示はかかる状況においてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、出力電圧を短時間で低下させることが可能なDC/DCコンバータの制御回路の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のある態様は、降圧型のDC/DCコンバータの制御回路に関する。制御回路は、DC/DCコンバータの出力が目標状態に近づくように、ハイサイド制御信号およびローサイド制御信号を生成するとともに、DC/DCコンバータの出力停止のトリガにもとづいて放電制御信号を生成するロジック回路と、ハイサイド制御信号にもとづいて、ハイサイドトランジスタにハイサイドゲート信号を供給するハイサイドドライバと、ローサイド制御信号にもとづいて、ローサイドトランジスタにローサイドゲート信号を供給するローサイドドライバと、放電制御信号にもとづいて、ローサイドトランジスタと並列に接続された放電トランジスタを駆動する放電制御回路と、を備える。放電制御回路は、放電制御信号に加えて、ハイサイド制御信号と、ハイサイドトランジスタとローサイドトランジスタの接続ノードのスイッチング電圧と、を受け、ハイサイド制御信号およびスイッチング電圧にもとづくスイッチング検出信号の少なくとも一方がオンレベルであるとき、放電制御信号をマスクする。
【0007】
本開示の別の態様に係る制御回路は、DC/DCコンバータの出力が目標状態に近づくように、ハイサイド制御信号およびローサイド制御信号を生成するとともに、DC/DCコンバータの出力停止のトリガにもとづいて放電制御信号を生成するロジック回路と、ハイサイド制御信号にもとづいて、ハイサイドトランジスタにハイサイドゲート信号を供給するハイサイドドライバと、ローサイド制御信号にもとづいて、ローサイドトランジスタにローサイドゲート信号を供給するローサイドドライバと、放電制御信号にもとづいて、ローサイドトランジスタと並列に接続された放電トランジスタを駆動する放電制御回路と、を備える。放電制御回路は、放電制御信号に加えて、ハイサイド制御信号と、ハイサイドゲート信号にもとづくスイッチング検出信号と、を受け、ハイサイド制御信号およびスイッチング検出信号の少なくとも一方がオンレベルであるとき、放電制御信号をマスクする。
【0008】
なお、以上の構成要素を任意に組み合わせたもの、構成要素や表現を方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本開示のある態様によれば、DC/DCコンバータの出力電圧を短時間で低下させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態1に係るDC/DCコンバータのブロック図である。
図2図2は、図1の制御回路の動作波形図である。
図3図3は、比較技術1に係る制御を説明する図である。
図4図4は、比較技術2に係る制御を説明する図である。
図5図5は、図1のロジック回路および放電制御回路の構成例を示す回路図である。
図6図6は、実施形態2に係るDC/DCコンバータのブロック図である。
図7図7は、図6のロジック回路および放電制御回路の構成例を示す回路図である。
図8図8は、実施形態3に係るDC/DCコンバータのブロック図である。
図9図9は、図8のロジック回路および放電制御回路の構成例を示す回路図である。
図10図10は、実施形態に係るDC/DCコンバータを備える電子機器の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施形態の概要)
本開示のいくつかの例示的な実施形態の概要を説明する。この概要は、後述する詳細な説明の前置きとして、実施形態の基本的な理解を目的として、1つまたは複数の実施形態のいくつかの概念を簡略化して説明するものであり、発明あるいは開示の広さを限定するものではない。またこの概要は、考えられるすべての実施形態の包括的な概要ではなく、実施形態の欠くべからざる構成要素を限定するものではない。便宜上、「一実施形態」は、本明細書に開示するひとつの実施形態(実施例や変形例)または複数の実施形態(実施例や変形例)を指すものとして用いる場合がある。
【0012】
この概要は、すべての実施形態の重要な要素または重要な要素を特定することも、一部またはすべての態様の範囲を線引きすることも意図していない。その唯一の目的は、後で提示するより詳細な説明の前置きとして、1つまたは複数の実施形態のいくつかの概念を簡略化した形で提示することである。
【0013】
一実施形態に係る降圧型のDC/DCコンバータの制御回路は、DC/DCコンバータの出力が目標状態に近づくように、ハイサイド制御信号およびローサイド制御信号を生成するとともに、DC/DCコンバータの出力停止のトリガにもとづいて放電制御信号を生成するロジック回路と、ハイサイド制御信号にもとづいて、ハイサイドトランジスタにハイサイドゲート信号を供給するハイサイドドライバと、ローサイド制御信号にもとづいて、ローサイドトランジスタにローサイドゲート信号を供給するローサイドドライバと、放電制御信号にもとづいて、ローサイドトランジスタと並列に接続された放電トランジスタを駆動する放電制御回路と、を備える。放電制御回路は、放電制御信号に加えて、ハイサイド制御信号と、ハイサイドトランジスタとローサイドトランジスタの接続ノードのスイッチング電圧と、を受け、ハイサイド制御信号およびスイッチング電圧にもとづくスイッチング検出信号の少なくとも一方がオンレベルであるとき、放電制御信号をマスク、すなわちロー固定する。
【0014】
上記構成では、放電制御信号がアサートされた後、ハイサイドトランジスタが確実にオフした後に、放電トランジスタがオンとなる。つまりハイサイドトランジスタと放電トランジスタが同時にオンとならないため、放電トランジスタのインピーダンスを小さく設計できる。これにより、DC/DCコンバータの出力電圧を短時間で低下させることができる。
【0015】
ここでスイッチング検出信号のみを参照してマスクを生成する制御も考えられるが、その場合、放電制御信号がアサートされるタイミングによっては、放電トランジスタのゲートに、細いパルス状のゲート信号が印加され、回路動作が不安定になるおそれがある。上記構成によれば、放電トランジスタのゲートに細いパルス状のゲート信号が印加されるのを防止できる。
【0016】
一実施形態において、放電制御回路は、スイッチング電圧を受け、スイッチング検出信号を生成するスイッチング検出回路と、ハイサイド制御信号とスイッチング検出信号を論理演算してマスク信号を生成する第1論理ゲートと、放電制御信号とマスク信号を論理演算する第2論理ゲートと、第2論理ゲートの出力に応じて、放電トランジスタを駆動するドライバと、を含んでもよい。
【0017】
一実施形態に係る降圧型のDC/DCコンバータの制御回路は、DC/DCコンバータの出力が目標状態に近づくように、ハイサイド制御信号およびローサイド制御信号を生成するとともに、DC/DCコンバータの出力停止のトリガにもとづいて放電制御信号を生成するロジック回路と、ハイサイド制御信号にもとづいて、ハイサイドトランジスタにハイサイドゲート信号を供給するハイサイドドライバと、ローサイド制御信号にもとづいて、ローサイドトランジスタにローサイドゲート信号を供給するローサイドドライバと、放電制御信号にもとづいて、ローサイドトランジスタと並列に接続された放電トランジスタを駆動する放電制御回路と、を備える。放電制御回路は、放電制御信号に加えて、ハイサイド制御信号と、ハイサイドゲート信号にもとづくスイッチング検出信号と、を受け、ハイサイド制御信号およびスイッチング検出信号の少なくとも一方がオンレベルであるとき、放電制御信号をマスクする。
【0018】
上記構成では、放電制御信号がアサートされた後、ハイサイドトランジスタが確実にオフした後に、放電トランジスタがオンとなる。つまりハイサイドトランジスタと放電トランジスタが同時にオンとならないため、放電トランジスタのインピーダンスを小さく設計できる。これにより、DC/DCコンバータの出力電圧を短時間で低下させることができる。また上記構成によれば、放電トランジスタのゲートに細いパルス状のゲート信号が印加されるのを防止できる。
【0019】
一実施形態において、放電制御回路は、ハイサイドゲート信号を受け、スイッチング検出信号を生成するスイッチング検出回路と、ハイサイド制御信号とスイッチング検出信号の否定論理和にもとづくマスク信号を生成する第1論理ゲートと、放電制御信号とマスク信号を論理演算する第2論理ゲートと、を含んでもよい。
【0020】
一実施形態において、制御回路は、ハイサイドトランジスタ、ローサイドトランジスタおよび放電トランジスタをさらに備えてもよい。
【0021】
一実施形態において、制御回路は、DC/DCコンバータの入力電圧がしきい値電圧より低いときに、低電圧ロックアウト信号をアサートする低電圧ロックアウト回路と、DC/DCコンバータの監視対象の箇所の温度がしきい値を越えるとアサートされるサーマルシャットダウン信号を生成するサーマルシャットダウン回路と、をさらに備えてもよい。放電制御信号は、低電圧ロックアウト信号のアサート、サーマルシャットダウン信号のアサートおよび外部からのイネーブル信号のネゲートの少なくとも一つが発生したときに、アサートされてもよい。
【0022】
一実施形態において、制御回路はひとつの半導体基板に一体集積化されてもよい。「一体集積化」とは、回路の構成要素のすべてが半導体基板上に形成される場合や、回路の主要構成要素が一体集積化される場合が含まれ、回路定数の調節用に一部の抵抗やキャパシタなどが半導体基板の外部に設けられていてもよい。回路を1つのチップ上に集積化することにより、回路面積を削減することができるとともに、回路素子の特性を均一に保つことができる。
【0023】
(実施形態)
以下、本開示を、好適な実施形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施形態は、発明あるいは開示を限定するものではなく例示であって、実施形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明あるいは開示の本質的なものであるとは限らない。
【0024】
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合のほか、部材Aと部材Bが、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0025】
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に接続された状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0026】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係るDC/DCコンバータ100Aのブロック図である。DC/DCコンバータ100Aは、降圧型DC/DCコンバータ(Buckコンバータ)であり、入力ライン(入力端子)102に直流の入力電圧VINを受け、出力ライン(出力端子)104に接続される負荷に、入力電圧VINよりも電圧レベルが低い出力電圧VOUTを供給する。DC/DCコンバータ100Aは、出力電圧VOUTを目標レベルVOUT(REF)に安定化する定電圧出力型であってもよいし、出力電流IOUTを目標量IOUT(REF)に安定化する定電流出力型であってもよい。
【0027】
DC/DCコンバータ100Aは、制御回路200Aとその周辺回路110を備える。DC/DCコンバータ100Aは同期整流型であり、周辺回路110は、インダクタL1、出力キャパシタC1、ブートストラップキャパシタC2を含む。ハイサイドトランジスタMHおよびローサイドトランジスタMLはともにN型(すなわちNチャンネルもしくはNPN型)であり、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)であってもよいし、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)であってもよいし、バイポーラトランジスタであってもよい。
【0028】
なおハイサイドトランジスタMH、ローサイドトランジスタMLは、制御回路200の外部に設けられるディスクリート素子であってもよく、その場合、ハイサイドトランジスタMHとローサイドトランジスタMLは、周辺回路110を構成することになる。
【0029】
制御回路200は、ひとつの半導体基板に集積化された機能IC(Integrated Circuit)であり、入力ピン(端子ともいう)VIN、スイッチングピンSW、接地ピンGND、フィードバックピンFB、ブートストラップピンBSTを備える。入力ピンVINには、入力電圧VINが供給される。スイッチングピンSWには、外付けのインダクタL1が接続され、接地ピンPGNDは接地される。ハイサイドトランジスタMHは、入力ピンVINとスイッチングピンSWの間に接続され、ローサイドトランジスタMLは、スイッチングピンSWと接地ピンPGNDの間に接続される。ブートストラップピンBSTとスイッチングピンSWの間には、ブートストラップキャパシタC2が接続される。フィードバックピンFBには、DC/DCコンバータ100Aの出力電圧VOUTにもとづくフィードバック信号VFBが入力される。たとえばフィードバック信号VFBは、出力電圧VOUTを抵抗R1,R2によって分圧した電圧信号である。
【0030】
制御回路200は、ハイサイドトランジスタMH、ローサイドトランジスタMLに加えて、パルス変調器210、ロジック回路220、ハイサイドドライバ242、ローサイドドライバ244、放電制御回路400Aおよび放電トランジスタ401を備える。
【0031】
パルス変調器210は、DC/DCコンバータ100Aの出力電圧VOUTが目標レベルVOUT(REF)に近づくようにパルス変調される制御パルスSpを生成する。
【0032】
具体的には、パルス変調器210は、出力電圧VOUTに応じたフィードバック信号VFBが基準電圧VREFに近づくように、制御パルスSpをパルス変調する。フィードバック信号VFBが基準電圧VREFに安定化されるとき、DC/DCコンバータ100Aの出力電圧VOUTは、VOUT(REF)=VREF×(R1+R2)/R2に安定化される。
【0033】
パルス変調器210の構成や制御方式は特に限定されない。パルス変調器210は、エラーアンプを利用した制御方式、たとえば、電圧モードの制御を行ってもよいし、ピーク電流モードあるいは平均電流モードの制御を行ってもよい。あるいはパルス変調器210は、ヒステリシス制御(Bang-Bang制御)、ボトム検出オン時間固定制御、ピーク検出オフ時間固定制御などの、リップル制御を行ってもよい。
【0034】
ロジック回路220は、制御回路200を統合的に制御するコントロールロジックである。ロジック回路220はパルス変調器210の一部分(ロジック部分)を含みうる。
【0035】
ロジック回路220は、パルス変調器210が生成する制御パルスSpにもとづいて、ハイサイド制御信号HGCTLおよびローサイド制御信号LGCTLを生成する。またロジック回路220は、DC/DCコンバータ100Aの出力停止のトリガにもとづいて、放電制御信号DISCHGを生成する。具体的にはロジック回路220は、DC/DCコンバータ100Aの出力停止のトリガが発生すると、放電制御信号DISCHGをアサート(たとえばハイレベル)する。
【0036】
出力停止のトリガは特に限定されないが、たとえば制御回路200Aに対して、上位のコントローラから、イネーブル信号ENが供給される場合、イネーブル信号ENのネゲートが、出力停止のトリガとなる。
【0037】
また、制御回路200Aが、異常検出回路を備える場合、異常検出回路の出力のアサートが、出力停止のトリガとなる。制御回路200Aは、異常検出回路として、UVLO(低電圧ロックアウト)回路261およびTSD(サーマルシャットダウン)回路262を備える。UVLO回路261は、入力電圧VINがしきい値電圧VUVLOより低いときに、低電圧ロックアウト信号UVLOをアサート(たとえばハイレベル)する。TSD回路262は、DC/DCコンバータの監視対象の箇所の温度がしきい値を越えると、サーマルシャットダウン信号TSDをアサートする。
【0038】
ロジック回路220は、UVLO信号のアサート、TSD信号のアサートおよび外部からのイネーブル信号ENのネゲートの少なくとも一つが発生したときに、放電制御信号DISCHGをアサートしてもよい。
【0039】
ブートストラップ用のダイオードD2は、カソードがブートストラップピンBSTと接続され、アノードに直流電圧VDCを受ける。直流電圧VDCは、入力電圧VINであってもよいし、図示しない内部レギュレータが生成する電圧であってもよい。ダイオードD2に代えて、ローサイドトランジスタMLと連動してスイッチングするスイッチを設けてもよい。
【0040】
ハイサイドドライバ242は、ハイサイド用制御信号HGCTLにもとづいてハイサイドトランジスタMHのゲート信号(ハイサイドゲート信号)VHGを生成する。ハイサイドドライバ242は、その入力段にレベルシフタを含む。ローサイドドライバ244は、ローサイド用制御信号LGCTLにもとづいてローサイドトランジスタMLのゲート信号(ローサイドゲート信号)VLGを生成する。
【0041】
ハイサイドドライバ242の電源ノード(上側の電源端子)N1は、ブートストラップピンBSTと接続されており、接地ノード(下側の電源端子)N2は、スイッチングピンSWと接続されている。ハイサイド用制御信号HGCTLがハイのとき、ハイサイドドライバ242はハイレベル、すなわち電源ノードの電圧VBSTを出力し、ハイサイド用制御信号HGCTLがローのとき、ハイサイドドライバ242はローレベル、すなわち接地ノードN2の電圧VSWを出力する。
【0042】
放電制御回路400Aは、放電制御信号DISCHGにもとづいて、放電トランジスタ401を駆動する。具体的には、放電制御回路400Aは、放電制御信号DISCHGがアサート(たとえばハイ)されると、放電トランジスタ401のゲートにハイレベル電圧を印加し、放電トランジスタ401をオン状態とする。
【0043】
本実施形態において、放電制御回路400Aには、放電制御信号DISCHGに加えて、ハイサイド制御信号HGCTLおよびスイッチングピンSWの電圧(スイッチング電圧VSW)が入力される。
【0044】
放電制御回路400Aは、ハイサイド制御信号HGCTLおよびスイッチング電圧VSWにもとづくスイッチング検出信号SWDETの少なくとも一方がオンレベルであるとき、放電制御信号HGCTLをマスクする。言い換えると、ハイサイド制御信号HGCTLおよびスイッチング検出信号SWDETの両方がオフレベルのときに、放電制御信号DISCHGに応じて、放電トランジスタ401が駆動される。
【0045】
ハイサイド制御信号HGCTLの「オンレベル」とは、ハイサイドトランジスタMHのオンを指示するレベルであり、典型的にはハイレベルである。
【0046】
スイッチング検出信号SWDETのオンレベルとは、ハイサイドトランジスタMHが実際にオンしているときに、スイッチング検出信号SWDETがとるレベルである。ハイサイドトランジスタMHが実際にオンしているときに、スイッチング電圧VSWはハイレベル(VIN)となる。したがって、スイッチング検出信号SWDETを、スイッチング電圧VSWをレベルシフトした信号とする場合、スイッチング検出信号SWDETのオンレベルもハイレベルに対応付けられる。
【0047】
以上が制御回路200Aの構成である。続いてその動作を説明する。
【0048】
図2は、図1の制御回路200Aの動作波形図である。時刻tより前において、出力電圧VOUTは目標レベルVOUT(REF)に安定化されている。ハイサイド制御信号HGCTLがハイに遷移してから、ハイサイドトランジスタMHのゲート電圧VHGがハイレベル(VSW+VDC)に遷移するまで、言い換えると、ハイサイドトランジスタMHが実際にターンオンするまでには、遅延時間τが存在する。この遅延時間τはハイサイドドライバ242の伝搬遅延と、ハイサイドトランジスタMHのゲート容量に起因する遅延時間などが要因である。
【0049】
時刻tに、DC/DCコンバータ100Aの停止のトリガが発生すると、ロジック回路220は、放電制御信号DISCHGをハイレベルに遷移させる。このとき、ハイサイド制御信号HGCTLはローレベル(オフレベル)であるが、遅延τdの影響で、ハイサイドトランジスタMHのゲート電圧VHGはハイレベル(VSW+VDC)を維持しており、ゲート電圧VHGは時刻tに遅れて、ローレベル(VSW)に遷移する。時刻t~tの間は、ハイサイドトランジスタMHはオンであるから、スイッチング電圧VSWはハイレベル(VIN)であり、スイッチング検出信号SWDETもハイレベル(オンレベル)である。よって、時刻t~tの間は、放電制御信号DISCHGはマスクされ、放電制御回路400Aの出力である放電トランジスタ401のゲート電圧VDISはローを維持している。
【0050】
時刻tにハイサイドトランジスタMHがオンすると、ローサイドトランジスタMLがターンオンするまでの間、スイッチングピンSWはハイインピーダンスとなる。このとき、コイル電流は、ローサイドトランジスタMLのボディーダイオードを経由して流れるから、スイッチング電圧VSWは、ローレベル(-Vf)となり、スイッチング検出信号SWDETもローレベル(オフレベル)となる。その結果、放電制御信号DISCHGはマスクが解除され、放電制御回路400Aの出力である放電トランジスタ401のゲート電圧VDISはハイレベルとなり、放電トランジスタ401がターンオンする。放電トランジスタ401がターンオンすることで、出力キャパシタC1の電荷は、インダクタL1および放電トランジスタ401を経由して放電され、出力電圧VOUTが低下する。
【0051】
なお、図2に一点鎖線で示すように、ハイサイド制御信号HGCTLとスイッチング検出信号SWDETの両方がオフレベル(ロー)である時刻tに、放電制御信号DISCHGがハイに遷移した場合には、放電トランジスタ401のゲート電圧VDISは速やかにハイレベルに遷移し、出力電圧VOUTが低下する。
【0052】
以上が制御回路200Aを備えるDC/DCコンバータ100Aの動作である。
【0053】
制御回路200Aの利点は、比較技術との対比によって明確となる。
【0054】
(比較技術1)
図3は、比較技術1に係る制御を説明する図である。比較技術1では、放電制御信号DISCHGのマスクは行わずに、放電制御信号DISCHGが、ドライバ経由で直接、放電トランジスタ401のゲートに供給される。
【0055】
この場合、時刻tに放電制御信号DISCHGをハイレベルに遷移すると、直ちに放電トランジスタ401のゲート電圧VDISがハイレベルとなり、ターンオンする。時刻tにおいて、ハイサイドトランジスタMHはオンであるから、入力ピンVINと接地ピンPGNDの間に、ハイサイドトランジスタMHおよび放電トランジスタ401からなる貫通電流経路が形成される。
【0056】
ハイサイドトランジスタMHのオン抵抗RONHは非常に小さいから、貫通電流ITHROUGHの大きさは、放電トランジスタ401のオン抵抗RONDISによって決まる。
THROUGH=VIN/(RONH+RONDIS)=VIN/RONDIS
【0057】
比較技術1では、過大な貫通電流を抑制するために、放電トランジスタ401のオン抵抗RONDISを大きくしなければならない。たとえばVIN=5Vとして、貫通電流を50mA以下に抑えたい場合、放電トランジスタ401のオン抵抗RONDISを100Ω以上とする必要がある。放電トランジスタ401のオン抵抗RONDISを大きくすると、ハイサイドトランジスタMHがターンオフする時刻t以降の出力キャパシタC1の放電速度が遅くなるため、出力電圧VOUTの低下速度が遅くなる。
【0058】
実施形態1に戻る。制御回路200Aでは、ハイサイドトランジスタMHと放電トランジスタ401の同時オンが発生しないように、言い換えると貫通電流が流れないように、放電制御信号DISCHGがマスクされる。その結果、放電トランジスタ401のオン抵抗は、貫通電流を考慮せずに定めることができ、比較技術1に比べて格段に小さくすることができる。これにより、制御回路200Aによれば、比較技術1に比べて、出力電圧VOUTを短時間で低下させることができる。
【0059】
(比較技術2)
図4は、比較技術2に係る制御を説明する図である。比較技術2では、スイッチング検出信号SWDETのみを参照してマスク制御を行うものとする。つまり放電制御回路は、スイッチング検出信号SWDETがオンレベルであるときに、放電制御信号HGCTLをマスクし、スイッチング検出信号SWDETがオフレベルのときにはマスクが解除されるものとする。
【0060】
ハイサイド制御信号HGCTLがオンレベルに遷移した後、ハイサイドトランジスタMHが実際にターンオンする直前の時刻tに停止のトリガが発生すると、ハイサイド制御信号HGCTLはローレベルに遷移し、放電制御信号DISCHGがアサートされる。この場合、時刻tでは、スイッチング検出信号SWDETはオフレベルであるから、放電制御信号HGCTLはマスクされず、放電トランジスタ401のゲート信号VDISがハイレベルとなり、放電トランジスタ401がターンオンする可能性がある。
【0061】
そして、その直後の時刻tに、ハイサイドトランジスタMHがターンオンし、スイッチング検出信号SWDETがオンレベルに遷移すると、放電制御信号DISCHGはマスクされるため、放電トランジスタ401のゲート信号VDISがローレベルとなる。
【0062】
その後、時刻tにハイサイドトランジスタMHがターンオフすると、スイッチング検出信号SWDETがオフレベルとなり、放電制御信号DISCHGのマスクが解除されると、放電トランジスタ401のゲート信号VDISが再びハイレベルとなる。
【0063】
このように比較技術2では、放電制御信号DISCHGのアサートのタイミングによっては、時刻t~tに示すように、放電トランジスタ401のゲートに、狭パルスNPのゲート信号VDISが印加され、回路動作が不安定になるおそれがある。
【0064】
実施形態1に戻る。実施形態1では、図4の時刻tにおいて、放電制御信号DISCHGがアサートされたとしても、時刻t~tの間は、ハイサイド制御信号HGCTLがオンレベルであるから、放電制御信号DISCHGはマスクされる。したがって時刻tに、ハイサイド制御信号HGCTLとスイッチング検出信号SWDETの両方がオフレベルに遷移してはじめて、放電トランジスタ401のゲート信号VDISがハイレベルとなる。つまり、図4の時刻t~tに示すような、ゲート信号VDISの狭パルスNPの発生を防止でき、回路動作を安定化できる。
【0065】
図5は、図1のロジック回路220および放電制御回路400Aの構成例を示す回路図である。ロジック回路220は、たとえばインバータ440およびORゲート442を含む。インバータ440は、イネーブル信号ENを反転する。ORゲート442は、UVLO信号、TSD信号、反転されたEN信号を受け、それらの論理和を、放電制御信号DISCHGとして出力する。なお放電制御信号DISCHGの構成はこれに限定されず、種々の組み合わせ回路で実現できることが理解される。
【0066】
放電制御回路400Aは、スイッチング検出回路410A、第1論理ゲート412、第2論理ゲート414およびドライバ420を含む。スイッチング検出回路410Aは、スイッチング電圧VSWを二値化し、ロジック系のハイ、ローの電圧レベルにレベルシフトするレベルシフタで構成できる。
【0067】
第1論理ゲート412は、ハイサイド制御信号HGCTLと、スイッチング検出信号SWDETを論理演算して、マスク信号MSKを生成する。第2論理ゲート414は、放電制御信号DISCHGとマスク信号MSKを論理演算する。ドライバ420は、第2論理ゲート414の出力信号に応じて、放電トランジスタ401を駆動する。
【0068】
たとえば第1論理ゲート412は、ハイサイド制御信号HGCTLと、スイッチング検出信号SWDETの否定論理和を生成し、マスク信号MSKとして出力する否定論理和(NOR)ゲートである。第2論理ゲート414は、放電制御信号DISCHGとマスク信号MSKの論理積を生成するANDゲートとすることができる。
【0069】
なお放電制御回路400Aの構成はこれに限定されない。たとえばドライバ420を反転型のドライバとする場合、第2論理ゲート414は、否定論理積(NAND)ゲートとすることができる。
【0070】
(実施形態2)
図6は、実施形態2に係るDC/DCコンバータ100Bのブロック図である。DC/DCコンバータ100Bは制御回路200Bを備える。
【0071】
制御回路200Bの基本的な構成は、図1と同様であるから、以下では相違点を説明する。
【0072】
図1において、放電制御回路400Aには、放電制御信号DISCHG、ハイサイド制御信号HGCTLおよびスイッチング電圧VSWが入力されていた。これに対して、実施形態2(図6)の放電制御回路400Bには、放電制御信号DISCHG、ハイサイド制御信号HGCTLおよびハイサイドゲート信号VHGが入力される。
【0073】
放電制御回路400Bは、ハイサイド制御信号HGCTLおよびハイサイドゲート信号VHGにもとづくスイッチング検出信号SWDETの少なくとも一方がオンレベルであるとき、放電制御信号HGCTLをマスクする。言い換えると、ハイサイド制御信号HGCTLおよびスイッチング検出信号SWDETの両方がオフレベルのときに、放電制御信号DISCHGに応じて、放電トランジスタ401が駆動される。
【0074】
ハイサイド制御信号HGCTLの「オンレベル」とは、ハイサイドトランジスタMHのオンを指示するレベルであり、典型的にはハイレベルである。
【0075】
スイッチング検出信号SWDETのオンレベルとは、ハイサイドトランジスタMHが実際にオンしているときに、スイッチング検出信号SWDETがとるレベルである。
【0076】
ハイサイド制御信号HGCTLの「オンレベル」とは、ハイサイドトランジスタMHのオンを指示するレベルであり、典型的にはハイレベルである。
【0077】
スイッチング検出信号SWDETのオンレベルとは、ハイサイドトランジスタMHが実際にオンしているときに、スイッチング検出信号SWDETがとるレベルである。ハイサイドトランジスタMHが実際にオンしているときに、ハイサイドトランジスタMHのゲート信号VHGはハイレベル(VSW+VDC)となる。したがって、スイッチング検出信号SWDETを、スイッチング電圧VSWをレベルシフトした信号とする場合、スイッチング検出信号SWDETのオンレベルもハイレベルに対応付けられる。
【0078】
実施形態2に係る制御回路200Bの動作は、実施形態1の制御回路200Aと同様であり、実施形態1と同様の効果を得ることができる。
【0079】
図7は、図6のロジック回路220および放電制御回路400Bの構成例を示す回路図である。ロジック回路220の構成は、図5と同様である。
【0080】
放電制御回路400Bの構成も、図5と同様であり、スイッチング検出回路410B、第1論理ゲート412、第2論理ゲート414およびドライバ420を含む。スイッチング検出回路410Bは、ハイサイドゲート信号VHGを二値化し、ロジック系のハイ、ローの電圧レベルにレベルシフトするレベルシフタで構成できる。その他に構成要素(412,414,420)ついては、図5と同様である。
【0081】
(実施形態3)
図8は、実施形態3に係るDC/DCコンバータ100Cのブロック図である。実施形態3は、実施形態1と実施形態2を組み合わせである。すなわち、実施形態3に係る放電制御回路400Cは、放電制御信号DISCHGに加えて、ハイサイド制御信号HGCTLと、スイッチング電圧VSWと、ハイサイドゲート信号VHGを受ける。放電制御回路400Cは、ハイサイド制御信号HGCTLと、スイッチング電圧VSWにもとづく第1スイッチング検出信号SWDET1と、ハイサイドゲート信号VHGにもとづく第2スイッチング検出信号SWDET2と、の少なくともひとつがオンレベルであるとき、放電制御信号DISCHGをマスクする。この変形例によれば、ノイズなどの影響を受けにくい、より安全な放電制御が可能となる。
【0082】
図9は、図8のロジック回路および放電制御回路の構成例を示す回路図である。放電制御回路400Cは、図5のスイッチング検出回路410A、図7のスイッチング検出回路410Bを備える。第1論理ゲート412は3入力であり、2つのスイッチング検出信号SWDET1,SWDET2およびハイサイド制御信号HGCTLの否定論理和をとり、マスク信号MSKを生成する。
【0083】
(変形例)
上述した実施形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なことが当業者に理解される。以下、こうした変形例について説明する。
【0084】
(変形例1)
ハイサイドトランジスタMHは、P型すなわちPチャンネルMOSFET、IGBT、あるいはPNP型のバイポーラトランジスタであってもよい。
【0085】
実施形態2において、ハイサイドトランジスタMHをP型で構成する場合、ハイサイドトランジスタMHが実際にオンしているときに、ハイサイドトランジスタMHのゲート信号VHGはローレベル(0V)となる。したがって、スイッチング検出信号SWDETを、スイッチング電圧VSWをレベルシフトした信号とする場合、スイッチング検出信号SWDETのオンレベルもローレベルに対応付けられる。もし、スイッチング検出信号SWDETを、スイッチング電圧VSWをレベルシフトして反転した信号とする場合、スイッチング検出信号SWDETのオンレベルはハイレベルに対応付けられる。
【0086】
ハイサイドトランジスタMHをP型で構成する場合、図7のスイッチング検出回路410Bは、レベルシフタと、レベルシフタの出力を反転するインバータの組み合わせで構成してもよい。
【0087】
(用途)
続いて、DC/DCコンバータ100A~100C等(以下、単に100として示す)の用途を説明する。
【0088】
図10は、実施形態に係るDC/DCコンバータ100を備える電子機器700の一例を示す図である。電子機器700は、たとえば、携帯電話端末、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、タブレット端末、ポータブルオーディオプレイヤなどの電池駆動型デバイスである。電子機器700は、筐体702、電池704、マイクロプロセッサ706およびDC/DCコンバータ100を備える。DC/DCコンバータ100は、その入力端子に電池704からの電池電圧VBAT(=VIN)を受け、出力端子に接続されるマイクロプロセッサ706あるいはその他の負荷に、出力電圧VOUTを供給する。
【0089】
電子機器700の種類は、電池駆動型のデバイスには限定されず、車載機器であってもよいし、ファクシミリなどのOA機器であってもよいし、産業機器であってもよい。
【0090】
実施形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにさまざまな変形例が存在すること、またそうした変形例も本開示に含まれ、また本発明の範囲を構成しうることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0091】
100 DC/DCコンバータ
102 入力ライン
104 出力ライン
110 周辺回路
MH ハイサイドトランジスタ
ML ローサイドトランジスタ
L1 インダクタ
C1 出力キャパシタ
200A,200B 制御回路
210 パルス変調器
220 ロジック回路
242 ハイサイドドライバ
244 ローサイドドライバ
261 UVLO回路
262 TSD回路
400A,400B 放電制御回路
401 放電トランジスタ
410A,410B スイッチング検出回路
412 第1論理ゲート
414 第2論理ゲート
420 ドライバ
700 電子機器
702 筐体
704 電池
706 マイクロプロセッサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10