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特開2022-165747方向探知装置、強度差テーブルの取得方法、方向探知方法及び方向探知プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165747
(43)【公開日】2022-11-01
(54)【発明の名称】方向探知装置、強度差テーブルの取得方法、方向探知方法及び方向探知プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01S 3/14 20060101AFI20221025BHJP
【FI】
G01S3/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021071231
(22)【出願日】2021-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 範泰
(57)【要約】
【課題】レドーム内におけるアンテナの設置に制約があっても、アンビギュイティを除去しつつ、受信波の到来方向を好適に探知する。
【解決手段】方向探知装置において、複数のアンテナと、複数の前記アンテナで受信される前記受信波の受信強度に対して、前記受信波の到来方向によって異なる強度差を付与する強度差付与部と、2つの前記アンテナ間における強度差と前記受信波の到来方向とを対応付けた強度差テーブルを、2つの前記アンテナの組み合わせごとに記憶する記憶部と、受信した前記受信波に基づいて、2つの前記アンテナ間における前記強度差を検出する検出器と、前記強度差テーブルから、前記検出器で検出した前記強度差に対応する前記受信波の到来方向を、2つの前記アンテナの組み合わせに応じて複数抽出する抽出器と、複数の前記強度差に対応する前記受信波の到来方向を比較して、一致する前記受信波の到来方向を、探知結果として取得する比較器と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信波の到来方向を探知する方向探知装置において、
前記受信波を受信する複数のアンテナと、
複数の前記アンテナで受信される前記受信波の受信強度に対して、前記受信波の到来方向によって異なる強度差を付与する強度差付与部と、
複数の前記アンテナのうち、2つの前記アンテナ間における強度差と前記受信波の到来方向とを対応付けた強度差テーブルを、2つの前記アンテナの組み合わせごとに記憶する記憶部と、
複数の前記アンテナにおいて受信した前記受信波に基づいて、2つの前記アンテナ間における前記強度差を検出する検出器と、
前記記憶部に記憶された前記強度差テーブルから、前記検出器で検出した前記強度差に対応する前記受信波の到来方向を、2つの前記アンテナの組み合わせに応じて複数抽出する抽出器と、
前記抽出器から取得した、複数の前記強度差に対応する前記受信波の到来方向を比較して、一致する前記受信波の到来方向を、探知結果として取得する比較器と、を備える方向探知装置。
【請求項2】
前記強度差テーブルは、前記受信波の周波数ごとまたは偏波ごとに記憶されており、
前記検出器は、前記受信波の前記周波数または前記偏波を検出し、
前記抽出器は、前記検出器で検出した前記周波数または前記偏波に基づいて、前記周波数または前記偏波に対応する前記強度差テーブルを取得し、取得した前記強度差テーブルから、前記検出器で検出した前記強度差に対応する前記受信波の到来方向を抽出する請求項1に記載の方向探知装置。
【請求項3】
前記強度差付与部は、複数の前記アンテナを収容するレドームを有し、
前記レドームは、三次元空間において不均一な形状または不均一な構造となっている請求項1または2に記載の方向探知装置。
【請求項4】
前記強度差付与部は、複数の前記アンテナを収容するレドームに設けられると共に、電気特性を変化させる材料を有する請求項1から3のいずれか1項に記載の方向探知装置。
【請求項5】
前記強度差付与部は、前記アンテナの素子のゲインを、空間的に一様でないゲインとした前記アンテナである請求項1から4のいずれか1項に記載の方向探知装置。
【請求項6】
前記抽出器は、前記検出器で検出した前記強度差に調整幅を付与した強度差幅に対応する前記受信波の到来方向を抽出しており、
前記比較器は、組み合わせに応じて抽出された複数の前記強度差幅に対応する前記受信波の到来方向の候補が不一致である場合、前記調整幅を広くする一方で、一致する前記受信波の到来方向の候補が複数となる場合、前記調整幅を狭くする請求項1から5のいずれか1項に記載の方向探知装置。
【請求項7】
前記受信波の到来方向は、方位角方向の角度であるAZ角度と、前記方位角方向に直交する俯仰角方向の角度であるEL角度と、により規定され、
前記強度差テーブルは、
前記AZ角度及び前記EL角度に対応付けた複数のセルを有すると共に、複数の前記セルに前記強度差がそれぞれ設定されており、前記セル間の前記強度差が補間されている請求項1から6のいずれか1項に記載の方向探知装置。
【請求項8】
前記強度差テーブルが前記受信波の周波数ごとまたは偏波ごとに用意される場合、
前記強度差テーブルは、前記周波数間の前記強度差または前記偏波間の前記強度差が補間されている請求項1から7のいずれか1項に記載の方向探知装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の方向探知装置に用いられる強度差テーブルを取得する強度差テーブルの取得方法であって、
複数のアンテナに対して、電波発生源から発生する前記受信波を、所定の到来方向となるように設定するステップと、
前記電波発生源から前記受信波を発生させるステップと、
複数の前記アンテナにおいて前記受信波を受信するステップと、
前記受信波を受信することによって得られた前記強度差に基づいて、2つの前記アンテナ間における前記強度差と前記受信波の到来方向とを対応付けた強度差テーブルを取得するステップと、を実行する強度差テーブルの取得方法。
【請求項10】
請求項1から8のいずれか1項に記載の方向探知装置により、受信波の到来方向を探知する方向探知方法であって、
複数のアンテナにより、前記受信波を受信するステップと、
前記検出器において、複数の前記アンテナで受信した前記受信波に基づいて、2つの前記アンテナ間における前記強度差を検出するステップと、
前記抽出器において、前記記憶部に記憶された前記強度差テーブルから、前記検出器で検出した前記強度差に対応する前記受信波の到来方向を、2つの前記アンテナの組み合わせに応じて複数抽出するステップと、
前記比較器において、取得した複数の前記強度差に対応する前記受信波の到来方向を比較して、一致する前記受信波の到来方向を、探知結果として取得するステップと、を実行する方向探知方法。
【請求項11】
請求項1から8のいずれか1項に記載の方向探知装置により実行される、受信波の到来方向を探知する方向探知プログラムであって、
複数のアンテナにより、前記受信波を受信するステップと、
前記検出器において、複数の前記アンテナで受信した前記受信波に基づいて、2つの前記アンテナ間における前記強度差を検出するステップと、
前記抽出器において、前記記憶部に記憶された前記強度差テーブルから、前記検出器で検出した前記強度差に対応する前記受信波の到来方向を、2つの前記アンテナの組み合わせに応じて複数抽出するステップと、
前記比較器において、取得した複数の前記強度差に対応する前記受信波の到来方向を比較して、一致する前記受信波の到来方向を、探知結果として取得するステップと、を実行させる方向探知プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、受信波の到来方向を探知する方向探知装置、強度差テーブルの取得方法、方向探知方法及び方向探知プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、方向探知装置として、受信波等の信号の到来方向を算出する測角処理装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。測角処理装置は、複数のアンテナ素子と、複数のアンテナ素子を覆うレドームとを備えている。測角処理装置は、複数のアンテナ素子で受信した到来信号に基づいて、到来信号の到来方向を算出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-133907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数のアンテナ間の位相差を用いて受信波の到来方向を探知する場合、アンビギュイティが生じる場合がある。アンビギュイティとは、アンテナ間の距離と受信波の波長との関係によって、アンテナ間で取得される位相差が同じであっても、受信波の到来方向の候補が複数算出されることである。発生するアンビギュイティは、アンテナ間の距離によって変わる。このため、アンビギュイティを解消するためには、アンテナ間の距離が不等間隔である複数のアンテナを用いることが一般的である。
【0005】
また、アンテナを一方向(例えば、方位角方向(AZ方向ともいう))に複数並べた場合、複数のアンテナは、一方向を含む平面(二次元)内の受信波の到来方向を探知することができる。このため、三次元の受信波の到来方向を探知するためには、アンテナを一方向に並べると共に、一方向に交差する他の一方向(例えば、俯仰角方向(EL方向ともいう))に並べる、つまり二次元的に配列する必要がある。
【0006】
しかしながら、レドームの内部空間に設置されるアンテナは、レドームの空間的な制約により二次元的に配列することが困難な場合がある。レドームの空間的な制約から、複数のアンテナを一次元方向のみに並べる場合、その一方向を含む平面内の受信波の到来方向は、複数のアンテナ間の位相差から算出することができるが、その一方向に交差する他の一方向については、複数のアンテナが存在しないため、位相差を用いた算出ができない問題がある。
【0007】
そこで、本開示は、レドーム内におけるアンテナの設置に制約があっても、アンビギュイティを除去しつつ、受信波の到来方向を好適に探知することができる方向探知装置、強度差テーブルの取得方法、方向探知方法及び方向探知プログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の方向探知装置は、受信波の到来方向を探知する方向探知装置において、前記受信波を受信する複数のアンテナと、複数の前記アンテナで受信される前記受信波の受信強度に対して、前記受信波の到来方向によって異なる強度差を付与する強度差付与部と、複数の前記アンテナのうち、2つの前記アンテナ間における強度差と前記受信波の到来方向とを対応付けた強度差テーブルを、2つの前記アンテナの組み合わせごとに記憶する記憶部と、複数の前記アンテナにおいて受信した前記受信波に基づいて、2つの前記アンテナ間における前記強度差を検出する検出器と、前記記憶部に記憶された前記強度差テーブルから、前記検出器で検出した前記強度差に対応する前記受信波の到来方向を、2つの前記アンテナの組み合わせに応じて複数抽出する抽出器と、前記抽出器から取得した、複数の前記強度差に対応する前記受信波の到来方向を比較して、一致する前記受信波の到来方向を、探知結果として取得する比較器と、を備える。
【0009】
本開示の強度差テーブルの取得方法は、上記の方向探知装置に用いられる強度差テーブルを取得する強度差テーブルの取得方法であって、複数のアンテナに対して、電波発生源から発生する前記受信波を、所定の到来方向となるように設定するステップと、前記電波発生源から前記受信波を発生させるステップと、複数の前記アンテナにおいて前記受信波を受信するステップと、前記受信波を受信することによって得られた前記強度差に基づいて、2つの前記アンテナ間における前記強度差と前記受信波の到来方向とを対応付けた強度差テーブルを取得するステップと、を実行する。
【0010】
本開示の方向探知方法は、上記の方向探知装置により、受信波の到来方向を探知する方向探知方法であって、複数のアンテナにより、前記受信波を受信するステップと、前記検出器において、複数の前記アンテナで受信した前記受信波に基づいて、2つの前記アンテナ間における前記強度差を検出するステップと、前記抽出器において、前記記憶部に記憶された前記強度差テーブルから、前記検出器で検出した前記強度差に対応する前記受信波の到来方向を、2つの前記アンテナの組み合わせに応じて複数抽出するステップと、前記比較器において、取得した複数の前記強度差に対応する前記受信波の到来方向を比較して、一致する前記受信波の到来方向を、探知結果として取得するステップと、を実行する。
【0011】
本開示の方向探知プログラムは、上記の方向探知装置により実行される、受信波の到来方向を探知する方向探知プログラムであって、複数のアンテナにより、前記受信波を受信するステップと、前記検出器において、複数の前記アンテナで受信した前記受信波に基づいて、2つの前記アンテナ間における前記強度差を検出するステップと、前記抽出器において、前記記憶部に記憶された前記強度差テーブルから、前記検出器で検出した前記強度差に対応する前記受信波の到来方向を、2つの前記アンテナの組み合わせに応じて複数抽出するステップと、前記比較器において、取得した複数の前記強度差に対応する前記受信波の到来方向を比較して、一致する前記受信波の到来方向を、探知結果として取得するステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、レドーム内におけるアンテナの設置に制約があっても、アンビギュイティを除去しつつ、従来では得ることができなかった次元の受信波の到来方向を好適に探知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、実施形態1に係る方向探知装置の一部を示す概略構成図である。
図2図2は、図1のA-A断面図である。
図3図3は、図1のB-B断面図である。
図4図4は、実施形態1に係る方向探知装置及び方向探知方法に関する説明図である。
図5図5は、強度差テーブルの図である。
図6図6は、強度差テーブルの一例を示すグラフである。
図7図7は、強度差テーブルの一例を示すグラフである。
図8図8は、受信波の到来方向を重ね合わせたときのグラフである。
図9図9は、強度差テーブルの取得方法に用いられる装置の概略構成図である。
図10図10は、実施形態2に係る方向探知装置及び方向探知方法に関する一例の説明図である。
図11図11は、実施形態2に係る方向探知装置及び方向探知方法に関する一例の説明図である。
図12図12は、実施形態3に係る方向探知装置のレドームの形状の例を示す断面図である。
図13図13は、実施形態5に係る方向探知装置の複数のアンテナの配置の例を示す概略構成図である。
図14図14は、実施形態5に係る方向探知装置の複数のアンテナの配置の例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本開示に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能であり、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせることも可能である。
【0015】
[実施形態1]
実施形態1に係る方向探知装置1及び方向探知方法は、受信波の到来方向を探知する装置及び手法となっている。受信波としては、電波であり、例えば、探知レーダのビームである。方向探知装置1は、例えば、航空機、車両または船舶等の運輸機械に設けられている。受信波の到来方向は、方位角方向(以下、AZ(Azimuth)方向という)の角度(AZ角度)と、俯仰角方向(以下、EL(Elevation)方向という)の角度(EL角度)により定まる。
【0016】
図1は、実施形態1に係る方向探知装置の一部を示す概略構成図である。図2は、図1のA-A断面図である。図3は、図1のB-B断面図である。図4は、実施形態1に係る方向探知装置及び方向探知方法に関する説明図である。図5は、強度差テーブルの図である。図6は、強度差テーブルの一例を示すグラフである。図7は、強度差テーブルの一例を示すグラフである。図8は、受信波の到来方向を重ね合わせたときのグラフである。図9は、強度差テーブルの取得方法に用いられる装置の概略構成図である。
【0017】
(方向探知装置)
図1から図3に示すように、方向探知装置1は、複数のアンテナ5と、レドーム6と、を備えている。複数のアンテナ5は、AZ方向(図1のx方向)に沿って直線状に複数並べて設けられ、EL方向(図1から図3のz方向)において1つ設けられた、一次元の配置となっている。なお、実施形態1では、EL方向への高さを抑制すべく、一次元の配置としているものの、配置については特に限定されない。複数のアンテナ5は、2つのアンテナの組み合わせパターンが2以上となるように、少なくとも3以上設けられる。複数のアンテナ5は、AZ方向において所定の間隔で配置されている。なお、実施形態1において、アンテナ5同士の間隔は、不等間隔となっているが、等間隔であってもよい。
【0018】
レドーム6は、例えば、航空機の翼に設けられている。レドーム6は、受信波の到来方向によって異なる強度差を付与する強度差付与部として機能している。なお、航空機の翼の翼長方向がAZ方向となっている。具体的に、レドーム6は、形状がAZ方向及びEL方向を含む三次元空間において不均一な形状となっている。図2に示すように、AZ方向における翼根側(図1の左側)の位置で切ったレドーム6の断面形状は、内部空間の広さがEL方向において幅広となっている。一方で、図3に示すように、翼先側(図1の右側)の位置で切ったレドーム6の断面形状は、内部空間の広さがEL方向において幅狭となっている。また、図2及び図3に示す断面においても、レドーム6の厚さは一定でなく、EL方向によって厚みが異なっている。
【0019】
なお、レドーム6は、その構造が積層構成となっており、形状を異ならせること、積層構成を異ならせること、形状及び積層構成の両方を異ならせることで、受信波の到来方向によって異なる強度差を付与するようにしてもよい。
【0020】
また、図4に示すように、方向探知装置1は、検出器10と、記憶部11と、抽出器12と、比較器13と、を備えている。
【0021】
検出器10は、複数のアンテナ5に接続されており、複数のアンテナ5で受信した受信波の信号強度の強度差、周波数及び偏波を検出している。なお、偏波に関する情報は、直交する2つの直線アンテナの強度比から、または、1つの直線アンテナを回転させた測定から取得してもよい。この場合、偏波を検出する専用のアンテナを別途設けてもよい。検出器10は、強度差として、2つのアンテナ5間の強度差を検出している。ここで、実施形態1では、複数のアンテナ5として、「アンテナ1」、「アンテナ2」及び「アンテナ3」の3つのアンテナを適用している。この場合、実施形態1において、検出器10は、2つのアンテナ5の強度差として、「アンテナ1」及び「アンテナ2」の強度差、「アンテナ1」及び「アンテナ3」の強度差を検出している。なお、検出器10は、「アンテナ2」及び「アンテナ3」の強度差を検出してもよく、複数のアンテナ5の中の2つのアンテナの組み合わせパターンに応じて、少なくとも2パターン以上の強度差を検出してもよい。以下、実施形態1の方向探知装置1及び方向探知方法では、「アンテナ1」及び「アンテナ2」、「アンテナ1」及び「アンテナ3」の組み合わせに基づいて説明するが、この組み合わせに特に限定されず、3パターン以上の強度差を用いた方向探知装置1及び方向探知方法として適用してもよい。また、検出器10では、強度差、周波数及び偏波を検出したが、少なくとも強度差を検出すればよく、必要に応じて、周波数及び偏波を検出してもよい。
【0022】
記憶部11は、図5に示す強度差テーブルTを記憶している。強度差テーブルTは、2つのアンテナ5間における強度差と受信波の到来方向とを対応付けたデータである。図5は、その横軸がAZ角度となっており、その縦軸がEL角度となっている。また、強度差テーブルTは、AZ角度及びEL角度に対応付けられる複数のセルから構成されている。各セルには、強度差が対応付けられている。このため、強度差が対応付けられたセルには、AZ角度及びEL角度が対応付けられる。また、強度差テーブルTは、少なくとも周波数または偏波ごとに用意されており、必要に応じて、周波数に応じた強度差テーブルT、偏波に応じた強度差テーブルT、または周波数及び偏波に応じた強度差テーブルTを用意してもよい。換言すれば、強度差テーブルTは、不要であれば、周波数に応じた強度差テーブルT、偏波に応じた強度差テーブルTは用意しなくてもよい。さらに、強度差テーブルTは、2つのアンテナの組み合わせごとに用意されている。つまり、実施形態1では、強度差テーブルTとして、「アンテナ1」及び「アンテナ2」の強度差テーブルTと、「アンテナ1」及び「アンテナ3」の強度差テーブルTとを用意している。また、図示は省略するが、記憶部11は、方向探知装置1を用いた受信波の到来方向を探知するためのプログラムを記憶している。なお、強度差テーブルTとは、図5に示す強度差テーブルTの他、図5に示す強度差テーブルTを基に数式化したものも含む。
【0023】
抽出器12は、検出器10おいて検出した受信波の周波数、偏波及び強度差に基づいて、強度差テーブルTから、強度差に対応する受信波の到来方向を抽出している。具体的に、実施形態1において、抽出器12は、必要に応じて、検出器10において検出した受信波の周波数及び偏波に基づいて、周波数に対応する強度差テーブルT、偏波に応じた強度差テーブルT、または周波数及び偏波に応じた強度差テーブルTを取得する。この後、抽出器12は、検出器10において検出した強度差に対応する、強度差テーブルTのセルを抽出する。また、抽出器12は、「アンテナ1」及び「アンテナ2」の組み合わせ、「アンテナ1」及び「アンテナ3」の組み合わせのそれぞれにおいて、強度差テーブルTのセルを抽出する。
【0024】
比較器13は、抽出器12により抽出した複数の到来方向の候補が一致する受信波の到来方向を、探知結果として取得する。ここで、図6から図8を参照して、比較器13による処理について具体的に説明する。図6及び図7は、図5のような強度差テーブルTにおいて、強度差が同じとなる値のセルを抽出したときの図となっている。図6では、「アンテナ1」と「アンテナ2」の強度差であって、所定の強度差ΔE12のセルを抽出したときの図となっている。図7では、「アンテナ1」と「アンテナ3」の強度差であって、所定の強度差ΔE13のセルを抽出したときの図となっている。
【0025】
比較器13は、抽出器12により抽出した「アンテナ1」と「アンテナ2」の強度差ΔE12を取得すると、図6に示すように、強度差ΔE12に該当するセルを取得する。また、比較器13は、抽出器12により抽出した「アンテナ1」と「アンテナ3」の強度差ΔE13を取得すると、図7に示すように、強度差ΔE13に該当するセルを取得する。そして、比較器13は、図8に示すように、「アンテナ1」と「アンテナ2」の強度差ΔE12に該当するセルと、「アンテナ1」と「アンテナ3」の強度差ΔE13に該当するセルとが一致するセルを取得する。そして、比較器13は、取得したセルに対応するAZ角度及びEL角度を、探知結果として取得する。すなわち、一致するセルが示すAZ角度とEL角度の組合せで示される方位は、「アンテナ1」と「アンテナ2」に強度差ΔE12を生じさせると共に、同時に「アンテナ1」と「アンテナ3」に強度差ΔE13を生じさせる方位であり、観測結果に一致することから、受信波の到来方向であると推測できる。
【0026】
(強度差テーブル取得方法)
次に、図9を参照して、方向探知装置1に用いられる強度差テーブルTを取得する強度差テーブルの取得方法について説明する。強度差テーブルTの取得には、図9に示す取得装置21が用いられる。取得装置21は、送信器22と、受信器23と、動作部24と、測定器25と、を備えている。
【0027】
送信器22は、受信器23へ向けて所定の偏波となる電波を送信する。受信器23は、方向探知装置1の複数のアンテナ5及びレドーム6を模した同等の性能を有するものとなっており、受信した電波を受信波として取得する。動作部24は、受信器23から見た送信器22の位置が所定のAZ角度及びEL角度となるように受信器23を移動させる。測定器25は、送信器22の送信周波数を設定し、受信器23において受信した受信波の強度差を取得すると共に、取得時におけるAZ角度及びEL角度を取得する。
【0028】
強度差テーブルTの取得方法では、複数のアンテナ5を含む受信器23が、所定のAZ角度及びEL角度となる到来方向となるように、動作部24を動作させるステップを実行する。この後、取得方法では、電波発生源となる送信器22から所定の周波数となる電波を発生させるステップを実行する。そして、取得方法では、受信器23により所定の周波数となる電波を受信波として受信するステップを実行する。取得方法では、受信器23において受信波を受信すると、測定器25により受信した受信波の強度差を測定する。そして、取得方法では、測定した2つのアンテナ5間における強度差と、取得時におけるAZ角度及びEL角度とを対応付けて、受信波の周波数及び偏波ごとに強度差テーブルTとして取得するステップを実行する。なお、上記の強度差テーブルTの取得方法では、受信波の周波数ごと及び偏波ごとに強度差テーブルTを取得したが、周波数ごとのみ、偏波ごとのみの強度差テーブルTを取得してもよい。
【0029】
なお、受信波の周波数または偏波ごとに用意される複数の強度差テーブルTは、周波数または偏波間の強度差が補間される補間処理が実行されてもよい。さらに、強度差テーブルT内の各セルは、AZ角度及びEL角度からなる到来方向に対応付けられているが、セル間のAZ角度及びEL角度が補間される補間処理が実行されてもよい。
【0030】
(方向探知方法)
次に、図4を参照して、方向探知装置1により、受信波の到来方向を探知する方向探知方法について説明する。
【0031】
方向探知方法では、先ず、複数のアンテナ5により受信波を受信するステップS1を実行する。この後、方向探知方法では、検出器10において、複数のアンテナ5で受信した受信波に基づいて、2つのアンテナ5間における強度差と周波数または偏波とを検出するステップS2を実行する。なお、ステップS2において、周波数、偏波は検出せずともよい。続いて、方向探知方法では、抽出器12において、検出した周波数または偏波に基づいて、周波数または偏波に対応する強度差テーブルTを記憶部11から取得するステップS3を実行する。そして、方向探知方法では、抽出器12において、取得した強度差テーブルTから、検出器10で検出した強度差に対応する受信波の到来方向、すなわち、AZ角度及びEL角度に対応するセルを、2つのアンテナ5の組み合わせに応じて複数抽出するステップS4を実行する。方向探知方法では、ステップS4の実行後、比較器13において、取得した複数のAZ角度及びEL角度のセルを比較して、一致するセルのAZ角度及びEL角度を、探知結果として取得するステップS5を実行する。なお、実施形態1の方向探知方法では、周波数または偏波に基づいて、対応する強度差テーブルTを用いたが、周波数及び偏波に基づいて、対応する強度差テーブルTを用いてもよい。
【0032】
[実施形態2]
次に、図10及び図11を参照して、実施形態2について説明する。なお、実施形態2では、重複した記載を避けるべく、実施形態1と異なる部分について説明し、実施形態1と同様の構成である部分については、同じ符号を付して説明する。図10は、実施形態2に係る方向探知装置及び方向探知方法に関する一例の説明図である。図11は、実施形態2に係る方向探知装置及び方向探知方法に関する一例の説明図である。
【0033】
実施形態1の方向探知方法では、抽出器12において、検出器10により検出した強度差に対応するセルを、2つのアンテナ5の組み合わせに応じて抽出した。この場合、比較器13において、図10の左側に示すように、一致するセルが複数となる可能性がある。また、比較器13において、図11の左側に示すように、一致するセルがゼロとなる可能性がある。
【0034】
このため、実施形態2の方向探知方法では、抽出器12が、検出器10で検出した強度差ΔEに調整幅(α、β)を付与した強度差幅に対応する受信波の到来方向を抽出している。具体的に、抽出器12は、検出器10から強度差ΔEを取得すると、強度差幅として、「ΔE-α<ΔE<ΔE+β」を生成し、生成した強度差幅に対応するセルを取得する。ここで、抽出器12は、調整幅(α、β)を小さくすることで、取得するセルの数を減らす一方で、調整幅(α、β)を大きくすることで、取得するセルの数を増やす。なお、調整幅(α、β)は、全アンテナ5間で同一の値としてもよいし、アンテナ5間によって異なった値としてもよい。
【0035】
具体的に、図10の左側に示すように、比較器13は、「アンテナ1」と「アンテナ2」の強度差幅に該当するセルと、「アンテナ1」と「アンテナ3」の強度差幅に該当するセルとを取得して比較した結果、複数のセルが該当する場合、抽出器12は、強度差幅を狭くする。これにより、「アンテナ1」と「アンテナ2」の強度差幅に該当するセルと、「アンテナ1」と「アンテナ3」の強度差幅に該当するセルとが減る。そして、比較器13は、再び、「アンテナ1」と「アンテナ2」の強度差幅に該当するセルと、「アンテナ1」と「アンテナ3」の強度差幅に該当するセルとを取得して比較することで、図10の右側に示すように、一致するセルを見出すことができる。
【0036】
また、図11の左側に示すように、比較器13は、「アンテナ1」と「アンテナ2」の強度差幅に該当するセルと、「アンテナ1」と「アンテナ3」の強度差幅に該当するセルとを取得して比較した結果、一致するセルがない、つまり、セルが不一致となる場合、抽出器12は、強度差幅を広くする。これにより、「アンテナ1」と「アンテナ2」の強度差幅に該当するセルと、「アンテナ1」と「アンテナ3」の強度差幅に該当するセルとが増える。そして、比較器13は、再び、「アンテナ1」と「アンテナ2」の強度差幅に該当するセルと、「アンテナ1」と「アンテナ3」の強度差幅に該当するセルとを取得して比較することで、図11の右側に示すように、一致するセルを見出すことができる。
【0037】
[実施形態3]
次に、図12を参照して、実施形態3について説明する。なお、実施形態3では、重複した記載を避けるべく、実施形態1及び2と異なる部分について説明し、実施形態1及び2と同様の構成である部分については、同じ符号を付して説明する。図12は、実施形態3に係る方向探知装置のレドームの形状の例を示す断面図である。
【0038】
実施形態1の方向探知方法では、抽出器12において、検出器10により検出した強度差に対応するセルを、2つのアンテナ5の組み合わせに応じて抽出した。この場合、比較器13において、一致するセルが複数となり、強度差幅の調整によっても絞り込めない可能性がある。これは、レドーム6において、受信波の到来方向によって異なる強度差を付与していない部位または付与が不足している部位等があるためである。
【0039】
このため、実施形態3では、図12に示すように、方向探知装置1のレドーム6に電気特性を変化させるための材料を追加した構成となっている。電気特性を変化させるための材料としては、例えば、誘電体、金属等の良導体を用いることが可能である。なお、以下では、誘電体31を追加した構成として説明する。誘電体31は、受信波の到来方向によって異なる強度差を付与すればよく、例えば、図12の誘電体31a~31c、32、33を配置してもよい。図12のレドーム6aでは、レドーム6aの内側に倣って誘電体31aが設けられており、誘電体31aは、その内面が湾曲面となっている。また、図12のレドーム6bでは、誘電体31bが、レドーム6aの内側から突出するブロック形状のものとなっている。図12のレドーム6cでは、レドーム6cの内側に倣って誘電体31cが設けられており、誘電体31cは、アンテナ5と対向する内面が平面となっており、この平面のEL方向の両側に連なる面も平面となっている。図12のレドーム6dでは、レドーム6aの内側に、別体となる誘電体32が取り付けられたものとなっている。図12のレドーム6eでは、アンテナ5に被覆されるキャップ状の誘電体33を取り付けたものとなっている。
【0040】
なお、図示は省略するが、レドーム6の外側に、誘電体31のような電気特性を変化させるための材料を配置してもよく、例えば、方向探知装置1を航空機に搭載する場合には、レドーム6の外側にある機体を、電気特性を変化させるための材料として用いてもよい。つまり、レドーム6の外側にある機体が、受信波の到来方向によって異なる強度差を付与する強度差付与部として機能してもよい。
【0041】
[実施形態4]
次に、実施形態4について説明する。なお、実施形態4では、重複した記載を避けるべく、実施形態1から3と異なる部分について説明し、実施形態1から3と同様の構成である部分については、同じ符号を付して説明する。
【0042】
実施形態1では、方向探知装置のレドーム6が強度差付与部として機能していたが、実施形態4では、アンテナ5の素子のゲインを空間的に一様でないゲインとすることで、アンテナ5自体を強度差付与部として機能させてもよい。つまり、アンテナ5の素子のゲインを、素子ごとに異なったゲインとすることで、受信波の到来方向によって異なった強度差を得ることができる。
【0043】
[実施形態5]
次に、図13及び図14を参照して、実施形態5について説明する。なお、実施形態5では、重複した記載を避けるべく、実施形態1から4と異なる部分について説明し、実施形態1から4と同様の構成である部分については、同じ符号を付して説明する。図13及び図14は、実施形態4に係る方向探知装置の複数のアンテナの配置の例を示す概略構成図である。
【0044】
実施形態1では、3つのアンテナ5を、AZ方向に並べて配置したが、図13に示すように、EL方向に高さを異ならせて配置してもよい。つまり、3つのアンテナ5を三点配置としてもよい。これは、強度差テーブルTを用いた方向探知方法では、強度差付与部により受信波の到来方向によって異なる強度差を付与することで、アンビギュイティを解消させているため、アンテナ5の配置に関する制約がないためである。また、図14に示すように、複数のアンテナ5として、4つ配置してもよく、この場合、アンテナ5間の距離を、不等間隔にしてもよいし、等間隔にしてもよい。なお、アンテナ5を4つ配置する場合には、3つを常用のアンテナ5とし、1つを予備用のアンテナ5として用いてもよい。アンテナ5の数を増やすことで、比較器13において、一致するセルの絞り込みが難しい場合、アンテナ5の組み合わせ数を増やしたり、また、予備のアンテナ5を用いた組み合わせ数を増やしたりすることができる。
【0045】
なお、実施形態1から5では、AZ角度及びEL角度を変更させながら、各セルにおける強度差を取得した強度差テーブルTを用いて、受信波の到来方向を探知したが、この構成に特に限定されない。例えば、レドーム6を荷重変形させながら、各セルにおける強度差を取得して強度差テーブルTを生成し、生成した強度差テーブルTを用いて、レドーム6の荷重変形を考慮して、受信波の到来方向を探知してもよい。
【0046】
以上のように、実施形態に記載の方向探知装置1、強度差テーブルTの取得方法、方向探知方法及び方向探知プログラムは、例えば、以下のように把握される。
【0047】
第1の態様に係る方向探知装置1は、受信波の到来方向を探知する方向探知装置1において、前記受信波を受信する複数のアンテナ5と、複数の前記アンテナ5で受信される前記受信波の受信強度に対して、前記受信波の到来方向によって異なる強度差を付与する強度差付与部(レドーム6、誘電体31、良導体、空間的に一様でないゲインを有するアンテナ素子)と、複数の前記アンテナ5のうち、2つの前記アンテナ5間における強度差と前記受信波の到来方向とを対応付けた強度差テーブルTを、2つの前記アンテナ5の組み合わせごとに記憶する記憶部11と、複数の前記アンテナ5において受信した前記受信波に基づいて、2つの前記アンテナ5間における前記強度差を検出する検出器10と、前記記憶部11に記憶された前記強度差テーブルTから、前記検出器10で検出した前記強度差に対応する前記受信波の到来方向を、2つの前記アンテナ5の組み合わせに応じて複数抽出する抽出器12と、前記抽出器12から取得した、複数の前記強度差に対応する前記受信波の到来方向を比較して、一致する前記受信波の到来方向を、探知結果として取得する比較器13と、を備える。
【0048】
この構成によれば、レドーム6の内部空間における物理的な制約により、複数のアンテナ5を配置する場合であっても、強度差テーブルTを用いることで、アンビギュイティを除去し、受信波の三次元的な到来方向を好適に取得することができる。
【0049】
第2の態様として、前記強度差テーブルTは、前記受信波の周波数ごとまたは偏波ごとに記憶されており、前記検出器10は、前記受信波の前記周波数または前記偏波を検出し、前記抽出器12は、前記検出器10で検出した前記周波数または前記偏波に基づいて、前記周波数または前記偏波に対応する前記強度差テーブルTを取得し、取得した前記強度差テーブルTから、前記検出器10で検出した前記強度差に対応する前記受信波の到来方向を抽出する。
【0050】
この構成によれば、強度差テーブルTを周波数ごとまたは偏波ごとに取得することができるため、周波数、偏波に対応した適切な強度差を取得することができ、強度差に対応する精度のよい受信波の到来方向を抽出することができる。
【0051】
第3の態様として、前記強度差付与部は、前記複数のアンテナ5を収容するレドーム6を有し、前記レドーム6は、三次元空間において不均一な形状または不均一な構造となっている。
【0052】
この構成によれば、レドーム6の形状を三次元空間において不均一な形状または不均一な構造とすることで、受信波の到来方向によって異なる強度差を付与することができる。
【0053】
第4の態様として、前記強度差付与部は、前記複数のアンテナ5を収容するレドーム6に設けられると共に、電気特性を変化させる材料(誘電体31、良導体)を有する。
【0054】
この構成によれば、電気特性を変化させる材料をレドーム6に設けることで、受信波の到来方向によって異なる強度差を簡易に付与することができる。
【0055】
第5の態様として、前記強度差付与部は、前記アンテナ5の素子のゲインを、空間的に一様でないゲインとした前記アンテナ5である。
【0056】
この構成によれば、アンテナ5の素子のゲインを空間的に一様でないゲインとすることで、アンテナ5自体を強度差付与部として容易に機能させることができる。つまり、アンテナ5の素子のゲインを、素子ごとに異なったゲインとすることで、受信波の到来方向によって異なる強度差を簡易に付与することができる。
【0057】
第6の態様として、前記抽出器12は、前記検出器10で検出した前記強度差に調整幅を付与した強度差幅に対応する前記受信波の到来方向を抽出しており、前記比較器13は、組み合わせに応じて抽出された複数の前記強度差幅に対応する前記受信波の到来方向の候補が不一致である場合、前記調整幅を広くする一方で、一致する前記受信波の到来方向の候補が複数となる場合、前記調整幅を狭くする。
【0058】
この構成によれば、調整幅を調整することで、一致する受信波の到来方向を適切に見出すことができる。
【0059】
第7の態様として、前記受信波の到来方向は、方位角方向の角度であるAZ角度と、前記方位角方向に直交する俯仰角方向の角度であるEL角度と、により規定され、前記強度差テーブルTは、前記AZ角度及び前記EL角度に対応付けた複数のセルを有すると共に、複数の前記セルに前記強度差がそれぞれ設定されており、前記セル間の前記強度差が補間されている。
【0060】
この構成によれば、セル間の強度差を適切に補間することができるため、強度差を精度よく取得することができ、また、強度差に対応する受信波の到来方向を適切に取得することができる。
【0061】
第8の態様として、前記強度差テーブルTが前記受信波の周波数ごとまたは偏波ごとに用意される場合、前記強度差テーブルTは、前記周波数間の前記強度差または前記偏波間の前記強度差が補間されている。
【0062】
この構成によれば、周波数間の強度差、偏波間の強度差を、適切に補間することができるため、周波数間の強度差、偏波間の強度差を精度よく取得することができ、また、強度差に対応する受信波の到来方向を適切に取得することができる。
【0063】
第9の態様に係る強度差テーブルTの取得方法は、上記の方向探知装置1に用いられる強度差テーブルTを取得する強度差テーブルTの取得方法であって、複数のアンテナ5に対して、電波発生源(送信器22)から発生する前記受信波を、所定の到来方向となるように設定するステップと、前記電波発生源から前記受信波を発生させるステップと、複数の前記アンテナ5において前記受信波を受信するステップと、前記受信波を受信することによって得られた前記強度差に基づいて、2つの前記アンテナ5間における前記強度差と前記受信波の到来方向とを対応付けた強度差テーブルTを取得するステップと、を実行する。
【0064】
この構成によれば、強度差と受信波の到来方向とを適切に対応付けた強度差テーブルTを取得することができる。
【0065】
第10の態様に係る方向探知方法は、上記の方向探知装置1により、受信波の到来方向を探知する方向探知方法であって、複数のアンテナ5により、前記受信波を受信するステップS1と、前記検出器10において、複数の前記アンテナ5で受信した前記受信波に基づいて、2つの前記アンテナ5間における前記強度差を検出するステップS2と、前記抽出器12において、前記記憶部11に記憶された前記強度差テーブルTから、前記検出器10で検出した前記強度差に対応する前記受信波の到来方向を、2つの前記アンテナ5の組み合わせに応じて複数抽出するステップS3、S4と、前記比較器13において、取得した複数の前記強度差に対応する前記受信波の到来方向を比較して、一致する前記受信波の到来方向を、探知結果として取得するステップS5と、を実行する。
【0066】
この構成によれば、レドーム6の内部空間における物理的な制約により、複数のアンテナ5を配置する場合であっても、強度差テーブルTを用いることで、アンビギュイティを除去し、受信波の三次元的な到来方向を好適に取得することができる。
【0067】
第11の態様に係る方向探知プログラムは、上記の方向探知装置1により実行される、受信波の到来方向を探知する方向探知プログラムであって、複数のアンテナ5により、前記受信波を受信するステップS1と、前記検出器10において、複数の前記アンテナ5で受信した前記受信波に基づいて、2つの前記アンテナ5間における前記強度差を検出するステップS2と、前記抽出器に12おいて、前記記憶部11に記憶された前記強度差テーブルTから、前記検出器10で検出した前記強度差に対応する前記受信波の到来方向を、2つの前記アンテナ5の組み合わせに応じて複数抽出するステップS3、S4と、前記比較器13において、取得した複数の前記強度差に対応する前記受信波の到来方向を比較して、一致する前記受信波の到来方向を、探知結果として取得するステップS5と、を実行させる。
【0068】
この構成によれば、レドーム6の内部空間における物理的な制約により、複数のアンテナ5を配置する場合であっても、強度差テーブルTを用いることで、アンビギュイティを除去し、受信波の三次元的な到来方向を好適に取得することができる。
【符号の説明】
【0069】
1 方向探知装置
5 アンテナ
6 レドーム
10 検出器
11 記憶部
12 抽出器
13 比較器
21 取得装置
22 送信器
23 受信器
24 動作部
25 測定器
31a~31c、32、33 誘電体
T 強度差テーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14