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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165750
(43)【公開日】2022-11-01
(54)【発明の名称】半導体発光素子
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/38 20100101AFI20221025BHJP
   H01L 33/32 20100101ALI20221025BHJP
   H01L 21/3205 20060101ALI20221025BHJP
   H01L 21/28 20060101ALI20221025BHJP
   H01L 21/316 20060101ALN20221025BHJP
【FI】
H01L33/38
H01L33/32
H01L21/88 R
H01L21/28 301B
H01L21/316 X
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021071234
(22)【出願日】2021-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000226242
【氏名又は名称】日機装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】稲津 哲彦
【テーマコード(参考)】
4M104
5F033
5F058
5F241
【Fターム(参考)】
4M104AA04
4M104AA07
4M104BB04
4M104BB05
4M104BB13
4M104BB14
4M104CC01
4M104DD34
4M104DD37
4M104DD78
4M104FF06
4M104FF13
4M104HH05
4M104HH08
4M104HH20
5F033GG02
5F033GG04
5F033HH07
5F033HH08
5F033HH13
5F033HH17
5F033HH18
5F033HH21
5F033JJ01
5F033JJ07
5F033JJ08
5F033JJ13
5F033JJ17
5F033JJ18
5F033JJ21
5F033KK01
5F033KK07
5F033KK08
5F033KK13
5F033KK17
5F033KK18
5F033KK21
5F033MM08
5F033MM11
5F033PP15
5F033PP19
5F033QQ73
5F033RR03
5F033RR04
5F033SS11
5F033VV07
5F033WW02
5F033XX00
5F033XX13
5F033XX28
5F058BA07
5F058BB01
5F058BC02
5F058BC03
5F058BF02
5F058BJ02
5F241AA43
5F241CA05
5F241CA13
5F241CA34
5F241CA40
5F241CA57
5F241CA65
5F241CA66
5F241CA73
5F241CA74
5F241CA92
5F241CA93
5F241CB11
5F241CB15
(57)【要約】
【課題】深紫外光を出力する半導体発光素子の信頼性を向上させる。
【解決手段】半導体発光素子10は、n型半導体層16と接触するn側コンタクト電極22と、p型半導体層20と接触するp側コンタクト電極24と、n側コンタクト電極22の上面22aおよび側面22bと接触するn側第1電極26と、p側コンタクト電極24の上面24aおよび側面24bと接触するp側第1電極28と、n側第1電極26およびp側第1電極28を被覆する第1絶縁層30と、第1絶縁層30上に設けられ、n側第1電極26と接続するn側第2電極32と、第1絶縁層30上に設けられ、p側第1電極28と接続するp側第2電極34と、n側第2電極32およびp側第2電極34を被覆する第2絶縁層36と、第2絶縁層36上に設けられ、n側第2電極32と接続するn側パッド電極38と、第2絶縁層36上に設けられ、p側第2電極34と接触するp側パッド電極40とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
n型半導体層と、
前記n型半導体層上に設けられ、波長360nm以下の深紫外光を発する活性層と、
前記活性層上に設けられるp型半導体層と、
前記n型半導体層の上面と接触するn側コンタクト電極と、
前記p型半導体層の上面と接触するp側コンタクト電極と、
前記n側コンタクト電極の上面および側面と接触するn側第1電極と、
前記p側コンタクト電極の上面および側面と接触するp側第1電極と、
前記n側第1電極上に設けられるn側第1開口を有し、前記p側第1電極上に設けられるp側第1開口を有し、前記n側第1開口を除いて前記n側第1電極を被覆し、前記p側第1開口を除いて前記p側第1電極を被覆し、前記n型半導体層、前記活性層、前記p型半導体層、前記n側第1電極および前記p側第1電極と接触する第1絶縁層と、
前記第1絶縁層上に設けられ、前記n側第1開口において前記n側第1電極と接触するn側第2電極と、
前記第1絶縁層上に設けられ、前記p側第1開口において前記p側第1電極と接触するp側第2電極と、
前記n側第2電極上に設けられるn側第2開口を有し、前記p側第2電極上に設けられるp側第2開口を有し、前記n側第2開口を除いて前記n側第2電極を被覆し、前記p側第2開口を除いて前記p側第2電極を被覆し、前記第1絶縁層、前記n側第2電極および前記p側第2電極と接触する第2絶縁層と、
前記第2絶縁層上に設けられ、前記n側第2開口において前記n側第2電極と接触するn側パッド電極と、
前記第2絶縁層上に設けられ、前記p側第2開口において前記p側第2電極と接触するp側パッド電極と、を備える半導体発光素子。
【請求項2】
前記第1絶縁層および前記第2絶縁層のそれぞれは、単一の誘電体材料から構成され、
前記n側第1電極、前記p側第1電極、前記n側第2電極および前記p側第2電極のそれぞれは、異なる金属材料から構成される複数の金属層が積層された金属多層膜である、請求項1に記載の半導体発光素子。
【請求項3】
前記金属多層膜は、第1金属材料から構成される複数の第1金属層と、第2金属材料から構成され、前記複数の第1金属層と交互に積層される複数の第2金属層とを含み、
前記複数の第2金属層のうちの最上層は、前記複数の第1金属層よりも上に設けられ、
前記複数の第1金属層の厚さのばらつきは、10%未満であり、
前記最上層を除く前記複数の第2金属層の厚さのばらつきは、10%未満であり、
前記最上層の厚さは、前記最上層を除く前記複数の第2金属層の厚さよりも10%以上大きい、請求項2に記載の半導体発光素子。
【請求項4】
前記金属多層膜は、前記複数の第1金属層および前記複数の第2金属層よりも下に設けられ、前記第1金属材料および前記第2金属材料よりも前記深紫外光に対する反射率が高い第3金属材料から構成される第3金属層をさらに含む、請求項3に記載の半導体発光素子。
【請求項5】
前記金属多層膜は、前記複数の第1金属層および前記複数の第2金属層よりも上に設けられ、前記第1金属材料および前記第2金属材料よりも導電性の高い第4金属材料から構成される第4金属層をさらに含む、請求項3または4に記載の半導体発光素子。
【請求項6】
前記第1絶縁層の厚さは、前記n側第1電極および前記p側第1電極の厚さ以上であり、前記第2絶縁層の厚さは、前記n側第2電極および前記p側第2電極の厚さ以上である、請求項1から5のいずれか一項に記載の半導体発光素子。
【請求項7】
前記n側第2電極は、前記活性層の側面の上を被覆する、請求項1から6のいずれか一項に記載の半導体発光素子。
【請求項8】
前記p側第2電極は、前記活性層の側面の上を被覆する、請求項1から6のいずれか一項に記載の半導体発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体発光素子は、n型半導体層、活性層およびp型半導体層を有し、n型半導体層上にn側コンタクト電極が設けられ、p型半導体層上にp側コンタクト電極が設けられる。p側コンタクト電極を酸化インジウム系の透明電極とし、p型半導体層およびp側コンタクト電極を被覆する誘電体多層膜を設け、誘電体多層膜上にp側コンタクト電極と接続する第1p電極を設けることにより、光取り出し効率を高める構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-149480号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
波長360nm以下の深紫外光を出力する発光素子の場合、深紫外光が透明電極に吸収されてしまうため、透明電極および誘電体多層膜を用いた光取り出し効率の向上は期待しにくい。また、透明電極はシート抵抗が低く、電流を横方向に拡散させる機能が乏しいため、p型半導体層に注入される電流が局所的に集中しやすい。高出力を得るために注入電流量を増やすと、局所的に過度な電流が流れやすくなり、素子寿命の低下につながる。
【0005】
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、深紫外光を出力する半導体発光素子の信頼性を向上させる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様の半導体発光素子は、n型半導体層と、n型半導体層上に設けられ、波長360nm以下の深紫外光を発する活性層と、活性層上に設けられるp型半導体層と、n型半導体層の上面と接触するn側コンタクト電極と、p型半導体層の上面と接触するp側コンタクト電極と、n側コンタクト電極の上面および側面と接触するn側第1電極と、p側コンタクト電極の上面および側面と接触するp側第1電極と、n側第1電極上に設けられるn側第1開口を有し、p側第1電極上に設けられるp側第1開口を有し、n側第1開口を除いてn側第1電極を被覆し、p側第1開口を除いてp側第1電極を被覆し、n型半導体層、活性層、p型半導体層、n側第1電極およびp側第1電極と接触する第1絶縁層と、第1絶縁層上に設けられ、n側第1開口においてn側第1電極と接触するn側第2電極と、第1絶縁層上に設けられ、p側第1開口においてp側第1電極と接触するp側第2電極と、n側第2電極上に設けられるn側第2開口を有し、p側第2電極上に設けられるp側第2開口を有し、n側第2開口を除いてn側第2電極を被覆し、p側第2開口を除いてp側第2電極を被覆し、第1絶縁層、n側第2電極およびp側第2電極と接触する第2絶縁層と、第2絶縁層上に設けられ、n側第2開口においてn側第2電極と接触するn側パッド電極と、第2絶縁層上に設けられ、p側第2開口においてp側第2電極と接触するp側パッド電極と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、深紫外光を出力する半導体発光素子の信頼性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施の形態に係る半導体発光素子の構成を概略的に示す断面図である。
図2】金属多層膜の構成を示す断面図である。
図3】半導体発光素子の製造工程を概略的に示す図である。
図4】半導体発光素子の製造工程を概略的に示す図である。
図5】半導体発光素子の製造工程を概略的に示す図である。
図6】半導体発光素子の製造工程を概略的に示す図である。
図7】半導体発光素子の製造工程を概略的に示す図である。
図8】半導体発光素子の製造工程を概略的に示す図である。
図9】半導体発光素子の製造工程を概略的に示す図である。
図10】半導体発光素子の製造工程を概略的に示す図である。
図11】第2の実施の形態に係る半導体発光素子の構成を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、説明の理解を助けるため、各図面における各構成要素の寸法比は、必ずしも実際の発光素子の寸法比と一致しない。
【0010】
本実施の形態に係る半導体発光素子は、中心波長λが約360nm以下となる「深紫外光」を発するように構成され、いわゆるDUV-LED(Deep UltraViolet-Light Emitting Diode)チップである。このような波長の深紫外光を出力するため、バンドギャップが約3.4eV以上となる窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)系半導体材料が用いられる。本実施の形態では、特に、中心波長λが約240nm~320nmの深紫外光を発する場合について示す。
【0011】
本明細書において、「AlGaN系半導体材料」とは、少なくとも窒化アルミニウム(AlN)および窒化ガリウム(GaN)を含む半導体材料のことをいい、窒化インジウム(InN)などの他の材料を含有する半導体材料を含むものとする。したがって、本明細書にいう「AlGaN系半導体材料」は、例えば、In1-x-yAlGaN(0<x+y≦1、0<x<1、0<y<1)の組成で表すことができ、AlGaNまたはInAlGaNを含む。
【0012】
(第1の実施の形態)
図1は、実施の形態に係る半導体発光素子10の構成を概略的に示す断面図である。半導体発光素子10は、基板12と、ベース層14と、n型半導体層16と、活性層18と、p型半導体層20と、n側コンタクト電極22と、p側コンタクト電極24と、n側第1電極26と、p側第1電極28と、第1絶縁層30と、n側第2電極32と、p側第2電極34と、第2絶縁層36と、n側パッド電極38と、p側パッド電極40とを備える。
【0013】
図1において、矢印Aで示される方向を「上下方向」または「厚み方向」ということがある。また、基板12から見て、基板12から離れる方向を上側、基板12に向かう方向を下側ということがある。
【0014】
基板12は、第1主面12aと、第1主面12aとは反対側の第2主面12bとを有する。第1主面12aは、ベース層14からp型半導体層20までの各層を成長させるための結晶成長面である。基板12は、半導体発光素子10が発する深紫外光に対して透光性を有する材料から構成され、例えば、サファイア(Al)から構成される。第2主面12bは、活性層18が発する深紫外光を外部に取り出すための光取り出し面である。基板12は、AlNから構成されてもよいし、AlGaNから構成されてもよい。
【0015】
ベース層14は、基板12の第1主面12aの上に設けられる。ベース層14は、n型半導体層16を形成するための下地層(テンプレート層)である。ベース層14は、アンドープのAlGaN系半導体材料から構成され、例えば、アンドープのAlN層と、AlN層上に設けられるアンドープのAlGaN層とを含む。基板12がAlN基板またはAlGaN基板である場合、ベース層14は、アンドープのAlGaN層のみで構成されてもよい。
【0016】
n型半導体層16は、ベース層14の上に設けられる。n型半導体層16は、n型のAlGaN系半導体材料から構成され、n型の不純物として例えばSiがドープされる。n型半導体層16は、例えば、AlN組成が25%以上、40%以上または50%以上となるn型AlGaNから構成される。n型半導体層16は、例えば、AlN組成が80%以下または70%以下となるn型AlGaNから構成される。n型半導体層16は、例えば、1μm以上3μm以下の厚さを有する。
【0017】
活性層18は、n型半導体層16の上に設けられる。活性層18は、単層または多層の量子井戸構造を有し、アンドープのAlGaN系半導体材料から構成される井戸層と、アンドープのAlGaN系半導体材料から構成される障壁層とを含む。活性層18は、複数の井戸層と複数の障壁層が交互に積層された多重量子井戸構造を有してもよい。活性層18は、量子井戸構造上に設けられる電子ブロック層をさらに有してもよい。
【0018】
p型半導体層20は、活性層18の上に設けられる。p型半導体層20は、p型のAlGaN系半導体材料から構成され、p型の不純物としてマグネシウム(Mg)がドープされる。p型半導体層20は、50nm以上300nm以下の厚さを有する。p型半導体層20は、AlN組成が互いに異なる複数のp型AlGaN系半導体層を有してもよい。p型半導体層20は、例えば、AlN組成が40%以上となる第1p型半導体層と、第1p型半導体層上に設けられ、AlN組成が20%以下となる第2p型半導体層とを有してもよい。第2p型半導体層は、AlN組成が0%となるp型GaNから構成されるp型GaN層であってもよい。
【0019】
n側コンタクト電極22は、n型半導体層16の上面16aに設けられ、n型半導体層16の上面16aと接触する。n側コンタクト電極22は、n型半導体層16とオーミック接触する。n側コンタクト電極22は、例えば、n型半導体層16に接触するTi層と、Ti層上に設けられるAl層とを有する。n側コンタクト電極22は、Al層上に設けられるTi層、Ni層、Rh層、Au層などをさらに含んでもよく、例えば、Ti/Al/Ti/Auの積層構造を有してもよい。
【0020】
p側コンタクト電極24は、p型半導体層20の上面20aに設けられ、p型半導体層20の上面20aと接触する。p側コンタクト電極24は、p型半導体層20とオーミック接触する。p側コンタクト電極24は、例えば、p型半導体層20に接触するNi層と、Ni層上に設けられるAu層とを有する。p側コンタクト電極24は、p型半導体層20に接触するRh層またはCr層と、Rh層上またはCr層上に設けられるAl層とを有してもよい。p側コンタクト電極24は、Rh/AlまたはCr/Alの積層構造を有してもよい。p側コンタクト電極24は、Al層上に設けられるTi層、Ni層、Rh層、Au層などをさらに含んでもよく、Rh/Al/Ti/AuまたはCr/Al/Ti/Auの積層構造を有してもよい。
【0021】
n側第1電極26は、n側コンタクト電極22の上面22aおよび側面22bと接触し、n側コンタクト電極22を被覆する。n側第1電極26は、n型半導体層16の上面16aと接触する。n側第1電極26は、異なる金属材料から構成される複数の金属層が積層された金属多層膜である。n側第1電極26の厚さは、500nm以上1500nm以下であり、例えば、700nm以上1200nm以下である。
【0022】
p側第1電極28は、p側コンタクト電極24の上面24aおよび側面24bと接触し、p側コンタクト電極24を被覆する。p側第1電極28は、p型半導体層20の上面20aと接触する。p側第1電極28は、n側第1電極26と同様に構成される金属多層膜である。p側第1電極28の厚さは、n側第1電極26の厚さと同じであり、500nm以上1500nm以下であり、例えば、700nm以上1200nm以下である。
【0023】
第1絶縁層30は、n側第1電極26上に設けられるn側第1開口30nを有し、p側第1電極28上に設けられるp側第1開口30pを有し、n側第1開口30nを除いてn側第1電極26を被覆し、p側第1開口30pを除いてp側第1電極28を被覆する。n側第1開口30nは、n側第1電極26の上面積よりも小さな開口面積を有し、p側第1開口30pは、p側第1電極28の上面積よりも小さな開口面積を有する。第1絶縁層30は、n側第1電極26の上面および側面と接触し、p側第1電極28の上面および側面と接触する。第1絶縁層30は、n型半導体層16の上面16a、活性層18の側面18b、p型半導体層20の上面20aおよび側面20bと接触する。第1絶縁層30は、n型半導体層16の側面16bと接触してもよいし、ベース層14の側面14bと接触してもよいし、基板12の第1主面12aと接触してもよい。
【0024】
第1絶縁層30は、深紫外光に対して透明な誘電体材料から構成される。第1絶縁層30は、単一の誘電体材料から構成され、例えば、酸化シリコン(SiO)または酸化アルミニウム(Al)から構成される。第1絶縁層30の厚さは、n側第1電極26およびp側第1電極28の厚さ以上であることが好ましい。第1絶縁層30の厚さは、500nm以上2000nm以下であり、例えば、700nm以上1500nm以下である。
【0025】
n側第2電極32は、n側第1開口30nを塞ぐように第1絶縁層30上に設けられ、n側第1開口30nにおいてn側第1電極26と接触する。n側第2電極32は、n側第1電極26の形成範囲よりも広い範囲に設けられる。n側第2電極32は、活性層18の側面18bの上を被覆するように設けられ、活性層18と重なるように設けられる。n側第2電極32は、p側第1電極28と重なるように設けられてもよい。この場合、第1絶縁層30によってn側第2電極32とp側第1電極28の間が電気的に絶縁される。
【0026】
n側第2電極32は、異なる金属材料から構成される複数の金属層が積層された金属多層膜である。n側第2電極32の厚さは、500nm以上1500nm以下であり、例えば、700nm以上1200nm以下である。n側第2電極32の厚さは、n側第1電極26およびp側第1電極28の厚さと同じであってもよいし、n側第1電極26およびp側第1電極28の厚さより大きくてもよい。n側第2電極32の厚さは、第1絶縁層30の厚さと同じであってもよいし、第1絶縁層30の厚さより大きくてもよい。
【0027】
p側第2電極34は、p側第1開口30pを塞ぐように第1絶縁層30上に設けられ、p側第1開口30pにおいてp側第1電極28と接触する。p側第2電極34は、p側第1電極28の形成範囲よりも狭い範囲に設けられる。p側第2電極34は、n側第2電極32と同様に構成される金属多層膜である。p側第2電極34の厚さは、n側第2電極32の厚さと同じであり、500nm以上1500nm以下であり、例えば、700nm以上1200nm以下である。
【0028】
第2絶縁層36は、n側第2電極32上に設けられるn側第2開口36nを有し、p側第2電極34上に設けられるp側第2開口36pを有し、n側第2開口36nを除いてn側第2電極32を被覆し、p側第2開口36pを除いてp側第2電極34を被覆する。n側第2開口36nは、n側第2電極32の上面積よりも小さな開口面積を有し、p側第2開口36pは、p側第2電極34の上面積よりも小さな開口面積を有する。n側第2開口36nは、n側第1電極26と重なる位置に設けられる。p側第2開口36pは、活性層18と重なる位置に設けられる。第2絶縁層36は、第1絶縁層30、n側第2電極32およびp側第2電極34と接触する。第2絶縁層36は、基板12の第1主面12a、ベース層14の側面14bおよびn型半導体層16の側面16bにおいて、第1絶縁層30を被覆するように積層される。なお、第1絶縁層30が基板12の第1主面12aまたはn型半導体層16の側面16bを被覆しない場合、第2絶縁層36は、基板12の第1主面12aまたはn型半導体層16の側面16bと直接接触するように被覆してもよい。
【0029】
第2絶縁層36は、単一の誘電体材料から構成され、第1絶縁層30と同じ材料から構成され、例えば、酸化シリコン(SiO)または酸化アルミニウム(Al)から構成される。第2絶縁層36の厚さは、n側第2電極32およびp側第2電極34の厚さ以上であることが好ましい。第2絶縁層36の厚さは、500nm以上2000nm以下であり、例えば、800nm以上1500nm以下である。
【0030】
n側パッド電極38は、n側第2開口36nを塞ぐように第2絶縁層36上に設けられ、n側第2開口36nにおいてn側第2電極32と接触する。n側パッド電極38は、例えば、n側コンタクト電極22および活性層18と重なる位置に設けられる。n側パッド電極38は、異なる金属材料から構成される複数の金属層が積層された金属多層膜である。n側パッド電極38の厚さは、1μm以上10μm以下であり、例えば、2μm以上5μm以下である。n側パッド電極38の厚さは、第2絶縁層36の厚さよりも大きい。
【0031】
p側パッド電極40は、p側第2開口36pを塞ぐように第2絶縁層36上に設けられ、p側第2開口36pにおいてp側第2電極34と接触する。p側パッド電極40は、例えば、n側コンタクト電極22および活性層18と重なる位置に設けられる。p側パッド電極40は、n側パッド電極38と同様に構成される金属多層膜である。p側パッド電極40の厚さは、n側パッド電極38nの厚さと同じであり、1μm以上10μm以下であり、例えば、2μm以上5μm以下である。
【0032】
図2は、金属多層膜50の構成を示す断面図である。金属多層膜50は、n側第1電極26、p側第1電極28、n側第2電極32およびp側第2電極34のそれぞれに用いることができる。金属多層膜50は、複数の第1金属層52と、複数の第2金属層54a,54bと、第3金属層56と、第4金属層58とを含む。
【0033】
複数の第1金属層52は、第1金属材料から構成され、例えばTiから構成されるTi層またはCrから構成されるCr層である。複数の第2金属層54a,54bは、第1金属材料とは異なる第2金属材料から構成され、例えばRhから構成されるRh層、Taから構成されるTa層またはNiから構成されるNi層である。第2金属材料の導電性は、第1金属材料の導電性よりも高い。複数の第2金属層54a,54bは、複数の第1金属層52と交互に積層される。図2の例では、四つの第1金属層52と四つの第2金属層54a,54bが交互に積層される。なお、第1金属層52および第2金属層54a,54bのそれぞれの数は、3以下でもよいし、5以上でもよい。
【0034】
複数の第1金属層52のそれぞれの厚さt1は、実質的に同じであり、厚さのばらつきが10%未満となるように構成される。複数の第1金属層52のそれぞれの厚さt1は、50nm以上200nm以下であり、例えば、80nm以上150nm以下である。
【0035】
複数の第2金属層54a,54bのそれぞれの厚さt2a,t2bは、最上層の第2金属層54bを除いて実質的に同じである。つまり、最上層を除く複数の第2金属層54aの厚さt2aは、実質的に同じであり、厚さのばらつきが10%未満となるように構成される。最上層を除く複数の第2金属層54aの厚さt2aは、第1金属層52の厚さt1よりも小さく、40nm以上150nm以下であり、例えば、60nm以上120nm以下である。
【0036】
最上層の第2金属層54bは、複数の第1金属層52の上に設けられる。つまり、最上層の第2金属層54bの上には第1金属層52が存在しない。最上層の第2金属層54bの厚さt2bは、最上層を除く複数の第2金属層54aの厚さt2aよりも大きく、50nm以上300nm以下であり、例えば、80nm以上200nm以下である。最上層の第2金属層54bの厚さt2bは、第1金属層52の厚さt1と同じでもよいし、第1金属層52の厚さt1より小さくてもよいし、第1金属層52の厚さt1より大きくてもよい。
【0037】
第3金属層56は、複数の第1金属層52および複数の第2金属層54a,54bの交互積層構造よりも下に設けられる。第3金属層56は、金属多層膜50の最下層であってもよく、金属多層膜50の下側に設けられる下部層60と接触する層であってもよい。第3金属層56は、第1金属材料および第2金属材料よりも深紫外光に対する反射率が高い第3金属材料から構成され、例えば、Alから構成されるAl層である。第3金属層56の厚さは、50nm以上200nm以下であり、例えば、80nm以上150nm以下である。
【0038】
第4金属層58は、複数の第1金属層52および複数の第2金属層54a,54bの交互積層構造よりも上に設けられる。第4金属層58は、金属多層膜50の最上層であってもよく、金属多層膜50の上側に設けられる上部層62と接触する層であってもよい。第4金属層58は、第1金属材料および第2金属材料よりも導電性の高い第4金属材料から構成され、例えば、Auから構成されるAu層である。第4金属層58の厚さは、100nm以上500nm以下であり、例えば、150nm以上300nm以下である。
【0039】
金属多層膜50は、第1金属層52、第2金属層54a,54b、第3金属層56および第4金属層58の全てを含まなくてもよく、これらのうち一部の金属層のみを含んでもよい。例えば、金属多層膜50は、第4金属層58を含まない構成であってもよい。金属多層膜50は、第1金属層52、第2金属層54a,54b、第3金属層56および第4金属層58とは異なる追加の金属層をさらに含んでもよい。例えば、金属多層膜50は、第4金属層58と上部層62の間の密着性を高めるための接着層をさらに含んでもよく、当該接着層として例えばTi層が用いられてもよい。
【0040】
金属多層膜50によれば、複数の第1金属層52および複数の第2金属層54a,54bを交互に積層することにより、金属多層膜50の厚みを増やすことができ、単一の金属材料を厚く形成する場合に比べて剥離しにくい構造を実現できる。金属多層膜50の厚みを増やすことにより、n側コンタクト電極22およびp側コンタクト電極24に向かう高電流を分散させることができ、局所的な電流集中を抑制できる。また、複数の第1金属層52の厚さt1を実質的に同じにし、最上層を除く複数の第2金属層54aの厚さt2aを実質的に同じにすることにより、各層の剥離を抑制できる。
【0041】
最上層の第2金属層54bの厚さt2bを大きくすることにより、金属多層膜50の品質を向上できる。金属多層膜50は、金属多層膜50の形成後に上部層62(例えば第1絶縁層30または第2絶縁層36)を形成する際に加熱されうる。金属多層膜50が第4金属層58を含む場合、最上層の第2金属層54bと第4金属層58の界面にて金属材料同士が混ざり合い、最上層の第2金属層54bに第4金属材料(例えばAu)が混入することが考えられる。この場合、最上層の第2金属層54bの厚さt2bを相対的に大きくすることにより、第1金属層52、第2金属層54aおよび第3金属層56への第4金属材料の拡散を抑制できる。金属多層膜50が第4金属層58を含まない場合、最上層の第2金属層54bに第1金属材料が混入することにより、最上層の第2金属層54bの上面の状態が変化し、上部層62との密着性が低下する影響を抑制できる。
【0042】
深紫外光に対する反射率が高い第3金属材料から構成される第3金属層56を設けることにより、金属多層膜50を反射電極として用いることができる。金属多層膜50をn側第1電極26またはp側第1電極28に用いる場合、n型半導体層16またはp型半導体層20が下部層60となる。下部層60から第3金属層56に入射する深紫外光を高反射率で反射させることにより、金属多層膜50にて深紫外光が吸収されて損失となる割合を低減し、光取り出し効率を高めることができる。また、金属多層膜50をn側第2電極32またはp側第2電極34に用いる場合、第1絶縁層30が下部層60となる。第1絶縁層30は深紫外光に対して透明な誘電体材料から構成されるため、第1絶縁層30を透過してn側第2電極32またはp側第2電極34に入射する深紫外光を高反射率で反射させることにより、光取り出し効率を高めることができる。
【0043】
n側第1電極26がn側コンタクト電極22の上面22aおよび側面22bを被覆することにより、n側コンタクト電極22の全体に均一に電流を流すことができ、n側コンタクト電極22にて局所的に電流が集中することを抑制できる。同様に、p側第1電極28がp側コンタクト電極24の上面24aおよび側面24bを被覆することにより、p側コンタクト電極24の全体に均一に電流を流すことができ、p側コンタクト電極24にて局所的に電流が集中することを抑制できる。また、n側第1電極26およびp側第1電極28として金属多層膜50を用いることにより電流を分散させる効果をより高めることができる。その結果、電流集中による素子寿命の低下を抑制し、半導体発光素子10の信頼性を向上できる。
【0044】
半導体発光素子10によれば、n側第1電極26がn側コンタクト電極22の上面22aおよび側面22bを被覆することにより、n側第1電極26がn側コンタクト電極22の上面22aのみに設けられる場合に比べて、第1絶縁層30の被覆性を向上できる。第1絶縁層30がn側第1電極26のみに接触することにより、第1絶縁層30がn側コンタクト電極22およびn側第1電極26の双方に接触する場合に比べて、第1絶縁層30の被覆性を向上できる。同様に、p側第1電極28がp側コンタクト電極24の上面24aおよび側面24bを被覆することにより、p側第1電極28がp側コンタクト電極24の上面24aのみに設けられる場合に比べて、第1絶縁層30の被覆性を向上できる。
【0045】
第1絶縁層30と第2絶縁層36の間にn側第2電極32およびp側第2電極34を設けることにより、n側第2電極32およびp側第2電極34を設けることができない場合に比べて電流を分散させる効果をより高めることができる。また、n側第2電極32およびp側第2電極34として金属多層膜50を用いることにより電流を分散させる効果をより高めることができる。
【0046】
n側第2電極32が活性層18の側面18bの上を被覆することにより、活性層18の側面18bから出射して第1絶縁層30を透過する深紫外光をn側第2電極32によって反射させることができ、半導体発光素子10の光取り出し効率を高めることができる。さらに、n側第2電極32の形成範囲をより大きくすることができ、n側コンタクト電極22に注入される電流を分散させる効果をより高めることができる。その結果、電流集中による素子寿命の低下を抑制し、半導体発光素子10の信頼性を向上できる。
【0047】
第1絶縁層30の上にn側第2電極32およびp側第2電極34を設け、n側第2電極32およびp側第2電極34の上に第2絶縁層36を設けることにより、半導体発光素子10の封止性を高めることができる。言い換えれば、第1絶縁層30および第2絶縁層36を組み合わせた誘電体材料による二重構造によって封止性を高めることができ、第1絶縁層30および第2絶縁層36の間に金属層を挟むことにより封止性をより高めることができる。これにより、半導体発光素子10の耐湿性を高めることができ、半導体発光素子10の信頼性を向上できる。
【0048】
つづいて、半導体発光素子10の製造方法について説明する。図3図10は、半導体発光素子10の製造工程を概略的に示す。まず、図3において、基板12の第1主面12aの上にベース層14、n型半導体層16、活性層18およびp型半導体層20を順に形成する。ベース層14、n型半導体層16、活性層18およびp型半導体層20は、有機金属化学気相成長(MOVPE;Metal Organic Vapor Phase Epitaxy)法や、分子線エピタキシ(MBE;Molecular Beam Epitaxy)法などの周知のエピタキシャル成長法を用いて形成できる。
【0049】
つづいて、図3に示すように、例えば公知のリソグラフィ技術を用いて、p型半導体層20の上にマスク71を形成する。マスク71の形成後、マスク71と重ならない領域にあるp型半導体層20および活性層18をドライエッチングなどにより除去し、マスク71と重ならない領域にあるn型半導体層16の上面16aを露出させる。このエッチング工程により、p型半導体層20の側面20bおよび活性層18の側面18bが形成される。その後、マスク71が除去される。
【0050】
次に、図4に示すように、n型半導体層16の上面16aにn側コンタクト電極22を形成し、n側コンタクト電極22の形成後にアニール処理を実行する。また、p型半導体層20の上面20aにp側コンタクト電極24を形成し、p側コンタクト電極24の形成後にアニール処理を実行する。n側コンタクト電極22およびp側コンタクト電極24は、スパッタリング法やEB蒸着法などを用いて形成できる。n側コンタクト電極22およびp側コンタクト電極24の形成順序は問わず、n側コンタクト電極22の形成後にp側コンタクト電極24を形成してもよいし、p側コンタクト電極24の形成後にn側コンタクト電極22を形成してもよい。
【0051】
つづいて、図4に示すように、n側コンタクト電極22の上面22aおよび側面22bを被覆するようにn側第1電極26を形成し、p側コンタクト電極24の上面24aおよび側面24bを被覆するようにp側第1電極28を形成する。n側第1電極26およびp側第1電極28は、同時に形成されてもよいし、別々に形成されてもよい。n側第1電極26およびp側第1電極28は、スパッタリング法やEB蒸着法などを用いて形成できる。
【0052】
次に、図5に示すように、例えば公知のリソグラフィ技術を用いて、n型半導体層16の上面16aにマスク72を形成する。マスク72は、活性層18、p型半導体層20、n側第1電極26およびp側第1電極28を被覆するように形成される。マスク72の形成後、マスク72と重ならない領域にあるn型半導体層16およびベース層14をドライエッチングなどにより除去し、マスク72と重ならない領域にある基板12の第1主面12aを露出させる。このエッチング工程により、n型半導体層16の側面16bおよびベース層14の側面14bが形成される。その後、マスク72が除去される。
【0053】
次に、図6に示すように、素子上部の全体を被覆するように第1絶縁層30を形成する。第1絶縁層30は、基板12の第1主面12a、ベース層14の側面14b、n型半導体層16の上面16aおよび側面16b、n側第1電極26の上面および側面、ならびに、p側第1電極28の上面および側面と接触して被覆するように設けられる。第1絶縁層30は、化学気相成長(CVD)法などの周知の技術を用いて形成できる。
【0054】
次に、図7に示すように、第1絶縁層30をドライエッチングなどにより部分的に除去し、n側第1開口30nおよびp側第1開口30pを形成する。n側第1開口30nおよびp側第1開口30pは、第1絶縁層30を貫通するように設けられ、n側第1開口30nにおいてn側第1電極26の上面が露出し、p側第1開口30pにおいてp側第1電極28の上面が露出する。
【0055】
つづいて、図7に示すように、n側第1開口30nを塞ぐように第1絶縁層30上にn側第2電極32を形成し、p側第1開口30pを塞ぐように第1絶縁層30上にp側第2電極34を形成する。n側第2電極32およびp側第2電極34は、同時に形成されてもよいし、別々に形成されてもよい。n側第2電極32およびp側第2電極34は、スパッタリング法やEB蒸着法などを用いて形成できる。
【0056】
次に、図8に示すように、素子上部の全体を被覆するように第2絶縁層36を形成する。第2絶縁層36は、第1絶縁層30、n側第2電極32およびp側第2電極34と接触して被覆するように設けられる。第2絶縁層36は、化学気相成長(CVD)法などの周知の技術を用いて形成できる。
【0057】
次に、図9に示すように、第2絶縁層36をドライエッチングなどにより部分的に除去し、n側第2開口36nおよびp側第2開口36pを形成する。n側第2開口36nおよびp側第2開口36pは、第2絶縁層36を貫通するように設けられ、n側第2開口36nにおいてn側第2電極32の上面が露出し、p側第2開口36pにおいてp側第2電極34の上面が露出する。
【0058】
つづいて、図9に示すように、n側第2開口36nを塞ぐように第2絶縁層36上にn側パッド電極38を形成し、p側第2開口36pを塞ぐように第2絶縁層36上にp側パッド電極40を形成する。n側パッド電極38およびp側パッド電極40は、同時に形成されてもよいし、別々に形成されてもよい。n側パッド電極38およびp側パッド電極40は、スパッタリング法やEB蒸着法などを用いて形成できる。
【0059】
次に、図10に示すように、例えば公知のリソグラフィ技術を用いて、第2絶縁層36、n側パッド電極38およびp側パッド電極40の上にマスク73を形成する。マスク73は、n型半導体層16の形成範囲よりも広い範囲にわたって形成され、n型半導体層16の側面16bよりも外側に位置する外周部74のみを除いて形成される。マスク73の形成後、マスク73と重ならない領域、つまり、外周部74にある第2絶縁層36および第1絶縁層30をドライエッチングなどにより除去し、外周部74にある基板12の第1主面12aを露出させる。その後、マスク73を除去し、第1絶縁層30および第2絶縁層36が除去された外周部74において基板12を切断して個片化することにより、半導体発光素子10ができあがる。
【0060】
(第2の実施の形態)
図11は、第2の実施の形態に係る半導体発光素子110の構成を概略的に示す断面図である。半導体発光素子110は、n側第2電極132およびp側第2電極134の形成範囲が第1の実施の形態と相違する点を除いて、第1の実施の形態に係る半導体発光素子10と同様に構成される。以下、第1の実施の形態との相違点を中心に説明し、共通点については説明を適宜省略する。
【0061】
半導体発光素子110は、基板12と、ベース層14と、n型半導体層16と、活性層18と、p型半導体層20と、n側コンタクト電極22と、p側コンタクト電極24と、n側第1電極26と、p側第1電極28と、第1絶縁層30と、n側第2電極132と、p側第2電極134と、第2絶縁層36と、n側パッド電極38と、p側パッド電極40とを備える。
【0062】
n側第2電極132は、第1の実施の形態と同様、n側第1開口30nを塞ぐように第1絶縁層30上に設けられ、n側第1開口30nにおいてn側第1電極26と接触する。n側第2電極132は、n側第1電極26の形成範囲よりも広い範囲に設けられる。n側第2電極132は、活性層18の側面18bの上を被覆せず、活性層18と重ならないように設けられる。
【0063】
p側第2電極134は、第1の実施の形態と同様、p側第1開口30pを塞ぐように第1絶縁層30上に設けられ、p側第1開口30pにおいてp側第1電極28と接触する。p側第2電極134は、p側第1電極28の形成範囲よりも広い範囲に設けられる。p側第2電極134は、活性層18の側面18bの上を被覆するように設けられる。
【0064】
n側第2電極132およびp側第2電極134は、図2の金属多層膜50で構成される。n側第2電極132およびp側第2電極134の厚さは、500nm以上1500nm以下であり、例えば、700nm以上1200nm以下である。n側第2電極132およびp側第2電極134の厚さは、第1絶縁層30の厚さと同じであってもよいし、第1絶縁層30の厚さより大きくてもよい。
【0065】
本実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の作用効果を実現できる。また、p側第2電極134が活性層18の側面18bの上を被覆することにより、活性層18の側面18bから出射して第1絶縁層30を透過する深紫外光をp側第2電極134よって反射させることができ、半導体発光素子10の光取り出し効率を高めることができる。さらに、p側第2電極134の形成範囲をより大きくすることができ、p側コンタクト電極24に注入される電流を分散させる効果をより高めることができる。その結果、電流集中による素子寿命の低下を抑制し、半導体発光素子110の信頼性を向上できる。
【0066】
以上、本発明を実施の形態にもとづいて説明した。本発明は上述の実施の形態に限定されず、種々の設計変更が可能であり、様々な変形例が可能であること、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは、当業者に理解されるところである。
【0067】
以下、本発明のいくつかの態様について説明する。
【0068】
本発明の第1の態様は、n型半導体層と、前記n型半導体層上に設けられ、波長360nm以下の深紫外光を発する活性層と、前記活性層上に設けられるp型半導体層と、前記n型半導体層の上面と接触するn側コンタクト電極と、前記p型半導体層の上面と接触するp側コンタクト電極と、前記n側コンタクト電極の上面および側面と接触するn側第1電極と、前記p側コンタクト電極の上面および側面と接触するp側第1電極と、前記n側第1電極上に設けられるn側第1開口を有し、前記p側第1電極上に設けられるp側第1開口を有し、前記n側第1開口を除いて前記n側第1電極を被覆し、前記p側第1開口を除いて前記p側第1電極を被覆し、前記n型半導体層、前記活性層、前記p型半導体層、前記n側第1電極および前記p側第1電極と接触する第1絶縁層と、前記第1絶縁層上に設けられ、前記n側第1開口において前記n側第1電極と接触するn側第2電極と、前記第1絶縁層上に設けられ、前記p側第1開口において前記p側第1電極と接触するp側第2電極と、前記n側第2電極上に設けられるn側第2開口を有し、前記p側第2電極上に設けられるp側第2開口を有し、前記n側第2開口を除いて前記n側第2電極を被覆し、前記p側第2開口を除いて前記p側第2電極を被覆し、前記第1絶縁層、前記n側第2電極および前記p側第2電極と接触する第2絶縁層と、前記第2絶縁層上に設けられ、前記n側第2開口において前記n側第2電極と接触するn側パッド電極と、前記第2絶縁層上に設けられ、前記p側第2開口において前記p側第2電極と接触するp側パッド電極と、を備える半導体発光素子である。第1の態様によれば、n側コンタクト電極の上面および側面と接触するn側第1電極を設けることにより、n側コンタクト電極の全体に均一に電流を流すことができ、第1絶縁層による被覆性を高めることができる。同様に、p側コンタクト電極の上面および側面と接触するp側第1電極を設けることにより、p側コンタクト電極の全体に均一に電流を流すことができ、第1絶縁層による被覆性を高めることができる。
【0069】
本発明の第2の態様は、前記第1絶縁層および前記第2絶縁層のそれぞれは、単一の誘電体材料から構成され、前記n側第1電極、前記p側第1電極、前記n側第2電極および前記p側第2電極のそれぞれは、異なる金属材料から構成される複数の金属層が積層された金属多層膜である、第1の態様に記載の半導体発光素子である。n側第1電極、p側第1電極、n側第2電極およびp側第2電極を金属多層膜で構成することにより、これらの電極の厚さを大きくして電流を分散させる機能を高めることができる。また、金属多層膜とすることにより、単一の金属材料を厚く設ける場合に比べて電極の剥離を抑制できる。一方、第1絶縁層および第2絶縁層を単一の誘電体材料から構成することにより、製造工程を簡略化できる。
【0070】
本発明の第3の態様は、前記金属多層膜は、第1金属材料から構成される複数の第1金属層と、第2金属材料から構成され、前記複数の第1金属層と交互に積層される複数の第2金属層とを含み、前記複数の第2金属層のうちの最上層は、前記複数の第1金属層よりも上に設けられ、前記複数の第1金属層の厚さのばらつきは、10%未満であり、前記最上層を除く前記複数の第2金属層の厚さのばらつきは、10%未満であり、前記最上層の厚さは、前記最上層を除く前記複数の第2金属層の厚さよりも10%以上大きい、第2の態様に記載の半導体発光素子である。第3の態様によれば、複数の第1金属層の厚さを実質的に同じにし、最上層を除く複数の第2金属層の厚さを実質的に同じにすることにより、各層の剥離を抑制できる。また、最上層の第2金属層の厚さを大きくすることにより、最上層の第2金属層の上面近傍に第1金属材料が混ざることを防止でき、金属多層膜の品質を向上できる。
【0071】
本発明の第4の態様は、前記金属多層膜は、前記複数の第1金属層および前記複数の第2金属層よりも下に設けられ、前記第1金属材料および前記第2金属材料よりも前記深紫外光に対する反射率が高い第3金属材料から構成される第3金属層をさらに含む、第3の態様に記載の半導体発光素子である。第4の態様によれば、金属多層膜の下部に深紫外光の反射率が高い第3金属層を設けることにより、金属多層膜を反射電極とすることができ、半導体発光素子の光取り出し効率を高めることができる。
【0072】
本発明の第5の態様は、前記金属多層膜は、前記複数の第1金属層および前記複数の第2金属層よりも上に設けられ、前記第1金属材料および前記第2金属材料よりも導電性の高い第4金属材料から構成される第4金属層をさらに含む、第3または第4の態様に記載の半導体発光素子である。第5の態様によれば、金属多層膜の上部に導電性の高い第4金属層を設けることにより、金属多層膜の上部で電流を横方向に拡散させることができ、金属多層膜にて電流を分散させる効果を高めることができる。
【0073】
本発明の第6の態様は、前記第1絶縁層の厚さは、前記n側第1電極および前記p側第1電極の厚さ以上であり、前記第2絶縁層の厚さは、前記n側第2電極および前記p側第2電極の厚さ以上である、第1から第5のいずれか一つの態様に記載の半導体発光素子である。第6の態様によれば、絶縁層によって被覆される電極の厚さ以上の厚さを有するように絶縁層を設けることにより、絶縁層による被覆性を高めることができ、半導体発光素子の耐湿性向上およびリーク低減を実現できる。
【0074】
本発明の第7の態様は、前記n側第2電極は、前記活性層の側面の上を被覆する、第1から第6のいずれか一つの態様に記載の半導体発光素子である。n側第2電極が活性層の側面の上を被覆するように設けることにより、活性層の側面から出射する深紫外光をn側第2電極にて反射させることができ、光取り出し効率を高めることができる。また、n側第2電極が活性層の側面の上を被覆するように設けることにより、n側第2電極の形成範囲を広くすることができ、n側第2電極にて電流を分散させる効果を高めることができる。
【0075】
本発明の第8の態様は、前記p側第2電極は、前記活性層の側面の上を被覆する、第1から第6のいずれか一つの態様に記載の半導体発光素子である。p側第2電極が活性層の側面の上を被覆するように設けることにより、活性層の側面から出射する深紫外光をp側第2電極にて反射させることができ、光取り出し効率を高めることができる。また、p側第2電極が活性層の側面の上を被覆するように設けることにより、p側第2電極の形成範囲を広くすることができ、p側第2電極にて電流を分散させる効果を高めることができる。
【符号の説明】
【0076】
10…半導体発光素子、16…n型半導体層、16a…上面、18…活性層、18b…側面、20…p型半導体層、22…n側コンタクト電極、22a…上面、22b…側面、24…p側コンタクト電極、24a…上面、24b…側面、26…n側第1電極、28…p側第1電極、30…第1絶縁層、30n…n側第1開口、30p…p側第1開口、32,132…n側第2電極、34,134…p側第2電極、36…第2絶縁層、36n…n側第2開口、36p…p側第2開口、38…n側パッド電極、40…p側パッド電極、50…金属多層膜、52…第1金属層、54a,54b…第2金属層、56…第3金属層、58…第4金属層。
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