(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165785
(43)【公開日】2022-11-01
(54)【発明の名称】戸
(51)【国際特許分類】
E06B 5/00 20060101AFI20221025BHJP
F24D 17/00 20220101ALI20221025BHJP
F24D 19/00 20060101ALI20221025BHJP
F24D 19/02 20060101ALI20221025BHJP
F24D 3/12 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
E06B5/00 Z
F24D17/00 N
F24D19/00 C
F24D19/02 Z
F24D3/12 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021071286
(22)【出願日】2021-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504180239
【氏名又は名称】国立大学法人信州大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大浦 豊
(72)【発明者】
【氏名】朝岡 幸康
(72)【発明者】
【氏名】李 時桓
【テーマコード(参考)】
2E239
3L070
3L073
【Fターム(参考)】
2E239AC00
3L070AA01
3L070BD03
3L073AA08
3L073AA13
3L073AB01
3L073BB06
3L073BB07
3L073BC06
(57)【要約】
【課題】 室内を暖房する戸を提供する。
【解決手段】本発明にかかる開き戸(戸)1Aは、框3の内周に複層パネル5が配置されており、框3内に設けた給水パイプ7及び排水パイプ9と、複層パネル5とを接続して複層パネル5内を温水が循環する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
框の内周に複層パネルが配置されており、框内に設けた給水パイプ及び排水パイプと、複層パネルとを接続して複層パネル内を温水が循環することを特徴とする戸。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、戸に関する。
【背景技術】
【0002】
室内を暖房することが求められた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】第31頁「三協アルミ 住宅建材/エントランス 総合カタログ 出入口」カタログNo.STJ1342B 三協立山株式会社 三協アルミ社 2017年 5月発行
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は、室内を暖房する戸の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、框の内周に複層パネルが配置されており、框内に設けた給水パイプ及び排水パイプと、複層パネルとを接続して複層パネル内を温水が循環することを特徴とする戸である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1に記載の発明によれば、框の内周に設けた複層パネル内を温水が循環することで、戸の両面を温めることができ、戸に暖房機能を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態に係る戸(引き戸)の正面図であり、(a)は戸が閉じ位置にあり、(b)は戸が開き位置にある図である。
【
図4】フレキシブル管の図であり、(a)は斜視図、(b)は上框に収納した状態の側面図である。
【
図5】複層パネルと給水パイプとの接続部分を示す縦断面図である。
【
図6】(a)は
図5に示すC-C断面図であり、(b)は
図5に示すD-D断面図である。
【
図7】第2実施形態に係る戸(引き戸)の正面図であり、(a)は戸が閉じ位置にあり、(b)は戸が開き位置にある図である。
【
図10】第3実施形態に係る戸(引き戸)であり、閉じ位置にあるときの正面図である。
【
図12】第4実施形態に係る戸(開き戸)であり、閉じ位置にあるときの給水用フレキシブル管保持具及び排水用フレキシブル管保持具を各パイプと共に抜き出して示す正面図である。
【
図15】
図12に示すフレキシブル管と、給水用フレキシブル管保持具の斜視図である。
【
図16】給水用フレキシブル管保持具を構成する框側ケースと枠側ケースの図であり、(a)は框側ケースの左側面図、(b)は枠側ケースの右側面図、(c)は開き戸が閉じ位置にあるときの框側ケースと枠側ケースの正面図、(d)は開き戸が閉じ位置にあるときの框側ケースと枠側ケースの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明するが、まず
図1~
図6を参照して本発明の第1実施形態について説明する。
図1に示すように、第1実施形態に係る引き戸(戸)1Aは、浴室に設けた片引き戸である。
引き戸1Aは、框3と、框3の内周側に配置された複層パネル5と、框3内に設けた給水パイプ7及び排水パイプ9とを備え、給水パイプ7及び排水パイプ9は室外に設けた恒温水循環器11に接続されている。
引き戸1Aは、枠13内を閉じ位置(
図1(a))と開き位置(
図1(b))との間をスライド自在である。
【0009】
図2及び
図3に示すように、框3は、上框3aと、下框3bと、戸先框3cと、戸尻框3dとで複層パネル5の周囲を囲んでおり、上框3aに、複層パネル5と給水パイプ7を接続する給水接続部7a(
図1(a)参照)と、排水パイプ9を接続する排水接続部9a(
図1(a)参照)とが設けられている。
また、
図3に示すように、上框3aの室内側には、パイプ収納部8が上框3aの長手方向に沿って設けてあり、このパイプ収納部8には給水パイプ7と排水パイプ9とがフレキシブル管21と共に収納されている。
枠13は、上枠13aと、下枠13bと、戸先枠13cと、戸尻枠13dとを備えており、上枠13aの室内側には戸先枠13cと戸尻枠13dとの間に、パイプ収納部8から出ているフレキシブル管21を室内側から隠す目隠し14が設けてある。
目隠し14は、上枠13aに一体に形成されている。
【0010】
複層パネル5の四周には、一方及び他方のパネル5a、5b間にスペーサ15が設けてあり、パネル5a、5b間の空間Sが保持されている。また、複層パネル5の四周はスペーサ15の外周側にシーリング材18が設けてあり、複層パネル5内の空間Sはシーリング材18により水密に保持されている。また、複層パネルの四周にグレイジングチャンネル17が設けられており、框3に嵌め込まれている。
尚、一方及び他方のパネル5a、5bはガラス材であるが、樹脂材製であっても良い。
【0011】
給水パイプ7及び排水パイプ9は、それぞれ可撓性を有し、例えばビニール製のパイプである。
また、第1実施形態では、給水パイプ7及び排水パイプ9は、
図1及び
図3に示すように、フレキシブル管21内に配置されている。
図4に示すように、フレキシブル管21は、内部に空洞を有する複数の駒22の一側部22aを互いに連結してあり、引き戸1Aの直線移動に伴って折曲位置が順次ずれながら曲がるものである。このフレキシブル管21は一端部21aをパイプ収納部8の底面8aに固定してあり、他端部21bは戸尻枠13dに固定してある。
【0012】
ここで、
図5及び
図6を参照して、給水接続部7aと排水接続部9aの構成について説明するが、給水接続部7aと排水接続部9aは同じ構成であるから給水接続部7aについて説明し、排水接続部9aの構成は省略する。
図5に示すように、給水接続部7aには、スペーサ15とシーリング材18を貫通する接続部品25とホースニップル27が設けてある。接続部品25はスペーサ15側の口径H1が形成されたニップル当接部25aと、シーリング材18側の口径H2を有するニップル挿入部25bとを有し、ニップル当接部25aの口径H1はホースニップル27の先端が当接する口径としてある。ニップル挿入部25bの口径H2は、ホースニップル27を挿通する口径としてある。
ニップル挿入部25bの内周側には、ホースニップル27の挿入を案内するニップル案内部25cが突設されている。ニップル案内部25cの口径H3は、ホースニップル27の外径と略同じ径としている。
ホースニップル27の他端側は、
図3に示すように、給水パイプ7に接続されている。
【0013】
次に、第1実施形態に係る引き戸1Aの動きと作用について説明する。
図1(a)に示すように、引き戸1Aが閉じ位置にあるときに、暖房するときは、室外にある恒温水循環器11から温水を給水パイプ7に供給する。
給水パイプ7は、上框3aに取付けたパイプ収納部8を通って、給水接続部7aを介して複層パネル5の上部に接続されているので、給水パイプ7の温水は複層パネル5の上部から複層パネル5内に供給される。
複層パネル5に、その上部から供給された温水は、複層パネル5内を循環して、複層パネル5を温める。
【0014】
複層パネル5を循環した後の温水は、複層パネル5の上部にある排水接続部9aから排水パイプ9に導出される。排水パイプ9はフレキシブル管21と共にパイプ収納部8と、目隠し14の室外側(裏側)に配置されているので、排水パイプ9の温水は上枠13a側を流れて、恒温水循環器11に戻される。
【0015】
引き戸1Aを閉じ位置(
図1(a))から開き位置(
図1(b))に移動したときには、
図4に示すように、フレキシブル管21は、引き戸1Aの直線移動に伴って折曲位置が順次ずれながら曲がるので、フレキシブル管21内に配置された可撓性の給水パイプ7及び排水パイプ9もフレキシブル管21に案内されて、フレキシブル管21と同様に折曲位置が順次ずれながら曲がる。
【0016】
次に、第1実施形態に係る引き戸(戸)1Aの効果について説明する。
引き戸1Aによれば、框3の内周に設けた複層パネル5内を温水が循環することで、引き戸1Aの両面を温めることができ、引き戸1Aに暖房機能を付与し、浴室内及び脱衣室を暖房することできる。
【0017】
給水パイプ7と排水パイプ9を上框3aに設けて、複層パネル5の上部に接続しているので、各パイプ7、9が複層パネル5内を循環する温水の圧力を受けにくくできる。
また、給水パイプ7と排水パイプ9を上框3aに取付けたパイプ収納部8に設けることで、各パイプ7、9が引き戸1Aから露出しないので、外観が良い。
給水パイプ7と排水パイプ9は、フレキシブル管21内に配置され、フレキシブル管21と共に引き戸1Aの直線移動に伴って折曲位置が順次ずれながら曲がるから、複層パネル5に対する給水パイプ7と排水パイプ9の取付け位置をそのままにして、引き戸1Aの開閉操作ができる。
【0018】
図5及び
図6に示すように、給水パイプ7と排水パイプ9は、複層パネル5の上端部に取付けた接続部品25にホースニップル27を設けて、ホースニップル27を接続部品25に嵌め込んでいるので、複層パネル5への接続が容易にできる。
接続部品25は、ホースニップル27をニップル当接部25aとニップル挿入部25bとで位置決めしているので、ホースニップル27の取付けが容易にできる。
給水パイプ7と排水パイプ9は、一つのフレキシブル管21内に配置しているから、二つのパイプ7、9に対してフレキシブル管21が一つで済む。
【0019】
以下に、本発明の他の実施形態について説明するが、以下に説明する実施形態において、上述した第1実施の形態と同一の作用効果を奏する部分には、同一の符号を付して、その部分の詳細な説明を省略する。
図7~
図9を参照して、本発明の第2実施形態に係る引き戸(戸)1Aを説明する。この第2実施形態に係る引き戸1Aは、第1実施形態と同様に片引き戸であるが、上下の中央に中桟29が設けてあり、中桟29の上下にそれぞれ複層パネル5A、5Bを設けている。
上複層パネル5Aには、上述した第1実施形態と同様に上框3a側に設けた給水パイプ7が給水接続部7aを介して接続されており、排水パイプ9が排水接続部9aを介して接続されている。
下複層パネル5Bには、上複層パネル5Aと同様に、上部に給水接続部7aと排水接続部9aとが設けてあり、給水パイプ7から分岐された分岐給水パイプ7bが下複層パネル5Bの給水接続部7aを介して接続されている。また、排水パイプ9から分岐された分岐排水パイプ9bが下複層パネル5Bの排水接続部9aを介して接続されている。
図7及び
図8に示すように、分岐給水パイプ7bは、戸先框3cと中桟29に通してあり、中桟29を介して下複層パネル5Bの給水接続部7aに接続されている。分岐排水パイプ9bは、戸尻框3dと中桟29に通してあり、中桟29を介して下複層パネル5Bの排水接続部9aに接続されている。
その他の構成は、上述した第1実施形態の引き戸1Aと同様である。
【0020】
この第2実施形態の引き戸1Aでは、上述した第1実施形態と同様に、給水パイプ7から上複層パネル5Aに給水された温水は、上複層パネル5Aを循環した後、排水パイプ9から恒温水循環器11に戻される。
一方、給水パイプ7から分岐された分岐給水パイプ7bの温水は、下複層パネル5Bの上部から供給され、下複層パネル5Bを循環した後、下複層パネル5Bの上部から分岐排水パイプ9bに導出され、排水パイプ9に合流して恒温水循環器11に戻される。
【0021】
この第2実施形態によれば、上複層パネル5Aと下複層パネル5Bとの両方の複層パネルに温水を循環して暖房することができる。また、上複層パネル5Aと下複層パネル5Bとの2つの複層パネルに分けているので、第1実施形態の複層パネル5が1つの場合に比較して、複層パネルに作用する水圧を軽減できると共に、引き戸1Aの上下方向略中央に設けた中桟29が引き戸1Aの補強材として機能するので、引き戸1Aの強度アップを図ることができる。その他は、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0022】
図10及び
図11を参照して、本発明の第3実施形態について説明する。
この第3実施形態に係る引き戸(戸)1Aでは、給水パイプ7を収納するフレキシブル管21Aと、排水パイプ9を収納するフレキシブル管21bとの2つのフレキシブル管21A、21Bを設けたことが、一つのフレキシブル管21に給水パイプ7と排水パイプ9を収納した第1実施形態と異なっている。
その他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0023】
この第3実施形態によれば、上述した第1実施形態と同様の作用効果を奏すると共に、給水パイプ7を収納するフレキシブル管21Aと、排水パイプ9を収納するフレキシブル管21Bとの2つのフレキシブル管21A、21Bを設けているので、一つのフレキシブル管21に給水パイプ7と排水パイプ9を設けた第1実施形態と比較して、各給水パイプ7と排水パイプ9の設置やメンテナンスが個別にできる。
【0024】
図12~
図16を参照して、第4実施形態に係る開き戸(戸)1Bについて説明する。
第4実施形態に係る戸は開き戸1Bであり、ドアの扉である。この開き戸1Bには、ヒンジ30(
図13参照)及びドアクローザ32(
図14参照)が設けられている。
開き戸1Bにおいて、吊元框(戸尻框)3dと吊元枠(戸尻枠)13dには、それぞれ給水用フレキシブル管保持具31と排水用フレキシブル管保持具33とが設けてある。
また、
図12及び
図14に示すように、第1実施形態と同様に、複層パネル5の上部には、給水接続部7aと排水接続部9aとが設けてあり、給水接続部7aに給水パイプ7がホースニップル27を介して接続されており、同様に排水接続部9aに排水パイプ9がホースニップル27を介して接続されている。
【0025】
給水用フレキシブル管保持具31と排水用フレキシブル管保持具33は、フレキシブル管34に通すパイプの種類が給水パイプ7と排水パイプ9で異なるだけで、その他はそれぞれ同じ構成であるから、給水用フレキシブル管保持具31について説明し、排水用フレキシブル管保持具33の説明は省略する。
図12及び
図13に示すように、給水用フレキシブル管保持具31は、開き戸1Bの吊元框3dに取付けられた框側ケース35と、吊元枠13dに取付けられた枠側ケース37とを有し、
図15に示すように、各框側ケース35と枠側ケース37の間には、給水パイプ7が挿入されたフレキシブル管34が設けられている。フレキシブル管34は、コイルを蛇腹状に巻いて形成してあり、全体として曲げ自在な可撓性を有している。
框側ケース35には、吊元框3dの見込面にフレキシブル管34を収納可能な框側フレキシブル管出入開口35aが形成されている。框側フレキシブル管出入開口35aは上下に長い開口としてあり、フレキシブル管34が曲げた状態で出入り自在にしている。
また、框側ケース35において、複層パネル5側の上部(
図12参照)には、給水パイプ7を引き出すパイプ引出孔35b(
図16(d)参照)が形成されている。
【0026】
枠側ケース37には、框側ケース35の框側フレキシブル管出入開口35aと対向する位置に、フレキシブル管34を収納可能な枠側フレキシブル管出入開口37aが形成されている。この枠側フレキシブル管出入開口37aも框側ケース35と同様に、上下に長い開口としてあり、フレキシブル管34が曲げた状態で出入り自在にしている。
また、枠側ケース37において、枠13の外周側には、給水パイプ7を引き入れるパイプ引入孔37b(
図16(d)参照)が形成されている。
枠側ケース37において、枠側フレキシブル管出入開口37aには、その左右に框側フレキシブル管出入開口35aに向けて突設する壁部37cが形成されている。この壁部37cは、
図16(c)に示すように、開き戸1Bを閉じたときにフレキシブル管34を外部から隠すと共にフレキシブル管34が框側ケース35と枠側ケース37に収まるように案内している。
その他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0027】
この第4実施形態によれば、フレキシブル管34の構成による効果を除いて、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
更に、第4実施形態によれば、給水パイプ7と排水パイプ9は、吊元枠13dと吊元框3dの間でフレキシブル管34内に配置され、開き戸1Bの開閉に伴って曲げ自在であるから、複層パネル5に対する給水パイプ7と排水パイプ9の取り付けた位置をそのままにして、開き戸の開閉操作ができる。
【0028】
本発明は、上述した実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能である。
戸は浴室用の引き戸1Aや開き戸1Bに限らず、建物の部屋の間仕切に用いられる引き戸や開き戸であっても良い。
【符号の説明】
【0029】
1A 引き戸(戸)
1B 開き戸(戸)
3 框
5 複層パネル
7 給水パイプ
9 排水パイプ
11 恒温水循環器