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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165794
(43)【公開日】2022-11-01
(54)【発明の名称】画像読取装置および画像読取方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/04 20060101AFI20221025BHJP
   H04N 1/387 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
H04N1/04 106A
H04N1/387 200
H04N1/12 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021071302
(22)【出願日】2021-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100065248
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【弁理士】
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100174883
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 雅己
(72)【発明者】
【氏名】藤崎 樹也
【テーマコード(参考)】
5C072
5C076
【Fターム(参考)】
5C072AA01
5C072NA01
5C072RA03
5C072RA04
5C072WA02
5C076AA02
(57)【要約】
【課題】原稿の表裏両面を読み取る場合に一方の面の原稿領域しか決定できなくても原稿画像を適切に切り出せる画像読取装置を提供する。
【解決手段】原稿および原稿外の領域を画像として読み取る画像読取デバイスと、原稿外の領域で画像読取デバイスに読取られる背景色板と、読み取られた画像における原稿と背景色板との濃度差または色差に基づいて原稿と背景との境界を判別し原稿領域を決定する原稿領域決定部と、原稿領域に基づいて画像から原稿画像を切り出す画像切り出し部とを備え、原稿領域決定部は、原稿の表裏両面を読み取る場合に一方の面の原稿領域が決定できなければ他方の面の原稿領域を適用する画像読取装置。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿および原稿外の領域を画像として読み取る画像読取デバイスと、
前記原稿外の領域で対向し前記画像読取デバイスに読取られる背景色板と、
読み取られた画像における前記原稿と前記背景色板との濃度差または色差に基づいて原稿と背景との境界を判別し原稿領域を決定する原稿領域決定部と、
前記原稿領域に基づいて前記画像から原稿画像を切り出す画像切り出し部とを備え、
前記原稿領域決定部は、前記原稿の表裏両面を読み取る場合に一方の面の原稿領域が決定できなければ他方の面の原稿領域を適用する画像読取装置。
【請求項2】
前記画像読取デバイスが読み取った原稿が白紙頁か否かを判断し白紙頁の出力を抑制する白紙判定機能を実行する白紙判定部と、
白紙判定機能を有効にするか否かのユーザーによる設定を受付ける機能設定部をさらに備え、
前記原稿領域決定部は、前記白紙判定機能が有効な場合に原稿が白紙頁か否かにかかわらず各頁について原稿領域を決定し、何れか一方の面の原稿領域が決定できない場合に他方の面の原稿領域を適用する請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記画像読取デバイスは、
原稿を搬送する原稿搬送機構と、
原稿の表裏何れか一方の面を読み取る第1面読取デバイスと、
前記第1面読取デバイスに対応し、表面がグレー色の位置と白色の位置とを有する第1面背景色板と、
前記原稿の他方の面を読み取る第2面読取デバイスと、
前記第2面読取デバイスに対応する第2面背景色板と、
白紙判定機能が有効か否かに応じて前記第1面読取デバイスが前記第1面背景色板を読み取る位置を切替える読取位置切替部を備え、
前記第1面背景色板は、露出面が白色の領域とグレー色の領域とを有し、
前記読取位置切替部は、前記白紙判定機能が有効であれば原稿のない領域で前記第1面背景色板のグレー色の位置を読み取り、前記白紙判定機能が無効であれば白色の位置を読み取るように前記第1面読取デバイスの読取位置を切替える請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記画像切り出し部は、決定された原稿領域が傾いている場合に傾きを補正して原稿画像を切り出す請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項5】
コンピュータが、
原稿および原稿外の領域で対向する背景色板を画像として読み取るステップと、
読み取られた画像における前記原稿と前記背景色板との濃度差または色差に基づいて原稿と背景との境界を判別し原稿領域を決定するステップと、
前記原稿の表裏両面を読み取る場合に一方の面の原稿領域が決定できなければ他方の面の原稿領域を適用して原稿画像を切り出すステップとを備える原稿画像の読取方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、読み取られた画像の原稿と背景との境界を判別し原稿領域を決定する機能を有する、原稿の表裏両面を読取可能な画像読取装置および画像読取方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複合機やイメージスキャナ等の画像読取装置では、原稿を読み取る態様として、原稿台に置かれた原稿をスキャンするモード(プラテンモード)と原稿送り装置で原稿を搬送して読み取るモード(フィーダーモード)が使い分けられている。何れも、原稿サイズを入力または検出して原稿領域のみを読み取るようにしている。そのために原稿サイズを検出する機能を有する画像読取装置も多い。画像読取装置が検出可能な原稿サイズは通常、例えばA3、A4、A5や11”×17”、8.5”×11”、5.5”×8.5”等の所謂定形サイズに限られる。非定形のサイズ(不定形サイズ)を読み取るには手動で原稿の縦横サイズを入力する手段等が用意されている。
【0003】
不定形サイズの原稿を読み取ることは稀であるとしても、その際に手動で原稿サイズを入力するのは煩雑である。不定形のサイズであっても正確な原稿サイズを検出することができれば、煩雑な入力の手間が省けて便宜である。
不定形サイズであっても正確な原稿サイズを検出できるようにする手段として、背景色板を一般的な白色でなく、例えばグレー色として読み取られた原稿の画像から背景色板に対応する領域をクロップする処理が考えられる。これは、一般的な原稿の縁部が用紙の地色と同じ白色であると想定し、原稿縁部の白色と背景色板のグレー色との濃度差に基づいて原稿の輪郭を判別するものである。
ただし、背景色板をグレー色とすることには負の側面もある。グレー色の背景色板を用いて薄い用紙の原稿を読み取ると、背景色板のグレー色が幾分か透けて表れ、その影響で原稿の用紙が淡いグレーであるかのように読み取られる場合がある。
【0004】
ところで、プラテンモードは、厚みのある書籍等の原稿を含め、透明な原稿台の上に置かれた原稿の下面を走査して読み取るものである。即ち、一面の読み取りを想定している。それに対して、フィーダーモードはシート状の原稿を読み取ることを前提として、その原稿を読取位置へ搬送して読み取るモードであるところ、原稿の表裏両面を読み取り可能とするのが一般的である。
【0005】
表裏両面について原稿領域を検出することに関し、以下の技術が知られている。
複数の名刺の表面の画像データ(表面名刺画像データ)とその位置情報を取得し、裏面の画像データ(裏面名刺画像データ)とその位置情報を取得する。位置情報に基づいて表面名刺画像データごとに裏面名刺画像データの何れか一つを関連付けて1つの名刺画像とする。関連付けた名刺画像の表面名刺画像データと裏面名刺画像データとを比較して、同じ位置であるか否かを判定し、また、同じ画像であるか否かを判定する。同じ位置であり、さらに同じ画像である場合、名刺の裏返し忘れと検知する(例えば、特許文献1参照)。
また、複数枚の両面原稿を、その表と裏との2度の走査で読み取った後に対応付け、対応付けられた画像データを合成する画像処理システムにおいて、裏面が白紙の場合には、スキャン対象から外したり、出力または合成から外したりする(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015-056794号公報
【特許文献2】特開2006-339770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
フィーダーモードの場合、原稿を表裏反転させて読み取ると読取りに時間を要し、また原稿を傷つける可能性が高まることから、原稿面の表裏をそれぞれ専用のイメージセンサーで読み取る画像読取装置が提供されている。そのようにすれば、両面原稿の読み取りを片面原稿の読み取りと同じ時間にまで短縮でき、原稿を表裏反転させる搬送路が不要になり表裏を反転させる際に原稿を傷つけることもなくなるからである。
このように、原稿面の表裏をそれぞれ専用のイメージセンサーで読取る原稿送り装置を備える画像読取装置では、一方の面では原稿と背景との境界が判別できて原稿領域を決定できる一方、他方の面では原稿と背景との境界が判別できずに原稿領域を決定できないことがある。
この発明は、以上のような事情を考慮してなされたものであって、原稿の表裏両面を読み取る場合に一方の面の原稿領域しか決定できなくても原稿画像を適切に切り出せる画像読取装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、原稿および原稿外の領域を画像として読み取る画像読取デバイスと、前記原稿外の領域で前記画像読取デバイスに読取られる背景色板と、読み取られた画像における前記原稿と前記背景色板との濃度差または色差に基づいて原稿と背景との境界を判別し原稿領域を決定する原稿領域決定部と、前記原稿領域に基づいて前記画像から原稿画像を切り出す画像切り出し部とを備え、前記原稿領域決定部は、前記原稿の表裏両面を読み取る場合に一方の面の原稿領域が決定できなければ他方の面の原稿領域を適用する画像読取装置を提供する。
【0009】
また、異なる観点からこの発明は、コンピュータが、原稿および原稿外の領域で対向する背景色板を画像として読み取るステップと、読み取られた画像における前記原稿と前記背景色板との濃度差または色差に基づいて原稿と背景との境界を判別し原稿領域を決定するステップと、前記原稿の表裏両面を読み取る場合に一方の面の原稿領域が決定できなければ他方の面の原稿領域を適用して原稿画像を切り出すステップとを備える原稿画像の読取方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
この発明による画像読取装置において、原稿領域決定部は、前記原稿の表裏両面を読み取る場合に一方の面の原稿領域が決定できなければ他方の面の原稿領域を適用し画像切り出し部はその原稿領域に基づいて原稿画像を切り出すので、原稿の表裏両面を読み取る場合に一方の面の原稿領域しか決定できなくても原稿画像を適切に切り出せる。
この発明による原稿画像の読取方法も同様の作用効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】この実施形態における画像読取装置の一態様として、複合機の外観の一部を示す斜視図である。(原稿送り装置を閉じた状態)
図2】この実施形態における画像読取装置の一態様として、複合機の外観の一部を示す斜視図である。(原稿送り装置を開いた状態)
図3図1および図2に示す複合機の全体構成を示すブロック図である。
図4図1に示す複合機のスキャナーユニットおよび原稿送り装置の概略構成を示す説明図である。
図5図4に示すスキャナーユニットの第1キャリッジおよび第2キャリッジを移動させる機構の構成を示す説明図である。
図6】この実施形態において、制御部が実行する原稿読み取りの処理を示す第1のフローチャートである。
図7】この実施形態において、制御部が実行する原稿読み取りの処理を示す第2のフローチャートである。
図8】この実施形態において、制御部が実行する原稿読み取りの処理を示す第3のフローチャートである。
図9】この実施形態において、制御部が実行する原稿読み取りの処理を示す第4のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を用いてこの発明をさらに詳述する。なお、以下の説明は、すべての点で例示であって、この発明を限定するものと解されるべきではない。
(実施の形態1)
≪画像読取装置の構成≫
まず、この実施形態における画像読取装置について述べる。
図1および図2は、この実施形態における画像読取装置の一態様として、複合機の外観の一部を示す斜視図である。原稿の読み取りに関する部分を示している。図1は原稿送り装置を閉じた状態であり、図2は、原稿送り装置を開いて原稿台が露出した状態である。図3は、図1および図2に示す複合機の全体構成を示すブロック図である。
図3のブロック図に示すように、複合機100は、制御部11、記憶デバイス13、画像形成ユニット14、スキャナーユニット15、ユーザーインターフェース・ユニット19(UIユニットともいう)、通信回路21および画像処理回路40を備える。
制御部11は、UI制御部11U、ファイル制御部11F、ジョブ管理部11J、ジョブ実行部11X、画像処理制御部11Pおよび通信制御部11Cを含む。UIユニット19は、タッチパネル等の操作入力デバイス19Iおよび表示デバイス19Dを含む。制御部11は、複合機100の制御を行う。画像処理回路40は、入力処理回路41、白紙判定回路43、原稿領域判定回路45および出力画像生成回路47を含む。
【0013】
図1に示すように、UIユニット19は、複合機100の筐体上に設けられる。
操作入力デバイス19Iは、表示デバイス19Dの表示画面に対するユーザーの操作を検出する。UI制御部11Uは、操作入力デバイス19Iが検出する操作の信号を認識して表示デバイス19Dに表示された画面の何れの要素に対する操作がなされたかを認識する。
ファイル制御部11FはHDDなどの記憶デバイスへのファイルの保存や読み出し、メモリー等の記憶デバイスへのファイルの展開などを行う
表示デバイス19Dは、例えば、液晶ディスプレイ装置で構成される。表示デバイス19Dは、UI制御部11Uの制御に従った画面を表示する。
【0014】
ジョブ管理部11Jは、コピージョブ、スキャナージョブあるいはプリントジョブ等の各種ジョブの登録や削除、停止の処理を行う。ジョブ管理部に登録されたジョブが実行可能な状態になると、ジョブ管理部11Jはジョブ実行部11Xにジョブの実行開始を要求する。
ジョブ実行部11Xは、ジョブ管理部11Jによって登録されたジョブの実行開始の可否を判定したり、設定に応じたジョブを画像形成ユニット14、スキャナーユニット15および画像処理回路40に実行させたりする。ジョブ実行部11Xは、スキャナーユニット15および画像形成ユニット14に配置された図示しないセンサーが検出した状態を認識する。そして、スキャナーユニット15および画像形成ユニット14に配置された図示しないモータ、アクチュエータ、デバイス等の動作を制御する。また、画像処理制御部11Pは、画像処理回路40の画像に係る処理を制御する。そして、原稿の画像の読み取り、印刷およびプレビュー等、ジョブに係る処理を実行する。
【0015】
制御部11は、具体的な構成態様として、例えばCPU(Central Processing Unit)あるいはMPU(Micro Processing Unit)のプロセッサを中心に構成される。プロセッサに加えて、ワークメモリー、入出力インターフェース回路、タイマ回路等のハードウェア資源で構成される。前記プロセッサが記憶デバイス13に予め格納された制御プログラムを実行することによって操作の認識、表示の制御、原稿画像の読取りや画像の印刷等に係る各種のジョブ、即ち、画像形成に係る一連の処理を実行する。ソフトウェア資源とハードウェア資源とが協働して制御部11としての機能が実現される。
【0016】
記憶デバイス13は、DRAM等の揮発性メモリーおよびHDDやフラッシュメモリー等の不揮発性メモリーを備える。記憶デバイス13は、プロセッサが実行する制御プログラムやスキャナーユニット15が読取、画像処理回路40が処理する画像を格納する。さらに、ファイル制御部11F、ジョブ管理部11J、ジョブ実行部11X、画像処理制御部11Pの制御に係るデータを格納する。記憶デバイス13が、制御部11のメモリーと一体に構成されてもよい。
【0017】
制御部11と画像形成ユニット14、制御部11とスキャナーユニット15、制御部11と画像形成ユニット14は、それぞれデータ転送可能に接続されている。
通信回路21は、ネットワークを介して外部の機器とデータの通信を行うための回路である。
図1および図2に示すように、複合機100は、原稿送り装置16を備える。また図2に示すように、原稿送り装置16を上方に開けると露出する原稿台17を備える。原稿台17は、透明なガラス板で構成され、スキャナーユニット15の天面に配置される。また図2に示すように、原稿台17の左端の隣にオモテ面読取窓18が配置されている。オモテ面読取窓18は、原稿台17と同様に透明なガラス板で構成されている。原稿送り装置16の下面には、オモテ面背景色板51が配置されている。原稿送り装置16を閉じられた状態で、オモテ面読取窓18とオモテ面背景色板51とは対向する位置になる。
【0018】
スキャナーユニット15は、ジョブ実行部11Xの制御下で原稿の画像を読取って、RGB(レッド、グリーンおよびブルー)のカラー画像信号(RGBアナログ信号)に変換する。即ち、コピー、ファックスおよびスキャナーのジョブにおける画像読取の処理を実行する。
図4は、図1に示す複合機100のスキャナーユニット15および原稿送り装置16の概略構成を示す説明図である。
【0019】
図4に示す原稿送り装置16は、原稿セットトレイ31に載置された原稿束から原稿を1枚ずつ分離・給送し(図4に示す矢印INを参照)、オモテ面の読取位置R1、R2および裏面の読取位置R3を経由して原稿を搬送し原稿排出トレイ33へ排出させる(図4に示す矢印OUTを参照)。なお、原稿はオモテ面を下に向けて原稿セットトレイ31にセットされるものとする。そうすることによって、原稿の片面(オモテ面)のみを読み取るモードにおいて、読取位置R1およびR2を切替えることができる。
オモテ面の読取位置R1およびR2は、下方のオモテ面読取窓18と上方のオモテ面背景色板51とに挟まれた箇所である。搬送される原稿は、読取位置R1およびR2でオモテ面背景色板51の下方に露出する。
【0020】
スキャナーユニット15は、図4に示すように第1キャリッジ55を読取位置R1またはR2の何れかの位置で停止させており、通過する原稿のオモテ面を読み取る。第1キャリッジ55は原稿面を照射するLEDおよび反射ミラーを搭載しており、第2キャリッジ57は、2枚の反射ミラーを搭載している。読取位置R1またはR2を通過する原稿の像は、それらの反射ミラーおよび光学レンズ59を経てイメージセンサー61に結像する。なお、第1キャリッジは原稿台17を下方にも移動可能であって、プラテンモードでは図4に矢印Sで示すように原稿台17に置かれた原稿を下方から走査して読み取る。第2キャリッジ57は、第1キャリッジ55が移動するとその半分の速度で同方向に移動して、原稿台17に置かれた原稿の像をイメージセンサー61上に結像させる。イメージセンサーは原稿画像に応じた画像信号を出力する。第1キャリッジ55および第2キャリッジ57の反射ミラーと光学レンズ59は、イメージセンサー61に原稿のオモテ面の像を結像させる縮小光学系を構成する。
【0021】
図5は、図4に示すスキャナーユニット15の第1キャリッジ55および第2キャリッジ57を移動させる機構の構成を示す説明図である。図5は、スキャナーユニット15を左側後方の斜め上から見た斜視図である。図5に示すように、第1キャリッジ55の両端は、ワイヤーが固定されている。第2キャリッジ57の両端は、そのワイヤーが架けられたプーリーを有している。ワイヤーは、スキャナモーター63によって回転駆動されるワイヤプーリー65に巻かれている。ワイヤプーリー65が回転すると、それにつれてよって第1キャリッジ55および第2キャリッジ57が矢印S方向へ移動し、また反対方向へ移動する。第2キャリッジは、動滑車のように第1キャリッジの半分の速度で移動する。
【0022】
図4の説明に戻る。読取位置R3には、原稿の裏面を読み取る裏面読取ユニット67および裏面背景色板53が配置されている。裏面読取ユニット67は、読取位置R3を通過する原稿の裏面の像は、裏面読取ユニット67が有する複数の反射ミラーを経てレンズ・イメージセンサーユニット69のイメージセンサーに結像する。イメージセンサーは原稿画像に応じた画像信号を出力する。レンズ・イメージセンサーユニット69は、光学レンズとラインイメージセンサーが一体に組付けられたユニットである。裏面読取ユニット67の複数の反射ミラーとレンズ・イメージセンサーユニット69の光学レンズは、レンズ・イメージセンサーユニット69のイメージセンサーに原稿の裏面の像を結像させる縮小光学系を構成する。
裏面読取ユニット67は、略U字型の原稿搬送路の内側に位置している。従って、原稿送り装置16によって搬送される原稿は、スキャナーユニット15によってオモテ面が読み取られると共に、裏面読取ユニット67によって原稿の裏面が読み取られる。
【0023】
画像処理回路40は、スキャナーユニット15が出力する画像信号に基づいて画像データを生成する。あるいは、通信回路21を介して受信した印刷データに基づいて印刷用の画像データを生成する。画像処理制御部11Pは、画像処理回路40のそれらの処理を制御する。生成された画像データは、頁単位、表裏の頁単位あるいは原稿の部単位で画像ファイルにまとめられる。ファイル制御部11Fは、画像データから画像ファイルを生成し管理する処理および画像ファイルの読み書きに係る制御を行う。画像ファイルは、画像形成ユニット14で印刷され、あるいは通信回路21を介して外部の機器へ送信される。
【0024】
図3は、この発明に関連する画像処理について画像処理回路40の構成を示している。図3に示す各ブロックは、画像処理回路40のすべてを網羅するものでなくこの発明の説明に必要な要素を示すものである。
入力処理回路41は、スキャナーユニット15のイメージセンサー(オモテ面を読み取るイメージセンサー61および裏面を読み取るレンズ・イメージセンサーユニット69)から頁ごとの画像信号を受けて画像処理を行う。そして、原稿領域判定用の画像および出力用の画像の元になる画像を生成する回路ブロックである。入力処理回路41は、画像信号のA/D変換、シェーディング補正、階調変換等を行う。
【0025】
白紙判定回路43は、スキャナーユニット15から受けた頁毎の画像信号に含まれる黒画素の割合をカウントして白紙頁を判定する回路ブロックである。その判定結果は出力画像生成回路47に提供されて白紙頁の出力を抑制する制御に用いられる。
原稿領域判定回路45は、入力処理回路41から出力される判定用画像に基づいて、読み取られた画像の原稿領域を判定する回路ブロックである。不定形サイズの原稿領域を判定するモードでは、原稿の縁部と背景色板のグレー色との濃度差あるいは色差に基づいて矩形の原稿領域を決定する。原稿領域の判定は、矩形の原稿の輪郭を判定するものであるから、処理を軽くするために判定用画像には、例えば読み取られた画像の解像度を落として白黒2値変換した画像を用いることができる。なお、この実施形態において、原稿領域判定回路45は、矩形の原稿領域を決定するにあたり原稿の輪郭を検出するだけでなく文字認識処理を行って原稿の傾きおよび天地を検出し、それらの検出結果を考慮して原稿領域を決定する。決定された原稿領域は、出力画像生成回路47に提供されて、出力画像のクロップ処理に用いられる。
【0026】
出力画像生成回路47は、入力処理回路41から出力される出力用画に対する画像処理をさらに行い、出力すべきフォーマットの画像ファイルを生成する。出力画像生成回路47が行う画像処理は、白紙判定回路43の判定結果に基づく白紙飛ばしの処理を含む。さらに、原稿領域判定回路45が決定した原稿領域に基づく各頁の画像のクロップ処理を含む。その他に、画質調整、色補正、空間フィルタ処理、変位処理等の画像処理を含む。例えば、読み取った原稿の画像をPDF形式の画像ファイルとして指定された宛先へ通信回路21を介して送信する場合、出力画像生成回路47は、各頁の画像データからPDF形式の画像ファイルを生成して出力する。
【0027】
≪フィーダーモードでの両面読取で表裏一方の原稿領域が決定できない場合≫
フィーダーモードでの両面読取で表裏一方の原稿領域が決定できない場合の例を述べる。ここでは、不定形サイズ原稿の原稿領域の決定について述べる。
不定形サイズの原稿を読み取るモードにおいて、画像読取装置は、原稿のサイズを検出し、検出された原稿のサイズが、検出可能な定形サイズの何れのサイズに近いかを判別する。そして検出された何れかの定形サイズよりも一回り大きな領域で原稿を読み取る。そして、読み取られた画像から原稿以外の領域、即ち背景色板に対応する領域をクロップする。
【0028】
一般に原稿縁部は白色であるので、原稿外の領域が読み取られても違和感がないように白色の背景色板が用いられる。しかし、不定形サイズ原稿の原稿領域を検出するモードでは、原稿領域を正しく検出することを優先してグレー色の背景色板を用いて読取を行い、原稿縁部との濃度差あるいは色差に基づいて原稿の輪郭を判別する。
上述の複合機100において、フィーダーモードで原稿のオモテ面を読み取るスキャナーユニット15の機構はプラテンモードと共通の構成である。オモテ面については、第1キャリッジ55および第2キャリッジ57の停止位置を変えることで定形サイズ原稿を読み取るモードと不定形サイズの原稿を読み取るモードとで読取位置をずらすことは容易である。そこで、読取位置R1でのオモテ面背景色板51を白色とし、読取位置R2でのオモテ面背景色板51をグレー色とするように、白色とグレー色の部分に塗り分けられたオモテ面背景色板51を用いる。
【0029】
片面の不定形サイズ原稿を読み取る場合の合理性を考慮して、フィーダーモードにおいても読取位置を容易にずらせるスキャナーユニット15を主に用いて原稿を読み取るようにしており、両面読取の場合はオモテ面の読み取りに用いている。なお、読取位置R1を白色、読取位置R2をグレー色とすることは必須でなく、読取位置R1をグレー色、読取位置R2を白色に塗り分けてもよいが、ここでは前者とする。また、グレー色は必須でなく、白色を除く他の色でもよいがここではグレー色とする。
【0030】
通常の定形サイズの原稿を読み取るモードにおいて、制御部11は第1キャリッジ55を読取位置R1に停止させて原稿のオモテ面を読み取るように制御する。オモテ面背景色板51が白色の位置である。一方、不定形のサイズの原稿を読み取るモードにおいて、制御部11は第1キャリッジ55を読取位置R2に停止させて原稿のオモテ面を読み取るように制御する。オモテ面背景色板51がグレー色の位置である。モードに応じて原稿の読取位置をずらすことは、プラテンモードと兼用の第1キャリッジ55および第2キャリッジ57の停止位置を変えるだけのことであり、これを実現するための機構面、コスト面の負担は軽微である。
【0031】
一方、原稿の裏面の読み取りは、原稿送り装置16の内部に固定された裏面読取ユニット67を用いて行うように構成されている。裏面読取ユニット67には、読取位置R3または裏面背景色板53をずらす機構は設けられていない。背景色板をシフトさせる機構を設けるなどして、オモテ面と同様に定形サイズ原稿を読み取るモードと不定形サイズの原稿を読み取るモードとで背景色板の色を白色とグレー色とに切替える機構を設ければ、オモテ面と同様の機能を実現することも理論上は不可能でない。しかし、稀にしかない不定形サイズの原稿読み取りのために読取位置をずらす機能を付加することは、機構面、コスト面の負担が大きいこともあり、裏面読取ユニット67および裏面背景色板53は、読取位置R3に固定されている。
この実施形態のように、原稿面の表裏をそれぞれ専用のイメージセンサーで読取る原稿送り装置を備える画像読取装置では、不定形サイズの原稿を読み取るモードにおいてオモテ面はグレー色の背景色板に対応する読取位置で原稿領域を決定できる。しかし、裏面は白色の背景色板での読み取りとなるので、原稿と背景との境界が判別できず、従って原稿領域を決定できないことがある。
【0032】
≪表裏の一方の面について原稿領域が決定できない場合の処理≫
この実施形態では、原稿の表裏何れか一方の面について原稿領域が決定できない場合に他方の面の原稿領域を適用してクロップ処理を行う。
その具体例として、フィーダーモードでの両面読取で不定形サイズ原稿の原稿領域を検出するモードと、白紙飛ばしの機能、即ち、白紙判定機能が組み合わせられた場合について述べる。
白紙飛ばしの機能は、読み取られた原稿の中に白紙の頁がある場合、白紙頁を飛ばして白紙以外の原稿を出力する機能である。画像処理制御部11Pおよび画像処理回路40は、原稿の各頁が白紙か否かを判定し、白紙の頁は出力を抑制するように制御する。
白紙飛ばし機能が設定されると、図3に示す白紙判定回路43が、スキャナーユニット15に読み取られた原稿の各頁が白紙か否かを判定する。白紙であると判定された頁は出力を抑制するので、その頁の出力画像を生成する必要がない。従って、画像処理制御部11Pは、その頁について、入力処理回路41および出力画像生成回路47に画像処理を行わせなくてもよく、また、その頁の画像データを記憶デバイス13に格納させなくてもよいといえる。
【0033】
しかし、この実施形態では、オモテ面が白紙頁と判定されても、画像処理制御部11Pは、入力処理回路41および原稿領域判定回路45に白紙頁でない場合と同様の画像処理を行わせるようにする。ただし、白紙頁の出力を抑制するので、出力画像生成回路47には画像処理を行わせなくてよい。そして、決定された原稿領域を記憶デバイス13に格納しておく。裏面の頁が白紙頁でないと判定された場合、オモテ面について決定された原稿領域を裏面に適用し裏面のクロップ処理を行うようにする。そして、クロップ処理された裏面の画像を画像ファイルに含めて出力させる。
【0034】
図6図9は、この実施形態において制御部11が実行する原稿読み取りに係る処理を示すフローチャートである。フィーダーモードでの両面読取で、不定形サイズ原稿の原稿領域の検出と、白紙飛ばしの機能が組み合わせられた場合の読み取り処理である。以下、フローチャートに沿って制御部11が実行する処理の手順を説明する。
図6に示すように、UI制御部11Uとしての制御部11は、原稿を読み取るジョブ(スキャナージョブやコピージョブ等)の開始が指示されたことを検出する(ステップS11)。
原稿を読み取るジョブの開始が指示されると(ステップS11のYes)、ジョブ管理部11Jは、実行開始を指示されたジョブを実行すべきジョブとして登録する。そして、ジョブ実行部11Xに対してジョブの実行を要求する。それに応答してジョブ実行部11Xは、ジョブの設定に応じた処理を行う。
【0035】
この実施形態に係る処理として、ジョブ実行部11Xとして制御部11は、フィーダーモードで原稿の両面を読取るジョブか否かを判定する(ステップS13)。プラテンモードのジョブ、あるいはフィーダーモードで原稿の片面のみを読み取るジョブであれば(ステップS13のNo)、設定に応じて原稿を読み取る処理を実行する(ステップS15)。この実施形態に関連の深いジョブの実行処理でないので、詳細は省略するが、フィーダーモードの場合は読取位置R1で原稿を読み取る。オモテ面背景色板51が白色の位置である。そして、ジョブの実行を完了する。
【0036】
一方、前記ステップS13の判定において、フィーダーモードで原稿の両面を読み取るジョブであると判定したら、ジョブ実行部11Xとして制御部11は、不定形サイズの原稿を検出するモードが否かを判定する(ステップS17)。
定型サイズ原稿のみを検出するモードであれば(ステップS17のNo)、設定に応じて原稿を読み取る処理を実行する(ステップS19)。この実施形態に関連の深いジョブの実行処理でないので、詳細は省略するが、この場合は読取位置R1で原稿のオモテ面を読み取る。オモテ面背景色板51が白色の位置である。そして、ジョブの実行を完了する。
【0037】
前述のステップS17の判定で、不定形サイズ原稿を検出するモードであれば(ステップS17のYes)、ジョブ実行部11Xとして制御部11は、白紙飛ばし機能が設定されているか否かを判定する(ステップS21)。
白紙飛ばし機能が設定されていない場合(ステップS21のNo)、ジョブ実行部11Xとして制御部11は、原稿送り装置16の原稿セットトレイ31から原稿を給送してスキャナーユニット15および裏面読取ユニット67にそれぞれ各原稿のオモテ面および裏面を読み取らせる。このとき、オモテ面については、読取位置R2で読み取るようにスキャナーユニット15を制御する。オモテ面背景色板51がグレー色の位置である。
【0038】
画像処理制御部11Pとして制御部11は、画像処理回路40の入力処理回路41、原稿領域判定回路45および出力画像生成回路47を制御して、スキャナーユニット15に読み取られた各原稿の表裏の画像について画像処理を行わせる。原稿領域判定回路45については、読取位置R2で読み取られたオモテ面の画像に基づいて原稿領域を決定し、それを裏面にも適用して出力画像生成回路47に各原稿の表裏の画像をクロップ処理させる。そして、クロップ処理された各原稿の表裏の画像を画像ファイルにまとめて出力させる(ステップS27)。そして、ジョブの実行を完了する。
前述のステップS21の判定で、白紙飛ばし機能が設定されている場合(ステップS21のYes)、ジョブ実行部11Xとして制御部11は、原稿送り装置16に原稿を1枚ずつ搬送させて表裏を読み取らせるように制御し(ステップS29)、ステップS31以下の処理を行う。
【0039】
以下、フィーダーモードの両面読取で不定形サイズの検出と白紙飛ばし機能が設定されている場合の各原稿の表裏の読み取りの処理を述べる。原稿のオモテ面はスキャナーユニット15で読み取られ、それと並行して原稿の裏面が裏面読取ユニット67で読み取られるが、便宜上、フローチャートの説明ではオモテ面、裏面の順に読み取られるものとしている。
【0040】
画像処理制御部11Pとして制御部11は、原稿のオモテ面が読み取られるのを待って、白紙判定回路43が原稿のオモテ面を白紙頁と判定したか否かを調べる(ステップS31)。白紙頁と判定した場合(ステップS31のYes)、オモテ面の画像の出力を抑制すべきことを出力画像生成回路47に伝えるようにする(ステップS33)。例えば、読み取られた原稿の各頁の画像を管理するデータテーブル(不図示)を用いて、対象の頁について出力を抑制すべきことを示す属性を付加する。白紙頁でないと判定した場合は(ステップS31のNo)、対象の頁の出力を抑制する処理を行わない。
【0041】
続いて、画像処理制御部11Pとして制御部11は、原稿のオモテ面が読み取られ原稿領域判定回路45が原稿領域の決定に用いる判定用画像を生成するのを待って(図7に示すステップS35のYes)、判定用画像に基づいて原稿領域を決定する。そして、決定した原稿領域の位置を表すデータを記憶デバイス13に格納しておく(ステップS37)。
さらに、画像処理制御部11Pとして制御部11は、原稿のオモテ面が読み取られ、その頁の画像データが入力処理回路41によって画像処理されて記憶デバイス13に格納されるのを待つ(ステップ39)。
対象頁の画像データが記憶デバイス13に格納されたら、その原稿の裏面頁の読取に係る処理を行う。
【0042】
画像処理制御部11Pとして制御部11は、原稿の裏面が読み取られるのを待って、白紙判定回路43が原稿の裏面を白紙頁と判定したか否かを調べる(ステップS41)。白紙頁と判定した場合(ステップS41のYes)、オモテ面の画像の出力を抑制すべきことを出力画像生成回路47に伝えるようにする(ステップS43)。例えば、読み取られた原稿の各頁の画像を管理するデータテーブル(不図示)を用いて、対象の頁について出力を抑制すべきことを示す属性を付加する。白紙頁でないと判定した場合は(ステップS41のNo)、対象の頁の出力を抑制する処理を行わない。
【0043】
前記ステップS41の判定で、白紙頁でないと判定した場合(ステップS41のNo)、画像処理制御部11Pとして制御部11は、原稿の裏面が読み取られ、その頁の画像データが入力処理回路41によって画像処理されて記憶デバイス13に格納されるのを待つ(ステップS45のYes)。
このようにして、1枚の原稿の表裏が読み取られ、表裏の画像データが記憶デバイスに格納されたら、ジョブ実行部11Xとして制御部11は、給送された全ての原稿の読み取りが完了したか否かを判定する(ステップS47)。
【0044】
読み取るべき原稿が残っている場合(ステップS47のNo)、制御部11は処理を図6のステップS31へ戻して、次の原稿について表裏の読み取りに係る処理を繰り返す。
すべての原稿の読み取りが完了したら(ステップS47のYes)、画像処理制御部11Pとして制御部11は、各原稿の表裏が読み取られて記憶デバイス13に格納されている画像データを対象として、各原稿について順次出力に係る処理を実行する(図8に示すステップS51)。
【0045】
まず、対象とする原稿のオモテ面が白紙頁と判定されているか否かを調べる(ステップS53)。オモテ面が白紙頁であれば(ステップS53のYes)、後述するステップS61へ処理を進めて、裏面について判定を行う。
オモテ面が白紙頁でなければ(ステップS53のNo)、画像処理制御部11Pとして制御部11は、対象原稿のオモテ面の画像データを記憶デバイスから読みだして、出力画像生成回路47に画像処理させるようにする(ステップS55)。
さらに、記憶デバイスに格納されている対象頁のオモテ面の原稿領域に係るデータを読み出し、オモテ面の画像データに適用してクロップ処理を行う(ステップS57)。そして、クロップ処理されたオモテ面データの画像データを出力画像として用いるためにひとまず保持しておく(ステップS59)。
【0046】
続いて、対象とする原稿の裏面が白紙頁と判定されているか否かを調べる(ステップS61)。裏面が白紙頁であれば(ステップS61のYes)、後述するステップS69へ処理を進めて、すべての頁を対象に処理したかついて判定を行う。
裏面が白紙頁でなければ(ステップS61のNo)、画像処理制御部11Pとして制御部11は、対象原稿の裏面の画像データを記憶デバイスから読みだして、出力画像生成回路47に画像処理させるようにする(ステップS63)。
さらに、対象頁のオモテ面の原稿領域に係るデータを裏面の画像データに適用してクロップ処理を行う(ステップS65)。そして、クロップ処理された裏面データの画像データを出力画像として用いるためにひとまず保持しておく(ステップS67)。
【0047】
対象とする原稿の表裏について出力処理が完了したら、すべての原稿を対象として処理を行ったか否かを判定する(ステップS69)。まだ出力処理されていない原稿があれば(ステップS69のNo)、制御部11は、次の原稿を対象に設定して(ステップS71)、処理をステップS53へ戻し、対象とされた次の原稿について、表裏の画像データの出力処理を行う。
【0048】
一方、前記S69の判定ですべての原稿に対する処理が完了している場合(ステップS69のYes)、画像処理制御部11Pとして制御部11は、画像処理され、クロップ処理された各原稿の表裏の画像をまとめた画像ファイルを生成する(図9に示すステップS73)。そして、生成された画像ファイルを出力させる(ステップS75)。例えば、指定された宛先へ、通信回路21を介して画像ファイルを送信する。そして、ジョブの実行を完了する。
以上が、この実施形態において制御部11が実行する処理である。
【0049】
(実施の形態2)
実施の形態1では、不定形サイズ原稿の原稿領域を検出するモードではグレー色の背景色板の読取位置で原稿を読取り、定型サイズ原稿のみを検出する場合は白色の背景色板の読取位置で原稿を読み取る態様について述べた。しかし、モードによって読取位置を切替えることをしない態様もこの発明の範囲に含まれる。例えば、オモテ面を白色の背景色板とし、裏面をグレー色の背景色板とする態様である。
この態様によれば、両面読取のオモテ面および片面読取については白色の背景色板で原稿が読み取られる。両面読取の裏面についてはグレー色の背景色板で原稿が読み取られる。しかし、両面に印刷等がなされる原稿は用紙が極端に薄いものはなく、グレー色の背景色板の影響は少ないと考えられる。一方、薄い片面原稿は白色の背景色板で読み取られる。
【0050】
(実施の形態3)
原稿領域の判定は、矩形の原稿の輪郭を判定するので、原稿が傾いて搬送され読み取られた場合、主走査方向に対して傾いた輪郭が検出される。
そこで、原稿領域決定部は、表裏の原稿領域を決定する際に、併せて検出された原稿の輪郭に基づいて原稿の傾きを補正するようにしてもよい。
【0051】
以上に述べたように、
(i)この発明による画像読取装置は、原稿および原稿外の領域を画像として読み取る画像読取デバイスと、前記原稿外の領域で前記画像読取デバイスに読取られる背景色板と、読み取られた画像における前記原稿と前記背景色板との濃度差または色差に基づいて原稿と背景との境界を判別し原稿領域を決定する原稿領域決定部と、前記原稿領域に基づいて前記画像から原稿画像を切り出す画像切り出し部とを備え、前記原稿領域決定部は、前記原稿の表裏両面を読み取る場合に一方の面の原稿領域が決定できなければ他方の面の原稿領域を適用することを特徴とする。
【0052】
この発明において、背景色板は、画像読取デバイスが原稿を読み取り可能な読取領域で原稿の背後に配置され、読取領域よりも小さなサイズの原稿を読み取る際に原稿のない領域に露出する部材である。例えば、フィードモードに対応する背景色板の具体的な態様としては、搬送される原稿を読み取る読取位置に配置される細長い板状の部材である。長手方向における寸法は、画像読取デバイスの主走査方向における読み取り可能な領域よりも大きい。プラテンモードに対応する背景色板の具体的な態様としては、読み取るべき原稿を載置する透明な原稿台を上方から覆う開閉可能なカバー(原稿カバー)の下面に配置される平板状の部材である。不定形サイズの原稿であっても、あるいは原稿が原稿台上の所定の位置から多少ずれて置かれても読み取られた画像に違和感がないように通常の原稿の地色と同じ白色の部材が一般的に用いられる。ただし、白色に限るものでない。
【0053】
また、画像読取デバイスは、原稿を走査して画像を読み取るものである。その具体的な態様としては、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCIS(Contact Image Sensor)等のリニアイメージセンサーを用いたものが一般的である。一般的にA3サイズやA4サイズまでの原稿が読み取り対象であるため、エリアイメージセンサ―を用いると縮小光学系やセンサーのサイズが大きくなってしまう。そこで、リニアイメージセンサーを用いて、副走査方向についてはイメージセンサーに対して原稿を相対的に移動させる走査機構を用いて装置全体の小型化を実現している。フィーダーモードでは副走査方向におけるイメージセンサーの読取位置を固定し原稿を搬送、移動させて読み取りを行うのが一般的である。プラテンモードでは、原稿を原稿台上に固定し、読取位置を移動させるのが一般的である。CISの場合はイメージセンサーをキャリッジに搭載して読取位置を副走査方向に移動させ、CCDイメージセンサーの場合は縮小光学系を構成するミラーをキャリッジに搭載して読取位置を副走査方向に移動させる。
【0054】
さらにまた、原稿領域は、イメージセンサーが読み取り可能な領域のうち原稿に対応する領域である。イメージセンサーが読み取り可能な領域は、読み取り可能な最大サイズの原稿よりやや大きな領域が通常である。原稿搬送機構や光学系の調整の公差を見込んでいるからである。画像読取装置は、検出あるいは設定された原稿サイズに応じた原稿領域を読み取った画像から切り出す。
【0055】
原稿領域を切り出すとは、出力する画像、即ち印刷や送信する画像を原稿領域に対応させることである。出力する画像のサイズが原稿領域よりも大きい場合は、原稿領域外を所定の画素(通常は白画素)で埋めて出力する。
【0056】
さらに、この発明の好ましい態様について説明する。
(ii)前記画像読取デバイスが読み取った原稿が白紙頁か否かを判断し白紙頁の出力を抑制する白紙判定機能を実行する白紙判定部と、白紙判定機能を有効にするか否かのユーザーによる設定を受付ける機能設定部をさらに備え、前記原稿領域決定部は、前記白紙判定機能が有効な場合に原稿が白紙頁か否かにかかわらず各頁について原稿領域を決定し、何れか一方の面の原稿領域が決定できない場合に他方の面の原稿領域を適用してもよい。
白紙判定機能は白紙頁の出力を抑制するので、白紙判定機能が設定された場合の白紙頁については原稿領域を決定する意義がないところ、このようにすれば、原稿の表裏両面を読み取る場合に他方の頁が白紙頁であったとしても一方の面の原稿領域が決定できなければ白紙頁の原稿領域を適用することができる。
【0057】
(iii)前記画像読取デバイスは、原稿を搬送する原稿搬送機構と、原稿の表裏何れか一方の面を読み取る第1面読取デバイスと、前記第1面読取デバイスに対応し、表面がグレー色の位置と白色の位置とを有する第1面背景色板と、前記原稿の他方の面を読み取る第2面読取デバイスと、前記第2面読取デバイスに対応する第2面背景色板と、白紙判定機能が有効か否かに応じて前記第1面読取デバイスが前記第1面背景色板を読み取る位置を切替える読取位置切替部を備え、前記第1面背景色板は、露出面が白色の領域とグレー色の領域とを有し、前記読取位置切替部は、前記白紙判定機能が有効であれば原稿のない領域で前記第1面背景色板のグレー色の位置を読み取り、前記白紙判定機能が無効であれば白色の位置を読み取るように前記第1面読取デバイスの読取位置を切替えてもよい。
白紙判定機能このようにすれば、第1面読取デバイスの読取位置を切替えることによって、白紙判定機能が有効であれば原稿のない領域で第1面背景色板がグレー色の位置を読み取り、白紙判定機能が無効であれば白色の位置を読み取るようにできる。
【0058】
(iv)前記画像切り出し部は、決定された原稿領域が傾いている場合に傾きを補正して原稿画像を切り出してもよい。
このようにすれば、原稿が傾いた状態で読み取られた場合でも、その傾きに応じて原稿領域を切り出すことができる。
【0059】
(v)この発明の一態様は、コンピュータが、原稿および原稿外の領域で対向する背景色板を画像として読み取るステップと、読み取られた画像における前記原稿と前記背景色板との濃度差または色差に基づいて原稿と背景との境界を判別し原稿領域を決定するステップと、前記原稿の表裏両面を読み取る場合に一方の面の原稿領域が決定できなければ他方の面の原稿領域を適用して原稿画像を切り出すステップとを備える原稿画像の読取方法を含む。
【0060】
この発明の態様には、上述した複数の態様のうちの何れかを組み合わせたものも含まれる。
前述した実施の形態の他にも、この発明について種々の変形例があり得る。それらの変形例は、この発明の範囲に属さないと解されるべきものではない。この発明には、請求の範囲と均等の意味および前記範囲内でのすべての変形とが含まれるべきである。
【符号の説明】
【0061】
11:制御部、 11C:通信制御部、 11F:ファイル制御部、 11J:ジョブ管理部、 11P:画像処理制御部、 11U:UI制御部,ユーザーインターフェース制御部、 11X:ジョブ実行部、 13:記憶デバイス、 14:画像形成ユニット、 15:スキャナーユニット、 16:原稿送り装置、 17:原稿台、 18:オモテ面読取窓、 19:UIユニット,ユーザーインターフェース・ユニット、 19D:表示デバイス、 19I:操作入力デバイス、 21:通信回路、 31:原稿セットトレイ、 33:原稿排出トレイ、 40:画像処理回路、 41:入力処理回路、 43:白紙判定回路、 45:原稿領域判定回路、 47:出力画像生成回路 51:オモテ面背景色板、 53:裏面背景色板、 55:第1キャリッジ、 57:第2キャリッジ、 59:光学レンズ、 61:イメージセンサー、 63:スキャナモーター、 65:ワイヤプーリー、 67:裏面読取ユニット、 69:レンズ・イメージセンサーユニット
100:複合機
R1,R2,R3:読取位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9