(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165825
(43)【公開日】2022-11-01
(54)【発明の名称】鋼材の自動切断装置及び自動切断方法
(51)【国際特許分類】
B23K 7/00 20060101AFI20221025BHJP
【FI】
B23K7/00 501A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021071347
(22)【出願日】2021-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000159618
【氏名又は名称】吉川工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001601
【氏名又は名称】弁理士法人英和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 好大
(72)【発明者】
【氏名】松尾 繁則
(72)【発明者】
【氏名】森 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】原 英明
(57)【要約】
【課題】鋼材、特にH形鋼又はそのスクラップ材を効率的に切断する技術手段を提供する。
【解決手段】本発明は、H形鋼100の長手方向に沿う走行方向に移動可能な走行フレーム20と、走行フレーム20の長手方向に沿う横行方向に移動可能な一対のフランジ切断用ユニット30と、横行方向に移動可能なウェブ切断用ユニット40とを備えるH形鋼の自動切断装置1を提供する。フランジ切断用ユニット30は、フランジ102をガス切断するためのフランジ切断用トーチ31と、フランジ102の外側面までの距離L1を計測する第1距離センサ32とを含む。ウェブ切断用ユニット40は、ウェブ101をガス切断するためのウェブ切断用トーチ41と、H形鋼の上面までの距離L2を計測する第2距離センサとを含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のフランジが直立するように載置されるH形鋼の幅方向に沿うようにH形鋼の上方に配置され、当該H形鋼の長手方向に沿う方向(以下「走行方向」という。)に移動可能な走行フレームと、
前記走行フレームに取り付けられ、当該走行フレームの長手方向に沿う方向(以下「横行方向」という。)に移動可能な一対のフランジ切断用ユニットと、
前記走行フレームに取り付けられると共に前記一対のフランジ切断用ユニットの間に配置され、横行方向に移動可能なウェブ切断用ユニットとを備えるH形鋼の自動切断装置であって、
前記一対のフランジ切断用ユニットは、それぞれ、一対のフランジをガス切断するためのフランジ切断用トーチと、一対のフランジの外側面までの距離を計測する第1距離センサとを含み、
前記ウェブ切断用ユニットは、H形鋼のウェブをガス切断するためのウェブ切断用トーチと、H形鋼の上面までの距離を計測する第2距離センサとを含み、
前記フランジ切断用トーチ、前記第1距離センサ及び前記ウェブ切断用トーチは昇降可能である、H形鋼の自動切断装置。
【請求項2】
前記走行フレームは、それぞれ一対のフランジの外側面までの距離を計測する一対の第3距離センサを含む、請求項1に記載のH形鋼の自動切断装置。
【請求項3】
前記フランジ切断用トーチ及び前記第1距離センサは同一の第1昇降部材に取り付けられており、前記第1昇降部材を昇降させることにより、前記フランジ切断用トーチ及び前記第1距離センサが同調して昇降する、請求項1又は2に記載のH形鋼の自動切断装置。
【請求項4】
前記ウェブ切断用トーチ及び前記第2距離センサは同一の第2昇降部材に取り付けられており、前記第2昇降部材を昇降させることにより、前記ウェブ切断用トーチ及び前記第2距離センサが同調して昇降する、請求項1から3のいずれか一項に記載のH形鋼の自動切断装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のH形鋼の自動切断装置を使用してH形鋼を切断するH形鋼の自動切断方法であって、
前記フランジ切断用トーチを上昇又は下降させることによりH形鋼のフランジを切断するフランジ切断工程と、前記ウェブ切断用トーチを横行方向に移動させることによりH形鋼のウェブを横行切断するウェブ横行切断工程とを含み、
前記フランジ切断工程においてH形鋼のウェブに開口部を形成し、前記ウェブ横行切断工程では、前記開口部を起点としてウェブ横行切断を実行する、H形鋼の自動切断方法。
【請求項6】
前記フランジ切断工程においてH形鋼のウェブに開口部を形成する際のガス切断条件と、そのガス切断条件により形成される開口部の長さとの関係を予め求めておき、前記ウェブ横行切断工程では、前記ガス切断条件から開口部の長さを予測し、その開口部の先端近傍を起点としてウェブ横行切断を実行する、請求項5に記載のH形鋼の自動切断方法。
【請求項7】
前記ウェブ横行切断工程の終了後、前記走行フレームを走行方向に移動させることにより前記ウェブ切断用トーチを走行方向に移動させ、H形鋼のウェブを走行切断するウェブ走行切断工程を含む、請求項5又は6に記載のH形鋼の自動切断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼材、特にH形鋼又はそのスクラップ材をガス切断する自動切断装置及び自動切断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
形鋼をガス切断する技術として、特許文献1には山形鋼の切断方法及びその装置が開示されている。山形鋼はL形の形状のため、ウェブ切断をその端面より開始できる。しかしH形鋼では端面からウェブ切断を開始できない。また、H形鋼のスクラップ材を切断(小割切断)する場合、そのH形鋼のスクラップ材の形状は様々であり、反りや捩れなど変形があることも多いことから、従来のガス切断技術ではH形鋼のスクラップ材を切断(小割切断)することは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、鋼材、特にH形鋼又はH形鋼のスクラップ材を効率的に切断する技術手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一観点によれば、一対のフランジが直立するように載置されるH形鋼の幅方向に沿うようにH形鋼の上方に配置され、当該H形鋼の長手方向に沿う方向(以下「走行方向」という。)に移動可能な走行フレームと、前記走行フレームに取り付けられ、当該走行フレームの長手方向に沿う方向(以下「横行方向」という。)に移動可能な一対のフランジ切断用ユニットと、前記走行フレームに取り付けられると共に前記一対のフランジ切断用ユニットの間に配置され、横行方向に移動可能なウェブ切断用ユニットとを備えるH形鋼の自動切断装置であって、前記一対のフランジ切断用ユニットは、それぞれ、一対のフランジをガス切断するためのフランジ切断用トーチと、一対のフランジの外側面までの距離を計測する第1距離センサとを含み、前記ウェブ切断用ユニットは、H形鋼のウェブをガス切断するためのウェブ切断用トーチと、H形鋼の上面までの距離を計測する第2距離センサとを含み、前記フランジ切断用トーチ、前記第1距離センサ及び前記ウェブ切断用トーチは昇降可能である、H形鋼の自動切断装置が提供される。
【0006】
本発明の他の観点によれば、上記本発明のH形鋼の自動切断装置を使用してH形鋼を切断するH形鋼の自動切断方法であって、前記フランジ切断用トーチを上昇又は下降させることによりH形鋼のフランジを切断するフランジ切断工程と、前記ウェブ切断用トーチを横行方向に移動させることによりH形鋼のウェブを横行切断するウェブ横行切断工程とを含み、前記フランジ切断工程においてH形鋼のウェブに開口部を形成し、前記ウェブ横行切断工程では、前記開口部を起点としてウェブ横行切断を実行する、H形鋼の自動切断方法が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、鋼材、特にH形鋼又はそのスクラップ材を効率的に切断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態であるH形鋼の自動切断装置の斜視図。
【
図2】
図1に示す自動切断装置の左側半分の正面図。
【
図3】
図1に示す自動切断装置によるH形鋼の小割切断方法を概念的に示し、(a)はフランジ切断工程、(b)はウェブ横行切断工程を示す概念図。
【
図4A】フランジ切断工程及びウェブ横行切断工程における切断パターンの一例を示す概念図。
【
図4B】フランジ切断工程及びウェブ横行切断工程における切断パターンの他の例を示す概念図。
【
図4C】フランジ切断工程及びウェブ横行切断工程における切断パターンの更に他の例を示す概念図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1に、本発明の一実施形態であるH形鋼の自動切断装置(以下、単に「切断装置」という。)1を斜視図で示している。
図2には、切断装置1の左側半分を正面図で示している。なお、切断装置1の右側半分は
図2に示す左側半分と実質的に対称である。
【0010】
切断装置1は、載置台10に載置されるH形鋼100をガス切断する。H形鋼100はウェブ101とその両端の一対のフランジ102とからなるところ、切断装置1で切断する際には
図1に示すように一対のフランジ102が直立するように載置台10に載置される。そして、切断装置1は、一対のフランジ102が直立するように載置されるH形鋼100の幅方向に沿うようにH形鋼100の上方に配置され、H形鋼100の長手方向に沿う方向、すなわち走行方向に移動可能な走行フレームとして、門型フレーム20を備えている。具体的には門型フレーム20は、一対のフランジ102が直立するように載置されるH形鋼100の幅方向を跨ぐ(架設する)ように配置され、一対のレール21上を走行方向に移動可能である。なお、門型フレーム10を走行させるために、門型フレーム20は一対の駆動機構(モータ)22を備えている。
【0011】
門型フレーム20の梁部20aには、一対のフランジ切断用ユニット30及び一対のウェブ切断用ユニット40が、それぞれ門型フレーム20の梁部20aの長手方向に沿う方向、すなわち横行方向に移動可能に取り付けられている。なお、この横行方向とは一対のフランジ102が直立するように載置されるH形鋼100の幅方向に沿う方向でもある。また、一対のウェブ切断用ユニット40は、一対のフランジ切断用ユニット30の間に配置されている。
【0012】
一対のフランジ切断用ユニット30は、それぞれ、H形鋼100の一対のフランジ102をガス切断するためのフランジ切断用トーチ31と、H形鋼100の一対のフランジ102の外側面までの距離L1を計測する第1距離センサ32を有する。本実施形態において、フランジ切断用トーチ31及び第1距離センサ32は、同一の第1昇降部材33に取り付けられており、第1昇降部材33を昇降させることにより、フランジ切断用トーチ31及び第1距離センサ32が同調して昇降する。第1昇降部材33は、第1シリンダ34の駆動により昇降する。また、本実施形態において、フランジ切断用トーチ31及び第1距離センサ32の中心軸は、同一の鉛直面内に位置する。
【0013】
一対のウェブ切断用ユニット40は、それぞれ、H形鋼100のウェブ101をガス切断するためのウェブ切断用トーチ41と、H形鋼100の上面までの距離L2を計測する第2距離センサ42を有する。本実施形態において、ウェブ切断用トーチ41及び第2距離センサ42は、同一の第2昇降部材43に取り付けられており、第2昇降部材43を昇降させることにより、ウェb切断用トーチ41及び第2距離センサ42が同調して昇降する。第2昇降部材43は、第2シリンダ44の駆動により昇降する。また、本実施形態において、ウェブ切断用トーチ41及び第2距離センサ42の中心軸は、同一の鉛直面内に位置する。
【0014】
本実施形態において門型フレーム20の一対の柱部20bは、それぞれH形鋼100の一対のフランジ102の外側面までの距離L3を計測する一対の第3距離センサ23を備えている。
なお、本実施形態において距離センサ(第1距離センサ32、第2距離センサ42及び第3距離センサ23)としては、レーザーセンサ、超音波センサ等の一般的な距離センサを使用することができる。
【0015】
次に、切断装置1によるH形鋼100の小割切断動作について説明する。なお、本実施形態においてH形鋼100はスクラップ材であり、その形状は未知であり、反りや捩れなど変形もあり得る。そこで、このH形鋼100を小割切断するにあたり、その切断箇所の形状や寸法を第1距離センサ32、第2距離センサ42及び第3距離センサ23を使用して認識する。
まず、第3距離センサ23により距離L3を計測する。次に、この距離L3に基づいて、第2距離センサ32を含むウェブ切断用ユニット40を、第2距離センサ42によって距離L2の計測を開始する所定位置、具体的にはH形鋼100のフランジ102の外側面の少し外側の位置まで横行方向に移動させる。そして第2距離センサ32を含むウェブ切断用ユニット40を、H形鋼100のウェブ101の中央側に向けて横行方向に移動させることにより、H形鋼100の上面までの距離L2を連続的に計測する。これにより、H形鋼100のフランジ102の板厚、及びウェブ101の切断箇所の形状を認識できる。
これと並行して、第1距離センサ32を含むフランジ切断用ユニット30を、第1距離センサ32によって距離L1の計測を開始する所定位置まで横行方向に移動させたうえで、第1距離センサ32を上昇又は下降させることにより、H形鋼100のフランジ102の上端から下端まで連続的に距離L1を計測する。これにより、フランジ102の切断箇所の形状及び寸法(高さ)を認識できる。
また、H形鋼100においてウェブ101は通常、フランジ102の高さ方向中央に位置するから、第1距離センサ32による計測結果から得られるフランジ102の高さ寸法、第2距離センサ42によって計測されるウェブ101の上面までの距離L2、及び第2距離センサ42の高さ位置からウェブ101の板厚を求めることができる。
【0016】
このようにして本実施形態では、H形鋼100を小割切断するにあたり、その切断箇所の形状や寸法を第1距離センサ32、第2距離センサ42及び第3距離センサ23を使用して認識する。ここで、本実施形態において各距離センサによる距離の計測データは、図示しない制御部に送信され、その制御部が各距離の計測データを処理することにより、切断箇所の形状や寸法を認識する。
【0017】
なお、本実施形態では距離L3を計測するために一対の第3距離センサ23を設けているが、一対の第3距離センサ23は省略可能である。すなわち、距離L3は上述の通り、第2距離センサ32を含むウェブ切断用ユニット40を、第2距離センサ42によって距離L2の計測を開始する所定位置、具体的にはH形鋼100のフランジ102の外側面の少し外側の位置まで横行方向に移動させる際に参照されるが、距離L3がわかっていなくても、ウェブ切断用ユニット40を徐々に横行方向に移動させるようにすれば、第2距離センサ42によって距離L2を計測することはできる。ただし、ウェブ切断用ユニット40を上述の所定位置まで素早く横行方向に移動させるためには、第3距離センサ23によって距離L3を計測することが好ましい。
【0018】
次に、切断装置1によるH形鋼100の具体的な小割切断方法について説明する。
本実施形態においてH形鋼100の小割切断方法は、
図3(a)に示すようにフランジ切断用トーチ31を上昇又は下降(
図3(a)では上昇)させることによりH形鋼100のフランジ102を切断するフランジ切断工程と、
図3(b)に示すようにウェブ切断用トーチ41を横行方向に移動させることによりH形鋼100のウェブ101を横行切断するウェブ横行切断工程とを含む。そして、フランジ切断工程においてH形鋼100のウェブ101に開口部103を形成し、ウェブ横行切断工程では、開口部103を起点としてウェブ横行切断を実行する。このように、フランジ切断工程においてH形鋼100のウェブ101に開口部103を形成することで、ウェブ横行切断工程を開始するにあたり、別途、ピアシング(孔開け作業)を行うことなく、ウェブ横行切断を実行することができる。
【0019】
ここで、開口部103は鉛直方向に貫通しており、開口部103の長さ(横行方向長さ)は、フランジ切断工程においてH形鋼100のウェブ101に開口部103を形成する際のガス切断条件によって決まる。そこで、本実施形態では、フランジ切断工程においてH形鋼100のウェブ101に開口部103を形成する際のガス切断条件と、そのガス切断条件により形成される開口部103の長さとの関係を予め求めておき、ウェブ横行切断工程では、上記ガス切断条件から開口部103の長さを予測し、その開口部103の先端近傍を起点としてウェブ横行切断を実行するようにしている。これにより、ウェブ横行切断工程を迅速かつ正確に開始することができる。なお、フランジ切断工程においてH形鋼100のウェブ101に開口部103を形成する際のガス切断条件としては、切断速度(フランジ切断用トーチ31の移動速度)、切断出力(フランジ切断用トーチ31への燃料供給量等)、H形鋼100の寸法(ウェブ101及びフランジ102の板厚等)などが挙げられる。
【0020】
本実施形態では、上述のウェブ横行切断工程の終了後、門型フレーム20を走行方向に移動させることによりウェブ切断用トーチ41を走行方向に移動させ、これによりH形鋼100のウェブ101を走行切断するウェブ走行切断工程を含むことができる。このウェブ走行切断工程を含むことで、H形鋼100(スクラップ材)を例えば電気炉や転炉への投入材料に適した嵩張らない形状に小割切断することができる。
【0021】
なお、本実施形態において、フランジ切断工程におけるフランジ切断用トーチ31の動作、ウェブ横行切断工程におけるウェブ切断用トーチ41の動作、並びにウェブ走行切断工程におけるウェブ切断用トーチ41の動作及び門型フレーム20の動作は、いずれも上述した制御部によって制御される。すなわち、制御部は、H形鋼100を小割切断するにあたり、その切断箇所の形状や寸法を第1距離センサ32及び第2距離センサ42を使用して認識しており、その切断箇所の形状や寸法に応じてフランジ切断用トーチ31等の動作を制御する。
【0022】
図4A~Cに、フランジ切断工程及びウェブ横行切断工程における具体的な切断パターンを例示している。
図4Aの切断パターンでは、まず、フランジ切断用トーチ31をフランジ102の下端位置から上昇させることにより、フランジ切断工程を開始し(同図(a))、フランジ切断用トーチ31がウェブ101の上面位置を通過したあたりでフランジ切断工程を一旦中断する。ここで、フランジ切断用トーチ31がウェブ101を通過する際には、フランジ切断用トーチ31の上昇速度を低くしてウェブ101に開口部103を形成する(同図(b))。そしてウェブ横行切断工程では、開口部103を起点としてウェブ切断用トーチ41を横行方向に移動させることによりウェブ横行切断を実行する。また、このウェブ横行切断工程と並行して、フランジ切断用トーチ31をフランジ102の上端位置から下降させることにより、フランジ切断を実行する(同図(c))。
この
図4Aの切断パターンでは、開口部103を起点としてウェブ切断を開始する際、フランジ切断用トーチ31は開口部103の近傍に位置しないので、ウェブ切断用トーチ41とフランジ切断用トーチ31との干渉をなくすことができると共に、フランジ切断用トーチ31によりフランジ切断を実行する際に発生する溶融物が開口部103に溜まってウェブ横行切断の開始に支障を来すことを防止できる。
【0023】
図4Bの切断パターンでは、フランジ切断用トーチ31をフランジ102の下端位置から上端位置まで上昇させることにより、フランジ切断を連続的に実行する(同図(a)及び(b))。そして、このフランジ切断の途中でウェブ101に開口部103を形成し、ウェブ横行切断工程では、開口部103を起点としてウェブ横行切断を実行する(同図(b))。
この
図4Bの切断パターンでは、フランジ切断工程において切断開始時の火入れを1回のみとすることができる。
【0024】
図4Cの切断パターンでは、フランジ切断用トーチ31をフランジ102の上端位置から下端位置まで下降させることにより、フランジ切断を連続的に実行する(同図(a)及び(b))。そして、このフランジ切断の途中でウェブ101に開口部103を形成し、ウェブ横行切断工程では、開口部103を起点としてウェブ横行切断を実行する(同図(b))。
この
図4Cの切断パターンでも、フランジ切断工程において切断開始時の火入れを1回のみとすることができる。また、
図4Cの切断パターンでは、開口部103を起点としてウェブ横行切断を開始する際、フランジ切断用トーチ31は開口部103の下方に位置するので、フランジ切断用トーチ31によりフランジ切断を実行する際に発生する溶融物が開口部103に溜まってウェブ横行切断の開始に支障を来すことを防止できる。
【0025】
なお、
図4A~CにはH形鋼100の左半分のみを示しているが、右半分についても左半分と同様に、かつ左半分と並行してフランジ切断及びウェブ横行切断を実行することができる。
【0026】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は本実施形態に限定されるものではない。以下、主な変形例を例示する。
(1)本実施形態は、一対(2個)のウェブ切断用ユニット40を備えているが、ウェブ切断用ユニット40は1個であってもよい。ウェブ切断用ユニット40が1個であっても、ウェブ横行切断及びウェブ走行切断は実行可能であり、距離L2の計測も可能である。ただし、ウェブ横行切断及び距離L2の計測を効率的に実行する点からは、本実施形態のように一対のウェブ切断用ユニット40を備えていることが好ましい。
(2)本実施形態では、フランジ切断用トーチ31及び第1距離センサ32は同一の第1昇降部材33に取り付け、第1昇降部材33を昇降させることにより、フランジ切断用トーチ31及び第1距離センサ32が同調して昇降するようにしたが、フランジ切断用トーチ31及び第1距離センサ32はそれぞれ個別の昇降部材に取り付け、個別に昇降させるようにしてもよい。ただし、切断装置1の小型化・簡素化及び機械的誤差の低減の点からは、本実施形態のようにフランジ切断用トーチ31及び第1距離センサ32が同調して昇降するようにすることが好ましい。
(3)本実施形態では、ウェブ切断用トーチ41及び第2距離センサ42は同一の第2昇降部材43に取り付け、第2昇降部材43を昇降させることにより、ウェブ切断用トーチ41及び第2距離センサ42が同調して昇降するようにしたが、ウェブ切断用トーチ41及び第2距離センサ42はそれぞれ個別の昇降部材に取り付け、個別に昇降させるようにしてもよい。また、第2距離センサ42は必ずしも昇降させる必要はない。ただし、切断装置1の小型化・簡素化及び機械的誤差の低減の点からは、本実施形態のようにウェブ切断用トーチ41及び第2距離センサ42が同調して昇降するようにすることが好ましい。
【符号の説明】
【0027】
1 切断装置
10 載置台
20 門型フレーム
20a 梁部
20b 柱部
21 レール
22 駆動機構(モータ)
23 第3距離センサ
30 フランジ切断用ユニット
31 フランジ切断用トーチ
32 第1距離センサ
33 第1昇降部材
34 第1シリンダ
40 ウェブ切断用ユニット
41 ウェブ切断用トーチ
42 第2距離センサ
43 第2昇降部材
44 第2シリンダ
100 H形鋼
101 ウェブ
102 フランジ
103 開口部