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特開2022-165838手術器具アダプタおよび手術支援ロボット
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165838
(43)【公開日】2022-11-01
(54)【発明の名称】手術器具アダプタおよび手術支援ロボット
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/30 20160101AFI20221025BHJP
   A61B 90/50 20160101ALI20221025BHJP
【FI】
A61B34/30
A61B90/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021071376
(22)【出願日】2021-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】514063179
【氏名又は名称】株式会社メディカロイド
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100202728
【弁理士】
【氏名又は名称】三森 智裕
(72)【発明者】
【氏名】吾郷 健二
(72)【発明者】
【氏名】須賀 和則
(72)【発明者】
【氏名】堀田 志郎
(57)【要約】
【課題】手術支援ロボット専用の手術器具を用いることなく、既存の手動用手術器具を操作することが可能な手術器具アダプタを提供する。
【解決手段】この手術器具アダプタ300は、ロボットアーム60に設けられる駆動部75から伝達された駆動力により回転駆動される回転体311を有するインターフェイス部310と、手動用手術器具200のスイッチ部(204、205a、205bおよび206)を押下する押下部(第1押下部331、第2押下部332,アーム部341、アーム部351)を含む被駆動部320と、回転体311および被駆動部320に接続され、回転体311から被駆動部320に駆動力を伝達するワイヤまたはケーブルからなる細長要素360と、細長要素360をガイドするガイドチューブ361と、を備える。
【選択図】図19
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットアームに対し手動用手術器具を操作可能に接続する手術器具アダプタであって、
前記ロボットアームに設けられる駆動部から伝達された駆動力により回転駆動される回転体を有するインターフェイス部と、
前記手動用手術器具の操作部を押下する押下部を含む被駆動部と、
前記回転体および前記被駆動部に接続され、前記回転体から前記被駆動部に駆動力を伝達するワイヤまたはケーブルからなる細長要素と、
前記細長要素をガイドするガイドチューブと、を備える、手術器具アダプタ。
【請求項2】
前記手動用手術器具の前記操作部は、複数設けられ、
前記押下部を含む前記被駆動部は、前記複数の操作部に対応するように複数設けられており、
前記押下部を各々含む複数の前記被駆動部は、各々、モジュール化されている、請求項1に記載の手術器具アダプタ。
【請求項3】
前記被駆動部の前記押下部は、前記手動用手術器具の前記操作部の操作方向に沿って移動するアーム部を含む、請求項1または2に記載の手術器具アダプタ。
【請求項4】
前記被駆動部は、前記細長要素によって駆動されるウォーム部と、前記ウォーム部に係合するウォームホイール部を含み、
前記アーム部は、前記ウォーム部および前記ウォームホイール部により駆動されるように構成されている、請求項3に記載の手術器具アダプタ。
【請求項5】
前記ウォームホイール部は、回転可能な軸部材と、前記軸部材と回転一体に設けられた当接部とを有し、
前記アーム部は、前記当接部が当接することにより、回動するように構成されている、請求項4に記載の手術器具アダプタ。
【請求項6】
前記当接部は、カム形状を有する、請求項5に記載の手術器具アダプタ。
【請求項7】
前記手動用手術器具の前記操作部は、第1面内と、前記第1面と直交する第2面内とで円弧状に移動する十字式操作部を含み、
前記被駆動部の前記押下部は、前記第1面内で円弧状に移動して前記十字式操作部を押下する第1押下部と、前記第2面内で円弧状に移動して前記十字式操作部を押下する第2押下部とを含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の手術器具アダプタ。
【請求項8】
前記第1押下部および前記第2押下部を各々支持するとともに、円弧状に形成された案内部が設けられたフレーム部と、
前記第1押下部および前記第2押下部は、前記案内部に挿入され、前記案内部により案内される係合部をそれぞれ有する、請求項7に記載の手術器具アダプタ。
【請求項9】
前記第1押下部および前記第2押下部は、各々前記細長要素が配置されると共に固定される溝部をそれぞれ有している、請求項7または8に記載の手術器具アダプタ。
【請求項10】
前記第1押下部と前記第2押下部は、各々独立して駆動され、
前記第1押下部と前記第2押下部とのうちの一方が駆動される際には、前記第1押下部と前記第2押下部とのうちの他方を、円弧状の移動の中心位置に配置するように構成されている、請求項7~9のいずれか1項に記載の手術器具アダプタ。
【請求項11】
前記インターフェイス部と、前記被駆動部と、前記ガイドチューブとを収納する筐体をさらに備え、
前記筐体は、前記手動用手術器具を前記筐体の内部に装着するための開口部と、前記手動用手術器具の装着方向と直交する方向に開閉すると共に、前記開口部を覆うカバー部とを含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の手術器具アダプタ。
【請求項12】
前記ガイドチューブ内の前記細長要素の一部分には、前記細長要素を補強する補強部材が設けられている、請求項1~11のいずれか1項に記載の手術器具アダプタ。
【請求項13】
前記ガイドチューブは、第1ガイドチューブ部分と、前記第1ガイドチューブ部分と隙間を空けて設けられた第2ガイドチューブ部分とを有し、
前記補強部材は、前記第1ガイドチューブ部分と前記第2ガイドチューブ部分との間の前記隙間に設けられている、請求項12に記載の手術器具アダプタ。
【請求項14】
前記ガイドチューブを直線状に支持する一対の支持部材を備え、
前記補強部材は、前記一対の支持部材間において、前記細長要素を補強するように設けられている、請求項13に記載の手術器具アダプタ。
【請求項15】
前記インターフェイス部は、前記ロボットアームに取り付けられると共に前記回転体の回転軸方向の一方端が支持されるベースと、前記回転体の回転軸方向の他方端を支持する支持部材とを有し、
前記回転体は、前記ベースと前記支持部材とによって両持ちされている、請求項1~14のいずれか1項に記載の手術器具アダプタ。
【請求項16】
前記ガイドチューブは、前記回転体と前記被駆動部との間の前記細長要素の経路長を調整する調整機構を有する、請求項1~15のいずれか1項に記載の手術器具アダプタ。
【請求項17】
前記被駆動部は、前記細長要素によって駆動されるウォーム部と、前記ウォーム部に係合するウォームホイール部と、前記ウォーム部及び前記ウォームホイール部を支持するフレーム部を有し、
前記フレーム部は、前記フレーム部に一体的に設けられ、前記手動用手術器具の前記操作部の操作方向に沿って移動するたわみ変形可能なアーム部を含む、請求項1に記載の手術器具アダプタ。
【請求項18】
前記アーム部および前記フレーム部は、樹脂により一体形成されている、請求項17に記載の手術器具アダプタ。
【請求項19】
前記フレーム部は、前記ウォーム部と前記ウォームホイール部とを一方側から覆う第1部分と、前記第1部分に組み合わされ、前記ウォーム部と前記ウォームホイール部とを他方側から覆う第2部分とを含む、請求項18に記載の手術器具アダプタ。
【請求項20】
駆動部を有するロボットアームと、
前記ロボットアームに手動用手術器具を操作可能に接続する手術器具アダプタとを備え、
前記手術器具アダプタは、
前記ロボットアームの前記駆動部から伝達された駆動力により回転駆動される回転体を有するインターフェイス部と、
前記手動用手術器具の操作部を押下する押下部を含む被駆動部と、
前記回転体および前記被駆動部に接続され、前記回転体から前記被駆動部に駆動力を伝達するワイヤまたはケーブルからなる細長要素と、
前記細長要素をガイドするガイドチューブと、を含む、手術支援ロボット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、手術器具アダプタおよび手術支援ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、手術ツールが取り付けられる手術支援ロボットが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1の手術支援ロボットは、複数のロボットマニピュレータを備えている。複数のロボットマニピュレータは、多関節ロボットにより構成されている。また、複数のロボットマニピュレータには、各々、手術ツールが取り付けられている。
【0004】
また、上記特許文献1の手術支援ロボットでは、手術ツールは、手術ツールをロボットマニピュレータに取り付けるためのツール取付部を含む。また、ツール取付部には、回転可能な回転体が設けられている。そして、ロボットマニピュレータに設けられた駆動部が、ツール取付部の回転体を回転させる。そして、この回転体の回転力に基づいて、手術ツール(エンドカッター)などが動作される。なお、上記特許文献1には明記されていないが、一般的に、ロボットマニピュレータに取り付けられる手術ツールは、取り付けられるロボットマニピュレータの機構(駆動部)などに適合するように、専用品として作成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2012/0211546号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載のような従来の手術支援ロボットでは、ロボットマニピュレータに取り付けられる手術ツールがロボットマニピュレータの機構などに適合するように専用品として作成されている。そのため、病院等で所有している既存の医師等が手動によって操作する手動用手術器具を手術支援ロボットのロボットマニピュレータ(ロボットアーム)が操作できないという問題点がある。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、手術支援ロボット専用の手術器具を用いることなく、既存の手動用手術器具を操作することが可能な手術器具アダプタおよび手術支援ロボットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面による手術器具アダプタは、ロボットアームに対し手動用手術器具を操作可能に接続する手術器具アダプタであって、ロボットアームに設けられる駆動部から伝達された駆動力により回転駆動される回転体を有するインターフェイス部と、手動用手術器具の操作部を押下する押下部を含む被駆動部と、回転体および被駆動部に接続され、回転体から被駆動部に駆動力を伝達するワイヤまたはケーブルからなる細長要素と、細長要素をガイドするガイドチューブと、を備える。
【0009】
この発明の第1の局面による手術器具アダプタは、上記のように、ロボットアームに設けられる駆動部から伝達された駆動力により回転駆動される回転体を有するインターフェイス部と、手動用手術器具の操作部を押下する押下部を含む被駆動部とを備える。これにより、ロボットアームに設けられる駆動部の駆動力によって、被駆動部の押下部を駆動(移動)することにより、手動用手術器具の操作部を操作(押下)することができる。その結果、ロボット専用の手術器具を用いることなく、既存の手動用手術器具を操作することができる。また、回転体から被駆動部に駆動力を伝達するワイヤまたはケーブルからなる細長要素をガイドするガイドチューブを備えることによって、手動用手術器具の操作部の位置に合わせて被駆動部の配置(レイアウト)を変更した場合でも、細長要素がガイドチューブにより、配置が変更された被駆動部にガイドされる。これにより、被駆動部の配置(レイアウト)を変更した場合でも、ガイドチューブによりガイドされた細長要素により被駆動部を駆動することができる。その結果、被駆動部のレイアウトの変更に対して柔軟に対応することができる。
【0010】
この発明の第2の局面による手術支援ロボットは、駆動部を有するロボットアームと、ロボットアームに手動用手術器具を操作可能に接続する手術器具アダプタとを備え、手術器具アダプタは、ロボットアームの駆動部から伝達された駆動力により回転駆動される回転体を有するインターフェイス部と、手動用手術器具の操作部を押下する押下部を含む被駆動部と、回転体および被駆動部に接続され、回転体から被駆動部に駆動力を伝達するワイヤまたはケーブルからなる細長要素と、細長要素をガイドするガイドチューブと、を含む。
【0011】
この発明の第2の局面による手術支援ロボットは、上記のように、ロボットアームに設けられる駆動部から伝達された駆動力により回転駆動される回転体を有するインターフェイス部と、手動用手術器具の操作部を押下する押下部を含む被駆動部とを備える。これにより、ロボットアームに設けられる駆動部の駆動力によって、被駆動部の押下部を駆動(移動)することにより、手動用手術器具の操作部を操作(押下)することができる。その結果、ロボット専用の手術器具を用いることなく、既存の手動用手術器具を操作することが可能な手術支援ロボットを提供することができる。また、回転体から被駆動部に駆動力を伝達するワイヤまたはケーブルからなる細長要素をガイドするガイドチューブを備えることによって、手動用手術器具の操作部の位置に合わせて被駆動部の配置(レイアウト)を変更した場合でも、細長要素がガイドチューブにより、配置が変更された被駆動部にガイドされる。これにより、被駆動部の配置(レイアウト)を変更した場合でも、ガイドチューブによりガイドされた細長要素により被駆動部を駆動することが可能な手術支援ロボットを提供することができる。その結果、被駆動部のレイアウトの変更に対して柔軟に対応することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、上記のように、手術支援ロボット専用の手術器具を用いることなく、既存の手動用手術器具を操作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態による外科手術システムの構成を示す図である。
図2】第1実施形態による医療用マニピュレータの構成を示す図である。
図3】第1実施形態による操作ハンドルの構成を示す図である。
図4】第1実施形態によるフットペダルの構成を示す図である。
図5】第1実施形態による医療用マニピュレータのロボットアームの構成を示す図である。
図6】鉗子を示す図である。
図7】第1実施形態による医療用マニピュレータの操作部の構成を示す斜視図である。
図8】内視鏡を示す図である。
図9】ピボット位置教示器具を示す図である。
図10】ロボットアームの並進移動を説明するための図である。
図11】ロボットアームの回転移動を説明するための図である。
図12】第1実施形態による医療用マニピュレータの制御部の構成を示すブロック図である。
図13】第1実施形態によるロボットアームの駆動部からアダプタおよび医療器具を取り外した状態を示した斜視図である。
図14】第1実施形態によるアダプタおよび手術器具をY2方向側から見た斜視図である。
図15】手動用手術器具を示す図である。
図16】手動用手術器具が手術器具アダプタに取り付けられた状態を示す図である。
図17】複数の被駆動部を示す図である。
図18】インターフェイス部の斜視図である。
図19】フレーム部が省略された状態の複数の被駆動部を示す図(1)である。
図20】フレーム部が省略された状態の複数の被駆動部を示す図(2)である。
図21】被駆動部(330)を示す斜視図(1)である。
図22】被駆動部(330)を示す斜視図(2)である。
図23】被駆動部(330)を示す斜視図(3)である。
図24】第1実施形態による手術器具アダプタの外観を示す図(1)である。
図25】第1実施形態による手術器具アダプタの外観を示す図(2)である。
図26】ガイドチューブを示す図である。
図27】ガイドチューブの断面図である。
図28】手動用手術器具を手術器具アダプタに取り付ける動作を説明するための図である。(a)手動用手術器具の取り付け前の状態を示す図である。(b)手動用手術器具を傾けて手術器具アダプタに挿入した状態を示す図である。(c)手動用手術器具の傾きを元に戻した状態を示す図である。(d)手動用手術器具の取り付けが完了した状態を示す図である。
図29】第2実施形態による手術器具アダプタを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を具体化した本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
[第1実施形態]
図1図28を参照して、第1実施形態による外科手術システム100の構成について説明する。外科手術システム100は、患者P側装置である医療用マニピュレータ1と、医療用マニピュレータ1を操作するための操作者側装置である遠隔操作装置2とを備えている。医療用マニピュレータ1は医療用台車3を備えており、移動可能に構成されている。遠隔操作装置2は、医療用マニピュレータ1から離間した位置に配置されており、医療用マニピュレータ1は、遠隔操作装置2により遠隔操作されるように構成されている。操作者(医師など)は、医療用マニピュレータ1に所望の動作を行わせるための指令を遠隔操作装置2に入力する。遠隔操作装置2は、入力された指令を医療用マニピュレータ1に送信する。医療用マニピュレータ1は、受信した指令に基づいて動作する。また、医療用マニピュレータ1は、滅菌された滅菌野である手術室内に配置されている。
【0016】
遠隔操作装置2は、たとえば、手術室の中または手術室の外に配置されている。遠隔操作装置2は、操作ハンドル21と、フットペダル22と、タッチパネル23と、モニタ24と、支持アーム25と、アームレスト26とを含む。操作ハンドル21は、操作者(医師など)が指令を入力するための操作用のハンドルを構成する。
【0017】
操作ハンドル21は、医療器具4を操作するように構成されている。また、操作ハンドル21は、医療器具4に対する操作量を受け付ける。操作ハンドル21は、操作者(医師など)から見て、左側に配置され、操作者の左手により操作される操作ハンドル21Lと、右側に配置され、操作者の右手により操作される操作ハンドル21Rと、を含んでいる。
【0018】
また、図3に示すように、操作ハンドル21は、リンク部21a、リンク部21b、リンク部21c、および、操作者(医師など)が操作するリンク部21dを含む。リンク部21aは、A4軸周りに回動する。リンク部21aがA4軸周りに回動されることにより、後述するアーム部61がJT4軸周りに回動する。リンク部21bは、リンク部21aに対して、A5軸周りに回動する。リンク部21bがA5軸周りに回動されることにより、後述するアーム部61がJT5軸周りに回動する。リンク部21cは、リンク部21bに対して、A6軸周りに回動する。リンク部21cがA6軸周りに回動されることにより、アーム部61がJT6軸周りに回動する。リンク部21dは、リンク部21cに対して、A7軸周りに回動する。リンク部21dがA7軸周りに回動されることにより、アーム部61がJT7軸周りに回動する。
【0019】
また、操作ハンドル21は、操作ハンドル21によって受け付けられた操作量に対してロボットアーム60(医療器具4)の移動量が変更(スケーリング)される。たとえば、移動量の倍率が1/2倍に設定されている場合、医療器具4は、操作ハンドル21の移動距離の1/2の移動距離を移動するよう制御される。これによって、精細な手術を精確に行うことができる。
【0020】
図4に示すように、フットペダル22は、医療器具4に関する機能を実行するように複数設けられている。また、複数のフットペダル22は、基台部28に配置されている。フットペダル22は、切替ペダル22aと、クラッチペダル22bと、カメラペダル22cと、切開ペダル22dと、凝固ペダル22eとを含んでいる。切替ペダル22aと、クラッチペダル22bと、カメラペダル22cと、切開ペダル22dと、凝固ペダル22eとは、操作者の足により操作される。また、切開ペダル22dは、右側のロボットアーム60用の切開ペダル22dRと、左側のロボットアーム60用の切開ペダル22dLとを含む。また、凝固ペダル22eは、右側のロボットアーム60用の凝固ペダル22eRと、左側のロボットアーム60用の凝固ペダル22eLとを含む。
【0021】
切替ペダル22aは、操作ハンドル21で動作させるロボットアーム60を切り替えるように構成されている。クラッチペダル22bは、ロボットアーム60と操作ハンドル21との操作接続を一時切断するクラッチ操作を実行するように構成されている。クラッチペダル22bが操作者によって踏み込まれている間、操作ハンドル21による操作が、ロボットアーム60に伝達されなくなる。
【0022】
また、カメラペダル22cは、内視鏡6を移動させるための指令を入力するために設けられている。具体的には、カメラペダル22cが操作者によって踏み込まれることにより、内視鏡6を移動させるための指令が入力される。また、内視鏡6の移動を可能にする指令がカメラペダル22cにより入力された場合(つまり、カメラペダル22cが操作者によって踏み込まれている間)、内視鏡6は、操作ハンドル21Rおよび操作ハンドル21Lの両方を操作することによって移動するように構成されている。
【0023】
また、切開ペダル22d(凝固ペダル22e)が操作者によって踏み込まれている間、図示しない電気手術装置が起動する。
【0024】
図1に示すように、モニタ24は、内視鏡6によって取り込まれた画像を表示するためのスコープ型表示装置である。支持アーム25は、モニタ24の高さを操作者(医師など)の顔の高さに合わせるようにモニタ24を支持する。タッチパネル23は、アームレスト26に配置されている。モニタ24近傍に設けられた図示しないセンサにより操作者の頭部を検知することにより医療用マニピュレータ1は遠隔操作装置2による操作が可能になる。操作者は、モニタ24により患部を視認しながら、操作ハンドル21およびフットペダル22を操作する。これにより、遠隔操作装置2に指令が入力される。遠隔操作装置2に入力された指令は、医療用マニピュレータ1に送信される。
【0025】
医療用台車3には、医療用マニピュレータ1の動作を制御する制御部31と、医療用マニピュレータ1の動作を制御するためのプログラムなどが記憶される記憶部32とが設けられている。そして、遠隔操作装置2に入力された指令に基づいて、医療用台車3の制御部31は、医療用マニピュレータ1の動作を制御する。
【0026】
また、医療用台車3には、入力装置33が設けられている。入力装置33は、主に施術前に手術の準備を行うために、ポジショナ40、アームベース50、および、複数のロボットアーム60の移動や姿勢の変更の操作を受け付けるように構成されている。
【0027】
図1および図2に示す医療用マニピュレータ1は、手術室内に配置されている。医療用マニピュレータ1は、医療用台車3と、ポジショナ40と、アームベース50と、複数のロボットアーム60とを備えている。アームベース50は、ポジショナ40の先端に取り付けられている。アームベース50は、比較的長い棒形状(長尺形状)を有する。また、複数のロボットアーム60は、各々のロボットアーム60の基端部が、アームベース50に取り付けられている。複数のロボットアーム60は、折り畳まれた姿勢(収納姿勢)をとることが可能に構成されている。アームベース50と、複数のロボットアーム60とは、図示しない滅菌ドレープにより覆われて使用される。また、ロボットアーム60は、医療器具4を支持する。
【0028】
ポジショナ40は、たとえば、7軸多関節ロボットにより構成されている。また、ポジショナ40は、医療用台車3上に配置されている。ポジショナ40は、アームベース50を移動させる。具体的には、ポジショナ40は、アームベース50の位置を3次元に移動させるように構成されている。
【0029】
また、ポジショナ40は、ベース部41と、ベース部41に連結された複数のリンク部42とを含む。複数のリンク部42同士は、関節部43により連結されている。
【0030】
図1に示すように、複数のロボットアーム60の各々の先端には、医療器具4が取り付けられている。医療器具4は、たとえば、取り換え可能なインストゥルメント、手術部位を撮像する(手術部位の画像を取り込むための)内視鏡6(図8参照)などを含む。
【0031】
図5に示すように、インストゥルメントには、ロボットアーム60のホルダ71に設けられたサーボモータM2によって駆動される被駆動ユニット4aが設けられている。また、インストゥルメントの先端には、エンドエフェクタ4bが設けられている。
【0032】
また、図6に示すように、インストゥルメントは、ジョー部材104aおよび104bの基端側を先端側でJT11軸周りに回転可能に支持する第1支持体4eと、第1支持体4eの基端側を先端側でJT10軸周りに回転可能に支持する第2支持体4fと、第2支持体4fの基端側に接続されるシャフト4cとを含む。被駆動ユニット4aと、シャフト4cと、第2支持体4fと、第1支持体4eと、エンドエフェクタ4bとは、Z方向に沿って配置されている。JT11軸は、シャフト4cが延びる方向(Z方向)に対して直交する。また、JT10軸は、シャフト4cが延びる方向においてJT11軸と離間しかつシャフト4cが延びる方向およびJT11軸に対して直交する。
【0033】
第1支持体4eには、JT11軸の軸線周りに回転するようにエンドエフェクタ4bが取り付けられている。また、第2支持体4fは、第1支持体4eをJT10軸について回転可能に支持している。つまり、第2支持体4fにはJT10軸の軸線周りに回転するように第1支持体4eが取り付けられている。また、第1支持体4eは、先端側(Z1方向側)の部分がU字形状を有するクレビスである。第1支持体4eのU字形状の先端側の部分のJT11軸の軸線における中央部にツールセンタポイント(TCP1)が設定されている。第2支持体4fは、先端側(Z1方向側)の部分がU字形状を有するクレビスである。
【0034】
また、医療器具4は、シャフト4cの回転軸(シャフト4cが延びる方向に沿った軸)としてのJT9軸と、エンドエフェクタ4bの開閉軸としてのJT12軸とを備えている。なお、ロボットアーム60のホルダ71に設けられたサーボモータM2は、複数(たとえば、4個)設けられており、複数のサーボモータM2によって、被駆動ユニット4aの回転体が駆動される。これにより、J9軸~J12軸周りに、医療器具4が駆動される。
【0035】
また、図8に示すように、内視鏡6のツールセンタポイントTCP2は、内視鏡6の先端に設定されている。
【0036】
次に、ロボットアーム60の構成について詳細に説明する。
【0037】
図5に示すように、ロボットアーム60は、アーム部61(ベース部62、リンク部63、関節部64)と、アーム部61の先端に設けられる並進移動機構部70とを含む。ロボットアーム60は、ロボットアーム60の基端(根元)側(アームベース50)に対して先端側を3次元に移動させるように構成されている。また、アーム部61は、7軸多関節ロボットアームから構成されている。なお、複数のロボットアーム60は、互いに同様の構成を有する。
【0038】
図5に示すように、ロボットアーム60は、回転軸としてのJT1~JT7軸と、直動軸としてのJ8軸とを備えている。JT1~JT7軸は、アーム部61の関節部64の回転軸に対応する。また、JT7軸は、並進移動機構部70の基端側リンク部72に対応する。JT8軸は、並進移動機構部70の先端側リンク部73を基端側リンク部72に対してZ方向に沿って相対的に移動させる軸に対応する。すなわち、図12に示すサーボモータM1は、ロボットアーム60のJT1~JT7軸に対応するように設けられている。また、サーボモータM3は、JT8軸に対応するように設けられている。
【0039】
並進移動機構部70は、アーム部61の先端側に設けられるとともに医療器具4が取り付けられている。また、並進移動機構部70は、医療器具4を患者Pに挿入する方向に並進移動させる。また、並進移動機構部70は、医療器具4をアーム部61に対して相対的に並進移動させるように構成されている。具体的には、並進移動機構部70には、医療器具4を保持するホルダ71が設けられている。ホルダ71には、サーボモータM2(図12参照)が収容されている。
【0040】
また、図7に示すように、医療用マニピュレータ1は、ロボットアーム60に取り付けられ、ロボットアーム60を操作する操作部80を備えている。操作部80は、イネーブルスイッチ81と、ジョイスティック82とスイッチ部83とを含む。イネーブルスイッチ81は、ジョイスティック82およびスイッチ部83によるロボットアーム60の移動を許可または不許可とする。また、イネーブルスイッチ81は、操作者(看護師、助手など)が操作部80を把持して押下されることによりロボットアーム60による医療器具4の移動を許可する状態となる。
【0041】
また、スイッチ部83は、医療器具4の長手方向に沿った医療器具4を患者Pに挿入する方向側に医療器具4を移動させるスイッチ部83aと、医療器具4を患者Pに挿入する方向と反対側に医療器具4を移動させるスイッチ部83bとを含む。スイッチ部83aとスイッチ部83bとは、共に、押しボタンスイッチから構成されている。
【0042】
また、図7に示すように、操作部80は、ロボットアーム60に取り付けられた医療器具4の移動の支点(図11参照)となるピボット位置PPを教示するピボットボタン85を含む。ピボットボタン85は、操作部80の面80bに、イネーブルスイッチ81に隣り合うように設けられている。そして、内視鏡6(図8参照)またはピボット位置教示器具7(図9)の先端が、患者Pの体表面Sに挿入されたトロカールTの挿入位置に対応する位置まで移動された状態で、ピボットボタン85が押下されることによりピボット位置PPが教示され、記憶部32に記憶される。なお、ピボット位置PPの教示において、ピボット位置PPは、1つの点(座標)として設定され、ピボット位置PPの教示は、医療器具4の方向を設定するものではない。
【0043】
また、図1に示すように、複数のロボットアーム60のうちの一つのロボットアーム60(たとえば、ロボットアーム60c)には内視鏡6が取り付けられ、残りのロボットアーム60(たとえば、ロボットアーム60a、60bおよび60d)には、内視鏡6以外の医療器具4が取り付けられる。具体的には、手術において、4つのロボットアーム60のうちの1つのロボットアーム60に内視鏡6が取り付けられ、3つのロボットアーム60に内視鏡6以外の医療器具4が取り付けられる。そして、内視鏡6が取り付けられているロボットアーム60に対して、内視鏡6が取り付けられた状態でピボット位置PPが教示される。また、内視鏡6以外の医療器具4が取り付けられるロボットアーム60に対して、ピボット位置教示器具7が取り付けられた状態でピボット位置PPが教示される。なお、内視鏡6は、互いに隣り合うように配置されている4つのロボットアーム60のうちの、中央に配置される2つのロボットアーム60(ロボットアーム60bおよび60c)のうちのいずれかに取り付けられる。すなわち、ピボット位置PPは、複数のロボットアーム60毎に個別に設定される。
【0044】
また、図7に示すように、操作部80の面80bには、ロボットアーム60の位置を最適化するためのアジャストメントボタン86が設けられている。内視鏡6が取り付けられたロボットアーム60に対するピボット位置PPの教示後、アジャストメントボタン86が押下されることにより、他のロボットアーム60(アームベース50)の位置が最適化される。
【0045】
また、図7に示すように、操作部80は、ロボットアーム60に取り付けられた医療器具4を並進移動(図10参照)させるモードと、回転移動(図11参照)させるモードとを切り替えるモード切替ボタン84を含む。また、モード切替ボタン84の近傍には、モードインジケータ84aが設けられている。モードインジケータ84aは、切り替えられたモードを表示する。具体的には、モードインジケータ84aが点灯(回転移動モード)または消灯(並進移動モード)されることにより、現在のモード(並進移動モードまたは回転移動モード)が表示される。
【0046】
また、モードインジケータ84aは、ピボット位置PPが教示されたことを表示するピボット位置インジケータを兼ねている。
【0047】
図10に示すように、ロボットアーム60を並進移動させるモードでは、医療器具4の先端4dが、X-Z平面上において移動するように、ロボットアーム60が移動される。また、図11に示すように、ロボットアーム60を回転移動させるモードでは、ピボット位置PPが教示されていない時は、エンドエフェクタ4bを中心に回転移動し、ピボット位置PPが教示されている時は、ピボット位置PPを支点として医療器具4が回転移動するように、ロボットアーム60が移動される。なお、医療器具4のシャフト4cがトロカールTに挿入された状態で、医療器具4が回転移動される。
【0048】
また、図12に示すように、ロボットアーム60には、アーム部61の複数の関節部64に対応するように、複数のサーボモータM1と、エンコーダE1と、減速機(図示せず)とが設けられている。エンコーダE1は、サーボモータM1の回転角を検出するように構成されている。減速機は、サーボモータM1の回転を減速させてトルクを増大させるように構成されている。
【0049】
また、図12に示すように、並進移動機構部70には、医療器具4の被駆動ユニット4aに設けられた回転体を回転させるためのサーボモータM2と、医療器具4を並進移動させるためのサーボモータM3と、エンコーダE2およびエンコーダE3と、減速機(図示せず)とが設けられている。エンコーダE2およびエンコーダE3は、それぞれ、サーボモータM2およびサーボモータM3の回転角を検出するように構成されている。減速機は、サーボモータM2およびサーボモータM3の回転を減速させてトルクを増大させるように構成されている。
【0050】
また、ポジショナ40には、ポジショナ40の複数の関節部43に対応するように、複数のサーボモータM4と、エンコーダE4と、減速機(図示せず)とが設けられている。エンコーダE4は、サーボモータM4の回転角を検出するように構成されている。減速機は、サーボモータM4の回転を減速させてトルクを増大させるように構成されている。
【0051】
また、医療用台車3には、医療用台車3の複数の図示しない前輪の各々を駆動するサーボモータM5と、エンコーダE5と、図示しない減速機とブレーキが設けられている。減速機は、サーボモータM5の回転を減速させてトルクを増大させるように構成されている。また、医療用台車3のスロットル部34aには、ポテンショメータP1(図1参照)が設けられており、スロットル部34aの捻りに応じてポテンショメータP1で検出した回転角に基づき、前輪のサーボモータM5は駆動される。また、医療用台車3の図示しない後輪は、双輪形式であり、操作ハンドル34の左右の回動に基づき、後輪は操舵される。また、医療用台車3の操作ハンドル34には、ポテンショメータP2(図2参照)が設けられており、医療用台車3の後輪には、サーボモータM6とエンコーダE6と図示しない減速機が設けられている。減速機は、サーボモータM6の回転を減速させてトルクを増大させるように構成されている。操作ハンドル34の左右の回動に応じてポテンショメータP2で検出した回転角に基づき、サーボモータM6は駆動される。すなわち、操作ハンドル34の左右の回動による後輪の操舵は、サーボモータM6によりパワーアシストされるように構成されている。
【0052】
また、医療用台車3は、前輪が駆動されることにより、前後方向に移動する。また、医療用台車3の操作ハンドル34が回動されることにより、後輪が操舵されて、医療用台車3が左右方向に回動する。
【0053】
医療用台車3の制御部31は、指令に基づいて複数のロボットアーム60の移動を制御するアーム制御部31aと、指令に基づいてポジショナ40の移動および医療用台車3の前輪(図示せず)の駆動を制御するポジショナ制御部31bとを含む。アーム制御部31aには、ロボットアーム60を駆動するためのサーボモータM1を制御するためのサーボ制御部C1が電気的に接続されている。また、サーボ制御部C1には、サーボモータM1の回転角を検出するためのエンコーダE1が電気的に接続されている。
【0054】
また、アーム制御部31aには、医療器具4を駆動するためのサーボモータM2を制御するためのサーボ制御部C2が電気的に接続されている。また、サーボ制御部C2には、サーボモータM2の回転角を検出するためのエンコーダE2が電気的に接続されている。また、アーム制御部31aには、並進移動機構部70を並進移動するためのサーボモータM3を制御するためのサーボ制御部C3が電気的に接続されている。また、サーボ制御部C3には、サーボモータM3の回転角を検出するためのエンコーダE3が電気的に接続されている。
【0055】
そして、遠隔操作装置2に入力された動作指令が、アーム制御部31aに入力される。アーム制御部31aは、入力された動作指令と、エンコーダE1(E2、E3)により検出された回転角とに基づいて位置指令を生成するとともに、位置指令をサーボ制御部C1(C2、C3)に出力する。サーボ制御部C1(C2、C3)は、アーム制御部31aから入力された位置指令と、エンコーダE1(E2、E3)により検出された回転角とに基づいて、トルク指令を生成するとともに、トルク指令をサーボモータM1(M2、M3)に出力する。これにより、遠隔操作装置2に入力された動作指令に沿うように、ロボットアーム60が移動される。
【0056】
また、図12に示すように、制御部31(アーム制御部31a)は、操作部80のジョイスティック82からの入力信号に基づいてロボットアーム60を操作するように構成されている。具体的には、アーム制御部31aは、ジョイスティック82から入力された入力信号(動作指令)と、エンコーダE1により検出された回転角とに基づいて位置指令を生成するとともに、位置指令をサーボ制御部C1に出力する。サーボ制御部C1は、アーム制御部31aから入力された位置指令と、エンコーダE1により検出された回転角とに基づいて、トルク指令を生成するとともに、トルク指令をサーボモータM1に出力する。これにより、ジョイスティック82に入力された動作指令に沿うように、ロボットアーム60が移動される。
【0057】
制御部31(アーム制御部31a)は、操作部80のスイッチ部83からの入力信号に基づいてロボットアーム60を操作するように構成されている。具体的には、アーム制御部31aは、スイッチ部83から入力された入力信号(動作指令)と、エンコーダE1またはE3により検出された回転角とに基づいて位置指令を生成するとともに、位置指令をサーボ制御部C1またはC3に出力する。サーボ制御部C1またはC3は、アーム制御部31aから入力された位置指令と、エンコーダE1またはE3により検出された回転角とに基づいて、トルク指令を生成するとともに、トルク指令をサーボモータM1またはM3に出力する。これにより、スイッチ部83に入力された動作指令に沿うように、ロボットアーム60が移動される。
【0058】
また、図12に示すように、ポジショナ制御部31bには、ポジショナ40を移動するサーボモータM4を制御するためのサーボ制御部C4が電気的に接続されている。また、サーボ制御部C4には、サーボモータM4の回転角を検出するためのエンコーダE4が電気的に接続されている。また、ポジショナ制御部31bには、医療用台車3の前輪(図示せず)を駆動するサーボモータM5を制御するためのサーボ制御部C5が電気的に接続されている。また、サーボ制御部C5には、サーボモータM5の回転角を検出するためのエンコーダE5が電気的に接続されている。
【0059】
また、入力装置33から準備位置の設定などに関する動作指令が、ポジショナ制御部31bに入力される。ポジショナ制御部31bは、入力装置33から入力された動作指令と、エンコーダE4により検出された回転角とに基づいて位置指令を生成するとともに、位置指令をサーボ制御部C4に出力する。サーボ制御部C4は、ポジショナ制御部31bから入力された位置指令と、エンコーダE4により検出された回転角とに基づいて、トルク指令を生成するとともに、トルク指令をサーボモータM4に出力する。これにより、入力装置33に入力された動作指令に沿うように、ポジショナ40が移動される。同様に、入力装置33からの動作指令に基づいて、ポジショナ制御部31bは、医療用台車3を移動させる。
【0060】
また、外科手術システム100は、画像処理装置8を備えている。画像処理装置8は、内視鏡6から画像を取り込むとともに、内視鏡6によって取り込まれた画像を遠隔操作装置2のモニタ24に表示するように構成されている。
【0061】
(医療器具、アダプタ、ドレープおよびアームの構成)
図13および図14を参照して、医療器具4、アダプタ220、ドレープ210およびロボットアーム60の構成について説明する。
【0062】
図13および図14に示すように、医療器具4は、ロボットアーム60にアダプタ220を介して取り外し可能に接続される。アダプタ220は、ロボットアーム60の駆動部75と、医療器具4との間に配置される。アダプタ220は、ドレープ210を保持するためのドレープアダプタであり、手術のたびにユーザにより交換される。これにより、アダプタ220を利用してドレープ210を保持することができる。ドレープ210は、ロボットアーム60を覆うためのドレープであり、滅菌処理されている。アダプタ220は、ロボットアーム60との間にドレープ210を挟み込むように構成されている。
【0063】
医療器具4は、Y2方向側に配置された取付面である接続部4gがアダプタ220に取り付けられて接続される。接続部4gは、ハウジング4hに設けられ、アダプタ220を介してロボットアーム60に取り付けられて接続される。また、アダプタ220は、Y1方向側に配置された取付面である接続部220aに医療器具4が取り付けられて接続される。また、アダプタ220は、Y2方向側に配置された取付面である接続部220bがロボットアーム60の駆動部75に取り付けられて接続される。また、ロボットアーム60の駆動部75は、Y1方向側に配置された取付面である接続部76にアダプタ220が取り付けられて接続される。
【0064】
図13に示すように、ロボットアーム60は、清潔区域において使用されるため、ドレープ210により覆われる。ここで、手術室では、手術により切開した部分および医療機器が病原菌や異物などにより汚染されることを防ぐため、清潔操作が行われる。この清潔操作においては、清潔区域および清潔区域以外の区域である汚染区域が設定される。手術部位は、清潔区域に配置される。操作者を含む手術チームのメンバーは、手術中、清潔区域に殺菌されている物体のみが位置するよう配慮し、かつ、汚染区域に位置している物体を清潔区域に移動させる場合は、この物体に滅菌処理を施す。同様に、操作者を含む手術チームのメンバーがその手を汚染区域に位置させたときは、清潔区域に位置している物体に直接接触する前に、手の滅菌処理を行う。清潔区域において用いられる器具は、滅菌処理が行われる、または、滅菌処理されたドレープ210により覆われる。
【0065】
ドレープ210は、ロボットアーム60を覆う本体部211と、ロボットアーム60の駆動部75と、アダプタ220との間に挟み込まれる取付部212とを備えている。本体部211は、フィルム状に形成された可撓性フィルム部材により構成されている。可撓性フィルム部材は、熱可塑性ポリウレタンやポリエチレンなどの樹脂材料からなっている。本体部211には、ロボットアーム60の駆動部75とアダプタ220とが互いに係合可能なように、開口部が設けられている。本体部211の開口部には、開口部を塞ぐように取付部212が設けられている。取付部212は、樹脂成形部材により構成されている。樹脂成形部材は、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂材料からなる。取付部212は、本体部211に比べて硬く(撓みにくく)形成されている。取付部212は、ロボットアーム60の駆動部75とアダプタ220とが互いに係合可能なように、開口部が設けられている。取付部212の開口部は、ロボットアーム60の駆動部75とアダプタ220との係合する部分に対応するように設けられていてもよい。また、取付部212の開口部は、ロボットアーム60の駆動部75とアダプタ220との複数の係合する部分に対応するように複数個設けられていてもよい。
【0066】
図13および図14に示すように、アダプタ220は、アダプタ本体部221と、アダプタ本体部221にY方向に延びる回転軸線周りに回転可能に保持された複数(4つ)の駆動伝達部222とを備えている。複数の駆動伝達部222は、アダプタ本体部221に回転軸線周りに回転可能に配置されている。駆動伝達部222は、医療器具4の複数(4つ)の被駆動部材4iに対応するように複数(4つ)設けられている。駆動伝達部222は、ロボットアーム60からの駆動力を医療器具4の被駆動部材4iに伝達するように構成されている。駆動伝達部222は、医療器具4の被駆動部材4iの嵌合凸部4jと嵌合する嵌合凹部222aを含んでいる。嵌合凹部222aは、駆動伝達部222の医療器具4側(Y1方向側)に、駆動伝達部222のY1方向側の表面から医療器具4側とは反対側(Y2方向側)に向かって窪むように形成されている。
【0067】
また、駆動伝達部222は、ロボットアーム60の駆動部75の嵌合凸部75aと嵌合する嵌合凹部222bを含んでいる。嵌合凹部222bは、駆動伝達部222のロボットアーム60側(Y2方向側)に、駆動伝達部222のY2方向側の表面からロボットアーム60側とは反対側(Y1方向側)に向かって窪むように形成されている。
【0068】
(手動用手術器具の構成)
手動用手術器具200の構成について説明する。手動用手術器具200は、本来、医師などの術者により操作される器具であるが、本実施の形態では医師が直接操作するのではなく、遠隔操作装置2を介して医療用マニピュレータ1により操作される。
【0069】
図15を参照して、ロボットアーム60に取り付けられる手動用手術器具200について説明する。手動用手術器具200は、上記の医療器具4の代わりにロボットアーム60に取り付けられるように構成されている。また、手動用手術器具200は、例えば、電池によって駆動されるステープラーインストゥルメントである。なお、手動用手術器具200は、ステープラーインストゥルメント以外の手動用手術器具であってもよい。手動用手術器具200は、把持部201と、シャフト202と、シャフト202の先端に設けられるエンドエフェクタ203とを備えている。エンドエフェクタ203は、リロードハウジングとリロードハウジングに対して開閉するアンビルから成る一対のジョー部材を有する。なお、手動用手術器具200が、医師などの術者の指に操作されるレバーなどによって駆動されてもよい。
【0070】
また、把持部201の前面(シャフト202側の面)には、第1スイッチ部204(十字キー)が設けられている。第1スイッチ部204は、Y1方向側に設けられたスイッチ部204aと、Y2方向側に設けられたスイッチ部204bと、X1方向側に設けられたスイッチ部204cと、X2方向側に設けられたスイッチ部204dとを含む十字ボタンである。各スイッチ部204a、204b、204c、204dは、後述する第1押下部331及び第2押下部332によりZ2方向に押下される。また、第1スイッチ部204は、特許請求の範囲の「操作部」および「十字式操作部」の一例である。
【0071】
また、把持部201の側面には、一対の第2スイッチ部205aおよび205bと、第3スイッチ部206とが設けられている。医師などの術者により、Y1方向側の第1スイッチ部204(スイッチ部204a)が押下されることにより、エンドエフェクタ203のジョーが閉じられる。また、術者によりY2方向側の第1スイッチ部204(スイッチ部204b)が押下されることにより、エンドエフェクタ203のジョーが開かれる。また、術者によりX1方向側の第1スイッチ部204(スイッチ部204c)が押下されることにより、エンドエフェクタ203がシャフト202に対してX1側に屈曲(首振り)される。また、術者によりX2方向側の第1スイッチ部204(スイッチ部204d)が押下されることにより、エンドエフェクタ203がシャフト202に対してX2側に屈曲(首振り)される。
【0072】
また、術者により第2スイッチ部205aが押下されることにより、シャフト202が時計回り(R1方向)に回転し、それによりエンドエフェクタ203が時計回り(R1方向)に回転する。また、術者により第2スイッチ部205bが押下されることにより、シャフト202が反時計回り(R2方向)に回転し、それによりエンドエフェクタ203が反時計回り(R2方向)に回転する。
【0073】
また、術者により第3スイッチ部206が押下されることにより、患者Pの皮膚を縫合するモードに切り替えられる。その後、第1スイッチ部204のスイッチ部204aまたはスイッチ部204bが押し続けられることにより、ジョーによりクランプした組織をステープラーにより縫合する動作および縫合した部分の近傍をカットする動作が行われる。なお、第2スイッチ部205aおよび205bと、第3スイッチ部206は、特許請求の範囲の「操作部」の一例である。
【0074】
(手術器具アダプタの構成)
次に、手術器具アダプタ300の構成について説明する。図16に示すように、手術器具アダプタ300に手動用手術器具200が取り付けられた状態で、手術器具アダプタ300は、ロボットアーム60に対し手動用手術器具200を操作可能に接続する。
【0075】
第1実施形態では、図17および図18に示すように、手術器具アダプタ300は、インターフェイス部310を備えている。インターフェイス部310は、ロボットアーム60に設けられる駆動部75(図13参照)から伝達された駆動力により回転駆動される回転体311を有する。また、インターフェイス部310は、並進移動機構部70のホルダ71(図13参照)にアダプタ220を介して取り付けられる。また、回転体311は、後述する細長要素360が巻回されるプーリ(キャプスタン)により構成されている。また、回転体311は、4つ設けられている。また、回転体311の並進移動機構部70側には、アダプタ220の嵌合凹部222a(図13参照)と嵌合する嵌合凸部312(図25参照)が設けられている。
【0076】
また、第1実施形態では、手術器具アダプタ300は、回転体311および被駆動部320に接続され、回転体311から被駆動部320に駆動力を伝達する細長要素360(図19図20参照)を備えている。細長要素360は、ワイヤまたはケーブルからなる。そして、第1実施形態では、手術器具アダプタ300は、細長要素360をガイドするガイドチューブ361を備えている。
【0077】
また、第1実施形態では、手術器具アダプタ300は、被駆動部320を備えている。被駆動部320は、手動用手術器具200の第1スイッチ部204、第2スイッチ部205a、205bおよび第3スイッチ部206(図15参照)を押下する押下部(後述する、第1押下部331、第2押下部332、アーム部341、アーム部351)を含む。具体的には、押下部を含む被駆動部320は、手動用手術器具200の第1スイッチ部204、第2スイッチ部205a、205bおよび第3スイッチ部206に対応するように複数(3つ)設けられている。押下部を各々含む複数の被駆動部320は、各々、モジュール化されている。なお、「モジュール化」とは、被駆動部320を構成する部品が1つのまとまりとして構成されていることを意味する。また、第1押下部331、第2押下部332,アーム部341およびアーム部351は、特許請求の範囲の「押下部」の一例である。
【0078】
詳細には、被駆動部320は、手動用手術器具200の第1スイッチ部204を押下する第1被駆動部330と、手動用手術器具200の一対の第2スイッチ部205aおよび205bを押下する第2被駆動部340と、手動用手術器具200の第3スイッチ部206を押下する第3被駆動部350とを含む。なお、第1被駆動部330、第2被駆動部340および第3被駆動部350は、特許請求の範囲の「被駆動部」の一例である。
【0079】
(第1被駆動部330)
第1実施形態では、図19に示すように、第1被駆動部330の押下部は、Y-Z平面内で円弧状に移動して第1スイッチ部204を押下する第1押下部331と、第1押下部331に対して独立して駆動され、X-Z平面内で円弧状に移動して第1スイッチ部204を押下する第2押下部332とを含む。第1押下部331および第2押下部332は、手動用手術器具200の第1スイッチ部204の操作方向に沿って移動する。
【0080】
第1押下部331は、Y-Z平面に沿うように配置されている。第1押下部331は、Z2方向に開放するC字状の第1部分331eと、中央部に開口部331aが設けられている略環状の第2部分331fとを有する。また、第1押下部331には、第1スイッチ部204側に向かって突出する第1突出部331bおよび第2突出部331c(図21図22参照)が設けられている。第1突出部331bは、第1部分331eのC字形状の一端に設けられており、第1スイッチ部204のスイッチ部204a(Y1側)を押下する。第2突出部331cは、第1部分331eのC字形状の他端に設けられており、第1スイッチ部204のスイッチ部204b(Y2側)を押下する。
【0081】
図19に示すように、第2押下部332は、X-Z平面に沿うように配置されている。第2押下部332は、略C字形状を有し、Z1方向に開放する開放部332aが設けられている。開放部332aは、第1押下部331の開口部331aに配置されている。また、第2押下部332のZ2方向側の部分には、第1スイッチ部204側に向かって突出する第3突出部332bおよび第4突出部332c(図21参照)が設けられている。第3突出部332bは、第1スイッチ部204のスイッチ部204c(X1側)を押下する。第4突出部332cは、第1スイッチ部204のスイッチ部204d(X2側)を押下する。
【0082】
また、第1実施形態では、第1被駆動部330は、図21および図22に示すように、第1押下部331を支持するフレーム部333を有する。フレーム部333は、第1押下部331をX方向において挟持するように設けられている。フレーム部333には円弧状の孔に形成された案内部333aが設けられている。案内部333aは、フレーム部333のX1方向側の部分とX2方向側の部分とに対をなすように設けられている。換言すれば、一対の案内部333aは、X方向に対向するように設けられている。一対の案内部333aは、フレーム部333のY1方向側の部分およびY2方向側の部分にそれぞれ設けられている。すなわち、案内部333aは4つ設けられている。第1押下部331のY1方向の端部及びY2方向の端部には、X方向に沿って延びるピン形状の係合部334aがそれぞれ設けられている。各係合部334aは、一対の案内部333aに挿入されて、一対の案内部333aに係合している。第1押下部331は、各係合部334aが一対の案内部333aにガイドされることにより、Y-Z平面に沿って円弧状に移動可能に構成されている。なお、案内部333aをピンとし、係合部334aを案内部333aと係合する孔として構成してもよい。
【0083】
また、図23に示すように、第1被駆動部330は、第2押下部332を支持するフレーム部335を有する。フレーム部335は、第2押下部332をY方向において挟持するように設けられている。フレーム部335には円弧状の孔に形成された案内部335aが設けられている。案内部335aは、フレーム部335のX2側の部分において、フレーム部335のY1方向側とY2方向側との部分に対をなすように設けられている。一方、案内部335aは、フレーム部335のX1方向側の部分において、フレーム部335のY2方向側の部分にのみ設けられている。第2押下部332のX1方向の端部及びX2方向の端部には、Y方向に延びるピン形状の係合部334bがそれぞれ設けられている。X1方向側の係合部334bは、フレーム部335のX1側の部分における案内部335aに、X2方向側の係合部334bは、フレーム部335のX2方向側の部分における一対の案内部335aに、それぞれ挿入されて、各係合部334bが案内部335aに係合されている。第2押下部332は、係合部334bが案内部333aにガイドされることにより、Y-Z平面と直交するX-Z平面に沿って円弧状に移動可能に構成されている。なお、案内部335aをピンとし、係合部334bを案内部335aと係合する孔として構成してもよい。
【0084】
フレーム部333およびフレーム部335は、金属や樹脂などにより形成されている。
【0085】
また、第1実施形態では、図19に示すように、第1押下部331および第2押下部332は、各々細長要素360によって駆動されるように構成されている。
【0086】
具体的には、第1押下部331には、Y方向に延びる一対の溝部331dが設けられている。一対の溝部331dには、各々細長要素360が配置されている。なお、一方の細長要素360の一端部は、一対の溝部331dのうちの一方の溝部331dのY2方向の端部において第1押下部331に固定されている。そして、一対の溝部331dのうちの一方に配置された細長要素360の他端部が回転体311(311a、図18参照)に巻回されることにより、第1押下部331がY1方向及びZ2方向に円弧状に移動する。これにより、第1押下部331の第1突出部331bにより第1スイッチ部204のY1方向側(スイッチ部204a)が押下される。また、他方の細長要素360の一端部は、一対の溝部331dのうちの他方の溝部331dのY1方向の端部において第1押下部331に固定されている。そして、一対の溝部331dのうちの他方に配置された細長要素360の他端部が回転体311(311a、図18参照)に巻回されることにより、Y2方向及びZ2方向に円弧状に移動する。これにより、第1押下部331の第2突出部331cにより第1スイッチ部204のY2方向側(スイッチ部204b)が押下される。
【0087】
また、第2押下部332には、X方向に延びる一対の溝部332dが設けられている。一対の溝部332dには、各々細長要素360が配置されている。なお、一方の細長要素360の一端部は、一対の溝部332dのうちの一方の溝部332dのX2方向の端部において第2押下部332に固定されている。そして、一対の溝部332dのうちの一方に配置された細長要素360の他端部が回転体311(311b、図18参照)に巻回されることにより、X1方向及びZ2方向に円弧状に移動する。これにより、第2押下部332の第3突出部332bにより第1スイッチ部204のX1方向側(スイッチ部204c)が押下される。また、他方の細長要素360の一端部は、一対の溝部332dのうちの他方の溝部332dのX1方向の端部において第2押下部332に固定されている。そして、一対の溝部332dのうちの他方に配置された細長要素360の他端部が回転体311(311b、図18参照)に巻回されることにより、X2方向及びZ2方向に円弧状に移動する。これにより、第2押下部332の第4突出部332cにより第1スイッチ部204のX2方向側(スイッチ部204d)が押下される。
【0088】
また、第1実施形態では、図19に示すように、初期位置において、第1押下部331と第2押下部332との間には、第1押下部331と第2押下部332との干渉を回避するように隙間CL1が設けられている。具体的には、初期位置において、第1押下部331の開口部331aをX方向に挟むように、略C字形状の第2押下部332の両端部が配置されている。また、第2押下部332の一対の溝部332dに挿入される細長要素360は、第1押下部331の開口部331aを貫通する。そして、第2押下部332が移動したときには、略C字形状の第2押下部332の何れか一方の端部が第1押下部331に当接しないように第1押下部331の開口部331a内に配置される。これにより、第1押下部331と第2押下部332との干渉が回避される。なお、隙間CL1は、特許請求の範囲の「第1隙間」の一例である。
【0089】
また、図21および図22に示すように、第2押下部332は、初期位置において、第1押下部331の第1突出部331bと第2突出部331cとの間に第1押下部331と離間した状態で配置されている。そして、第1押下部331は、第2押下部332と離間した状態で移動するので、第1押下部331と第2押下部332との干渉が回避される。
【0090】
また、第1実施形態では、第1押下部331と第2押下部332とのうちの一方が駆動される際には、第1押下部331と第2押下部332とのうちの他方を、初期位置に配置させるように構成されている。具体的には、第1押下部331が初期位置から移動している場合、第1押下部331が移動前の初期位置(円弧状の移動の中心位置)に戻った後に第2押下部332が駆動される。また、第2押下部332が初期位置から移動している場合、第2押下部332が移動前の初期位置(円弧状の移動の中心位置)に戻った後に第1押下部331が駆動される。
【0091】
また、図19に示すように、第1被駆動部330に対して、4つのプーリ336a、プーリ336b、プーリ336cおよびプーリ336dが設けられている。プーリ336aに巻掛けられた細長要素360は、第1押下部331の一対の溝部331dの一方に挿入されている。プーリ336bに巻掛けられた細長要素360は、第1押下部331の一対の溝部331dの他方に挿入されている。プーリ336cに巻掛けられた細長要素360は、第2押下部332の一対の溝部332dの一方に挿入されている。プーリ336dに巻掛けられた細長要素360は、第2押下部332の一対の溝部332dの他方に挿入されている。
【0092】
そして、図18に示すように、プーリ336aおよびプーリ336bに巻掛けられる細長要素360は、インターフェイス部310のプーリ313を介して、回転体311(回転体311a)に巻回されている。回転体311aが回転軸の一方側(または他方側)周りに回転することにより、第1押下部331が円弧状に移動する。また、プーリ336cおよびプーリ336dに巻掛けられる細長要素360は、インターフェイス部310のプーリ313を介して、回転体311(回転体311b)に巻回されている。回転体311bが回転軸の一方側(または他方側)周りに回転することにより、第2押下部332が円弧状に移動する。
【0093】
(第2被駆動部340)
本実施形態では、図19および図20に示すように、第2被駆動部340の押下部は、手動用手術器具200の第2スイッチ部205aおよび205bに向かって、Z軸方向に延びる軸回りに回動する一対のアーム部(ロッカーアーム)341を含む。また、第2被駆動部340は、アーム部341の近傍に配置され、細長要素360によって駆動されるウォーム部342およびウォームホイール部343を含む。そして、アーム部341は、ウォーム部342およびウォームホイール部343により駆動されるように構成されている。
【0094】
具体的には、ウォーム部342は、Y方向に延びる略円柱形状を有する。また、ウォーム部342は、Y1側とY2側の部分とに細長要素360が巻回されているキャプスタンを兼ねている。
【0095】
ウォームホイール部343は、Z方向に延びる軸部材343aを含む。軸部材343aのZ1方向側の部分には、ウォーム部342におけるY方向の中央部分と係合するギア部材343bが設けられている一方、軸部材343aのZ2方向側の部分には、アーム部341と当接可能な当接部344が回転一体に設けられている。当接部344は、カム形状を有し、軸部材343aの径方向に延びるように設けられている。当接部344の長手方向の両端部には、回転可能な軸部材344aがそれぞれ設けられている。アーム部341は、当接部344の各軸部材344aに対応するようにY1方向側とY2方向側にそれぞれ設けられている。
【0096】
そして、図18に示すように、ウォーム部342に巻回される細長要素360は、インターフェイス部310のプーリ313を介して、回転体311(回転体311c)に巻回されている。回転体311cがY方向に延びる回転軸周りの一方向に回転することにより、ウォーム部342、ウォームホイール部343及び当接部344が回動し、当接部344のY2方向側の軸部材344aとY2方向側のアーム部341とが当接する。これにより、Y2方向側のアーム部341が回動し、Y2方向側のアーム部341により第2スイッチ部205aが押下される。同様に、回転体311cがY方向に延びる回転軸周りの他方向に回転することにより、ウォーム部342、ウォームホイール部343及び当接部344が回動し、当接部344のY1方向側の軸部材344aとY1方向側のアーム部341とが当接する。これにより、Y1方向側のアーム部341が回動し、Y1方向側のアーム部341により第2スイッチ部205bが押下される。
【0097】
また、図17に示すように、第2被駆動部340には、フレーム部345が設けられている。アーム部341、ウォーム部342およびウォームホイール部343は、フレーム部345に固定されている。また、フレーム部345は、金属や樹脂などにより形成されている。
【0098】
(第3被駆動部350)
本実施形態では、図19および図20に示すように、第3被駆動部350の押下部は、手動用手術器具200の第3スイッチ部206の操作方向に沿って移動するアーム部(ロッカーアーム)351を含む。また、第3被駆動部350は、アーム部351の近傍に配置され、細長要素360によって駆動されるウォーム部352およびウォームホイール部353を含む。そして、アーム部351は、ウォーム部352およびウォームホイール部353により駆動されるように構成されている。
【0099】
具体的には、ウォーム部352は、Y方向に延びる円柱形状を有する。また、ウォーム部352は、Y1方向側とY2方向側の部分に細長要素360が巻回されているキャプスタンを兼ねている。
【0100】
また、ウォームホイール部353は、Z方向に延びる軸部材353aを含む。軸部材353aのZ2方向側には、ウォーム部352におけるY方向の中央部分と係合するギア部材353bが設けられている一方、軸部材353aのZ1方向側の部分には、アーム部351と当接可能な当接部353cが回転一体に設けられている。当接部353cは、カム形状を有し、軸部材353aの径方向に延びるように設けられている。当接部353cの一端部には、回転可能な軸部材353dが設けられている。アーム部351は、当接部353cの軸部材353dに対応するようにY2方向側に設けられている。
【0101】
そして、ウォーム部352に巻回される細長要素360は、プーリ354と、インターフェイス部310のプーリ313とを介して、回転体311(回転体311d)に巻回されている。回転体311dがY方向に延びる回転軸周りの一方向に回転することにより、ウォーム部352、ウォームホイール部353及び当接部353cが回動し、当接部353cの軸部材353dとアーム部351のY1側の端部とが当接する。これにより、アーム部351が回動し、アーム部351により第3スイッチ部206が押下される。
【0102】
また、図17に示すように、第3被駆動部350には、フレーム部355が設けられている。アーム部351、ウォーム部352およびウォームホイール部353は、フレーム部355に固定されている。また、フレーム部355は、金属や樹脂などにより形成されている。
【0103】
(筐体)
第1実施形態では、図24および図25に示すように、手術器具アダプタ300は、インターフェイス部310と、被駆動部320と、細長要素360と、ガイドチューブ361とを収納する筐体370を備えている。筐体370は、手動用手術器具200を筐体370の内部に挿入するための開口部371(図28参照)と、開口部371を覆う開閉式のカバー部372とを含む。また、筐体370は、手動用手術器具200の把持部201が挿入される開口部373と、手動用手術器具200の後端側部分207(シャフト202と反対側の部分)が挿入される開口部374と、手動用手術器具200の先端側部分208(シャフト202の基端側の部分)が挿入される開口部375と、が設けられている。開口部373、開口部374および開口部375は、それぞれ、把持部201、後端側部分207および先端側部分208の形状に対応する形状を有する。また、開口部374は、カバー部372と、カバー部372以外の部分(筐体本体部376)とに跨るように設けられている。このため、開口部374は、カバー部372が閉じられた状態で、後端側部分207を囲むように構成されている。なお、被駆動部320は、筐体370の内壁に固定されている。
【0104】
また、第1実施形態では、図28に示すように、カバー部372は、筐体370において手動用手術器具200の装着方向の上流側(Z2側)が開口するように開閉する。言い換えると、手動用手術器具200が筐体370に収容された状態において、手動用手術器具200の後端側部分207側が開口するように開閉する。また、筐体370は、たとえば、金属又は樹脂により形成されている。
【0105】
(ガイドチューブ、補強部材、調整機構)
第1実施形態では、図26および図27に示すように、細長要素360は、ガイドチューブ361に挿入され、細長要素360とガイドチューブ361との間には、隙間CL2が設けられている。そして、隙間CL2には、細長要素360を補強する補強部材362が設けられている。ガイドチューブ361は、金属や樹脂などにより形成されている。ガイドチューブ361の内径は、細長要素360の直径よりも大きい。これにより、細長要素360とガイドチューブ361との間に隙間CL2が生じる。また、補強部材362は、金属などから形成されている。また、補強部材362は、管形状を有しており、内部に細長要素360が挿入される。補強部材362は、ガイドチューブ361内の細長要素360の一部分に設けられている。なお、細長要素360を中空の補強部材362に挿入するのではなく、補強部材を中実部材とし、細長要素360の一部分を補強部材で置き換えるようにしてもよい。
【0106】
また、第1実施形態では、補強部材362は、細長要素360の直線部を補強するように設けられている。筐体370内において、細長要素360(ガイドチューブ361)は、一対の支持部材363により直線状に支持されている。そして、一対の支持部材363の間の細長要素360の直線状の部分に、補強部材362が設けられている。このため、補強部材362も直線状に形成されている。
【0107】
また、第1実施形態では、図17に示すように、ガイドチューブ361には、細長要素360の長さを調整する調整機構364が設けられている。調整機構364は、2つの部材がねじ結合されたケーブルアジャスターなどにより構成されている。調整機構364が回転されることにより、細長要素360の長さが調整される。これにより、細長要素360の初期張力が調整される。
【0108】
(インターフェイス部)
第1実施形態では、図18に示すように、インターフェイス部310は、アダプタ220介してロボットアーム60に取り付けられる取付面を含むベース315を有する。回転体311の回転軸方向の一方端は、インターフェイス部310のベース315に支持されている。そして、回転体311の回転軸方向の他方端を支持する支持部材314が設けられている。このため、回転体311は、インターフェイス部310と支持部材314とによって両持ちされている。支持部材314は、板形状を有する。また、支持部材314は、4つの回転体311に対して1つ設けられている。また、支持部材314は、インターフェイス部310の、回転体311が配置されるベース315にネジなどにより固定されている。これにより、回転体311がベース315と支持部材314との間に挟まれた状態となり、回転体311がベース315と支持部材314とによって両持ちされる。支持部材314は、金属や樹脂などにより形成されている。
【0109】
(手動用手術器具の装着方法)
図28を参照して、手術器具アダプタ300に対する手動用手術器具200の装着方法について説明する。
【0110】
図28(a)に示すように、まず、筐体370のカバー部372が開けられる
【0111】
次に、図28(b)に示すように、手動用手術器具200を傾けた状態(元々手動用手術器具200のシャフト202が延びていた一点鎖線で示される方向に対して傾けた状態)で、手動用手術器具200のシャフト202を開口部375に挿入する。これにより、手動用手術器具200と、筐体370の内部に配置されている部材との干渉を避けるように、手動用手術器具200が筐体370の内部に装着される。
【0112】
次に、図28(c)に示すように、手動用手術器具200を移動させて手動用手術器具200の傾きを元に戻す。このように、手動用手術器具200と筐体370の内部に配置されている部材との干渉を避けるように手動用手術器具200が筐体370の内部に装着されるので、手動用手術器具200の第1スイッチ部204、第2スイッチ部205a、205b、第3スイッチ部206と被駆動部320との距離が比較的小さくなる。その結果、押下部(第1押下部331、第2押下部332、アーム部341、アーム部351)に所望の力を発生させるために必要な細長要素360の巻き取り長さを小さくすることが可能になる。
【0113】
最後に、図28(d)に示すように、カバー部372が閉じられる。
【0114】
[第1実施形態の効果]
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0115】
第1実施形態では、上記のように、ロボットアーム60に設けられる駆動部75から伝達された駆動力により回転駆動される回転体311を有するインターフェイス部310と、手動用手術器具200のスイッチ部(204、205a、205bおよび206)を押下する押下部(第1押下部331、第2押下部332,アーム部341、アーム部351)を含む被駆動部320とを備える。これにより、ロボットアーム60に設けられる駆動部75の駆動力によって、被駆動部320の押下部を駆動(移動)することにより、手動用手術器具200のスイッチ部を操作(押下)することができる。その結果、手術支援ロボット専用の手術器具を用いることなく、既存の手動用手術器具200を操作することができる。また、回転体311から被駆動部320に駆動力を伝達するワイヤまたはケーブルからなる細長要素360をガイドするガイドチューブ361を備えることによって、手動用手術器具200のスイッチ部の位置に合わせて被駆動部320の配置(レイアウト)を変更した場合でも、細長要素360がガイドチューブ361により、配置が変更された被駆動部320にガイドされる。これにより、被駆動部320の配置(レイアウト)を変更した場合でも、ガイドチューブ361によりガイドされた細長要素360により被駆動部320を駆動することができる。その結果、被駆動部320のレイアウトの変更に対して柔軟に対応することができる。
【0116】
また、第1実施形態では、上記のように、手動用手術器具200のスイッチ部(204、205a、205bおよび206)は、複数設けられ、押下部を含む被駆動部320は、複数のスイッチ部に対応するように複数設けられており、押下部を各々含む複数の被駆動部320は、各々、モジュール化されている。これにより、複数の被駆動部320が各々モジュール化されているので、手動用手術器具200の種類によってスイッチ部の位置が異なる場合でも、スイッチ部の位置に対応するように被駆動部320を容易に配置(レイアウト)することができる。
【0117】
また、第1実施形態では、上記のように、被駆動部320の押下部は、手動用手術器具200のスイッチ部(204、205a、205bおよび206)の操作方向に沿って移動するアーム部(アーム部341、アーム部351)を含む。これにより、手動用手術器具200のスイッチ部の操作方向と、被駆動部320の押下部の移動方向(ベクトル)とを揃えることができるので、手動用手術器具200のスイッチ部を被駆動部320の押下部により適切に押下することができる。
【0118】
また、第1実施形態では、上記のように、被駆動部320は、押下部の近傍に配置され、細長要素360によって駆動されるウォーム部(342、352)およびウォーム部と係合するウォームホイール部(343、353)を含み、アーム部(341、351)は、ウォーム部およびウォームホイール部により駆動されるように構成されている。これにより、ウォーム部およびウォームホイール部により、比較的小さい細長要素360の張力によって比較的大きなアーム部の駆動力を得ることができる。
【0119】
また、第1実施形態では、上記のように、ウォームホイール部(343、353)は、回転可能な軸部材(343a、353a)と、軸部材と回転一体に設けられた当接部(344、353c)とを有する。そして、アーム部(341、351)は、当接部(344、353c)が当接することにより、回動するように構成されている。これにより、当接部とウォームホイール部とを別個に(離間して)設ける場合と異なり、被駆動部320の小型化を図ることができるとともに、被駆動部320の部品点数を低減することができる。
【0120】
また、第1実施形態では、上記のように、手動用手術器具200のスイッチ部(204、205a、205bおよび206)は、Y-Z平面内と、Y-Z平面と直交するX-Z平面内とで円弧状に移動する第1スイッチ部204を含み、被駆動部320の押下部は、Y-Z平面内で円弧状に移動して第1スイッチ部204を押下する第1押下部331と、第1押下部331に対して独立して駆動され、X-Z平面内で円弧状に移動して第1スイッチ部204を押下する第2押下部332とを含む。これにより、第1スイッチ部204を第1押下部331および第2押下部332により適切に押下することができる。
【0121】
また、第1実施形態では、上記のように、第1押下部331および第2押下部332を各々支持するとともに、円弧状に形成された案内部(333a、335a)が設けられたフレーム部(333、335)と、第1押下部331および第2押下部332は、案内部(333a、335a)に挿入され、案内部(333a、335a)により案内される係合部(334a、334b)をそれぞれ有する。これにより、係合部(334a、334b)が案内部(333a、335a)により案内されることにより、第1スイッチ部204が第1押下部331および第2押下部332により適切に押下されるように、第1押下部331および第2押下部332を移動させることができる。
【0122】
また、第1実施形態では、上記のように、第1押下部331および第2押下部332は、各々細長要素360が配置されると共に固定される溝部(331d、332d)をそれぞれ有している。これにより、第1押下部331および第2押下部332が溝部(331d、332d)に配置された細長要素360により駆動されるので、被駆動部320の部品点数を低減することができる。
【0123】
また、第1実施形態では、上記のように、第1押下部331と第2押下部332は各々独立して駆動される。
【0124】
そして、第1押下部331と第2押下部332とのうちの一方が駆動される際には、第1押下部331と第2押下部332とのうちの他方を、円弧状の移動の中心位置に配置するように構成されている。これにより、第1押下部331と第2押下部332が駆動される際において、簡単な制御で、第1押下部331と第2押下部332とが干渉しないようにすることができる。
【0125】
また、筐体370は、手動用手術器具200を筐体370の内部に装着するための開口部371と、手動用手術器具200の装着方向(Z1方向)と直交する方向に開閉するとともに開口部371を覆うカバー部372とを含む。これにより、カバー部372を横開きすることにより、容易に、手動用手術器具200を筐体370の内部に装着することができる。
【0126】
また、第1実施形態では、上記のように、ガイドチューブ361内の細長要素360の一部分には、細長要素360を補強する補強部材362が設けられている。これにより、細長要素360とガイドチューブ361との接触に起因する細長要素360の損傷(切断など)を抑制することができる。
【0127】
ここで、ガイドチューブ361は、第1ガイドチューブ部分と、第1ガイドチューブ部分と隙間を空けて設けられた第2ガイドチューブ部分とを有し、補強部材362が第1ガイドチューブと第2ガイドチューブ部分との間の隙間に設けられていてもよい。換言すれば、補強部材362が、ガイドチューブ361の内部ではなく、ガイドチューブ361の外側において細長要素360を補強していてもよい。
【0128】
また、第1実施形態では、上記のように、手術器具アダプタ300は、ガイドチューブ361を直線状に支持する一対の支持部材363を備えている。そして、補強部材362は、一対の支持部材363間において、細長要素360を補強している。ここで、仮に細長要素360の曲がった部分を補強部材362により補強すると、細長要素360が曲がりにくくなるので、被駆動部320を手動用手術器具200のスイッチ部(204、205a、205bおよび206)の位置に対応させて移動するのが困難になる場合がある。そこで、第1実施形態では、補強部材362を、細長要素360の直線部を補強するように設けることによって、被駆動部320の移動を容易にしながら細長要素360の損傷(切断など)を抑制することができる。
【0129】
また、第1実施形態では、上記のように、インターフェイス部310は、ロボットアーム60に取り付けられると共に、回転体311の回転軸方向の一方端が支持されるベース315と、回転体311の回転軸方向の他方端を支持する支持部材314とを有する。そして、回転体311は、ベース315と支持部材314とによって両持ちされている。これにより、回転体311がインターフェイス部310と支持部材314とによって両持ちされているので、回転体311の回転軸が傾くのを抑制することができる。その結果、細長要素360により適切に被駆動部320を駆動させることができる。
【0130】
また、第1実施形態では、上記のように、ガイドチューブ361は、回転体311と被駆動部320との間の細長要素360の長さ(経路長)を調整する調整機構364を有する。これにより、細長要素360が適切な初期張力を有するように調整機構364により細長要素360の長さを調整することができる。
【0131】
[第2実施形態]
次に、図29を参照して、第2実施形態による手術器具アダプタ400の被駆動部410について説明する。
【0132】
被駆動部410は、ウォーム部411と、ウォームホイール部412と、フレーム部413とを含む。ウォームホイール部412には、当接部414が一体的に設けられている。当接部414は、手動用手術器具200のスイッチ部(たとえば、第2スイッチ部205a、205b)の操作方向に沿って移動(回動)する。
【0133】
また、第2実施形態では、フレーム部413は、被駆動部410を一方側から覆う第1部分413aと、第1部分413aに組み合わされ、被駆動部410を他方側から覆う第2部分413bとを含む。第1部分413aおよび第2部分413bには、それぞれ、ウォーム部411の軸受411aと、ウォームホイール部412の軸受412aとを支持する軸受支持部415が設けられている。また、フレーム部413は、樹脂などにより形成されている。軸受支持部415は、切欠きにより構成されている。
【0134】
また、第2実施形態では、フレーム部413(第2部分413b)は、第2部分413bに一体的に設けられ、手動用手術器具200のスイッチ部の操作方向に沿って移動する押下部としてのたわみ変形可能なアーム部417を含む。具体的には、第2部分413bには、略H形状を有する切欠き416が設けられている。そして、略H形状の切欠き416の間の部分に一対のアーム部417が設けられている。また、ウォームホイール部412の回動に伴って回動する当接部414により、アーム部417がスイッチ部の操作方向に沿って移動する。なお、アーム部417は、特許請求の範囲の「押下部」の一例である。
【0135】
また、第2実施形態では、たわみ変形可能なアーム部417およびフレーム部413は、樹脂により一体的に構成されている。すなわち、アーム部417およびフレーム部413は、射出成形などにより一体的に形成される。
【0136】
[第2実施形態の効果]
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0137】
第2実施形態では、上記のように、被駆動部410は、細長要素によって駆動されるウォーム部411と、ウォーム部411に係合するウォームホイール部412と、ウォーム部411及びウォームホイール部412を支持するフレーム部413を有する。フレーム部413は、フレーム部413に一体的に設けられ、手動用手術器具200のスイッチ部の操作方向に沿って移動する押下部としてのたわみ変形可能なアーム部417を含む。これにより、アーム部417がフレーム部413と一体的に構成されているので、被駆動部410の部品点数を低減することができる。
【0138】
また、第2実施形態では、上記のように、アーム部417およびフレーム部413は、樹脂により一体形成されている。これにより、樹脂射出成形などにより、たわみ変形可能なアーム部417およびフレーム部413を容易に一体的に形成することができる。
【0139】
また、第2実施形態では、上記のように、フレーム部413は、ウォーム部411とウォームホイール部412とを一方側から覆う第1部分413aと、第1部分413aに組み合わされ、ウォーム部411とウォームホイール部412とを他方側から覆う第2部分413bとを含む。これにより、フレーム部413の部品点数が比較的少なく(第1部分413aと第2部分413bとの2点)なるので、フレーム部413の構成を簡略化することができる。また、第1部分413aと第2部分413bとからなるフレーム部413を樹脂射出成形などにより容易に形成することができる。
【0140】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0141】
たとえば、上記第1および第2実施形態では、手動用手術器具200が用いられる例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、手動用手術器具200以外の形状を有する手動用手術器具が用いられてもよい。
【0142】
また、上記第1実施形態では、3つの被駆動部(第1被駆動部330、第2被駆動部340、第3被駆動部350)が設けられる例を示したが、本発明はこれに限られない。被駆動部の数は、3つ以外の数でもよい。
【0143】
また、上記第1および第2実施形態では、第1被駆動部330、第2被駆動部340、第3被駆動部350が各々モジュール化されている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、被駆動部320がモジュール化されていなくてもよい。
【0144】
また、上記第1および第2実施形態では、アーム部(341、351、417)がウォーム部(342,352、411)およびウォームホイール部(343、353、412)により駆動される例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、アーム部がウォーム部およびウォームホイール部以外の機構により駆動されてもよい。
【0145】
また、上記第1および第2実施形態では、当接部(344、353c、414)とウォームホイール部(343、353、412)とは一体的に構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、アーム部とウォームホイールとが別体で構成されていてもよい。
【0146】
また、上記第1および第2実施形態では、筐体370が開閉式のカバー部372を含む例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、筐体が分割可能に構成されており、分割された筐体を組み合わせて手動用手術器具200を覆ってもよい。
【0147】
また、上記第1および第2実施形態では、細長要素360を補強する補強部材362が設けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、細長要素360に補強部材362を設けないようにしてもよい。
【0148】
また、上記第1および第2実施形態では、回転体311がインターフェイス部310のベース315と支持部材314とによって両持ちされている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、回転体311がインターフェイス部310のベース315のみによって片持ちされていてもよい。
【符号の説明】
【0149】
1 医療用マニピュレータ(手術支援ロボット)
60 ロボットアーム
75 駆動部
200 手動用手術器具
204 第1スイッチ部(十字式操作部、操作部)
205a、205b、第2スイッチ部(操作部)
206 第3イッチ部(操作部)
300 手術器具アダプタ
310 インターフェイス部
311 回転体
314 支持部材
315 ベース
320 被駆動部
330 第1被駆動部(被駆動部)
340 第2被駆動部(被駆動部)
350 第3被駆動部(被駆動部)
331 第1押下部(押下部)
331d 溝部
332 第2押下部(押下部)
332d 溝部
333、335 フレーム部
333a、335a 案内部
334a、334b 係合部
341、351 アーム部(押下部)
342、352 ウォーム部
343、353 ウォームホイール部
343a、353a 軸部材
344、353c 当接部
360 細長要素
361 ガイドチューブ
362 補強部材
363 支持部材
364 調整機構
370 筐体
371 開口部
372 カバー部
400 手術器具アダプタ
411 ウォーム部
412 ウォームホイール部
413 フレーム部
413a 第1部分
414 当接部
413b 第2部分
417 アーム部(押下部)
X-Z平面(第2面)
Y-Z平面(第1面)
図1
図2
図3
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