(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165850
(43)【公開日】2022-11-01
(54)【発明の名称】ベッドマットのカバー
(51)【国際特許分類】
A47G 9/02 20060101AFI20221025BHJP
A47C 27/00 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
A47G9/02 N
A47C27/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021071393
(22)【出願日】2021-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000150084
【氏名又は名称】株式会社竹虎
(74)【代理人】
【識別番号】110002011
【氏名又は名称】特許業務法人井澤国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100072039
【弁理士】
【氏名又は名称】井澤 洵
(74)【代理人】
【識別番号】100123722
【弁理士】
【氏名又は名称】井澤 幹
(74)【代理人】
【識別番号】100157738
【弁理士】
【氏名又は名称】茂木 康彦
(74)【代理人】
【識別番号】100158377
【弁理士】
【氏名又は名称】三谷 祥子
(72)【発明者】
【氏名】飯島 幹夫
(72)【発明者】
【氏名】松浦 衣舞姫
【テーマコード(参考)】
3B096
3B102
【Fターム(参考)】
3B096AC11
3B102BA00
(57)【要約】
【課題】 汎用性が高く、簡単な操作で取付けられる、ベッドマットレス用カバー。
【解決手段】本体部、4つの側面部、留め部材、案内表示を有するカバー。上記側面部と上記留め部材は、面ファスナーなどの密着手段を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベッドのマットレスに用いられ、本体部、4つの側面部、留め部材、案内表示を有するカバーであって、
上記本体部は、
上記マットレスの表面を覆うことによりベッドシーツとして機能する部分であり、
上記側面部は、
上記本体部から延長して寝具用マットの側面と裏面の一部以上を覆う部分であり、
上記本体部の幅方向の端部から延長し上記本体部を挟んで位置する2つの短辺側面部と、
上記本体部の長手方向の端部から延長し上記本体部を挟んで位置する2つの長辺側面部とからなり、
隣り合う上記短辺側面部と上記長辺側面部とを重ね合わせて固定するための密着手段を有し、
上記留め部材は、
上記側面部から延長する部分であって、
上記本体部、上記側面部、他の留めベルトのいずれか1つ以上に対する密着手段を有し、
上記案内表示は、
上記マットレスの形状に合致するように上記本体部を展開する、及び/又は、上記マットレスの形状に合致するように上記側面部を折り曲げるために、上記本体部、上記側面部、上記密着手段、上記留め部材のいずれか1以上に設けられた目印であって、
少なくとも2種類以上の上記形状に対応する表示である、
カバー。
【請求項2】
上記留め部材は、
上記側面部の上記短辺側面部及び/又は上記長辺側面部から延長し、
上記本体部に対して対称な位置にある2本1組の留めベルトを含み、上記2本1組の留めベルトを上記密着手段で固定することができる、
請求項1に記載のカバー。
【請求項3】
上記案内表示が、印刷、ステッチ、先染織糸から選ばれる1以上の手段によって上記側面部に設けられる、請求項1に記載のカバー。
【請求項4】
上記密着手段が面ファスナーである、請求項1に記載のカバー。
【請求項5】
上記長辺側面部が長方形あるいは台形である、請求項1に記載のカバー。
【請求項6】
上記マットレスが、介護保険を使用してレンタルされる家庭用マットレスである、請求項1に記載のカバー。
【請求項7】
少なくとも1台のベッド用マットレスと、請求項1に記載のカバーとからなる、セット。
【請求項8】
上記ベッド用マットレスが、介護保険を使用してレンタルされる家庭用マットレスである、請求項7に記載のセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベッドのマットレスに取り付けるためのカバーに関する。本発明は具体的には、家庭、病院、介護施設での利用に適した、サイズの異なる複数種のマットレスに対して取り付けることができるカバーに関する。本発明は特に、介護保険を利用してレンタルされる家庭用マットレスに対して取り付けることができるカバーに関する。さらに本発明は、上記各種のマットレスと上記カバーとのセットに関する。
【背景技術】
【0002】
家庭、宿泊施設、病院、介護施設などで、様々なサイズ、材質、構造のベッドとベッドのマットレスが使われており、それぞれのベッドのマットレス(以下、「ベッドマット」と言う)に応じたカバーが用いられている。家庭用のベッドマットのカバーには、ベッドマットに美しい状態で取り付けられることが求められており、風合いやデザインが工夫されている。
【0003】
宿泊施設、病院、介護施設で用いるベッドマットのカバーには、より機能性が求められる。これまでに、ベッドマットによく密着し、取付と交換が簡単なベッドマットのカバーとして、例えば特許文献1,2,3,4のような例が提案されている。
【0004】
特に病院では、機能や使用場所に応じて、様々な構造、形状のベッドとベッドマットが用いられている。介護施設でも、利用者(被介護者)の必要性と好みに合致するよう様々なベッド構造やベッドマットが利用されている。病院や介護施設では、汚れの発生や使用者の入れ替わりが頻繁であるため、ベッドマットのカバーの着脱に多くの労力を要している。このため、特許文献4,5,6,7に記載された、特定形状のマットを隙間なく覆う形のカバーを用いる場合には、施設全体では幾種類ものカバーを用意する必要があるが、管理や取り扱いが煩雑に成るという問題がある。そこで、例えば特許文献5,6,7には、ベッドマットに適した位置にあるスナップボタンを選んで形を整えるカバーが提案されている。
【0005】
しかし、特許文献5,6,7に記載されたカバーを実際に仕様する際には、丸まった状態か折れ曲がっている状態のカバーについたスナップボタンから最も適切な位置やボタン列を判別することが難しく、作業性が悪い。しかも、幅広い種類のマット形状に適応させるためには、多数のスナップボタンを取り付ける必要があり、かえって最適なスナップボタン列を見つけ難い。このため、このようなスナップボタンによる形状調節は、わずかなマットサイズの変化にしか対応できない。また、文献1~7に記載されたカバーは、マットとの固定力が不足しているという問題も残されている。
【0006】
近年は、家庭での介護の省力化と質の向上のために、ベッドのマットレスをレンタルし、家庭で使用する機会が増えている。また、介護施設の利用者が利用して、ベッドやベッド関連製品をレンタルし、介護施設に持ち込むこともある。介護保険を利用して購入するかレンタルする商品の選択肢はますます増えている。特に、レンタルする場合には、ユーザーの希望や身体機能に応じて最適な製品を短期間で使い分けられるため、様々な介護用製品がレンタルされている。特にベッドのマットレスでは、多種多様な構造、形状、大きさの製品がレンタル可能である。レンタル事業者は、レンタル商品の価値を維持するための保護材を設けることがあり、マットレスに破損や汚れを防ぐためのカバーを組み合わせることは珍しくない。このため、レンタル事業者にとって、様々な形状やサイズのベッドのマットレスにも適応する設計のカバーが望まれている。レンタル製品の利用者にとっては、マットレスの構造、形状、大きさが変わっても同じような手順や動作で取り扱うことができるカバーが好まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第3086875号
【特許文献2】実用新案登録第3133774号
【特許文献3】実開平4-6964号公報
【特許文献4】実用新案登録第3160042号
【特許文献5】特開2006-30736号公報
【特許文献6】特開2007-102172号公報
【特許文献7】特開2008-194241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明者は、異なるサイズの様々なベッドマットに使える汎用性の高いカバーであり、しかも、取付けと取外しが簡単にでき、ベッドマットからずれ難いカバーを求めた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
その結果、従来のベッドマットのカバーには見られなかった、機能的な構造と視認しやすい表示によって、全ての要求を満足することができた。すなわち本発明は以下のものである。
(発明1)ベッドのマットレスに用いられ、本体部、4つの側面部、留め部材、案内表示を有するカバーであって、
上記本体部は、
上記マットレスの表面を覆うことによりベッドシーツとして機能する部分であり、
上記側面部は、
上記本体部から延長して寝具用マットの側面と裏面の一部以上を覆う部分であり、
上記本体部の幅方向の端部から延長し上記本体部を挟んで位置する2つの短辺側面部と、
上記本体部の長手方向の端部から延長し上記本体部を挟んで位置する2つの長辺側面部とからなり、
隣り合う上記短辺側面部と上記長辺側面部とを重ね合わせて固定するための密着手段を有し、
上記留め部材は、
上記側面部から延長する部分であって、
上記本体部、上記側面部、他の留めベルトのいずれか1つ以上に対する密着手段を有し、
上記案内表示は、
上記マットレスの形状に合致するように上記本体部を展開する、及び/又は、上記マットレスの形状に合致するように上記側面部を折り曲げるために、上記本体部、上記側面部、上記密着手段、上記留め部材のいずれか1以上に設けられた目印であって、
少なくとも2種類以上の上記形状に対応する表示である、
カバー。
(発明2)上記留め部材は、上記側面部の上記短辺側面部及び/又は上記長辺側面部から延長し、上記本体部に対して対称な位置にある2本1組の留めベルトを含み、上記2本1組の留めベルトを上記密着手段で固定することができる、発明1のカバー。
(発明3)上記案内表示が、印刷、ステッチ、先染織糸から選ばれる1以上の手段によって上記側面部に設けられる、発明1のカバー。
(発明4)上記密着手段が面ファスナーである、発明1のカバー。
(発明5)上記長辺側面部が長方形あるいは台形である、発明1のカバー。
(発明6)上記マットレスが、介護保険を使用してレンタルされる家庭用マットレスである、発明1のカバー。
(発明7)少なくとも1台のベッド用マットレスと、発明1のカバーとからなる、セット。
(発明8)上記ベッド用マットレスが、介護保険を使用してレンタルされる家庭用マットレスである、発明7のセット。
【発明の効果】
【0010】
本発明のベッドマットのカバーは、留め部材と案内表示の両方を有することによって、簡単にベッドマットへの位置決めと形作りをすることができる。本発明のベッドマットは取り外した状態で平面状であるため、コンパクトにおりたたむことができ、収納効率が良い。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【発明を実施するための形態】
【0012】
[ベッドマットのカバー] 本発明は、ベッドマットのカバー(以下、単に「カバー」と言う)である。本発明のカバーは、本体部、4つの側面部、留め部材、案内表示を有する。以下、図面を参照しながら本発明のカバーの構成部材について詳述する。ただし、図面は本発明の理解を助けるための参考である。図面は、発明品の実際のデザインや形状に省略や誇張を施して表示しており、実製品を再現したものでない。
【0013】
[本体部,側面部] 上記本体部は、ベッドマットの表面を覆うことによりベッドシーツとして機能する部分である。上記側面部は、上記本体部から延長して寝具用マットの側面と裏面の一部以上を覆う部分である。上記側面部は、上記本体部の幅方向の端部から延長し上記本体部を挟んで位置する2つの短辺側面部と、上記本体部の長手方向の端部から延長し上記本体部を挟んで位置する2つの長辺側面部とからなる。
【0014】
図1,
図2,
図3は、本発明のカバー(1)を広げた状態を示す。紙面ではカバー(1)の表側を示す。裏側がベッドマットの表面に接触する。
図1,
図2,
図3には、本体部(10)と側面部(20)との境界を実線で示すが、実際にはこのような実線が視認できない場合がある。
図1,
図2,
図3には、後述の案内表示が省略されている。
【0015】
図1に示すように、本発明のカバー(1)に含まれる本体部(10)は、一般的には長方形である。4つの側面部(20)のうち2つの短辺側面部(21,22)は、本体部(10)の幅方向の端部(101,102)から延長し、本体部(10)を挟む。4つの側面部(20)のうち2つの長辺側面部(23,24)は、本体部(10)の長手方向の端部(103,104)から延長し、本体部(10)を挟む。
図1,
図2,
図3は、2つの長辺側面部(23,24)のいずれもが長方形の場合を示す。
【0016】
図1には、2つの短辺側面部(21,22)が本体部(10)を挟んで対称で、かつ、2つの長辺側面部(23,24)が本体部(10)を挟んで対称である場合を示す。この場合、短辺側面部(21,22)は本体部(10)の端部(101,102)から同じ幅(LA)だけ延長し、長辺側面部(23,24)は本体部(10)の端部(103,104)から同じ幅(LB)だけ延長する。
【0017】
本発明では、2つの短辺側面部(21,22)が本体部(10)を挟んで非対称であってもよい。この場合は、典型的には、短辺側面部(21,22)は本体部(10)の端部(101,102)からそれぞれ異なる幅で延長する。
【0018】
本発明では、2つの長辺側面部(23,24)が本体部(10)を挟んで非対称であってもよい。この場合は、典型的には、長辺側面部(23,24)は本体部(10)の端部(103,104)からそれぞれ異なる幅で延長する。
【0019】
このように2つの短辺側面部(21,22)あるいは2つの長辺側面部(23,24)を本体部(10)に対して非対称とした場合には、カバー(1)の頭側と足側、あるいはカバー(1)の左右を識別することができる。
【0020】
作業労力を減らすためには、好ましくは、2つの短辺側面部(21,22)と2つの長辺側面部(23,24)を本体部(10)に対して対称に配置して、カバー(1)の頭側と足側、左右を考慮すること無く、本体(10)をベッドマットの表面上に広げる。
【0021】
本発明のカバーの側面部には、隣り合う部分を重ね合わせて固定するための密着手段が設けられる。重ね合わせ操作の自由度を高くするために、このような密着手段として好ましくは面ファスナーを用いる。典型的な面ファスナーとして「マジックテープ(登録商標)」が知られている。
【0022】
本発明のカバーをより小型の(長さ、幅、厚みのいずれか1以上が比較的短い)ベッドマットに用いる場合には、ベッドマットに接触する本体部の面積が小さくなり、隣り合う側面部のより広い部分を重ね合わせて固定する必要がある。逆に、本発明のカバーをより大型の(長さ、幅、厚みのいずれか1以上が比較的長い)ベッドマットに用いる場合には、隣り合う側面部のより狭い部分を重ね合わせて固定する。
【0023】
本発明では、例えば、
図2に示すように密着手段を設ける。この例では、側面部(21,22,23,24)に、方形の面ファスナー(30,40)を取り付ける。面ファスナー(30)は、短辺側面部(21,22)の表側にそれぞれに2枚ずつ縫い付けられている。面ファスナー(40)は、長辺側面部(23,24)の裏側にそれぞれに2枚ずつ縫い付けられている。面ファスナー(40)は側面部(22,24)の裏側に配置されており実際には見えないが、
図2では便宜上、面ファスナー(40)の区画を点線で示す(
図1,
図3も同様)。
【0024】
面ファスナーとして「マジックテープ(登録商標)」を用いる場合には、小さい面ファスナー(40)をフック面(雄)、大きい面ファスナー(30)をループ面(雌)とすることで、面ファスナーのコストを低減することができる。
【0025】
本発明のカバー(1)をベッドマットにかぶせて側面部(21,22,23,24)を折り曲げる際には、
図2では紙面の奥に向かって側面部(21,22,23,24)が屈曲する。この時、面ファスナー(30)の表面に接近する面ファスナー(40)の表面を重ねると、側面部(21)と側面部(23)、側面部(23)と側面部(22)、側面部(22)と側面部(24)、側面部(24)と側面部(21)が、連結する。
【0026】
ベッドマットの大きさが変わっても、面ファスナー(40)の一部以上が相手側の面ファスナー(30)のどこかに密着すれば、4枚の側面部(21,22,23,24)はひと繋がりになってベッドマットの側面や底面を覆うことができる。この意味で、密着手段として方形の面ファスナーを利用すること、密着する隣り合う1組の面ファスナーの一方(
図1の例では30)を大型とすることは、本発明のカバーの取り付けを簡単にするために役立つ。
【0027】
[留め部材] 本発明のカバー(1)は、さらに留め部材を有する。上記留め部材は、上記側面部から延長する部分であって、上記本体部、上記側面部、他の留めベルトのいずれか1つ以上に対する密着手段を有する。留め部材は、好ましくは、上記本体部及び/又は側面部と同じ素材からなる、長尺部材である。留め部材に密着手段には、側面部に設けられた密着手段と同様の部材や材料を用いることができる。したがって、面ファスナーは上記留め部材に設けられる密着手段として好ましい。
【0028】
上記留め部材は、好ましくは、上記本体部に対して対称な位置にある2本1組の留めベルトを含み、上記2本1組の留めベルトを上記密着手段で固定することができる。
図3は、長辺側面部(23,24)に合計4本の留めベルト(50)を取付けた場合を示す。面ファスナー(30)は留めベルト(50)の表側に取付けられている。面ファスナー(40)は留めベルト(50)の裏側に取付けられている。
【0029】
本体(10)に対して対称な位置にある2本1組の留めベルト(51,52)が、面ファスナー(30,40)によって連結することができる。本体(10)に対して対称な位置にある他の2本1組の留めベルト(53,54)が、面ファスナー(30,40)によって連結することができる。
【0030】
本発明のカバーに付属する留め部材の数は、特に制限されない。上記密着手段を有する1本の留めベルトをいずれかの側面部に取付け、本体部に対してこの側面部と対称な位置にある別の側面部に上記1本の留めベルトのための密着手段を設けることもできる。この場合、上記1本の留めベルトをベッドマットの下側(本体部で覆われていない側)に差し渡して、上記別の側面部にある密着手段に固定することができる。
【0031】
図1に示した2組4本の留めベルト(51と52,53と54)を、より幅広の1組2本の留めベルトに変更してもよい。あるいは、
図1に示した2組4本の留めベルト(51と52,53と54)を、より幅狭の3組6本の留めベルトに変更してもよい。このような留め部材の数と形状は、適用するベッドマットの形状によって自在に変更される。
【0032】
[案内表示] 本発明のカバーに設けられた案内表示は、上記ベッドマットの形状に合致するように上記本体部を展開する、及び/又は、上記ベッドマットの形状に合致するように上記側面部を折り曲げるために、上記本体部、上記側面部、上記留め部材のいずれか1以上に設けられた目印であって、少なくとも2種類以上の上記形状に対応する表示である。このような案内表示は、一般的には、線状の印であり、印刷、ステッチ、先染織糸から選ばれる1以上の手段によって形成される。中でもステッチからなる案内表示は、本発明のカバーの表裏の同じ位置に設けることができるため好ましい。上記案内表示は、好ましくは、上記側面部に設けられる。ステッチの材質や色(糸の種類)、形(縫い方)は、カバーの表裏でステッチが見分けやすい限り、制限されない。
【0033】
好ましい案内表示は、側面部において、本体部に近い部分に、平行な複数のステッチとして設けられる。好ましい案内表示は、さらに、上記側面部に位置する密着手段にも、平行な複数のステッチとして設けられる。
【0034】
図4に、ステッチからなる上記案内表示(以下「案内ステッチ」と言う)の例を示す。
図4は、短辺側面部(22)のほぼ半分、長辺側面部(23)の端部、本体部(10)の一部を示す。
図4に示される構造が、側面部の残りの部分にも設けられる。
【0035】
案内ステッチ(60)は、底辺側面部(22)の端部、長辺側面部(23)の端部、底辺側面部(22)の表に取付けられた面ファスナー(30)に、設けられている。
【0036】
案内ステッチ(60)のうち案内ステッチ(61,62)は、ベッドマットのサイズにカバーを合わせるための目印となる。短辺側面部(22)には、図示していない部分にも、本体部に対して同じ距離と長さで案内ステッチ(61,62)と同様の2本の案内ステッチ(61*と62*)がある(記号*は図示していないことを示す)。本体部(10)に対して短辺側面部(22)と反対側の短辺側面部(21)にも、同様の案内ステッチがある。したがって1組の短辺側面部(21,22)には、合計8本の案内ステッチが設けられる。案内ステッチ(61,62)と図示しない同種の6本の案内ステッチは、ベッドマットのサイズ規格に対応している。
【0037】
例えば、規格長さが195cmと191cmの2種類である場合には、短辺側面部(22)の案内ステッチ(61,61*)は195cm規格の目印となる。案内ステッチ(61,61*)と、本体(10)に対して案内ステッチ(61,61*)と対象な位置にある短辺側面部(21)の案内ステッチとの距離が、概ね195cmである。またこの場合、短辺側面部(22)の案内ステッチ(62,62*)は191cm規格の目印となる。案内ステッチ(62,62*)と、本体(10)に対して案内ステッチ(62,62*)と対象な位置にある短辺側面部(21)の案内ステッチとの距離が、概ね191cmである。
【0038】
案内ステッチ(60)のうち案内ステッチ(63,64)も、ベッドマットのサイズにカバーを合わせるための目印となる。長辺側面部(23)には、図示していない部分にも本体部に対して同じ距離と長さで案内ステッチ(63,64)と同様の2本の案内ステッチ(63*,64*)がある。本体部(10)に対して長辺側面部(23)と反対側の長辺側面部(24)にも、同様の案内ステッチがある。したがって1組の長辺側面部(23,34)には、合計8本の案内ステッチが設けられる。案内ステッチ(63,64)と図示しない同種の6本の案内ステッチは、ベッドマットのサイズ規格に対応している。
【0039】
例えば、規格幅が91cmと97cmの2種類である場合には、長辺側面部(23)の案内ステッチ(63,63*)は91cm規格の目印となる。案内ステッチ(63,63*)と、本体(10)に対して案内ステッチ(63,63*)と対象な位置にある長辺側面部(24)の案内ステッチとの距離が、概ね91cmである。またこの場合、長辺側面部(23)の案内ステッチ(64,64*)は191cm規格の目印となる。案内ステッチ(64,64*)と、本体(10)に対して案内ステッチ(64,64*)と対象な位置にある長辺側面部(24)の案内ステッチとの距離が、概ね97cmである。
【0040】
本発明のカバーに設ける案内ステッチの数と間隔は、使用対称となるベッドマットの種類に応じて、適宜決定される。例えば長さに3種類の規格があり、幅に3種類の企画があるベッドマットに本発明のカバーを使う場合には、
図4で示す案内ステッチ(61,62)の代わりに3種類の長さ規格に対応する3本の案内ステッチを設け、
図4で示す案内ステッチ(63,64)の代わりに3種類の幅規格に対応する3本の案内ステッチを設けることができる。
【0041】
案内ステッチの本数が増える場合には、目的の案内ステッチを見つけ易いように、複数の色やステッチ種類を用いることができる。
【0042】
案内ステッチ(60)のうち案内ステッチ(65,66)は、面ファスナー(30)と面ファスナー(40)の重ね合わせ位置を決める目印となる。案内ステッチ(65,66)によって、面ファスナー(30)は3分割されている。例えば、使用者が、ベッドマットのサイズごとに面ファスナー(30,40)の重ね合わせ位置を、「外」、「中」、「内」と記憶することができる。また、カバー全体を見なくても、案内ステッチ(65,66)を利用して面ファスナー(30)と面ファスナー(40)の向きを合わせて正しい向きで側面部(22,23)を連結することができる。
【0043】
本発明のカバーは、このような案内表示を有することにより2種類以上のベッドマット製品に適用でき、好ましくは10種類以上、さらに好ましくは20種類以上のベッドマット製品に適用できる。
【0044】
なお、
図4に示す例では、長辺側面部(23)を台形とすることによって、大きい面ファスナー(30)から小さい面ファスナー(40)がはみ出ること無く、面ファスナー(30)と面ファスナー(40)を密着することができる。
【0045】
[製造方法] 本発明のカバーの製造において、1枚の材料から本体部、側面部、留め部材を一体として切り出してもよく、予め成形した本体部、側面部、留め部材などの各部位(パーツ)をつなぎ合わせてもよい。一般的には、繊維生地を裁断して本体部、側面部、留め部材のパーツを用意し、各パーツを縫い合わせる。本発明のカバーの各部の寸法は、使用対称となるベッドマットに応じて、如何様にも設定することができる。カバーの色は、使用環境に適合すれば制限されない。狭い範囲を見ただけで裏表や部位を識別するために、表と裏、及び/又はパーツごとに、色や材質を変えてもよい。
【0046】
裁断されたパーツの縫い代処理、はぎ合わせ方法、縫い付け方法は、工業的に生産される布製品で採用されている方法・手段から適宜選択される。繊維生地としては、ベッドマットの用途や設置場所位に適したものであれば制限されない。一般的には、ポリエステル、レーヨン、ポリウレタン、ナイロン、綿(コットン)、絹や、この他の紡糸可能な各種合成繊維、半合成繊維、天然繊維、これらの混合撚糸からなる織布が用いられる。上記織布には、防汚剤、防水剤、撥水剤、抗菌剤、防カビ剤、難燃剤が練り込まれた、あるいはコーティングされた繊維を使用してもよい。また上記織布には、防汚剤、防水剤、撥水剤、抗菌剤、防カビ剤、難燃剤合成繊維がコーティングされていてもよい。
【0047】
上記繊維生地の一部以上を不織布で構成してもよい。不織布としては、ポリエチレンやポリプロピレンなどを主体とする単相或いは多層不織布が好ましい。この場合、防汚剤、防水剤、撥水剤、抗菌剤、防カビ剤、難燃剤が練り込まれた、あるいはコーティングされた繊維からなる不織布を使用してもよい。また上記織布には、防汚剤、防水剤、撥水剤、抗菌剤、防カビ剤、難燃剤合成繊維がコーティングされていてもよい。
【0048】
側面部と留め部材に密着手段を取り付ける手法も、常法に従う。密着手段として面ファスナーを用いる場合には、側面部あるいは留め部材に面ファスナーを縫い付ける際に、縫い目を案内表示として残すことができる。
【0049】
本発明のカバーには、保管番号や製造者、使用施設を表示するために、適宜、印刷やタグ付をすることができる。
【0050】
[ベッドマットとカバーとのセット]別の本発明は、上記カバーと少なくとも1台のベッドマットとのセットである。本発明のカバーを特定のベッドマットに組み合わせることによって、カバーの交換労力を軽減することができる。
【実施例0051】
図5に、本発明のカバー(1)を取り付けたベッドマット(2)を、裏から見た様子を模式的に示す。ベッドマットの周辺にあるベッド枠などは省略している。本体部(10)は見えない。隣り合う側面部(20)が、密着手段である面ファスナー(30,40)を介して密着固定している。2本の留めベルト(50)が面ファスナー(30,40)を介して連結している。
【0052】
側面部(20)の裏に取付けられた小型の面ファスナー(30)は、側面部(20)の表に取付けられた大きな面ファスナー(30)のどこにでも重ねることができる。留めベルト(50)には長手方向に帯状の面ファスナー(30,40)が縫い付けられており、2本の留めベルト(50)の重なり部分の長さは比較的自由に調節することができる。このように留めベルトの重なりに余裕を持たせることで、実際のベッドでは、ベッドマット(2)の近く、特にベッドマット(2)の下側に、何らかの構造物がある場合でも、それらの構造物を囲むように面ファスナー(30)と面ファスナー(40)を重ね合わせることができる。
【0053】
また、
図5に示す例では、留めベルト(50)を梯子状にベッドマット(2)裏で密着させて、ベッドマット(2)の長さ方向の中心部には、留めベルト(50)がかかっていない。このような梯子状に連結した留めベルト(50)は、実際のベッドが中央部で屈曲する所謂リクライニング型の場合に、屈曲を妨げずにベッドマット(2)をカバーすることができる。
【0054】
図5に示す例では、側面部(20)に設けられた案内表示(案内ステッチ)(60)がベッドマット(2)の裏から視認できる。この例では、側面部(20)には他の案内ステッチも設けられているが、これらは側面部(20)の折返し線に重なり、ベッドマット(2)を裏からは、見えない。この例で視認できる案内ステッチ(60)で側面部(20)を折り返して、さらに大型のベッドマットにカバー(1)を取り付けることもできる。
【0055】
図5で理解できるように、本発明のカバーは様々なベッドマットに適用でき、汎用性が高い。しかも、密着手段と案内表示を利用して、本発明のカバーを簡単に正確にベッドマットに取り付けることができる。特に上記密着手段が面ファスナーであり上記案内表示がステッチの場合には、より短時間で、しかも布を押し当てるという単純な動作で、本発明のカバーをベッドマットに取り付けることができる。
【0056】
図6,
図7に、本発明のカバー(1)を取り付けたベッドマット(2)の他の例を示す。
本発明のカバーはベッドマットに対する汎用性が高い。このため本発明のカバーは、家庭、学校、宿泊施設、アウトドア、病院、介護施設などの様々な場で利用価値が高い。本発明のカバーは特に、ベッドマットのカバーを頻繁に交換する必要性があり、さらに様々なサイズのベッドマットが用いられる機械の多い、介護施設や病院などでの利用価値が高い。本発明のカバー、及び、本発明のカバーとベッドマットとのセットは、特に病院や介護施設の省力化を可能にする。本発明のカバー、及び、本発明のカバーとベッドマットとのセットは、公衆衛生の観点から、また、病院や介護施設のサービス向上の観点でも有用である。