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特開2022-165861乗降用階段を備えた建設機械、乗降用階段の建設機械への設置方法、および建設機械に設けられた乗降用階階段の動作制御方法
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  • 特開-乗降用階段を備えた建設機械、乗降用階段の建設機械への設置方法、および建設機械に設けられた乗降用階階段の動作制御方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165861
(43)【公開日】2022-11-01
(54)【発明の名称】乗降用階段を備えた建設機械、乗降用階段の建設機械への設置方法、および建設機械に設けられた乗降用階階段の動作制御方法
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/16 20060101AFI20221025BHJP
【FI】
E02F9/16 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021071418
(22)【出願日】2021-04-20
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】391003059
【氏名又は名称】山▲さき▼建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】杉田 博昭
(72)【発明者】
【氏名】柴田 英樹
【テーマコード(参考)】
2D015
【Fターム(参考)】
2D015EB00
(57)【要約】
【課題】建設機械において、建設機械の運転、作業の障害とならずに、運転室や操縦室への安全なアクセスを可能にする。
【解決手段】キャリアダンプ10の運転室20近くに、軸回転可能であって乗降用階段50を設け、運転開始前(始動前)の状態では、クローラー40周りに機械前方方向に傾斜させた状態で配置させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行体と、
前記走行体の上に設けられる運転室または操縦室(以下、運転室等という)と、
複数のステップが並んで配置され、前記運転室等へのアクセスを可能にする乗降用階段とを備え、
前記乗降用階段が、始動前、その下端を地面に向けて傾斜した状態で、前記走行体周りに配置可能であり、
前記乗降用階段を、走行または作業の障害とならない退避位置へ移動制御することが可能であることを特徴とする建設機械。
【請求項2】
前記乗降用階段が、建設機械前方側または後方側に向けて傾斜していることを特徴とする請求項1に記載の建設機械。
【請求項3】
前記乗降用階段が、前記走行体のホイールまたはクローラーに対し、建設機械前後方向に沿って向かい合う位置、または、建設機械幅方向に沿ってホイールまたはクローラー間に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の建設機械。
【請求項4】
前記乗降用階段が、その上端に、前記運転室等への経路を形成し、前記走行体の上部構造によって支持されるアクセス用ステップを設けていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の建設機械。
【請求項5】
前記乗降用階段が、その上端付近を軸にして軸回転可能であり、軸回転に必要な最低トルク相応の出力トルク性能をもつモータによって、駆動されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の建設機械。
【請求項6】
前記乗降用階段が、前記運転室等付近にあらかじめ設置されていた乗降用ステップの周囲に取り付けられる、または前記乗降用ステップの位置に代替品として取り付けられることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の建設機械。
【請求項7】
複数のステップが並んで配置され、その上端がモータの駆動によって軸回転可能な乗降用階段を、走行体の上に設けられる運転室または操縦室(以下、運転室等という)へのアクセス可能な位置に装着する乗降用階段の建設機械への設置方法であって、
前記運転室等付近にあらかじめ設置されていた乗降用ステップの周囲、または前記乗降用ステップと取り換えてその位置に、前記乗降用階段の上端側を取り付けるとともに、
前記乗降用階段を、その下端を地面に向けて傾斜させた状態で、前記走行体周りに配置することを特徴とする乗降用階段の建設機械への設置方法。
【請求項8】
複数のステップが並んで配置され、走行体の上に設けられる運転室または操縦室(以下、運転室等という)へのアクセスを可能にする乗降用階段を、始動前、その下端を地面に向けて傾斜した状態で、前記走行体周りに位置決めし、
前記乗降用階段が走行または作業の障害とならない退避位置へ移動するまで、前記乗降用階段の位置が退避位置でないことを報知する、または建設機械動作を不能にすることを特徴とする、建設機械に設置された乗降用階段の動作制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械に関し、特に、自走式の建設機械(車両系建設機械)に対して作業者が運転室や操縦室へ昇降するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ブルドーザ、スクレーパ、ダンプトラックなど自走式建設機械では、ホイール式やクローラー式の走行体を備え、その上部構造として、積み込み、掘削、運搬などを行う作業装置と、運転室(あるいは操縦室)が装備されている。
【0003】
建設機械は、使用環境、使用目的に応じてその仕様(サイズ、重量)は様々であるが、建設現場で特殊作業を行うことを目的とするため、運転室、操縦室は比較的高い位置に設置されている。そのため、作業者が運転室等へアクセスしやすいように、必要に応じて昇降用装置が設けられている。
【0004】
例えば、運転室付近や走行体側面などに、足の踏み台となるステップが設けられている(特許文献1参照)。また、大型の油圧ショベルや自走式クレーンなどの場合、走行装置が身丈より高いため、スライド(伸縮)式の梯子が、旋回体に取り付けられている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭63-80号公報
【特許文献2】特開2001-115493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
走行体が身丈ほど高くない建設機械の場合、運転室や操縦室付近にステップが設けられることが多い。しかしながら、採掘作業や土砂運搬などを行う作業現場では、路面は公道のように平坦とは限らず、起伏の激しい場所で運転操作する場合がある。そのため、ステップを用いた乗り降りが困難な状況が生じやすい。また、近年、高齢化社会に伴って作業現場における労働者の高齢化も進み、ステップを用いた乗り降りに対する負担が大きい。
【0007】
一方、比較的小型の建設機械の場合、梯子の使用は、かえってスムーズな昇降を難しくさせる。また、上部の作業装置付近での設置スペースには制限があり、梯子を装備させることで、運転や操縦作業、移動などに支障を来す恐れがある。
【0008】
したがって、建設機械の運転、作業の障害とならずに、運転室や操縦室への安全なアクセスを可能にする昇降手段を備えた建設機械が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様である建設機械は、走行体と、走行体の上に設けられる運転室または操縦室(以下、運転室等という)と、複数のステップが並んで配置され、運転室等へのアクセスを可能にする乗降用階段とを備える。乗降用階段は、始動前(建設機械の動作前)の状態において、その下端を地面に向けて傾斜した状態で、走行体周りに配置可能である。そして、乗降用階段を、走行または作業の障害とならない退避位置へ移動制御可能としている。例えば、走行体の高さ以上に乗降用階段を移動させることが可能である。
【0010】
本発明の一態様である乗降用階段の建設機械への設置方法は、複数のステップが並んで配置され、その上端がモータの駆動によって軸回転可能な乗降用階段を、走行体の上に設けられる運転室等へのアクセス可能な位置に装着する乗降用階段の建設機械への設置方法であって、運転室等付近にあらかじめ設置されていた乗降用ステップの周囲、または乗降用ステップと取り換えてその位置に、乗降用階段の上端側を取り付けるとともに、乗降用階段を、その下端を地面に向けて傾斜させた状態で、走行体周りに配置する。
【0011】
本発明の一態様である建設機械に設置された乗降用階段の動作制御方法は、複数のステップが並んで配置され、走行体の上に設けられる運転室等へのアクセスを可能にする乗降用階段を、始動前、その下端を地面に向けて傾斜した状態で、走行体周りに位置決めし、乗降用階段が走行または作業の障害とならない退避位置へ移動するまで、乗降用階段の位置が退避位置でないことを報知する、または建設機械動作を不能にする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、建設機械において、建設機械の運転、作業の障害とならずに、運転室や操縦室への安全なアクセスを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1の実施形態であるキャリアダンプの概略的斜視図である。
図2】キャリアダンプの乗降用階段付近の概略的側面図である。
図3】キャリアダンプの乗降用階段付近の前方側から見た概略的正面図である。
図4】キャリアダンプの乗降用階段付近の上方側から見た概略的平面図である。
図5】乗降用階段の動作制御に関するブロック図である。
図6】乗降用階段の動作制御に関するフロー図である。
図7】第2の実施形態であるスクレープドーザを後方側から見た概略的平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を用いて、本実施形態である建設機械について説明する。
【0015】
図1は、第1の実施形態であるキャリアダンプの概略的斜視図である。キャリアダンプ10は、クローラー式走行体40を備えた不整地運搬車(ダンプトラック)であり、その上部構造10Bには、原動機15、運転室20などが装備されている。走行体40を構成する1対のクローラー40A、40Bの間には、原動機15と連結する動力伝達装置(図示せず)が装備されている。上部構造10Bの後方側には、土砂などを積載する荷台30が取り付けられている。
【0016】
運転室20の前方方向に対して左側側面には、扉20Fが設けられている。そして、運転室20の左斜め前方側には、可動式の乗降用階段50が設置されている。乗降用階段50は、作業者が運転室20へアクセスする経路に設けられたステップ式階段として構成されている。
【0017】
図2は、キャリアダンプ10の乗降用階段50付近の概略的側面図である。また、図3は、前方側から見た概略的正面図、図4は、上方側から見た概略的平面図である。図2~4を用いて、乗降用階段50の構成について説明する。
【0018】
乗降用階段50は、板状のステップ52、54、56を備え、その両側がU字状の支持部材58によって支持されている。ステップ52、54、56は、ここでは金属プレートなどによって構成され、また、等間隔に並んで配置されている。
【0019】
図2に示すように、乗降用階段50の上端側には、運転室20と隣り合って前後方向に延び、運転室20へアクセスする経路を形成する踏み台(以下、アクセス用ステップという)60が設けられている。アクセス用ステップ60は、キャリアダンプ10にあらかじめ取り付けられた単体の乗降用ステップFの上方に設置されている。
【0020】
アクセス用ステップ60は、その上面60Fが平坦であり、上部構造10Bによって保持されている。具体的には、上部構造10Bのベース部分25の側面に取り付けられた板状の支持部材27に搭載され、自紙(固定)されている。一方、アクセス用ステップ60の前方側端部60Tには、支持部材58の上端部58A、58Bを挟み込むように上から凹部61A,61Bが形成されている。
【0021】
乗降用階段50の支持部材58は、この凹部61A,61Bに収容され、支持部材58の上端部58A、58Bを軸として回転可能となるように、アクセス用ステップ60に取り付けられている。支持部材58の上端部58A,58Bには貫通孔が設けられ、アクセス用ステップ60の凹部61A,61Bの外側側面からボルト59A、59Bを通すことによって、アクセス用ステップ60に保持されている。
【0022】
具体的には、支持部材58の上端部58Bに対し、図示しないナットなどをボルト59Bに螺合させる一方、支持部材58の端部58Aに対しては、モータ90のシャフトとボルト59Aとをコネクタなどを介して連結させている。
【0023】
図2に示すように、乗降用階段50は、その上端58A、58Bから下端58Tに向けて途中から折れ曲がって延びている。ステップ52、54、56の配置された区間では、鉛直方向に角度θ傾斜している。また、乗降用階段50の下端58Tが、クローラー40の最下位位置、すなわち路面Gから所定距離hだけ離れるように、乗降用階段50が位置決めされている。
【0024】
上記角度θおよび路面Gからの高さh、ステップ数などは、キャリアダンプ10のクローラー40の高さH、上部構造10Bのベース部分25の位置などに基づき、作業者が運転室20へ乗降しやすいように定められている。高さhは、最初の足踏み台となるステップ52へ容易に足を置けるような高さに定められており、ここではクローラー40のスプロケット中心位置より下に定められている。例えば、10~50cmの範囲(特に、30cm前後)に定めることができる。
【0025】
一方、角度θは、手を使うことなく、乗降用階段50のステップ52、54、56で立ち止まり、乗降することが可能な角度として定めることができる。例えば、20°以上~60°の範囲に定めることが可能である。ただし、本実施形態では、棒状の手摺(図1参照)などを筒62に差し込むことが可能であり、作業者は、手でつかまりながら乗降用階段50を上り下りすることもできる。
【0026】
乗降用階段50は、運転室20に搭乗した作業者による上昇操作によって、可動させることができる。乗降用階段50は、モータ90の駆動によって略鉛直方向に沿う最上位位置(以下、退避位置という)まで軸回転し(図2参照)、位置決めされる。作業者は、乗降用階段50がこの退避位置にある状態で、キャリアダンプ10を運転操作する。運転作業終了後、作業者による降下操作によって、乗降用階段50は、元の位置(以下、搭乗位置という)まで軸回転する。
【0027】
図5は、乗降用階段50の動作制御に関するブロック図である。コントローラ80は、乗降用階段50の昇降動作を制御し、キャリアダンプ10の本体動作制御部95と接続している。コントローラ80は、乗降用階段50を昇降させるための操作部82(レバー、押しボタンなど)から送られてくる信号を検知すると、モータ90を駆動する制御信号を出力する。
【0028】
モータ90は、ここでは、乗降用階段50を軸回転させるのに必要な最小限トルク相応の出力トルク性能を備えるモータによって構成されている。所定値(例えば10kg/m)を超える負荷が掛かると、モータ90は回転せず、乗降用階段50は停止する。例えば、ダンプトラックの荷台側壁(アオリ)上端部に取り付けられる自動開閉用シート(いわゆるコボレーン(登録商標))を駆動するモータを適用することが可能である。
【0029】
リミットスイッチ92は、モータ90が退避位置まで移動するとON/OFFが切り替わるように構成されたスイッチであり、コントローラ80と接続されている。コントローラ80と接続するブザー84、警告ランプ86は、乗降用階段50の位置に応じて、ブザー音の発生、点滅動作をそれぞれ行う。警告ランプ86は、運転室20内に設けられているが、図3に示す筒63にポールを差し込み、ポール情報に取り付けてもよい。また、2つの警告ランプを設けてもよい。
【0030】
図6は、乗降用階段50の動作制御に関するフロー図である。
【0031】
上述したように、キャリアダンプ10へ作業者が搭乗する始動前、乗降用階段50は、図1~4に示した搭乗位置に位置決めされている。作業者が運転室20に搭乗してダンプ運転始動操作(エンジン始動、あるいは電気系関連装置の始動)を行うことで、乗降用階段50の動作制御が開始される。
【0032】
コントローラ80は、乗降用階段50が搭乗位置にあるため、ブザー84、警告ランプ86を制御し、同時にブザー音を発生させ、警告ランプ86を点滅させる(S101)。作業者が乗降用階段50を退避位置へ移動させる操作を操作部82で行うことにより、コントローラ80は、モータ90を駆動する(S102、S103)。
【0033】
乗降用階段50が退避位置まで移動するとモータ90は駆動停止し、乗降用階段50は退避位置で停止した状態となる。また、乗降用階段50が退避位置まで移動すると、リミットスイッチ92が切り替わり、コントローラ80は、ブザー84、警告ランプ86の動作を停止させる(S104)。運転終了または作業中断、終了などのため、作業者が乗降用階段50を降下させる操作を操作部82によって行うと、コントローラ80は、モータ90を駆動し、乗降用階段50を搭乗位置まで移動させる(S106)。この間、同時にブザー音を発生させ、警告ランプ86させるようにすることも可能である。また、運転終了後、コントローラ80が自動的に乗降用階段50を搭乗位置まで移動させてもよい。
【0034】
このように本実施形態によれば、ダンプトラック10の運転室20近くに、軸回転可能であって乗降用階段50を設け、運転開始前(始動前)の状態では、クローラー40周りに機械前方方向に傾斜させた状態で配置させる。そして、機械始動後、乗降用階段50を上昇させて走行体40周りから退避させる。
【0035】
乗降用階段50は、飛行機や船で使用されるタラップと同等の機能を備え、乗降に必要なときだけ使用可能な状態となる。また、あらかじめ取り付けられていた乗降用ステップF近くに設けることで、作業者は、比較的最短距離でスムーズに運転室20にアクセスすることができる。
【0036】
また、上部構造10Bまでの高さHに合わせて、乗降用階段50の下端58Tの高さhや、ステップ52、54、56の配置間隔、ステップ数、傾斜角度θを調整することによって、乗降するときの歩幅が広すぎ、あるいは狭すぎることがなく、乗り降りしやすくすることができる。
【0037】
さらに、手動操作ではなく、乗降用階段50をモータ90の駆動によって移動制御することによって、走行体40周りからできるだけ離れた位置(上方向)へ乗降用階段50を退避させることが可能となり、乗降用階段50を運転や作業の支障になるのを確実に防ぐことができる。
【0038】
乗降用階段50は、前方側へ向けて傾斜するように位置決めされ、クローラー40の側面側を乗り越えてアクセスするのを回避している。クローラー40との接触の危険性を抑えることができる。また、停車、駐車時において幅方向のスペースが確保されることになり、建設機械同士を横並びさせることも困難にならない。
【0039】
一方、運転室20の扉20Fに出来るだけ近く設置するように、乗降用階段50がクローラー40(一方のクローラー40A)と対向するように配置される。これによって、運転室20までのアクセス経路長さをできるだけ短くすることができる。
【0040】
そして、乗降用階段50は、上部構造10Bに支持されてベース部分25(水平方向)に沿って延びるアクセス用ステップ60を備え、運転室20とステップ56との間にアクセス経路を形成している。これによって、作業者は、容易に運転室20へ乗り込むことが可能となり、また、降車時においても、ステップ56の位置まで安全に移動することができる。
【0041】
モータ90は、乗降用階段50を上方へ軸回転させるのに必要なトルク分だけ出力するように構成され、それ以上の負荷がかかると駆動停止する。そのため、乗降用階段50が回転中に作業者などと接触した場合にそれ以上力が掛からず、安全性を高めることができる。特に、上述した自動開閉シート用のモータが適用可能であるため、専用モータを用意する必要がない。
【0042】
作業者がダンプトラック10を始動させたときに、ブザー84によって警告音を発生させ、警告ランプ86が点滅し、乗降用階段50が退避位置に移動していないことを作業者に報知する。これによって、乗降用階段50が搭乗位置のまま作業者が運転、作業を開始するのを防ぐことができる。なお、乗降用階段50が退避位置へ移動するまで、ダンプトラック10を運転動作不能にするように、本体動作制御部95が制御してもよい。例えば、安全レバーと同様の機能を与え、乗降用階段50が退避位置へ到達するまで作業装置が動作しないようにすることができる。
【0043】
次に、図7を用いて、第2の実施形態である建設機械の乗降用階段について説明する。第2の実施形態では、建設機械の後方側に乗降用階段が設けられている。
【0044】
図7は、第2の実施形態であるスクレープドーザを後方側から見た概略的平面図である。スクレープドーザ100は、クローラー140の上部構造に設けられた運転室120へのアクセス経路170が、後方側に設けられている。そして、軸回転可能なステップ構造の乗降用階段150が、クローラー140(140A,140B)の間に設置されている。乗降用階段150は、あらかじめ図示しないステップを取り外した後、その取付位置に装着されている。
【0045】
運転室120へのアクセス経路170に合わせて乗降用階段150を設けることにより、作業者はスムーズに運転室120へ移動することができる。また、乗降用階段150がクローラー140の間に配置されるとともに、後方側に傾斜するように位置決めされているため、クローラー140と乗降用階段150との接触可能性がなく、乗降用階段150を安全に駆動制御させることができる。
【0046】
上述したキャリアダンプ10、スクレープドーザ100以外の車両系建設機械に対し、同じように乗降用階段を装備させる、あるいは後付けで取り付けることが可能である。クローラー式、ホイール式いずれの走行体でも適用可能であり、その走行体の高さに合わせて、ステップの数、傾斜角度、路面から下端までの高さなどを設定すればよい。ホイール式の場合、乗降用階段の下端をホイール中心位置より下に定めることができる。操縦室を備えた車両系建設機械に対しても、同様に乗降用階段を適用することが可能である。
【0047】
乗降用階段の退避位置は、取り付けられる建設機械の種類などに応じて定めればよく、鉛直方向最上位位置よりも下の位置を退避位置とすることもできる。また、スライド移動など、軸回転以外の移動制御を行ってもよく、階段構造を複数のステップを並べて指示する構成であればよい。さらに、建設機械に対して複数の乗降用階段を設けてもよい。例えば、図1に示す符号Nの乗り場から運転室へ進入可能な建設機械に対し、乗降用階段を取り付けることが可能である。運転室あるいは操縦室へのアクセス経路に設置すればよい。
【符号の説明】
【0048】
10 キャリアダンプ(建設機械)
10B 上部構造
20 運転室
30 荷台
40 クローラー(走行体)
50 乗降用階段
60 アクセス用ステップ
90 モータ
100 スクレープドーザ(建設機械)
F 乗降用ステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7