IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ポラス暮し科学研究所の特許一覧 ▶ BXカネシン株式会社の特許一覧

特開2022-165871ブレース固定金具及びブレースの取付構造
<>
  • 特開-ブレース固定金具及びブレースの取付構造 図1
  • 特開-ブレース固定金具及びブレースの取付構造 図2
  • 特開-ブレース固定金具及びブレースの取付構造 図3
  • 特開-ブレース固定金具及びブレースの取付構造 図4
  • 特開-ブレース固定金具及びブレースの取付構造 図5
  • 特開-ブレース固定金具及びブレースの取付構造 図6
  • 特開-ブレース固定金具及びブレースの取付構造 図7
  • 特開-ブレース固定金具及びブレースの取付構造 図8
  • 特開-ブレース固定金具及びブレースの取付構造 図9
  • 特開-ブレース固定金具及びブレースの取付構造 図10
  • 特開-ブレース固定金具及びブレースの取付構造 図11
  • 特開-ブレース固定金具及びブレースの取付構造 図12
  • 特開-ブレース固定金具及びブレースの取付構造 図13
  • 特開-ブレース固定金具及びブレースの取付構造 図14
  • 特開-ブレース固定金具及びブレースの取付構造 図15
  • 特開-ブレース固定金具及びブレースの取付構造 図16
  • 特開-ブレース固定金具及びブレースの取付構造 図17
  • 特開-ブレース固定金具及びブレースの取付構造 図18
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165871
(43)【公開日】2022-11-01
(54)【発明の名称】ブレース固定金具及びブレースの取付構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/58 20060101AFI20221025BHJP
   E04B 1/26 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
E04B1/58 H
E04B1/26 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021071430
(22)【出願日】2021-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】595118892
【氏名又は名称】株式会社ポラス暮し科学研究所
(71)【出願人】
【識別番号】315007581
【氏名又は名称】BXカネシン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111659
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 聡
(72)【発明者】
【氏名】照井 清貴
(72)【発明者】
【氏名】山口 高広
【テーマコード(参考)】
2E125
【Fターム(参考)】
2E125AA33
2E125AB13
2E125AC18
2E125AG41
2E125BB13
2E125BC02
2E125BD01
2E125BE08
2E125CA02
2E125CA05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ブレース固定金具を、1枚の金属板から容易に作製でき、柱や横架材で形成される入隅に空間を残してブレース等に取り付けられ、ブレース等から大きな力が作用しても、連結面部が降伏し難くなるブレース固定金具を提供する。
【解決手段】柱2と柱2に組み付けられる横架材3の入隅ISに空間を残して、柱2と横架材3に取り付けられるブレース固定金具1であって、ブレース固定金具1は、柱2に取り付けられる第1取付面部10と、横架材3に取り付けられる第2取付面部20と、第1取付面部10と第2取付面部20を連結し、ブレースが取り付けられる連結面部30を備え、連結面部30は、入隅IS側に位置する内側端部と内側端部に対向する外側端部を有し、外側端部は連結面部30を構成する平板に曲げ加工を施して形成され、連結面部30の厚み方向の断面積は、外側端部近傍において、外側端部近傍を除く部分より2倍以上となっている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱又は横架材からなる第1構造部材と該第1構造部材に組み付けられる第2構造部材の入隅に空間を残して、前記第1構造部材と前記第2構造部材に取り付けられるブレース固定金具であって、
前記ブレース固定金具は、
前記第1構造部材に取り付けられる第1取付面部と、
前記第2構造部材に取り付けられる第2取付面部と、
前記第1取付面部と前記第2取付面部を連結し、ブレースが取り付けられる連結面部を備え、
前記連結面部は、前記入隅側に位置する内側端部と該内側端部に対向する外側端部を有し、
前記外側端部は、前記連結面部を構成する平板に曲げ加工を施して形成され、
前記曲げ加工により、前記連結面部の前記外側端部から前記内側端部に向かう領域における前記外側端部から前記内側端部に向かう方向に沿った所定長さ当たりの厚み方向の断面積は、前記外側端部近傍において、前記外側端部近傍を除く部分より2倍以上となっていることを特徴とするブレース固定金具。
【請求項2】
前記ブレース固定金具は、1枚の金属板に前記曲げ加工を施した構造であることを特徴とする請求項1記載のブレース固定金具。
【請求項3】
前記第1取付面部と前記第2取付面部は、前記連結面部から曲げられて構成され、
前記第1取付面部と前記第2取付面部は、前記入隅の空間を形成する前記第1構造部材と前記第2構造部材の面に取り付けられることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のブレース固定金具。
【請求項4】
前記連結面部は略等脚台形状を有することを特徴とする請求項3記載のブレース固定金具。
【請求項5】
前記連結面部から前記第1取付面部と前記第2取付面部が曲げられた部分には、複数の凹みを設けたことを特徴とする請求項3又は請求項4記載のブレース固定金具。
【請求項6】
前記第1取付面部と、前記第2取付面部と、前記曲げ加工を施した部分を除く前記連結面部は、平坦面を形成し、
前記第1取付面部と前記第2取付面部は、前記入隅を形成しない前記第1構造部材と前記第2構造部材の面に取り付けられることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のブレース固定金具。
【請求項7】
前記曲げ加工は、前記平板をL字又はU字に曲げる加工であることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載したブレース固定金具。
【請求項8】
前記曲げ加工を施した部分に、複数の凹みを設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載したブレース固定金具。
【請求項9】
柱又は横架材からなる第1構造部材と該第1構造部材に組み付けられる第2構造部材の入隅に空間を残して、前記第1構造部材と前記第2構造部材にブレース固定金具を介して取り付けられるブレースの取付構造であって、
前記ブレース固定金具は、
前記第1構造部材に取り付けられる第1取付面部と、
前記第2構造部材に取り付けられる第2取付面部と、
前記第1取付面部と前記第2取付面部を連結し、ブレースが取り付けられる連結面部を備え、
前記連結面部は、前記入隅側に位置する内側端部と該内側端部に対向する外側端部を有し、
前記外側端部は、前記連結面部を構成する平板に曲げ加工を施して形成され、
前記曲げ加工により、前記連結面部の前記外側端部から前記内側端部に向かう領域における前記外側端部から前記内側端部に向かう方向に沿った所定長さ当たりの厚み方向の断面積は、前記外側端部近傍において、前記外側端部近傍を除く部分より2倍以上となっていることを特徴とするブレース取付構造。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木造軸組構造の建築物において、柱と横架材あるいは横架材同士を組み付けた骨格にブレースや筋交を取り付けるために使用されるブレース固定金具及びブレース固定金具を使用したブレースの取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
木造軸組構造の建築物においては、鉛直方向に木製の柱を配置し、水平方向に木製の横架材(梁、土台等)を配置し、柱と横架材又は横架材同士を組み付けて骨格を形成し、骨格で形成される矩形の対角線上にブレースあるいは筋交い(以下「ブレース等」という)を取り付け、骨格構造の補強が図られている。
この場合、ブレース等の取付は、結合された柱と横架材等に跨って金具(以下「ブレース固定金具」という。)を取り付け、ブレース固定金具にブレース等を固定することにより行われることが多いが、柱と横架材等で形成される骨格(矩形)の入隅は、配線や配管あるいは柱と横架材を固定する金具等が配置されるため、骨格の入隅に空間が残るようにして、ブレース固定金具を柱と横架材等に跨って取り付けることが望ましい。
また、地震や強風等により、柱と横架材等により形成される骨格が変形しようとした場合、ブレース等には大きな力(引張力)作用することから、ブレース固定金具には、ブレース等に作用する大きな引張力に耐えられる強度が必要となり、さらに、ブレース固定金具は、他の金具と同様に、低コストで容易に製造できる加工性も要求される。
そのため、ブレース等の取付構造やブレース固定金具に関し、骨格の入隅に空間が残る構造・形状にして、強度やブレース固定金具の加工性の向上を図った種々の提案がされている。
【0003】
例えば、特許文献1(特開2005-16102号公報)には、梁2に取り付けられる第1の取付部42と、柱3に取り付けられる第2の取付部43と、第1の取付部42と第2の取付部43とを連結する連結部44とを有し、第1の取付部42は平板部42aとリブ部42bとを備え、第2の取付部43は平板部43aとリブ部43bとを備え、連結部44は平板部44aとリブ部44bとを備え、連結部44のリブ部44bにはブレース17が取り付けられた耐震補強具41(引用文献1の段落[0051]~[0059]、図10~12)が開示されている。
特許文献1の耐震補強具41は、梁2と柱3の入隅に空間が残り、第1の取付部42と第2の取付部43が連結部44を挟んで一体的に形成されており、強度の向上は図られているが、1枚の金属板を加工して作製する場合、平板部42a、43a、44aとリブ部42b、43b、44bは曲げ加工により形成できるが、リブ部42b、43b、44bは溶接等により連結する必要があり、加工性が悪いという欠点がある。
【0004】
この点、特許文献2(実用新案登録第3035333号公報)には、互いに直交する水平係止面と垂直係止面における片側の側縁に、直角三角形の金属製基板を一体に設けてなる木造建築用補強金具において、前記金属製基板における直交する二辺の交点の内側に予め切欠き部を設けておいて、前記直交する二辺を前記基板に対し同時に90°方向へ折り曲げると共に、前記切欠き部のある交点の内側部分を前記直交する二辺が円弧状隅部を介して連接されるように前記二辺と同方向へ絞り込むように折り曲げることで、基板に対して90°方向へ折り曲げられる前記水平係止面と垂直係止面とが、互いに前記円弧状隅部を介して一体的に連続して折り曲げ成形されており、金属製基板に、該基板の斜辺に対して平行な向きの溝形の補強リブが設けられている木造建築用補強金具が開示されている。
しかしながら、特許文献2では、直角三角形の金属製基板の直交する二辺を基板に対し同時に90°方向へ折り曲げて水平係止面と垂直係止面と円弧状隅部を形成するためには、円弧状隅部において上辺(切欠き部側の辺)と下辺(基板側の辺)が同じ長さにならなければならないが、折り曲げる前の金属製基板においては、切欠き部を設けても必ず上辺が下辺より長くなり、金属製基板の直交する二辺を基板に対し同時に90°方向へ折り曲げる際に、水平係止面と垂直係止面を連接する円弧状隅部にしわが入り、金属製基板の曲げ加工が極めて難しいという問題がある。
また、特許文献2の木造建築用補強金具には、基板の斜辺に対して平行な向きの溝形の補強リブが設けられているが、この補強リブは基板を凹ませて溝形にしただけであり、基板の厚み方向の曲げに対しては多少の抵抗力が増加するが、基板の斜面方向の引張に対してはほとんど抵抗力が増加しない。
このため、特許文献2の木造建築用補強金具をブレース等の接合金具として使用する場合、ブレース等を取り付けた骨格(柱や横架材で形成される矩形)の変形によりブレース等に大きな引張力が作用して、金属製基板にブレース等から大きな力(厚み方向への曲げ、斜面方向の引張等)が作用すると、金属製基板が斜面側から降伏しやすいという問題がある。
【0005】
次に、特許文献3(特開2012-77484号公報)には、縦向き木製構造材50の縦側面50a及び横向き木製構造材51の横平面51aにそれぞれ取り付けられる第1取付部54と、これら第1取付部54の間に、縦向き及び横向き木製構造材50,51の縦側面50aと横平面51aとの間に位置させて設けられる平坦面部55とを有し、平坦面部55にビス穴59を設けブレース58を固定できるようにした第1補強金物53が開示されている。
さらに、特許文献4(意匠登録第1511570号公報)には、柱の側面にビスで固定される略長方形状の取付面部と横架材に上面にビスで固定される略長方形状の取付面部と、これらの取付面部を連結する略等脚台形状の連結面部からなり、連結面部の中央に穴を設け筋交い(ブレース)が取り付けられるようにした建築用金物が開示されている。
この特許文献3・4の第1補強金物・建築用金物は、木製構造材50、51等の入隅に空間が残り、1枚と金属板を曲げ加工して容易に作製できて加工性は優れている。
しかしながら、ブレース等が取り付けられる平坦面部55・連結面部は、平板からなり、平坦面部55・連結面部にブレース等から大きな力(厚み方向への曲げ、斜面方向の引張等)が作用すると、平坦面部55・連結面部が降伏しやすいという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005-16102号公報
【特許文献2】実用新案登録第3035333号公報
【特許文献3】特開2012-77484号公報
【特許文献4】意匠登録第1511570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、木造軸組構造の建築物において、柱や横架材に取り付けられる取付面部とこれを連結してブレース等が取り付けられる連結面部を備えたブレース固定金具を、1枚の金属板から容易に作製できる構造とし、かつ、柱や横架材で形成される入隅に空間を残してブレース等に取り付けられるようにした上で、ブレース等からブレース固定金具に大きな力が作用しても、連結面部が降伏し難くなるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、柱又は横架材からなる第1構造部材と該第1構造部材に組み付けられる第2構造部材の入隅に空間を残して、前記第1構造部材と前記第2構造部材に取り付けられるブレース固定金具であって、前記ブレース固定金具は、前記第1構造部材に取り付けられる第1取付面部と、前記第2構造部材に取り付けられる第2取付面部と、前記第1取付面部と前記第2取付面部を連結し、ブレースが取り付けられる連結面部を備え、前記連結面部は、前記入隅側に位置する内側端部と該内側端部に対向する外側端部を有し、前記外側端部は、前記連結面部を構成する平板に曲げ加工を施して形成され、前記曲げ加工により、前記連結面部の前記外側端部から前記内側端部に向かう領域における前記外側端部から前記内側端部に向かう方向に沿った所定長さ当たりの厚み方向の断面積は、前記外側端部近傍において、前記外側端部近傍を除く部分より2倍以上となっているブレース固定金具を提供して、上記課題を解決するものである。
【0009】
請求項2の発明は、前記ブレース固定金具は、1枚の金属板に前記曲げ加工を施した構造であるブレース固定金具を提供して、上記課題を解決するものである。
【0010】
請求項3の発明は、前記第1取付面部と前記第2取付面部は、前記連結面部から曲げられて構成され、前記第1取付面部と前記第2取付面部は、前記入隅の空間を形成する前記第1構造部材と前記第2構造部材の面に取り付けられるブレース固定金具を提供して、上記課題を解決するものである。
【0011】
請求項4の発明は、前記連結面部は略等脚台形状を有するブレース固定金具を提供して、上記課題を解決するものである。
【0012】
請求項5の発明は、前記連結面部から前記第1取付面部と前記第2取付面部が曲げられた部分には、複数の凹みを設けたブレース固定金具を提供して、上記課題を解決するものである。
【0013】
請求項6の発明は、前記第1取付面部と、前記第2取付面部と、前記曲げ加工を施した部分を除く前記連結面部は、平坦面を形成し、前記第1取付面部と前記第2取付面部は、前記入隅を形成しない前記第1構造部材と前記第2構造部材の面に取り付けられるブレース固定金具を提供して、上記課題を解決するものである。
【0014】
請求項7の発明は、前記曲げ加工は、前記平板をL字又はU字に曲げる加工であるブレース固定金具を提供して、上記課題を解決するものである。
【0015】
請求項8の発明は、前記曲げ加工を施した部分に、複数の凹みを設けたブレース固定金具を提供して、上記課題を解決するものである。
【0016】
請求項9の発明は、柱又は横架材からなる第1構造部材と該第1構造部材に組み付けられる第2構造部材の入隅に空間を残して、前記第1構造部材と前記第2構造部材にブレース固定金具を介して取り付けられるブレースの取付構造であって、前記ブレース固定金具は、前記第1構造部材に取り付けられる第1取付面部と、前記第2構造部材に取り付けられる第2取付面部と、前記第1取付面部と前記第2取付面部を連結し、ブレースが取り付けられる連結面部を備え、前記連結面部は、前記入隅側に位置する内側端部と該内側端部に対向する外側端部を有し、前記外側端部は、前記連結面部を構成する平板に曲げ加工を施して形成され、前記曲げ加工により、前記連結面部の前記外側端部から前記内側端部に向かう領域における前記外側端部から前記内側端部に向かう方向に沿った所定長さ当たりの厚み方向の断面積は、前記外側端部近傍において、前記外側端部近傍を除く部分より2倍以上となっているブレース取付構造を提供して、上記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の発明のブレース固定金具においては、ブレース等からブレース固定金具に大きな力が作用しても、連結面部が降伏し難くなるという効果を奏する。
【0018】
請求項2に記載の発明のブレース固定金具においては、さらに、1枚の金属板から容易に作製できるという効果を奏する。
【0019】
請求項3に記載の発明のブレース固定金具においては、さらに、第1取付面部と第2取付面部が容易に作製できるという効果を奏する。
【0020】
請求項4に記載の発明のブレース固定金具においては、さらに、第1構造部材と第2構造部材の入隅に容易に空間を残すことができるという効果を奏する。
【0021】
請求項5に記載の発明のブレース固定金具においては、さらに、第1取付面部と連結面部の境界部分や、第2取付面部と連結面部の境界部分の降伏が防止されるという効果を奏する。
【0022】
請求項6に記載の発明のブレース固定金具においては、さらに、第1取付面部と前記第2取付面部を入隅を形成しない第1構造部材と第2構造部材の面に容易に取り付けられるという効果を奏する。
【0023】
請求項7に記載の発明のブレース固定金具においては、さらに、連結面部の外側端部の曲げ加工を容易に行うことができるという効果を奏する。
【0024】
請求項8に記載の発明のブレース固定金具においては、連結面部の外側端部近傍の降伏が一層防止できるという効果を奏する。
【0025】
請求項9に記載の発明のブレースの取付構造においては、ブレース等からブレース固定金具に大きな力が作用しても、連結面部が降伏し難くなるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施形態のブレースの取付構造の構成を示す斜視図である。
図2】ブレース固定金具1の斜視図である。
図3】ブレース固定金具1の左側面図である。
図4】ブレース固定金具1の平面図。
図5図5は、ブレース固定金具1の正面図である。
図6】ブレース固定金具1の背面図である。
図7図4のA-A断面図である。
図8図5のB-B拡大断面図、C-C拡大断面図、D-D断面図及びE-E断面図である。
図9】ブレース固定金具1の展開図である。
図10】ブレース固定金具1を柱2と横架材3とで形成される入隅に当てがった状態の斜視図である。
図11】ブレース固定金具の他の例1の斜視図である。
図12図11に示すブレース固定金具の左側面図と平面図である。
図13図11に示すブレース固定金具の正面図と背面図である。
図14図12のF-F断面図、図13のG-G断面図とH-H断面図である。
図15】ブレース固定金具の他の例2の斜視図である。
図16図15に示すブレース固定金具の平面図、正面図及び右側面図である。
図17図16のI-I断面図とJ-J断面図である。
図18】ブレース固定金具100を柱2と横架材3とで形成される入隅に取り付けた状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
[ブレースの取付構造の構成]
図1は、本発明の実施形態のブレースの取付構造の構成を示す斜視図であり、図中、1はブレース固定金具、2は柱、2aは入隅側の面、3は横架材、3aは入隅側の面、4はブレース、4aは羽子板、4bはボルト、10は第1取付面部、20は第2取付面部、30は連結面部、ISは入隅、SPは空間であり、図において、Xは横架材3の軸方向(長手方向)に沿った方向(左右方向)、YはX方向と水平方向に垂直な方向(前後方向)、Zは水平面(XY面)と垂直な方向(上下方向)である。
図1に示すブレースの取付構造においては、柱2と横架材3とで形成される入隅IS(二点鎖線で示す)に、ブレース固定金具1を介して、ブレース4が取り付けられている。
柱2は、本発明の第1構造部材となるものであり、横架材3は、本発明の第2構造部材となるもので、土台や梁等であり、柱2と横架材3には、木製の材料、例えば、ヒノキ(桧)、ヒバ(桧葉)、スギ(杉)等の木材が使用され、柱2と横架材3は、直交又は直交に近い状態にして組み付けられる。
ブレース固定金具1は、第1取付面部10、第2取付面部20及び連結面部30からなり、第1取付面部10と第2取付面部20は、連結面部30により連結されている(詳細は後述する。)
第1取付面部10は、柱2の入隅IS側の面2aに取り付けられ、第2取付面部20は、横架材3の入隅IS側の面3aに取り付けられ、ブレース固定金具1が取り付けられた入隅ISには、空間SPが残されている。
ブレース4は、入隅ISと入隅ISに対向する入隅の間に取り付けられ、柱2と横架材3等からなる骨組みを補強して耐力壁等の耐力構面を形成するものであり、ブレース4の羽子板4aは、ボルト4bとナット(図示せず)によりブレース固定金具1の連結面部30に取り付けられている。
【0028】
[ブレース固定金具1の構成]
図2は、ブレース固定金具1の斜視図、図3は、ブレース固定金具1の左側面図、図4は、ブレース固定金具1の平面図、図5は、ブレース固定金具1の正面図、図6は、ブレース固定金具1の背面図、図7は、図4のA-A断面図、図8(a)は、図5のB-B拡大断面図、図8(b)は、図5のC-C拡大断面図、図8(c)は、図5のD-D断面図、図8(d)は、図5のE-E断面図である。
図中、11は第1平板、11aは上端部、11bは下端部、12は上側ビス孔群、12hは第1ビス孔、13は下側ビス孔群、13hは第1ビス孔、14は第1ボルト孔、15a~15dは第1凹み、21は第2平板、21aは左端部、21bは右端部、22は左側ビス孔群、22hは第2ビス孔、23は右側ビス孔群、23hは第2ビス孔、24は第2ボルト孔、25a~25dは第2凹み、31は平板部、32は外側L字部、32aは外側端部、33は内側L字部、33aは内側端部、34はブレースボルト孔、35a~35fは第3凹み、36a、36b、37a、37bは切欠きである。
また、図5図6において、網点で示す30Rは、外側端部32aから内側端部33aに向かう領域である。
上述のように、ブレース固定金具1は、第1取付面部10、第2取付面部20、及び、第1取付面部10と第2取付面部20を連結する連結面部30からなり、第1取付面部10と第2取付面部20は、連結面部30に対して直角又は直角に近い角度に起立している。
【0029】
第1取付面部10は、上端部11aと下端部11bを有する第1平板11に、上側ビス孔群12、下側ビス孔群13及び第1ボルト孔14が設けられて形成される。
上側ビス孔群12は、上端部11aの近傍領域に設けられた複数の第1ビス孔12hからなり、下側ビス孔群13は、下端部11bの近傍領域に設けられた複数の第1ビス孔13hからなり、第1ボルト孔14は、下端部11bの近傍領域に設けられている。
この場合、上端部11aの近傍領域は、上端部11aから下側に、第1平板11のZ方向(上下方向)の長さの1/10~2/5、望ましくは1/4~1/3程度寄った領域をいい、下端部11bの近傍領域は、下端部11bから上側に、第1平板11のZ方向(上下方向)の長さの1/10~2/5、望ましくは1/4~1/3程度寄った領域をいう。
また、第1取付面部10と連結面部30に跨る直角又は直角に近い角度の部分(境界部分)には、第1凹み15a~15dが設けられている。
この第1凹み15a~15dは、図8(a)に示すように、上記直角又は直角に近い角度の部分を内側に押し込んで膨らますことにより形成されたものである。
【0030】
第2取付面部20は、第1取付面部10と同じ構造である。
すなわち、第2取付面部20は、左端部21aと右端部21bを有する第2平板21に、左側ビス孔群22、右側ビス孔群23及び第2ボルト孔24が設けられて形成される。
左側ビス孔群22は、左端部21aの近傍領域に設けられた複数の第2ビス孔22hからなり、右側ビス孔群23は、右端部21bの近傍領域に設けられた複数の第2ビス孔23hからなり、第2ボルト孔24は、右端部21bの近傍領域に設けられている。
この場合、左端部21aの近傍領域は、左端部21aから右側に、第2平板21のX方向(左右方向)の長さの1/10~2/5、望ましくは1/4~1/3程度寄った領域をいい、右端部21bの近傍領域は、右端部21bから左側に、第2平板21のX方向(左右方向)の長さの1/10~2/5、望ましくは1/4~1/3程度寄った領域をいう。
また、第2取付面部20と連結面部30に跨る直角又は直角に近い角度の部分(境界部分)には、第2凹み25a~25dが設けられている。
この第2凹み25a~25dは、図8(b)に示すように、上記直角又は直角に近い角度の部分を内側に押し込んで膨らますことにより形成されたものである。
【0031】
連結面部30は、平板部31、外側L字部32及び内側L字部33からなり(図8(c)参照)、正面から見た外形が略等脚台形となっており、外側L字部32の折曲部が外側端部32aとなり、内側L字部33の折曲部が内側端部33aとなる。
この場合、連結面部30の外側端部32aから内側端部33aに向かう領域30Rにおいては、外側端部32aから内側端部33aに向かう方向、すなわち、外側端部32aと内側端部33aに直交する方向の所定長さ当たりの厚み方向(Y方向)の断面積は、外側端部32a近傍となる外側L字部32において、外側L字部32を除く部分より2倍以上となっている。所定長さとは、外側L字部32の外側端部32aから内側端部33aに向かう方向の長さLzをいい、Lzは、外側L字部32のY方向の長さLyの1/2以下の長さをいう(図8(c)参照)。
また、平板部31においては、中央から外側端部32aに寄った位置に、ブレースボルト孔34が設けられ、外側端部32aの両側には切欠き36a、36bが設けられ、内側端部33aの両側には、切欠き37a、37bが設けられている。
さらに、外側端部32aには、その長手方向に沿って第3凹み35a~35fが設けられている。
この第3凹み35a~35fは、図7図8(d)に示すように、外側L字部32の折曲部を内側に押し込むことにより形成されたものである。
【0032】
[ブレース固定金具1の組立加工]
図9は、ブレース固定金具1の展開図であり、図中、40は金属板、41は第1面部、42は第2面部、43は第3面部、43pは外側折曲面部、43qは内側折曲面部であり、二点鎖線で表すf1~f4は折曲線である。
以下、ブレース固定金具1の組立加工について説明する。
ブレース固定金具1を組立加工するための金属板40は、第1面部41、第2面部42及び第3面部43からなり、第1面部41と第3面部43は折曲線f1で区画され、第2面部42と第3面部43は折曲線f2で区画される。
第1面部41は、第1取付面部10となる部分であり、上側ビス孔群12、下側ビス孔群13及び第1ボルト孔14が設けられている。
第2面部42は、第2取付面部20となる部分であり、左側ビス孔群22、右側ビス孔群23及び第2ボルト孔24が設けられている。
第3面部43は、連結面部30となる部分であり、中央部付近にブレースボルト孔34が設けられ、折曲線f1の近傍に切欠き36a、37aが設けられ、折曲線f2の近傍に切欠き36b、37bが設けられている。
また、第3面部43において、折曲線f3の外側は外側折曲面部43pとなっており折曲線f4の外側は内側折曲面部43qとなっている。
【0033】
金属板40からブレース固定金具1への組立加工は、次のようにして行われる。
まず、第1面部41を折曲線f1に沿って第3面部43に対して直角又は直角に近い角度に折り曲げ、第1取付面部10を形成し、第2面部42を折曲線f2に沿って第3面部43に対して直角又は直角に近い角度に折り曲げ、第2取付面部20を形成する。
次いで、第3面部43において、外側折曲面部43pを折曲線f3に沿ってL字状に折り曲げ、外側L字部32を形成し、内側折曲面部43qを折曲線f4に沿ってL字状に折り曲げ、内側L字部33を形成する。
このとき、第3面部43には切欠き36a、36bが設けられているため、外側折曲面部43pを折曲線f3に沿って容易に折り曲げることができ、切欠き37a、37bが設けられているため、内側折曲面部43qを折曲線f4に沿って容易に折り曲げることができる。
この後、折曲線f1上の複数のスポット状部分を内側に押し込んで膨らませ、第1凹み15a~15dを形成し、折曲線f2上の複数のスポット状部分を内側に押し込んで膨らませ、第2凹み25a~25dを形成し、折曲線f3上の複数のスポット状部分を内側に押し込んで膨らませ、第3凹み35a~35fを形成する。
このようにボルト孔とビス孔等を設けた1枚の金属板40に対して、所定の折曲線に沿って曲げ加工を施し、複数のスポット状部分に押し込み加工を施すことにより、容易にブレース固定金具1を作製することができる。
【0034】
[ブレース固定金具1の取付]
図10は、ブレース固定金具1を柱2と横架材3とで形成される入隅に当てがった状態の斜視図であり、図中、50、60はボルト、51、61はナット、52、53、62、63はビスである。
以下、図10に基づいてブレース固定金具1の取付を説明する。
まず、第1取付面部10を、柱2の入隅側の面2aに当てがい、第2取付面部20を横架材3の入隅側の面3bに当てがう。
柱2には、予めX方向の貫通孔が設けられ、横架材3には、予めZ方向の貫通孔が設けられており、第1取付面部10の第1ボルト孔14が柱2の貫通孔と合致し、第2取付面部20の第2ボルト孔24が横架材3の貫通孔と合致するように、ブレース固定金具1の位置決めを行う。
次いで、ボルト50を、第1ボルト孔14と柱2の貫通孔に挿通し、ボルト50の先端側のネジ部にナット51をねじ込み、ボルト50とナット51で第1取付面部10の第1平板11を柱2に固定する。
また、ボルト60を、第2ボルト孔24と横架材3の貫通孔に挿通し、ボルト60の先端側のネジ部にナット61をねじ込み、ボルト60とナット61で第2取付面部20の第2平板21を横架材3に固定する。
【0035】
この後、第1取付面部10において、ビス52を、上側ビス孔群12の各第1ビス孔12hから、柱2にねじ込み、ビス53を、下側ビス孔群13の各第1ビス孔13hから、柱2にねじ込む。
また、第2取付面部20において、ビス62を、左側ビス孔群22の各第2ビス孔22hから、横架材3にねじ込み、ビス63を、右側ビス孔群23の各第2ビス孔23hから、横架材3にねじ込む。
このとき、最初に、ボルト50・ナット51で第1取付面部10を柱2に位置決め固定し、ボルト60・ナット61で第2取付面部20を横架材3に位置決め固定することから、容易にビス52、53を第1ビス孔12h、13hから柱2にねじ込み、ビス62、63を第2ビス孔22h、23hから横架材3にねじ込みことができ、作業者の負荷が軽減される。
このようにして、第1取付面部10が、ボルト50・ナット51とビス52、53により、柱2に強固に固定され、第2取付面部20が、ボルト60・ナット61とビス62、63により、横架材3に強固に固定され、ブレース固定金具1が、柱2と横架材3とで形成される入隅ISに取り付けられる。
柱2と横架材3の入隅ISに取り付けられたブレース固定金具1に対しては、図1に示すように、ブレース4の羽子板4aを連結面部30の平板部31に当てがい、羽子板4aのボルト孔(図示せず)とブレースボルト孔34にボルト4bを挿通し、ボルト4bのネジ部にナット(図示せず)をねじ込んで締め付ける。
これにより、ブレース4がブレース固定金具1の連結面部30に固定される。
【0036】
[ブレースの取付構造の作用]
柱2と横架材3の入隅ISにブレース固定金具1を介してブレース4を取り付けたブレースの取付構造(図1)の作用について説明する。
図1のブレースの取付構造において、地震や強風により、柱2と横架材3等からなる骨組みを変形させようとする強い力が作用すると、ブレース4には引張力が作用すると共に、ブレース固定金具1は、ブレース4との接合部において、ブレース4の引張力が作用し、ブレース固定金具1を変形させると共に、ブレース固定金具1を柱2と横架材3から引き離そうとする力が作用する。
そして、ブレース固定金具1おいては、特に、連結面部30の外側端部32a近傍に、X方向、Y方向、Z方向の曲げ、引張、せん断、ねじり等が複合した大きな力が作用する。
この場合、連結面部30の外側端部32a近傍には、外側L字部32が形成され、領域30Rにおいては、外側端部32aから内側端部33aに向かう方向の所定長さ当たりの厚み方向(Y方向)の断面積は、外側端部32a近傍となる外側L字部32において、外側L字部32を除く部分より2倍以上となっていることから、外側端部32a近傍に作用する曲げ、引張、せん断、ねじり等が複合した大きな力に対して、強い抵抗を示し、外側端部32a近傍の降伏が防止される。
また、外側端部32aには、その長手方向に沿って第3凹み35a~35fが設けられており、第3凹み35a~35fが上記複合した大きな力に対してより強い抵抗を示し、外側端部32a近傍の降伏が一層防止される。
さらに、連結面部30は内側L字部33を有し、この内側L字部33により、連結面部30の内側端部33aの降伏が防止される。
【0037】
次に、ブレース固定金具1においては、第1取付面部10と連結面部30の境界部分や、第2取付面部20と連結面部30の境界部分にも、曲げ、引張、せん断、ねじり等が複合した大きな力が作用する。
この場合、第1取付面部10と連結面部30に跨る直角又は直角に近い角度の部分(境界部分)には、第1凹み15a~15dが設けられ、第2取付面部20と連結面部30に跨る直角又は直角に近い角度の部分(境界部分)には、第2凹み25a~25dが設けられている。
この第1凹み15a~15dと第2凹み25a~25dが、上記複合した大きな力に対してより強い抵抗を示し、第1取付面部10と連結面部30の境界部分や、第2取付面部20と連結面部30の境界部分の降伏が防止される。
【0038】
[ブレース固定金具の他の例1]
図11は、ブレース固定金具の他の例1の斜視図、図12(a)は、図11に示すブレース固定金具の左側面図、図12(b)は、図11に示すブレース固定金具の平面図、図13(a)は、図11に示すブレース固定金具の正面図、図13(b)は、図11に示すブレース固定金具の背面図、図14(a)は、図12のF-F断面図、図14(b)は、図13(a)のG-G断面図、図14(c)は、図13(a)のH-H断面図である。
図中、1’はブレース固定金具、30’は連結面部、31’は平板部、32’は外側U字部、32a’は外側端部、33’は内側U字部、33a’は内側端部、34’はブレースボルト孔、35a’~35f ’は第3凹み、36a’、36b’、37a’、37b’は切欠きであり、図2~6に示すブレース固定金具1と同一のものには同一の符号を付す。
ブレース固定金具1’は、ブレース固定金具1の連結面部30に代えて連結面部30’により、第1取付面部10と第2取付面部20を連結したものである。
連結面部30’は、連結面部30の外側L字部32と内側L字部33を外側U字部32’と内側U字部33’としたものである。
この場合、外側U字部32’は、図9に示す金属板40の第3面部において、外側折曲面部43pを折曲線f3に沿ってU字状に湾曲させることに形成され、内側U字部33’は、内側折曲面部43qを折曲線f4に沿ってU字状に湾曲させることにより形成される。
【0039】
連結面部30’は、平板部31’、外側U字部32’及び内側U字部33’からなり(図14(b)参照)、正面から見た外形が略等脚台形となっており、外側U字部32’の湾曲部が外側端部32a’となり、内側U字部33’の湾曲部が内側端部33a’となる。
この場合、連結面部30’の外側端部32a’から内側端部33a’に向かう領域30R’においては、外側端部32a’から内側端部33a’に向かう方向、すなわち、外側端部32a’と内側端部33a’に直交する方向の所定長さ当たりの厚み方向(Y方向)の断面積は、外側端部32a’近傍となる外側U字部32’において、外側U字部32’を除く部分より2倍以上となっている。所定長さとは、外側U字部32’の外側端部32aから内側端部33a’に向かう方向の長さLu、または、Lu以下で外側U字部32’の湾曲部の長さLw以上の長さをいう(図14(b)参照)。
また、平板部31’においては、ブレース固定金具1の連結面部30と同様に、中央から外側端部32a’に寄った位置に、ブレースボルト孔34’が設けられ、外側端部32a’の両側には切欠き36a’、36b’が設けられ、内側端部33a’の両側には、切欠き37a’、37b’が設けられている。
さらに、外側端部32a’には、その長手方向に沿って第3凹み35a’~35f ’が設けられている。
この第3凹み35a’~35f ’は、図14(a)、(c)に示すように、外側U字部32’の湾曲部を内側に押し込むことにより形成されたものである。
なお、ブレース固定金具1’の柱2と横架材3とで形成される入隅への取付は、ブレース固定金具1の場合と同じである。
【0040】
[ブレース固定金具1’によるブレースの取付構造の作用]
ブレース固定金具1’によるブレースの取付構造において、地震や強風により、柱2と横架材3等からなる骨組みを変形させようとする強い力が作用すると、ブレース4には引張力が作用すると共に、ブレース固定金具1’は、ブレース4との接合部において、ブレース4の引張力が作用し、ブレース固定金具1’を変形させると共に、ブレース固定金具1’を柱2と横架材3から引き離そうとする力が作用する。
そして、ブレース固定金具1’おいては、ブレース固定金具1と同様に、連結面部30’の外側端部32a’近傍に、X方向、Y方向、Z方向の曲げ、引張、せん断、ねじり等が複合した大きな力が作用する。
この場合、連結面部30’の外側端部32a’近傍には、外側U字部32’が形成され、領域30R’においては、外側端部32a’から内側端部33a’に向かう方向の所定長さ当たりの厚み方向(Y方向)の断面積は、外側端部32a’近傍となる外側U字部32’において、外側U字部32’を除く部分より2倍以上となっていることから、外側端部32a’近傍に作用する曲げ、引張、せん断、ねじり等が複合した大きな力に対して、強い抵抗を示し、外側端部32a’近傍の降伏が防止される。
また、外側端部32a’には、その長手方向に沿って第3凹み35a’~35f ’が設けられており、第3凹み35a’~35f ’が上記複合した大きな力に対してより強い抵抗を示し、外側端部32a’近傍の降伏が一層防止される。
さらに、連結面部30’は内側U字部33’を有し、この内側U字部33’により、連結面部30’の内側端部33a’の降伏が防止される。
【0041】
[ブレース固定金具の他の例2]
図15は、ブレース固定金具の他の例の斜視図、図16(a)は、図15に示すブレース固定金具の平面図、図16(b)は、図15に示すブレース固定金具の正面図、図16(c)は、図15に示すブレース固定金具の右側面図、図17(a)は、図16(a)のI-I断面図、図17(b)は、図16(b)のJ-J断面図である。
図中、100はブレース固定金具、101は平坦面部、101a、101bは切欠き、102は折曲面部、110は第1取付面部、112は第1ビス孔群、112hは第1ビス孔、113はくり抜き穴、120は第2取付面部、122は第2ビス孔群、122hは第2ビス孔、123はくり抜き穴、130は連結面部、130aは外側端部、130bは内側端部、131は平板部、132はL字部、134はブレースボルト孔である。
また、図15図16(b)において二点鎖線で示すk1、k2は仮想の境界線であり、図16(b)において、網点で示す130Rは、外側端部130aから内側端部130bに向かう領域である。
ブレース固定金具100は、第1取付面部110、第2取付面部120、及び、第1取付面部110と第2取付面部120を連結する連結面部130からなる。
一方、ブレース固定金具100は、1枚の金属板の一部をL字に曲げる曲げ加工を施して形成される折曲面部102を有することから、ブレース固定金具100は、上記金属板から折曲面部102を除いた平坦面部101と折曲面部102からなる。
そして、平坦面部101において、第1取付面部110と連結面部130は、仮想の境界線k1で仕切られ、第2取付面部120と連結面部130は、仮想の境界線k2で仕切られている。
また、第1取付面部110には、複数の第1ビス孔112hからなる第1ビス孔群112が設けられ、第1取付面部110と連結面部130の境界には、くり抜き穴113が設けられている。
同様に、第2取付面部120には、複数の第2ビス孔122hからなる第2ビス孔群122が設けられ、第2取付面部120と連結面部130の境界には、くり抜き穴123が設けられている。
【0042】
連結面部130は、折曲面部102と平坦面部101の一部である平板部131(平坦面部101から折曲面部102と第1取付面部110・第2取付面部120を除く部分)からなる。
この場合、折曲面部102の外側端部が外側端部130aとなり、外側端部130aに対向する平坦面部101(第1取付面部110と第2取付面部120を除く部分)の端部が、内側端部130bとなり、折曲面部102と外側端部130a近傍からL字部132が形成され、連結面部130の平坦面部101からL字部132を除いた部分が平板部131となる(図13(b)参照)。
そして、連結面部130の外側端部130aから内側端部130bに向かう領域130Rにおいては、外側端部130aから内側端部130bに向かう方向、すなわち、外側端部130aと内側端部130bに直交する方向の所定長さ当たりの厚み方向(Y方向)の断面積は、外側端部130a近傍となるL字部132において、L字部132を除く平板部131より2倍以上となっている。所定長さとは、折曲面部102のY方向の長さの1/2以下の長さをいう(図17(b)参照)。
また、平板部131においては、中央から外側端部130aに寄った位置に、ブレースボルト孔134が設けられている。
なお、本発明のブレース固定金具において、連結面部の外側端部に施される曲げ加工は、ブレース固定金具1の外側L字部32、ブレース固定金具1’の外側U字部32’やブレース固定金具100のL字部132を形成する曲げ加工に限定されるものではなく、コの字状やレの字状に曲げる曲げ加工であってもよい。
【0043】
[ブレース固定金具100の取付]
図18は、ブレース固定金具100を柱2と横架材3とで形成される入隅に取り付けた状態の斜視図であり、図中、2b、3bは入隅を形成しない面、141、142はビス、SP’は空間であり、図1と同じものには同一の符号を付す。
以下、図18に基づいてブレース固定金具100の取付を説明する。
まず、ブレース固定金具100の第1取付面部110を、柱2の入隅を形成しない面2bに当てがい、第2取付面部120を横架材3の入隅を形成しない面3bに当てがう。
このとき、第1取付面部110と連結面部130の境界にはくり抜き穴113が設けられており、くり抜き穴113の中に面2bの側縁が入るようにブレース固定金具100を当てがうことにより、容易に第1取付面部110を面2bに当てがうことができる。
また、第2取付面部120と連結面部130の境界にはくり抜き穴123が設けられており、くり抜き穴123の中に面3bの上縁が入るようにブレース固定金具100を当てがうことにより、容易に第2取付面部120を面3bに当てがうことができる。
次いで、第1取付面部110において、ビス141を、第1ビス孔群112の各第1ビス孔112hから、柱2にねじ込む。
また、第2取付面部120において、ビス142を、第2ビス孔群122の各第2ビス孔122hから横架材3にねじ込む。
このようにして、第1取付面部110がビス141により柱2に強固に固定され、第2取付面部120が、ビス142により横架材3に強固に固定され、ブレース固定金具100が、柱2と横架材3とで形成される入隅ISに取り付けられ、入隅ISには、空間SP’が残されている。
柱2と横架材3の入隅ISに取り付けられたブレース固定金具100に対しては、ブレース4の羽子板4aを連結面部130の平板部131に当てがい、羽子板4aのボルト孔(図示せず)とブレースボルト孔134にボルト4bを挿通し、ボルト4bのネジ部にナット(図示せず)をねじ込んで締め付ける。
これにより、ブレース4がブレース固定金具100の連結面部130に固定される。
【0044】
[ブレース固定金具100によるブレースの取付構造の作用]
柱2と横架材3の入隅ISにブレース固定金具100を介してブレース4を取り付けたブレースの取付構造(図18)の作用について説明する。
図18のブレースの取付構造においても、図1のブレースの取付構造と同様に、地震や強風により、ブレース固定金具100とブレース4との接合部において、ブレース4の引張力が作用し、ブレース固定金具100を変形させると共に、ブレース固定金具100を柱2と横架材3から引き離そうとする力が作用する。
そして、ブレース固定金具100おいては、特に、連結面部130の外側端部130a近傍に、X方向、Y方向、Z方向の曲げ、引張、せん断、ねじり等が複合した大きな力が作用する。
この場合、連結面部130の外側端部130a近傍には、L字部132が形成され、領域130Rにおいては、外側端部130aから内側端部130bに向かう方向の所定長さ当たりの厚み方向(Y方向)の断面積は、外側端部130a近傍となるL字部132において、L字部132を除く平板部131より2倍以上となっていることから、外側端部130a近傍に作用する曲げ、引張、せん断、ねじり等が複合した大きな力に対して、強い抵抗を示し、外側端部130a近傍の降伏が防止される。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明のブレース固定金具は、1枚の金属板から容易に作製でき、かつ、柱や横架材で形成される入隅に空間を残してブレース等に取り付けることができ、本発明のブレースの取付構造においては、ブレース等からブレース固定金具に大きな力が作用しても、連結面部が降伏し難くなり、本発明のブレース固定金具及及びブレースの取付構造は、木造軸組構造の建築物に利用することができる。
【符号の説明】
【0046】
1 ブレース固定金具
1’ ブレース固定金具
2 柱
2a 入隅側の面
2b、入隅を形成しない面
3 横架材
3a 入隅側の面
3b 入隅を形成しない面
4 ブレース
4a 羽子板
4b ボルト
10 第1取付面部
11 第1平板
11a 上端部
11b 下端部
12 上側ビス孔群
12h 第1ビス孔
13 下側ビス孔群
13h 第1ビス孔
14 第1ボルト孔
15a~15d 第1凹み
20 第2取付面部
21 第2平板
21a 左端部
21b 右端部
22 左側ビス孔群
22h 第2ビス孔
23 右側ビス孔群
23h 第2ビス孔
24 第2ボルト孔
25a~25d 第2凹み
30、30’ 連結面部
30R 領域
31、31’ 平板部
32 外側L字部
32’ 外側U字部
32a、32a’ 外側端部
33 内側L字部
33’ 内側U字部
33a、33a’ 内側端部
34、34’ ブレースボルト孔
35a~35f、35a’~35f ’ 第3凹み
36a、36b、37a、37b、36a’、36b’、37a’、37b’ 切欠
40 金属板
41 第1面部
42 第2面部
43 第3面部
43p 外側折曲面部
43q 内側折曲面部
50、60 ボルト
51、61 ナット
52、53、62、63 ビス
100ブレース固定金具
101平坦面部
101a、101b切欠き
102 折曲面部
110 第1取付面部
112 第1ビス孔群
112h 第1ビス孔
113 くり抜き穴
120 第2取付面部
122 第2ビス孔群
122h 第2ビス孔
123 くり抜き穴
130 連結面部
130a 外側端部
130b 内側端部
130R 領域
131 平板部
132 L字部
134 ブレースボルト孔
141、142 ビス
f1~f4 折曲線
IS 入隅
k1、k2 仮想の境界線
SP、SP’ 空間

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18