(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165886
(43)【公開日】2022-11-01
(54)【発明の名称】航空機の非常時の尾翼遠隔操縦装置
(51)【国際特許分類】
B64C 13/12 20060101AFI20221025BHJP
B64D 45/00 20060101ALI20221025BHJP
B64D 25/00 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
B64C13/12
B64D45/00 A
B64D25/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021095469
(22)【出願日】2021-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】517395116
【氏名又は名称】飯尾 清
(72)【発明者】
【氏名】飯尾 清
(57)【要約】
【課題】飛行中の飛行機が突然の故障又はハイジャック又は爆弾テロで飛行機の配管系統や電気系統が機能不能時において、無線指令して尾翼操作を可能とした尾翼遠隔操縦装置である。
【解決手段】 飛行機の操縦席2の操縦桿から油圧系の配管等を介して水平尾翼及び垂直尾翼を操縦する尾翼遠隔操縦装置において、上記油圧系が破損時に、操縦席2の操縦桿S1,S2には左右の水平尾翼4,5及び垂直尾翼3を無線で遠隔操作する操縦桿発信器Aと、飛行機Hの尾翼内部には上記操縦席2の操縦桿発信器からの操縦指令信号となる無線指令Xを受けて左右の水平尾翼4,5及び垂直尾翼3を遠隔操作される遠隔操縦桿受信器Bと、を備えた尾翼遠隔操縦装置100である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛行機の操縦席の操縦桿から油圧系統の配管又はワイヤーを介して水平尾翼及び垂直尾翼を操縦する尾翼遠隔操縦装置において、上記油圧系統の配管又はワイヤーの他に、操縦席の操縦桿には左右の水平尾翼及び垂直尾翼を無線で遠隔操作する操縦桿発信器と、飛行機の尾翼内部には上記操縦席の操縦桿発信器からの無線指令を受けて左右の水平尾翼及び垂直尾翼を遠隔操作させる遠隔操縦桿受信器と、を備えたことを特徴とする航空機の非常時の尾翼遠隔操縦装置。
【請求項2】
上記請求項1記載の航空機の非常時の尾翼遠隔操縦装置において、飛行中に油圧系統の配管又はワイヤーが破損して操縦機能の不全時は、操縦席の操縦桿発信器と尾翼側の遠隔操縦受信器とを無線操作可能とし、飛行姿勢の修正時は操縦桿発信器の操縦桿を操縦士の補正操作により垂直尾翼又は左右の水平尾翼の操作指令は、操縦桿発信器から遠隔操縦受信器に無線指令されるとともに該遠隔操縦受信器は、各駆動系を介して垂直尾翼の角度駆動と左右水平尾翼の角度駆動とを個別制御することで飛行姿勢を矯正することを特徴とする航空機の非常時の尾翼遠隔操縦装置。
【請求項3】
上記請求項1又は2記載の航空機の非常時の尾翼遠隔操縦装置において、操縦桿発信器の操縦桿を操縦士の姿勢操作により垂直尾翼又は左右の水平尾翼の操作指令時に、姿勢制御を無線指令される遠隔操縦受信器が垂直尾翼又は左右の水平尾翼の操作状況は、操縦席の操縦桿発信器のモニターに表示されることを特徴とする航空機の非常時の尾翼遠隔操縦装置。
【請求項4】
上記請求項1又は2又は3記載の航空機の非常時の尾翼遠隔操縦装置において、上記遠隔操縦受信器の各駆動系は、空圧又は油圧又は電磁駆動系により垂直尾翼又は左右の水平尾翼を駆動する構成としたことを特徴とする航空機の非常時の尾翼遠隔操縦装置。
【請求項5】
上記請求項1~4記載のいずれか1において、航空機の非常時の尾翼遠隔操縦装置の無線の周波数帯は、ドローン等に使用されている周波数帯でない特別の外部外乱を受けない周波数が使用されていることを特徴とする航空機の非常時の尾翼遠隔操縦装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行中の飛行機が落雷や突然の故障又はハイジャック又は爆弾テロで飛行機の油圧配管系統が機能不能となった事態が発生し、飛行の為の操縦機能が出来なくなった時の対応技術となる非常時の尾翼遠隔操縦装置である。
即ち、飛行機の操縦席の操縦桿から油圧系統の配管又はワイヤーを介して水平尾翼及び垂直尾翼を操縦する尾翼操縦装置において、上記装置を司る油圧系統の配管又はワイヤーが破損して操縦席の操縦桿では水平尾翼や垂直尾翼が操作不能時に対応可能とした非常時の尾翼遠隔操縦装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば、日本航空機が御巣鷹山に衝突墜落した原因は、航空機の尾翼付近の圧力隔壁が何らかの原因で破損し、操縦席から水平尾翼及び垂直尾翼を操縦する尾翼操縦装置の操作が不能になった事例が有る。この操縦不能の原因・理由は油圧系統の配管系又はワイヤー系が破損し、操縦席から水平尾翼及び垂直尾翼を遠隔で操縦出来なくなった事にあると、推測される。
【0003】
上記航空機の飛行時の水平尾翼及び垂直尾翼を操縦する尾翼操縦装置系統は、これが故障しても、非常事態に対応する危険回避技術は、特別に開発されず、装備していないのが現状である。
【0004】
そこで、
図4と
図5に観るように、従来の飛行機Hの飛行時の水平尾翼H1,H2の昇降蛇1,2及び垂直尾翼Vの方向舵V1を操縦桿Sで操作すると、コントロール・ケーブルK又は図示しないが油圧系やエアー系又は電気系を介して、水平尾翼H1,H2の昇降蛇1,2及び垂直尾翼Vの方向舵V1を操縦席から遠隔操縦する構成となっている。
【0005】
上記構成の更なる詳細は、
図5に見るように、操縦席Sの2人のパイロットが操縦桿S1,S2を操作すると、コントロール・ケーブルK又は図示しないが油圧系やエアー系又は電気系を介して、左右の水平尾翼H1,H2の昇降蛇1,2と、垂直尾翼Vの方向舵V1を遠隔操作で操縦席から操作される。尚、水平尾翼H1,H2の昇降蛇1,2は、右側昇降蛇1aと1bと左側昇降蛇2aと2bと備える。また、垂直尾翼Vの方向舵V1を遠隔操作で操縦席から操作される。しかして、上記水平尾翼H1,H2と垂直尾翼Vの方向舵V1は、ケーブルK又は油圧系やエアー系又は電気系を介しているから、これらの操作伝達系は、飛行中に何らかの原因で破損事故を招くと、操縦不能となる。(例えば、公知文献1参照。)。
【0006】
また、航空機監視システムを備えた航空機も提供されている。これは、飛行試験中において、航空機の制御翼面の動作を監視するための方法及び装置である。その構成は、先ず、パイロット制御入力信号204が受信される。飛行制御モデル230によって制御される制御翼面システム206の応答が、パイロット制御入力信号224を使用して特定される。飽和状態になりつつある制御翼面システム206に関して、前記制御翼面システム206が閾値241に達するときに警報240が生成されるものである(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【公知文献1】
WEB上の航空機公知資料
【特許文献2】
特開2014-156241号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記航空機の飛行時に水平尾翼及び垂直尾翼を操縦する尾翼操縦装置系統においては、飛行中の飛行機が落雷や突然の故障又はハイジャック又は爆弾テロで飛行機の配管系統が機能不能となった事態が発生すると、飛行の為の操縦機能が出来なくなり、乗員の生命を犠牲にする重大事故を招く、と言う大きな問題が発生していた。
【0009】
上記特開2014-156241号は、パイロット制御入力信号204が受信され、飛行制御モデル230によって制御される制御翼面システム206の応答が、パイロット制御入力信号224を使用して特定される。飽和状態になりつつある制御翼面システム206に関して、前記制御翼面システム206が閾値241に達するときに警報240が生成されるものであるから、非常時の尾翼の遠隔制御操作には関与及び展開できない。
【0010】
本発明は、上記尾翼操縦装置や航空機監視システムでは解決できない航空機事故による課題に対する問題点に鑑みてなされたものである。
本発明の目的は、飛行機の操縦席の操縦桿から油圧系統の配管又はワイヤーを介して水平尾翼及び垂直尾翼を操縦する尾翼操縦装置において、上記装置を司る油圧系統の配管又はワイヤーが破損しても操縦席の操縦桿は水平尾翼や垂直尾翼が操作可能とした非常時及び正常時でも操縦可能とした尾翼遠隔操縦装置を開発した。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成すべく、本発明の実施態様となる請求項1は、飛行機の操縦席の操縦桿から油圧系統の配管又はワイヤーを介して水平尾翼及び垂直尾翼を操縦する尾翼遠隔操縦装置において、上記油圧系統の配管又はワイヤーの他に、操縦席の操縦桿には左右の水平尾翼及び垂直尾翼を無線で遠隔操作する操縦桿発信器を備え、飛行機の尾翼内部には上記操縦席の操縦桿発信器からの無線指令を受けて左右の水平尾翼及び垂直尾翼を遠隔操作される遠隔操縦桿受信器と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項2は、上記請求項1記載の航空機の非常時の尾翼遠隔操縦装置において、操縦桿発信器から遠隔操縦受信器に無線指令されるとともに該遠隔操縦受信器は、各駆動系を介して垂直尾翼の角度駆動と左右水平尾翼の角度駆動とを個別制御することで飛行姿勢を矯正できる。
【0013】
本発明の請求項3は、上記請求項1又は2記載の航空機の非常時の尾翼遠隔操縦装置において、操縦桿発信器の操縦桿を操縦士の姿勢操作により、遠隔操縦受信器が垂直尾翼又は左右の水平尾翼の操作状況は、操縦席の操縦桿発信器のモニターに表示でき。
【0014】
本発明の請求項4は、上記請求項1又は2又は3記載の航空機の非常時の尾翼遠隔操縦装置において、上記遠隔操縦受信器の各駆動系は、空圧又は油圧又は電磁駆動系により垂直尾翼又は左右の水平尾翼を駆動できる。
【0015】
本発明の請求項5は、上記請求項1~4記載のいずれか1において、航空機の非常時の尾翼遠隔操縦装置の無線の周波数帯は、ドローン等に使用されている周波数帯でない特別の外部外乱を受けない周波数が使用されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の請求項1における航空機の非常時の尾翼遠隔操縦装置によれば、飛行中の飛行機が落雷や突然の故障又はハイジャック又は爆弾テロで飛行機の配管系統や電気系統が破壊されて水平尾翼及び垂直尾翼の操作不能になると、操縦席の操縦桿には左右の水平尾翼及び垂直尾翼を無線で遠隔操作する操縦桿発信器から、指令信号を機体の尾翼付近に備える遠隔操縦桿受信器に送り、この遠隔操縦桿受信器は左右の水平尾翼及び垂直尾翼を制御するから、非常事態の航空機を安全に飛行させ、無事に飛行場に着陸できる。
【0017】
本発明の請求項2における航空機の非常時の尾翼遠隔操縦装置によれば、飛行中に油圧系統の配管又はワイヤーが破損して操縦機能の不全時は、操縦席の操縦桿発信器と尾翼側の遠隔操縦受信器とを無線操作可能とし、飛行姿勢の修正時は操縦桿発信器の操縦桿を操縦士の補正操作により垂直尾翼又は左右の水平尾翼の操作指令は、操縦桿発信器から遠隔操縦受信器に無線指令されるとともに該遠隔操縦受信器は、各駆動系を介して垂直尾翼の角度駆動と左右水平尾翼の角度駆動とを個別制御することで飛行姿勢を矯正できる。
【0018】
本発明の請求項3は、上記請求項1又は2記載の航空機の非常時の尾翼遠隔操縦装置において、操縦桿発信器の操縦桿による垂直尾翼又は左右の水平尾翼の操作指令時に、姿勢制御を無線指令される遠隔操縦受信器が垂直尾翼又は左右の水平尾翼の操作状況は、操縦席の操縦桿発信器のモニター表示できる。
【0019】
本発明の請求項4は、上記請求項1又は2又は3記載の航空機の非常時の尾翼遠隔操縦装置において、上記遠隔操縦受信器の各駆動系は、空圧又は油圧又は電磁駆動系により垂直尾翼又は左右の水平尾翼を駆動する構成になっているから、確実な作動が確保される。
【0020】
本発明の請求項5は、上記請求項1~4記載のいずれか1において、航空機の非常時の尾翼遠隔操縦装置の無線の周波数帯は、ドローン等に使用されている周波数帯でない周波数であるから、無線操作を妨害されない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】 本発明の第1の実施の形態を示し、飛行機の全体斜視図と要部斜視図である。
【
図2】 本発明の第1の実施の形態を示し、尾翼遠隔操縦装置の駆動系斜視図である。
【
図3】 本発明の第1の実施の形態を示し、尾翼遠隔操縦装置系のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、
図1~
図3を参照して本発明の非常時の尾翼遠隔操縦装置100を説明する。
【0023】
先ず、
図1と
図2において、通常の運行時の油圧系Oやエアー系やワイヤー系が破損して操縦不能の事態となれば、本発明の非常時の尾翼遠隔操縦装置100を機能させる。
その概要構成は、飛行機Hの操縦席2の操縦桿S1,S2から操縦桿発信器Aを介して無線で遠隔操縦桿受信器Bに操縦指令信号Xを送る。この操縦指令信号Xは、遠隔操縦桿受信器Bである指令手段Fが水平操作蛇となる水平尾翼4,5に備える操作蛇4a,5aと垂直尾翼3に備える操作蛇3aに対して、
図2と
図3に示すように、油圧又は空圧リシンダC1,C2,C3又は電磁駆動手段により航空機Hの運行方向を操作指令する。
尚、各操作蛇4a,5a,3aの挙動や姿勢状態は、動作監視センサーD1,D2,D3により感知検出され、監視信号Yが遠隔操縦桿受信器BのアンテナB1から操縦桿発信器AのアンテナA1に送られ、内蔵する表示器のモニターN(
図3に示す)にフィードバック表示される。
【0024】
上記操縦桿発信器Aは、
図1(b)及び
図3に示すように、制御ボックスE内に装備されており、その詳細が開示されている。先ず、操縦席2に備えた一対の操縦桿S1,S2からの操縦情報は、操縦桿発信器A内で無線信号に変換した操縦指令信号即ち、無線指令Xとして、アンテナA1から遠隔操縦桿受信器BのアンテナB1に送信される。また、逆に遠隔操縦桿受信器BのアンテナB1から操縦桿発信器AのアンテナA1へは、上記監視信号Yが送信される相互送受信機能を持っている。
【0025】
続いて、
図3に図示するように、操縦桿発信器A内には、「飛行姿勢の感知部」10と、「修正可否判断部」11と、修正不要ならば「そのまま飛行制御部」12で自動操縦又は手動操縦状態とする。他方、飛行機事故で油圧系や空圧系が破損して操縦席2からの尾翼3,4,5の操縦不能の「飛行不能」13に陥ると、直ちに「操縦桿発信器Aと遠隔操縦桿受信器Bとを繋ぐ」14。ここで、操縦桿発信器Aは飛行状態を監視しながら「姿勢制御信号X」15を「発信器」16のアンテナA1から遠隔操縦桿受信器BのアンテナB1に送信する。
【0026】
ここで、遠隔操縦桿受信器Bは、操縦桿発信器Aからの「姿勢制御信号X」15を情報入力として、受信部17が受信する。この姿勢制御信号Xは、指令手段F内において、左右の水平尾翼4,5に備える操作蛇4a,5aと垂直尾翼3に備える操作蛇3aに対しての「司令部」18の情報源とし、この指令信号S1,S2,S3を出力する「垂直尾翼駆動」19と「右尾翼駆動」20と「左尾翼駆動」21により、油圧又は空圧リシンダC1,C2,C3が水平尾翼4,5に備える操作蛇4a,5aと垂直尾翼3に備える操作蛇3aの作動により、航空機Hの運行方向を的確に操作する。
【0027】
即ち、上記遠隔操縦桿受信器Bの機械系は、操縦桿発信器Aからの姿勢制御信号である無線指令Xを受信し、その無線指令Xは、
図2に示すように、制御ボックスF内からの左右の水平尾翼4,5及び垂直尾翼3に対して、各尾翼を的確に遠隔操作する。
【0028】
上記操作状況は、各操作蛇3a,4a,5aの各挙動や動作状態は、動作センサーD1,D2,D3により感知検出され、監視信号Yとして遠隔操縦桿受信器Bから操縦桿発信器Aに内蔵する表示器のモニターNにフィードバックされる。又、航空機の非常時の尾翼遠隔操縦装置100の無線の周波数帯は、ドローン等に使用されている周波数帯でない特別の外部外乱を受けない周波数が使用されている。これにより、無線操作を妨害されず、安全な無線操作が保証される。
【0029】
本発明の航空機の非常時の尾翼遠隔操縦装置によると、以下の作用効果が得られる。
1、本発明における航空機の非常時の尾翼遠隔操縦装置によれば、飛行中の飛行機が雷や突然の故障又はハイジャック又は爆弾テロで飛行機の配管系統や電気系統が破壊されて水平尾翼及び垂直尾翼が操作不能になると、操縦席の操縦桿には左右の水平尾翼及び垂直尾翼を無線で遠隔操作する操縦桿発信器から、指令信号を機体の尾翼付近に備える遠隔操縦桿受信器に送り、この遠隔操縦桿受信器は左右の水平尾翼及び垂直尾翼を制御するから、非常事態の航空機を安全に飛行させ、無事に飛行場に着陸できる。
2、また、飛行中に油圧系統の配管又はワイヤーが破損して操縦機能の不全時は、操縦席の操縦桿発信器と尾翼側の遠隔操縦受信器とを無線操作可能とし、飛行姿勢の修正時は操縦桿発信器の操縦桿を操縦士の補正操作により垂直尾翼又は左右の水平尾翼の操作指令は、操縦桿発信器から遠隔操縦受信器に無線指令されるとともに該遠隔操縦受信器は、各駆動系を介して垂直尾翼の角度駆動と左右水平尾翼の角度駆動とを個別制御することで飛行姿勢を矯正できる。
3、操縦桿発信器の操縦桿による垂直尾翼又は左右の水平尾翼の操作指令時に、姿勢制御を無線指令される遠隔操縦受信器が垂直尾翼又は左右の水平尾翼の操作状況は、操縦席の操縦桿発信器のモニター表示できる。
4、上記遠隔操縦受信器の各駆動系は、空圧又は油圧又は電磁駆動系により垂直尾翼又は左右の水平尾翼を駆動する構成であるから、確実な操作力が得られる。
5、航空機の非常時の尾翼遠隔操縦装置の無線の周波数帯は、ドローン等に使用されている周波数帯でない周波数であるから、無線操作を妨害されない。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の非常時の尾翼遠隔操縦装置100は、その対象物を中型・大型飛行機に限定して説明したが、この機能はセスナ機にも適用可能である。また、本発明は、尾翼遠隔操縦装置100として説明したが、主翼の操行蛇を制御する油圧系や空圧系が故障したときは、本発明の尾翼遠隔操縦装置100により、主翼操行蛇を制御する様にも適用可能である。
【符号の説明】
【0031】
A 操縦桿発信器
B 遠隔操縦桿受信器
A1,B1 アンテナ
2 操縦席
3 垂直尾翼
4,5 水平尾翼
H 飛行機
V 垂直尾翼
V1 方向舵
F 指令手段
S1,S2 操縦桿
X 操縦指令信号
Y 監視信号
3a,4a,5a 操作蛇
C1,C2,C3 油圧又は空圧リシンダ
D1,D2,D3 動作監視センサー
N モニター
100 尾翼遠隔操縦装置