(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165890
(43)【公開日】2022-11-01
(54)【発明の名称】デッドタイム生成回路、方法及びスイッチ回路
(51)【国際特許分類】
H02M 1/08 20060101AFI20221025BHJP
H03K 17/16 20060101ALI20221025BHJP
H03K 17/687 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
H02M1/08 A
H03K17/16 L
H03K17/687 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021101242
(22)【出願日】2021-06-18
(31)【優先権主張番号】202110423275.6
(32)【優先日】2021-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】000106276
【氏名又は名称】サンケン電気株式会社
(72)【発明者】
【氏名】原嶋 広和
【テーマコード(参考)】
5H740
5J055
【Fターム(参考)】
5H740BA12
5H740BC01
5H740BC02
5H740JA01
5H740JA05
5H740JA26
5H740JB01
5H740KK01
5H740MM01
5J055AX27
5J055AX56
5J055BX16
5J055CX07
5J055DX12
5J055DX56
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5J055EX02
5J055EX07
5J055EY01
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5J055EZ01
5J055EZ25
5J055EZ31
5J055GX01
5J055GX02
5J055GX04
(57)【要約】
【課題】本出願の実施形態は、デッドタイム生成回路、方法、およびスイッチ回路を提供する。
【解決手段】デッドタイム生成回路は、ローサイドスイッチのドレイン電圧を所定の基準電圧と比較するコンパレータ201と、コンパレータ201が出力する比較信号を受信し、ローサイドスイッチのオンパルス信号をトリガクロック信号として出力するDフリップフロップ202とを備えている。Dフリップフロップ202の出力信号はアップ/ダウンカウンタ203でカウントされて指示信号が出力され、時間定数回路204は、指示信号に基づいてデッドタイムを生成する。これにより、デッドタイムを適応的に調整して生成することができる。従って、構造が簡単でコストが低く、スイッチング回路のスイッチング損失を低減し、変換効率を向上させることができ、処理時間を短くして高速スイッチング動作に対応することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイサイドスイッチとローサイドスイッチの間のデッドタイムを生成するデッドタイム時間生成回路であって、
前記ローサイドスイッチのドレイン電圧を所定の基準電圧と比較するコンパレータと、
前記コンパレータから出力された比較信号を受信するとともに、前記ローサイドスイッチのターンオンパルス信号をトリガクロック信号として前記比較信号を出力するDフリップフロップと、
前記Dフリップフロップから出力された前記比較信号に基づいてカウントアップまたはカウントダウンするとともに、指示信号を出力するアップ/ダウンカウンタと、
前記指示信号に基づいて前記デッドタイムを生成する時間定数回路と、を備えることを特徴とするデッドタイム時間生成回路。
【請求項2】
前記時間定数回路は、少なくとも容量と抵抗を含み、
前記時間定数回路は、前記容量と前記抵抗によって形成されたRC時間定数で前記デッドタイムを生成することを特徴とする請求項1に記載のデッドタイム生成回路。
【請求項3】
前記アップ/ダウンダウンカウンタは、さらに前記ローサイドスイッチのターンオンパルス信号をトリガクロック信号とし、
前記指示信号は、マルチチャネルデジタル信号を含み、
前記マルチチャネルデジタル信号は、前記時間定数回路における複数の抵抗が用いられたか否かをそれぞれ指示することを特徴とする請求項1に記載のデッドタイム生成回路。
【請求項4】
前記時間定数回路に含まれた複数の抵抗で合成された抵抗値は、前記指示信号によって変化され、かつ、容量と前記複数の抵抗によって形成されたRC時間定数を変化させることで前記デッドタイムを調整することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のデッドタイム生成回路。
【請求項5】
前記コンパレータは、前記ローサイドスイッチのドレイン電圧が前記基準電圧よりも大きい場合に、第1の信号を出力し、
前記アップ/ダウンカウンタは、前記第1の信号に基づいてカウントダウンし、
前記時間定数回路は、前記指示信号に基づいて前記抵抗値を大きくすることで前記デッドタイムを増加させることを特徴とする請求項4に記載のデッドタイム生成回路。
【請求項6】
前記コンパレータは、前記ローサイドスイッチのドレイン電圧が前記基準電圧よりも小さい場合に、第2の信号を出力し、
前記アップ/ダウンカウンタは、前記第2の信号に基づいてカウントアップし、
前記時間定数回路は、前記指示信号に基づいて前記抵抗値を小さくすることで前記デッドタイムを減少させることを特徴とする請求項4に記載のデッドタイム生成回路。
【請求項7】
ハイサイドスイッチとローサイドスイッチを含み、前記ハイサイドスイッチのソースと前記ローサイドスイッチのドレインとが接続されたスイッチ回路であって、
請求項1~6のいずれか1項に記載のデッドタイム生成回路をさらに含むことを特徴とするスイッチ回路。
【請求項8】
ハイサイドスイッチとローサイドスイッチの間のデッドタイムを生成するデッドタイム時間生成方法であって、
前記ローサイドスイッチのドレイン電圧を所定の基準電圧と比較し、
コンパレータから出力された比較信号を受信するとともに、前記ローサイドスイッチのターンオンパルス信号をトリガクロック信号として前記比較信号を出力し、
前記比較信号に基づいてカウントアップまたはカウントダウンするとともに、指示信号を出力し、
前記指示信号に基づいて前記デッドタイムを生成することを含むことを特徴とするデッドタイム時間生成方法。
【請求項9】
前記指示信号により、時間定数回路に含まれた複数の抵抗で合成された抵抗値を変化させ、
容量と前記複数の抵抗によって形成されたRC時間定数を変化させることで前記デッドタイムを調整することをさらに含むことを特徴とする請求項8に記載のデッドタイム時間生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、特に、デッドタイム生成回路、方法、およびスイッチ回路に関するスイッチング制御技術の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
スイッチ回路には、ハイサイドスイッチ(例えば、ハイサイド制御電力素子)とローサイドスイッチ(例えば、ローサイド同期整流素子)が含まれてもよい。ローサイドスイッチがオフ(OFF)されると、ハイサイドスイッチは一時的にオン(ON)状態となり、ハイサイドスイッチがオフされると、ローサイドスイッチは一時的にオン状態となります。しかし、一般的には、ハイサイドスイッチとローサイドスイッチは同時にオンできず、ハイサイドスイッチとローサイドスイッチのオフ/オンの間にデッドタイム(DT)を提供する必要がある。
固定されたデッドタイム制御に対して、デッドタイムが長すぎたり、短すぎたりすることがあり、電源変換効率に不利である。そのため、現在はデッドタイムを適応的に調整することができ、すなわちデッドタイムを動的に制御することができ、電源をより高い変換効率をもたらすスキームが出現している。
なお、上記の技術背景の紹介は、本出願の技術案を明確かつ完全に説明し、当業者の理解を容易にするために述べるものであって、これらの発明が本出願の背景技術部分で述べられているだけで、上記の技術案は当業者に周知されているとは考えられない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】中国実用新案CN20846233U号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来技術のデッドタイム適応調整を行う方式はアナログ回路に基づいており、さらなる高速スイッチング動作に対応するには、増幅器利得、コンデンサの容量値、制御された電流量、デッドタイム生成されたバッファ遅延量などのアナログ回路特有の特徴を考慮する必要がある。
【0005】
本発明は、上記問題点を鑑みてなされたものであり、その課題を解決し、デッドタイム適応調整をさらに改善することができる回路、方法、スイッチ回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態の一態様によれば、ハイサイドスイッチとローサイドスイッチの間のデッドタイムを生成するデッドタイム時間生成回路であって、前記ローサイドスイッチのドレイン電圧を所定の基準電圧と比較するコンパレータと、前記コンパレータから出力された比較信号を受信するとともに、前記ローサイドスイッチのターンオンパルス信号をトリガクロック信号として前記比較信号を出力するDフリップフロップと、前記Dフリップフロップから出力された前記比較信号に基づいてカウントアップまたはカウントダウンするとともに、指示信号を出力するアップダウンカウンタと、前記指示信号に基づいて前記デッドタイムを生成する時間定数回路と、を備えることを特徴とする。
本発明の実施形態の別の態様によれば、上記のようなデッドタイム生成回路をさらに含む、ハイサイドスイッチとローサイドスイッチとを含むスイッチ回路を提供する。
本発明の実施形態の別の態様によれば、ハイサイドスイッチとローサイドスイッチの間のデッドタイムを生成するデッドタイム時間生成方法であって、前記ローサイドスイッチのドレイン電圧を所定の基準電圧と比較し、コンパレータから出力された比較信号を受信するとともに、前記ローサイドスイッチのターンオンパルス信号をトリガクロック信号として前記比較信号を出力し、前記比較信号に基づいてカウントアップまたはカウントダウンを選択するとともに、指示信号を出力し、前記指示信号に基づいて前記デッドタイムを生成することを含む、ことを特徴とする。
後文の説明及び図面を参照して、本出願の特定の実施形態を詳細に開示し、本出願の原理が採用されることができる形態を指定した。本出願の実施形態は、範囲的には限定されないことが理解されるべきである。本出願の実施形態は、特許請求の精神及び条項の範囲内において、多くの変更、修正、及び同等を含む。
一実施形態について説明および/または図示した特徴を同じまたは同様の方法で1つまたは複数の他の実施形態で使用してもよく、他の実施形態における特徴と組み合わせてもよく、または他の実施形態における特徴を代替してもよい。
用語「包括/包含」は、本明細書で使用される際に、特徴、全体、ステップ、またはコンポーネントの存在を指すが、1つ以上の他の特徴、全体、ステップ、またはコンポーネントの存在または追加は除外されないことを強調すべきである。
図面は、本発明の実施形態の1つの図面または1つの実施形態において記載された要素および特徴を、1つまたは複数の他の図面または実施形態に示された要素および特徴と関連付けることができることを示している。また、添付図面においても、同様の符号はいくつかの図面に対応する部品を示し、複数の実施形態において使用される対応する構成要素を示すために使用されてもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明の実施形態の有益な効果の一つは、ローサイドスイッチのドレイン電圧を所定の基準電圧と比較し、コンパレータから出力された比較信号を受信し、ローサイドスイッチのオンパルス信号をトリガクロック信号として出力し、Dフリップフロップから出力された前記比較信号をカウントアップまたはカウントダウンし、指示信号を出力する。前記デッドタイムは、前記指示信号に基づいて生成される。これにより、より良いデッドタイムを生成し、適応的に調整することができるだけでなく、スイッチング損失を低減し、変換効率を向上させることができ、構造が簡単でコストが低く、処理時間が短く、高速スイッチング動作に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態のスイッチング回路の概略図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態のデッドタイム生成回路の一例である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態の時間定数回路の概略図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態のデッドタイムを増大させる条件の一例である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態のデッドタイムを低減させる条件の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、本実施形態のデッドタイム生成方法の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面を参照すると、以下の説明書により、本出願の前述および他の特徴が明らかになるであろう。明細書および図面において、本出願の特定の実施形態が具体的に開示されており、本出願は、本願の原則を適用することができる一部の実施形態を示しているが、本明細書は、記載の実施形態に限定されるものではなく、むしろ、本願は、添付の権利が求める範囲に含まれる全ての修正、変形、及び均等物を含むことを理解されたい。
本発明の実施形態では、用語「第1」、「第2」などは、異なる要素を呼称から区別するために使用されるが、これらの要素の空間的な配置または時間的順序などを表すものではなく、これらの要素はこれらの用語によって制限されるべきではない。用語「および/または」は、関連付けられて記載された用語のうちのいずれかまたは複数の組み合わせを含む。用語「含む」、「持つ」などは、記載された特徴、要素またはコンポーネントの存在を意味するが、1つまたは複数の他の特徴、要素、またはコンポーネントの存在または追加は除外されない。
本発明の実施形態では、単一の数の形式「一」、「該」などは複数の形式を含み、文脈では別に明示的に示されない限り、一般的に「一種類」として理解されるべきである。さらに、用語「根拠」は、「少なくとも部分的には…による」と理解されるべきである。「基本」という用語は、「少なくとも部分的には…に基づく」と理解されるべきである。
本出願のいくつかの実施形態において、ゼロ電圧スイッチ(ZVS、Zero Voltage Switch)を例に挙げて説明するが、本出願はこれに限定されるものではなく、他のタイプのスイッチング回路にも適用できる。
以下、図を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0010】
(第1の実施の形態)
出願の実施形態は、スイッチング回路とデッドタイム生成回路を提供する。
図1は、ハイサイドスイッチ101と、ローサイドスイッチ102と、ドライバ103と、デッドタイム生成回路104とを含む本発明の実施形態のスイッチング回路の一例の図である。
図1に示すように、ハイサイドスイッチ101のドレインは入力電圧Vinを受信し、ローサイドスイッチ102のソースは接地されており、ハイサイドスイッチ101のソースとローサイドスイッチ102のドレインが接続され、電圧(例えばローサイドスイッチ101のドレインの電圧信号はVsw)を負荷に出力する。
図1に示すように、パルス幅変調(PWM、Pulse Width Modulation)信号は、デッドタイム生成回路104に入力され、デッドタイム生成回路104は制御信号HoとLoを出力し、ドライバ103に入力し、ドライバ103は、ハイサイドスイッチ101のゲートに制御信号(例えば、ハイサイドスイッチ101のゲートの電圧信号はVg1)を出力し、ローサイドスイッチ102のゲートに制御信号(例えば、ローサイドスイッチ102のゲートの電圧信号はVg2)を出力することができ、ハイサイドスイッチ101とローサイドスイッチ102を制御する。
【0011】
上述の
図1において、本発明の実施形態のスイッチング回路のみを概略的に説明したが、本明細書はこれに限定されない。例えば、様々なモジュールまたはコンポーネント間の接続関係を適切に調整することができ、さらに他のモジュールまたはコンポーネントを追加したり、いくつかのモジュールまたはコンポーネントを低減したりすることができる。当業者は、上記の内容に基づいて適宜変形することができ、上記図面1の記載に限らない。
【0012】
図2は、本出願の実施形態のデッドタイム生成回路の一例であり、デッドタイム生成回路104は、ハイサイドスイッチ101とローサイドスイッチ102とのデッドタイムを生成する。
図2に示すように、デットタイム生成回路104は、ローサイドスイッチ102のドレイン電圧Vswを所定の基準電圧V1と比較し、コンパレータ201から出力された比較信号を受信し、ローサイドスイッチ102のオンパルス信号(例えばゲートの電圧信号Vg 2)をトリガクロック信号(CLK)として出力するDフリップフロップ202を有する。
アップ/ダウンカウンタ203は、Dフリップフロップ202から出力された比較信号に基づいてアップ/ダウンカウントし、指示信号(例えば
図2ではo3~o0で表される)を出力し、指示信号に基づいてデッドタイムを生成する時間定数回路204を有する。
【0013】
上述の
図2は、本出願の実施形態のデッドタイム生成回路のみを概略的に説明したが、本明細書はこれに限定されない。例えば、様々なモジュールまたはコンポーネント間の接続関係を適切に調整することができ、さらに他のモジュールまたはコンポーネントを追加したり、いくつかのモジュールまたはコンポーネントを低減したりすることができる。当業者は、上記の内容に基づいて適宜変形することができ、上記図面2の記載に限らない。
いくつかの実施形態では、前記所定の基準電圧は0ボルトであるが、本出願はこれに限定されない。
いくつかの実施形態において、時間定数回路204は、容量および抵抗を少なくとも含み、時間定数回路204は、容量および抵抗によって形成されるRC時間定数によってデッドタイムを生成する。RC回路構造およびRC時間定数に関する具体的な内容は、関連技術を参照することができ、ここでは説明を省略する。
【0014】
図3は、本発明の一実施形態の時間定数回路の概略図であり、一部の要素の場合を模式的に示す。
図3に示すように、時間定数回路204は、ハイサイド入力信号Hinがハイサイド入力されてハイサイド出力信号Hoが出力され、ローサイド部2042はローサイド入力信号Linが入力されてローサイド出力信号Loが出力されるハイサイド部2041とローサイド出力部2042とを備えることができる。
【0015】
図3に示すように、ハイサイド部2041は、例えば、異なる抵抗値(例えば、それぞれ8R、4R、2R、R)を有し、各抵抗302が対応するスイッチ303に短絡されてもよい4つの抵抗と、1つの容量301を備えていてもよい。これにより、信号の指示により、複数のスイッチを有するスイッチ303は個々にオン(ON)またはオフ(OFF)され、スイッチ303のうちオンされたスイッチに対応する複数の抵抗302は短絡され、スイッチ303のうちオフされたスイッチに対応する複数の抵抗302は異なる抵抗値を持つため、ハイサイド部2041でRC回路構造の全体抵抗値が変化するので、ハイサイド部2041のRC時間定数を変更することができる。
【0016】
図3に示すように、ローサイド部2042は、例えば、異なる抵抗値(例えば、それぞれ8R、4R、2R、R)を有し、各抵抗305が対応するスイッチ306によって短絡され、カウンタ203の指示信号からオフ(OFF)またはオン(ON)されてもよい4つ以上の抵抗305と、1つの容量304を含んでもよい。これにより、信号の指示により、複数のスイッチを有するスイッチ306は個々にオン(ON)またはオフ(OFF)され、スイッチ306のうちオンされたスイッチに対応する複数の抵抗305は短絡され、スイッチ306のうちオフされたスイッチに対応する複数の抵抗305は異なる抵抗値を持つため、ローサイド部2042でRC回路構造の全体抵抗値が変化するので、ローサイド部2042のRC時間定数を変更することができる。
【0017】
ここで、スイッチ303、306は同期してオンオフされるので、ハイサイドスイッチ101とローサイドスイッチ102との間のデッドタイムを生成して調整することができる。具体的に実施すると、デッドタイムは信号HoとLoの波形の時間的オフセットによって表現され、具体的な内容は関連技術を参照することもできる。
【0018】
なお、上記
図3は、本出願の実施形態の時間定数回路のみを概略的に説明したが、本出願はこれに限定されない。例えば、様々なモジュールまたはコンポーネント間の接続関係を適切に調整することができ、さらに他のモジュールまたはコンポーネントを追加したり、いくつかのモジュールまたはコンポーネントを低減したりすることができる。当業者は、上記の内容に基づいて適宜変形することができ、上記図面3の記載に限らない。
【0019】
いくつかの実施形態では、
図2に示すように、アップ/ダウンタウンタ203は、ローサイドスイッチ102のオンパルス信号(例えばゲートの電圧信号Vg2)をトリガクロック信号(CLK)とし、時間定数回路における複数の抵抗を制御する多重デジタル信号を含む。
例えば、
図3に示すように、アップ/ダウンタウンタ203は、4ビットのデジタル信号(o 3~o0に示すように)を出力し、カウントアップしても良いし、カウントダウンしても良い。アップ/ダウンタウンタの具体的な内容については、関連技術を参照することもできる。
【0020】
いくつかの実施形態において、時間定数回路204が含む複数の抵抗合成の抵抗値を、指示信号によって変化させ、容量および複数の抵抗によって形成されるRC時間定数を変更することによって、デッドタイム時間を調整することができる。
【0021】
図4は、本発明の実施形態のデッドタイムを増大させる条件の一例の図である。
いくつかの実施形態において、コンパレータ201が、ローサイドスイッチ102のドレイン電圧Vswが基準電圧V1(例えば、0)より大きい場合(Vsw>0)第1の信号(例えばローレベル)が出力され、アップ/ダウンタウンタ203は、第1の信号(例えばローレベル)に従ってカウントダウンし、時間定数回路204は、指示信号に従って抵抗値を増加させてデッドタイムを増加させる。
なお、
図3を例にとり、表1は、本出願の実施形態のデッドタイム調整の一例を示しており、0はスイッチオフ(OFF)を示し、1はスイッチオン(ON)を示す。
【0022】
【0023】
現在の状態で指示信号が1000であると仮定した場合、ハイサイド部2041のRC回路構成では、スイッチ303の第1のスイッチオン(対応する抵抗8Rが短絡されている)、他の3つのスイッチがオフ(対応する抵抗4R、2R、Rが使用されている)ので、合成の抵抗値は4R+2R+R=7Rとなる。ローサイド部2042のRC回路構成では、スイッチ306の第1のスイッチオン(対応する抵抗8Rが短絡されている)、他の3つのスイッチがオフされている(対応する抵抗4R、2R、Rが使用されている)ため、合成の抵抗値は4R+2R+R=7Rである。
例えば、アップ/ダウンタウンタ203は、第1の信号(例えば、ローレベル)に従ってカウントダウンし、例えば1000から0111になると、合成抵抗値が8Rとなり、抵抗値が大きくなり、したがってデットタイム時間も大きくなる。さらに次のトリガクロック信号の受信時に、第1の信号が変わらずローレベルであれば、0111から0110に変更される。これにより、合成抵抗値は9Rとなり、抵抗値が増加し、デッドタイムも増加する。
【0024】
図5は、本発明の実施形態のデッドタイムを低減させる一例の図である。
いくつかの実施形態では、コンパレータ201は、ローサイドスイッチ102のドレイン電圧Vswが基準電圧(例えば0)より小さい場合(Vsw<0)第2の信号(例えば、ハイレベル)を出力し、アップ/ダウンタウンタ203は、第2の信号(例えば、ハイレベル)に従ってカウントアップし、時間定数回路204は、指示信号に従って抵抗値を低減してデッドタイムを低減する。
【0025】
なお、
図3と表1を例にとり、現在の状態では指示信号が1000であると仮定した場合、ハイサイド部2041のRC回路構成では、スイッチ303の第1のスイッチオン(対応する抵抗8Rが短絡されている)、他の3つのスイッチがオフされる(対応する抵抗4R、2R、Rが使用されている)ため、合成の抵抗値は4R+2R+R=7Rとなる。ローサイド部2042のRC回路構成では、スイッチ306の第1のスイッチオン(対応する抵抗8Rが短絡されている)、他の3つのスイッチがオフされている(対応する抵抗4R、2R、Rが使用されている)ため、合成の抵抗値は4R+2R+R=7Rである。
【0026】
例えば、アップ/ダウンタウンタ203は、第2の信号(例えば、ハイレベル)に従ってカウントアップを行い、例えば、1000から1001になると、合成抵抗値が6Rとなり、抵抗値が減少し、したがって、デットタイム時間も減少する。更に次のトリガクロック信号の受信時に、第2の信号が変わらずハイレベルであれば、1001から1010に変更され、合成抵抗値が5Rに変化し、抵抗値が減少することにより、デッドタイムも減少する。
【0027】
また、Dフリップフロップは、ローサイドスイッチのターンオン状態でコンパレータの出力をアップ/ダウンタウンタに反映しても良い。アップ/ダウンタウンタはデッドタイムの長さを維持し、Dトリガーの出力に応じてデッドタイムを調整し、アップ/ダウンタウンタの出力値はデッドタイム発生回路に反映される。これにより構造が簡単で精度を高くできる。
【0028】
以上の様々な実施形態は、本願の実施形態の一例だけを説明したが、本出願はこれに限定されるものではなく、上記の各実施形態を基礎とした適切な変形も可能である。例えば、上記の各実施形態を単独で使用しても良いし、上記の各実施形態のうちの1つまたは複数を組み合わせても良い。
【0029】
上記の実施形態により、ローサイドスイッチのドレイン電圧を所定の基準電圧と比較し、コンパレータから出力された比較信号を受信し、ローサイドスイッチのオンパルス信号をトリガクロック信号として出力し、Dフリップフロップから出力された前記比較信号に基づいてアップ/ダウンカウンタでカウントアップまたはカウントダウンされ、時間定数回路へ指示信号を出力する。時間定数回路は、前記指示信号に基づいてデッドタイムを生成する。これにより、より良いデッドタイムを適応的に調整して生成することができる。従って、構造が簡単でコストが低く、スイッチング回路のスイッチング損失を低減し、変換効率を向上させることができる。また、処理時間を短くできるので高速スイッチング動作に対応することができる。
【0030】
(第二の実施形態)
ハイサイドスイッチとローサイドスイッチとの間のデッドタイムを生成するデッドタイム生成方法も提供する。第二の実施形態は、第一の実施形態におけるデッドタイム生成回路に対応し、第一の実施形態と同じ内容であるので、ここでは簡単に説明する。
【0031】
図6は、本発明の実施形態のデットタイム生成方法の概略図であり、
図6に示すように、デットタイム生成方法は、
601は、ローサイドスイッチのドレイン電圧を所定の基準電圧と比較し、
602は、コンパレータが出力する比較信号を受信し、ローサイドスイッチのオンパルス信号をトリガクロック信号として出力することを含む。
603は、比較信号に従ってカウントをアップ、またはダウンの指示信号を出力、
604は、指示信号に従ってデッドタイムを生成する。
【0032】
上述の
図6は、本出願の実施形態を概略的に説明したが、本出願はこれに限定されないことに留意されたい。例えば、各動作間の実行順序を適切に調整することができ、さらに他のいくつかの動作を追加することができ、またはその中のいくつかの動作を低減することができる。当業者は、上記の内容に基づいて適宜変形することができ、上記図面6の記載に限らない。
【0033】
いくつかの実施形態では、方法は、信号が時間定数回路を変更することを示す複数の抵抗合成の抵抗値と、容量および複数の抵抗によって形成されるRC時間定数を変更することによって、デッドタイムを調整することをさらに備える。
【0034】
以上の様々な実施形態は、本願の実施形態の一例だけを説明したが、本明細書はこれに限定されず、上述の様々な実施形態に基づいて適切な変形も可能である。例えば、上記の各実施形態を単独で使用しても良いし、上記の各実施形態のうちの1つまたは複数を組み合わせても良い。
【0035】
上記の実施形態により、ローサイドスイッチのドレイン電圧を所定の基準電圧と比較し、コンパレータから出力された比較信号を受信し、Dフリップフロップはローサイドスイッチのオンパルス信号をトリガクロック信号として前記比較信号を出力し、Dフリップフロップは受信した前記比較信号に基づいて、アップ/ダウンカウンタへカウントを加算または減算する指示信号を出力することを明らかにした。指示信号に基づき時間定数回路がデッドタイムを生成することを示した。これにより、より良いデッドタイムを生成し、適応的に調整することができるだけでなく、スイッチング損失を低減し、変換効率を向上させることができ、構造が簡単でコストが低く、処理時間を短くできるので高速スイッチング動作に対応することができる。
【0036】
本発明の実施形態以上の装置および方法は、ハードウェアによって実施されてもよいし、ソフトウェアによって実現されてもよい。本明細書は、論理構成要素によって実行されると、論理構成要素が上記のような装置または構成要素を実現するか、または論理構成要素が上記の様々な方法またはステップを実現することができるコンピュータ読み取り可能プログラムに関する。本出願は、ハードディスク、磁気ディスク、光ディスク、DVD、フラッシュメモリなど、上記のプログラムを記憶するための記憶媒体にも関する。
【0037】
本発明の実施形態に関連して説明された方法/装置は、ハードウェアとして直接的に具現化され、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールまたは2つの組合せとして具現化されてもよい。例えば、図に示されている機能ブロック図のうちの1つまたは複数および/または機能ブロックの1つまたは複数の組み合わせは、コンピュータプログラムフローの各ソフトウェアモジュールに対応してもよく、また、各ハードウェアモジュールに対応してもよい。これらのソフトウェアモジュールは、それぞれ図に示す各ステップに対応することができる。これらのハードウェアモジュールは、例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を用いてこれらのソフトウェアモジュールを硬化させて実装することができる。
【0038】
ソフトウェアモジュールは、RAMメモリ、フラッシュメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルディスク、CD-ROM、または当技術分野で知られている他の任意の形態の記憶媒体に存在してもよい。プロセッサが記憶媒体から情報を読み取り、記憶媒体に情報を書き込むことができるように、記憶媒体をプロセッサに結合することができ、またはプロセッサの構成部分とすることができる。プロセッサおよび記憶媒体は、ASIC内に存在することができる。このソフトウェアモジュールは、携帯端末のメモリに記憶されてもよく、携帯端末に挿入可能なメモリカードに記憶されてもよい。例えば、モバイル端末などの装置が大容量のMEGA-SIMカードまたは大容量のフラッシュメモリ装置を採用する場合、このソフトウェアモジュールは、MEGA-SIMカードまたは大容量のフラッシュメモリ装置に記憶されてもよい。
【0039】
添付図面に記載された機能ブロックのうちの1つまたは複数および/または機能ブロックの1つまたは複数の組み合わせについて、本明細書で説明された機能を実行するための汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、専用集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、または他のプログラマブル論理デバイス、分立ゲートまたはトランジスタ論理デバイス、ハードウェアコンポーネントまたはそれらの任意の適切な組み合わせを分割します。添付の図面について説明した機能ブロックのうちの1つ以上と/または機能ブロックの1つ以上の組み合わせは、計算装置の組合せ、例えばDSPとマイクロプロセッサの組合せ、複数のマイクロプロセッサ、DSPとの通信に関連した1つ以上のマイクロプロセッサ、または他のこのような構成として実現されてもよい。
【0040】
本明細書は、以上の具体的な実施形態に関連して説明されているが、本明細書の範囲を限定するものではないことは、当業者には明白であるべきである。当業者は、本願の精神および原理に基づいて、本出願に対して様々な変形および修正を行うことができ、これらの変形および修正も本出願の範囲内にある。
【符号の説明】
【0041】
100 スイッチング回路
101 ハイサイドスイッチ
102 ローサイドスイッチ
103 ドライバ
104 デッドタイム生成回路
201 コンパレータ
202 Dフリップフロップ
203 アップ/ダウンカウンタ
204 時間定数回路
2041 ハイサイド部
2042 ローサイド部
301、304 コンデンサ
302、305 抵抗
303、306 スイッチ